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2025.03.09

【観戦記】25年第5節:浦和 1-0 岡山 ~ 厳寒の中で見えた一筋の光明

 勝っている試合の締め方は非常に稚拙でしたが、後半半ばまでの出来は前節とは一変だったのも確か。浦和もようやく今季リーグ戦初勝利を掴みました。

《スタメン》

 浦和のスタメンは前節から原口→グスタフソン、前田→金子と二枚入れ替え。サブに大久保が戻って、前田は一気にベンチ外に。

 スコルジャが試合前の記者会見で「渡邊を失ってから最適なスタメンを探しあぐねている」とか「選手に出来もしないことを求めてしまった」とか色々とぶっちゃけていました。

 さらに「選手に出来もしないことを求めてしまった」件については今後やり方は変えずに選手を代えるか、選手に合わせてやり方を変えるか決めかねている。」とも話していたので、この試合のスタメンが楽しみでしたが、蓋を開けてみると「出来もしないことを求めてしまった選手」が原口と前田であることが丸わかり。前田は柏戦でせめて1点取っていれば守備の難に目を瞑ってくれたかもしれませんが、あの決定機逸は高くつきました。

 「柏戦と全く同じ先発メンバーにはなりません」と断言していたので大幅なスタメン入れ替えを予想した向きもあったようですが、サブも含めて割と穏当なところに落ち着いたようです。

 一方岡山のスタメンは前節から柳→加藤の入れ替えのみ。

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《試合展開》

 試合開始早々、金子のクロスをクリアし損ねたボールが右サイドに流れていた松本の前にコロコロと。松本クロス→サヴィオの決定機が生まれましたが、右WB松本が必死にプレスバックしてきたためサヴィオはシュートを撃ち切れず。

 岡山の3バックに対する浦和のプレススタイルは試合後の関根の話によると「FWとウイングが後ろの3枚に対してはめに行く形」だったようです。そして岡山は細かい繋ぎに拘るチームではなく、ともすれば前三人にロングボールをバンバン蹴ってしまうチームなせいもあってか、浦和のハイプレスはそれなりに有効だったように見受けられました。

 ただこの試合で良かったのはハイプレスよりも、スコルジャの言い方を借りれば「スタートから高い強度でプレーでき、攻から守への切り替えも高いレベルで対応できた」こと。それゆえ浦和は中盤での球際での競り合いで概して優勢に立てました。さらに岡山のプレス強度がそんなに高くないのにも助けられてビルドアップに特段の支障もありませんでした。

 そのため浦和がボールを支配し、かつ中盤で良い形で前を向ける場面が頻出。サイドチェンジを交えながらのシンプルな縦パス攻撃で松本やサンタナが岡山最終ライン裏へ走り抜ける場面が数多くみられました。ただ残念ながら出し手と受け手の呼吸が合わず、手数の割には決定機は作れずじまい。

 21分ショートコーナーから関根クロス→マリウスヘッドといかにも事前に仕込んだっぽい妙手もありましたが、ここはGKブローダーセンが難なくセーブ。

 時間の経過と共に岡山は最終ライン裏を取られるのを嫌ってか、次第に5-3-2気味で自陣にドン引きに。こうなってしまうとファイナルサードでの崩しに難がある浦和は手も足も出ず。41分ようやく関根→荻原→サンタナとパスを繋いだ中央突破が決まったとと思いきやVARでオフサイドの判定となりノーゴールに。

 とはいえ後半も引き続き浦和優勢。47分サヴィオが左サイドを疾走して中央でフリーの安居に折り返す良い形を作りましたが、安居のシュートは仕様通り枠の外。しかし続く49分に金子の縦パスを受けて右サイドを爆走する安居の折り返しは対面のDFにちょっと当たってしまいましたが運よくサンタナのもとへ。サンタナがきっちり股抜きシュートを決めてついに浦和先制。

 ビハインドとなった岡山は58分に早くも切り札のルカオと木村を投入して3-4-1-2に布陣を変更しましたが、すぐには戦況は好転せず。浦和は64分にサヴィオがボックス内に突入してシュートを放つ絶好機を得たものの、サヴィオのシュートはまさかの枠外。

 スコルジャは63分に金子→松尾と代えたのはまだしも、77分にサヴィオ→大久保、グスタフソン→原口と代えたのは残念ながら相当の悪手でした。中盤でボールを持てる選手がいなくなり、さらにはプレスもまた個々人バラバラの様相を呈し始めて浦和最終ラインは下がりがちに。

 試合後スコルジャはグスタフソンを代えたことについて「イエローカードが出ていて、少し疲れが見え始めるような時間帯でした。疲れている中で、遅れて相手に行って2枚目のイエローカードが出そうな場面を避けようと思いました。それが交代の理由です。」と説明していました。また大久保や松尾も長期離脱明けでコンディションが十分ではなく、選手交代で流れが悪くなったことは認めざるを得ないようです。

 そのため終盤は岡山のクロス攻撃を浴びがちになって、ATには右サイドから木村クロス→ルカオの決定的なヘッドを食らってしまいましたが、幸いにもシュートはぎりぎり枠を逸れて浦和がなんとか逃げ切り勝ち。

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《総評》

 とにもかくにも今季初勝利。ここまで2分2敗、しかも開幕戦から試合を重ねるごとに試合内容も低調になるという惨状からようやく抜け出して掴んだ初勝利。この試合はそれに尽きましょう。ボールを支配している割には決定機が少ないとか、終盤の選手交代が残念過ぎるとか、粗を探せばキリがありませんが、昨年13位で終わり、今季もスタートダッシュに失敗したチームが急に何もかもよくなる訳がありません。

 もはや常勝チームではないんだし、ましてや勝った試合の内容を問えるようなチームでもないんだから、たまに勝った時くらい提灯行列で踊り狂えばいいんじゃないかなぁ。「良かった探し」に注力する方が精神衛生上遥かに良いと思っています。

 「スタメン」の項でも少し触れましたが、スコルジャが岡山戦前の記者会見であれこれぶっちゃけているのが非常に面白くて、この試合はその答え合わせのような感覚で見ていました。

 スコルジャが柏戦後の会見で「まずは守備の安定」を言い出し、岡山戦前の記者会見で「ハイプレス継続宣言」をしたのはめっちゃ心強く感じました。質疑応答でちょっと誘導尋問っぽくなっていましたが、ショルツも酒井も明本もいないのにローブロック中心の守備をしても全然守り切れない上に、相手ゴールまでの距離が遠くなるだけ。そもそもスコルジャはビルドアップの仕込みが上手くはないのでその道は捨てて「もうハイプレスで行く!!」と腹を括ったのでしょう。

 スコルジャと言えば強固な守備ブロック形成が持ち味というイメージがこびりついていますが、それはACL決勝でどう見ても格上の相手に勝ち筋を見出す闘い方から生み出されたもの。長いリーグ戦で上位を狙う戦い方が違うのは当たり前で、スコルジャがここでブレない方針を打ち出したのは頼もしいのなんの。

 そして「出来もしないことを求めてしまった選手」をスタメンから外し、おまけに「求められた仕事がちゃんとできる選手」に対してプレスのやり方を変えたのがこの試合ではそれなりに奏功しました。ハイプレスがかかり始めると攻守の切り替えも速くなり、球際でも強度が出せるという好循環に。岡山に後半半ばまでは全く何もやらせなかったことを思えば「守備の安定」という目先の目標はクリアといって差支えないでしょう。そして「渡邊を失ってから最適なスタメンを探しあぐねている」問題はとりあえず解決。

 「選手に合わせてやり方を変える」点については安居とグスタフソンの左右の入れ替えが眼を惹きました。これが直接の原因がどうか判りませんが、結果として安居が前、グスタフソンが後ろになる場面が多く、この陣形から決勝点に繋がった安居の飛び出しが生まれました。グスタフソンも後方でビルドアップに寄与しまくりで広範囲にボールを配給して実に生き生き。

 スコルジャもグスタフソンを「私のサッカーに一生懸命合わせてくれようとしています。数か月前のサミュエルと本日のサミュエルを比較すると、特に守備でのパフォーマンスに大きな違いがあると思います。」とべた褒め。グスタフソンがボールホルダーにガッーっと強く寄せるタイプではないのをスコルジャも不満に感じていたのでしょう。そこを自分なりに修正できたグスタフソンはやはりたいしたもの。

 まぁボールを持たされた時の攻め手のしょぼさ=理不尽じゃないと点が入らないのは2023年と同じ課題ですし、「勝っている試合のクロージングが下手」なのはそもそもほとんど勝ってないんだから仕方ないような気もします。何もかもが一遍に良くなるわけがないので、今はとりあえず守備の安定に目途が付いたことを前向きに評価して小躍りしようと思います。

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《選手評等》

・今日も今日とてクソ主審。後方からのファウル、特にサンタナへのファウルは全く取らない。かと思えば割と軽めのファウルを取ったりする基準ブレまくり系で、サンタナがブチ切れてボールを地面に叩きつけ(当然イエロー)ていたのも心情としては十分理解できます。

・その反面、サンタナのオフサイドはバックスタンドから見ても「オフサイド臭くね?」と思ってゴールのアナウンスがあっても腰を上げなかったのですが、その割にオフサイドの判定にやたら時間がかかる始末。しかもハンドとか違ってオフサイドの映像は大型ビジョンには流れないので観客置いてきぼり感が半端ありません。

・松尾とユニフォームを交換してた岩渕は仙台大の同期だったのか!!!それにしても松尾は寒くなかったのかなぁ・・・とにかく3月とは思えない厳寒下での試合。帰りこそ雨になったものの、試合中に雪が降らなかったのは幸いでした。

 

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-----サンタナ-----
サヴィオ---松本---金子
---グスタフ--安居---
荻原-マリウス--ボザ-関根
-----西川-----

(得点)
49分 サンタナ

(交代)
63分 金子→松尾(松尾左SH、サヴィオ右SHへ)
77分 サヴィオ→大久保
77分 グスタフソン→原口(原口トップ下、松本CHへ)
90+1分 サンタナ→長倉


-----一美-----
--岩渕----江坂--
加藤-神谷--藤田-松本
-鈴木--田上--立田-
----ブローダセン----

(交代)
58分 一美→ルカオ
58分 岩渕→木村
66分 藤田→佐藤
80分 神谷→輪笠
80分 松本→嵯峨

 

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