2019.09.18

【観戦記】ACL2019・準々決勝第2戦:浦和 1-1 上海上港 ~ 勝つも地獄、負けるも地獄、苦渋の準決勝進出

・リーグ戦は第20節磐田戦の勝利を最後に4分3敗と全く勝てず(しかも毎試合失点!)、特に第24節松本戦の敗戦が響いて第26節終了時にはとうとう15位に転落し、16位鳥栖に勝ち点4差と迫られてしまいました。

・9位神戸との勝ち点差がわずか1という団子状態ながら、浦和は団子組の中では得失点差が清水に次いで極端に悪いのが響き、鳥栖・清水と続くリーグ戦の結果如何ではいよいよ20年ぶりのJ2降格がちらつき出す非常に厳しい状況に立たされています。従って「もはやACLどころではないだろう!!」というのが正直なところです。

・ただいざACLの舞台に立つと妙にテンションが高くなってしまうのもまた事実。そんな思いを少なからずの方々も抱いているのか、シーチケ対象外の試合にも関わらず、観客数は直近のC大阪戦を大きく上回りました。またキックオフ直前に「一回あたり200万円」と噂される3Dビジュアルが掲げられたことに象徴されるように、応援のボルテージも普段のリーグ戦とは段違い。

・ACL準々決勝勝ち抜けに成功すれば、残留争いのカギを握る清水戦の前にACL準決勝第1戦が入って、中3日で清水戦を闘う羽目になる。かといって負けてしまうと自信を失ってただでさえ悪いチーム状態が一層悪くなってしまうかもしれない。まさに「勝つも地獄、負けるも地獄」。

・とはいえ、負けて得るものなんて実はあんまりない。負ければ少々日程が楽になるかもしれないが、自信が失われるダメージのほうが遥かにでかい。「苦渋の選択」ならぬ「苦渋の準決勝進出」というのもなんか変な気がしますが、ACL準々決勝勝ち抜けを極力前向きに捉えたいと思います。

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・スコア上は1-1のドローに終わりましたが、AFCのサイトによるとシュート数で18対6、うち枠内6対2と浦和が圧倒。また浦和のデュエル勝率60.5%、空中戦勝率68.6%と球際でも強さを見せ、内容は浦和が完勝といっていいでしょう。もっとも浦和は毎度毎度のことながら追加点が取れず(GKイエン・ジュンリンの好守を褒めるべきか)、また失点パターンはこれまた毎度お馴染みの形で、結局またしても勝てなかったとネガティブな見方も出来ましょうが。

・内容で浦和が大きく上回ったのは端的に言って「欠場した外国人選手への依存度の差」。具体的に言えば、浦和はマウリシオ不在がほとんど痛手にならなかったのに対し、上海は攻めてはフッキ(イエロー累積)、守ってはアフメドフ(故障)の欠場が大きく響いたように感じました。どちらかといえばアフメドフ不在の影響がでかくて、上海の中盤は終始スカスカのように感じられました。

・今の浦和は相手に終始ボールを回されるとか、逆に相手の守備ブロックの前でボールを持たされるような状況下では極めて弱い一方、相手の守備が緩くて攻め合いになるような状況下ではそこそこ強いので、この日の上海は浦和には組み易い相手だったかと。

・また巨漢CFアルナウトビッチがほとんど何の役にも立たなかったのも上海には大誤算でしょう。まさか鈴木に完封されるとは!

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・上海は戦前予想通り、第1戦後半で猛威を振るった4-1-2-3のフォーメーションでスタート。6番(ツァイ・フイカン)がアンカーですが、本来左IHのオスカルが中盤を浮遊するので4-2-1-3にも見える感じ。

・第1戦をアウェーゴール2つ付きのドローで折り返した浦和はこの試合勝てばもちろん、0-0ないし1-1のドローでも勝ち抜け可能という立場でしたが、如何せん毎試合失点を重ねているテイタラクで「守ろうとして守れる」チーム状態ではないことを自覚してか、いつも通りに前がかり気味に試合に入りました。スタメンはC大阪戦から汰木→橋岡、阿部→エヴェルトン、武藤→ファブリシオと3名入れ替え。

・フォーメーション上ミスマッチが起こりやすいせいか、どちらの守備もあまり嵌まらずに攻め合いの様相を呈しそうになった中で最初に決定機を掴んだのは上海。7分オスカルが浦和右サイドからクロス→アルナウトビッチがどフリーでヘッドと目も当てられないというか、浦和お馴染みの失点パターンを作られてしまいましたが、幸いにもシュートは枠外。

・しかし気の毒にも25分右IHの20番(ヤン・シーユエン)が負傷退場。この辺りからボールポゼッションで勝り、球際での競り合いにも勝るる浦和が相手を押し込み出し、35分エヴェルトン右サイドのスペースへ展開→橋岡クロス→ボックス内から長澤シュートの決定機(GKが好守)。ついで39分関根が左サイドを単騎持ち上がり、そのまま縦に抜けると見せかけて切り返してクロス→ボックス内で興梠がどフリーでヘッド。これもGKが阻みかけましたが、ボールの勢いが勝ってなんとかゴール!!

・関根は連日の無理使い&無駄遣いが祟ってC大阪戦ではキレが失われているのが明白だっただけに、個人的にはこの一戦でのスタメン起用はどうかと思いましたが、比較的元気だった前半のうちに得点に絡んだことで大槻監督の賭けは珍しく吉と出ました。もっとも案の定後半はほぼ消えてしまいましたが・・・

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・浦和先制で2点以上取らないといけない羽目に陥った上海は後半頭からフォーメーションを3-4-2-1と第1戦前半の布陣(オスカルが左シャドー)に変えてきましたが、それでも浦和の攻勢は止まらず。56分ロングカウンターで関根縦パス→興梠→長澤→橋岡と右サイドへ展開して橋岡がボックス内に突入する決定機がありましたが、でかいGKがシュートコースを上手く消していたのか、橋岡は撃たずに横パスを選択して逆に上海のカウンターの基点となる始末。

・そして60分浦和の失点場面。後半初めてのピンチらしいピンチでしたが、ゴールライン際で橋岡を背に11番(リュ・ウェンジュン)が粘って、後方の21番(ユーハイ)に戻し、ユーハイはどフリーでクロス→ファーに4番(ワン・シェンチャオ)が飛び込んでゴール。WBが深い位置まで下がってしまった際のその前のスペースを使われての失点、そしてファーでWBなりシャドーなりが見るべき選手を離してしまっての失点。もう何度同じような失点場面を見たことやら。

・同点に追いつかれたとはいえ浦和優勢の戦況はなんら変わりなく、61分長澤が戻したボールを受けてボックス内へ突入した橋岡のシュートがバー直撃、68分長澤縦パス→橋岡クロス→エヴェルトンスルー→興梠シュート(やや力なくGK正面)、70分ロングカウンターで長澤縦パス→興梠シュート(GK横っ飛びでセーブ)と立て続けに決定機を迎えましたが、追加点はならず。

・終盤の失速もこれまたお馴染みの光景ですが、大槻監督は78分エヴェルトン→柴戸、83分関根→阿部、86分ファブリシオ→武藤と「とにかく守りきる!」というメッセージ性の強い交代を順次敢行。エヴェルトンに代えて最初に投入されたのが阿部ではなく、またヘロヘロの関根を代える際に宇賀神投入ではなく柴戸を左WBに出したのが不思議でしたが大過はなく、パワープレー気味にロングボールをバンバン入れてきた上海に対して最終ラインを下げ過ぎずに的確に対応。ヒヤッとしたのは89分のCKでユーハイのヘッドだけかな?

・冒頭に記したようにどこまで今大会のACL準々決勝勝ち抜けを喜んで良いのやら、苦笑いを浮かべながら自分の中で上手く消化しかねていますが、なんとかここで得た自信をアウェー鳥栖戦での大一番に活かしてほしいものです。

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-----興梠-----
--ファブリシオ---長澤--
関根-青木--エヴェ-橋岡
-槙野--鈴木--岩波-
-----西川-----

(得点)
39分 興梠
60分 ワン・シェンチャオ(上海)

(交代)
78分 エヴェルトン→柴戸
83分 関根→阿部
86分 ファブリシオ→武藤

・青島ビール賞は興梠に渡りましたが、次点というものがあれば橋岡でしょう。久しぶりにゴールキックのターゲットとなって相手に競り勝ちまくり、機を見て対面のSBなりWBなりの裏へ全速力で駆け上がる橋岡の姿が堪能できました。これでクロス精度なりシュート精度なりが上がれば言うことなしですが、そうなってしまうと海外行きが確実というアンビバレント・・・

 

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2019.09.14

【観戦記】19年第26節:浦和 1-2 C大阪 ~ 気持ち攻撃、気持ち守備の限界

・選手達が目一杯頑張っているのだけはしっかり伝わってくる。選手達の頑張りだけははっきりと判るだけに、この結果はあまりも歯がゆいからか、あるいは単なる「負け慣れ」なのか、試合後のスタジアムは目立った野次もブーイングもなく、ただただ静まり返っていました。中3日で迎えるACL準々決勝第2戦なんてもはや「何それ?」という感じ。

・残念ながらプロの世界では「気持ち」だけではどうにもなりません。シュートはたった6本しか撃たれていませんが、「しっかり守って数少ないチャンスを活かす」というあまりにも堅実なコンセプトのもとに鍛えられ、組織化された相手に対し、未だに何がやりたいのか判然とせず、コンセプトもへったくれもなく、攻守とも選手の頑張りにひたすら依存しているようにしか見えない「ちょいゲルト」風味のサッカーではドローが精一杯。

・ボールを持ちたがる割にはボールを持ったところで何が出来るわけでもなく、結局のところチャンスはカウンターでしか作れない。かといってしっかり守備ブロックを作って守れるわけでもないので、「前ハメ」で引っかけるしかない。ただそれは体力的に90分続かず、往々にして自陣でのファウル増などの形で終盤に歪みが出る。浦和は10本シュートを放っていますが得点場面以外にこれといった決定機はなかった一方、失点場面はどこかしら既視感があるもので、勝ち目はほとんどありませんでした。

・また案の定というかなんというか、ルヴァン杯での無駄すぎる全力投球、あんまりな資源の無駄遣いはこの試合でしっかり祟りました。無駄遣い1号=興梠はこの試合でもなんとかスタメン出場し、故障を抱えながらの割には悪くない出来でしたが、無駄遣い2号=関根の疲弊は明らかで全くキレがありませんでした。資源の無駄遣いから来る関根の疲弊が浦和の攻撃に何の可能性も感じられなかった主因でしょう。

・未だに何がやりたいのか判然とせず、選手の個人能力に依存する傾向が強い割には、物事に軽重を付けられずに無駄に選手を疲弊させてしまい、結局何も手に出来ない。大槻監督更迭までのカウントダウンが一気にガガガと進んでしまったような敗戦でした。

・この試合はとうとうダンマクゼロ。いや「リーグへの意地があるなら結果を出せ」の手書きダンマクが一枚掲げられましたが、試合終了後に暢気にACLの宣伝をしていたフロントにどこまで危機感があるのやら?

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・浦和のスタメンは、前述のようにルヴァン杯第2戦で負傷交代を余儀なくされた興梠がなんとスタメン起用されたのが最大のサプライズ。次いでルヴァン杯での出来が大槻監督に評価されたのか、汰木が左WBで再びスタメン起用されたのにも驚きました。また出場停止のマウリシオに代わって鈴木、さらになぜかエヴェルトンに代えて阿部がスタメン起用されました。

・C大阪U-22アメリカ遠征帰りのCB瀬古に代わって木本がスタメンに復帰したのが目を惹いただけ。

・前半の試合内容は双方「守り合い」の様相を呈した渋い、渋すぎるものでした。C大阪はいつもの4-4-2の布陣でしたが、この守備網で前から圧力をかけてきて浦和のパスコースを上手く消しているのか、浦和はとにかくビルドアップに四苦八苦。怖くて前3人に縦パスは入れられないせいか、WBまで運ぶのが精一杯。しかもそのWBも高い位置を取れないので攻撃の基点にも何にもならず。

・ルヴァン杯では高い位置に張り出したWBへの大きなサイドチェンジ、そしてWBの一対一での仕掛けが有効でしたが、守備に関してはC大阪は鹿島より格段に上で、WBには絶えず2人で応対して何もやらせず。これではルヴァン杯で一対一ですら無理っぽかった汰木に「仕掛けろ!」と言うのは酷な話ですが、バックパスの安全運転を繰り返すだけならスタメン起用した意味がないというか、守備能力を考えれば宇賀神で十分な気が・・・また疲労困憊の関根もどうにもなりませんでした。

・一方、守備はまずまず。前3人&WBで前からハメに行って、C大阪に容易にビルドアップを許さず。嵌まらなければリトリートして5-4-1の守備ブロックを形成。C大阪が苦し紛れにFW目掛けてロングボールを入れて来たら槙野や鈴木が難なく応対し、前半はC大阪にもさしたる決定機は与えず。特に相手ゴールキック時には常に前残り気味になって細かいビルドアップをさせず、ジンヒョンにロングボールを蹴らせるように仕向けていた辺りは研究の跡が伺われました。

・ただその過程で往々にして中盤に青木と阿部がポツンと残る形になって、両選手が広大なエリアをカバーする羽目になり、これが終盤の阿部退場の遠因になったような気がします。

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・膠着状態だった戦況が動いたのは後半開始早々。後方から持ち上がった左SB丸橋に対する長澤のアプローチがいかにも中途半端で簡単に交わされたのがケチのつけ始め。関根は柿谷を見ていて反応が遅れたのか、これまたあっさりと丸橋に交わされてしまい、丸橋は楽々浦和右サイドを駆け上がって逆サイドへ低いクロス→水沼スルー→後方から駆け上がって来た松田がゴール!! 松田のシュートは汰木に当たって微妙にコースが変わる不運なものでしたが、浦和の前ハメが効かず、守備ブロックを形成する暇もない間にやられてしまうという、起こるべくして起こった失点でした。

・リスクをかけて攻めざるをえなくなった浦和は55分結局何の役にも立たなかった汰木に代えて荻原を投入して大反撃。ロティーナ監督は先制したらゲームを塩漬けにしてしまうのが得意中の得意のはずですが、「狂犬荻原」の存在は眼中になかったのでしょうか? 荻原投入後しばらくオープンな展開というか「カオスの海」が広がる、浦和にとって好都合な展開になり、その中で60分にロングカウンターが炸裂。左サイドを疾走してボックス内に突入した荻原のシュートがポストを叩き、興梠が詰めて浦和同点に。

・ところがロティーナ監督がこの「カオスの海」を放置するわけがなく、66分メンデス→鈴木、71分柿谷→田中と相次いで選手を代えてチームに落ち着きをもたらすのに成功した一方、浦和は荻原の狂犬ぶりが次第に空回りする格好に。82分阿部の退場の契機は荻原が2人相手に無理やり突っかけてボールを失ったところから。

・阿部も1枚イエローをもらっている選手がやることにしては軽率すぎだろうと思いますが、そもそも1枚目をもらったプレー(柿谷のドリブル進出を手で阻止)をみるにつけ、そもそも大ベテランに広範な中盤のスペースをカバーする役割を強いるような戦術に無理があって、起こるべくして起きた退場劇だったような気も。

・大槻監督は直ちに興梠に代えて柴戸を入れましたが、その柴戸が「第2狂犬」になってしまったのが直接の敗因に。阿部退場後のFKからC大阪はしっかりボールを繋いで浦和左サイドへ展開。後方から上がって来た松田に対してなぜか柴戸が飛び出してあっさり交わされたのが契機となり、柴戸が守るべきだったバイタルエリアにそのまま松田が進出→同じくバイタルエリアでどフリーの田中のミドルシュートが炸裂!! 大槻監督の寄って立つ「気持ち守備」が完全に裏目に。

・再び突き放されたとはいえ、まだATを含めて10分程度時間が残っていましたが、一人少ない浦和の攻撃には何の可能性も感じられず、22,640人と元々少なかった観客の中にはちらほら家路につく姿も見受けられる始末。荻原&柴戸の「ダブル空回り」。そして全く意味不明な杉本への放り込みの連続という地獄絵。当然ながら何の見せ場も作れず、そのまま試合終了。

・次節アウェー鳥栖戦は「痺れる一戦」になってしまいました。場所的にも2011年の博多の森を思い起こされる感じ。幸いそれまでに2週間あり、途中のACLや天皇杯を踏み台になんとか立て直しを図ってほしいものです。

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-----興梠-----
--武藤----長澤--
汰木-阿部--青木-関根
-槙野--鈴木--岩波-
-----西川-----

(得点)
60分 興梠

(交代)
55分 汰木→荻原
77分 長澤→杉本
83分 興梠→柴戸

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---メンデス--奥埜---
柿谷--------水沼
---藤田--デサバト--
丸橋-木本--ヨニッチ-松田
-----ジンヒョン----

(得点)
47分 松田
84分 田中

(交代)
66分 メンデス→鈴木
71分 柿谷→田中
89分 水沼→片山

※清武・高木・都倉が故障中。

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2019.09.09

【観戦記】ル杯2019準々決勝第2戦:鹿島 2-2 浦和 ~ 無意味な全力投球で興梠負傷という最悪の結末

・どこからどう考えても最もプライオリティーの低いルヴァン杯にほぼガチメンを送り込みながら、「2点以上取ったうえで勝つ」というタスク達成に失敗した上に、「ガチメン」の中で最重要であり、全く代えが効かない興梠が負傷するというこれ以上ない最悪のシナリオが現実のものに。

・相手の出方の変化に対応できなかった松本戦のあんまりな逆転負けを「大槻監督の終わりの始まり」と評しましたが、ルヴァン杯は「試合にプライオリティーを付けられない」「取り組みがどれもこれも中途半端に終わる」というやや中期的な観点から大槻監督の能力に疑問符を付けざるを得ない結果に終わり、またしても監督解任までのカウントダウンがちょっと進んでしまったような印象を受けました。

・もっとも大槻監督はトップチームでの経験がほとんどない新米監督であり、至らざるところが多々あるのは当たり前。そんな監督をなぜか急遽招聘して案の定さしたる結果は出ず、おまけに今年獲得した選手はどれもこれも給料なり移籍金なりに全く見合わない残念な出来に終わるという惨状をもたらした中村GMは、大槻監督の去就とか関係なく「さいたま市中引き回しの上、打ち首獄門」に処して然るべきでしょう。とはいえ、立花社長がその惨状及びのその主因をどこまで認識しているのか、かなり怪しいのですが・・・

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・浦和は大幅にメンバーを落とした第1戦からファブリシオ→興梠、宇賀神→長澤、阿部→エヴェルトン、柴戸→青木、鈴木→岩波スタメンを大きく入れ替えて、汰木以外は現有のベストメンバーで第2戦に臨みました。少なくとも2点取らないといけないせいか、第1戦の後半途中で試行した「WBでの汰木&関根の併用」という「超バンザイ攻撃」を採用したのが目を惹きました。

・第1戦、前半だけで「0-3」という非常に厳しい状況だったにも関わらず、何の躊躇もなく興梠を投入したくらいなので、第2戦はほぼガチメンで臨むだろうと予想していましたが、予想以上にガチメンでした。

・鹿島は第1戦からスンヒョン→犬飼、永木→三竿、名古→セルジーニョ、土居→遠藤と4名入れ替え。こちらも浦和同様この後リーグ戦・ACL・天皇杯と次ぐ厳しい日程ですが、若手有望選手を海外にボコボコ引き抜かれてもなお戦力に格落ち感が出ない分厚い選手層のもとで「ご利用は計画的に」とばかりに上手くターンオーバーをこなしています。

・「少なくとも2点取らないといけない」とやるべきことがはっきりしているせいか、浦和の選手達の動きは非常に良く、大槻監督就任以来最高の出来と評してもいいくらい。敵将ですら「相手は試合前の状況でアグレッシブに来ることを想定していましたけれども、あれほどハイインテンシティーで入ってくることは少し予想外でした。」と驚いたほど。

・前3人への縦パスがズバズバ入り、時に最終ライン裏を狙わせるなどして相手守備陣を中央に寄せたところで、高い位置で空いているWB、特に汰木へ大きく展開してサイドから攻めまくりました。岩波から汰木へのワイドな展開なんて形としては垂涎もの。「ちょいミシャ」の4-4-2に対する攻撃手法としてはまさに教科書通りでした。

・また超前がかりな姿勢が良い目に転んでボールを失いそうになっても球際に強く、セカンドボールの回収も早く、ボールを失っても高い位置で奪回出来てと言うことなし。下がってボールを引き出して、いったん叩いては相手の最終ラインの裏を狙い、ボールを失ったら素早く切り替えて守備に回る武藤の消耗はハンパないだろうとは思いましたが。

・8分サイドに流れた興梠クロス→武藤ヘッド(緩い上にGK正面)、16分汰木クロス→興梠ヘッド(わずかに合わず)、21分汰木の縦パスを受けた武藤が左サイドを深く抉ってシュート(角度なくGKセーブ)ると良い形を作りました。

・ただ残念ながら汰木が何度も一対一での勝負の機会を与えたにも関わらず、ドリブルで対面の相手を突破できないという「J1での実力不足ぶり」が祟ってしまい、左サイドは次第に汰木がタメを作って武藤を走らせるだけに。前半浦和の得意な形に持ち込み、圧倒的に押していた割には1点どまりに終わったのは汰木の力不足が主因でしょう。これなら宇賀神の牙城は崩れそうにありません。

・そして28分の先制点は意外な形から。鹿島のクリアボールをバイタルエリアで回収した青木から興梠への縦パスはちょっとずれたものの、興梠がボックス内右サイドで拾ってクロス→長澤&エヴェルトンと二人飛び込んで、エヴェルトンがゴール!! エヴェルトンは38分にも際どいミドルシュートを放ってGKクォン・スンテに冷や汗をかかせる見せ場があり、総じて「ちょいミシャ」攻撃時の4-1-5の「1」のはまり役になりつつあるという好印象を受けました。

・鹿島の前半唯一の決定機は41分、遠藤からのスルーパス一発で白崎が関根の裏を取り、折り返しを伊藤がシュート。絶体絶命の大ピンチでしたが、ここは西川がビッグセーブ。

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・1点どまりだったとはいえ、この大ピンチ以外は鹿島に何もやらせず、上々の出来で折り返しましたが、残念ながら後半早々に興梠が負傷して試合は一気に暗転。46分長澤→興梠のカウンターのチャンスで、興梠のシュートをブエノがブロックした後に興梠と交錯。興梠はいったんピッチに戻ったもののやはりダメで50分にファブリシオ投入を余儀なくされました。

・このブエノのプレーは悪質でもなんでもないのですが、「興梠には厳しく行く」姿勢は鹿島守備陣に徹底されており、興梠も半ば以上それを承知の上でプレーしているとはいえ、何もこんな試合にわざわざ虎の子を出して案の定負傷退場という最悪の結果を招くかね??? 得られるものに対するリスクが全く見合っていません。

・そして興梠退場と同時に、あれだけ見事だった「ちょいミシャ」はいとも簡単に雲散霧消して、攻撃どころかボール保持すらままならなくなってしまい、試合は59分土居を投入して「本気」を出し始めた鹿島のペースに。大槻監督も完全に行き詰まった汰木を早々と諦めて62分に荻原を投入したものの、劣勢を覆せないまま66分とうとう失点。

・失点は第1戦に続いてセットプレーから。小池低いFK→ニアで土居フリックがファブリシオに当たり、そのこぼれ玉を犬飼にいち早く拾われてしまうというやや不運な形でした。しかし、その後もセットプレーで最後は鹿島のシュートで終わり、単に枠に飛ばなかったから大過なかっただけという場面が目立ち、この失点は不運では片付けられないでしょう。

・浦和は残り30分弱で2点取らないといけない羽目に陥りましたが、大槻監督は73分なぜかエヴェルトンを下げて杉本を投入。エヴェルトンは自分が代えられるとは全く思っていなかったのか、しばらく交代を渋っていましたが、この交代は悪手でしょう。

・ファブリシオといい杉本といい、興梠とは特性が全く違うFWなのになぜか3-4-2-1の1トップに据えて興梠と同じようなことをやらせようとする。しかも正しい使い方をされているとは思えないFWをなぜか併用する。興梠不在時のプランBというかコンティンジェンシープランみたいなものの無さには心底がっかりさせられ、「ちょいミシャ」の影も形もなく、ただただ選手達が無秩序・無原則にに走り回っているだけという「ちょいゲルト」的な地獄絵がまたしても目の前に。

・しかし、77分縦パスで杉本をスペースに走らせるという杉本の正しい使い方の萌芽が見られたのを契機に、荻原クロス→ファーに逆サイドから関根が突っ込んでヘッド!!という見事な形で浦和2点目!

・これで「あと1点で勝ち抜け!」という形になったので浦和サポの士気は一気に上がりましたが、ピッチ上で繰り広げられているのは「ちょいゲルト」なことになんら変わりがないので浦和劣勢に変わりなし。

・87分マウリシオが無理に関根に縦パスを入れたのが仇となり、関根はボールを失うどころか大きくバウンドしたボールがセンターサークルにいた伊藤に繋がってしまう大惨事となって鹿島のショートカウンターが発動。土居→セルジーニョ→伊藤と繋がって鹿島2点目。

・もっとも鹿島の2点目は浦和にとってあまり痛手ではなく、もう1点取れれば延長戦に持ち込める可能性が残っていましたが、そんな状況下で90分に起こったのが「VARシカト事件」。長澤のスルーパスを受けた杉本がボックス内でブエノに倒されているように見えるのですがPKはなく、しかもVARと交信を取っている姿が確認できたにも関わらず、佐藤主審はVARを確認しようともせずに流してしまいました。

・この試合、得点の都度佐藤主審は逐一VARと交信してなかなかキックオフさせようとしない不思議なほど慎重な姿勢を取っていただけに、最もVARで確認し欲しい場面でVARを活用しなかったのは謎過ぎました。

・もっとも浦和の劣勢は隠しようもなく、77分に奇跡的に良い形が出来ただけで、むしろ鹿島に3点目、4点目を取られてもおかしくない試合内容だったので、杉本のPKを取っていたとしても延長戦で逆転できた可能性は薄かったと思います。

・負傷退場した興梠はそのままベンチに座っていたので、大事を取って無理しなかっただけなのかもしれませんが、中4日で迎えるC大阪戦、それどころかその次の上海上港戦をも欠場となると一大事です。

・結局興梠がいないとどうにもならないことをまたしても確認しただけに終わったルヴァン杯ですが、その中で数少ない収穫はビハインド時に荻原がWBで使える目途が立ったことでしょうか。少なくとも大槻監督が評価していたであろう汰木よりは可能性大。気性難で、いれこみすぎる嫌いがあるのがリスキーでスタメンにはまだまだと思いますが、ビハインド時は汰木どころか山中よりも優先して投入するに値する出来だったかと。

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-----興梠-----
--武藤----長澤--
汰木-青木--エヴェ-関根
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
28分 エヴェルトン
77分 関根

(交代)
50分 興梠→ファブリシオ
62分 汰木→荻原
73分 エヴェルトン→杉本(杉本が1トップ、長澤がボランチへ)

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---伊藤--土居---
白崎-------セルジーニョ
---レオシルバ-三竿---
小池-犬飼--ブエノ-小泉
-----クォンスンテ----

(得点)
66分 犬飼
87分 伊藤

(交代)
59分 遠藤→土居
80分 小池→永木
90+1分 小泉→チョン・スンヒョン(5バック化)

 

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2019.09.05

【観戦記】ル杯2019準々決勝第1戦:浦和 2-3 鹿島 ~ 一応試合の形になったが割に合わない

・前半だけで0-3。ハーフタイムで帰ってしまう人すら見受けられた惨状から、興梠投入後2点奪い返して一応試合の形にはなった、第2戦で逆転可能なところまで持ってはいきましたが、それに要した機会費用なりリスクなりを思えば全く割に合わなかったと思います。

・なんなんだろうな、この2試合の「割り切り」の無さは。湘南戦では明らかに続くルヴァン杯に色気を残したと見られても仕方ないスタメン選考、具体的には宇賀神をベンチ外にして山中をスタメン起用する挙に出て、これがものの見事に失敗。

・湘南戦がドローに終わっていよいよ残留争いの深みに嵌まったのは明白なのに、この試合では武藤を中2日で連闘させ、既に使い詰めの関根もスタメン起用。あんまりな前半を受けて、後半はテストに専念するのかと思いきや、なんと興梠を投入する暴挙に出ました。今のチームは興梠が故障したら一巻の終わりなのは明々白々なのに、ルヴァン杯でわざわざ興梠を使うかね・・・ しかも試合後の選手インタビューでは興梠は「もともと使うつもりがなかった」ことが判明。

・使うつもりがなかったならベンチに置くべきではないでしょう!!やることなすこと全てが中途半端。その帰結としてどの試合も結果が出ていない。その挙句若手育成の余裕すら失ってしまいました。残留争いに片足突っ込んでしまった以上、どう見ても優先順位は「リーグ戦>ACL>>>>>>>天皇杯>>>>>>ルヴァン杯」であって然るべきなのに、ルヴァン杯ですら中途半端に勝ちに行って、しかも失敗(いや第2戦に一応可能性は残っていますが)。

・その点昨年のオリヴェイラ監督の割り切りっぷりは凄かった。ACL出場権獲得を必達タスクとして与えられ、そのタスク達成のために最も現実的な天皇杯優勝に早いうちから最優先で取り組んだ末に見事タスク達成。その過程でルヴァン杯でJ2甲府に惨敗するという目も当てられない出来事もありましたし、もうちょっと長い目で見れば戦術的な積み上げはないに等しく、今年早々と行き詰まってしまったわけですが、それでもあの割り切りは評価されて然るべき、限られた資源でタイトルを獲るコツを持っていた監督だったと思います。

・成績不振のオリヴェイラ監督を更迭して、なんだかよく判らない理由で後任に据えた大槻監督はトップチームでの経験がないに等しい新米監督なのに、タスクの優先順位をつけるどころか「若手育成」までタスクに加えたフロントは、何もかもが中途半端に終わっている現状をどう考えているのか? 大槻監督のタスクを減らして楽にしてやる心積もりはないのか?? あんまりな試合内容で前半だけで0-3になったこと以上に腹立たしい問題だと思いました。

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・両チームとも直前のリーグ戦から中2日という厳しい日程。浦和はGK&CB陣こそ岩波→鈴木の入れ替えだけに留めましたが、3列目より前はほぼ総入れ替え。ただ武藤を連闘させたことと、すでに使い詰めで、湘南戦でも後半頭から投入を余儀なくされた関根をスタメンで使ったことは、この試合の重要性からすれば疑問手だと思います。なお、先月Jリーグ特別指定選手に承認されたばかりの大久保がベンチ入りしたのが目を惹きました。

・鹿島も前節清水戦から7名入れ替えましたが、こちらは浦和同様ACL→リーグ戦→ルヴァン杯の連戦の過程でリーグ戦のメンバーを落とした(具体的には白崎、レオシルバ、土居、伊藤がスタメン落ちorベンチ外)結果なので、CBチョン・スンヒョン以外はほぼフルメンバーといって良い陣容。もっとも今年の鹿島は新戦力の台頭が著しく、誰が出ても全然駒落ちの感じがしませんが。

・前半の試合内容は悲惨としか言いようがありませんでした。序盤の浦和はセンターサークル付近くらいからプレッシャーをかけにいったように見受けられましたが、試合後複数の選手から指摘されているように、これが鹿島のビルドアップに対して何の制約にもなっていませんでした。汰木&ファブリシオを併用するとこうなるのは戦前から予想できそうなものですが、この「中途半端」さがなかなか解消されないのは大槻監督の責任でしょう。

・当然ながら浦和は高い位置では全くボールが奪えないので最終ラインで跳ね返すだけになってしまい、なんとか最終ラインでボールを奪っても4-1-5っぽい「ちょいミシャ」仕様の「1」に入る柴戸に展開力が無さすぎて、往々にしてパスミスで終わってしまい、ビルドアップに四苦八苦。また前で何とかボールを収められるのは武藤だけで、その武藤をファウルで潰されると浦和の攻撃は詰んだも同然。せいぜい関根の独力突破に一縷の望みを託すだけに。

・25分くらいから浦和の攻め手のなさを逆手に取られてカウンターを浴びがちになり、汰木が自陣深い位置で名古を引っかけてファウルを取られたのを契機に、35分永木FK→ブエノヘッドでとうとう失点。ブエノにほぼどフリーで飛び込まれるとは・・・

・不格好ながらなんとか耐えていた浦和守備陣。全く点が入る気がしないので1点ビハインドでもきついのに先制点を取られたことで早々と守備陣の心が折れてしまったのか、この失点から大決壊。

・38分の失点はマウリシオの「バンザイ突撃」が契機。この日はなぜか3バックの中央ではなく、右に起用されましたが、どう見てもこれが大失敗。失点場面ではなぜか前に出て白崎を潰そうとしてあっさり交わされ、しかも転ばされてしまう大失態。そこでぽっかり空いたスペースをレオシルバに蹂躙されてボックス内に入られ、ファーへのクロスを土居が楽々関根に競り勝ってゴール。

・マウリシオの「バンザイ突撃」はその後何度も繰り返されたにも関わらず、大槻監督は鈴木とポジションを入れ替えず、森脇と代えようともしなかったのもこの試合の謎でした。

・43分の3失点目に至ってはもう「総員バンザイ突撃」みたいなもので、各々が何の考えもなしにバラバラにボールを追うものの、それではボールを奪えないのは道理で、逆にスカスカになった中盤を好き放題に鹿島に使われた時点でもうアウト。白崎のスルーパスで宇賀神の裏へ小池に抜け出され、小池の折り返し→土居シュートこそなんとかブロックしたものの、こぼれ玉をどフリーの名古に拾われてしまいました。

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・前半だけで0-3。しかも全く点が入る気はせず、守備も完全に破綻しているのは明らか。もう試合にもなんにもなっておらず、後半は荻原や大久保に経験を積ませる場と大槻監督が割り切っても何の批判になかったでしょうに、なんと大槻監督は勝負を捨てずに52分宇賀神に代えて興梠を投入して、汰木を左WB、関根を右WBに回す「超バンザイ突撃」を敢行。

・興梠投入で前でボールが収まりが良くなったので、浦和の攻撃は急に活性化。しかも「超バンザイ突撃」と開き直ったのが奏功して中途半端過ぎた前プレがかなり解消されて、前ハメの効きが良くなる好循環が生まれました。

・58分マウリシオ縦パス(これが唯一のマウリシオ右CBの成果か?)を小池とブエノの間で受けた武藤がボックス内で前を向いてシュート。そのこぼれ玉を興梠が拾って遅まきながら浦和が反撃開始。さらに60分武藤CK→鈴木ヘッドこそGKが辛うじて阻みましたが、クリアし損ねを槙野が詰めて、前半の惨状を思えば奇跡としか言いようがない、まさかまさかの1点差に迫りました。

・これによりゲームは急激にオープンというか流動化。興梠が前でボールを収めてくれるため、ファブリシオが前を向ける機会が増えたこともあって、74分関根の縦パス→ボックス内で武藤ポスト→ファブリシオの決定機を作りましたが、シュートは枠外。

・ただ1点差に迫って俄然スタジアムは盛り上がりましたが、浦和の攻撃に何か今後に繋がるようなものがあったかとなると甚だ疑問。67分関根がボックス内突入寸前でレオシルバに後方から押されて倒された場面(しかしノーファウルで、関根は審判への露骨すぎる異議でイエロー)に象徴されるように、浦和の「超バンザイ攻撃」って要するにやたらハイテンションになった選手が個人能力でなんとかしようとするだけの、いわば「なんとかに刃物」状態に過ぎないように感じました。

・せめて893の出入りであったとしても、ローストチキン屋の屋台の陰からファブリシオが派手に援護射撃をして、その隙に関根が刃物を持って敵の事務所に乱入するみたいな、多少なりとも組織性が感じられたのであればまだ良いのですが、この試合は単に鉄砲玉が代わる代わる現れているだけに過ぎなかったかと。

・言い方を変えれば、興梠投入で建て直した後半ですら「ちょいミシャ」はもはや雲散霧消し、かといって「ちょいオリヴェイラ」でもなく、強いて言えば個人能力に頼るしかなかった「ちょいゲルト」みたいな試合内容ではなかったかと。その先に何があるのか???

・そんな「なんとかに刃物」状態に陥った相手に、まともに立ち向かうと怪我をするだけだとばかりに我に返った鹿島は77分から順次選手を代えて試合を落ち着かせにかかり、最後は念には念を入れて5バックになって逃げ切り態勢に。

・一方浦和は「超バンザイ攻撃」を成り立たせる可燃物=ハイテンションを保つためにはとにかく元気の良い選手を入れるしかないのに、疲労のためかトラップがやたら大きくなりがちな武藤も、サイドで高い位置を取れなくなった汰木をも変えずに放置。負けているのにこれはないわぁ・・・ ようやく86分に投入された荻原のドリブル突破に多少の可能性を感じたものの、10分足らずでは決定機には至らず。試合終了間際に阿部CK→興梠ヘッドもGK正面。

・この塩梅だと大槻監督は中3日で迎える第2戦で興梠をスタメン起用するどころか、ほぼフルメンバーを揃えて「2-0」の勝ちを目指しに行くんでしょうなぁ・・・ その先にどんな地獄が待ち構えていようとも。

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----ファブリシオ-----
--汰木----武藤--
関根-阿部-柴戸-宇賀神
-槙野--鈴木--マウリシオ-
-----西川-----

(得点)
58分 興梠
60分 槙野

(交代)
52分 宇賀神→興梠(興梠1トップ、ファブリシオがシャドー、汰木左WB、関根右WBへ)
86分 武藤→杉本
86分 汰木→荻原

・この試合、Jリーグで初めてVARが採用されましたが、幸か不幸かVARが発動されそうな場面はなし。先述の67分関根へのファウルはそもそもボックス外なのでPKになりようがなく、レオシルバに一発レッドが出る場面でもないので、当然VARはなし。関根がイエローをもらった後に槙野がVARを要求しているように見受けられましたが、あの行為自体がイエローではないかと。

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---伊藤--土居---
白崎--------名古
---レオシルバ-永木---
小池-スンヒョン--ブエノ-小泉
-----クォンスンテ----

(得点)
35分 ブエノ
38分 土居
43分 名古

(交代)
77分 小池→三竿(三竿ボランチ、永木左SBへ)
84分 土居→セルジーニョ(負傷による交代)
87分 名古→犬飼(5-4-1へシフト)

 

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2019.09.02

【DAZN観戦記】19年第25節:湘南 1-1 浦和 ~ せめて前向きに考えたい勝ち点1

・ズタボロの前半をなんとか1点リードで折り返し、後半は湘南にチャンスらしいチャンスを与えず、久しぶりの勝ち点3がほんのり見えてきた時間帯になんだかよく判らないPKを取られて勝ち点2がスルリとこぼれ落ちてしまいました。

・PKはエヴェルトンが梅崎を後方から倒しているように見えるのをファウルとみなしたのでしょうが、梅崎が簡単に転んでファウルをもらいにいっているようにも見え、しかも「これを取るならアレも取れよ!!」というシーンがちらちらしてならない、所詮Jリーグの笛だからなぁ、しかも「恐怖のあ行主審」だしなぁ、な諦念に近い気持ちしか沸いて来ない判定でした。

・ただ試合内容からすれば前半が酷すぎて、前半のうちに同点どころか逆転されていても全く不思議はありませんでした。ひとえに湘南のシュート精度の低さ、端的に言えば野田のあんまりな「J1.5」っぷりに助けられたようなもので、試合内容からすれば勝ち点1は妥当どころか御の字といっても良いくらい。浦和と勝ち点が同じで、残留争いの渦中にある湘南に勝ち点3を与えなかったことで最低限のタスクは果たしたと前向きに評価すべきでしょう。また大槻監督が珍しく早めに選手を代えて、劣勢を挽回できたのも積極的に評価していいと思います。

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・とはいえ、前半のあんまりな試合内容から目を反らすわけにもいきません。ACLアウェー上海上港戦から中4日なら大きな問題はないと踏んだのか、浦和のスタメンはファブリシオ→武藤、関根→山中と2名を入れ替えただけ。上海上港戦でベンチ外だった宇賀神がこの試合もベンチ外だったのが謎で、故障でなければ同じくベンチ外だった柏木同様、ルヴァン杯に色気を残した結果なのかもしれません。そして宇賀神ではなく、山中をスタメン起用したのが大失敗でした。

・浦和の立ち上がりは珍しく上々で、3分には杉岡橋岡が大きくサイドチェンジ→武藤折り返し→興梠が詰めて幸先よく先制。しかし、浦和の攻勢は10分くらいで沙汰止みとなり、その後は防戦一方に。

・不思議だったのは3-4-2-1同士のミラーゲームでポジションのミスマッチはないはずなのに、浦和の守備が全く嵌まらなかったこと。基本フォーメーションが同じなだけで、浦和がバランス重視=ポジション固定的なのに対し、湘南は流動的かつ上下動が激しいので浦和がマークすべき相手を掴まえきれなかった結果なのかもしれませんが、とにかくこれには参りました。

・前ハメが効かないので高い位置でボールを奪えず、球際でも競り負け、セカンドボールは全く拾えないという惨状ゆえ最終ラインが下がって苦戦。なんとかボールを奪回しても、湘南の激しいプレッシャーを受けてビルドアップはままならず、簡単にボールを奪回されてまた攻撃を浴びてしまうの繰り返し。西川は途中から細かく繋ぐのを諦めたのか、ゴールキックは全部ロングボールを蹴っていましたが、頼みの橋岡が杉岡に競り勝てないので蹴りだす相手に困った挙句、悉く湘南ボールになってしまう惨事に。

・波状攻撃を浴びる中で山中の裏は常時狙われていて、左サイドの守備はボロボロ。壁パス一発で簡単に裏を取られてしまう山中の守備は困ったものですが、初めて起用した選手ではあるまいし、これはもう「一人示現流」的な選手をスタメンで起用した監督の責任でしょう。13分松田クロス→野田どフリーでヘッド、39分齊藤クロス→野田どフリーでボレーと浦和左サイドから2回似たような形で決定機を許してしまいました。

・14分にはセンターサークル付近で齊藤に詰め寄られたエヴェルトンがボールを失ってショートカウンターを食らうという、湘南戦で最もやってはいけない形=球際の弱さを象徴するような形で決定機を許してしまいました。

・また切り替えの速さも湘南に遠く及ばず。19分には浦和が攻めきれずに湘南ボックス内でボールを奪回されたところからロングカウンターを食らって野田のシュートまで持っていかれてしまいました。なおこのロングカウンターの契機はボックス内でエヴェルトンが倒されたところから始まっていて、梅崎のを取るならこれも取れよという気が少々。

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・山中のあんまりな出来を見てさすがに業を煮やしたのか、大槻監督は山中を早々と諦めて後半頭から関根を投入。しかもあまり意味がなく、中盤がスカスカになる元凶でしかなかった前プレを控えて、5-4-1のリトリート色を強めた守備へ転換したように伺えました。

・選手交代が往々にして後手に回り勝ちで、失点してようやく選手を代える傾向が強かった大槻監督にしては珍しい(誰が見てもそこを修正するわなと思えるものであったにせよ)積極的な動きで、しかもそれが奏功。これで湘南の攻め手はほとんどなくなってしまい、左右からクロスを入れては浦和CB陣に淡々と弾き返されるだけに。

・一方浦和は後半立ち上がりに西川ロングフィード→興梠頭で反らしたボールを拾った武藤がボックス内突入という単純極まりない形で決定機。そして58分浦和のロングカウンターによる決定機、エヴェルトン縦パス→武藤が左サイドを疾走して横パス→興梠のシュートはGK秋元がセーブ→こぼれ玉を武藤が拾うもシュートは枠外。特に後者の決定機を逃したのが結果的に勝ち切れない一因になってしまいました。

・大槻監督は72分に武藤に代えて途中まで用意していたファブリシオではなく柴戸を投入。「守りきれ!」というメッセージを判りやすく伝えた点では意味のある交代だったと思います。84分の杉本投入は、DAZNでは興梠自身が要求したと言っていたのでやむを得ないものなのでしょう。

・しかし「守りきれ!」との指示は伝わっているっぽいものの、柴戸&杉本投入は効いているとは言い難く、疲弊した浦和は自陣深い位置でのファウルが続出。これが伏線なのか、自陣深い位置からのスローインを受けてボックス内に突入した梅崎にPKを与えてしまって逃げ切りに失敗。

・試合内容が芳しくない上に、なんだかよく判らないPKを取られて選手もイラついたのか、激昂したマウリシオはATに報復行為で一発レッドでもおかしくない愚を犯し、槙野も試合後に暴言でも吐いたのかイエローをもらってしまいましたが、これらは「恥の上塗り」でしかないしょう。

・16位鳥栖に勝ち点4差と迫られ、しかも得失点差で大きなビハインドを抱えた浦和は残留争いにどっぷり浸かったと言わざるを得ない厳しい状況に陥ってしまいました。

・残り9試合で「残留争い組との直接対戦は少なく、上位陣との対戦を多く残している」というのは順位ほど力の差はないJリーグではそんなに気にする必要はない(残り試合で浦和の勝ち目が薄いのはおそらく鹿島と川崎くらい)と思いますし、チーム状態の悪さで浦和が突出しているわけでもないとも思いますが、ここに至ってはリーグ戦最優先と腹をくくらざるをえないでしょう。

・そして、こんな試合の直後は「もうACLもとっとと負けて、残留争いに専念したい!!」と思うのですが、いざACLの試合を迎えると「なんでもいいから勝てぇぇぇぇ!!!」になってしまうんだよなぁ、これが・・・(つД`)

・2011年以来久しぶりに足を突っ込んだ本格的な残留争い。この過程の中で誰もが「リーグ戦とACLの二兎を追う」なんて、今やクラブの能力にも体力にも全くそぐわなくなった馬鹿げた目標に別れを告げることになるのでしょう。その馬鹿げた目標を掲げたフロントがどうなるのかはさっぱり判りませんが。

-----興梠-----
--武藤----長澤--
山中-青木--エヴェ-橋岡
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
3分 興梠

(交代)
HT 山中→関根
72分 武藤→柴戸
84分 興梠→杉本

-----山崎-----
--野田----松田--
杉岡-金子--齊藤-岡本
-大野--坂---山根-
-----秋元-----

(得点)
90分 梅崎(PK)

(交代)
58分 松田→梅崎
75分 野田→菊地
78分 岡本→古林

・湘南は前節仙台戦から鈴木に代わって、出場停止明けの大野がスタメンに復帰しただけ。

※写真は試合とは全く関係がありません。

 

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2019.08.28

【TV観戦記】ACL2019・準々決勝第1戦:上海上港 2-2 浦和 ~ 価値あるアウェーゴール2つ

・前半の試合運びはほぼ完璧。敵失も手伝って前半のうちに2点リードを奪ったところまでは文句なしでしたが、後半相手の出方の変化に対応できず、あれよあれよと言う間にPKで2失点。後半の浦和に全く良いところがなかったことを思えば、引き分けもやむなし。アウェーゴールを2つも奪えたことで満足すべき試合だったと思います。

・浦和のスタメンは前節松本戦で大幅な選手入れ替えを敢行したこともあって、松本戦からの連闘は、西川・槙野・橋岡・ファブリシオ・興梠の5名のみ。シャドーに松本戦でベンチスタートだった武藤をスタメン起用せず、ファブリシオを連闘させたのが意外だったくらいで、総じてアウェー神戸戦からの3連戦で計画通りの布陣でしょう。

・試合は3分にいきなり動いて浦和が貴重なアウェーゴールをゲット。3分長澤のFKはGKイエン・ジュンリンが楽々キャッチすると思われましたが、その前で競った槙野が気になったのかなんとGKがポロリ。そのこぼれ玉にいち早く槙野が反応。いやはやこれはラッキーとしか言いようがないゴールでしたが、ゴールはゴール。

・ここから20分くらいまでなぜか衛星回線がズタボロでロクに試合は見られず、ピッチ上で何が起こっているのかさっぱり判りませんでしたが、音声を聞く限りは何も起こっていなかった模様。回線が安定したらしたで、今度は解説都並の「ジーコ話」に延々と付き合わされる、相変わらずの日テレクォリティー。

・自陣に5-4-1の守備ブロックを敷く浦和に対して、上海は反撃に転じようにもビルドアップに苦しんでなかなかFWまでボールが渡らず。たまにFWに入っても浦和CB陣が難なく対応。22分サイドに貼っているオスカルに繋いでクロスを入れる攻撃に可能性を感じたくらいでした。浦和は相手も3-4-2-1とミラーゲームなのでマークがはっきりして対応しやすかったのでしょう。

・新戦力のCFアルナウトビッチはフィットしていないのか、単にやる気がないのか、この試合を通じて良いところなし。フッキには相変わらず槙野がしっかり付いていて終始イライラ。イライラが高じて前半終了間際にファウル繰り返しでイエローをもらって第2戦はイエロー累積で出場停止。

・浦和も序盤はパスミスが続出しましたが、30分関根が相手のロングフィードをカットしたところからのロングカウンターが炸裂。長澤が縦ポンでシンプルに興梠をスペースに走らせ、興梠のシュートは当たり損ねっぽくて緩かったものの、バウンドしてGKがタイミングを取り辛かったのっか、GK横をすり抜けて浦和がアウェーゴールを追加。

・33分にも橋岡クロス→興梠ポスト→ボックス内で長澤に決定機がありましたが、長澤の枠内シュートはGKに阻まれました。

・前半全く良いところがなかった上海は後半頭から興梠に対して為すすべ無しという印象だったCB23番(フー・フアン)を下げ、11番(リュ・ウェンジュン)を左WGに投入し、20番(ヤン・シーユエン)をアンカーに据えた4-3-3に布陣を変更して大反撃。

・48分フッキFKからの流れで、浦和右サイドに出たオスカルから橋岡が上手くボールを奪ったところまでは良かったのですが、橋岡のパスを受けた興梠が簡単にクリアせずに無理に繋ごうとしてボールを再奪回される大失態。ドリブルでボックス内に突入するオスカルに守備陣が次々と翻弄された挙句、マウリシオがオスカルを引っかけてPKを取られてしまいました。PKはオスカルではなくフッキが蹴って難なくゴール。

・このゴールを機に試合の流れは一変して完全に上海ペースに。試合後の記者会見を読む限りでは大槻監督は上海上港の布陣変更を想定していたようですが、残念ながらその対策がチームに浸透していなかったようで、やや位置を下げたオスカルに中盤を蹂躙される始末。失点直後にロングカウンターを食らい、オスカル一人にドリブルで長い距離を持ち運ばれてフッキのシュートがポストを直撃する一幕も。

・大槻監督は長澤の位置を若干下げたようにも見えましたがさしたる効果はなし。疲労のためか自陣でファウルを犯す場面が増え、球際での競り負けも目立ち始めて反撃はままならず、69分上海に自陣深く押し込まれて波状攻撃を浴びた末に、11番のシュートがマウリシオの折りたたんだ手に当たったのがボックス内ハンドと認定され、またしてもPK。これもフッキが決めて同点。

・マウリシオは「身体を不自然に大きく見せている手または腕にボールが触れ」たわけではなく、「肩よりも上にある手または腕にボールが触れ」たわけでもないのですが、そもそも横を向いた状態の手に当たっているので「手または腕で意図的にボールに触れる」と取られたのかな? しかもこの判定に対して異議でも唱えたのか、マウリシオはイエローをもらって第2戦出場停止。

・残念ながら大槻監督の選手交代はこの試合でも後手に回ってしまい、同点に追いつかれてからエヴェルトンに代えて柴戸を投入し、3-3-2-2というかはっきりした3ボランチに。これで守備はかなり落ち着いたものの、反撃に転じる過程でパスミスが続出して上海のカウンターを許してしまうというなんだかなぁな展開に。特に78分興梠から槙野への緩いバックパスをアルナウトビッチに掻っ攫われた場面は即死ものでしたが、ここはなんとかマウリシオが上手く対応して事なきを得ました。

・同点に追いつかれた後に追加点を取りに行くのか、ドローで良しとするのか判然としなかったのもこの試合の要反省点。大槻監督がファブリシオに代えて阿部を入れて「ドローやむなし」との考えを選手交代に形で選手にはっきり伝えたのはなんと88分になってから。おまけに3連闘でヘロヘロの興梠はATになるまで放置。相手の出方の変化に対する対応や、選手交代の使い方とか、この試合でも大槻監督の経験の無さが垣間見えました。

・結局後半の浦和のチャンスらしいチャンスは89分マウリシオFKのこぼれ玉を興梠が詰めた場面くらいで、しかもシュートは枠外。

・浦和がアウェーゴールを2つも得てのドローなので浦和が若干有利な形での折り返しとなりましたが、上海は後半の闘いぶりに自信を持ったでしょうし、ほとんど差はないも同然でしょう。第2戦は上海はフッキ、浦和はマウリシオが不在と共に大駒を欠いての一戦となり、フッキを欠いた状態で攻めに出ざるを得ない上海に浦和がどう立ち向かうかが楽しみです。でもそれ以前にリーグ戦がなぁ・・・


-----興梠-----
--ファブリシオ---長澤--
関根-青木--エヴェ-橋岡
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
3分  槙野
30分 興梠

49分 フッキ(PK)
71分 フッキ(PK)

(交代)
72分 エヴェルトン→柴戸
88分 ファブリシオ→阿部
90+2分 興梠→武藤

・2017年に続いて、なぜかACLで輝きを増す長澤が個人的にはMOM。揉め事がある度にちょろちょろ顔を出す長澤の仕様はどこから来たのかな???

・一方柴戸はオスカルにしつこくまとわりつくなど、守備でワンワン系の良さを見せる一方、攻撃時のパスミスがあまりにも多くて参りました。長澤とは逆にACLに向いていないのかも。

 

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2019.08.24

【観戦記】19年第24節:浦和 1-2 松本 ~ 大槻監督も「終わりの始まり」なのかね、これは・・・

・神戸戦に続いて連敗。かつここ5戦勝ちなし。前節は浦和の「ビジネスモデル(と呼ぶに値するのかどうか判りませんが)」がすっかり時代遅れになったというか、いかにいい加減なものであるかが明らかになったような気がする、いうなれば中長期的視点からダメージが残る負けでしたが、今節の負けは「浦和はリーグ戦とACLを並行して闘う力なんてもはや全くなく」、しかも大槻監督の力不足が明るみになったという、短期的な視点からダメージが残る負けでした。

・中3日でアウェー上海上港戦が控えているせいか、大槻監督は神戸戦からマウリシオ→森脇、岩波→橋岡、関根→山中、青木→阿部、エヴェルトン→柴戸、武藤→ファブリシオ、杉本→柏木となんと7名もスタメンを入れ替えて松本戦に臨みました。思えば6月末のアウェー大分戦もアウェー蔚山戦で難しいミッションを見事完遂して中3日で再び遠距離移動を伴う試合ということもあって、スタメンを7名も入れ替えてきましたが、結果はともに敗戦。

・天皇杯でもフルターンオーバーを敢行して、大学生相手にも大苦戦するグダグダの試合内容ながらトーナメントらしく「勝てばよかろう」とやり過ごせましたが、リーグ戦はそこまで甘くはなく、上位の大分には完敗。そして残留争いに両足をつっこんでいる松本にも敗戦。

・リーグ戦は16位鳥栖との勝ち点差が6あって残留争いがまだ現実的とは言い難い状況なので、ACLに色気を出すのは理解できます。ゆえにターンオーバー自体は是としても、大分戦同様所定の作戦を遂行する上でより妥当なメンバーを選んでいたか、あるいはそもそもこのメンバーでやる作戦自体が妥当だったか、となると疑問符がつきまくる印象を受けました。具体的に言えば「この面子でちょいミシャを続ける意味はないのでは?」「3-4-2-1のまま闘う理由なんてないのでは?」という気がしてなりませんでした。

・しかも、極端に得点力が低く、先制された試合では全く勝てない松本相手に早い時間帯に先制して必勝態勢を築きながら、相手の出方の変化に対応できずに逆転負け。手駒に応じた策が取れないことといい、残念ながら負けが混んできて、監督就任時に最も懸念された大槻監督の経験の無さが露呈し始めたように思えます。大槻監督もオリヴェイラと似た「気合注入型」監督で、戦術は幅が狭くて見るべきものが無い、短期的な効果しか見込めない監督なのかもしれません。

・そして大槻監督が今期タイトルなし&ACL圏に届かずに終わった場合、中村GMはどうするのか? オリヴェイラ監督更迭自体は理解できるとしても、その後任がなんでトップチームで監督をやったことがない大槻さんなのか理解に苦しみましたが、その大槻監督を「目先の結果がどうなろうが、将来の浦和を支える人物」と見込んで来年以降もじっくり見守るのか? あるいは、これまでと同様「結果が出なければポイ捨て」なのか? 無論「ポイ捨て」路線なら必然性がまるでないにも関わらず大槻監督を慌てて招聘した中村GMのクビが飛ぶのは必定。

・この敗戦を受けてフロントはぼちぼち旗をくくるべき時に来たと思います。夏休みも終わろうとする時期ですし「作文」が出ても良さそうなものですが・・・

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・松本が前節ど全く同じスタメンだったのに対し、浦和は先述のように前節神戸戦から7名もスタメンを入れ替え。前3人が興梠・ファブリシオ・柏木の組み合わせだったので「柏木トップ下の3-4-1-2」かなと思ったのですが、布陣はいつも通りの3-4-2-1でした。また森脇を天皇杯水戸戦で試行した「3バック中央」に置いたのも目を惹きました。

・試合の入りはホーム鹿島戦以降では最も良く、その良い時間帯のうちに浦和は先制に成功。松本は5-4-1の守備ブロックを敷き、かつ最終ラインを案外高い割に保とうとしているものの前からのプレッシャーはさほど強くなく、浦和の前3人へのパスコースを消す程度。その松本の出方を見て、浦和はシンプルに松本最終ラインの裏を突く手に出て、それが見事に奏功しました。

・12分柴戸縦パス→興梠がボックス内シュートに持っていた場面がその萌芽。13分槙野縦パス→山中敵陣深い位置から中へ折り返し→興梠ポスト→柴戸ミドルも似たような狙いを感じました。そして19分森脇縦パス→宇賀神フリック→橋岡裏抜けからクロス→ファブリシオが橋内の前に出てスライディングで流し込むという、「ちょいミシャ」っぽい見事な形で先制しました。

・25分にはCKからの流れで興梠→ボックス内でファブリシオに絶好機があったが、ここは守田が好セーブ。これが決まっていたら浦和楽勝だったと思いますが・・・

・とはいえ、早めに先制点が取れた浦和は攻め急いでカウンターを食らう恐れが少なくなり、攻めに出ざるを得なくなって選手の間隔が開きだした松本相手にパスを回しやすくなったが、残念ながらここ数試合と同じくただパスを回しているだけ。しかもちょいミシャ式の権化=柏木パス回しの潤滑油のごとく機能しているものの、山中やファブリシオがどうにも噛み合わず、パスミスあり、しょーもないボールロストありとグダグダ模様で決定機を作れず。

・特にファブリシオは前を向いてナンボの選手で、中盤で相手を背にしている状態ではボールロストが多く、その割にはボールを持ちたがり、しかも献身的に守備をするわけでもないのでおよそシャドーには不向き。前を向いた時にはくねくねドリブルである程度相手を剥がせ、かつ高精度のミドルを持っている(73分にバイタルエリアから強烈な枠内シュート!)ので、2トップの一角というかセカンドストライカー的な役割が最適に見えるのですが、なんで大槻監督は3-4-2-1での「ちょいミシャ」に拘るのかなぁ?? 前節1トップで起用した杉本共々、駒自体は悪くないのに使い方がいかにも硬直的でせっかくの駒を活かせていないように見えて仕方がありません。

・先制したとはいえ浦和はなんだかなぁな時間が長く続きましたが、松本はそれ以上に悲惨。ボールを奪っての阪野へ当てたところで、そこは浦和CB陣は全く危なげなく対応。阪野の前に出て対応する場面が目立ちました。またやたらCKを得たものの、17分にCKからの流れでパウリーニョのミドルシュートが枠内を襲ったくらいで他は完全に不発。

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・いかにも中下位チーム同士の試合らしく、全く持って見どころの少ない内容で時間が経過していたところで、不運極まりないことに柏木にアクシデント。大槻監督は当初宇賀神→関根の交代を用意していましたが、柏木のアクシデントを受けて64分急遽武藤を投入せざるを得なくなりましたが、残念ながらこれがケチのつけ始め。柏木と武藤ではタイプが違いすぎて、浦和は潤滑油の切れた歯車のようになってしまいました。せめてエヴェルトンがいればと思うのですが・・・

・ここを勝負どころと見たのか、反町監督は65分藤田に代えて町田を投入し、パウリーニョアンカーの3-3-2-2っぽいフォーメーションに布陣を変更。それまで同一フォーメーションのミラーゲームでしたが、相手の出方の変化に浦和の修正が追いつかない間に浦和は立て続けに失点を喫してしまいました。

・75分の失点はどフリーの町田が左へ展開→高橋クロス→阪野ヘッド。阪野には槙野と森脇の二人が付いていましたが、阪野のヘディングシュートが槙野に当たってたまたま西川の届かないところへ飛ぶというやや不運なものでしたが、「ボックス内で森脇と阪野が競り合う羽目になる」という森脇のセンター起用にとって最悪のシナリオが具現化したものとも言えるような。それまでの森脇の出来は出色で、相手によっては十分使えそうですが、阪野のようなJ1.5レベルでのハイタワーにやられたのはちょっときつい。

・またそれ以前に町田を掴まえきれず、さらに高橋に簡単にクロスを上げさせてしまったほうが罪深いような気もします。

・ここまで松本に決定機らしい決定機もなかったのに、不意に同点に追いつかれたことで大槻監督は宇賀神→関根、ファブリシオ→長澤と投入しましたが、共に全く機能せず。特に長澤はボランチと言い、シャドーと言い、大槻監督下では途中投入で機能した試しがなく、なんで杉本投入=山中千本ノックシステムを採用しなかったのか不思議でなりません。

・83分の失点も深い位置でのスローインを受けた町田が基点。町田からのパスをフリーで受けた永井に槙野が付き切れずに簡単にクロスを上げられ、中央で阪野が囮になり、逆サイドから突っ込んできた高橋には関根が付き切れず。高橋のボレーは見事でしたが、浦和の守備はやられるべくしてやられるという悲惨なもの。

・あとはドン引きになった松本守備陣に手も足も出ず、ATにはホイッスルを待たずにそそくさとスタジアムを後にする観客も目立ち出して、案の定そのまま試合終了。途中までどう見ても負けるはずの無かった試合をひっくり返され、試合終了後のスタジアムは怒号に包まれましたが、それも当然でしょう。

・この日の観客は27000人ちょっとと3万人を大きく割り込みました。しかもビジター自由席が満席近い状態での数値。サッカーををシンプルに見せ、楽しんでもらうという浦和のポリシー自体は間違っていないと思いますが、そのサッカー自体に見どころがなく、結果も出ず、そもそも目一杯闘っているようにも見えない。客寄せパンダになるような世界的名選手がいるわけでもない。こうなると浦和のやり方では客がガタ減りになるのは必然ですなぁ・・・ ポリシーに見合うだけの投資を根気よくやらずに、行きあたりばったりにだらだらと運営しているだけのクラブの末路。

・大槻監督が昨年の暫定監督時に「ホームゲームで闘うことの重要性」を熱く説き、それがファン・サポーターの全幅の信頼を獲得していた所以になっていたはずですが、ああいうのはやはり短期的な効果しかないんでしょうなぁ・・・

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-----興梠-----
--ファブリシオ---柏木--
山中-阿部-柴戸-宇賀神
-槙野--森脇--橋岡-
-----西川-----

(得点)
19分 ファブリシオ

(交代)
64分 柏木→武藤(故障による交代)
76分 宇賀神→関根
79分 ファブリシオ→長澤

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-----阪野-----
--セルジーニョ---永井--
高橋-藤田-パウリーニョ-田中
-水本--飯田--橋内-
-----守田-----

(得点)
75分 阪野
83分 高橋

(交代)
65分 藤田→町田
82分 セルジーニョ→宮阪
90+3分 阪野→高崎

 

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2019.08.19

【観戦記】19年第23節:神戸 3-0 浦和 ~ これが浦和の「終わりの始まり」なのか?

・「(ボールを)持って悪し、持たされて悪し」と攻守とも全くいいところがなく、「よく3-0で済んだなぁ」と思わざるを得ないくらいの惨敗。神戸のチーム作りに中長期的なポリシー、一貫性があるとはそんなに思えませんが、とにかく金はある、そして海外に強いネットワークを持っているのは確か。金に糸目を付けずに次から次へとビッグネームをかき集めてきた成果がとうとう花開いたような気がしてなりませんでした。

・一方、金はそこそこ持っているけれども、金の自由が利く巨大スポンサーが付いているわけではなく、しかもダゾーンマネーにはすっかり乗り遅れて「金の優位」は失われ気味。そんな中で相も変わらず浦和はテキトーに監督を選び、テキトーに選手をかき集めて、だめなら監督をすげ替えて、また選手をかき集めるの繰り返し。海外とのパイプは今や完全に「ポンテ頼み」でしょぼいのなんの・・・

・シュータンが愚行を繰り返しているうちに金もすっかりなくなってしまったのか、今夏神戸が飯倉・フェルマーレン・酒井と補強すべきポジションに大金を叩いて有力選手を集めたのに対して、浦和は事実上関根を買い戻しただけに留まりました。

・ダゾーンマネー登場以来のJリーグの潮流の変化に取り残され、これまでのチーム作りがそもそも「一貫していい加減」な上に、とうとう金も尽きて身動きが取れなくなった結果がこの試合結果、試合内容となって表れたような気がしました。まさに浦和の「終わりの始まり」。いや「既に終わっている」だろうという見方もあるかもしれませんが(苦笑)、それぐらいの衝撃的な負けっぷりでした。

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・浦和は久しぶりに杉本を1トップに起用。今週の練習での杉本の調子がよほど良かったのかもしれませんが、残念ながらこれは攻守両面に渡って大失敗。もうこの「ちょいミシャ」仕様での杉本1トップは諦めるべきと思わざるを得ないほど、ほとんど機能しませんでした。

・浦和はいつものように前から追っていっても交わされるだけと割り切ったのか、神戸がボールをGK飯倉に下げた時以外はほとんど前から追わず、自陣に5-4-1の守備ブロックを作って防戦するリトリート主体の守備で臨みました(試合後のコメントを見る限り、意図的に引いたのではなく、前から行こうにも行けなかった感じですが)。

・しかし、神戸をリスペクトし過ぎているのかボールの奪いどころが定まらずに大苦戦。特にイニエスタとサンペールには最初から最後までこれといった手が打てなかったように見受けられました。相手の駒の質に大きな差があるものの、ピッチで起こった現象はアウェー横浜M戦の前半とほぼ同じ。正直大槻監督の修正能力にはがっかりさせられました。

・またこの試合を通じて不可思議だったのは浦和の選手がやたら滑ってこけていたこと。ノエスタの芝に慣れていないがゆえでしょうが、時間が経過してもこけ続けて、これでは試合になりません。

・浦和はなんとかボールを奪い返して反撃に転じようにも杉本が全くボールを収められないので、また神戸にぐるぐるボールを回される羽目に。16分にはイニエスタからのスルーパスで古橋の裏抜けを許すピンチ。これ以降浦和はスピードがある古橋に悩まされ続けることに。

・20分にはイニエスタの自陣深い位置からの縦パス一本で古橋が裏抜け。ここはなんとか槙野が追いついてCKに逃げたものの、そのCKをフェルマーレンのヘッドがポスト直撃。

・浦和は給水タイムを挟んで25分くらいから、大槻監督の言葉を借りれば「少し配置を変えたり、前の行き方を少し修正したりして」ようやくボールを握れるようにはなり、また杉本にいきなりボールを預けるのを諦めて細かくビルドアップを試みてはいましたが、パスミスが多くてどうにもならず、神戸のカウンターを許すこと二度三度。38分岩波の緩い横パスを古橋にボックス内で拾われそうになってヒヤリ。浦和の攻撃が様になったのは39分槙野が左から右へ大きく展開→関根が酒井を交わしてシュートを撃った場面だけ。

・たとえ内容がズタボロであったとしてもスコアレスで折り返せればまだ良かったのですが、前半終了間際にとうとう失点。浦和が神戸を押し込みながらも決定機どころかシュートすら撃てない状況下でなぜかちょろちょろ槙野が攻撃参加していたのが完全に仇となってカウンターを食らい、イニエスタの縦パスを受けた田中のシュートこそなんとか西川が防いだものの、そのこぼれ玉を古橋に詰められてしまいました。

・CBがほとんど攻撃参加しないのは「ちょいミシャ」の「ちょい」たる所以だと思っていましたが、この試合で散見された槙野の攻撃参加は現状百害あって一利なし。あれを大槻監督が許容していたなら酷い話だと思います。

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・先制点を取られた浦和は明らかに前掛かりというか前のめりになりましたが、それでも攻撃が形になったのは51分宇賀神クロス→杉本ヘッドのみ。あとは関根が独力突破を繰り返すも決定機には至らず、逆にカウンターを喰らいがちなのは相変わらず。52分にはフリーでボールを受けたイニエスタに楽々ボックス付近まで運ばれた挙句、シュートがポストを直撃! 56分には岩波の緩い横パスを奪われて古橋の裏抜けを許す場面も(西川が飛び出してシュートは撃たせず)。

・そしてついに59分サンペールからの大きな展開で西→田中と浦和左サイドに攻撃の基点を作られて、最後は山口にどフリーでボックス内への飛び込みを許して失点。いくらなんでもサンペールをフリーにしすぎだろうと思いますが、浦和の守備が完全に破綻しているというか、底割れしてしまったことを如実に示すかのような神戸の素晴らしいゴールでした。

・大槻監督はたまらず59分宇賀神→山中、64分エヴェルトン→柏木、74分興梠→ファブリシオと立て続けに代えるも、後半立ち上がりの反撃で体力を使い果たしたのか、全く攻撃の形は作れず、ボールは奪えずと、もうサッカーの体をを成していない状態に。「みんな戦意喪失していた」という柏木の見立て通りでしょう。

・78分には浦和右サイドからカットインしてきたイニエスタに対して、既に一枚イエローをもらっている岩波はズルズル下がるばかりで何もできずにシュートを撃たれる始末。このシュートは角度がなくて西川が難なくセーブしましたが、「どうせやられるなら、ひと思いにイニエスタ様にばっさりやられたほうがマシ!!」との思いが通じたのか、最後はPKでイニエスタがゴールを決めてケーキにイチゴを乗せる格好に。

・PKは自分のクリアミスをカバーしようとした岩波が田中の両足をスライディングで払っているように見えるのでやむを得ないと思いますが、ここは岩波を責めるより、むしろサンポール→山口→イニエスタと中盤で簡単にボールを回されて、イニエスタにバイタルエリアで自由を与えているほうが重罪でしょう。それくらいこの時間帯の浦和はダメダメでした。その辺をなんとかしようと思ったのか、88分柏木が一人でサンポールに猛然と突っ込んだもののあっさり交わされ、途中投入の藤本にポスト直撃弾を浴びる一幕も。もうダメにダメ押し・・・

・アウェー横浜M戦の前半、ホーム名古屋戦の序盤、そしてこの試合と能動的にボールを動かしてくる相手には手も足も出ず、かといって浦和がボールを持ったところで何が出来るというわけでもなく、アウェー札幌戦のようにカウンターを狙われてしまうという八方塞がり状態。次節ホーム松本戦はボールを持たされる展開になろうかと思いますが、この試合を落とすと完全に残留争いに巻き込まれてしまうので、どんな形であれ勝ち点を掴み取ってほしいものです。

・もうACL、ルヴァン杯、天皇杯、何それ???という感じですなぁ、試合内容的には・・・

A017

-----杉本-----
--興梠----武藤--
宇賀神-青木-エヴェ-関根
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(交代)
59分 宇賀神→山中
64分 エヴェルトン→柏木
74分 興梠→ファブリシオ

・浦和は天皇杯から中2日ですが、天皇杯からの連闘はGK西川のみ。前節札幌戦からのスタメン入れ替えは前述のように長澤→杉本のみ。さらに関根と宇賀神の左右を入れ替えた(というか両者の本職に戻した)のが目を惹きました。

・杉本のスタメン抜擢は完全に凶と出ましたが、長澤を入れたところで大差はなかったような・・・人の問題でどうにかなるような差ではなかったかと・・・

A016


---田中--古橋---
---イニエスタ--山口---
酒井--サンポール----西
-フェルマー--大崎-ダンクレー-
-----飯倉-----

(得点)
45+1分 古橋
59分 山口
86分 イニエスタ(PK)

(交代)
78分 酒井→小川(足がつったため)
83分 古橋→藤本
90分 イニエスタ→安井

・神戸は14日に獲得したばかりの酒井がいきなり左WBでスタメン出場。ドイツからに復帰したばかりでコンディションが良かろうはずかなく、「どうせあの方からのFAX指令やろ」と高をくくっていましたが、予想以上に動けていて、後方のフェルマーレンとのコンビで関根を封殺。酒井といい、フェルマーレンといい、これまで穴とみられていたポジションを大金を叩いて補強して、それが短期間で機能するのは!!

・同じく夏に補強したGK飯倉もこれまた見事な出来。CBと並ぶくらいの位置まで前に出てきてビルドアップに参加し、浦和が前からハメようにもハメられない一因を作っていました。また浦和の攻め手はないに等しいので、飯倉名物の「やらかし」もその兆しすらなし。前任の前川が酷すぎたので、もう飯倉は神扱いでしょうなぁ、これは。

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2019.08.15

【TV観戦記】19年天皇杯3回戦:浦和 2-1 水戸 ~ PK!PK!PK!佐藤主審ハットトリックや!

・荒れた試合でも何でもないのにPKが3つ。しかもなんとも微妙なPKだらけ。最後のは浅野が後方から関根の右足を引っかけているように見えるので一番PKっぽいのですが、最初と2番目のPKは謎。最初のは森脇が先にボールを触り、かつその後もジョーとの交錯でも特に危険なプレーは見受けられないのでなんでPKなのかさっぱり判らず。ボックス内でマルティノスが倒れた2番目のは「帳尻合わせ」と勘繰られても不思議はないくらいの謎。あえて言えば宮がマルティノスを後方から倒したのかも。

・この3つのPKが勝敗を分けたのですから、試合後長谷部監督が「主審のジャッジには異議があります。本当にこれでいいんでしょうか、というような気持ちです」と苦言を呈するのも頷けます。どこからどう見ても試合内容は水戸の完勝で、浦和はGK西川の奮戦でなんとか勝ちを拾ったに過ぎません。

・浦和はアウェー札幌戦から中3日、さらにアウェー神戸戦が中2日で控えていることを考慮して、スタメンは札幌戦からGK西川を除いてフルターンオーバー。水戸も移動距離は遥かに短いとはいえ試合間隔は浦和と同じなので、こちらはGKも含めてフルターンオーバー。駒繰り事情は同じで、さらに水戸はオフの出入りが激しいというJ2ならではの事情を抱えている分しんどい気もしますが、組織的に闘えているのはどう見ても水戸のほう。これは監督の能力の差に起因するのか、単に与えられた時間の差なのか・・・

・ただ「勝てばよかろう」なのがトーナメント。その辺は大槻監督が「次のラウンドに進むことが全てだということを選手と共有していたので、しっかりと目的を達成できて良かったです」と語っている通り、浦和の監督も選手達も割り切っている風。しかも試合後の「試合前に『右肩上がりでいきましょう』ということを言って、ものの見事に選手が表現してくれたと思っています。」というコメントを読む限り、前半シオシオは無問題、相手が疲れてくる後半から浦和のペースに持ち込むことを想定して試合を進めていた風なので、こんな試合内容でも全然悲観していないのかもしれません。

・この試合でスタメン出場した選手がリーグ戦ではベンチに甘んじている、あるいはベンチにすら入れないのはそれなりの理由があるのがよく判る試合内容でしたが、そうであったととしてもその選手達が「次のラウンドに進む」という唯一無二のタスクをきっちり達成したなら何の問題もない。おまけに選手達が久しぶりの実戦で良かったところ、悪かったところを再確認できたならなお良し。そう前向きに考えたほうが精神衛生上良いのかもしれません。

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・とはいえ、前半の試合内容は悲惨でした。ファブリシオ・汰木・マルティノスからなる前3人はいずれもボールを収められるタイプではないので苦戦するだろうなとは思いましたが、予想以上の大苦戦。

・序盤こそ水戸が浦和をリスペクトしすぎたのか、ジョーを最前線に残して4-5-1、あるいは平塚アンカーの4-1-4-1にも見える守備ブロックを自陣深めの位置に敷いてのカウンター狙い。浦和はボールこそ支配するものの、下手に縦パスを入れてカウンターを食らうのが怖いのか、高い位置にいるWBに預けるのが精一杯でファブリシオまでボールが行かず、当然ながら「ファブリシオ撃て撃てシステム」は作動せず。

・15分も経過すると、ボールを持ったところで浦和が何もできないのバレでしまったせいか、水戸は徐々に最終ラインを上げ、ボールを持ってSH&SBがサイドから反撃。

・20分自陣深い位置で村田に裏に抜け出された鈴木がファウルを犯して水戸FK。水戸のセットプレーは結構厄介と話には聞いていましたが、この場面で早速それが火を噴き、FKをジョーがほぼフリーでヘッド。これはいったん西川がなんとか弾いたものの、こぼれ玉をCBンドカに拾われる大ピンチ。ところがンドカのシュートはあろうことかクロスバーを直撃して事なきを得ました。

・また浦和は前3人の守備寄与が無さすぎるのが致命的。28分には平塚から最前線の村田へスルーパスを通され、村田のクロスをSH浅野にどフリーでヘッドで合わされる大ピンチ!!これも西川が辛うじてセーブ。

・浦和は前に出てきた水戸のプレッシャーがきついせいか、前半半ば以降はビルドアップもままならず。縦ポンで汰木やマルティノスに水戸最終ライン裏を突かせても、タイミングが合わずにボールは点々と転がって水戸GKに渡るばかり。なんとか個人技で打開しようとして水戸の強固な守備網にひっかかるの連続。全く良いところなく前半終了。

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・ゲームの転機となったのは53分の謎のPK。この失点でようやく浦和の選手達に火が付いたのか、あるいは蒸し暑い中で水戸がコンパクトな守備網を維持できなくなったのか、明らかに浦和の動きが良くなり、パススピードもボール回しの判断スピードもぐっと上がったように見受けられました。失点直後に大槻監督も「ここから行くで!!」といわんばかりに岩武に代えて関根を投入。

・浦和らしい高い位置にいるWBへのワイドな展開もさることながら、水戸の守備網が緩くなってマルティノスにはうってつけのスペースが出来だし、57分には汰木縦パス→タッチ際を山中疾走してクロス→ボックス内でマルティノスに決定機(シュートはなぜか枠外)。62分にはファブリシオのパスをがらがらの右サイドで受けたマルティノスが深く抉って、これまた怪しげなPKを獲得。PKをファブリシオが決めて浦和は早い時間帯に追いつくことができ、妙な焦りを生むことなく試合を進められるようになりました。

・同点に追いついた直後に大槻監督はマルティノスに代えて杉本を投入して、いよいよ「山中千本ノックシステム」で大反撃。78分には汰木に代えて柏木を入れ、81分には右サイドに出た柏木→柴戸の折り返しパスを受けて関根がボックス内に突入してPKゲット。これもファブリシオが決めて浦和逆転。

・ここまでは「右肩上がりでいきましょう」という大槻監督の算段通りと評価していいと思いますが、どうにもいただけないのはその後の試合運び。浦和は浦和でお疲れなのか、ボールをしっかり動かしてご安全に逃げ切ることができず。ATには鈴木のしょーもないボールロスト(インターセプトしたのに、なぜかわざわざ自らドリブルで持ち上がってロスト)から途中投入のFW黒川に際どいシュートを撃たれてヒヤリ。

・さらにCKから攻撃参加してきた水戸GKにどフリーでヘッド(わずかに枠外)、さらにこぼれ玉を拾われてポストを掠めるシュートと2度もヒヤリとさせられ、ほうほうの体で辛うじて逃げ切り勝ち。最初から最後まで水戸のセットプレーには苦労させられましたが、この辺が普段対戦しない相手とのやり辛さなのかも。

-----ファブリシオ----
--汰木---マルティノス--
山中-阿部--柴戸-岩武
-鈴木--森脇--橋岡-
-----西川-----

(得点)
65分 ファブリシオ(PK)
81分 ファブリシオ(PK)

(交代)
55分 岩武→関根
64分 マルティノス→杉本
78分 汰木→柏木

・胡散臭いとはいえ、自分が獲得したPKを自分で決めると言わんばかりにボールを抱きしめるマルティノス。ファブリシオもPKを譲るつもりだったようですが、マルティノスはPKを蹴るどころか杉本に代えられてしまって激昂!! まぁ大槻監督はPKの前から交代を準備していましたし、浪花節的にマルティノスにPKを蹴らせるリスクがでかすぎるとも考えたのでしょう。マルティノスを必死になだめるキャプテン阿部が印象的でした(プレーに衰えが隠せなかっただけに)。


---ジョー--村田---
浅野---------レレウ
---森---平塚---
岸田-宮---ンドカ-浜崎
-----村上-----

(得点)
53分 ジョー(PK)

(交代)
67分 レレウ→福満
74分 ジョー→清水
86分 森→黒川

※写真は試合とは全く関係がありません。

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2019.08.11

【DAZN観戦記】19年第22節:札幌 1-1 浦和 ~ モエレ沼からドロー沼へ

・3試合連続の引き分け。前2試合が「試合終盤に辛うじて追いついての引き分け」だったのに対し、この試合は「追いつかれての引き分け」で気分的にはより悪かろうと思います。また試合内容も札幌ペースで進んでいた時間帯が長く、この3試合の中では最も悪かったという印象が残りました。

・この試合の特徴はミシャがはっきりと「浦和にボールを持たせる」道を選択したこと。前節名古屋戦も名古屋が2点リードしてから浦和がボールを持たされる展開になり、これは名古屋が下手に守りに入ったものと解釈できるとしても、今節の札幌は明らかにより意図的。本来ボールを持って試合を進めるのが持ち味のチームがあえて浦和にボールを持たせ、浦和を困らせる。そしてこの策は見事に嵌まり、31分鈴木が西川との1対1の決定機を決めていれば札幌楽勝だったような気がします。

・また関根が浦和の攻撃の最大のキーマンになっているのも復帰4試合目ともなるともうバレバレ。ミシャにばっちり関根対策を立てられて関根は何もできないどころか、むしろ関根が攻めに出た裏を突かれてしまう始末。

・しかし、前半劣勢だった浦和もやられっぱなしではなく、後半に入って立て続けに決定機を作り、最近では珍しくセットプレーで先制。当然ながら一転して攻勢に転じた札幌に対していったん試合を落ち着かせるなり、あるいは試合を壊してぐだぐだにしてしまうなり、芳しくない試合内容でもなんとか勝ちに行く策を講じるべきだったでしょうに、浦和は馬鹿正直に札幌にお付き合いするかのようにオープンな展開にしてしまい、札幌の反撃を許してしまいました。まるでミシャが取り憑いたかのような試合展開。

・しかも同点に追いつかれて放った交代策が全部不発。75分カウンターからの絶好機を途中投入のファブリシオが決められなかったのがケチのつけ始め。杉本に至っては全く何もできないまま、いやむしろチームが杉本に何を期待し、何をやらせようとしているのか判らないまま試合終了。

・ミシャが試合後に「今日の試合の内容を見れば、我々が運動量で、球際で、そしてコンビネーション、チャンスの数で、相手を上回れていたと私は思います。」「ただ最後のところのシュート、あるいはラストパス、そうした精度の部分というのは、なかなかトレーニングで改善できるものではないのは確かです」と語っている通りの試合内容。

・第2節で札幌にホームで事実上虐殺されたことを思えば、このドローゲームは半歩前進と評価していいのかもしれません。ただ札幌と比べるとチームの練度ははるかに及ばないことを再確認させられた試合といってもいいでしょう。しかもその差は一朝一夕には追いつかない。ミシャ更迭からほぼ2年。その間浦和の監督は目まぐるしく変わっただけでなく、チームのスタイルまでコロコロ変わり、ビッグタイトルと引き換えに失われた時間の長さを痛感させられた試合でした。

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・浦和は前節名古屋戦から小破離脱していたマウリシオが鈴木に代わってスタメンに復帰した他、ファブリシオ→長澤、橋岡→宇賀神、柴戸→エヴェルトンと4名入れ替え。柴戸・橋岡・汰木がベンチ外で、阿部・マルティノス・森脇がベンチ入りしたのが目を惹きましたが、これは優先順位が入れ替わったのではなく、中3日で天皇杯3回戦(vs水戸)が控えており、そこでのスタメン構成を考えた結果でしょう。ただ橋岡は攻撃面であんまりすぎて、レギュラーから外れたのかもしれません。

・この試合の印象が良くないのは、またしても試合開始早々にセットプレーで決定機を許してしまったことにあるのかも。1分福森CKのこぼれ玉をほぼフリーの鈴木が拾ってシュート。幸い角度もあまりなく、かつ西川の正面で事なきを得ましたが、何なんだろうな、この試合の入りの悪さは。

・札幌は立ち上がりこそ前から追ってきましたが、その後は前述のように自陣に5-4-1のブロックを敷いてのリトリート主体の守備を徹底。自然浦和がボールを持つ時間は長くなり、前半は6割以上浦和がボールを支配していましたが、単にボールを持たされてる印象が強く、急所に縦パスを入れることも出来ず、ミラーゲームゆえにフリーなWBに展開することも出来ず。「困った時の関根頼み」もままならず。

・札幌と比べると浦和はパススピードも判断も実に遅くて(自社従来製品比ではこれでも速くなっているとはいえ)、実に各駅停車的というか「指差し確認、出発進行」的な印象で絶えずボールの出しどころに常に困っている印象。ビルドアップに呻吟して興梠までボールが運べず。前半の浦和の決定機は37分札幌自陣でのスローインを奪ってからエヴェルトン→ボックス内で長澤枠内シュートくらいでしょうか。

・札幌は浦和が無理に縦パスを入れてくるところでボールを奪って縦に早いカウンター。浦和は例によって前からボールを奪回にかかりますが、札幌はロングボールを多用して浦和の前ハメを回避。そしてそのロングボールのターゲットとして無類の強さを見せたのがジェイ。

・高さ&強さを誇るジェイにボールが収まると、その背後でくねくねチャナティップとスピードがある武蔵が躍動。彼らの連携の良さ、動き出しの速さが浦和とは段違い。また札幌の前3人はそれぞれ全く特徴が違っているためか、浦和CB陣は大苦戦を強いられ、特にスピードに難があるマウリシオはチャナティップや鈴木に裏抜けされそうになったところで悉くファウルを取られてしまいました。

・31分鈴木の決定機は札幌の狙い通りのカウンターが嵌まったもの。縦パスを受けたジェイがマウリシオを吹き飛ばして鈴木をスルーパス。鈴木は西川と1対1になりましたが、前に出た西川が上手くシュートコースを消しているのか、シュートは枠を捉えられず。

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・前半劣勢だった浦和もそのままやられっぱなしになったわけではなく、後半に入って54分槙野が高い位置でボールを奪回してからのショートカウンターから興梠シュート(やや力なくGK正面)、56分にも敵陣でボールを奪ってからのカウンターで武藤マイナスの低いクロス→エヴェルトン反転シュートの決定機。

・そしてその決定機から得たCKから57分エヴェルトンがヘッドで決めて浦和先制。マウリシオの折り返しが相手に当たって軌道が変わった後に運良くフリーのエヴェルトンに渡ったようなものですが、一点は一点。浦和はなんと大槻体制になって以降、これがセットプレーによる初めての得点なんだとか。柏木がずっと戦列を離れており、山中もスタメン起用の目途が立たず、プレースキッカーの人材難が祟っているのでしょうけど。

・先制された札幌が一転して前に出てくるのは当然ですが、残念だったのが先制後の浦和の試合運び。先述のように浦和は変に札幌にお付き合いして、リードしているのにオープンな展開にしてしまいました。

・もっとも試合後大槻監督は「ただあそこで1-0で我慢するのではなく、2点目を取りにいこうということは、選手と僕で一致した考えだったと思いますし、あそこで前に出ていくことは悪いことではない」と語っており、ゲームコントロールに失敗したわけではなく、あえてどつき合いの道を選んだ模様。オリヴェイラなら間違いなく「グダグダコース」を選んだと思いますが、この辺はもう哲学の問題なんでしょう。

・しかし、この選択は完全に裏目に。66分荒野縦パスを契機とする札幌の決定機こそチャナティップのシュートは西川の正面で事なきを得ましたが、68分札幌のロングカウンターで白井のクロスに反応したジェイになんとマウリシオと岩波の2人もが潰されてしまい、こぼれ玉を難なく鈴木が蹴りこんで同点。このカウンターはクロスのターゲットとしてジェイをフル活用した意味でも、関根が攻めに出た裏を突かれているという意味でも、札幌の算段通り。

・同点に追いつかれたことで大槻監督は71分長澤に代えてファブリシオを投入。しかし、75分西川のロングキックからのカウンター、興梠→ファブリシオの決定機を決められず、その後のファブリシオは守備の緩慢さが目立つばかり。札幌GKの位置を見てロングシュートを放つ辺りには研究の成果も可能性も感じられましたが。

・さらに81分に武藤に代えて杉本を投入するが、杉本の役割期待が判然とせず、これまたボールロストを繰り返すばかり。現状杉本は「山中千本ノックシステム」以外の使い道がないようですが、大槻監督が最後に投入したのは山中ではなく森脇でした。負けを避けようとすればその選択なのでしょう。

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-----興梠-----
--武藤----長澤--
関根-エヴェ-青木-宇賀神
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
57分 エヴェルトン

(交代)
71分 長澤→ファブリシオ
81分 武藤→杉本
89分 宇賀神→森脇

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-----ジェイ-----
--チャナティップ--鈴木--
菅--荒野--宮澤-白井
-福森--キムミンテ--進藤-
-----クソンユン-----

(得点)
68分 鈴木

(交代)
61分 菅→ルーカス
88分 宮澤→深井
90+1分 ジェイ→中野

・札幌は前節出場停止の荒野がスタメンに復帰して、深井と入れ替え。

・駒井はいったん怪我から復帰したものの、また怪我をして浦和戦出場はお預け。リーグ戦序盤活躍したアンデルソン・ロペスのベンチ外が続いている理由は不明。

※写真は試合とは全く関係がありません。

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