浦和2014年総括(4・終)
(浦和2014年総括(3)から続く)
前2稿では「得点力不足」を引き起こした要因についてだらだらと書き連ねてきましたが、それ以外の浦和失速の要因にも言及して、締めくくりとします。但し、一年を通じてのリーグ戦ですから、下記(ウ)のような最後の三試合を左右した要因にやたらスポットを当てても、来年に通じる普遍的な材料は出てこないと思うので、ここは半ば余談として。
(ア)控え層の薄さ=ターンオーバーがとんでもなく下手
リーグ戦は怪我人でも出ない限りスタメン固定。しかも交代選手もほぼパターン化されていて、原口離脱後はいつものスタメン+梅崎・マルシオ・関根・青木でずっと回していたように思います。ただ今年は幸か不幸かナビスコ杯&天皇杯とも早期に敗退したため、前2年のようにスタメン総員ヘロヘロ状態でリーグ終盤を迎える羽目にはならず、スタメン固定自体は今年の浦和失速の主因ではないと思います。
しかし、アウェーゴール差で広島に敗れたナビスコ杯はともかく、天皇杯3回戦で群馬に敗れたのはどう考えても大失態と言わざるを得ません。そしてその大失態の主因は「スタメンほぼ全とっかえ」という極端なターンオーバーだと考えます。確かに厳しいスケジュールで、相手を見てメンバーを入れ替えるのは妥当だと思いますが、こんな極端なやり方ではチーム全体が機能するわけがありませんし、久しぶりに出場機会を得た選手も活きようがありません。
また天皇杯の大失態のみならず、浦和はとにかく過密日程に弱い。週半ばに試合があって7~8日間で3試合あるような場合は下位チーム相手でもしょっちゅ取りこぼす。2試合ともスコアレスドローに終わった甲府戦とか、カカウの一発に沈んだアウェーC大阪戦とか。
リーグ戦終盤、ナビスコ杯&天皇杯掛け持ちで浦和よりはるかに厳しい日程を強いられたG大阪はこの辺上手くやりくりしており、その結果3冠に手が届こうかという位置にまで上り詰めました。
ミシャはなんで年間スケジュール全体を睨んで、リーグ戦・カップ戦を問わずちびちびと選手を入れ替えながら選手層を厚くし、過密日程に耐えうるチームを作ろうとしないのでしょうか。
(イ)だだ余りの外国人枠
これは浦和の財政状況が判らない以上、あんまり文句を言っても仕方がない点だと思いますが、何だかんだと言っても外国人選手の出来不出来に成績が左右されがちなのがJリーグ。
パトリックを補強したG大阪は攻撃力が劇的に向上し、中断前は降格圏にいたはずなのにリーグ後半一気に勝ち点を伸ばして優勝。パトリックは川崎や甲府では結果が出なかった選手でそれほど年棒が高いとも思えず、まさに組み合わせの妙なんでしょうが、当たりは当たり。
一方、浦和は原口離脱後も補強に動かず、長期離脱明けのマルシオも全く調子が上がらないままに終わりました。
今年は無観客試合処分を喰らった以上、ホイホイと金を出せる余裕はなかったのかもしれませんが、正直外国人選手の出来の差で優勝に手が届かなかったようにも思います。
(ウ)ロマン主義と浪速節と
もともと攻めダルマ志向だったミシャが、今年はその考えを改めて守備にバランスをシフトさせたのは先に述べた通り。また2試合ともスコアレスに終わった甲府戦が典型だったと思いますが、終盤無理に勝ちに行ってすべてを失うよりは無理せず勝ち点1を確保しに行ったように見える試合もあって、この辺はミシャの成長だと思いました。
ただなんでその現実主義をホームG大阪戦で貫けなかったのか。ミシャの本質であるロマン主義がちょっと顔を覗かせた=色気を出して勝ちに行ったのが仇になった無念極まりない試合でした。
さらにG大阪戦では骨折したばかりの興梠を途中出場させて骨折を悪化させただけに終わり、最後の名古屋戦では不整脈との診断が下って前2試合ベンチにも入れなかった啓太を途中出場させて、その啓太の失策で敗れてしまうといった、結果論ではなくそもそも論として厳しく問い正されるべき迷采配が目立ちました。
ミシャは1年間ずっと一緒に闘ってきた主力選手の「なんとかして、少しでもチームの役に立ちたい」という思いに応えたかったのかもしれません。そんな家族的なところ、浪花節的なところがミシャの魅力であり、ミシャをを慕ってわらわら選手が集まってくる所以なのでしょうが、これまたそれが命取りになってしまいました。
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