【観戦記】25年第8節:浦和 2-1 清水 ~ ついに目先の勝ち点3を掴みにいったか・・・
試合後「王国浦和」と連呼するのも恥ずかしくなるような試合でしたが、それでも良い試合をしていたのに勝ち切れずに終わるより、内容は良くはなかったが勝った方が格段にマシでしょう。
《スタメン》
浦和は前節C大阪戦から中4日、清水は前節福岡戦から中3日と日程面では浦和が若干有利な一戦。
浦和は関根→石原、グスタフソン→渡邊、金子→松尾とスタメン3枚入れ替え。故障が癒えた渡邊が満を持してスタメンに復帰し、代わってグスタフソンがベンチスタートになるのは想定内でしたが、C大阪戦でいきなり先制点を奪われ、その後も相手に狙われ続けた関根がとうとうスタメン落ちし、ここまで出番がなかった石原が右SBでスタメン起用されたのが目を惹きました。
またこれまた故障明けでコンディションが上がってきた松尾がついにスタメン起用された一方、金子がいきなりベンチ外になったのは何がしかのアクシデントがあった模様。他にサブに長倉や早川が入った一方、中島がベンチ外。
清水は中3日を考慮したのか、前節福岡戦から北川→アフメドウ、乾→西原、松崎→中原と消耗が激しい前3枚を総入れ替え。
《試合展開》
浦和の布陣はいつもの4-2-3-1ながら左SHに松尾が入った関係でサヴィオが右SHへ転じた格好。
清水は相手に応じて3バックと4バックを使い分ける上に、攻撃時と守備時で布陣が変わりがちなので出方が判りづらかったのですが、どうも基本3-4-2-1でスタートした模様。そして守備時は5-2-3気味に。
ゲームはいきなり動き、4分右サイドでサヴィオのパスカットから渡邊がミドルシュートをぶち込んで早々と浦和先制。この場面、試合後サヴィオは「スタッフの分析の結果が生んだプレーだと思います。そのプレーを読んでパスカットをしました」と話しており、左CB住吉のフィードが往々にしてしょぼいのが念頭にあったのかもしれません。ただそれ以上にバイタルエリアで前を向いている渡邊への清水守備陣の寄せが甘すぎて、渡邊がまるでFKを蹴っているかのような感覚でスーペルゴラッソを決めてくれました。GK沖は一歩も動けず。
早々に先制して気楽になった浦和。この試合で驚いたのはとうとうスコルジャが何度トライしても空回りに終わり続けた前ハメを諦めてミドル~ローブロック主体の守備に転じたこと。手駒のバランスの問題はさておきオフに補強はそれなりにしてもらったのに勝ち点が全然伸びず、「今季も残留争い行きか」と囁かれる中でスコルジャはとうとう目先の勝ち点3を掴み取るべく、「スコルジャ2023」への回帰を決断したようです。
そんな浦和に対して清水はサイドチェンジを多用して両WB、特に右WB北爪を軸に攻勢を仕掛けてきましたが、松尾の奮戦もあって攻めの手数こそ多いもののこれといった決定機は作れず。
一方浦和のビルドアップは相変わらず悲惨。渡邊不在時はとりあえずグスタフソンに預けることでなんとか凌いできたつけが噴出した感がありあり。渡邉が盛んに、たまに安居が最終ラインに落ちてくるものの、それに何の意味があるのか判らないまま時間が徒過。まぁ勝っているので大過はありませんが・・・
当然ながら浦和のボールを奪う位置は深く、そして攻撃はカウンター主体となって18分自陣でボールを奪った松尾がそのまま左サイドを激走→松本の決定機を作りましたがシュートはバーの上。時折りロングボールによる清水最終ライン裏狙いも見せてはいましたが、これは全く奏功せず塩分高めながらも浦和1点リードで前半終了。
そこで清水は「ここから本気を出す」とばかりに後半頭から前3枚を一緒に入れ替え。特に乾投入は即効性があって、51分左サイドからカットインした乾のミドルシュートは西川の正面を突くも西川がキャッチできずにCKに逃れざるを得ない強烈なものでした。
一方浦和は松尾を前に上げて松本を左SHに配する4-4-2にして反撃。この布陣変更は試合後のスコルジャの会見によると「サンタナと佑介とサヴィオで前からプレスをかけにいきました。ボールを奪った瞬間、この3人を相手ゴールに最も近い位置に置きたかったからです。また、相手がダイアゴナルなロングボールを使っていましたのでそれに対応しようとしました」とのことでしたが、残念ながらこれは悪手だったとスコルジャも認めざるを得なかったようです。
ただ全くの悪手だったわけでもなく、59分松尾が右サイドでどフリーの石原へ展開→石原クロスが宇野に当たってディフレクトしたものの、左サイドに流れていたサヴィオがダイレクトボレーGKのニアをぶち抜いて2点目!! もうこんなゴールなんて大金叩いて獲得した選手じゃないと絶対無理。お金で取ったようなゴールだと思いますが、試合後のスコルジャは「サイドチェンジからのクロスという、狙っていた形から生まれたゴール」だと高く評価。
清水は相変わらず手数こそ多いもののこれといった決定機を作れていなかったので、2点リードなら浦和楽勝と思ったのですが、勝っている試合をクローズできないのが浦和の弱さ。ヘロヘロの選手を代えれば代えるほど悪くなるといういつものコースへまっしぐら。
故障明けの松尾や渡邊を90分使えないのは致し方ありませんが、代わって出てくる面子は守備に持ち味がない選手だらけ。特段使いべりしそうにない松本をいつもあっさり諦めてしまうのも謎ですし、トップ下に原口よりは遥かに守備に強みがある長倉を起用しないのも謎。
試合後の会見を読むと北爪対策として関根を左SHへ投入したのは失敗だったとスコルジャも認めているようですが・・・77分には関根が北爪を掴まえられず、そこから途中投入の松崎に決定機を作られてしまいましたし。
またやっと試合を落ち着かせられるグスタフソンが入ったのに周囲がグスタフソンを上手く使えずにやたらボールを蹴りだすのも謎。まぁグスタフソンも途中投入向きではないせいか、上手くゲームに入れていない嫌いがありましたが。
さらに髙橋はまだ故障中なのか、動けなくなったサンタナをセットプレーの守備要員として最後まで引っ張らざるをえない残念さ。これが響いて最終ラインを上げるに上げられなくなった浦和は終盤清水のクロス攻撃を浴び続けるテイタラクに。
78分西川の縦パスをグスタフソンが奪われたのを契機にショートカウンターを食らって乾に決定的なコントロールショットを放たれたものの、ここはゴールマウスをカバーしていたボザがヘッドでクリア!!そのまま完封勝ちしていれば後世に語り継がれそうなスーパークリアでしたが、その直後のCKを高木に叩き込まれて1点差に。CKキッカーは途中投入の矢なんとかに代わっていましたが、あれだけアホほどCKを与えていれば完封勝ちは難しかったでしょう。
その後も最終ラインを上げられずにドン引きに陥った浦和は清水のクロス攻撃を浴び続け、ATには左サイドからの乾クロスに荻原が被ってしまう大失態があったものの、松崎が絶好機を決められず。松崎の選択はシュートではなく横パスだったのが幸いして、自分で尻ぬぐいに走った荻原のカバーが辛うじて間に合った模様。そしてほうほうの体ながらも浦和がなんとか逃げ切り勝ち。
《総評》
DAZNのスタッツだとシュート数7対18(うち枠内5対13)、CK1対14。ゴール期待値にいたっては0.39対1.21と大差がついており、なんで浦和が勝ったのかさっぱり判らないスタッツがずらずらと並んでいます。浦和が好機に難しいシュートを二本決め、清水は好機を活かしきれずに一点止まりに終わった。端的に言えば選手のクォリティーの差がそのまま結果に表れた試合だったと思います。
スタッツが示す通り、勝ったとはいえ浦和の試合内容は褒められたものではありませんでした。試合後「王国浦和」と連呼するのも恥ずかしくなるような試合でしたが、それでも良い試合をしていたのに勝ち切れずに終わるより、内容は良くはなかったが勝った方が格段にマシ。
甚だ志が低い話で恐縮ですが、とりあえず勝ち点を稼いで残留争いに巻き込まれるのを回避しつつ、少しずつでも内容が伴ってくることを辛抱強く待つしかないでしょう、今のところは。もっとも中断期間明け後のC大阪戦の試合内容からすれはスコルジャに時間を与えてもたいして良くならないのでは?という疑惑がムクムクと沸き起こっているのも否めませんが・・・
それにしても開幕後8試合目にしてとうとうスコルジャが今季の戦術的な目標の一つ=ハイライン&ハイプレスでボール奪取位置を高くすることを放棄したのには驚きました。昨年の珍妙な再招聘の過程が過程なので、スタートダッシュに失敗したスコルジャの首が早くも涼しくなっているとは思えないのですが、それでもスコルジャへの風当たりは結構きつくなっているのかもしれません。
そして「スコルジャ2023」仕様へいったん回帰し、攻撃面での寄与よりも守備面での課題がでかすぎて割に合わない関根右SBをついに諦めました。ただ酒井・ショルツ・明本の離脱により最終ラインの面子が2023年より劣化しているのが響いてドン引きのまま完封勝ち出来ないのも確か。2点目が取れないと安定して勝つのは難しく、「スコルジャ2023」仕様へ回帰したところで2023年ほど勝ち点は積み上げられないでしょう。まぁ個人的にはトップハーフでフィニッシュすれば合格と思っているので、「スコルジャ2023」仕様への回帰は特段不満はありませんが。
また渡邊のスタメン復帰自体は慶事ながら、渡邊がいる時いない時、あるいはグスタフソンがいる時いない時で、「お前らは551の蓬莱がある時ない時か!!」と思えるくらいチームのあり方が変わってしまうのも非常に難儀。沖縄キャンプで仕込んでいた渡邊を軸としたチームが渡邊負傷離脱で瓦解し、代わってグスタフソンを軸に据えたチームを模索し始めたものの形にならないまま渡邊が復帰して振り出しに戻った感じ。この試合は渡邊が下がってグスタフソンが投入された途端、チームが自壊し始めたように伺えましたが・・・
「試合展開」でも再三触れたように、スコルジャの選手交代も謎だらけ。危うく同点に追いつかれそうになったこの惨状を見て、スコルジャに見切りをつけられる選手がまた出てきても不思議はないと思いますが・・・
《選手評等》
・今季初出場かついきなりスタメン起用された石原は100点満点の出来。守備は完璧で、途中投入の左WBカピシャーバも封殺し、最後は雄たけびを上げながらカピシャーバを挑発(苦笑)。攻撃面では多くを期待できないと思っていたら、事実上のアシストを記録するのだからとにかく石原右SBスタメン起用は大当たりでした。
・ボザのスーパークリアに至った一連のプレー。グスタフソンのボールロストが直接の契機なのは間違いありませんが、そもそも自陣でのFKで荻原がマリウスへアバウトすぎるバックパスをしたのがきっかけになっていているせいか、スーパークリアの直後に石原が荻原をめっちゃ怒っているのが目を惹きました。
・サヴィオも浦和移籍後初ゴール。初ゴールは実に難易度の高いもので、これでこそ大金叩いて浦和に来ていただいた甲斐があったというもの。動きすぎてその裏を突かれがちという難点は抱えているので、スコルジャはその難点を解消すべく「スコルジャ2023」へ回帰したのかもしれません。この試合サヴィオは1ゴール1アシストとやっと結果を出したせいか、実に機嫌よくプレーしていました。なんかマルシオ以来の「悩みがちなブラジル人」という気がしていたのでこれでひと安心。
・トスン獲得話が流れると共にサンタナのパフォーマンスが劣化というか元の木阿弥に。鹿島戦の出色の出来はなんだったのか・・・そしてカルロスはまだ別メニューのままなのか・・・
・最後に超決定機を決められなかった松崎。浦和でも好機を外しに外した結果、浦和にはいられなくなったんだよなぁ・・・もっとも松崎は能力的にもの足りなかっただけで、赤者で松崎を嫌いな方はあんまりいないでしょう。その点矢なんとかは別格。矢なんとかのCKで1点取られた上に、松崎の同点ゴールで追いつかれた日には埼スタ大荒れだったでしょうが、そういう最悪の事態は辛うじて免れました。
-----サンタナ-----
松尾---松本---サヴィオ
---安居--渡邊---
荻原-マリウス--ボザ-石原
-----西川-----
(得点)
4分 渡邊
59分 サヴィオ
(交代)
72分 松尾→グスタフソン
72分 サヴィオ→関根
77分 松本→大久保
77分 渡邊→原口
90+6分 荻原→長沼
-----アフメドウ----
--西原----中原--
吉田-ブエノ--宇野-北爪
-住吉--高橋--高木-
-----沖------
(得点)
79分 高木
(交代)
HT アフメドフ→北川
HT 中原→松崎
HT 西原→乾
60分 吉田→カピシャーバ
72分 宇野→矢島
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