柏戦を底に岡山戦・鹿島戦と試合内容は徐々に好転し、代表ウィークによるリーグ戦中断期間を利用してスコルジャがチーム状態を一気呵成に立て直してくれるものと期待してC大阪戦を観戦していましたが、残念ながらその期待は完膚なきまでに打ち砕かれました。
《スタメン》
浦和のスタメンは前節鹿島戦と全く同じ。岡山戦・鹿島戦と内容が良くなって来たのでこれは妥当な判断。
大久保と故障明けの渡邊がベンチ入りした一方、髙橋と二田がベンチ外に。中断期間中長倉と髙橋が別メニューだったため、サンタナに代わりうるCFがいない勘定に。
C大阪はGKキムジンヒョンに代えて福井をスタメン起用した他、西尾→進藤、髙橋→登里、舩木→奥田、喜田→アンドラーデと前節横浜FC戦からスタメンを最終ラインを中心に一挙5人も入れ替え。
ただこれは急遽大胆に入れ替えた訳ではなく、リーグ戦中断期間中に開催されたルヴァン杯讃岐戦(3/20)で試行されて大勝という結果も出た面子&フォーメーションがベースになっていて、その時と比較するとブエノ→北野、ジンヒョン→福井の2枚入れ替えのみ。

《試合展開》
前述のように、C大阪はルヴァン杯でこれまでの基本フォーメーション4-2-3-1から4-1-2-3で外国人選手を前に3人ずらずらと並べる形へ変更。開幕ダッシュに失敗したチームがルヴァン杯を利用して立て直しに動くのはよくあることですが、この策がいきなり猛威を奮いました。
2分登里のロングフィードで左WGアンドラーデがいとも簡単に関根の裏を取り、その折り返しを中でハットンが詰めてC大阪が早々と先制。
この失点場面をスコルジャは試合後「我々のイージーなミスとも言える形から失点」と総括していますが、イージーなミスとは松本の前プレが甘くて登里に簡単に蹴らせていることを指しているのか、簡単に裏を取られている関根を指しているのか?
ただその前にも畠中のロングフィードで荻原が右WGフェルナンデスにやられかかった場面もあったのを見ると、パパスはロングフィードを多用して浦和の両SB、特に関根を狙い撃ちする策を用意していたのに対し、スコルジャはC大阪の出方を読み違えて、結果的に無為無策で試合に臨んだような気がしてなりませんでした。試合前の会見でC大阪を「ショートパスでボールをつないでキープするチーム」と評していたので、ロングボールにやられるとは全く予想していなかったとか???
いきなり先制点を許した浦和はC大阪の超積極的な前プレに苦しんでビルドアップに苦労する一方、浦和の前プレは全くハマらずに大苦戦。12分浦和の前プレをあっさり交わされてからの北野スルーパス→ハットンの決定機は西川の果敢な飛び出しでなんとか防ぎ、19分右サイドから北野アーリークロス→ハットンの決定機を許すもシュートはわずかに枠の外。
それでも20分くらいからC大阪を自陣に押し込む時間帯が増え始めましたが、右サイドから金子や関根がクロスを入れるだけという単調な攻撃に終始し、しかもそれが誰にも合わない。カウンターの好機もありましたが、フィニッシュまで持ってゆけず。
25分アンドラーデが故障して柴山を投入するアクシデントがありましたが、C大阪はシンプルな縦パスで柴山に関根の裏を狙わせる策を継続しながら引き続き優勢に試合を進め、前半終了間際には浦和守備陣をあざ笑うようにプレスを交わしてバイタルエリアで前を向いた北野がミドルシュートを放つも、これまたわずかに枠の外。
あんまりな惨状を受けてスコルジャは後半頭から松本に代えて松尾を投入。しかし55分自陣からのスローインなのにサヴィオが中島のプレスを受けてボールロストというトホホすぎる形でショートカウンターを食らってしまい、北野に決定機を許すもこれまたわずかに枠の外。
しかし松尾投入の効果は確かにあってその直後に左サイドから松尾のクロスからファーでどフリーで関根シュートというこの試合初めて良い形を作りましたが、関根のシュートは畠中がブロック。
70分にはグスタフソン→渡邊、サヴィオ→中島の二枚替えを敢行して一方的にC大阪を自陣に押し込む展開になりましたが、浦和は特に守備の堅固さに定評はないC大阪が低い位置に形成する守備ブロックを攻めあぐむ始末。
74分金子クロス→サンタナヘッドは自他ともに認めるサンタナのプッシングのファウルを取られてゴールならず。76分関根のロングフィードで松尾がC大阪最終ライン裏へ飛び出したのを契機に金子がボックス内からシュートを放つもバーの上。79分左サイドから松尾クロスがファーの金子に通るも金子が合わせきれず。
パパスは81分中島→香川、北野→ブエノと、DAZN解説「関西の至宝」橋本氏がボロクソに言っていた意図の判然としない交代を講じたのが裏目に。
浦和がなんだかんだとサイド攻撃の形がちょっとずつでき始めたところで、83分金子に代えて原口を投入し、サンタナ&松尾の2トップ(原口左SH、中島右SHの4-4-2)へ布陣変更。するとその直後、関根スルーパス→右サイドから松尾クロス→中で原口が奥田ともつれ合って潰れたのが効いて、どフリーでファーに突っ込んだ渡邊が同点ゴール!!
終始劣勢ながらも辛うじて同点に追いついた浦和は90+1分に松尾のパスを受けたサンタナがボックス内でシュートを撃つ場面もありましたがGKの好守に阻まれて逆転はならず、そのまま引き分けで試合終了。

《総評》
柏戦を底に岡山戦・鹿島戦と試合内容は徐々に好転し、代表ウィークによるリーグ戦中断期間を利用してスコルジャがチーム状態を一気呵成に立て直してくれるものと期待してC大阪戦を観戦していましたが、残念ながらその期待は完膚なきまでに打ち砕かれました。
中断期間が悪い方に作用したのか、なんとか好転しつつあったチーム状態はあっさりリセットされ、また柏戦の惨状にまで戻ってしまったかのように浦和はやられ続けました。柏戦と違って負けずに済んだのは単に相手が浦和と勝ち点に大きな差はなく降格圏にいるチームだったからに過ぎず、端的に言えば決定機で北野が外しまくったのに助けられただけ。
鹿島戦では相手の前プレをいとも簡単に交わして流麗にビルドアップし、守っては前プレがハマりにハマりましたが、この試合では共にダメダメでした。チームに積み上げというものが感じられないという意味で甚だ残念な試合でした。
開幕前の浦和への期待度は「昨年13位に終わったチームなので、今季はトップハーフに入れれば合格。来季もスコルジャを続投させうるだけの好材料=来季の反攻に期待できるだけの何かが得られれば十分」といった程度のものでしたが、この積み上げの無さを見て「スコルジャは今季限りかも・・・」とすっかり意気消沈してしまいました。
このあんまりな試合にはいろんな角度から批判が投げかけられるかと思いますが、個人的には両WGを軸にピッチを幅広く使ってサイド攻撃を仕掛けてくるチームに対してへっぽこSBを抱えた4バックで守っているのを見続けるのが何と言っても辛かった。この惨状を見て試合終了後記者から「C大阪は広がってくるチームで、うまくいかない相手は5バックだったりするが、中断期間でそういう準備もできたのでは?」とスコルジャの無為無策ぶりを責めるような質問が出たのは当然でしょう。
これに対してスコルジャは「中断期間があったから3バックを用意する、ということは考えていませんでした。我々の4バックに継続性を持たせて進化させていくのが狙いでした。ただ、C大阪に対して守備ができた、できなかったというのはシステムの問題ではないと思います」と答えています。
「4バックなので守り切れないのではなく人の問題だ」と言っているようにしか思えないのですが、となるとへっぽこな両SB、特に関根を今後も使い続けるのかなあ?柏戦後に「出来もしないことを求めてしまった」と自省して前田を叩き切ったようなことが再現されるのかなぁ??
関根は終盤なぜか勝手に持ち場を離れて単騎でガンガン前に飛び出してしまう大暴走を繰り返していましたが、ああいう行為はチームの規律を重視する監督なら全く容認しえないはず。次節清水戦でスコルジャがキャプテンにどういう処分を下すのか、良くも悪くも見ものです。
また松尾を左SHへ投入するのは妙手でしたが、下げられたのが同ポジションのサヴィオではなく松本だったのには驚きました。サヴィオと荻原の相性はいつまで経っても良くならず、二人がかりなのに攻守両面にわたってフェルナンデス一人に大苦戦。柏時代個人能力ではJ1で頭一つ抜けた感があったサヴィオをスコルジャが全然使いこなせないとはなぁ・・・スコルジャ自身もサヴィオの使い方に試行錯誤しているのを認めていますが、それで割を食うのがサヴィオより先に結果を出している松本だとは・・・
岡山戦・鹿島戦と「渡邊がいない時の最適解」をようやく見出したかのように思えたのに、それもあっという間に雲散霧消。そして故障が癒えて終盤投入された渡邊が瞬時に結果を出してしまい、次節清水戦からまた「渡邊がいる時の最適解=キャンプ時からやりたかったこと」へ向けての試行錯誤が始まるのでしょう。そしてそこで外されるのはグスタフソンになるのかなぁ・・・なんなんだ、この賽の河原感は・・・
《選手評等》
・サイドチェンジして金子の一対一に託すも金子は対面の相手をぶち抜けず、やむなく後方の関根に戻す→関根のクロスはだれにも合わない。これがずっと続くは実に辛いが、それでも何も起きない左サイドよりマシなんだよなぁ。攻撃の終点荻原(つД`)
・ジンヒョンに代わってスタメン起用されたGK福井。ビルドアップという概念がないタオル町田から来たのに、ビルドアップへの寄与についてはジンヒョンと遜色なくて驚きました。浦和が全然枠内シュート撃っていないのでシュートストップの性能はさっぱり判らずじまいでしたが。
・今のC大阪のどこに本間の居場所があるのかなぁ・・・

-----サンタナ-----
サヴィオ---松本---金子
---グスタフ--安居---
荻原-マリウス--ボザ-関根
-----西川-----
(得点)
83分 渡邊
(交代)
HT 松本→松尾
70分 サヴィオ→中島
70分 グスタフソン→渡邊
83分 金子→原口
アンドラ---ハットン---フェルナ
---北野--中島---
-----田中-----
登里-畠中--進藤-奥田
-----福井-----
(得点)
2分 ハットン
(交代)
25分 アンドラーデ→柴山
81分 中島→香川
81分 北野→ブエノ
90+3分 奥田→西尾
90+3分 ハットン→上門
※写真は試合とは全く関係がありません