2018.12.13

【観戦記】18年天皇杯決勝:浦和 1-0 仙台 ~ 粘り強く闘って12大会ぶりの優勝!

・95回大会以来、3大会ぶりに天皇杯決勝の舞台にたどり着いた浦和。平成最後の天皇杯の舞台は奇しくも埼玉スタジアム。こうなると赤者がわらわらと押し寄せるのは必定。日曜のナイトゲーム、しかも昼に「さいたま国際マラソン」が開催された影響で埼スタへ向かうシャトルバスが全面運休という悪条件にも関わらず、埼スタは5万人強の大入りとなりました。

・決勝戦の相手は仙台に決定。準決勝の相手=鹿島と比べれば格段に楽な相手なのは確かで、しかも試合会場は埼玉スタジアム。準決勝で鹿島を破ったことでもう優勝したような錯覚に陥り勝ちですが、そこに落とし穴があるのはありがちな話。そこでオリヴェイラ監督はチームを引き締めるべく決勝戦前日にも練習を一般公開。意気に感じた赤者が旗を手に手にどどっと大原に800人も押しかけて鬨の声を上げ、檄を飛ばして選手達を後押し。

・ところがどっこい、準決勝での鹿島との死闘のダメージは甚大でした。まず故障明けで準決勝に出場したマウリシオは無理が祟ったのかなんと決勝戦を欠場(代わって阿部がスタメン)。また準決勝で負傷退場した興梠・武藤・青木はいずれも決勝戦の舞台には間に合いましたが、青木はなんと左腕を剥離骨折していたことが試合後に判明。他の選手達もおしなべて精彩を欠き、浦和のパフォーマンスは準決勝と比べれば7割も出ていなかったように感じました。

・それでも浦和は序盤にセットプレーからの流れでもぎ取った1点を守りきって、86回大会(vsG大阪)以来12大会ぶりに天皇杯を奪回し、同時に来年のACLストレートインを決めました。試合展開自体は準決勝と似ており、浦和が受けに回る時間帯が長かったあたりも似ていますが、西川のスーパーセーブどころか、槙野が危ないところを間一髪で防いで雄叫びを上げるような場面は一度もなく、ましてや宇賀神の神クリアなんてものはありませんでしたから、準決勝よりはだいぶ楽な試合だったような気も。

・もっとも前述のように浦和の出来は見るも無残。決勝の相手が川崎どころかFC東京レベルでも浦和の勝利は難しかったかもしれません。端的に言えば、9月下旬からほとんど勝てなくなり、結局11位といういつもの順位に終わった仙台が相手で助かったと言ってもいいでしょう。ズタボロの浦和相手に仙台はボールを支配するもののたいして決定機を作れずじまい。それゆえか試合内容は実にしょっぱく、第3者的には非常につまらない試合だったのは否めません。

・ただ試合がしょっぱかろうがなんだろうが、「勝てばよかろう」なのがトーナメントであり決勝戦であるというもの。一時は残留争いに巻き込まれかねない惨状だった浦和が大槻→オリヴェイラ監督のもとで体勢を立て直し、途中主力選手の長期離脱に見舞われながらも現有戦力を活かして出来ることを突き詰めた結果としての天皇杯奪回。その結果にいささかも瑕はつきません。

・ミシャは5年半でタイトルわずか一個だったのに、オリヴェイラ監督就任後半年ちょっとでいきなりタイトル一個。残念ながらここ一番の強さが両監督で全然違うのでしょう。ミシャのサッカーの面白さは捨てがたいのですが、それだけではここ一番で勝てなかったのは事実。準決勝&決勝とも選手のモチベーションを上げに上げ、しかもセットプレー一発で勝ち切ってしまうオリヴェイラ監督の勝利への執念には恐れ入りました。

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・繰り返しになりますが、浦和の出来は芳しくありませんでした。立ち上がりから仙台にほぼ一方的にボールを支配され、浦和はビルドアップもままならず。しかし、仙台はボールを支配すれども決定機は作れない。これがこの試合の基調であり、終わってみればその基調をたいして修正できないまま試合が終わったといっても過言ではありません。

・なんだかんだと最初に決定機を作ったのは浦和。11分岩波縦ポン→長澤右サイドに飛び出してクロス→興梠ヘッドも惜しくもサイドネット。そしてその直後の13分柏木CK(ショートコーナー)→武藤→柏木→長澤クロス。これは相手にクリアされたものの、そのこぼれ球を宇賀神がダイレクトボレーでゴールに叩き込んで浦和が先制!! 

・聞くところによるとこの宇賀神のスーペルゴラッソは偶然でもなんでもなく、相手CK時にゾーンで守る仙台相手に周到に準備されたもので、しかも前日に繰り返し練習されていたとか。ああ、これがオリヴェイラ監督の勝利への執念の賜物なのか!!

・その後も仙台がボールを支配する時間帯が長かったように感じましたが、前半の仙台の決定機は26分野津田のミドルシュートのみ(但し西川が難なくセーブ)。浦和も45分ショートカウンターから長澤ミドルシュートがあったくらいで前半終了。

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・48分西川ゴールキックに対する平岡のミスに助けられて宇賀神が仙台最終ライン裏へ飛び出す好機がありましたが、宇賀神ループシュートは枠外。さらに54分左サイド高い位置からのボール奪取&ショートカウンターで柏木→興梠→武藤の絶好機がありましたが、シュートはバーの上。絶好機にも関わらず3選手とも体にいかにもキレがなく、この一連のプレーが浦和の満身創痍ぶりを象徴していたように思えました。

・しかも驚いたことにオリヴェイラ監督の放った最初の一手は62分柏木→柴戸。柏木の出来はさっぱりでしたが、最初に下げるのが強行出場3人組ではなかったことが何よりの驚き。しかもこの交代はあまり効果的ではなく、むしろ柴戸のミスで浦和が窮地に陥る場面すら見受けられました。

・一方効果的だったのは67分仙台の2枚替え。特にそれまで1トップとしてクソの役にも立たず、なんでリーグ戦でほとんど実績がなくいかにもJ1未満の実力しかなさげな選手をわざわざ決勝戦に出しいているのか謎過ぎたジャーメインを下げて阿部に代えたのが効いて仙台が立て続けに決定機を迎えました。

・71分右サイドに飛び出した平岡クロス→アーク付近にいた阿部のシュートは慎重すぎて緩く、しかも西川の正面。72分椎橋の浮き球パスに反応して裏抜けに成功した野津田のヘッドは枠外。どちらかが決まって延長戦に突入していれば仙台が疲労困憊の浦和をうっちゃる可能性はあったかと思いますが、ボールを支配していてもたいして決定機は作れず、なんとか作った決定機も決められないのが仙台の実力なのは今年リーグ戦2度の対戦でも実証済。

・渡邉監督は放った最後の勝負手は椎橋→矢島。しかしこの交代は大失敗で矢島は仕様通り15分も浮遊し続け、事実上浦和をアシストする始末。仙台はこの試合好位置でのFKを得る機会が多かったものの、野津田のキックは可能性のないものだらけ。せめてリャンを投入していれば一発があったかも、と傍目には思えてなりません。「大事な試合に使いたくなる何か」が矢島に備わっているのかもしれませんが、昨年浦和はそれで痛い目に遭いました(つД`)

・左WB中野が結構厄介で、対峙する橋岡が後半何度も振り切られそうになってしましたが、仙台は中野の個人技による崩しからの先がなく、浦和は中央で淡々と弾き返してやり過ごし、84分武藤に代えて李を投入したあたりから早々と時間稼ぎを敢行。仙台は高さがないのでパワープレーで事故を巻き起こすのもままならず、どこから沸いてきたのか5分もあったAT、最後はGKシュミットを上げようとしている最中にFKを蹴ってしまうマヌケさが炸裂して試合終了。

・そして浦和は2年ぶりにアジアの舞台へ。山道&堀体制の「負の遺産」としか言いようがないくらい選手構成が歪で、同時に世代交代という課題を抱えているため、浦和がACLとJリーグを並行して闘うのは例年以上に困難なものになりそうですが、中村GM&オリヴェイラ監督がなんとかしてくれると信じてシーズン開幕までワクテカな気分で過ごしたいもの。最後は勝って終わる。これが天皇杯ウイナーの特権ですし!!

・天皇杯にはMVPがないあたりが「宇賀神もってない」。準決勝の神クリア & 決勝の神ボレーでどう考えてもMVP級なんですが。

・なお前日練習ではマウリシオや武藤の状態が芳しくないのは一目瞭然。また宇賀神のゴラッソとして結実したセットプレーの練習をしているのも丸わかりだったそうですが、そんな情報が一切漏れてこなかったのはさすが。もっとも動画・写真を見る限り、大原は西南戦争直前の鹿児島私学校状態と化していて、そんなところでスパイ行為でも発覚したら「惨殺晒し首」は免れなかったでしょうけど(苦笑)

046

---武藤--興梠---
---柏木--長澤---
宇賀神--青木---橋岡
-槙野--阿部--岩波-
-----西川-----

(得点)
13分 宇賀神

(交代)
62分 柏木→柴戸
84分 武藤→李
90+5分 興梠→ズラタン

003

-----ジャーメイン----
--石原---野津田--
中野-椎橋--奥埜-古林
-板倉--大岩--平岡-
-----シュミット-----

(交代)
67分 ジャーメイン→阿部
67分 古林→関
80分 椎橋→矢島

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2018.12.06

【観戦記】18年天皇杯準決勝 浦和 1-0 鹿島 ~ 満身創痍ながら文字通りの死闘を制して決勝進出!!

・忌々しいことに鹿島ACL優勝により12/12からカタールで開催されるCWC進出が決定したため、急遽天皇杯準決勝&決勝が12/5&12/9に前倒し。それはともかく、トーナメント図上は本来浦和のホーム扱いだったにも関わらず、理不尽なことに準決勝の開催地がなぜかカシマに。

・初冬の平日夜にあんな僻地に行く物好きがおるんかいな??と誰もが思ったでしょうが、その物好きがアホほどいるのが浦和。驚いたことにビジター側サイドスタンドは8割方埋まりました。そしてそのバカどもの熱狂的な声援に浦和の選手たちはよく応え、華麗という形容とはほぼ真逆の、不細工であり非常に泥臭い内容ではあったものの、90分闘志を剥き出しにしたようなプレーの連続で見事勝利をもぎ取りました。

・あえて単純化すれば、華麗だが肝心なところではさっぱり勝てなかったミシャにはなかった激しさ、厳しさがこの試合には間違いなくあった。その代償として綺麗な崩しなんてものはものの見事になくなってしまい、戦術的な面白さは後退したかもしれないが、非常にしんどい試合を勝ち切る何かを掴んだ。この変化は稀代のモチベーターとして定評があるオリヴェイラ監督ならではでしょう。

008

・浦和のスタメンはいわゆる「鉄板」メンバー。リーグ戦最終節から中3日の試合のため、最終節温存した武藤・興梠、ベンチスタートだった宇賀神・長澤は当然ながらスタメンに復帰し、小破してリーグ戦2試合を欠場したマウリシオも無事復帰。一方鹿島はなぜかレオシルバと三竿がベンチにすらおらず、やむなくサイコパス西をボランチに転用するという苦しい陣容でした。

・ところが、久しぶりに鉄板メンバーに戻った浦和は序盤苦戦。浦和のプレスは全くと言っていいほど嵌まらず、岩波やマウリシオはスピードがあるFW鈴木に苦戦。8分マウリシオが鈴木に裏を取られかかった場面はあわやPKかという際どいものでした(追加副審が目の前で見ている以上無問題)し、11分には岩波が鈴木にぶち抜かれてしまいました(なんとか槙野が飛び込んでクリア)。

・守備が嵌まらないどころかビルドアップがままならないのにも参りました。前回対戦時鹿島は前半浦和に決定機の山を作られたのを反省して対策を練ったのか、武藤&興梠へのマークを徹底。浦和がなんとか2トップにボールを当ててきたところでボールを奪ってカウンターを発動する場面も目につきました。前節に続いて橋岡がハイボールのターゲットとしてあまり機能しなかったのも浦和苦戦の一因でしょう。

・この試合を難しいものにしたかなりの責任は福島主審にあります。激しい体のぶつけ合いに全くと言っていいほどファイルを取らずに流すのは良いととしても、どう見てもラフプレーとしか思えないものまで流すのは困りもの。かと思えば、軽微に見えるファウルをなぜか取ってしまうケースもあって難儀でした。浦和にしてみればサイコパスが興梠を壊そうとしているのを主審がなぜか放置するのが一番困りましたが、どちらかに偏っているのではなく、どちらにも不満が残る迷裁きだったと思います。

・しかしなんだかんだと浦和守備陣が槙野を中心に奮戦したためか、序盤鹿島は優勢だったにも関わらずシュートが撃てずじまい。19分内田のクロスにサイコパスが飛び込んだのが序盤唯一かつ最大の決定機でしたが、ヘディングシュートはバーのはるかに上。

・一方、試合開始から全くいいところがない浦和が27分初めて掴んだCKから、ファーでマウリシオ高高度ヘッドが炸裂して先制!! マウリシオにはCBチョン・スンヒョンが付いていましたが何の役にもたたず。というかチョン・スンヒョンは前回対戦時にも失態を演じており、曽ケ端に代わって浦和応援団の素質があるようです(苦笑)。

・先制弾を機に浦和は一時体勢を立て直して攻勢に。33分には先制弾と全く同じ形(ファーでヘッド)で岩波に決定機がありましたが、ここはGKクォン・スンテがなんとかセーブ。

013

・後半は浦和が引き気味に構えてカウンターを狙う判りやすい展開に。鹿島は相変わらずシュートが撃てない一方、浦和は48分昌子に競り勝った(?)武藤がそのままボックス内に突入し、追いすがる安部をも簡単に交わしてシュートという決定機がありましたが、ここもGKクォン・スンテがセーブ。こぼれ玉を拾った柏木→興梠のシュートはやや力なし。

・浦和に試合の主導権が移るかもしれないと思われた時間帯でしたが、前半からサイコパスにやられ続けた興梠が51分とうとう試合続行不可能になってオリヴェイラ監督はやむなく李を投入。55分自陣スローインから長澤→李→長澤の決定機を作ったものの、65分今度は武藤が故障するというアクシデントが発生。

・武藤に代わってズラタンを投入する選択肢もあったはずですが、オリヴェイラ監督は柴戸を投入して3-4-2-1に布陣を変更(柴戸がシャドー扱い)。2トップをほぼ一遍に失った浦和の攻撃はこの選手交代&布陣変更で全くと言っていいほど成り立たなくなってしまいましたが、「1点を守り切る」という監督のメッセージがはっきりと伝わるという意味では有意義でした。

・しかし、大誤算だったのは72分青木まで故障してしまい、まだ20分以上残り時間があるにも関わらず早々と3枚目の選手交代を余儀なくされたこと。終盤には橋岡や李、さらには西川まで傷んでうずくまる場面があり、オリヴェイラ監督は試合終了の笛がなるまで冷や汗かきっぱなしだったと思います。浦和はボールを前に蹴りだす、あるいは李や柴戸がなんとかドリブルで前に運ぶのが精一杯で時間稼ぎすらままならず。

・満身創痍に陥った浦和に対して鹿島はピッチをワイドに使いながら攻めを仕掛けるものの、ACL優勝の代償=厳しい日程からの疲れなのか、サイドチェンジが誰にも合わずにラインを割るとか、肝心なところでボールコントロールできないとか、およそ鹿島らしくない場面が目立ちました。単純なロングボール攻撃は浦和3バックに簡単に弾き返されて、前半同様なかなかシュートは撃てず。AT突入までの鹿島の決定機は72分青木が傷んでいる隙をついて右サイドに流れた鈴木クロス→中に飛び込んだ安西ヘッド(撃ち切れずに枠外)だけでしょう。

・ATには鈴木・セルジーニョ・土居と中央を割って入る鹿島の攻勢に対し、長澤・岩波・槙野と受けがいかにも軽く、ボックス内でセルジーニョにシュートを許す絶体絶命の大ピンチがありましたが、セルジーニョのシュートに力がなかったのが幸いしてゴールマウスに吸い込まれる寸前で宇賀神がクリア!!

・試合を通じて鹿島がほぼ一方的に攻めているものの、終わってみれば鹿島のシュートはわずか7本。しかも枠内シュートがほとんどないので西川の見せ場はあまりありませんでした。このスタッツは浦和の守備が粘り強かったことの何よりの査証でしょう。良い試合とは言い難いものの粘り強く闘い、セットプレー一発で勝利をものにする。非常に鹿島臭い勝ち方であり、これもまたオリヴェイラ監督がもたらしてくれたものなのでしょう。

・個人的なMOMは文句なく槙野。鹿島の攻勢に槙野が立ちふさがり、間一髪のところでピンチを免れた場面が何度あったことか!!

・決勝戦の相手は仙台に決定。鹿島と比べれば格段に楽な相手なのは確かで、しかも試合会場はホーム埼玉スタジアム。準決勝で鹿島を破ったことでもう優勝したような錯覚に陥り勝ちですが、そこに落とし穴があるのはありがちな話。故障でレギュラークラスを3人も失い、特に青木の復帰は難しいことが伝えられていますが、その穴を埋めるだけの控え選手も揃っていますが、むしろこのアクシデントが決勝へ向けて気を引き締めるという意味で良い方向に働いてくれるかもしれません。このアクシデントに際してはとにかくオリヴェイラ監督の手腕を信じて決勝に臨みましょう!!

014

---武藤--興梠---
---柏木--長澤---
宇賀神--阿部---橋岡
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
27分 マウリシオ

(交代)
51分 興梠→李
65分 武藤→柴戸(3-4-2-1にシフトして柴戸がシャドーに入る)
72分 青木→阿部

・スタメンが鉄板に戻ったのに対して、サブは入れ替えがあり、なによりナバウトと荻原がベンチ外になったのが目を惹きました。

・ナバウトは何度も出場機会を与えられながらほぼ空回り状態が続いており、とうとうズラタンと入れ替えの憂き目にあったのかも。荻原はFC東京戦の出来がオリヴェイラ監督には不満だったのかもしれませんが、荻原に代わってベンチ入りした武富も湘南戦では良いところがありませんでしたし・・・

012

---鈴木--セルジーニョ--
安部--------遠藤
---永木--西----
山本-昌子--スンヒョン-内田
-----クォンスンテ----

(交代)
61分 永木→土居
70分 遠藤→安西
84分 山本→山口(安西が左SBに下がる)

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2018.12.02

【観戦記】18年最終節:浦和 3-2 FC東京 ~ 内容はともあれ勝って平川送別会に花を添える心地よさ

・両チームとも最終節を待たずにACL圏入りの可能性がなくなり、最終順位をちょっとでも上げてちょっぴり賞金がもらえるかどうかだけといういかにも消化試合然とした一戦。もっともFC東京(以下「瓦斯」)のほうは正真正銘の消化試合だったのに対し、浦和は中3日で天皇杯準決勝が控えている立場で、その状況の差がこの試合への取り組み姿勢にはっきりと表れた一戦となりました。

・具体的には瓦斯が現時点でのベストメンバーを組んできたのに対し、浦和は前節出場停止の柏木と故障明けの槙野・青木をスタメンに復帰させたものの、興梠・武藤をベンチ外とした他、宇賀神・長澤がベンチスタート。代わりに普段スタメンで出る機会がない李・ナバウト・荻原・柴戸をスタメン起用するという、非常に判りやすい天皇杯優先のシフトを組んできました。

・前節湘南戦もそうですが、今の浦和はスタメンを大きくいじるとチームのパフォーマンスはガタ落ちになってしまうようで、この日の試合内容も芳しくありませんでした。シュート数こそ10対13とさほど差は付いていませんが、決定機の数はどう見ても瓦斯のほうが多く、浦和の大敗に終わっても仕方がない試合だったと思います。

・ところが前節湘南戦とは逆に浦和は多くはない決定機を確実に決めたのに対し、瓦斯は19分ディエゴのまさかの決定機逸を筆頭に決定機を外しに外したのに助けられて、浦和がなんとか逃げ切り勝ち。平川の引退に花を手向けるべき試合に泥を塗ることなく、曲がりなりにも勝ってセレモニーに繋げられて本当に良かった。しみじみそう思いました。

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・9分柏木CK→李ヘッドで浦和が早々に先制したものの、その後は防戦一方。先制後の浦和の決定機は22分大森の横パスをカットしたナバウトがそのままミドルシュートを放った場面だけかな?

・浦和は先制後立ち上がりと比べてやや引き気味に構えたように見えましたが、ディエゴのポストプレーへの対応がまるでなっていないのが致命的。ディエゴに楽々ボールをキープされた浦和の守備は後手に回り勝ちで、瓦斯にバイタルエリアを好きなように使われ、さらにはサイドに簡単に展開されてしまいました。

。19分森重→ディエゴへの縦パスを契機に右サイドから東→ディエゴの決定機を作られたのがこの日の浦和の出来の悪さの象徴事例でしょう。ところがボックス内フリーで西川と対峙したディエゴのシュートはなぜか明後日の方向へ。28分にも高萩(?)→ディエゴの縦パスを契機に、最後はボックス内フリーで東にシュートを撃たれてしまいました(シュートは西川が難なくセーブ)。

・また普段スタメンで出る機会の少ない選手が多いせいか、連携がメロメロ。パスミスは多く、動きが被ることも多く、おまけに走ってほしいところに走りださない。また若い選手が混じっているせいか、リードしているのになぜか慌ててしまい、焦ってボールを前に運ぼうとしてロストした挙句に瓦斯のカウンターを食らう場面も目立ちました。36分柴戸がボールを運ぼうとした瞬間にハーフライン辺りでカットされ、そのまま高萩にミドルシュートを撃たれたのがその一例。

・瓦斯の外しっぷりに助けられてはいたものの、そうそう運が味方し続けるはずもなく、46分またしてもディエゴにポストプレーを簡単に許し、室屋→東の縦パスに対しても対応が甘くて東に簡単に前を向かれ、最後はアーク付近でディエゴがどフリーだという「悪の三重奏」みたいな形でとうとう失点。まぁ「納得の失点」と言うべき失点でした。

・しかし、その直後にこの試合の行方を決定づける、いかにもオリヴェイラ仕込みらしいというか、端的に言えば「鹿島臭い」プレーが炸裂。荻原のドリブルによる仕掛けで得たFKを柏木が素早くリスタート。瓦斯の集中が切れているといえばそれまでですが、その隙を見逃さない柏木に天晴れ!それ以上にFKにダイビングヘッドで飛び込んだのが李ではなく柴戸だったというのには驚きました。当然ながら柴戸も抜け目なく瓦斯の隙を伺っていたのでしょう。

・ただ突き放しに成功したとはいえ、浦和の守備が体をなしていないのは相変わらず。ナバウトを最前線に残して5-4-1の守備ブロックを敷いているように伺えましたが、ボールの奪いどころが定まらずに後手に回りに回って瓦斯に決定機を許し続けました。相変わらずディエゴへの対応は甘々。また前半から橋岡&岩波はサイドに流れたスピード王永井に苦戦勝ちな上、おまけに荻原は室屋に簡単に裏を取られるなど、中といいサイドといい、後半も浦和守備陣の至るところで火災が発生しているように見受けられました。

・ところが不思議というか、これぞフットボールというか、後半も圧倒的に瓦斯が優勢だったにも拘わらず、決定的な3点目を奪ったのは浦和。67分西川ゴールキック→ナバウトが森重に競り勝って(というか森重は競ってすらいない(笑))ハイボールを背後に落とし、ボックス内で自ら拾って李が仕上げという単純極まりない形でゴールが決まりました。9割がたナバウトの得点。ナバウトはスピードがないのでスペースにボールを出してもあまり意味がありませんが、フィジカルの強さが活きた格好でしょうか。

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・2点リードしたことでオリヴェイラ監督は脚を攣った荻原に代えて宇賀神、故障明けの青木に代えて長澤と相次いでレギュラー陣を投入して試合を締めに。途中投入の長澤の運動量は圧倒的で、すっかり負け癖のついた瓦斯にも諦めの気配が漂い出した時点で満を持してオリヴェイラ監督は平川の投入を準備しました。

・しかし、ベンチが平川投入の準備をしているのが判ってスタジアムがざわつき出したのが良くなかったのか、さらにはそのざわつきによって浦和の選手達が集中を欠いてしまったのか、87分ボールを拾った高萩に始まり、クロスを上げた室屋も、仕上げの前田も悉くどフリーというお粗末極まりない形で失点。その直後にも柏木CKのこぼれ玉を拾った柴戸がなぜかボールを前に運ぼうとしてロストした挙句、3対4のカウンターを許してしまう大失態を演じてしまいました。

・こんな展開になってしまうと平川投入自体がお蔵入りになっても不思議はないのですが、そこは消化試合の気楽さなのか、オリヴェイラ監督は迷うことなく平川投入を敢行。大規模な配置転換を伴う危険な選手交代でしたが、平川の顔に泥を塗るわけにはいかないとばかりに浦和の選手達もなんとか集中を取り戻し、かつ当の平川自身が右サイドの守備に奮戦してなんとか逃げ切り勝ち。

・浦和は最終節に勝って5位(勝ち点51)でフィニッシュ。エコパで惨敗して堀監督のクビが飛んだ日にはお先真っ暗、残留争い間違いなしと思いましたが、あそこからよくここまで立て直したと思います。そして逆に磐田の方がプレーオフ行きとはまさに世の中一寸先は闇。優勝した川崎の実力こそやや飛びぬけていますが、それ以下は2位も最下位もそんなに差はない。非常に厳しく、そえゆえに面白いJリーグらしい2018年でした。

011

---李---ナバウト---
---柏木--柴戸---
荻原---青木---橋岡
-槙野--阿部--岩波-
-----西川-----

(得点)
9分 李
48分 柴戸
68分 李

(交代)
72分 荻原→宇賀神
81分 青木→長澤
89分 柏木→平川(平川が右WB、阿部がアンカー、長澤がIH、橋岡が右CB、岩波が中CBへ)

※マウリシオが小破して前節に続き欠場。

・天皇杯準決勝へ向けてという意味では橋岡の不振が気がかり。U19のみならずU21までも引きずり回されて、シーズン最終盤にはもうクタクタなのかも。ゴールキックのターゲットとしてもあまり相手に競り勝てなくなり、守っても軽すぎるプレーが頻発。ひょっとすると天皇杯では森脇のWB起用があるかっも。

・お疲れという点では槙野も同様かな。この試合はディエゴに自由にやられ過ぎでした。

013

---永井--ディエゴ--
東---------大森
---高萩--橋本---
太田-森重--チャン--室屋
-----林------

(得点)
46分 D・オリヴェイラ
87分 前田

(交代)
68分 永井→前田
78分 大森→リンス
78分 太田→小川

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2018.11.25

【DAZN観戦記】18年第33節:湘南 2-1 浦和 ~ 不甲斐ない試合内容で、3位入りは完全消滅

・湘南はルヴァン杯優勝で超久しぶりにタイトルを獲得したものの、ルヴァン杯勝ち残り&台風による試合順延の関係で過密日程を強いられたのが祟ってか、リーグ戦ではなかなか勝ち点を積み上げられずに残留ラインのすぐ上を絶えず彷徨っている状況。一方浦和は計算上ACL圏入りの可能性を残しているものの、残り2勝してかつ3位鹿島&4位札幌の負けを願うしかないという厳しい状況で、最終節のわずか4日後(12月5日)へと前倒しになった天皇杯準決勝へと気持ちが移っていても特に不思議はありませんでした。

・代表ウィーク明けの一戦ですが、この日の試合内容には両チームの置かれた状況から来るモチベーションの差が多分に影響したように感じました。試合開始早々右WB石原が対面の宇賀神をがっつり削ってイエローをもらった場面に象徴されるように、湘南はいつもながらの凄まじい運動量に加えて球際の激しさ・厳しさがいつもの2割増しみたいな感じで、浦和は球際で負け、競り合いで負けまくっていたような塩梅。

・またモチベーションの差以上に、浦和は思わぬ怪我人続出でハンデを背負う羽目になったのも試合結果に直結したといって良いでしょう。浦和は柏木がイエロー累積で出場停止。また中断期間中に槙野がキルギス戦で不運極まりない脳震盪を起こして湘南戦には出場できず。さらにマウリシオが右下腿三頭筋肉離れで離脱。おまけに小破で前2節を欠場していた青木がこの一戦にも間に合わず、浦和はなんとレギュラー陣4名がごっそりいないという苦しい状況に追い込まれてしまいました。オリヴェイラ監督はやむなく、柏木→武富、槙野→茂木、マウリシオ→森脇、青木→阿部と入れ替え。

・ファブリシオ離脱以降、ほぼ固定したスタメンで勝ち星を積み上げてきた浦和にとって一挙にレギュラー陣が4人、しかも後ろ目の選手がごっそりいなくなった影響がないはずがなく、特に守備面にその影響が顕著だったように感じました。DAZNのスタッツだとシュート数は26vs9と浦和が圧倒していますが、湘南の数少ない決定機にレギュラー陣をごっそり欠いた浦和が守備の脆弱さをさらけ出して負けたと言い換えてもいいでしょう。

・1失点目はCB坂のロングフィードをCF山崎が頭で落とし、良い形でボールを拾った梅崎がそのまま独走してゴール。森脇が久しぶりに3バックの右に入りましたが、裏を取られた格好の森脇のスピードでは梅崎に追いつけず。というかドリブラーにやられまくる森脇ってもう何度も見た光景なんだよなぁ・・・もっともこの場面、山崎に競り負けた岩波の罪もでかく、後方に残っていた茂木の対応も疑問符が少々。

・梅崎はシュート意欲が非常に強く、好機に撃ちまくるものの、そのほとんどが入らないという「入らないエメルソン」が基本仕様だったはず。その梅崎がよりによって古巣浦和戦で最初のチャンスをいきなり決めるかね、フツー・・・・

・また湘南が夏に徳島から強奪したCF山崎は得点力こそいかにもJ1未満な感じですが、ポストプレーヤーとしては結構厄介で、浦和は山崎への対応が概しておざなりだったようにも見受けられました。

・2失点目は自陣深い位置からの阿部の素早いリスタートで、パスを受けようとしていた長澤が松尾主審に激突してしまうアクシデントが契機。「松尾どこ見てんねん!!!」と怒り狂いたくもなりますが、こぼれ玉を拾った石川を後方に残っている浦和の選手達は集中を欠いたかのようにただただ傍観。しかも石川がクロスを上げた先の菊地を茂木が見ていないという失態も重なって菊地が難なくゴール。試合後オリヴェイラ監督は茂木を「いろいろなポジションでプレーできる選手なんですけど、できる中では一番向いていないセンターバック」と評していますが、その評価通りの残念な対応でした。

・失点には直結していませんが、青木に代わってスタメン起用され続けている阿部の出来も残念至極。この試合では湘南を自陣に押し込んでいる時間帯が長く、自然浦和は前がかり気味に3バック(しかも森脇はかなり前目に進出)&アンカー然とした阿部だけで守る場面が目立ちましたが、阿部はもはや湘南の繰り出すカウンターを早めに潰すフィルター的な仕事が全然出来ていないような・・・ 

・レギュラー陣を4名欠いたことで守備は著しく脆弱になった感じがしたのに比べて、攻撃は相対的にはマシ。森脇が前に出て橋岡を支援しながら右サイド主体に攻める得意の形は何度も出来ていました。守備面を考えれば橋岡CB、森脇WBという配置がベターなのでしょうが、橋岡は森脇や岩波と違って後方から高精度のロングフィードなりクロスなりを繰り出せないので攻撃が成り立たず、その辺は痛し痒し。

・そしてサイドからのクロスあり、カットインからのシュートあり、ミドルシュートありと浦和は序盤からそこそこ攻撃の形は作っており、ボックス内に侵入する回数も多かったのですが、残念ながらシュート数の割にはなんだかんだとGK秋元をびびらせるようなシュートは撃てませんでした。湘南が好機を確実に決めたのに対し、浦和は47分宇賀神横パス→長澤がシュートをしっかりミートできずに絶好機をフイに。

・難を挙げれば柏木不在は縦パスの出し手が少ないところに顕著でした。柏木に代わって武富が久しぶりにスタメン起用されましたが、武富は柏木と違ってパスの受け手で、長澤と特性が被り勝ち。しかも長澤と違ってボールを受けたところでの当たり負けが目立ち、ほとんど良いところがなくお役御免。縦パスが入らないので2トップが下がりがちになってしまい、これもシュート数の割には決定機が少ない一因に。

・2点ビハインドを受けてオリヴェイラ監督は67分武富に代えてナバウトを投入して3-4-2-1に布陣変更。しかし、ナバウトは怪我明け後も連携に難があるのが顕著なのに、中断期間中豪州代表に選ばれてチーム練習に加われなかったのが祟ってか、相変わらず空回りしたまま。また一発はあるものの、もともとスペースがないところで活きるプレースタイルではないので、この選手交代は完全にハズレでした。

・さらにオリヴェイラ監督は71分森脇を諦めて柴戸を投入し、岩波を3バック右、阿部を中央に配置転換。77分珍しく茂木が攻撃参加してなんとボックス付近にまで顔を出したことで湘南守備陣が混乱したのか、茂木→武藤ヒールパス→裏抜け下興梠のゴールでついに反撃開始。

・その直後に武藤→ズラタンで一気に勝負に出て、ズラタン自体はボールの収め処として機能し、少なくともナバウトよりはずっと働いていましたが、ズラタンも全体練習に復帰したばかりでチームとしてはズラタンの有効な使い方がよく判らないままに時間が徒過。湘南をボックス内に釘付けにしながらも浦和のシュートは悉く枠外orシュートブロックにあって同点に追いつけず。

・この敗戦で浦和は3位入りどころか4位にすら入れないことが確定。ACL出場権を得られるのはもはや天皇杯優勝だけになってしまいましたが、中3日で天皇杯準決勝を迎えるリーグ最終節をどのような布陣で迎えるのか。槙野&柏木の復帰は確実ですが、マウリシオと青木は無理使いしないかもしれません。ただ湘南戦のような「不甲斐ない」と感じざるを得ない試合内容は勘弁してほしいものです。

---武藤--興梠---
---武富--長澤---
宇賀神--阿部---橋岡
-茂木--岩波--森脇-
-----西川-----

(得点)
77分 興梠

(交代)
65分 武富→ナバウト(ナバウトがシャドーの3-4-2-1へ)
71分 森脇→柴戸(柴戸がボランチ、岩波が3バックの右、阿部が中央へ)
77分 武藤→ズラタン

・右サイドではU19代表の橋岡とU21代表の杉岡が対峙。奇しくも「ルックスに全く若さが感じられない若者」同士のマッチアップでしたが、いつもゴールキックのターゲットになる橋岡が杉岡になかなか競り勝てないのも地味に響きました。

-----山崎-----
--梅崎----菊地--
杉岡-齊藤--石川-石原
-大野--坂---山根-
-----秋元-----

(得点)
20分 梅崎
56分 菊地

(交代)
HT 齊藤→金子
76分 梅崎→高山
90+2分 石原→野田(高山が右WB、野田がシャドーへ)

・湘南は浦和からレンタル中の岡本が契約上出場できず、代わりに石原がスタメンに。ボランチの一角に金子ではなく齋藤が入ったのがやや意外。

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2018.11.11

【DAZN観戦記】18年第32節:札幌 1-2 浦和 ~ 幻に終わった「厚別公園死の彷徨」

・例年なら雪が降り始める11月にも関わらず、札幌ドームは先約があって使用できないという大失態により試合会場はなんと厚別に。下手をすると吹雪の中を待機列で、そしてスタンドで立ち尽くす羽目になるのではないかと恐れをなして、この試合はDAZN観戦にしました。しかし、ふたを開けてみると今年の札幌は冬の訪れが遅く、少々天候が不安定だっただけで恐れていたほど寒くはなかった模様。これは赤者の日頃の善行の賜物なのでしょう、たぶん(苦笑)。

・試合は共にACL圏入りを目指した一戦。但し札幌は自力での3位浮上が可能な地位にいる一方、浦和は残り3試合全部勝った上での他力本願という厳しい状況。そういう置かれた状況の差もあってか、浦和は序盤から積極的に中盤でプレッシャーをかけに行きました。そして結果は浦和が優勢な時間帯に2点奪い、札幌の反撃を1点に抑えてなんとか逃げ切り勝ち。

・とにかく3連勝しか道はない浦和にとって今更内容を云々しても仕方ありませんが、スコア通りの辛勝だったのは間違いありません。ジェイの出場停止がなければ、終盤の都倉投入=ツインタワー形成で押し切られた可能性が高かったようにすら感じました。

・実は仙台戦以降「前半優勢、後半ぐだぐだ」という傾向が続いています。大槻監督が選手を脅してシバキ上げて勝利を重ねていた時期もそんな感じでした。オリヴェイラ氏の監督就任後W杯による長い中断期間を使用してフィジカルを徹底的に鍛え上げたのが奏功してしばらくは失速癖がなくなったかのように見えましたが、ここに来てまたゾロ失速癖が顕著に。

・そして前半の優勢な時間帯ですら往々にして失点してしまうのが実に腹立たしい。仙台戦では前半のうちに追いつかれたことで流れが一変し、G大阪戦でにいたっては常に相手に先手を取られて惨敗してしまいました。この試合は前半で再度突き放しに成功しましたが、後半の失速ぶりを見るにつけ、前半のうちに2、3点取って事実上勝負をつけてしまわないと今の浦和に盤石の勝利は望めないようです。

・もちろんミシャの残り香にすがった大槻時代と今とではやっているサッカーがだいぶ違うので、「後半失速」という表面上の現象は同じでも原因は全然違うのだろうと思いますが、オリヴェイラ監督が残り2試合&天皇杯に向けてここにどうメスを入れるのかが気になります。

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・浦和は青木の故障(左ハムストリングスの張り)が癒えずに前節に引き続いて阿部がスタメン入り。U-19アジア選手権から戻った橋岡もスタメンに復帰して森脇がサブへ。同じく代表帰りの荻原もベンチ入りという想定内の構成。一方札幌は出場停止のジェイに代わって都倉がスタメン入りし、さらに契約上出場できない駒井に代わって早坂が右WBへ。こちらもスタメンにサプライズなし。ただ前節出場停止の深井が今節もベンチ外となり、ボランチの一角に兵藤が入ったのは少々意外でした。

・札幌は試合開始早々に都倉目掛けてのロングボールでCKを取ったのを見て、対浦和戦用にロングボールを多用してくるものと思いましたが、どうもそればオプションに過ぎなかったようで、基本的にはいつも通りにショートパスを丁寧に繋ぐ形。これは中盤でのハイプレスが持ち味の浦和には好都合で、6分中盤でのパスカットからのショートカウンターで長澤縦パス→武藤が胸トラップ&左足一閃でいきなり先制。

・その後も14分柏木縦パスを受けて左サイド深くにフリーで侵入した長澤クロス→武藤(シュートがDFがブロック)、22分左サイドで上手く早坂と入れ替わった宇賀神がフリーでクロス→長澤シュート(GK正面)と決定機があったが決めきれず。

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・逆に20分過ぎから早くも失速の気配が表れ始めて高い位置でボールが取れない、セカンドが拾えないどころか危険なボールロストも増加。22分縦ポンを最前線で都倉が胸でポスト→拾った三好ががら空きのバイタルエリアを突き進んでシュートという極めて危険な形を作られ、さらには25分槙野が三好を前でつぶせなかったのが災いして、三好にドリブルでバイタルエリアをいいようにかき回され、三好→福森クロス→進藤で失点。浦和右サイドの福森へ展開される前に阿部が三好を潰せないのも残念でした。

・ところが札幌の反撃ムードをへし折ってしまうのがいかにもミシャらしいザル守備。35分宇賀神が左サイドを抜け出したものの、相手の守備ブロックは完全に整っている状態。これでは得点は難しかろうと思っていたところ、宇賀神のグラウンダーのクロスへの札幌DF陣の対応が雑過ぎて運よく武藤に通り、浦和が再度突き放しに成功。40分には阿部→宇賀神→柏木エリア内突入の決定機を作りましたが、ここはGKク・ソンユンが好セーブ。

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・浦和はこの決定機を最後に後半からしばらく防戦一方に。51分センターサークルでマウリシオの不用意すぎるボールロストからショートカウンターを食らい、それまで完全に消えていたチャナティップが際どい一発。54分槙野、長澤と球際で競り負けて札幌の攻勢を寸断しきれずにチャナティップ→三好→荒野と繋がれてヒヤリ。さらに56分自陣深い位置で橋岡が菅に絡まれてボールロスト→エリア内に侵入した都倉が誰にも合わないほうが不思議なほど決定的なクロスを上げられてしまいました。

・この時間帯の浦和はとにかく攻守の切り替えで札幌に完敗。球際での競り負けも目立ち、札幌のシュート精度の低さにも助けられながら5-4-1の守備ブロックを作って自陣深く引きこもり、札幌の攻勢を最終ラインで辛うじてはじき返すのが背一杯。セカンドボールを全然拾えないので札幌の波状攻撃を浴び続ける羽目に陥ってしまいました。高さがあり、空中戦に強い札幌に対してドン引きになるのは本来悪手のはず。ただこの日はジェイがおらず、都倉一枚だけならマウリシオ&槙野でなんとかなったのが粘り勝ちの主因でしょう。

・逆に言えば札幌は一方的に浦和を押し込んでいた時間帯に一点も取れなかったのが敗因。オリヴェイラ監督は阿部→柴戸、橋岡→森脇と代えてついに反撃開始。特に柴戸投入の効果が絶大でようやく札幌の攻撃を中盤で寸断できるようになり、82分には高い位置で森脇がボール奪取→で武藤がエリア内に突入する見せ場も。

・一方終盤の札幌の決定機は89分右サイド深くに侵入した進藤クロス→逆サイドでフリーの白井シュートの一つだけ。ミシャが嘆く通り、ジェイの不在はかなりの痛手で、手駒として都倉が使えればドン引きに陥った浦和守備陣を力づくで決壊させられただろうに、という気がしてなりませんが、チームの総合力が問われるのがリーグ戦。いないものを嘆いても仕方ありません。

・浦和はこの勝利をもってしても3位鹿島との勝ち点差が4、4位札幌との勝ち点差も3とACL圏入りは専ら他力本願=とにかく残り2試合を勝って天命を待つという状況にはなんら変わりありません。依然厳しい状況ですが、天皇杯へ弾みをつけるためにも次節湘南戦へ向けての小中断期間を有意義に過ごしてほしいものです。

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---武藤--興梠---
---柏木--長澤---
宇賀神--阿部---橋岡
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
6分  武藤
35分 武藤

(交代)
73分 阿部→柴戸
78分 橋岡→森脇
89分 興梠→ナバウト

・青木の小破を受けてオリヴェイラ監督は前節に続いて阿部をアンカーに起用しましたが、残念ながら阿部の出来は前節に続いてぱっとせず、肝心なところで相手を潰せずに失点に絡んでしまいました。逆に終盤に投入された柴戸の出来は秀逸で、見事な火消し役を演じてくれました。柴戸は時間が限られているからこそ思い切って行けるのでしょうし、90分やらせるのはまだ辛いとのオリヴェイラ監督の判断なのでしょうが、阿部と柴戸の立場が入れ替わるのは時間の問題な気がしました。

・U-19代表で遠征帰りの橋岡はお疲れ気味でこれまたあまり良いところなし。にも拘らず、今後はUAE遠征(11/11~21日)のU-21日本代表メンバーに飛び級招集されて、湘南戦の出場は少々怪しげ。

・柏木がついに4枚目のイエローをもらって次節出場停止。カウンターを食らって危ないところを後ろからひっかけているのでイエローは当然ですが、この日担当の小屋主審が曲者で判定基準がブレブレ。札幌にも同じような後方からのファウルとか、手を使って相手を止めるとか、イエロー相当の行為が相当見受けられましたが、前半はなぜか流しまくり。前半ススキノ接待で骨抜きにされたんじゃないの???

・とはいえ、前年都倉の罠に嵌まって退場させられた槙野はもちろん、案外瞬間湯沸かし器系のマウリシオも主審の謎判定、都倉の度重なるラフプレーによく耐え、よくブチ切れずに凌ぎきりました。2ゴールにより海鮮王国北海道で寿司をもたらした武藤以上に、両CBの奮戦ぶりの印象が強く残る試合でした。

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-----都倉-----
--チャナティップ--三好--
菅--兵藤--荒野-早坂
-福森--宮澤--進藤-
-----クソンユン-----

(得点)
25分 進藤

(交代)
HT 兵藤→キム ミンテ(宮澤がボランチ、キムがCB中央へ)
69分 早坂→白井
81分 菅→宮吉

※写真は試合とは全く関係がありません。

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2018.11.04

【観戦記】18年第31節:浦和 1-3 G大阪 ~ 完敗した後は夜風が身に沁みる・・・・

・完敗。ただただ完敗。もうぐうの音も出ないほど、どうしようもない完敗でした。これほどはっきりした負けは第24戦アウェー名古屋戦以来かな? 失点は浦和守備陣の不甲斐なさを責めるよりも、あそこでゴラッソを繰り出した小野瀬&ファン・ウィジョを褒めるべきなのかもしれませんが、G大阪は浦和を突き放してからの守備が実に手強かった。比較的優勢だった前半のうちに先制していれば、という思いも多少ありますが、優勢であっても決定機は少なく、結果は妥当なものと受け入れざるを得ません。

・G大阪はほとんど良いところがなく前半を終えようとしていた時間帯に小野瀬のゴラッソが炸裂。後半すぐに浦和に追いつかれたものの、62分今度はファン・ウィジョのゴラッソが炸裂。あとは4×2の守備ブロックを自陣深めに敷いて浦和の攻撃を淡々と跳ね返しながらカウンターの好機を伺い続け、その狙い通りに追加点を取ってそのまま楽々逃げ切り。

・G大阪は単に引いて守っているだけでなく、前半幾度となく振り回された右から左への浦和のサイドチェンジをすっかり読み切ってしまい、オ・ジェソクがいとも簡単にクロスをカットしてしまうのには参りました。宮本監督のチームは守備重視で攻撃面では見るべきところはほとんどありませんが、試合中の修正力は思いのほか高いことに驚かされました。

・この敗戦は3位浮上=ACL圏入りを狙うには痛恨極まりなく、残り3試合で直接対戦を残す3位FC東京との勝ち点差が4と自力では追いつけないレベルになっただけでなく、直接対戦のない4位鹿島との勝ち点差も再び4に広がってしまいました。従って浦和は残り3試合とにかく全勝して、あとは運を天に任せるしかありません。最後にタナボタ的にACL圏に滑り込んだ2012年のような例もあるので、とにかく諦めないこと。この試合の終盤の淡白さを見ると、その「諦めの悪さ」が浦和にあるのかどうか、ちょっと心配になりましたが・・・

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・浦和はACL圏入りを伺う立場、G大阪は残留争いからの脱出をかけてと置かれた立場は大差がありますが、浦和は公式戦5勝1分け、G大阪はなんと9月に入って6連勝と足下は絶好調のチーム同士の対戦。ただ浦和は橋岡&荻原が相変わらずU-19アジア選手権で離脱している他、青木が小破するアクシデントがあって急遽阿部がスタメンに。G大阪もGK東口が前節横浜Mでの負傷が癒えずに林がスタメン出場と共にキープレーヤーを欠いての一戦になってしまいました。

・前述のように前半は浦和優勢。G大阪はいつもの4-4-2の布陣でかなり積極的に前から浦和にプレッシャーをかけてきましたが、浦和はそのプレッシャーをなんら苦にすることなく、慌てずにビルドアップ。興梠&武藤の2トップにも縦パスが入るだけでなく、機を見てロングボールでG大阪最終ライン裏を狙い、さらに右→左へのサイドチェンジ一発で宇賀神がフリーでボールを受ける場面が目立つなど、浦和は鹿島戦の序盤同様ほぼやりたいことができているように見受けられました。G大阪は前半のうちにファビオ&倉田がイエローをもらったのに象徴されるように、浦和の攻勢の前に守備が後手後手に回る傾向が強かったように思われました。

・ただ鹿島戦と違ったのは「それは決めなきゃ!!」と思えるような決定機は案外少なかったこと。G大阪は果敢なプレスが嵌まらず、浦和に良いようにボールを回されていましたが、なんだかんだと粘り強く守って、前半浦和が掴んだ決定機は32分武藤FK→マウリシオヘッドと37分宇賀神スローイン→興梠左サイド奥深く侵入してマイナスのパス→柏木だけかな?

・それでもG大阪の攻撃にはなんら見るべきものはなく、浦和優勢のまま前半を終えようとしていた時間帯に飛び出したのが43分の小野瀬のゴラッソ。本人も猛省していますが、ゴラッソとは言っても森脇の自陣でのふんわりとした横パスをアデミウソンにカットされたのが契機という自爆に近い失点。しかもアデミウソンに対峙した阿部の対応がいかにも軽く、小野瀬にボールを繋がれてしまいました。

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・内容は悪くないのに相手に先制されてしまったという点、そして後半早い時間帯に同点に追いついたところまでは前節鹿島戦と全く同じ展開でした。49分マウリシオの縦パスを受けた武藤がファビオを背負って潰れながらフリックのような格好で長澤へ繋ぎ、長澤がガラガラのバイタルエリアを単騎疾走。長澤の低いシュートをGK林が弾いたところを興梠が詰めて同点に。GKが東口だったらこの得点は生まれなかったような気がしますが、ゴールはゴールです。

・これで鹿島戦同様浦和が一気に押せ押せになるかと思われたのですが、その反撃ムードをばっさり断ち切ったのが62分ファン・ウィジョのゴラッソ。浦和が攻めきれずに遠藤→前残りのファン・ウィジョのロングカウンターを食らったのはともかく、浦和右サイドからエリア内にカットインしてきたファン・ウィジョに対し、岩波&森脇の対応が甘々でファン・ウィジョの狙いすましたようなシュートを許してしまいました。西川も含めていきなりファン・ウィジョに撃たれることを予期していなかったかのような失点場面でした。

・これだけならまだしも、致命傷になったのは69分の失点。G大阪の攻勢を凌いでカウンターに出ようとした矢先に武藤が自陣深い位置でボールロスト。藤春・遠藤・倉田で浦和右サイドボックス内で数的優位を作られた挙句、倉田→藤春→アデミウソンと完全に崩されてしまいました。武藤のボールロストもさることながら、後から浦和右サイドに加勢した倉田を誰も見ようとしなかったのが致命的でした。

・決定的な3点目を取られてからオリヴェイラ監督は3選手を逐次交代しましたが、その甲斐もなく、決定機どころかシュートらしいシュートすら撃てず。逆に球際で競り負けてカウンターを許してしまう惨状を見て、メイン&バックスタンドからはATを待たずに帰路につく方がゾロゾロ。そうなってしまうのも頷けるほどこの日の終盤の浦和からは何の反発力も感じられませんでした。

・100%お気持ち論であり、100%結果論にもなってしまいますが、この試合の終盤の出来を見ると天皇杯準々決勝鳥栖戦の後半のぐだぐだっぷりで浦和は横浜M戦の辛勝以降負けなしで掴み、順調に積み上げてきたんだはずの運気をすっかり逃してしまったような気がしました。一人少なくなった相手に遮二無二オープンな試合を演じる必要は全くないのですが、決めるべきところを決められずになんだかなぁな試合を演じているうちに3位浮上へ向けて必要不可欠な浦和の運気は去ってしまった。そんな気がしてならない残念な試合でした。

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---武藤--興梠---
---柏木--長澤---
宇賀神--阿部---森脇
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
49分 興梠

(交代)
70分 森脇→ナバウト(ナバウトがFW、武藤が右WBへ)
81分 長澤→柴戸
83分 興梠→李

・3失点目はともかく、1、2失点目に大きく関与してしまった森脇。故障から戻って試合を重ね、コンディションはかなり良くなってきたと本人は語っていますが、いわゆる「好事魔多し」という奴でしょうか。1失点目の契機となったふんわり横パスは調子が上がって来たからこそありがちな「調子こいだプレー」だったのかも。次節札幌戦では橋岡が戻ってくると目されますが、同じ右WBでも持ち味が全然違う橋岡と森脇をオリヴェイラ監督がどう使い分けるのかが楽しみです。

・2点ビハインドで投入されたナバウトは残念ながら良いところなし。加入直後はコンビネーションが確立するのに時間がかかり、空回り状態が長く続きましたが、長期離脱によってまた一からコンビネーション確立を始めざるを得なくなった模様。マルティノスほど酷くはありませんが、スペースがないところではあまり活きない選手なのもビハインド時にはチト辛いかなぁ、現状では。

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---アデミウソン--ファン--
倉田-------小野瀬
---今野--遠藤---
藤春-ファビオ--三浦--オ
-----林------

(得点)
43分 小野瀬
62分 ファン・ウィジョ
69分 アデミウソン

(交代)
75分 ファン・ウィジョ→渡邉
89分 小野瀬→中村
90+2分 アデミウソン→一美

・小野瀬は夏にレノファ山口から強奪した右サイドのアタッカーで、山口では4-3-3の右WGを担当し、オナイウ&高木との3トップがJ2序盤猛威を振るいました。「J2では反則」級の選手がJ1ではさっぱりという例もよくありますが、小野瀬はそのまんま通用した好例に。一方ぶっこ抜かれた山口はその後ほとんど勝てなくなってしまいました(つД`)

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2018.10.25

【TV観戦記】18年天皇杯準々決勝 浦和 2-0 鳥栖 ~ 「今日はこれぐらいにしといたるわ」かなぁ・・・

・浦和はリーグ戦の3位入りの可能性が出てきたとはいえ、今年残された唯一のタイトルであり、かつACLストレートインへ向けて天皇杯はリーグ戦よりはるかに重要。一方鳥栖は残留争いにどっぷり首まで浸かってしまっており、先日マッシモ・フィッカデンティ監督を更迭して金明輝コーチを内部昇格させたばかりで、天皇杯の位置づけは非常に難しい立場。終わってみれば、この試合は両チームの置かれた状況&天皇杯への取り組み姿勢の差がモロに表れたような気がしました。

・浦和は鹿島戦に続いて橋岡&荻原がU-19アジア選手権で離脱中。さらに天皇杯は4回戦までに他クラブで出場した選手は登録外となるレギュレーションらしく、今年山形で天皇杯出場済みの茂木は浦和では出場できずという状況下で、鹿島戦と全く同じスタメンを組成。鹿島戦から中3日ですが、この試合の後は11/3まで試合間隔が開くので特に問題はないとオリヴェイラ監督は判断したのでしょう。

・一方鳥栖はFW金崎が茂木と同じ理由で鳥栖では天皇杯に出られず、FW田川がU-19アジア選手権で離脱中。またFWイバルボが長期離脱中な上に、どうもFW豊田も故障した模様でベンチ外。

・監督が代わったばかりなので相手の出方が判りづらく、何がベストメンバーなのか判然としないものの、FWがかなり薄いと見られる状況下、金明輝監督は先週末のリーグ戦から右SB小林→吉田、CBオマリ→キム・ミンヒョク、CH高橋秀→原川、FW金崎→SH安在と4人入れ替え。鳥栖の内部事情はさっぱり判りませんが、監督交代直後の連戦でわざわざ最終ラインを2枚も入れ替えたのは不可思議で、鳥栖にとって天皇杯は選手のテストっぽい位置づけだったのかも。

・鳥栖の試合の入りが超積極的だったのにはびっくり。フィッカデンティ監督は布陣こそ多少の変動はあれ、自陣に堅固な守備ブロックを作って相手にガツガツ当たりながらしぶとく守り、浦和相手なら引き分け上等、あわよくばセットプレーで1点もぎ取って逃げ切りという実にいやらしいスタイルを旨としていました。それだけに立ち上がり鳥栖がかなり前から攻めかかってきたのは浦和にとって超意外だったと思います。

・しかし、浦和は鳥栖の奇襲(?)を受けて押し込まれながらもシュート1本を許しただけで、逆に5分岩波縦ポン→興梠裏抜け&シュートで反撃開始。鳥栖は最終ラインのミスからショートカウンターを食らいかかる場面が2度あり、さらに11分宇賀神縦パス→興梠左サイドで裏抜け&クロスという好機を作られてしまったせいか、このあたりから鳥栖の積極姿勢は失せ始めて、浦和が時折サイドチェンジを交えながら敵陣内でボールを動かし続けててチャンスを伺うありがちな展開に。

・16分の先制点は左サイドで興梠からのボールを受けた宇賀神が安在と対峙しながらちょっとカットイン&いきなりシュートを放ったもの。どうも吉田に当たって軌道がわずかに変わり、GK権田が逆を突かれる運も多分に作用。

・その後も戦況は全く変わらず。鳥栖はフィッカデンティ監督時代ほど守備ブロックがタイトな感じはせず、浦和のパス回しに対して終始後手を踏んでいる印象。しかも球際も概して浦和優勢で、かつてのようなガツガツ&しつこいとした感じはすっかり影を潜めてしまいました。

・そんな鳥栖に対して浦和は早くも楽勝気分が漂い出したのか、どうも手数をかけてきれいに崩そうとするような傾向が強くなり、しかもラストパスがわずかに合わずにシュートで終われないという「ミシャっぽい場面」が続きました。鹿島とのビッグマッチを制したばかりで、そのまま緊張を保つのは難しいと思いますが、あえて個人名を出せば柏木と武藤の出来が芳しくなかったかと。

・そんな状況下での31分の追加点はこれまた意外な形。柏木の縦パスを受けた興梠がエリア内で粘り、珍しくバイタルエリアにいた槙野へ戻したところで槙野が巧くゴールマウス右隅を狙ったミドルシュートで追加点。

・早い時間帯に2点リードした浦和は、両SBを加えたサイド攻撃を盛んに仕掛ける鳥栖に対して、5-4-1の守備ブロックを作って淡々とクロスを跳ね返し、中央を割られそうになっても粘り強く最終ラインでシュートブロックして文字通り鳥栖に何もさせず。マウリシオもある意味暢久系の「相手なりにプレーするタイプ」なのか、F・トーレスに対していつも以上に厳しく対応していた模様(苦笑)。

・ほとんど良いところがなく前半を終えたためか、金明輝監督は後半頭から安在→高橋秀、福田→チョ・ドンゴンと2枚替えを敢行し、かつ4-3-3気味に前がかりに。この策がある程度奏功したのかもしれませんが、それ以上に2点リードの浦和はすっかり弛緩してしまったようで、無駄に鳥栖の攻勢を受ける羽目に。46分原川FKで大外のキム・ミンヒョクがどフリーになったのはその象徴でしょう。

・トーレスが足元でそれなりにボールが収まるようになったのも効いて、鳥栖は52分小野、54分チョ・ドンゴンに決定機を作り、いつ1点返してもおかしくない状況まで盛り返しましたが、その上り調子をぶち壊したのがCBキム・ミンヒョクの退場。47分のイエローは森脇を後方からがっつり削っているので当然のイエローですが、57分のイエローは謎。中継では「暴言」といってましたが、つい暴言を吐いてしまうような場面なんてその前後になかったからなぁ・・・

・それでも鳥栖は59分小野クロス→高橋義ヘッド、63分ロングカウンターから小野が独力でシュートを攻勢をかけましたが、さすがに後半頭から飛ばし気味かつ一人少ない鳥栖の攻勢はここまで。浦和はスカスカになった鳥栖の中盤をいいように使ってカウンター気味にアホほどいい形を作ったものの、ラストパスの精度・タイミングがずれまくりなのは相変わらず。

・それでも68分森脇クロス→エリア内でどフリーで受けた興梠シュート、70分柏木縦パス→武藤左サイドを抜けだしてクロス→岩波シュート、74分ショートカウンターから青木→武藤→興梠どフリーでシュート(→こぼれを青木が詰めるもオフサイド)、83分権田のクリアが小さくなったところを拾った興梠が独力でシュート、AT+4分興梠の縦パスを受けた途中出場のナバウトが高橋秀を交わしてシュートと決定機の山を築きながらも後半はとうとう一点も取れず。

・終盤小野が傷んで鳥栖は9人になったにも関わらず一点も取れなかったのは得失点差が重要になるリーグ戦なら監督激怒モノだと思いますが、どんな内容であれ「勝てばよかろう」のカップ戦ですし、後半締まりがなかったとはいえ負ける要素はほとんどありませんでしたから、さほど目くじらを立てるほどでもないかと。

---武藤--興梠---
---柏木--長澤---
宇賀神--青木---森脇
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
16分 宇賀神
31分 槙野

(交代)

73分 柏木→柴戸
81分 森脇→ナバウト(ナバウトがFW、武藤が右WBへ)
88分 宇賀神→マルティノス

・試合後のコメントによると、菊池の故障&橋岡・荻原がちょろちょろ代表に呼ばれがちなことを踏まえて、オリヴェイラ監督はマルティノスをWBで再生を図りたい意向みたいで。でもあのムラっ気ムンムンな性癖を矯正して気を抜かずに守備をやらせるのは時間がかかるだろうなぁ・・・

---小野--トーレス---
福田--------安在
---原川--高橋義--
三丸-ミンヒョク-高橋祐-吉田
-----権田-----

(交代)
HT 安在→趙東建
HT 福田→高橋秀
76分 トーレス→河野

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2018.10.21

【観戦記】18年第30節:浦和 3-1 鹿島 ~ 紅葉踏みわけ泣く鹿の声きく時ぞ秋は楽しき

・代表ウィークを挟んで約2週間ぶりに再開されたリーグ戦。但し、浦和は丸々お休みなのに対し、鹿島はその間ルヴァン杯準決勝を2試合こなし(残念ながら決勝には進めず(笑))らにACL&天皇杯も勝ち残っているため過密日程の真っただ中と、両チーム間でかなり異なる状況下での一戦となりました。

・また鹿島はFWレアンドロ、MF中村、SB内田、SB伊東とけが人が多い上に、FW安部がU-19アジア選手権で離脱中。おまけにMF三竿が出場停止。そんな状況下で中3日で迎える水原三星とのACL準決勝第2戦(アウェー)を睨んでか、大岩監督はMFレオシルバをベンチ外とし、FW鈴木をベンチスタートに留めるという若干駒落ち感のある布陣で浦和戦に臨んできました。しかし、終わってみればこの「若干の駒落ち感」がゲームを大きく左右したと思います。

・浦和は橋岡と荻原が-19アジア選手権で離脱。荻原はともかく、右WB橋岡は今や不動のレギュラー、かつ選手層が極めて薄いポジションなので離脱は痛手ですが、幸いにも森脇が故障から復帰して右WBを穴埋め。布陣も神戸戦から続く3-1-4-2を継続しました。

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・鹿島はいつもの4-4-2で立ち上がりこそ高めの位置からコンパクトな布陣で浦和にプレッシャーをかけていましたが、これが不思議なくらいに嵌まらずに守備が後手に回り続け、浦和が軽快にパスを繋いで立て続けに決定機を作りました。

・2分GKクォンスンテのキックミスから宇賀神クロス→興梠ポスト→森脇、10分柏木縦パス→長澤→武藤ポスト→長澤、12分武藤が昌子を振り切って前方進出→長澤→武藤エリア内でフリーでシュート。しかし、残念ながらいずれもシュートは枠すら捉えられず。

・プレスが思うように嵌まらない鹿島は前半半ばから自陣に引いて守備ブロックを固める方針に切り替えたのか、浦和は徐々にボールを持たされ気味の展開になってしまい、そうこうしているうちに鹿島のカウンターが炸裂。

・28分スンヒョン→セルジーニョ→安西のロングカウンターは岩波が辛うじて防ぎましたが、38分セルジーニョ→山本→サイコパス野郎と左右に振られた挙句に失点。この場面、中へ斬りこんできた安西に対してマウリシオが前に出て交わされたのが最も拙く、あとはセルジーニョ、山本、さらにはるか後方から走りこんで来たはずのサイコパス野郎まで全員どフリー(つД`) 優勢な時間帯に一点も取れず、逆に相手にワンチャンスを活かされて先制されてしまうという、柏木のいう「レッズあるある」な試合展開になってしまいました。

・ところが、そんな展開になっても浦和があっさり土俵を割らなくなった辺りがモチベーターとして定評があるオリヴェイラ監督の手腕なのでしょう。悪くはなかった前半の試合内容を受けて選手に自信を取り戻させる。簡単そうに見えて簡単ではない仕事をひたすらやり続けて、オリヴェイラ監督はタイトルを獲りまくった秘訣の一つなのかも。もっとも逆転に至った過程は序盤のような鮮やかな崩しではなく、セットプレーとほぼ個人技という意外なものでしたが。

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・51分森脇縦パス→興梠クロス→中の武藤には合わず、ファーで宇賀神シュートの決定機こそGKに阻まれてしまいましたが、そこで得たCKを巧くマークを外した岩波がヘッドで決めて同点。岩波はマークを外す過程で槙野と共に駆け引きを繰り広げていました。またこのゴールに限らず。この試合ではショートコーナーを試みるなど、再度セットプレーをテコ入れした様子が垣間見られ、この辺は試合間隔が開いたのが幸いしたのかも。

・同点に追いついて勢いづいた浦和はなおも攻勢。60分には青木の縦パスを受けた武藤がいきなり反転してあっさり安西&小笠原を振り切り、しかもこれまたいきなり左足を振りぬいてミドルシュートを相手ゴールに突き刺しました。オリヴェイラ監督は「今日も組織プレーがしっかりとできていたから、個人プレーも生きたのが武藤でした。」と評していますが、あそこで武藤からのパスで崩される可能性があるからこそ、相手の対応が難しくなり、その結果個人技一発でのシュートが決まるという趣旨なのかも。

・また鹿島にしてみればバイタルエリアで2枚武藤に付いていながらあっさり振り切られたのが痛恨の極み。序盤プレスが全く嵌まらない辺りに鹿島らしくない中盤の緩さが見て取れましたが、これが60分の武藤のゴールに直結したような気もします。小笠原ではなく三竿かレオシルバがボランチの一角だったら、武藤にあれほどあっさり振り切られることもなかったでしょうに。

・1点ビハインドに陥った鹿島は62分小笠原→鈴木、66分遠藤→小田と立て続けに選手を代えて猛反撃。投入されたばかりの鈴木が西川に対して「どこに出しても恥ずかしい」狼藉を働いてしまう辺りに鹿島の焦りが見て取れましたが、それでも鹿島の圧力は相当きつく、71分にはエリア内で縦パスを受けた土居を長澤が後方から押し倒してしまうPK臭い場面も。

・またセットプレーの守備も相変わらず怪しく、75分には鈴木のヘッドがポストを叩くなど、単に相手のシュートが枠に飛ばなかった=運が良かったとしか思えない場面もちらほら。

・オリヴェイラ監督は怪我明けで90分持たない森脇を諦めて72分に柴戸を入れ、さらに78分長澤→阿部、85分興梠→ナバウトと矢継ぎ早に選手を入れ替えるものの、防戦一方で有効なカウンターをなかなか繰り出せずに苦しい試合展開。とはいえ、セットプレー以外では鹿島に決定機を許しておらず、クロス攻撃は淡々と跳ね返せていたので辛うじて逃げ切れるという雰囲気が漂い出したATに飛び出したのが武藤のビッグプレー。

・自陣深い位置でボールを受けたナバウトから武藤へ浮き球の縦パス。武藤が受けた位置もハーフライン手前の自陣でしたが、そこから武藤がなんとスンヒョン、永木をドリブルでぶち抜き、さらに追いすがる昌子をも制してGKの股抜きゴール!! 常に攻守に奔走し続けてヘロヘロのはずの武藤にこんな走力が残っていること自体が驚きで、シュートを撃って追われれば上出来と思っていただけに、ゴールまで奪ってしまうとは、いやはや恐れ入りました。

・この勝利により浦和は暫定5位に浮上(6位札幌、7位C大阪が1試合少ない)し、3位FC東京&4位鹿島との勝ち点差がついに1に縮まりました。くそ暑いアウェー名古屋戦でボコボコにされ、続くホームC大阪戦でしょっぱい内容で連敗を喫しただけでなく、絶好調だったCFファブリシオを故障で失う惨事に見舞われた時には再度残留争いへの逆戻りコースが見え隠れしましたが、今にして思えばその直後に短い中断期間を挟んだのが浦和にとって良かったのかも。

・神戸戦から布陣を3-1-4-2に代えて、武藤が2トップの一角に定着。ファブリシオが健在であれば、武藤はファブリシオの分まで守備のタスクを負わされて得点なんて望み薄だったと思いますが、ファブリシオの長期離脱に伴うチャンスを見事に活かして急に点を取り始めた辺りに、妙な巡りあわせを感じます。最も喜んでいるのは「がってん寿司」を展開するRDC様かもしれませんが(笑)

003

---武藤--興梠---
---柏木--長澤---
宇賀神--青木---森脇
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
52分 岩波
60分 武藤
90+3分 武藤

(交代)
72分 森脇→柴戸
78分 長澤→阿部
85分 興梠→ナバウト

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--セルジーニョ--土居---
安西--------遠藤
--小笠原--永木---
山本-昌子--スンヒョン--西
-----クォンスンテ----

(得点)
38分 西

(交代)
62分 小笠原→鈴木
66分 遠藤→小田(小破?)
82分 山本→山口(安西が左SB、山口が左SH)

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2018.10.08

【観戦記】18年第29節:仙台 1-1 浦和 ~ セットプレー一発で試合の流れ一変

・勝ち点41で並ぶ浦和と仙台。、但し得失点差では浦和が圧倒的に有利。また浦和は足下なんだかんだと3連勝なのに対して、仙台は長崎・横浜Mと下位チームに連敗しただけでなく、横浜Mには大量5失点を喫し、チーム状態は良いとは言い難い模様。

・そのせいかどうかは判りませんが、浦和が神戸戦から3戦続けて同じ面子・同じフォーメーション(3-1-4-2)を採用したのに対し、仙台は今年出番の少ない椎橋をアンカー、梁をIHに抜擢してレギュラー格の奥埜&富田をベンチスタートとする思い切った手を打ってきました。なお仙台のフォーメーションも浦和と同じ3-1-4-2でしたが、これは基本形(3-4-2-1)に対する代表的なオプションで、浦和対策でもなんでもありません。

・試合は立ち上がりこそミラーゲームらしい、お互いボールを保持したところで出しどころに困り、そうこうしているうちに相手の守備ブロックに引っかかってボールロストというしょっぱい展開でしたが、徐々に狭い局面でのボール回しや球際での競り合いに勝る浦和が優勢となり、カウンター気味にチャンスメーク。

・11分槙野が石原からボールを奪ってからのショートカウンターはオフサイド判定でフィニッシュに至らず、13分岩波→青木のロングカウンターは阿部がイエローカード覚悟のファウルでなんとか阻止。

・さらに15分左サイドに流れた柏木クロス→武藤ヘッド(板倉が阻止)、19分対面の関口に走り勝った橋岡からのクロス→興梠シュートは枠外とこの試合のカギであった両サイドの攻防でも浦和が優位に立ったと見られる場面が続き、24分ついにサイド攻撃が実って浦和が先制。宇賀神スローイン→興梠が左サイドを疾走→後方の長澤に戻してからアーリークロス→ファーにどフリーで走りこんだ橋岡がヘッド!!という見事な形でした。

013

・仙台はボールを支配こそすれこれといった攻め手がなく、浦和WBの裏を突く狙いこそ見え隠れするものの、浦和守備陣に読まれていて不発と全くいいところがないまま前半終了と思われた時間帯に、浦和まさかの失点。

・野津田FKは距離があったので浦和は横並びにゾーンで守っていましたが、横列のニアに走りこんだ板倉がどフリー。板倉のヘディングシュートは角度こそ厳しかったものの、上手く西川のニアを抜けて行きました。

・現金なもので、これで仙台は息を吹き返すどころか一気に優勢に。同点に追いついた直後、43分にはカウンターから野津田→橋岡の裏へ抜け出した梁クロス→逆サイドから蜂須賀シュートという仙台が最も得意とするワイドな攻撃を披露し、そのまま後半も浦和を自陣に釘付けにしつづけました。

・浦和は52分マウリシオが自陣深い位置でノープレッシャーなのにパスミスを犯してしまった場面に象徴されるように、前半とは打って変わってグダグダ模様に。仙台のパス回しの前に守備が後手後手に回り、影を追い回すような恰好になっていい形でボールが奪えなくなってしまいました。浦和は5-4-1の守備ブロックで耐えてはいるものの、良い形でボールが奪えないので必然的に興梠が最前線で孤立。興梠は19分の決定機逸の際に負傷したのも祟ってか、前半ほどボールキープが出来なくなって浦和守備陣も最終ラインを押し上げられないという悪循環に。

・さらにこの日は台風25号の影響で、秋の仙台とは思えないくらい蒸し暑かったのも災いして、浦和の選手たちの足が止まるのも早かったように感じました。また悪いことは続くもので、57分に青木が野津田に蹴られて負傷。オリヴェイラ監督は60分に阿部を投入せざるを得なくなってしまいました。

・悪いことといえば、この日の主審は悪名高い「あ行主審」の中でも群を抜いた酷さで知られる池内主審。仙台の伝統芸能=ラフプレーにえらく寛容で仙台のイエローが序盤の阿部への一枚で終わったのにも驚きでしたし、仙台のハンド見逃し(×2)で浦和の選手たちが猛抗議しながらプレーを続ける一幕もあって選手の集中が切れやすい要素がてんこ盛りでしたが、浦和はそこをぶち切れずによく耐えたと思います。

・また仙台は優勢とはいえなんだかんだとセットプレーくらいしか決定機は作れず、流れの中からは最後の最後で浦和DF陣に防がれてしまう場面だらけ。「ボール支配率は高いがほとんどシュートが撃てない」という、往々にしてポゼッション重視型のチームが陥りがちな罠にずっぽり嵌まっているように見受けられました。また終盤浦和の選手交代がそこそこ奏功したのに対し、仙台の選手交代はほぼ無意味だったのも仙台が後半の優位を活かせなかった一因でしょう。

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・オリヴェイラ監督は76分長澤→興梠→武藤のロングカウンターのチャンスが潰えた時点で、消耗しきった興梠を諦めて故障明けのナバウトを投入。ナバウトは空回り気味で、かつ連携に難があるのは明らか(=加入直後の姿そのまんま)だったので即効性はありませんでしたが、最後の交代(84分長澤→柴戸)が効いてようやく浦和が高めの位置でボールを奪い返せるようになって遅まきながら反撃開始。

・87分右サイドから柴戸クロス→阿部→武藤→宇賀神がバイタルエリアからどフリーで強襲するもGK辛うじてパンチング。AT+2分柏木が椎橋からボール奪取→武藤→ナバウトのシュートはわずかに枠外。さらに終了間際柏木CKからの流れで宇賀神シュート→GK弾いたこぼれ玉にに槙野が反応する場面がありましたが、ボレーシュートはバーの上。

・前日札幌とC大阪が共に敗れているので、この試合に勝てば上位浮上が現実味を帯びてくるはずでしたが、結果は文字通りの痛み分け。前述のように仙台は優勢だった時間帯ですらたいして決定機を作れなかったため、前半&終盤により数多く決定機を作っていた浦和のほうがどちらかといえば「勝てた試合」だったように思えてなりませんが、それだけに前半のうちにセットプレーで同点にされ、流れを一変させられたのが悔やまれます。

・仙台は狙い通りのセットプレーがここ一番で炸裂し、浦和はそれなりに守備練習していたはずのセットプレーでやられ、自分のセットプレーのチャンスは一つも活かせない。オリヴェイラ監督就任後、特にW杯の中断期間中にセットプレーの練習を重ねているはずですが、なかなかうまくいかないものです。

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---武藤--興梠---
---柏木--長澤---
宇賀神--青木---橋岡
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
24分 橋岡

(交代)
60分 青木→阿部
77分 興梠→ナバウト
84分 長澤→柴戸

・橋岡がプロ入り後公式戦初ゴール! 対面の関口に何もさせなかった(特に身長差がかなりあるので、西川からのハイボールに全部競り勝てるのには笑った)どころか、見事に関口を出し抜いての見事なゴールでした。さすがいゴールパフォーマンスを繰り出す余裕まではなかったみたいですが。

・柴戸は勝っている試合のクローザーに留まらず、とうとう勝ちに行く場面でも終盤に登場。しかも短時間ながら反撃に一役買っていました。前に出るほうが持ち味が出やすいようなので、目先は阿部や青木ではなく、長澤がライバルになるのかな?

・故障離脱していた森脇がついにベンチに復帰。仙台戦を最後に橋岡と荻原がしばらくインドネシアU-19アジア選手権で離脱してしまうだけに、層が極端に薄いWBをこなせる森脇の復帰は嬉しい限り。今年復帰しては故障を繰り返しているだけに森脇に全幅の信頼が置けるとは言い難いのも正直なところですが、何せ人がいないポジションなので、とにかくよろしくお願いします。

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--阿部----石原--
--梁----野津田--
関口---椎橋--蜂須賀
--板倉-大岩--平岡-
-----シュミット-----

(得点)
40分 板倉

(交代)
69分 梁→奥埜
77分 阿部→ハモン・ロペス
84分 関口→永戸

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2018.10.01

【観戦記】18年第28節:浦和 3-2 柏 ~ 台風の前に霞む太陽王・・・

・巨大かつ超強力な台風24号が迫りくる中、試合催行自体が危ぶまれた一戦。結局催行決定は翌朝にまでずれ込み、催行が決まっても大雨&強風下での試合になる可能性があり、さらに武蔵野線を筆頭に交通機関が止まってしまう可能性もあるせいか、観客数は前節神戸戦の半分以下(26,431人)と大きく落ち込んでしまいました。

・浦和はこの試合に勝てば今年の残留ラインの「高めの目安」とされる勝ち点40を超え、残留争いからは完全に脱却できるだけでなく、暫定順位ながら6位に浮上して上位進出の足掛かりが掴めます。一方大混戦の残留争い真っただ中の柏は現在17位と降格ゾーンにいるだけに最低勝ち点1でも積み上げてひとまず降格ゾーンからの脱出を狙いたいところ。

・お互いが置かれた状況の差を反映してか、試合は基本的に浦和がボールを支配して柏を自陣に押し込み、柏がロングカウンターを狙うという展開に。しかし、得点シーンは共にお粗末な守備が目につくトホホなシーンの連続で、いかにも中下位チームの対戦らしい試合内容だったと思います。決勝点となった興梠のゴールが鮮やかだったのがせめてもの救い。

・しかしこの日みたいな天候だと、かなり思考回路がヤバイ赤者しかスタジアムにやって来ないので、観客は26000人強しかおらず、かつ試合展開&試合内容がアレだった割には終盤埼スタはやたら盛り上がりました。もっとも平日夜のACLノックアウトステージはもっとヤバイんですが(苦笑)、浦和の復調と軌を一にするかのように、スタジアムの活気も少しずつ戻りつつあるような気がしました。

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・浦和のスタメンは前節と全く同じ。かつ基本フォーメーションも前節同様青木アンカーの3-1-4-2。一方柏はいつもの4-4-2の布陣ながら前節前半だけでお役御免となった伊東がベンチスタートになり、代わりに江坂が右SH、さらに亀川が小池に代わって右SBに入ったのが目を惹きました。

・前述のように前半から浦和は柏を自陣に押し込んでいる時間こそ長めでしたが、4-4-2の守備ブロックをつくる柏を崩せず、半ば以上「ボールを持たされている」状態。特に右サイドで高い位置にいる橋岡に大きく展開しても、そこから何も起こらないのが非常に辛い。サイド攻撃を上手く使えないのが災いして、浦和はボールを持たされるとしんどい状態からなかなか抜け出せません。

・序盤は19分青木→長澤→青木でエリア内に突入したのが惜しかったくらいですが、シュートは角度がなくてGK桐畑セーブ。オリヴェイラ監督は「最終的にはピッチコンディションが相手にとって有利に働いたかなと思います。」と嘆いていますが、雨が激しくなり、ピッチがやたら重くなったのは後半に入ってからのことで、前半はさほどでもなかったかと。

・一方柏はわかりやすいロングカウンター狙い。早くも8分に江坂縦ポン→瀬川が裏抜けに成功しかかり、29分には浦和右サイドでボールを奪取したクリスティアーノが一気に敵陣深くまでボールを運んでどフリーのオルンガがシュート(幸いバーの上)。

・そしてついに35分柏がカウンターで先制。またしても浦和右サイドでボールを奪取し、オルンガ→江坂スルーパス→瀬川と繋いで、最後はオルンガが仕上げ。浦和はパスミスによるボールの取られ方が悪い上に、なぜか江坂がどフリー、おまけに瀬川にはマウリシオ&槙野と二人付いていたのにマウリシオが慌ててスルーパスをカットしようとして失敗とお粗末な対応の連続で、これでは失点も道理。

・ところが、その浦和を上回るお粗末な守備を披露したのが柏。38分興梠ポストから左SB高木の裏への抜け出しに成功した武藤からアーク付近にいた長澤へクロス。ボールを受けたとはいえ、長澤はDF3人に囲まれているという絶望的な状態でしたが、そこでなんと亀川がクリアミス!ボールは長澤の前にこぼれ、長澤はGKのニアをぶち抜いてたちまち同点。

・さらに41分にはパク・ジョンス圧巻の凡ミス!!降格するチームにありがちな、チーム全体の心を折るような大失態でした。 

・パク・ジョンスに興梠がプレッシャーをかけたもの、ジョンスはGKに戻せば何の問題もなかったはず。ところがGKに信用がないのか、ジョンスが無理に前にボールを出そうとして興梠にカットされる大失態。こぼれ玉を武藤が回収→興梠が前に出ていたGKをループシュートで抜いて浦和があっさり逆転に成功しました。

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・内容は良くなく、相手に先制されながらも柏守備陣のお粗末さに助けられて前半のうちに同点に追いついたどころか逆転に成功した時点で浦和の勝利は揺るがないだろうと思っていたのですが、なんのなんのお粗末さにかけては浦和も柏に全く引けをとりません!!

・60分浦和右サイドでスローインを受けたクリスティアーノがアーリー気味にハイクロス。滞空時間の長いクロスだったので浦和CBは難なく対応できるだろうと思っていたら、なんとちっちゃい瀬川のマークが完全に外れていて失点。あれだけどフリーだと背の高い低いなんて何の関係もありません。何してんねん、マウリシオ・・・ そもそもスローインをクリスティアーノに戻した時点で最終ラインを上げるべきだったのではという気も。

・浦和は66分橋岡クロス→エリア内中央で長澤ヘッドで繋いでファーで興梠ダイレクトボレーがバーを直撃、71分左に流れた長澤クロス→興梠オーバーヘッドシュートと見せ場を作るものの決めきれず。

・そこで73分オリヴェイラ監督はこの日攻守共あまり良いところがなかった橋岡を下げて李を投入し、武藤を無理やり右WBに配転。すでに2トップの一角として走り回っている武藤を、より運動量を要求されるWBへ回すなんて狂気の沙汰としか思えませんが、サイドの人材難が今の浦和の辛いところ。そして武藤は監督の負託によく応えました。また後半雨が激しくなってピッチに水が浮き出し、パスを軽快に繋ぐのが難しくなった時点で、パワーがありドリブルでボールを運べる李を投入したのも妙手でした。

・浦和は自陣深く引いて守る柏守備陣に対して74分青木、78分岩波と遠目から際どいシュートを連発。これもピッチコンディションが悪い日の打開策として悪くない選択でしょう。

・そして81分ついに武藤の配転が奏功!! 宇賀神のクロスはアバウトすぎて誰にも合いませんでしたが、ファーの武藤が拾ったのが幸い。武藤クロス→興梠ボレーがこの日の決勝点に。結果的に相手守備ブロックを左右に振り回す形になり、興梠がうまく相手のマークを外した時点で勝負あり。こういうゴールを数多くみたいものです。

・柏は59分に早くも伊東を投入して勝負に出ましたが、投入後の攻めがかなり雑で総じてオルンガ&クリスティアーノのパワー頼みになってしまった印象。突き放されてから山崎を投入して3バック(3-4-3?)に布陣を変えて反撃に出るも、浦和も柴戸投入後5-4-1の布陣で柏に全く見せ場を与えずに逃げ切りに成功。

・浦和はなんだかんだとリーグ戦3連勝。相手がしょぼすぎた神戸戦はともかく、横浜M戦は負けていてもなんら不思議はなく、そして今節柏戦では守備にお粗末な場面が目立ったため3連勝という結果の割には強い感じはせず、上位陣と対戦した際にボロが出そうな気がしないでもありません。

・しかし対川崎戦ダブルで実証されたように相手の試合運びが積極的なほうが持ち味を出しやすいのが今の浦和。最近急激に積極的な試合をやるようになった仙台戦が楽しみです。「仙台キラー」で知られる興梠が復調してきたことですし。

004

---武藤--興梠---
---柏木--長澤---
宇賀神--青木---橋岡
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
38分 長澤
41分 興梠
81分 興梠

(交代)
73分 橋岡→李(李FW、武藤右WBへ)
79分 長澤→阿部
85分 興梠→柴戸(李の1トップで5-4-1)

・柴戸が難しい状況下で早くも「ピッチャー鹿取」を命ぜられるようになるとは!! 加入後なにぶん怪我がちでルヴァン杯ですらなかなか出番を得られませんでしたが、練習を重ねてついにオリヴェイラ監督の信頼を得たのでしょう。今日は攻守に常にアグレッシブ、かつ無謀ではないという絶妙のストッパーぶりでした。89分李へのアシストはわずかにオフサイドで惜しいことをしました。

・驚いたことにナバウトがついにベンチ入り! W杯で再度右肩を痛めて今季絶望レベルの長期離脱を余儀なくされていたはずなのに、岡野ばりの驚異の回復を見せて3か月強で戦線復帰。しかも仙台戦が復帰目標と伝えられていたのに、1試合前倒しでベンチ入りとは!!非常に判りやすい、赤者受けしやすいファイターっぽい言動で、ピッチに顔を出すだけでスタジアムが盛り上がります。

018

---瀬川--オルンガ---
クリスティアーノ------江坂
---大谷--小泉---
高木-ジョンス--鈴木-亀川
-----桐畑-----

(得点)
35分 オルンガ
60分 瀬川

(交代)
59分 江坂→伊東
85分 亀川→山崎
89分 大谷→手塚

・敗れはしましたが、新外国人オルンガが強烈に印象に残りました。JレベルのCBが概して苦手な長身&体格がっしり系のCFで、53分にはクリスティアーノの縦ポンを受けて、槙野を弾き飛ばして反転&一気に枠内シュートに持ってゆく見せ場も。またクリスティアーノの縦の推進力&ワイドな展開力もこの日は衰えを感じられず。この両外国人がいて、ドリブルの切れ味鋭い伊東がいて、攻撃面では何の問題もなさそうなのに残留争いにどっぷり足を突っ込んでいるのが実に不思議です。

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