2017.07.21

【展望】17年第22節C大阪戦

・8/15にスルガ銀行チャンピオンシップが開催される関係で、前倒しで開催される第22節。大半のJ1勢が2週間休んでいる一方、浦和にとってサマーブレイクとはまさに名ばかりで毎週末試合がやってきます。

(成績)

・第18節終了時点で勝ち点38(11勝5分2敗)の堂々首位。ぶっちぎりの成績でJ1昇格を決めたクラブが翌年J1でその勢いのままに優勝争いしている例はいつくもありますが、プレーオフ経由でなんとか昇格したに過ぎないクラブが翌年優勝争いするなんて前代未聞。というか、昨年フツーにJ1で通用しそうな選手層を抱えていながら、プレーオフに滑り込むのがやっとだったのが実に不思議で、それはいったい誰のせいなのか?

・昨年のC大阪は終盤運動量が激減してボコボコ点を取られていましたが、今季はそんな様子は微塵もなし。ユン・ジョンファン監督がキャンプで選手達に生駒山を走らせていた(但し妄想)のに対し、大熊前監督はたぶん天保山で済ませていたのだろうと思われるくらいの差。

・選手層の厚さは普段の控え選手主体で戦っているルヴァン杯の成績に反映されていて、B組を2位通過。プレーオフ第1戦では札幌をアウェーで2-0と一蹴しているので、ノックアウトステージ進出も間違いないでしょう。

(戦力)

・好成績のためか、あるいは春に清武獲得で金を使い果たしてしまったせいか、夏の移籍期間に目立った動きはありません。

・ただせっかく採った清武が故障してしまったのでまたしても浦和戦には出場できず。今のところ清武の穴は水沼がしっかり埋めていて穴は感じられませんが、そもそも今年の清武は故障がちで稼働率が低く、同じく春に採ったCBヨニッチと比べると補強としてはハズレの部類といっていいのかも。

・また清武以外に主力で故障者はいない模様。

・リーグ戦はほぼスタメン固定(序盤スタメンだった関口の出番が激減しているのが目に付くくらい)ですが、ルヴァン杯は控え選手主体でやり過ごし、ACLもないので実に気楽なもの。

(戦術)

・前回第2節で対戦した際には、日程面でC大阪がはるかに有利だったにも関わらず攻守とも全く良いところなし。やはりプレーオフ昇格組だけあってとんでもなく弱いと思ったのですが、直近2試合を見た感じではその頃の面影は全くなく、前回対戦時の経験・イメージは何の役にも立ちません。

・C大阪再建のキーマンはなんと言ってもトップ下山村でしょう。もともとボランチないしCBが本職の山村をトップ下にコンバートしたユン監督の慧眼には恐れ入りました。山村は前回対戦時も終盤トップ下で出て来て挙動不審な動きを繰り返してましたが、第3節からスタメンに定着。

・前回対戦時には長身だが特にハイボールに強いわけではなく、浦和にいたら間違いなく「杉ツァ」と呼ばれていたであろう杉本にC大阪は性懲りもなくロングボールを放り込んでことごとく遠藤に封じられていましたが、山村が前線に入ったことでロングボールの収めどころが出来たのが実にでかい。また杉本は足元のボールならそれなりに収めてくれるので、山村or杉本にボールが収まったのを機にC大阪は攻撃に思い切って人数をかけてきます。

・また山村は思いの外シュートも巧くて既に7得点。マークの外し方なんて実にFWっぽい!

・攻撃がサイドからのクロス攻撃に偏重しているのは相変わらず。盛んに攻撃参加してくるSBからのクロスが決め手で、相手最終ラインを下げてフリーになったSBからバンバンクロスを入れてきます。ただハイクロスで長身の杉本&山村がターゲットとは限らず、逆サイドから地上戦に長ける柿谷が突っ込んでくることもあれば、相手最終ラインが下がりすぎたところにソウザがミドルシュートをかます場合もあるとフィッシュにいたるパターンは結構多彩。

・またセットプレーも強い。CBヨニッチが4得点、CB山下が2得点。こういうのは鳥栖時代からめっちゃ練習してそう。

・フォーメーションは基本4-2-3-1で、守備時4-4-2リトリート主体。CBヨニッチ&山下にボランチ山口&ソウザと揃う中央が実に堅い。またそれ以外の選手もユン監督のチームらしく実によく走る。柿谷ですら全くサボらない。というか、柿谷は守備でヘロヘロになって、得意の「ひとりでできた!」的な得点場面が激減しています。

・おまけに終盤リードすると山村をCBに下げて5-4-1でカウンター狙いに転じる念の入れよう。終盤苦し紛れにCBを前線に上げてパワープレーに転じる例はよくありますが、前線の選手を途中で最後尾に下げる例はそうそうありません。

・C大阪は別に特殊な戦術、斬新な戦術を駆使しているわけではありませんが、全員が良く走り、攻守の切り替えが早く、しかも戦況に応じて何をなすべきか、どこでリスクをかけるべきかチーム内で意思統一が良く出来ている実に良いチームです。

(浦和の対応)

・李が長期離脱を余儀なくされている以外は、これといった怪我人はおらず。新潟戦が出場停止だった遠藤が戻って那須と入れ替わる以外は、新潟戦と同様の布陣・スタメンで臨むものを目されます。ドルトムント戦では興梠トップ下&ラファエルシャドーを試行しましたが、あれはミシャなりのドルトムント対策だった模様。守備が緩慢なラファエルがシャドーに回ったことで浦和左サイドに穴が飽きがちだったのも確かで、恒常化するとは思えず。

・前述のようにC大阪の攻撃のキーマンは山村なので、ここをどう抑えるかが肝。実際直近2試合でFC東京も柏も山村を巧く消している時間帯はC大阪も攻撃の形が出来ずに苦戦していました。

・首位C大阪の勝ち点差は9。ここで負けると、いや引き分けで終わってもリーグ優勝は絶望的になってしまいます。もっとも今の浦和はそんな遠い先の目標よりも目の前の一戦一戦をとにかく勝ち抜いてゆくしかない状況に追い込まれていると思いますが。

・C大阪戦とは直接関係ありませんが、浦和は夏の補強をどの程度真面目に考えているのでしょうか? 今年のここまでの戦績をミシャは今年限りになってもなんら不思議はなく、来年は監督が代わっていることを視野に入れながら、どう見ても頭数が足りない&ベテラン選手だらけのDFを外国人選手で埋めて然るべきだと思います。フロントがイリッチの大失敗で「羹に懲りて膾を吹く」状態に陥っているのは想像に難くありませんが。

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<前節:C大阪 2-1 柏>

-----杉本-----
柿谷---山村---水沼
---ソウザ--山口---
丸橋-山下--ヨニッチ-松田
-----ジンヒョン----

(得点)
61分 杉本
70分 ソウザ

(交代)
61分 松田→田中
61分 柿谷→澤上
90+2分 ソウザ→秋山

<前回:浦和 3-1 C大阪>

---杉本--柿谷---
関口--------丸岡
---ソウザ--山口---
丸橋-山下--ヨニッチ-松田
-----丹野-----

59分 マテイ ヨニッチ:ソウザCK→ニアでヨニッチがヘッド

(交代)
61分 関口→清原(清原が右SH、丸岡は左SHへ)
73分 丸岡→山村
85分 松田→田中

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2017.07.16

【雑感】Jリーグワールドチャレンジ2017:浦和 2-3 ボルシア・ドルトムント

・浦和にしてみればJリーグに無理やり組まされ、せっかくのサマーブレイクを台無しにされたとんだ「迷惑マッチ」。しかもチーム状態はドン底に近く、この試合に対する監督&選手のモチベーションは決して高くはなかったであろうと思われた割には、決してお恥ずかしい試合内容ではありませんでした。またラファエルシャドーとか遠藤右CBとか長澤ボランチとか、後半戦へ向けてミシャなりに然るべきテストの場としてこの一戦を活用できただけでも有意義だったと言っていいでしょう。

002

・浦和の得点はなんと共にCKから。得点機どころか相手の絶好のカウンターのチャンスでしかない浦和のCKから2点も取られるなんて、さすが「スゴイやつら」(苦笑)。興梠が上手く前に入った1点目はまだしも、遠藤をどフリーにした2点目なんてまるで新潟レベルw

・また当然ながらドルトムントはミシャスタイルと対戦するのは初めてで、かつその対策なんて全くやらなかった(後半3バックに変えたもののあまり効果なし)ので浦和の高く張り出したWB、さらにはそこへのワイドな展開には少々面食らった模様。37分遠藤→宇賀神→ラファエルの絶好機を筆頭に、58分西川→関根、61分遠藤→武藤ヘッド等両サイドからチャンスを量産していましたが、結局流れの中からは得点できず。

・要するに浦和のWBにフリーでボールを持たれてもシュートコースを塞いでディレイすればさほど問題はないと見切られたっぽい気がしました。Jリーグでも半ばサイドは捨てて割り切って中を固めてくる相手に苦戦するのと同じような構図。

・懸案の守備も64分に2度目の大規模な選手交代を敢行するまで、そんなに悪くはなかったと思います。相手がコンディション最悪かつ監督代わったばかりという条件があったとしても、下手をこぐと一発でやられることを念頭に置いて守備重視で入ったのは良かったと思いました。序盤一方的に自陣に押し込められ、なんとかボールを奪っても満足にビルドアップさせてもらえない苦しい時間帯が続きましたが、そこをよく粘り強く凌ぎきりました。というか、毎回これでやれっちゅーねん!!!!

ただ失点あるいはピンチに陥った場面を取り上げれば見慣れた光景だらけなのは残念。浦和が迂闊に飛び込んで交わされるのと、中盤から不意にドリブルで仕掛けられるとなすすべなくバイタルエリアまで運ばれてしまうのはJリーグでも良くある光景で、これを個人レベルが格段に上の相手にやられるとどうしようもない。

・76分の失点は浦和左サイドからモルのカットインを許したもの。なんかこの前柏@広島にやられたのとそっくり。最後に1対1で振り切られる槙野というのはもはや見慣れた光景ですが、その前の高木がなすすべなく見送るほうが罪深いかと。9番のモルって全然知らん選手でしたが、こいつだけはヤバかった。シュールレがマシなくらいで、オバメヤンとか怪我明けのゲッツェとか何の見せ場もない選手もゴロゴロしている中、モルだけはぶっちぎりにヤバかった。

・79分の失点もモルがドリブルでスルスルとピッチ中央を持ち上がったのが契機。フリーでボールを受けたモルに慌てて槙野が飛び込んであっさり交わされたのが致命傷。モルのドリブル進出で浦和守備陣はパニックに陥ってしまい、人数はいるのにマークがあいまいなままに。そして最後はまたしてもモルがどフリーというこれまた見慣れた光景。

・最後はモルからハイボールを遠藤がクリアしきれず、あろうことか背後のシュールレに渡ってしまうという惨事。遠藤はここまで上々の出来だったはずですが・・・

019

・冒頭述べたように、この試合は「やらされ感」が強くて浦和のコアなファン層には極めて評判が悪く、普段は試合開始前に日陰で休んでいる人が多いコンコース下もガラガラ。しかもチケット完売にも関わらず、試合開始30分前になっても空席が目立ってどうなることやらと思いましたが、単に出足が遅かっただけで結局58000強の大入りに。

・出足が遅いのは専ら赤者。そりゃ赤者のほうが黄者よりはるかに近くから来てるのでしょうし、このクソ暑いのに早くから行く気にならんのは道理。言い換えれば昔と比べて赤者のスタジアム滞在時間は短くなっているような。

・逆に遠来の方が多いであろう黄者は割と早くからスタジアム入りしていたせいか、これが結構目立ちました。しかも黄者は若年層が実に多い。Jリーグがものの見事に取り込みに失敗してる層だと考えると真に残念というかなんというか。

・とはいえ、色合い的に黄色が目立つけれども、メイン&バックともアッパーはかなり赤者だった印象。たぶん黄者はスタジアム全体合わせて1/4もいなかったかも。要するに普段来ない赤者が結構来ていたような気がしました。コアな赤者には人気薄だった試合だが、ライト層には思いの外関心が高かったのでしょう。一見どうでも良さげな親善試合に赤者がわらわら来るっちゅーのは、古参サポから見れば豪華メンバーだらけの啓太引退試合が案外売れないことの裏返しなんだろうなぁ、これまた残念ながら。

017

-----興梠-----
--ラファエル----武藤--
宇賀神-阿部-柏木-関根
-槙野--遠藤--森脇-
-----西川-----

(得点)
24分 興梠
76分 モル
79分 モル
85分 遠藤
88分 シュルレ

(交代)
HT 森脇→那須(遠藤が右CBへ)
HT 興梠→ズラタン
HT 宇賀神→駒井(関根が左WBへ)
64分 ラファエル シルバ→高木 俊幸
64分 武藤→矢島
64分 阿部→長澤
64分 関根→梅崎

・総員ヘロヘロ状態にも関わらず、浦和のスタメンはなんと全員レギュラー陣。7人まで交代できるからでしょうけど、水曜日の天皇杯を本来の熊本ではなくわざわざ駒場開催にしてもらった手前、あからさまな手抜きはできなかったのでしょうなぁ・・・黒い約束。

・メインアッパーからの観戦でしたが、バックアッパーと違ってメインはエスカレーターがなく、階段で上がるしかないとは知らんかった(つД`)

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2017.07.13

【観戦記】第97回天皇杯3回戦:浦和 1-0 熊本 ~ くまモンは来なかった(´・ω・`)ショボーン

・しょっぱい試合内容ながら勝つには勝った新潟戦から中2日。週末には限りなく花試合みたいなものとはいえ一応ドルトムント戦が中2日で控えており、それがなくてもレギュラー陣はおしなべてヘロヘロ&ヨレヨレといった状態なので、ミシャは2回戦盛岡戦に引き続いて新潟からスタメン全選手入れ替えという極端すぎるターンオーバーを敢行。ただ新潟戦でたまたま遠藤が出場停止だったので、今回は遠藤がいる分盛岡戦よりはマシな面子かな?といったところ。

・そして、これまたしょっぱい試合内容で、「勝てばよかろう!!!」感満載ながらきっちり結果を残して無事4回戦進出。ただ相手の熊本も相当な駒落ちで駒場にやってきたようで、正直盛岡より弱かった印象を受けました。盛岡のように終盤運動量が落ちて急激に失速しないあたりはカテゴリーの違いなのかなと思いましたが、熊本は攻撃面がほぼ絶望的だったような。4/16のFC東京戦以来、ほぼ3ヶ月ぶりの完封勝ちでしたが、どこまで喜んでいいのやら。

・また控え選手の底上げという観点でも盛岡戦に続いて長澤が最近コンスタントにベンチ入りしているだけのことはあるという出来を見せてくれたのと、後半投入されたオナイウに微かか光明を見いだせたくらい。スタメンの遠藤や後半投入の武藤といったレギュラー陣と基本ベンチスタートの選手のパフォーマンスには雲泥の差があり、さらにベンチにも入れない選手はやはりそれ相応の理由がある。ミシャの選手選考に納得せざるを得ない試合でした。

002

・熊本は浦和と同じ3-4-2-1のフォーメーションで、最終ラインをかなり押し上げて前から圧力をかけてきました。浦和は盛岡戦よりも若干ビルドアップはマシになったとはいえ、如何せん前3人が「とにかく収まらない3兄弟」と化していたので縦パスを入れてもほとんど意味がありませんでした。

・ミラーゲームなのでサイドで1対1を作って局面打開を図っても良さそうなのですが、これまたシャドーとWB、WBとCBの連携が良くないせいか序盤は全く形にならず。30分過ぎくらいからようやく右サイドが形になりはじめ、駒井のドリブルが効き始めたかな?といった程度。しかし、クロスは誰にも合わず。

・熊本の最終ラインが結構高いので遠藤や長澤から縦ポンでその裏を狙わせる攻撃も随分見られましたが、これがどういうわけか前線のズラタン、高木、菊池といった面子にズバッと通るどころか悉くボールが伸びてそのままゴールラインを割ってしまう始末。強風が吹いているわけでもないのに、受け手も出し手も修正が効かないとはどうしたものか?

・結局前半はカウンターで高木クロス→ズラタンヘッドの決定機を作っただけでそのまま試合終了の気配濃厚でしたが、終了間際に高木直接FKが炸裂。無回転で急激に落ちるボールゆえGKは如何ともしがたし。

・とはいえ、しょっぱい内容に変わりはないので、ミシャは盛岡戦に続いて前半だけで菊池に見切りをつけて武藤を投入し、梅崎を左WBへ。ボールの引き出しが上手い武藤投入は一定の効果があり、それなりにボールが収まるので駒井はもちろん、長澤も活発に攻撃参加しだしてにわかに右サイドが活性化。ズラタンも得意の裏抜けの動きを見せはじめました。そして56分ズラタン、59分武藤に惜しい場面がありましたが追加点ならず。

・さらに66分ズラタン→オナイウ、72分矢島→宇賀神とミシャはわずか1点差なのにまたしても延長戦に突入する可能性をまるで考えずに交代枠を使い切り、矢島が交代直前にGKが弾いたボールをミドル、さらにATに武藤→オナイウのシュートがポストを叩く決定機を作ったものの、やはり追加点は取れず。

・熊本の攻撃は非常にしょぼくてシュート数はたった2本。また決定機は前後半1回ずつ。前半は菊池が裏を取られたものの田村がかろうじてカバー。後半は左サイドでのボールロストを機にカウンターを喰らったもので、クロスが飛び込んできた選手にわずかに合わずに安堵。1トップのグスタボといい後半投入のモルベッキといい、遠藤に全く歯が立たず。遠藤は新潟戦のお休みで若干コンディションが回復したのかな?

・結局くまモンの駒場降臨はなし。くまモンがこの試合最大の見どころだったはずなんだがなぁ・・・くまモンどころか馬すら来なかった。その点愛媛のミカン軍団は凄かったということか・・・

003

-----ズラタン-----
--高木----梅崎--
菊池-青木--矢島-駒井
-田村--遠藤--長澤-
-----榎本-----

(得点)45+2分 高木

(交代)
HT 菊池→武藤(梅崎が左WBへ)
66分 ズラタン→オナイウ
72分 矢島→宇賀神(長澤がボランチへ)

・この試合もチーム事情で右CBでスタートした長澤は急激にミシャスタイルのCB像を掴みつつある模様。相手が相手なのでそもそも守れるのか?という問題は残るにせよ。本意でないポジションをやらされても、そこで何をなすべきかを理解してそれなりの仕事がこなせるようになるって原口といい長澤といい海外経験者はやっぱなんか違うのかも。選手は試合に出てナンボ。自分の得意なスタイルに固執しすぎて出番を失う選手と比べれば、その差は歴然。

・また長澤は途中でボランチに転じましたが、ボランチとしての能力はどう見ても長澤>>矢島。これならつぶしが効く長澤のほうがベンチに入りやすいのも道理。長澤は相手に絡まれても前を向いてパスを出せるけど、矢島はそれが苦手みたいですぐ安易にバックパスしてしまう。攻撃時4-1-5の”1”は集中砲火を浴びやすいポジションなだけに、これではきつい。

・案外面白かったのがオナイウ。ハイボールには結構競り勝つし、裏抜けの意識も高く、ATのポスト直撃が決まっていれば万々歳だったのが、そうは上手くはゆかず。また如何せんコンビネーションが出来ていないので往々にして競り勝った後が続かなかった。とはいえ、李の長期離脱でベンチ入りの機会が巡ってきたオナイウには終盤破れかぶれっぽい切り札として使えそうな気配がチラチラと。

・試合終了後の高木のインタビューは自虐テイスト全開。あの一発がなかったら菊池共々前半でお役御免だったかもしれん。でも危機感を持っているだけマシか。李不在のチャンスを掴まないとオナイウに抜かれてしまいかねないだけに。

・田村はフツーのCBとしてみれば案外頼もしくて、前半唯一のピンチ(菊池が裏を取られる)では最後の最後でなんとか防ぎ、終盤は淡々とハイボールを跳ね返していました。後者の性能って浦和の今のCB陣には案外ないだけに。ただ後半唯一のピンチ、50分に左サイドを破られた場面で高い位置でスライディングして交わされたのは全く持っていただけない。

・今日一番アカンかったのは菊池で、案の定前半でお役御免。守備がアカンのを気に病んでか、攻撃面の積極性が失われ、しかもそんな安全運転でも1回きっちり裏を取られて全く良いところなし。完全にドツボに嵌ってしまいました。シャドーで良いところがなく終わった梅崎が左WBでは一定の働きをしただけに、菊池の立ち位置はかなり辛い。

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2017.07.10

【観戦記】17年第18節:浦和 2-1 新潟 ~ 終わってみれば勝ったのは浦和という新潟戦ならでの予定調和

・川崎戦惨敗後、サポーターとのやり取りの中でミシャが「売り言葉に買い言葉」みたいな調子で「新潟戦に勝ち(続く天皇杯も)連勝できなければ、私が一番最初にここから出て行く」と言い放ってしまったため、妙なプレッシャーがかかってしまった一戦。不格好かつ不細工な試合内容ながらなんとか新潟に逆転勝ち。終わってみれば浦和はカウンターに脆く、新潟はセットプレーでの失点と終盤の失点がやたら多いという両チームのスタッツ通りの試合でした。

・この勝利でとりあえずミシャの進退問題はいったん静まるのでしょう。それこそ負けていたら浦和に激震が走り、チームが崩壊しかねない一戦でしたから、個人的にはたとえ内容はしょぼくても勝ったことを率直に評価し、凱歌をもって称えたいと思いました。17位相手でも18位相手でも終盤やっとこさうっちゃり勝ちできる程度なのが今の浦和の実力。「優勝がー」なんて遠い遠い先の目標を見据えるような状態・状況ではなく、目の前の一戦一戦をとにかく勝って行くしかないでしょうに。

003

・とはいえ、双方しょっぱい試合だったことは否めません。試合内容は残留争いしているもの同士のそれだったといっても差し支えないくらい。新潟は基本リトリート主体で、主に左SH鈴木が関根に連れて最終ラインに入る5-4-1で守っている時間が長く、さらに右SH矢野すら宇賀神に連れて最終ラインに入って6バック意味になる時間帯さえあったかと思います。思い出したように山崎や両SHが前から追ってきますが、いずれも単発でほとんど意味なし。

・呂比須監督なりに浦和対策を練ったつもりなのかもしれませんが、序盤はこれが全く機能せず。浦和は盛んに両サイドから攻撃を仕掛け、9分には那須→関根→武藤、13分には槙野→宇賀神→ラファエルヘッドと決定機。このどちらかを決めていれば浦和楽勝だったでしょうが、決まらないのが今の浦和。

・新潟は小泉&加藤の両ボランチが結構厄介で浦和が縦パスを入れてきたところ、あるいは柏木が後ろを向いたところでボール奪取のチャンスとばかりに急激に詰め寄ってカウンターを狙いに来ました。浦和はそれを嫌ってますます攻撃がサイド偏重になり、33分興梠クロス→ラファエルDF裏へ飛び出し、34分宇賀神→興梠角度のないところからシュートと形を作るものの依然得点ならず。

・新潟の守備が徐々に安定してきたところで、35分ついにカウンターが炸裂。というか、浦和がCKからカウンターを喰らうのはもはやお約束と化していて、なんでこれが修正されないのか不思議でなりません。失点場面も最後は西川のパンチングが相手に当たった不運による面もありますが、そもそもカウンターを喰らってからの戻りが遅くて一瞬2対3の数的不利を作られている時点でアウト。次いで宇賀神がクリアしきれないという残念さ。

・勝てないチームというのは得てしてこんなもん。それまで新潟にはほとんど何もやらせていなかったのに、やっぱりどこかでボロを出してしっかりやられてしまう。そして浦和はここから40分超にわたって呻吟し続ける羽目に。

・一方的にボールを支配しているものの、5-4-1でドン引きの新潟に中央を固められ、その中央を細かいパス回しで打開しようとするも連携がうまく取れず、細かいミスも相次いで決定機どころかシュートすら撃てず。57分武藤→駒井で関根をシャドーに配し、右サイドをドリブラー祭りで打開しようと試みるもこれまたたいした効果なし。

・試合の流れは先制を許した後の鳥栖戦とそっくりだったかと。ただ浦和にとって幸いだったのは新潟はただただ守っているだけで有効なカウンターを繰り出すだけの力がなかったこと。深い位置でボールを奪ったらひたすら山崎に蹴りだすだけ。もっとも浦和DF陣は山崎に裏を取られたら一巻の終わりで、那須や阿部がなんとか防いで相次いでイエローをもらってしまうくらいだったので、新潟の山崎縦ポン祭りも全く無意味だったわけではありませんが。

・とはいえ、流れの中からはおよそ点が入る気がしませんでしたが、決め手になったのはセットプレー。74分柏木CKからの流れで、森脇ミドルシュートの跳ね返りを阿部が蹴り込んでなんとか同点。走らされ続けて新潟はだんだん寄せが甘くなり、ミドルを喰らいがちになったのかも。さらに79分柏木CK→ラファエルヘッドはいったん守田が弾いたものの、こぼれ玉に素早く反応したラファエルが自ら押し込んで逆転。

・攻撃はカウンター頼みでしかない新潟は浦和が前がかりにならない限り打つ手なし。しかも試合を通じて新潟はほぼ一方的にボールを回され続けたためか日程面・コンディション面での優位も雲散霧消、逆転された後はほとんど足が残っていませんでした。これならリードした後の試合運びがとにかく下手な浦和といえども楽々逃げ切り。しょっぱい内容で、しかもしんどい内容ながら、終わってみれば勝ったのは浦和といういつもの新潟戦でした。

001

-----ラファエル-----
--興梠----武藤--
宇賀神-阿部-柏木-関根
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----

(得点)
74分 阿部
79分 ラファエル

(交代)
57分 武藤→駒井(関根がシャドーへ)
75分 宇賀神→高木(関根が左WBへ)
84分 ラファエル→オナイウ(興梠が1トップへ)

・川崎戦の惨敗から中3日。ミシャはかなりスタメンを弄ってくるかなと思いましたが、蓋を開けてみれば出場停止の遠藤→那須以外は駒井→武藤の入れ替えだけ。

・李が長期離脱を強いられ、ズラタンも小破したのでやむを得ない選択なのかもしれませんが、興梠の出来は見るも無残で、ボールの奪いどころとして狙われていた感すらあり、しかも困ったことにロストした後で全力でボールを取り返しに行かない。こんな状態の興梠を90分使ったのは正直謎。

・前三人でのコンビネーションが上手く行かない時に、個人での打開能力に乏しい武藤が一番割を食いがちですが、ラファエルはもちろん今の興梠よりもはるかに守備の計算が立ち、前がかりになりがちな浦和の攻守のバランスをかろうじて保ってくれそうな武藤を真っ先に下げるのは実に不思議。興梠→駒井で宇賀神との連携が良い武藤を左シャドーに回したほうが良かった気がします。

・素人SHのはずの鈴木を関根&駒井の2枚看板でぶち抜く発想は悪くなかったと思いますが、小破を抱えたままの駒井は依然キレがなくて不発。

・同点に追いついた直後にアタッカー祭りの主役になるべく投入された高木、そして最後は運動量補充の意味合いで投入されたオナイウ。李やズラタンがベンチ外になったことでようやく出番が回ってきました両選手ですが、とにもかくにも下手を打つことはなかった。最低限何をやるべきかはちゃんと判っていた。そんなところをミシャはちゃんと見ていると思う。今は与えられた場所、与えられた時間で一つ一つ実績を積み上げ、信頼を勝ちとるしかない。頑張れ!!

002

-----山崎-----
鈴木---ガジャルド-矢野
---加藤--小泉---
堀米-ソン--西村--原
-----守田-----

(得点)
35分 小泉

(交代)
77分 山崎→成岡
84分 ガリャルド→端山
90分 鈴木→達也

・新潟のシュートはたった4本。これで勝てというのはさすがに酷。先制後のゴール裏はお祭り騒ぎだったように見受けられましたが、またしても最後はお約束の結末に。

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2017.07.08

【展望】17年第18節新潟戦

・負けても負けても否応なく試合はやってきます。もう目の前の相手を一人一人ぶっ倒してゆくしかないのです。「パンツァーフォー!」なのです(錯乱)。

(成績)

・リーグ戦をちょうど半分終えた時点で勝ち点8(2勝2分13敗)で最下位。15位札幌との勝ち点差は7なのでまだまだ挽回の余地は残っているようにも見受けられますが、残留ラインが昨年のように30とかなり低くても、残り17節で勝ち点22を稼がないといけない(現時点の神戸や仙台並み)と考えるとハードルは非常に高いような気もします。

・昨年J3長野の監督だった三浦文丈氏を招聘したものの、ものの見事に失敗して新潟には珍しく第10節を終えた時点で早々と監督交代を決断。しかし新たに招聘した監督がなんと呂比須。呂比須は既にG大阪で大失敗しただけでなく、ブラジルに戻ってからも短期間でクラブを転々としており、経歴から見れば監督としてとても成功しているとは言えません。しかも新潟には縁もゆかりもない呂比須をなんでわざわざ招聘したのか、傍目には実に不可解。

・第11節浦和戦のみ片渕監督代行を挟んで、第12節から呂比須新監督が指揮を執りましたが、その後の成績はなんと1勝5敗。就任直後に札幌に勝っただけでその後5連敗。しかも負けた試合は全て複数失点で、得点は1点取れるかどうかという悲惨な内容。これまでの呂比須の経歴を見ればさもありなんという結果に終わっています。

・渋谷(大宮)とか森保(広島)とか、どう見ても呂比須よりはマシだろうと思われるJ1監督経験者がゾロゾロとフリーになったので、新潟はもう一回監督を代えるような気がしてなりません。特に森保は過去新潟でコーチ経験があって、呂比須よりははるかに縁深いですし。

(戦力)

・新潟は監督交代&成績低迷を受けて夏の移籍期間でそれなりに動いており、まずFWタンキ(メキシコ2部)とCB大武(名古屋)を獲得。但し、共に登録が7月21日なので浦和戦には間に合わず。

・一方主力に故障者が出ていてGK大谷とCB大野が離脱中。共にリーグ戦序盤は脆弱な守備をなんとか支える役割を担っていただけに、この両選手の離脱は痛手。共に穴埋めに苦労しているようでGKは守田と川浪を併用。CBは富澤を起用していましたが、前節はなぜかベンチ外。

・達也も依然故障中なのか、第4節以降全てベンチ外。

・また運の悪いことに新潟の攻撃の牽引役(決定力は期待できないにせよ)だったFWホニが浦和戦は出場停止。

・監督交代に伴ってスタメンの顔触れにも変化が見られ、左SBに堀米が定着。リーグ戦序盤は左SBだった原が右SBに回り、矢野が右SHに押し出された格好。1トップなのでFW鈴木は基本ベンチスタートに。ボランチは小泉の相方に難儀した挙句、加藤で落ち着いた模様。

(戦術)

・フォーメーションは三浦時代の4-2-2-2から4-2-3-1に変更。攻撃はカウンター一本槍でスピードのある山崎とホニを徹底的に活かす算段。両SHにはどういうわけか一貫してFWタイプを置いています(もはや矢野がFWなのかという問題はさておき)。ポゼッションはほぼ捨てているも同然で、最終ラインから、あるいはガジャルドを経由していきなり縦にポーンと蹴って山崎なりSHなりを走らせる場面が目立ちます。バス数、クロス数ともJ1最低レベルの一方、ドリブル数だけは上位レベルとスタッツにも新潟の傾向がくっきり。

・なにぶんリーグ戦総得点がここまでわずか11と興梠一人分にも満たず、呂比須監督就任後の6試合でも3点と全く結果は出ていませんが、決定機も少ないというわけではなく、FW陣がとにかく外しまくってのこの惨状。もっとも選手個人の能力以前にエリア内で相手を崩しきるような形を作れないので、焦って無理にシュートを撃って惜しいけれども決まらないといったほうが的確かも。

・浦和戦はホニが出場停止なので、CFに鈴木、SHに山崎といった配置になるかもしれません。ロングボールから前線で矢野や鈴木に基点を作られて、山崎に突っ込まれると結構厄介そう。

・守備もリトリート主体。もっと呂比須監督の思惑としては高い位置でボールを奪いたいようで、山崎がせっせと最前線で入り回っていますが、トップ下のガジャルドの守備がややいい加減なためか、ほとんど徒労に終わっている気も。また最終ラインの強度不足は如何ともしがたく、遠くへ弾き返せない、あるいはもう一歩足が出ないという感じで点を取られています。前節磐田戦はSBが本職ではない原の裏を結構狙われていました。

・セットプレーに弱いのも相変わらず。

・またボールを保持して休む時間帯を作れないせいか、終盤に運動量が落ちてボコボコにされる傾向がある模様。ここまでの総失点37のうち11失点が75分以降に記録されています。

(浦和の対応)

・前回はリーグ戦&ACLと3連敗、しかも全部ウノゼロ。さらに前節鹿島戦で森脇がくそくだらない言い争いの過程で相手を侮辱したとやらで2試合の出場停止を喰らい、まさに泣きっ面にハチのチーム状態での対戦でしたが、今回も川崎戦で惨敗。おまけにミシャが「新潟戦に勝ち(続く天皇杯も)連勝できなければ、私が一番最初にここから出て行く」と言い放ってしまう顛末までついて、まさに崖っぷち状態での対戦になってしまいました。

・今回は遠藤が出場停止。代わりに間違いなく那須が入ると思いますが、那須は高い最終ラインを保つのが遠藤ほど得意ではないので、前目の選手があまり前から突っかけると中盤が間延びしてしまいがち。那須は縦パス一本で裏を取られた際の対応にも難があるので、チームとしてどのような格好でボールを奪いに行くのかしっかり意識統一しておかないといけません。もっとも今の遠藤の状態だと、遠藤が那須に代わったところで大差はないような気がしますが。

・また新潟は週央に試合がなかった一方、浦和は川崎戦から中3日と日程面で浦和は不利。従って遠藤以外にもスタメンの入れ替えを考えざるを得ないでしょう。中3日でなくても槙野や興梠などどう見てもコンディション不良としか思えない選手がゴロゴロしているだけに、少々戦術理解が怪しかろうがコンディションの良い選手を優先して使って個人能力で押し切って苦境を凌ぐべきかと。

・といっても、前節エドゥアルドの悪質なファウルを受けて負傷退場した李は結局長期離脱を余儀なくされ、さらに前節謎のベンチ外となったズラタンのコンディションも整わないようなら比較的余裕があった前目すら駒が怪しくなってきます。こうなると天皇杯でさっぱりだった高木なり矢島なりの奮起に期待したいところ。

・相手は徹底したカウンター狙い。しかも「点は取れていないが決定機自体はそれなりにある」ので、一歩間違えれば広島戦のようにほとんど点が取れていなかった相手にまさかの大量得点を与えてしまう展開になりかねません。必要以上に前がかりになった挙句に攻めきれずにカウンターを喰らう、あるいはCKでリスクをかけすぎてカウンターを喰らうといった今年の浦和お決まりのパターンで失点を重ねるようだとミシャの首が飛んでもなんら不思議はないかと。それがより悲惨な結果を招こうとも。

----------------------------------
<前節:新潟 0-2 磐田>

-----山崎-----
ホニ---ガジャルド-矢野
---加藤--小泉---
堀米-ソン--西村--原
-----守田-----

63分 ホニ→鈴木
75分 ガジャルド→成岡
83分 山崎→端山

<前回:新潟 1-6 浦和>

---鈴木--山崎---
加藤------ガジャルド
---フランク--小泉---
ソン-大野--富澤-川口
-----大谷-----

55分 ロメロ フランク→堀米(堀米が左WB、加藤がボランチで完全に5-4-1化)
64分 鈴木→ホニ
76分 チアゴ ガリャルド→成岡

・片渕監督代行は前回対戦時同様基本4-4-2ながら、守備時にはSH加藤を一枚下げて5-4-1となる浦和対策を敷いてきました。しかし、これがまるで機能せず。

・そして新潟にとって致命傷になったのはセットプレーでの失態の数々。浦和ってセットプレーからの得点が少なく、特に「浦和CKは相手のカウンターの絶好機」という噂すらまことしやかに囁かれるくらいの惨状なのに、浦和にセットプレーで3点も取られるってどんだけ新潟は酷いのか。

・ところが前半だけで大差がついた試合なのに浦和は試合を落ち着かせられず、終盤なぜか殴り合いモードに突入。

・今にして思えば、この試合も相手が弱くて助かっただけで「リードしている状態での試合運びの拙さ」ははっきりと露呈しており、その後ほとんど修正されずに今日の惨状に。

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2017.07.06

【DAZN観戦記】17年第13節:川崎 4-1 浦和 ~ 生兵法は大怪我の基、そして崩壊。

・謎のフォーメーション変更。そしてこれがほとんど機能せず、前半だけで2失点。後半いつもの形に戻して息を吹き返し、1点返したところまでは良かったものの遠藤のPK献上&一発退場で万事休す。意外にもシュート数は浦和のほうが多く、ボール支配率も互角でしたが、より決定的な場面を数多く作っていたのは明らかに川崎のほうで実力差がしっかりとスコアに表れた試合でした。

・それにしても不可解なフォーメーション変更でした。前日練習で4バックらしきことをやっていると報じられていましたが、前節広島戦からわずか中3日で準備期間がほとんどなかったにも関わらず4バックを実戦採用するとは!! 過去ミシャスタイルに対応すべく、わざわざ相手が普段の形を捨てることはよくありました(仙台が典型)が、ミシャが自分の形を崩すことはほとんどなかっただけに心底驚きました。

・もっともミシャが4バックを試行したのはこれが初めてではなく、過去何回か「なんちゃって4-1-4-1(=攻撃時は左右のCBがワイドに開いてSBっぽい動きをし、阿部が最終ラインに落ちるいつものパターンだが、守備時に5バックにならない)」をやったことがあります。ただそれは槙野や那須の不在によるCBの駒不足への対応という側面もあり、またいつもの3-4-2-1の変形とも取れる形でした。

・ところが今回の4-3-1-2はいつのも形との連続性が全く感じられない不可思議なもの。特に両SHの困惑ぶりが顕著で、ボランチ経験のある駒井はまだしも、関根はいつものワイドなポジションとあまりに勝手が違うようで、ピッチ中央を彷徨い続けて45分が終わった感じさえしました。無為に過ごした前半45分。これがこの試合の敗因でしょう。

・ミシャの試合後コメントによると川崎の流動的な前4人を4バック&阿部の5人で掴まえに行く算段だったようですが、1失点目なんて結局阿部も小林も掴まえられずに失点。宇賀神が上がってきたエウシーニョを見ている間、浦和左サイドに流れてきた阿部の監視がルーズになった時点で守備構想は破綻。パスコースすら消せずにCB間にボールを通され、遠藤も槙野もこれまた小林に簡単にターンを許して失点。付け焼刃はいきなり刃こぼれ。

・思い付きの域を出ないフォーメーション変更の弊害は守備より攻撃面により強く表れたように見受けられました。なにせビルドアップが上手く行かない。いちいち指差し確認しながらボールを止まっている選手の足元から足元へボールを運んでいるようなもの。しかも川崎が4-4-2の形で阿部&中村を先頭にきっちり前からプレッシャーをかけてくることもあり、ビルドアップに苦しむ浦和は結局のところ2トップへポーンと蹴ってしまうこともしばしば。

・2失点目は稚拙なビルドアップから生じたようなもの。興梠のフリック失敗から大島→中村→阿部と中央でボールを素早く運ばれて失点。中村には寄せきれず、またしてもCB間にパスを通されて遠藤も槙野も何もできず。まぁこれは今年の浦和にありがちな形ですが。

・前半も半ばを過ぎるとあまりにもボールが回ってこないことに業を煮やしたのか、柏木が普段のポジションまで下がってくる始末で、この時点で4-3-1-2は決定的に破たんしたと思います。ボール支配率こそ浦和が上でしたが安全地帯でボールをぐるぐる回していただけで、リードしている川崎は縦へのパスコースさえ切っていれば何の問題もなし。

・但し、前半の川崎も案外パスミスが多くて出来がさほど良かったわけではなく、浦和もミドルレンジからシュートを散発。35分関根スルーパス→興梠の決定機がありましたが、興梠のシュートが緩くてGKソンリョン難なくセーブ。

・さすがにミシャもこのフォーメーションのままでは点が取れそうにないことに気づいたようで、後半頭から宇賀神→武藤でいつもの3-4-2-1に変更。これが実に現金というか霊験あらたかというか、ビルドアップが見違えるようにスムーズに。パススピードといい、選手の動きだしといい、前半比で倍速になった感さえありました。

・といっても浦和の攻撃は右サイド偏重。駒井を軸に何度も攻撃を仕掛けましたが、駒井の対面の車屋が手強く、しかも途中から左SHに移った阿部が守備に加勢しだしたこともあって、結局駒井は対面をぶち抜けず。駒井がボールを後ろへ戻し、そこから森脇なり柏木なりからのクロスで川崎の狭い最終ラインの裏を武藤や興梠に狙わせる形が目立ったかと。53分駒井の速いクロスをソンリョンが弾き、それをエリア内でラファエルが拾った場面が浦和最大の好機でしたが、ラファエルのシュートは体勢を立て直したソンリョンが好セーブ。

・前半よりは明らかに浦和が良くなったとはいえ、なにせ2点ビハインド。絶えず前がかり気味でカウンターを喰らいやすい体質ゆえ、66分ネット→小林→ネット、71分にはネット→小林とスカスカの中盤を使われて決定機を作られてしまいました。

・それでも73分柏木CK→槙野ヘッドで1点返し、ドローで終えられる目がちょっと出てきたかな?と思ったところで遠藤がエリア内で小林を倒してPK献上&一発退場。川崎ゴールキック→長谷川(?)が森脇に競り勝つ→こぼれ玉が小林に流れるという一連の流れで遠藤の小林への対応が遅れたのが致命傷。エリア内でボールにチャレンジせずに単に小林を倒す形になっているので一発レッドは当然。浦和が掴みかかった流れをこのプレーでぶち壊す形となり、小林自らPKを決めて事実上試合終了。

・数的不利にも拘らず浦和は果敢に攻めに出ましたが、案の定カウンターを喰らって3対3を作られ、バイタルエリアから長谷川にぶち込まれて4失点目。阿部が長谷川に必死に食らいついているものの、あと一歩届かないのが非常に物悲しい。

・ミシャはもともと戦術にバリエーションがある監督ではなく、ひらすら一つの形の精度を上げることで好成績を上げてきた監督。ただ精度の高いプレーができる人材が常に限定的なのが弱点。それでも変に弄って惨敗するよりは、いつのもやり方でいつものように負けたほうがまだ納得感があっただろうに。ただただ残念な試合でした。

--興梠---ラファエル---
-----柏木-----
-関根--阿部--駒井-
宇賀神-槙野-遠藤-森脇
-----西川-----

(得点)
73分 槙野 智章

(交代)
HT 宇賀神→武藤(3-4-2-1へ戻す)
67分 ラファエル→李(興梠1トップへ)
88分 李→青木(負傷交代)

・宇賀神が故障から復帰し、前節広島戦から那須→宇賀神、武藤→ラファエルと2名入れ替え。

・ラファエルはもともと守備が緩慢な上に、どうも「俺が俺が」と言わんばかりに球離れが悪くなって相手に潰される場面が目立っています。故障前の鹿島戦あたりからどうもおかしいような気がしてなりません。また興梠はこの日も絶不調。この日の興梠が放つシュートは悉く力がありませんでしたし、ボールを失った後の戻りも目に見えて遅くなっています。

・一方、前節起死回生のゴールを決めたズラタンがベンチ外だったのはなんとも不可思議。2トップならその一角がズラタンでも何の問題もなさそうな気がしますが。

・使い詰めの遠藤と槙野のコンディションはもはやドン底で肝心なところではほとんどアテにならない状態かと。。遠藤は次節出場停止になってしまいましたが、現状なら痛手でも何でもなく、良い休養の機会だと思います。

-----阿部-----
登里---中村---小林
----ネット--大島---
車屋-エドゥ--谷口-エウシー
-----ソンリョン-----

(得点)
16分 小林
29分 阿部
82分 小林(PK)
84分 長谷川

HT 登里→長谷川(負傷交代)
76分 中村→家長
88分 車屋→田坂

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2017.07.05

【展望】17年第13節川崎戦

・次節はACLの関係で順延されていた第13節川崎戦。川崎もACL組かつベスト8まで勝ち残っているので、浦和と日程条件は全く同じ。アウェーゲームですが至近距離なので移動によるハンデもほとんどありません。既にACL準々決勝で川崎との対戦が決まっており、どーせならルヴァン杯でもいきなり対戦して「川崎戦だらけの2017年夏」にすれば良いのに(苦笑)。

(成績)

・2012年から5シーズン指揮を取ったものの結局何のタイトルも取れずに終わった風間監督をとうとう諦めて、鬼木コーチが内部昇格しての初年。勝ち点29(8勝5分3敗)の暫定6位。今年の川崎の最大の特徴は失点が少ないことで、総失点14は伝統的に守備が堅いというか塩試合上等の横浜Mと全く同じリーグ1位。その代わり得点もさほど多くなく、スタッツ上は柏や鹿島同様「競り合いに強い」チームに芸風が一変しています。

・今年序盤は怪我人が非常に多く、コンスタントに試合に出ているのはGKチョン・ソンリョン、CB谷口、WB車屋、CHエドゥアルド・ネット、CH中村、FW小林くらい。CBエドゥアルドやWBエウシーニョが長期離脱していた他、入れ替わり立ち代わり怪我人が出たため、鬼木監督もスタメン構成上苦労が多かったと思います。

・従って、過去の成績は今年の川崎の実力を推し量るにはあまり役に立たないかもしれません。第15節広島戦からエウシーニョが戻って、ようやく主力が全員戦列復帰した模様なので、真価はこれからといってもいいでしょう。

・怪我人が多発したにもかかわらず、川崎の空恐ろしいところは連敗していないこと。序盤は大久保離脱が祟ってか勝ちきれない試合が極めて多く、また怪我人多発ゆえ選手層が薄くてACL帰りの試合は弱いといった一面もありましたが、なんとか連敗せずにやり過ごせたのが浦和との勝ち差になっています。ACLもグループ最弱のイースタンと引き分けた時には「終わった!」と思いましたが、終盤追い上げて2勝4分で首位通過。負けないこと、これホンマ大事。

(戦力)

・オフに大久保がFC東京へ移籍。昨年小林と並んで15ゴールを叩きだした大久保離脱の影響は小さくなく、リーグ序盤は相手を押し込んだところでエリア内で勝負できるのが小林しかいないので最後の詰めがどうしても足りない、相手の守備ブロックの回りでぐるぐるパスを回すだけという状況に陥りがちでした。

・ところがG大阪から獲得した阿部がフィットしだしてからその問題が一挙に解決。故障もあってフィットに若干時間がかかりましたが、阿部を1トップ(といっても川崎の超流動的なシステム上ゼロトップみたいなものですが)に配したのが大当たり。神出鬼没、かつフィニッシャーというよりはボールの受け手、あるいは引き出し手として良く機能しています。浦和同様、馴染む選手と馴染まない選手の差が極めて大きい川崎スタイルですが、半年もかからずにここまで出来れば文句なし。

・阿部同様補強の目玉だった家長(大宮)は故障で出遅れたのが祟ってか、現在中村に代わって終盤短時間出場するだけ。

・怪我人が多かった時期に重用されていた新外国人選手MFハイネルはここ3試合ベンチ外。馬力のある選手でボールを持つと目立ちますが、やや「俺が俺が」みたいな感じだったので川崎には合わないだろうと思っていたところ案の定なのかな?? 

・CB武岡とCB舞行龍(新潟から獲得)が怪我で長期離脱中。

(戦術)

・最近のフォーメーションは一貫して阿部1トップの4-2-3-1。風間監督の時代は浦和戦に限ってミラーゲームを仕掛けてくる、あるいは途中からそのように変えてしまう試合が少なくありませんでしたが、鬼木監督が上手く行っている現状のやりかたをわざわざ変えているとは思えませんが。

・なお第15節広島戦では普段通り4-2-3-1でスタートしたものの、前半は広島の5-4-1リトリート守備の前にほとんど効果的な縦パスを入れさせてもらえずに苦戦。また守ってもミキッチにどフリーで何度かクロスを許していました。終盤CB奈良を投入して5-4-1にシフトして何とか逃げ切っています。

・監督が代わってもスタイルに大きな変化はありません。相手を押し込んで一方的にボールを支配し、かつ細かくパスを繋いで相手ゴールを陥れる。もちろん徹底してショートパスというわけでなく、クロスに小林が突っ込んでくることもあれば、ぽっかり空いたバイタルエリアからミドルをぶちこめる上に、セットプレーでも点が取れる。実に面倒な相手です。クロスボールを多用するチームでないにも関わらず、今年はクロスからの得点が目立つのが実に不思議。

・最終ラインが高いのも相変わらずで、しかもボールを失った後の攻守の切り替えが非常に早い。相手に高い位置からプレッシャーをかけて容易にビルドアップを許さず、ミスパスを誘ってボール回収。高い位置にコンパクトな守備陣を敷いていて、しかも相互の連携が良く、そんなに走らなくてもボールが回収できるせいか、走行距離はJ1ではかなり少ないほう。

・攻守の切り替えが早いのは何も今年からではありませんが、監督が代わって一段と守備意識が高くなったのか、攻守のバランスが格段に良くなったように見受けられます。なんかスタイルがユニークでバランス感覚がない監督の後をバランスの修正だけで成績を安定させるってミシャ→森保と風間→鬼木の系譜がそっくりな気がしますが。

・また韓国代表GKチョン・ソンリョンが相変わらず手強い。総失点は少ないけれども被シュートが少ないわけではなく、なんだかんだとソンリョンに随分助けられている気が。もっともそれもチームの実力のうち。

(浦和の対応)

・前節広島とシーソーゲームを演じて勝つには勝ちましたが、内容はいたってお粗末。浦和も弱いが、それ以上に広島が弱かったというだけの話で、劇的な結末だったにも関わらず素直には喜べない試合でした。3日(月)の練習前には緊急ミーティングが開催されてミシャの怒号が響き渡ったそうですが、攻守の切り替えが緩慢になっているとか、勝っているのにリスクをかけすぎるとか、怒ってどうなるという問題でもなかろうに。

・前節試行した遠藤ボランチ&柏木シャドーは結局限りなく失敗に終わり、終盤元の形に戻さざるを得なかったところを見ると、今節は封印でしょう。よって相変わらず人を代えるくらいしか手立てがなく、特に宇賀神&梅崎の復帰如何にかかるところ大と思います。宇賀神がようやく練習でフルメニューをこなせるようになったのは朗報。

・またどう見ても興梠がお疲れ気味。中3日を勘案して、これまた不調とはいえラファエルを起用するか、あるいはラファエルの守備がいい加減なのが致命傷になりかねないのでズラタンを起用するか、少々頭が痛いところ。

・浦和守備陣がやらかしがちな失敗は、相手に食いつき過ぎてその裏を取られること。中村なり大島なり縦パスの出し手をとにかく消さないとお話になりませんが、その両名に限らず慌てて飛び込んでしまうと致命傷になってしまいます。食いつき過ぎてもいかんが、寄せずに自由を与えすぎるのもいかん。そのバランスが非常に難しいのですが、昨年の等々力でウノゼロで勝った際にそれが上手く出来ていたはず。浦和はどこでそのバランス冠感覚を失ったのやら。

----------------------------------
<前節:川崎 5-0 神戸>

-----阿部-----
登里---中村---小林
----ネット--大島---
車屋-エドゥ--谷口-エウシー
-----ソンリョン-----

(得点)9分 阿部、20分 阿部、68分 小林、81分 谷口、90+4分 小林

(交代)
78分 登里→長谷川
83分 中村→家長
84分 エウシーニョ→田坂

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2017.07.02

【観戦記】17年第17節:浦和 4-3 広島 ~ 2年前に優勝争いしてたチームが共にここまで凋落するとは・・・

・いやぁ、勝つには勝った。しかも2004年磐田戦での長谷部のゴールを彷彿させるような関根のスーパーゴールでの逆転勝ち。率直にそれを喜んだほうが精神衛生上好ましいのでしょうけれども、どうにもすっきりしない。笑うに笑えず、泣くに泣けない。笑いながら泣いている、あるいは泣きながら笑っている、往年の竹中直人の芸みたいな表情にならざるを得ない、そんな試合でした。

・双方芳しくない試合内容ながら浦和が前半40分過ぎに立て続けに2得点。昨今広島がほとんど点を取れていないことを考えればこれでかなり浦和有利になったなと安心していたら、リードしている際の試合運びの拙さはなんら修正されておらず、後半に入ってあっという間に2失点。さらに72分に浦和CKから2対5という絶望的に数的不利なカウンターを喰らってとうとう逆転される始末。リードされてATに入ったわけでもないのに、なんでそんな酷いカウンターを喰らうのか???

・申し訳ないが、正直ここで心が折れました。まるで磐田戦の焼き直し。残留争いに腰までどっぷつ浸かっている広島にすら勝てないどころか、負け方が酷い。あーあ、これで今年のリーグ戦は全部消化試合かぁと個人的には試合を投げてしまいました。

・ところが浦和の選手達は全く諦めていなかった。逆転されてミシャは那須→李で遠藤&柏木のポジションをそれぞれ一つ下げていつもの形に戻しただけでなく、興梠→ズラタンというあまり例がない交代を敢行。この交代が意外な妙手だったようで、投入直後にラファエル→関根→ズラタンの中央突破で同点。そしてATに関根が左サイドからカットイン&「一人で出来た!!」と言わんばかりに5、6人をごぼう抜きして逆転!!!

・ズラタンのゴールはともかく、関根のゴールは個人技の賜物以外の何物でもなく、ミシャスタイルもへったくれもない「火事場の馬鹿力」としか言いようがない形でしたがもう勝てればなんでもいいのだ。勝っている時はどうしたらいいのか悩みに悩んでしまうが、負けている時は迷いがなくて時にとんでもない力を出す。もっともそれでなんとかなるのは相手が弱いからで、強い相手には往々にして単に傷口を広げるだけに終わるのですが・・・

・試合内容はお世辞に褒められたものではなく、課題山積というか従前からの課題がなんら修正されていないことが明々白々になった酷い試合でしたが、それでも勝つには勝った。とにかく勝ったことで浦和の選手&スタッフが多少落ち着きを取り戻すかもしれない。なんとか自信を取り戻すかもしれない。そう思って無理やり前を向くしかないでしょう、この試合は。

006

・それにしても2年前に優勝争いしたもの同士と思えないくらい双方ともビルドアップにミスが多くて、前半からカウンターの応酬みたいな残念な試合内容。ただ広島の出方がやや予想外で、普段通りの5-4-1のリトリート主体の守備ながらいつもの浦和戦よりやや最終ラインが高めでした。

・ところが最終ラインを押し上げたものの茶島&青山のボランチコンビで臨んだのが良くないのか広島の中盤が案外弱く、前半は浦和に高い位置でボールを奪回される場面が目立ちました。もっとも浦和も浦和で良い形でボールを奪いながらシュートで終われず、5分に武藤が青山からボールを奪ったのを機に駒井→関根→武藤の決定機を作ったくらい。

・また浦和はロングボール一本で広島最終ラインの裏を狙わせる場面もが目立ちました。15分に遠藤→柏木→駒井→興梠で良い形を作った後しばらく沙汰止みになってしまいましたが、42分の先制点となった柏木ロビングボール→駒井→興梠もこのバリエーションに入れて良いでしょう。

・広島のビルドアップはすっかり怪しくなっており、45分には野上→清水と繋いだところで清水のアバウトすぎるプレーでボールロスト。浦和は関根→柏木→武藤と難なく繋いで武藤が久しぶりのゴール!! 広島は武藤をがら空きのバイタルエリアに進出させた時点でアウトで、まるで浦和のような大失態(つД`) なお野上&清水の広島右サイドは相当脆弱で38分にも関根→武藤でぶち抜かれて大ピンチを招いています。

・浦和が攻めながらもシュートで終われないケースが多いので、広島がカウンターで反撃する機会も少なくはなかったのですが攻め手は乏しく、ほぼ柏のドリブルでの仕掛け頼みといった様相。21分に浦和右サイドで柏→皆川フリック→柏ドリブル進出という好機があり、裏を取られた駒井がエリア寸前のところでファウルで止める場面がありましたが、この場面に象徴されるように駒井は終始柏に苦戦を余儀なくされました。

・34分にも武藤の縦パスをカットされて素早く浦和右サイドに展開され、柏→皆川の危ない場面も。多少リスクをかけてでも縦パスを入れるのはミシャスタイルの根本思想なのでそれに異を唱えても意味がありませんが、ボールを奪われた後の攻→守の切り替えが緩慢になっていて、最後方から駆け上がってくる柏に守備陣がごぼう抜きされているってそれだけでも万死に値するかと。

001

・しょーもなすぎる試合内容で2点ビハインドを負ったためか、森保監督は後半頭から茶島→ロペスで柴崎をボランチに下げ、しかもいきなりそれが奏功。広島がこの試合で珍しく人数をかけた分厚い攻めを仕掛け、浦和左サイドからのクロス→森島→皆川がゴール。この場面、なんでバイタルエリアで森島にどフリーでポストプレーを許しているのかがなんとも不可解。具体的には阿部が何もしていないのが実に切ない。一対一が生じやすいミラーゲームでこんな失態があっていいのか???

・54分の得点は前半から広島の突破口となっていた柏のドリブル進出が実ったもの。といっても浦和が右サイドで自爆ボタンを押したようなもので、柴崎&森島に詰め寄られた駒井が無理に前に繋ごうとしてボールロスト。こぼれ玉を拾った柏がバイタルエリアへ一気に進出→皆川スルー→ロペスゴール。勝っているのにリスキーなプレーを選択した駒井の罪が一番大きいのでしょうが、またまた後方から駆け上がってくる柏を傍観している遠藤もたいがいやで、これは。

・勝っているのにリスキーなプレーを選択した点では槙野が一番酷いか。この失点前から槙野が再三攻撃参加していて、しかも全くシュートで終われずにカウンターの口火に。まさに「ハイリスク・ノーリターン」。これを是正しない限り浦和が安定して勝ち点を伸ばすのは難しいでしょう。

・72分広島の3点目はもう「浦和歴代珍プレー集」に上げてもいいくらい酷いもの。浦和CKからの流れで、最終的には遠藤が後方から当たられてボールを失ったのが引き金になってしまいましたが、それ以前にCKを跳ね返されてイーブンのボールになりかかった時点での浦和の戻りが緩慢すぎる!! ビハインドでATに突入したわけでもないのに、なぜかまるで「まだワンチャンスあるで!」と言わんばかりに攻め残っている!!その挙句、遠藤のボールロストを契機に2対5という絶望的に数的不利のカウンターを喰らう始末。

・浦和の失点は攻守の切り替えの遅さとか、マークのルーズさとか、状況を勘案しないかのようなプレー選択の拙さに起因したものだらけで、人を代えたりシステムを弄ったりしても即効性はなさそうな気がしましたが、逆転されたのを受けてミシャはとうとう遠藤ボランチ&柏木シャドーという今日の新機軸を断念。ところが同点に追いついた辺りから最終ラインを下げてしまった広島を攻めあぐね気味に。

・敗色濃厚な戦局を前にミシャが放った最後の勝負手はなんと興梠→ズタラン。いつも終盤に投入されて、しかも今年は全く奏功した試しがないズラタンですが、この日はこれが大当たり。関根のフリックを受けてエリア内で前を向いたズラタンが遅れてやってきた水本をものともせずにファインゴール! ああ、これがズラタンの正しい使い方。前を向いてナンボ。ズラタンにポストプレーなんて求めるのがそもそも間違っている! ズラタン再生の道のりが見えたような良いゴールでした。

・ズラタンのゴールを演出したのがなぜかバイタルエリアに進出していた関根。これが広島守備陣の意表を突いたのでしょう。どフリーの関根に慌てて千葉が付くもフリックで交わされ、ズラタンがフリーになるという絵にかいたような悪循環。

・そして最後の最後は関根の独壇場。61分、78分と関根のドリブルでの仕掛けで決定機を作っており、その予兆はあるにはありましたが、まさかATで決まるとは!広島は終始関根にチンチンにされていた清水はともかく柴崎すらあっさり交わされてしまったのが致命傷。野上は無謀なスライディングでこれまた何の役にも立たず、千葉&水本という老朽化したCBではどうにもならず、最後はGK中林が股を抜かれてジ・エンド。

・広島はこれで4連敗。しかもATに再逆転されるといういかにも心が折れそうな負け方で、15位札幌との勝ち点差が5に開いたにも関わらず、まだシーズン半ばで降格しそうという危機感がないのか試合終了後浦和の選手達を談笑している選手が結構いて驚きました。

002

-----興梠-----
--武藤----柏木--
関根-阿部--遠藤-駒井
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----

(得点)
42分 興梠
45分 武藤
85分 ズラタン
90+2分 関根

(交代)
56分 武藤→ラファエル(興梠がシャドーに下がる)
73分 那須→李(柏木がボランチ、遠藤がリベロへ下がる)
84分 興梠→ズラタン

・「展望」で「不振の選手を代えるくらいしか手立てはない」と記しましたが、ミシャは前節からラファエル→那須と入れ替えただけでなく、柏木&遠藤のポジションをそれぞれ一つ上げるという予想外の手を打ってきました。しかし、結果は限りなく失敗。柏木は結局ボランチに近い位置まで下がってボールを捌く場面が多かったのはともかく、遠藤は守備でたいして役に立っておらず、これならわざわざ遠藤をボランチに据えた意味がなく、柏木ボランチ起用と大差がないように見受けられました。

・また遠藤のボランチ起用の是非以前に、遠藤を代表帰りからずっと酷使しているのがそもそも疑問。しょーもないボールロスト、当たり負け、そして緩慢な攻守の切り替えとパフォーマンスの劣化が著しいように見受けられます。天皇杯で青木の出来が芳しくなく、スタメンでボランチ青木という選択肢がなくなっている結果なのかもしれませんが。

・那須が超ハイラインとの相性が悪いのもこれまた明白。那須を使ったら使ったなりの闘い方をしないといけないはずですが・・・ といってもこの日の浦和の失点は那須起用以前の問題でしょう。

・鳥栖戦でさっぱりだった関根がこの試合で突如覚醒したのが不思議でなりませんが、駒井は興梠のゴールをアシストしただけで、それ以外は対面の柏に完敗。もっとも駒井は痛み止めを服用して試合に出ていたそうで、そんな状態の選手をスタメンで使わざるを得なくなっているのがこれまた辛い。宇賀神は無理使いが祟って依然ベンチ外。しかも前節ベンチ入りした梅崎もこれまたなぜかベンチ外で平川が珍しくベンチ入りしましたが、平川に90分は酷。天皇杯で戦術理解度が平川>菊池なのが丸判りになってしまい、菊池に起用のめどが立たないのがいやはやなんとも。

003

-----皆川-----
--柴崎----森島--
柏--茶島--青山-ミキッチ
-水本--千葉--野上-
-----中林-----

(得点)
47分 皆川
54分 ロペス
72分 ロペス

(交代)
37分 ミキッチ→清水(負傷による交代)
HT 茶島→ロペス(柴崎がボランチに下がる)
80分 青山→森﨑

・森保監督は前節大宮戦からロペス→森島、森崎→茶島だけでなく、なんと林→中林とGKまで入れ替え。ただ茶島のボランチ起用は結局失敗。浦和同様、勝てないと打つ手打つ手が裏目に。しかも守備固めで入れたはずの森崎がこれまたたいして役に立たないというおまけ付き。

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2017.06.30

【展望】17年第17節広島戦

・次節はドツボに嵌っている者同士の一戦。「負けたほうがナントカ」にはたぶんならないと思いますが、この一戦で負けると既に降格圏に両足どころか頭まで浸かっている広島はともかく浦和が被るダメージは甚大で、今季終了の気配が濃厚になってしまいます。文字通り「絶対に負けられない一戦」ですが、そんな意気込みだけで勝てるならここまで3連敗してないって(´・ω・`)ショボーン

(成績)

・勝ち点10(2勝4分10敗)の17位。森保監督就任後リーグ優勝3回を誇るチームがまさかの大不振。昨年から失点が急増し、しかも2ndステージは10位に沈んでおり、低迷の兆候が全くなかった訳ではありませんが、さすがに残留争いにどっぷり浸かるところまでの低迷を予想した人はほとんどいなかったのではないかと。久しぶりにJ1名物「びっくり降格」が発生しそうな予感が漂っています。

・残留争いの渦中にあるチームなので当然ながらスタッツに見るべきものはなく、「守れない上に点も取れない」という状況。なお順位が近い大宮・札幌・広島の3チームは総得点・総失点とも似たり寄ったりで、まるでだんご3兄弟(古い)。

・ルヴァン杯は勝ち点10(3勝1分2位)のB組3位で終了してプレーオフに進出。28日にFC東京と第1戦と戦いましたが、0-1とアウェーゴールを取られての敗戦。なおその後中3日で浦和戦を控えているためか、スタメンを前節大宮戦から総入れ替え。後半途中からレギュラー組の柏と柴崎が出てきただけで、もはやルヴァン杯なんてどうでも良くなっている様が見て取れます。

(戦力)

・広島転落の直接の引き金となったのは間違いなくウタカ放出でしょう。昨オフに清水から広島へ晴れて完全移籍したと思いきや、即日FC東京へレンタルという傍目にはなんとも不可解な移籍劇。守備貢献が低いなど、ウタカ放出に至った理由はそれなりにあったのでしょうが、昨年レアンドロと並ぶ19得点を叩きだしたリーグ得点王をむざむざ手放すなんで正気の沙汰ではないかと。しかも昨年の広島は「戦術はウタカ」「ウタカ頼みの○サッカー」の様相が濃かっただけに、ウタカ放出の影響は半端ないものに。

・さらに昨年出番が激減した佐藤が名古屋へ移籍したので、ウタカ&佐藤の代役としてMLSに語学留学(苦笑)に出ていた工藤を連れて来たものの、残念ながら1トップには全く向かなかったようで、第12節からアギーレ皆川にスタメンの座を奪われています。といっても概してボールを奪う位置が低くて1トップが孤立しがちな広島ですから、も一人で何かできる選手ではない皆川を使ったところで事態が好転するはずもなく。

・先日故障明けのパトリック(G大阪)をレンタル補強しましたが、これまたサイドに流れるのを好むFWで真ん中に陣取ってのポストプレーは得意でないというかなんというか・・・・

・またシャドー用に獲得したと思しきフェリペ・シウバもどうやらハズレで、第8節からスタメン落ち。さらに広島がまたまた甲府から強奪した稲垣は開幕時に3試合使われた後はほとんどベンチにも入れず。補強がことごとく失敗したのも広島転落の一因なのでしょう。

・加えて最悪のチーム状態にも関わらず、塩谷が突如アル・アイン(UAE)へ移籍。クラブと長期契約を結んだ後に150万ドルと言われる多額の移籍金を残していった分、同じようにクラブが一番しんどい時に無料で出て行った細貝よりはマシなのかもしれませんが、代わりを探しづらいシーズンの真っ最中の移籍という点ではこちらのほうが悪質。

・リオ五輪での醜態に象徴されるように塩谷の守備が相当アレなのはともかく、後方から突如最前線に踊りだしてくるのが広島の攻撃の有力なオプションになっており、しかもそんな能力があるCBなんでそうはいないので穴埋めには苦労しそう。前節大宮戦では野上を右CBに配しましたが、深い位置でパスミスをやらかして失点に直結。もっともビルドアップの過程でのミスなので野上一人の責任とも思えませんが。

・一応G大阪から丹羽を完全移籍で獲得しましたが、塩谷とは全く持ち味が違う純然たるCBなので代わりにはならないような。というか、塩谷の離脱が早く判っていれば、宮原を名古屋へレンタルに出すことはなかっただろうなぁ。

・しかも塩谷離脱で後ろ目の選手が浦和以上にベテランだらけに。昨年から衰えが目立つ水本を今年もフル活用せざるを得ないのはいかにも辛い。

・CB佐々木が再度長期離脱を余儀なくされている以外、昨年と違って主力に目立った怪我人がいないのが救いといえば救い。

(戦術)

・結果はズタボロですが、広島がやっていること自体は昨年からほとんど変わっていません。昨年青山の故障離脱を機に一時丸谷アンカーの3-1-4-2を3試合ほど試行しましたが、鹿島にタコ殴りされたのを契機に新システムは青山復帰を待たずに基本早々にお蔵入りしていつもの3-4-2-1に。また浦和同様、最終ラインを押し上げて高い位置でボール奪回を目指した時期もあったようですが、これまた上手く行かずに基本5-4-1のリトリート主体の守備に回帰しています。

・この広島の「変わらなさ」も不振の遠因なのでしょう。ミシャはああ見えてもただ漫然と引くだけの守備を止めて前からボールを奪いに行ったり、ビルドアップ時のポジションに変化を付けてみたりと結構試行錯誤していますが、森保監督はミシャよりも少し上だが、その少しが圧倒的な意味を持つ結果を出していただけに戦術を変えづらく、それゆえにミシャよりも研究されて行き詰まるのが早かったのかと。

・相手の研究が進んだ上に、主力の入れ替えで攻守のバランスが崩れて「失点が多い上に点は取れない」という惨状に。具体的には前3人が往々にして機能しないがゆえに青山や塩谷がやたら攻撃参加してその穴、特に青山が前に出た時の裏を相手に突かれて失点する場面が目立っています。

・守備は昨年からかなり怪しくなっていますが、攻撃のほうは点こそ取れていないものの形はそれなりに作れており、シュートも撃ちまくっているものの決まらないという感じ。僅かな歯車の噛み合わせの狂いでしかないという状況なだけに監督も大胆な手を打ちづらいのでしょうが、傍目には決定力抜群の選手を切った報いとしか言いようがありません。ただミキッチからのクロスが点に直結しなくなっているのは気がかり。

・なお鹿島戦・川崎戦と森保監督は終盤ビハインドの状況でミキッチを削って宮吉を入れて4-4-2へシフトする珍しい手を打ちましたが結果は出ず。さらに前節大宮戦ではやはり終盤ビハインドの状況で「禁断の3-1-4-2」、しかも青山アンカーという相当リスキーな手を打って何度か決定機を掴んだものの決められず、逆にATに2点取られて大敗。

(浦和の対応)

・目下3連敗の浦和。しかもその3連敗も試合を重ねるごとに内容が悪くなる有り様で、広島のことをどうこう言えるような状況ではありません。

・同一フォーメーションのミラーゲームながら広島が守備的に入って浦和が攻め倦む試合になるのが通例。今年のいつもの広島なら「ポゼッションは優に相手を上回り、シュートもそれなりに撃っているが点は入らない」という試合になりがちですが、こと浦和戦に限って言えば浦和にボールを持たせてしまう展開になりがち。もっとも浦和の最近の試合を見ると、積極的に前に出て来られるほうが厄介ですが。

・広島のWBが超強力なだけに、前に出て来られて両サイドで劣勢を余儀なくされると、それが主因になって試合の趨勢が決まりかねません。前節欠場の宇賀神の具合が気になりますし、関根も駒井も絶不調といって差し支えない状態だけに、サイドの攻防はかなり心配。またボールを持たされ、サイド攻撃で行き詰まった挙句にボールロスト→WBの裏をロングボール一本で突かれるという展開も目に浮かびます。

・「試合内容は悪くないが運がなかった」といえるような状態なら信じる道を突き進んでもらっても全然構わないのですが、如何せんドツボに嵌っているチームなので、やり方を変えるか選手を代えるか、何か変えないとどうにもならないでしょう。といってもミシャはなんだかんだと試行錯誤の回数こそ多いものの、相手に応じて、あるいは状況に応じて試行錯誤してきた策を上手く切り替えられるタイプではありません。よって不振の選手を代えるくらいしか手立てはないかと。

・といっても天皇杯盛岡戦の出来を見ると信頼しうる控え選手はそんなにいないものこれまた確か。どう見てもお疲れの遠藤に代えて那須、不振のWBの一角に梅崎抜擢くらいが現実的な落としどころと思います。

----------------------------------
<前節:広島 0-3 大宮>

-----皆川-----
--柴崎----ロペス--
柏--森崎-青山--ミキッチ
-水本--千葉--野上-
-----林------

67分 ロペス→宮吉
67分 皆川→工藤
81分 森崎→フェリペ

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2017.06.27

【観戦記】17年第16節:鳥栖 2-1 浦和 ~ 一つ曲がり角、一つ間違えて、迷い道くねくね

・鳥栖の絶対的エース豊田がなぜかベンチ外。セットプレーで怖い谷口は故障離脱中。さらに唯一無二のプレースキッカー原川すら前半半ばで負傷退場。浦和にとって勿怪の幸いと思しきアクシデントが相次ぎましたが、それでも得意のセットプレーが決まって65分に鳥栖先制。その後は鳥栖の堅い守備陣をこじ開けられずに時間だけが経過し、最後はお約束のボタンをぽちっと押して華々しく自爆。

・鳥栖のチャンスは数こそさほど多くはありませんでしたが、得点の可能性が高い、より決定的なものが少なくなかった一方、浦和はそれなりに攻撃の形こそ作りこそすれ、GK権田を脅かすような決定機はほとんどありませんでした。前半40分の柏木CK→槙野ヘッドくらいでしょうか、権田を脅かしたのは。あとは良い形を作っても悉くシュートは枠外。あるいは寸前で鳥栖守備陣にブロックされてしまいました。

・ほとんど点が入る気がしないまま試合が終わってしまいましたが、煎じ詰めれば浦和両WBの不振によるところが大きいと思います。鳥栖は左SHが駒井に連れて最終ラインに入り5バックぽくなる局面が多かったかと思いますが、浦和の良い時は引いて5バックになる相手をWBが一対一でぶち破って決定機を作るケースが多かったはず。ところがこの試合は駒井が一対一で勝てず、関根に至ってはそもそも一対一にすらならない惨状。サイドからの決定機は40分森脇→ラファエル、70分森脇→関根といずれも森脇が深く入り込んだところから。左サイドは全く何も出来ませんでした。

・サイド攻撃がままならないので浦和は鳥栖の守備陣を広げられず、中央に密集している相手をショートパスの連続で無理やりこじ開けようとして失敗の繰り返し。先制されて頭に血が上るにつれてその傾向はますます強くなってしまいました。前半ATに柏木が浮き球で武藤に、63分の柏木からラファエルに鳥栖最終ラインの超狭いスペースを突かせる場面がありましたが、そんな余裕も次第に失われていったかと。

・また驚いたことに鳥栖は天皇杯をフルメンバーに近い構成で闘っての中3日。一方浦和は天皇杯をスタメン総入れ替えしたので条件は浦和のほうが良いと言っても差し支えないくらいだったのですが、もう浦和主力組の心身は擦り切れてどうにもならないのか、この試合も相変わらず動きに精彩を欠いていました。鳥栖にプレッシャーをかけられるとパスミスが続出。一対一に勝てない。肝心なところで寄せが甘くなる。寄せたところで弾き飛ばされてしまう。ミシャスタイルが研究しつくされたとか、そんな戦術以前のところで負ける要素がてんこ盛りだったように思います。

・といっても天皇杯盛岡戦の出来を見ると面子を少々代えてどうにかなるというものでもなさそう。ただこのまま漫然といつもの面子で臨み、いつものやり方で臨んでいるだけでは、またしても「チャンスも作れていましたが、チャンスを決めきれない試合展開でした。」という結果に終わるのもまた必定。点を取る形はそれなりに作れているが、その精度がガタ落ちというなんとももどかしい状況で変えるのも地獄、変えないのも地獄。さあ、ミシャはどうする???

027

・豊田を欠く鳥栖は2トップにイバルボ&小野という珍しい組み合わせを選択。しかも小野の位置が低く、むしろ鎌田がFWに近いようにも見える布陣で序盤は浦和最終ラインにプレッシャーをかけてきました。これに対して浦和のビルドアップは安定せず、磐田戦同様悪く言えばロングボールを蹴らされる状況に追い込まれてしまいました。もっとも良く言えば慎重に試合に入ったという見方も出来、時間の経過と共に鳥栖を押し込みだした浦和は15分柏木縦パス→興梠反転シュート、21分バイタルエリアでのパス交換から柏木シュートとそれなりにチャンスメーク。

・ところが決定的なチャンスを先に掴んだのは鳥栖。権田のロングボールに対して阿部と槙野二人が飛び込んで、しかも競り負け。それだけならともかく森脇の反応が鈍くてルーズボールを鎌田にどフリーで拾われたのが致命傷。さらに遠藤はイバルボの裏抜けを許してしまいました。イバルボは西川も交わしたところまでは良かったのですが、交わした時点で体勢が崩れ、弱いシュートを駒井が辛うじてクリア。失点こそ免れましたがこの局面で競り負けとか、肝心なところであと一歩が出ないとか、この試合の敗因が凝縮されていた気も。

・30分原川が負傷するアクシデントがあり、鳥栖はFW田川を投入して、小野を右SH、福田を左SH,鎌田をボランチに下げて4-4-2に布陣変更。小野の守備はかなり怪しく、40分にラファエルが小野をチンチンに振り回してクロスを上げる場面がありましたが、結局左サイド攻撃が形になったのは90分を通じてそれだけ。鳥栖が相対的に弱いと目される小野のいるサイドを浦和が突けなかったのも敗因といってもいいでしょう。

036

・40分森脇→駒井スルー→ラファエルの決定機があり、後半に入っても一方的に浦和が鳥栖を押し込んではいるものの、依然権田を脅かすような局面は作れず、むしろカウンターに活路を見出すしかない鳥栖のほうがよりゴールに近い有り様。58分吉田から田川へのロングボールには槙野がしっかり付いていたのですが、なんと槙野がユース上がりの新人田川に振り切られて田川は西川と一対一。幸い西川が詰めて事なきを得ましたが、先の遠藤といい槙野といい、肝心なところでの一対一で勝てない日本代表って悲しいわ・・・そりゃハリルホジッチだろうがなんだろうが、どうにもならんわ。

・64分には田川が浦和左サイドからカットイン。あれよあれよという間にバイタルエリアに侵入されて枠内シュート。人数はいるのに棒立ちになっている選手が少なくなく、後追いも目立つという、これまた裏にありがちな酷い守備。

・田川のシュートは西川がなんとかセーブしたものの、そこから許したCKで失点。小野には駒井が付いていましたが、小野に前に入られてジ・エンド。小野はこの試合ここまでたいして役に立っておらず、ヘディングが強い印象も全くなかっただけに意外といえば意外な失点ですが、ドツボに嵌ったチームというのは得てしてこんなもの。原川を失った鳥栖にセットプレーでやられるかね、フツー・・・

・先制された浦和は武藤→李、ラファエル→ズラタンと代えたものの、先制直後に藤田を投入して本格的な5バックで守る鳥栖相手にほとんど効果なし。逆に90分森脇からのバックパスを受けた遠藤が田川に絡まれてボールロスト。田川をフォローした福田が追加点を挙げて事実上試合終了。ボールを失った遠藤よりも、遠藤のそばに田川がいるのを気づかずにパスを出した森脇のほうが責めが大きいような失点でしたが、いずれにしても浦和名物「自爆ボタン」の連打だったことは間違いなし。

・浦和は試合終了間際にPKで1点奪ったものの、文字通り焼石に水でした。

038_2

-----ラファエル-----
--興梠----武藤--
関根-阿部--柏木-駒井
-槙野--遠藤--森脇-
-----西川-----

(得点)90+5分 李(PK)

(交代)
72分 武藤→李
81分 ラファエル→ズラタン

・磐田戦で途中交代を余儀なくされた宇賀神の小破が癒えず、駒井がスタメン。駒井の出来は芳しくありませんでしたが、アウェー済州戦で小破した宇賀神を柏戦・磐田戦と無理使いしたのが結局ここで祟ったのがなんとも残念。宇賀神欠場で久しぶりにベンチ入りの機会を得た梅崎に出番がなかったのも残念。全く良いところがない関根に代えて梅崎はあって然るべきだったと思いますが、交代枠を余して終わったのを見ると残念ながら怪我人でも出ない限り梅崎を投入する予定はなかったのでしょう。

・無理使いといえばテヘラン帰りの遠藤をそのまま酷使しているのも失敗でしょう。槙野同様コンディションが著しく低下しているように見受けられます。

・不可思議なのは怪我明けのラファエルまで不調に陥っていること。天皇杯はただやる気がなかっただけと思っていたのですが、この試合ではどうも独善的というか、ボールを持ちすぎる傾向があったように見受けられました。新潟時代ならともかく、浦和に来て案外回りを使える選手だと感心していただけにこれにはがっかり。チーム状態が良くない中、なんだかんだと相対的に若いラファエルが自分でなんとかしようとして却ってドツボに嵌っている気がしてなりません。

・天皇杯の出来を受けて長澤がベンチ入り。出番はありませんしたが、ミシャが普段の様子をちゃんと見ていることだけは長澤に伝わったと思います。

021

---イバルボ-小野---
-----鎌田-----
-原川--高橋--福田-
吉田--青木-ミンヒョク-小林
------林-----

(得点)65分 小野、90分 福田

(交代)
30分 原川→田川(負傷交代。鎌田がCHに下がって4-4-2へ)
66分 小野→藤田(左WBに入って5-3-2気味に)
85分 イバルボ→池田

・鎌田はこの試合を最後にフランクフルトへ移籍。A代表経験のない選手に約3億円もの移籍金を払うとはフランクフルトによほどの慧眼がいるのかもしれません。

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