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2025.05.25

【DAZN観戦記】25年第18節:名古屋 2-1 浦和 ~ ターンオーバーは実らず

 浦和が大量失点で負けていても何の不思議もない試合内容だったので結果は妥当。浦和の選手層の薄さ、特に最終ラインは全く代えが効かないことが明るみになった試合でした。

《スタメン》

 浦和は前節から中2日なのに対し、名古屋は幸か不幸かルヴァン杯を早々と敗退していたので週央に試合がなく、日程面では名古屋がかなり有利な一戦。

 浦和は過密日程を勘案して、前節から髙橋→松尾、関根→原口、中島→サヴィオ、金子→大久保、安居→グスタフソン、ボザ→井上、石原→荻原と大胆にもスタメン7名を入れ替え。

 松尾、サヴィオ、大久保、荻原は前節川崎戦ではベンチスタート、グスタフソンに至っては完全休養だったのでここでのスタメン起用は想定内でした。

 しかし、全く代えが効かないと思われた安居と石原をついにスタメンから外しただけでなく、前節終了間際に頭を蹴られた石原は完全休養にした上に、ボザまでベンチスタートにして井上をスタメン起用したのには心底驚きました。

 試合後のスコルジャの弁によると超過密日程を受けて「フィジカル的なところを考えますと、この時期はどうしても怪我を避けなければいけない状況」なので、こんな大胆なターンオーバーを敢行せざるを得なかったようです。

 名古屋は山岸→ユンカーの入れ替えのみ。ユンカーは故障&コンディション不良が祟って今季ほとんど試合に出ていなかったので、ここでのスタメン起用はサプライズでした。

Nagoya2025001

《試合展開》

 3分左サイドからサヴィオFKが直接決まったかと思われましたが、FKに反応した井上がオフサイドでゴールならず。

 その後は一方的な名古屋ペース。名古屋はいつも通り前からマンツーマン気味にハメに来ましたが、浦和はビルドアップしようにも受け手が常に掴まっている状態なのでロクにビルドアップできず。グスタフソンがいるので地上戦でのビルドアップには問題ないだろうと戦前予想したのですが、ずっと相手に絡まれているグスタフソンのプレーに冴えは感じられず、個人技で相手を剥がすような場面はあまり見受けられませんでした。

 やむなくロングボールで前ハメを回避しようにもはっきりとしたターゲットがいないので全くボールは前に進まず。正確には原口をターゲットにしようとしているようでしたが、この日の西川のキック精度はなぜか劣悪であさっての方向へボールが飛んでしまいがちで、やっと原口のほうへ飛んだかと思えば原口は簡単に競り負けるという塩梅でした。

 名古屋もビルドアップにみるべきものはないので、浦和は前からハメにいった様子でしたが、相当お疲れなのかプレス強度が全然なくて中途半端に前に出て自分の体力を削ってしまうだけに。それでも名古屋はボールを奪ったら早めに前線へ蹴るだけという単純極まりない攻撃を続けていましたが(ボザ不在が祟って浦和両CBにスピードがないのでそこを狙われたか?)、ここでコンディションの差が出てしまってセカンドボールを悉く名古屋が回収し、浦和を自陣に押し込む展開に。

 試合は一方的な名古屋ペースとはいえ、名古屋はシュート数こそ多いものの浦和守備陣はそのほとんどをブロックしていたので、危なかったのは35分井上のビルドアップのミスからカウンターを食らい、最後はユンカーにシュートを撃たれた場面くらい。前半終了間際にはユンカースルーパス→和泉のゴールが決まったかと思いきや、ここは和泉がオフサイド。

 やられそうでやられない浦和っぽい試合という言い方も出来ましょうが、前半の浦和のチャンスらしいチャンスは28分松尾が右サイドからカットインして放ったシュートだけ。そして前半の浦和のシュートはそれ1本っきり。

 あんまりな前半の惨状を見て、スコルジャは大久保→金子、原口→渡邊、松本→安居と3枚替え。金子はともかく、安居と渡邊の投入について試合後スコルジャは「本来であれば2人ともさいたまに残して休ませてあげたかったのですが、それもできませんでした。出場するにしても、より短い時間を想定していたのですが、本日はハーフタイムで少しリスクを冒す判断を私が下しました。」と苦渋に満ちた決断だったことを明かしていました。

 48分左WB徳元→ファーで和泉の超決定機を許してしまいましたが、幸いにもシュートは枠外。

 その大ピンチを運良く凌いだ浦和は3枚替えの甲斐あってビルドアップがスムーズになり、名古屋を自陣に押し込んだところで51分金子クロスに渡邊ヘッドという、この試合初めての決定機をいきなり決めて劣勢の浦和が先制!!!

 ターゲットになりうる金子を入れてロングボール攻撃を織り交ぜられるようになったせいか、前半よりは浦和はボールを前に進められるようになりましたが、それでもやはり劣勢は免れず、62分には徳元クロス→ファーで中山シュートと48分の大ピンチと同じような形で決定機を作られてしまいました。

 スコルジャが67分サヴィオに代えて関根を投入。これについてスコルジャは試合後「関根の場合は、フレッシュな状態のウイングを入れることによって、ハイプレスをかけ続けることが狙いでした。」と語っていましたが、要するに再三やられている左サイドの守備の手当てが主眼だったかと。

 しかし同じタイミングで名古屋は和泉→永井、ユンカー→山岸と代えて2トップへ変更。これが効いて80分にはマリウスのバックパスを永井に奪われる大失態。この大ピンチは中山のシュートが大きく枠を逸れて事なきを得ましたが、これが契機になって浦和守備陣は混乱に陥り(永井に対してうっかりスライディングで飛び込んでしまったグスタフソンがこけながら足をバタバタさせているのがその象徴・・・)、81分渡邊がボックス内で原の足を踏んだファウルを取られてPK。83分稲垣がPKをゴールど真ん中に決めて同点。

 85分には縦パス一本で鈍足の井上の裏を永井に突かれてGKと一対一の大ピンチを迎えましたが、ここは西川がどっしりと構えて、とにかくシュートが下手な永井が撃つタイミングを失わせてなんとかセーブ。

 スコルジャは88分松尾に代えて長倉を入れて勝ち点3を狙いに行きましたが名古屋の攻勢は止まらず、90+3分長沼のヘディングクリアが直接永井に渡ってしまったのを契機に永井に逆転ゴールを決められて試合終了。

 長沼が無理にクリアせずにそのまま見送るなり、ヘッドで西川へ戻すなりしていれば何の問題もなかったはずですが、長沼は頭が疲れていたのでしょう。またボールを拾った永井にいきなり撃たれた訳ではなく、永井→山岸→永井と崩してからのシュートでしたが、頭数では優位だった浦和守備陣の対応も疑問符付きまくりでした。特に井上。

 最後の長倉投入については「幹樹を入れたときも、DFを1枚増やすかFWを代えるかというところでストライカーを選びました。」とスコルジャも迷ったようですが、残念ながらその判断は凶でした。

 それにしても永井にやられるとクソむかつくなぁ、なんでか知らんけど・・・

Nagoya2025003

《総評》

 公式記録ではシュート数24対3。DAZNのスタッツだとシュート数30対4、うち枠内15対2。ゴール期待値4.02対0.22と笑えるくらい大差がつきましたから、逆転負けという悔しい形にはなりましたが、結果は順当でしょう。

 むしろこれだけスタッツに大差がついているにも関わらず最終スコアが2-1でしかない辺りがアホほどあった決定機を決められない名古屋の弱さの表れなのかもしれませんし、なんだかんだと粘り強い浦和の強さなのかもしれません。

 最終スコアはともかく、内容的にここまでボコボコにされてしまった以上、7人もの大胆なターンオーバーは大失敗だったと言わざるを得ません。川崎戦では前目を中心に6人も入れ替えて、それ自体は一定の成果を収めましたが、この試合では最終ラインにまで手をつけたのが完全に仇になってしまいました。ボザをベンチスタートにし、石原を休ませて長沼を右SBに回し、空いた左SBに荻原を起用。ここまで弄るのはさすがに無理があったようです。

 また安居をついにベンチスタートにして松本を起用しましたが、松本とグスタフソンの組み合わせは練習でほとんどやっていないのか、お世辞にも機能したとは言い難い惨状でした。

 とはいえ、ターンオーバーせずに選手を無理使いして、スコルジャが危惧するような怪我人を出してしまったら元も子もありません。本来であれば大胆にターンオーバーなんてやらずに、日頃からちびちび選手を入れ替えて選手の出場時間をコントロールしながら長いシーズンを過ごすのが最善でしょう。

 ただ両SBやCHは如何せん層が薄くて「ちびちび入れ替え」なんてやりたくても出来ず、そもそも選手を入れ替えてもそれなりに機能するほど成熟したチームでもなかったので、今季のスコルジャはある程度スタメン固定で闘わざるを得ませんでした。

 選手層の薄さ=兵站の弱さは指揮官や兵士の奮闘ではカバーできない。長いシーズンを闘うには兵站が弱いとどうにもならない。それを痛感せざるを得ない惨敗でした。まもなくCWC向けに特別に設けられた移籍期間が開きますが、堀之内SDはどうするのかなぁ??

Nagoya2025002


《選手評等》

・ACLE組やCWCに参戦する浦和は超過密日程を強いられているのですが、それはそもそもJ1を20チームにも増やしたがため。前節長谷部監督が超過密日程について会見であからさまに不満を漏らしていましたが、スコルジャがそれをいうと罰金なり出場停止処分を受けかねないので表向きは黙っているのかなぁ・・・

・超久しぶりに出場機会を得たにもかかわらず全く良い所がなく、チームの足を引っ張り続けた井上。CBの控えが弱いのも顕著でしたが、JリーグでもトップクラスのCBマリウスとボザが揃っているところにそんなに優秀なCBなんて来ないでしょうなぁ・・・ショルツとマリウスがいたところに来たのが井上なので・・・

・そしてこれまた久しぶりのスタメンでの出場機会を得た原口も良いところなし。これでは柴戸やサンタナが戻ってきたらベンチ入りすら難しくなるかと。

・Jリーグでもトップクラスにヤバいと思しき池内主審ですが、事前の期待値が著しく低いせいか、この試合のお裁きは意外にも悪くありませんでした。原へのファウル=PKを取るなら、その前の松尾へのファウル=PKも取るべきだろう!!という不満があるくらいで、Jリーグの主審にありがちな珍妙なファウル見逃しはなかったかと。

Nagoya2025004


-----松尾-----
原口---サヴィオ--大久保
---グスタフ--松本---
荻原-マリウス--井上-長沼
-----西川-----

(得点)
51分 渡邊

(交代)
HT 松本→安居
HT 原口→渡邊
HT 大久保→金子
67分 サヴィオ→関根
88分 松尾→長倉


-----山岸-----
--マテウス----和泉--
徳元-椎橋--稲垣-中山
-佐藤--三國--原--
-----ピサノ----

(得点)
83分 稲垣(PK)
90+3分 永井

(交代)
67分 ユンカー→山岸
67分 和泉→永井
78分 佐藤→河面
78分 椎橋→森島
90+5分 マテウス→菊地


※写真は試合とは全く関係ありません。

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