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2025.04.17

【観戦記】25年第20節:浦和 2-1 京都 ~ 最適解を見出したスコルジャの反撃開始!!

 前回アウェー京都戦で「今季のチームの大黒柱」とスコルジャが考えていたであろう渡邊を削られてからしばらく浦和は迷走を余儀なくされましたが、ついにスコルジャは現有戦力の最適な組み合わせ、そして最適な運用方法を見出したようです。

《スタメン》

 浦和のCWC参戦に伴って前倒しで開催された第20節。浦和は前節町田戦から中二日だったので前節ベンチスタートだった松本のスタメン復帰等何名かスタメン入れ替えがあって当然と個人的には予想しました。

 ところがスコルジャの判断はなんとスタメンの変更なし!!おまけにベンチメンバーすら変更なく、「勝っているチームは弄らない」、いや弄らなさすぎるというものでした。

 一方京都は前節湘南戦から中3日と浦和よりは若干コンディション面で有利な立場にも関わらず、契約上浦和戦には出場できない宮本に代えてウィリアムを起用した他、福岡→ペドロ、平戸→米本、トゥーリオ→奥川とスタメン計4名を入れ替えました。

 この辺は当然試合後記者から質問があり、キジェ監督は「コンディションやフレッシュさを総合的に考えて」と答えていました。

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《試合展開》

 町田のようなロングボール主体に攻撃を組み立ててくるチーム相手にはかなり強いことが実証された感がある今季の浦和ですが、京都は典型的なハイプレス型。2月にアウェーで対戦した際には早い時間帯に渡邊がエリアスのラフプレーで負傷交代を余儀なくされてゲームプランが根底から覆ったこともあって、京都のハイプレスに抗しきれずに攻守ともいいところなく、相手の凡ミスに乗じて勝ち点1を持ち帰るのが精一杯でしたが、この試合ではその反省から十二分に京都対策を練った様子が伺われました。

 具体的には、守備面では清水戦辺りから垣間見られるように無闇やたらに敵陣深くまでプレスをかけに行くのを止めて、ミドルゾーンに守備ブロックを敷くことを基本しながらも、そこからメリハリをつけてプレスに出るようになったこと。

 攻撃面では浦和は無理にショートパスを繋ごうとせず、ロングボールを蹴りまくって京都の高い最終ライン裏を松尾が脅かし続けることで、京都のハイプレスを回避すると同時に京都の最終ラインを下げて守備ブロックを間延びさせる作戦を徹底しました。

 やたら走りまくるチームとやたら蹴りまくるチームの対戦になったので、ゲームはなかなか落ち着きませんでしたが、転機となったのが15分。サヴィオの縦パスで左サイドから松尾が裏抜け→ボックス内に突入した長沼のシュートが鈴木のハンドを誘発して御厨主審はいったんPKを宣告。しかしOFRの結果、PK取り消しに。

 ただ、この辺りから浦和が試合のペースを掴みだし、20分には西川のロングフィードをサヴィオがフリック→渡邊→松尾がシュートという町田戦の松尾ゴールと近似した良い形を作りましたが、松尾のシュートはやや力がなくてGK正面。

 そして24分サヴィオCKのこぼれ玉にいち早く反応した松尾のシュートがエリアス&太田の股を抜けてゴール!! これは偶然のゴールではなく、サヴィオCKを大外からスペースへ走り込んでくる松尾に合わせようという意図から生まれたように伺え、町田戦に続いて日頃のセットプレーの鍛錬が結実したものと言っていいでしょう。

 30分には右サイドから米本がどフリーでクロス→原がヘッドで落としたボールをエリアスシュートという決定機を作られてしまいましたが、ここは西川がセーブ。でもエリアスは石原を突き飛ばしてからシュートを撃っているんですなぁ・・・このファウルを取らない御厨主審に西川は激怒。

 とはいえ前半危なかったのはこの場面だけ。そこで京都は後半頭から佐藤→福田、米本→福岡の2枚替えを敢行。しかし浦和優勢の戦況は変わらず、48分金子が右サイドからカットインして枠内シュート。さらに48分グスタフソンが右サイドへ展開し、金子の折り返しにグスタフソン自ら飛び込むという珍しい形での決定機を作りましたが、角度が厳しくてシュートは僅かに枠外。

 劣勢を挽回したい京都はさらに54分間再三羽交い絞め芸を繰り出して、いつかは退場しそうだったペドロに替えて平戸を投入。そしてその直後福岡のスルーパスを契機に奥川→須貝と見事に左サイドから浦和守備陣を崩して最後はエリアスが同点弾。

 しかし浦和もすぐさま反撃。61分グスタフソンが安居とのパス交換を経て縦パス→渡邊の正面にはウィリアムがいましたが、その股を抜いたシュートがゴール右隅に決まって浦和があっさり京都を突き放しました。

 とはいえ、まだ残り時間が30分もあって中2日の浦和はここからが苦しむ羽目に。62分には渡邊→松本、金子→原口と渡邊のゴールが決まる直前に用意していた交代カードをそのまま切り、75分にはサヴィオ→関根、松尾→長倉と前目を全員代えて「やるべきことはやった」感を出したは良いものの、「代えれば代えるほど悪くなる」感も否めず、80分左サイドから須貝どフリーでクロス→アリエスがヘッドの決定機を作られてしまいましたが、幸いにも僅かに枠外。

 そこから5分ほど浦和はドン引きを余儀なくされて両サイドからクロス攻撃を喰らうしんどい時間帯、今季何度も繰り返された「終盤での失点パターン」に陥ってしまいましたが、そのクロスを守備陣が何とかヘッドで弾き返しまくって決定機は許さず。

 最後の最後はなぜか両チームがハイパントの蹴りあいになったのにはさすがに失笑を禁じえませんでした。時間を潰しながら陣地を回復したい浦和はともかく、なんて京都がハイパントを蹴っているのか訳が判りませんでしたが、そんな京都の失策にも助けられて浦和はなんとか逃げ切り勝ち。今季初めての連勝となりました。

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《総評》

 町田戦に続いて京都戦も良い内容で今季初の連勝。前回アウェー京都戦で「今季のチームの大黒柱」とスコルジャが考えていたであろう渡邊を削られてからしばらく浦和は迷走を余儀なくされましたが、ついにスコルジャは現有戦力の最適な組み合わせ、そして最適な運用方法を見出したようです。

 守っては盛んにハイプレスを仕掛けるも全くハマらずに空転しまくり。ようやくボールを奪い返してもビルドアップに困って仕方なくロングボールをサンタナ目掛けて放り込むもサンタナが全く収められないという、つい先日までの惨めな浦和の姿はどこへやら。サンタナの故障という偶然が生み出したかもしれない松尾の1トップ起用から全てが良いほうに転び始めました。

 極論すれば俊足の松尾が相手最終ライン裏を脅かしつづけて相手の守備ブロックを間延びさせることが全てを解決しているみたいな気も。補助線一本で全てを解決する幾何みたいなスコルジャ解法でした。

 町田ほどではありませんが、京都も3トップへのロングボールを多用しがちなチーム。そのロングボールに対して浦和は相手の守備ブロックが間延びして選手間の距離が浦和より長くなっているのを利用してセカンドボールの拾い合いで優位に立ちました。

 そして相手の網の目が緩んだことで個人技に長けるサヴィオやグスタフソンの力が一気に解放された感も。特に町田戦前の「スコルジャとの長談義」を経た後のグスタフソンの出来はそれまでとは完全に別人としかいいようがありません。相手が単騎でプレスに来たところで動じないどころかそれを逆用するかのような急所へのパスを連発。そしてそのグスタフソンの働きが前目の選手も「グスタフソンからボールが来る」ことを確信できるからこそ迷いなく走れるという良い流れを生んでいます。

 またこの試合は守備でも結構目立ちました。マリウスは当然ながらグスタフソンの長身が守備で活きるとは!!またこの試合も「スプリント回数は少ないのに総走行距離はチームNo.1」という「サボらないグスタフソン」らしいスタッツを叩き出しており、攻守両面でのグスタフソンの働きを数値面で裏付けています。

 松尾の1トップ起用は守備でも好循環を生んでいます。前述のように浦和は無闇やたらに敵陣深くまでプレスをかけに行くのを止めて、ミドルゾーンに守備ブロックを敷くことを基本しながらも、そこからメリハリをつけてプレスに出るようになっています。そして試合後の松尾の会見を読むと、そのメリハリをつけるスイッチャーを松尾が担っているのが効いているようです。この役割をサンタナは出来ないんでしょうなぁ・・・

 サンタナの悪口ばかりで恐縮ですが、ビハインドで終盤を迎えた時、あるいはそもそも浦和にボールを押し付けて引いて守るのを基本コンセプトとしているチームとの対戦となれば松尾が走るスペースがなくなるのは必定。そうなった時にサンタナが活躍してくれれば嬉しいかと。

 この試合の反省点はやはり最後ドン引きに陥ってしまったこと。スコルジャも「本日はアグレッシブなハイプレスが少し足りませんでした。もちろん、我々の狙いは町田戦のようにハイプレスをかけることですが、体力的な影響もあったと思います。」と、あえてドン引きで守った訳ではなく中2日から体力的に厳しくてやむを得ずドン引きになってしまったことを認めています。

 ただ問題は体力的には問題ないはずの途中投入の選手がイマイチなこと。特に両SH。それでも毎度毎度批判に晒されがちな原口がフィジカルの強さを活かしてそこそこ頑張っていたのに対し、関根は「やたら張り切って動き回って、本来の持ち場に穴をあけてしまう」愚を繰り返していたように伺えました。関根の空けた穴から須貝のクロス攻撃を浴びて同点に追いつかれていたら関根はもはやベンチ入りも難しくなっていたかと。そしてこの両SHを介護せざるを得ない松本が気の毒でなりませんでした。

 とはいえ福岡→町田→京都と続いた「パワハラ三連戦」は結局2勝1敗。おまけに試合中の怪我人は出なかったから上出来といっていいでしょう。負けた福岡戦もスコアレスドローが妥当な内容で悪くはありませんでしたし。この3連戦で現有戦力での最適な組み合わせとその活用法が判ったのはとにかく大収穫でした。

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《選手評等》

・狂人的ハイプレス&ファウルを厭わないアタック&ハイクロス攻撃と肉弾戦的要素てんこ盛りの相手に対して両SBが一歩も引かなかったのもこの試合の勝因に上げていいでしょう。もう「なんでこの両名が開幕時からスタメンではなかったのか?」と誰もが訝しくなるレベル。

・両SBとも守備は完璧な反面、攻撃には多くを期待できませんが、下手に攻撃参加してスペースを潰すよりも前のサヴィオや金子に好きなようにやらせたほうがマシなんでしょうなぁ。

・手を使うファウルに寛容すぎる御厨主審にはホトホト参りました。この傾向はなにも御厨主審に限った話ではなく、Jリーグ全体にその傾向が強いのが難儀なところ。CWCにJリーグの審判が選ばれない理由はそんなところから来ているのかも。

・「Jリーグの笛が変」なのはACL出場経験のあるチームならどこも判っているだと思いますが、京都には判らないでしょうなぁ・・・そしてその傾向を上手く利用して勝ち点を積み上げているようです。

・そんな御厨主審ですがが、微妙なプレーにPKの笛を吹いてからOFRに持って行ったのだけは良かったと思いました。PK臭いのが流されてVARも介入しない腹立たしさよりは全然マシ。

・またOFRではシュートが鈴木の腿に当たった後にさして広げてもいない手に当たっているように見えるので、PK取り消しも妥当でしょう。その前のシュート体勢に入った長沼を後方から須貝が削っているほうはどうなんだ?という気はしますが・・・

・この試合の埼スタはとにかく寒かった。昼間は長袖シャツだけで済むくらいの好天だったので、日没後の冷えに備えて厚めのパーカー一枚を念のため着こんで出かけたのですが、全然足りませんでした。もっとも「お寒い試合」ではなかったので、試合途中から寒さは気になりませんでしたが(苦笑)。

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-----松尾-----
サヴィオ---渡邊---金子
---グスタフ--安居---
長沼-マリウス--ボザ-石原
-----西川-----

(得点)
24分 松尾
61分 渡邊

(交代)
62分 渡邊→松本
62分 金子→原口
75分 サヴィオ→関根
75分 松尾→長倉

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原----エリアス---奥川
--ペドロ----米本--
-----川崎-----
佐藤-鈴木-ウィリアム--須貝
-----太田-----


(得点)

55分 エリアス

(交代)
HT 佐藤→福田(福田右SB、須貝左SBへ)
HT 米本→福岡(福岡アンカー、川崎IHへ)
54分 ペドロ→平戸
63分 奥川→トゥーリオ
75分 原→コスタ

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