2019.07.14

【DAZN観戦記】19年第19節:横浜M 3-1 浦和 ~ 傷ついた守備網に2回の誤審で塩を塗る

・色んな意味で酷い試合でした。シュート数21対4。特に前半の浦和はとうとうシュートゼロ。横浜Mはシュートを撃ちまくっているとはいえ案外枠内シュートが少なく、浦和守備陣のシュートブロックに遭っている場面も少なくないので、西川の奮戦でかろうじて3失点で済んだに過ぎない前回対戦時よりははるかにマシという見方も出来ましょう。

・しかし、浦和の横浜M対策が上手く嵌まったかとなるとかなり疑問。序盤から浦和右サイドを破られてクロス→逆サイドから仲川に飛び込まれるという決定機を何度も作られていましたし、リスクをかけてどつき合いに転じた後半もカウンターでより決定機な形を数多く作っていたのは横浜Mのほう。

・どんなにボールを支配し、シュート数で大きく上回っていようとゴールが決まらなければ何が起こるか判らないのがサッカー。1点差のまま試合が進んでいれば、万が一の可能性に過ぎないかもしれませんが、先日のアウェー川崎戦のように土壇場でドローに持ち込めたかもしれません。しかし「ロースコアのまま試合を終盤にもつれ込ませる」という浦和の一縷の可能性を2度にわたってぶち壊したのがこの日の松尾主審を中心とする審判団。

・59分仲川のゴールはDAZNで見る限りどう見てもオフサイド。ただオフサイド見逃しという誤審は誠に残念ながら良くあることなので、見ている側も選手達も諦めて切り替えるしかないのですが、この日の審判団が謎だったのは一度オフサイドを認めてゴールを取り消したのに、その後その判定を覆してゴールを再認定したこと。DAZNで解説付きで見ていても訳が分からないのですから、現場の方々はなおさらでしょう。

・69分宇賀神クロスが広瀬のオウンゴールを誘発して再度1点差に詰め寄り、81分にとっておきのどつき合い要員=マルティノスを投入して大勝負に展じたところで、今度は松尾主審がボックス内で岩波のハンドを取ってPK。これまたDAZNで見る限りはディフレクトしたボールが岩波の顔に当たっただけ(手に当たっていたとしても大きく手を広げてはいないのでハンドは取り辛い)で、なんでハンドなのかさっぱり判らず。昔はこういうのをACLでよく見かけ、「アジアの笛」と恐れていたのですが、Jリーグの主審もそのレベルに転落したということなのでしょう。

・まぁハンドの見逃し、あるいは誤認定というのもよくある話なので、これまた見ている側も選手達も諦めて切り替えるしかないのですが、DAZNのおかけでスタジアム内外にいる誰もが明らかな誤審だと判るのに、審判団だけがその画像を参考に判定できないという滑稽な状態はなんとかならんのでしょうかねぇ・・・

・2度にわたる誤審によって「土壇場でなんとかドローに追いつく」という浦和の一縷の可能性すらかき消されてしまいましたが、それはほんのわずかな可能性というかほぼ夢であり、試合内容は何処からどう見ても完敗。横浜Mにまたしてもチームの完成度、クォリティーの差をまざまざと見せつけられ、負けは負けとして認めざるを得ません。なんか公儀介錯人が名刀でスパッと介錯してくれるはずだったのに、なぜか素人がやって来て鈍器で致命傷にならないところを何度もどつき回した挙句の死にざまみたいな感じの試合でしたが。

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・浦和は仙台戦でエヴェルトンが故障(左肩鎖関節脱臼で全治約4週間)し、さらに武藤も小破。柏木はまだ試合に使える状態ではなく、中盤の陣容がかなり寂しくなった中で大槻監督が青木の相方として選んだのはなんと阿部!!また武藤の代わりにファブリシオをスタメン起用しました。

・守備意識に乏しいファブリシオをスタメン起用するとなると「前から追うのはたぶん無理だろう」と想像しましたが、やはり案の定浦和は早々と5-4-1でリトリート主体の守備を選択しました。ところが冒頭記したようにこれが機能したとは言い難いかと。8分ティーラトンのクロス→仲川飛び込むを皮切りに、14分遠藤抉る→仲川ヒール、26分ティーラトンクロス→マルコスと似たような形を何度も作られてしまいました。

・それだけでなく、9分興梠ボールロストからショートカウンターを食らって仲川シュート、11分CK→エジカルのヘッドはわずかに枠外、23分広瀬ループ気味に西川の頭上を襲う、28分マルコスのスルーパスで宇賀神が仲川に裏を取られかかってイエローで阻止、と散々。大槻監督は守備時左SHに入っているファブリシオがほとんど守備で効かないのを嫌ってか、何度か興梠とポジションを入れ替えましたが、特に効果なし。

・守備以上に悲惨だったのが浦和の攻撃。横浜Mの素早い攻→守の切り替え&鋭いプレッシングに圧倒されて、深い位置でなんとかボールを奪ってもパス回しで横浜Mのプレッシングを掻い潜れず、縦ポンで極端に高い横浜Mの最終ライン裏を突こうとしても精度の高いボールを蹴らせてもらえず。決定機は31分左サイド深い位置からのファブリシオクロスが扇原のオウンゴールを誘いそうになった場面だけ。

・そして38分にとうとう失点。長澤のバックパスを受けた橋岡が自陣深い位置で謎の転倒。すかさずティーラトンに拾われて遠藤の一発を浴びてしまいました。この場面、橋岡の謎の転倒が全てなのかもしれませんが、横浜Mのプレッシャーがきつくて長澤が出しどころに困った末の事故とも言え、全くの偶然でもなさげ。

・大槻監督は周囲からどんなにボロクソに叩かれようとも、とにかく引いて守って耐えに耐えて終盤勝負に持ち込むという「高倉健の任侠もの映画」みたいな算段を立てていたと個人的には推測しますが、先制点を取られたことでその算段は瓦解。ならば、そこで第二の作戦=とにかくカオスの海での殴り合いへ移行し、後半一転して前からプレッシャーをかけ始めました。51分にはカウンターでファブリシオ→青木クロス→興梠の決定機。

・ポステコグルー監督はなんか思考回路がミシャに良く似ているのか、絶対に勝てる試合を無駄にオープンな試合にしてしまう性癖があるのが浦和には幸い。もちろんどつき合いに移行してもチームの完成の差がしっかり出て、50分遠藤ドリブルで中央進出→エジカルの決定機を皮切りにカウンターの好機をより多く作ったのは横浜M。

・59分仲川のゴールは誤審だとはいえ、遠藤&ティーラトンの壁パスで橋岡が遠藤に簡単に裏を取られたのは全くいただけません。橋岡はゴールキックのターゲットになっただけで、守っては遠藤&ティーラトンのコンビにやられ放題となり、攻撃面で課題山積なのに守備でも良いところがないとなると先が案じられます。

・不振の橋岡に代えて61分山中を投入した浦和は69分宇賀神のクロスが広瀬のオウンゴールを誘発する形で反撃開始。左サイド高い位置でのボール奪取&長澤の鬼キープを介しての逆サイドへの展開と狙い通りの形でゴールが決まっており、この試合の数少ない「良かった探し」。

・大槻監督は73分ヘロヘロの宇賀神に代えて杉本を投入し、さらに81分オープンな試合にはもってこいのマルティノスを投入して反攻を試みたものの、その効果が具現化する前に再び誤審が元になってPKを取られて万事休す。マルティノスはこれであからさまにやる気をなくしてしまい、試合終了間際にはGKにちょっかいを出してくだらないイエローをもらう始末。

・自ら進んで殴り合いの道を選択したので致し方ないのかもしれませんが、浦和の守備は最後までほとんど体をなしておらず、守備陣個々人が掴まえるべき相手をはっきりさせて、「一人一殺」の繰り返しで辛うじて対峙する相手を防いでいるだけ。大槻監督をもってしても浦和の再建には時間がかりそうです。

-----興梠-----
--ファブリシオ---長澤--
宇賀神-阿部-青木-橋岡
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
69分 オウンゴール(広瀬)

(交代)
61分 橋岡→山中(宇賀神が右WB、山中が左WBへ)
73分 宇賀神→杉本(杉本1トップ、興梠右シャドー、長澤右WB?)
81分 ファブリシオ→マルティノス


遠藤---エジガル---仲川
-----マルコス-----
---扇原--喜田---
ティーラトン-畠中-チアゴ-広瀬
-----朴------

(得点)
38分 遠藤
59分 仲川
86分 エジガル(PK)

(交代)
76分 マルコス→三好
87分 扇原→大津
90+4分 エジガル→李

・横浜Mのスタメンは突如ベルギーのクラブへ移籍した天野の代わりに故障明けの扇原が入っただけでノーサプライズ。

・ティーラトンが知らん間に左SBに定着。神戸ではぱっとしませんでしたが、戦術理解能力が高いのか、ここでは目を見張る活躍ぶりで恐れ入りました。

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2019.07.07

【観戦記】19年第18節:浦和 1-0 仙台 ~ ボールを蹴るチームが人を蹴るチームに完勝

・シュート数14対3。ボールも6割以上浦和が支配していたというスタッツほど、浦和が仙台を圧倒していた印象は全くなく、終始膠着した試合内容でした。前半はまさに一進一退の戦況でしたが、仙台守備陣の一瞬の綻びを突いて浦和が先制。先制された仙台は51分に愚かな退場者を出してしまったので、膠着した戦況を自らのイニシアティブで変えるのは難しくなり、後半はほぼ浦和のヘマ待ち状態に。

・浦和も浦和で一人少ない相手に無理に攻めに出なかったので戦況は流動化しようがなく、そのまま試合終了。正直興行的には非常に低調な試合で、終盤浦和が追加点を取る気配もなく、追いつかれる可能性もないという戦況に飽き飽きしてか、バックスタンドで見る限りはAT突入を待たずに家路につく観客も少なくありませんでした。

・この辺はボトムハーフにいて降格ゾーンがチラチラ見え隠れしているのチームの悲しさなのかも。とにかく目先の勝ち点が欲しい。ミシャであれば一人少ない相手に容赦なく攻めかかって4-0、5-0と「死体蹴り」の様相を呈した可能性が高い一方、無意味にオープンな試合になって3-3くらいのスコアで勝ち点を取りこぼすこともままあったかと思います。

・そんなミシャの試合運びを反面教師として、大槻監督は「勝てる試合」をうっかり取りこぼしてしまう可能性を極力排除したかったのでしょう。この辺はオリヴェイラ監督の遺産(=勝負への拘り)なのかもしれません。

・仙台がハモン・ロペスを投入して4-3-2の布陣で乾坤一擲の勝負をかけてきた時間帯にカウンターをお見舞いできれば満点パパでしたが、残念ながら今の浦和は鋭利なカウンターを繰り出せないと判断したのか、大槻監督は阿部を投入してよりはっきりと逃げ切りの道を選択し、何の紛れもなく逃げ切りに成功しました。

・今年はとにかくホームでの戦績が悪く、しかも負け方が非常に悲惨。このダメージは殊の外大きいようで、この日の観客は土曜にも関わらず29000人弱と寂しいものに。試合中あるいは帰宅時間帯には雨が予想され、相手もしょぼいとあっては仕方ないのかもしれません。とにかく「ホームで勝つ」ことに拘った大槻監督のスタンスを強く支持したいと思います。

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・浦和も仙台も天皇杯から中2日。浦和のスタメンは天皇杯からの連闘は岩波のみ。というか、リーグ戦前節の大分戦でも大胆なターンオーバーを試みているので、レギュラー陣(という言葉を大槻監督は嫌うでしょうが)のうち半分くらいはアウェー蔚山戦以来久しぶりのスタメン出場という感じ。青木はその間2試合ともお休みですし。布陣はいつもの3-4-2-1。スタメン発表時にはエヴェルトンと長澤のどちらがシャドーなのか判りませんでしたが、長澤が右シャドーへ。

・仙台は前節から右SB蜂須賀→大岩と1名のみ入れ替え。もっともこれは蜂須賀のアクシデントによるもの。

・仙台は立ち上がり2トップが前から激しくプレッシャーをかけてきましたが、浦和は難なくそれを交わしてビルドアップ。浦和は3バックで仙台の2トップに対して数的優位なので簡単にビルドアップ出来て当たり前なのですが、その「当たり前」が今年かなり怪しくなっていただけに、当たり前のことがちゃんとできるようになっただけで浦和の復権が見て取れるような気がしました。

・仙台はあまり意味がない「前プレ」を早々に諦め、高い位置に張り出している右WB橋岡に対峙する格好で左SH関口が最終ラインに下がって5-3-2の格好でリトリート主体の守備に切り替え。浦和はボールを支配するものの粘り強く守る仙台守備陣の前にこれといった決定機は作れず、26分にこぼれ玉を拾った青木が枠内ミドルシュートを放ったのに可能性があったくらい。

・守備ブロックを作って耐える仙台の攻撃は浦和以上に悲惨。昨年の天皇杯決勝に象徴されるような「シュートに繋がらない無意味なポゼッションへの拘り」はすっかり捨ててしまったようで、攻撃はロングボールに頼るというある意味テグラモリ時代に先祖帰りしたような感じに芸風を一変させていました、肝心のターゲット=長沢が浦和CB陣の前に何も出来ず。

・浦和は前から圧力をかけて仙台に高精度のロングボールを蹴らせず、蹴った先ではマウリシオを中心にCB陣が長沢に自由を与えず、こぼれ玉はいち早く回収して仙台の得意パターンを封殺。仙台のチャンスは29分道渕のミドルシュートのみで、しかもこれが前半唯一のシュート。

・スコアレスで前半終了と思われる静かな試合展開でしたが、42分に突如浦和が先制。岩波が武藤に縦パス → 武藤が反転して椎橋&平岡を交わしたところになぜかシマオまで武藤に食いついてしまい、シマオが対峙していたはずの興梠がどフリーに → 武藤のパスを受けた興梠がGKをループシュートで交わしてゴーール!! 最初に関口が岩波に圧力をかけるべく中途半端に前に出たのが守備ブロックが崩れる一因になったのかも。

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・前半から攻撃がほとんど成り立っていなかった仙台の苦境に追い打ちをかけたのが51分の椎橋の退場。伝統的に仙台のプレースタイルは荒っぽく、なぜあれが放任されているのか不思議でなりませんが、この日も後方からの危険なファウルが非常に目立ち、19分には長沢の殺人的なファウルを受けたエヴェルトンが負傷退場。

・ところか飯田主審はこの仙台の暴力行為の数々にファウルを取るだけでなぜか45分まで一枚もイエローを出さずに放置。これが何より良くなかった。大槻監督も「前半にもう少しコントロールしていたら、仙台の選手のレッドカードはなかったんじゃないかと思うんです。」と指摘している通り。審判がイエローを出さないことを良いことに、仙台はラフプレー三昧。42分の先制場面でも武藤がシマオにがっつり削られていますが、これも飯田主審は放置。これが遠因となったのか、武藤も58分に早々と交代を余儀なくされました。

・しかし、仙台にとって「いいだのいいふえ」もここまで。45分にようやく椎橋にイエローを出した後は、仙台のご乱行を見るに見かねたようにイエローカードを急に出し始め、相変わらず調子こいでラフプレーを続けた椎橋は当然のように2枚目のイエローをもらって退場。

・一人少なくなった仙台はFWを一枚削って4-4-1(守備時5-3-1)で終盤まで耐える道を選び、浦和は前述のように無理に攻めない方針を徹底したので非常に退屈な試合に。浦和の決定機は60分CKからマウリシオヘッドが枠内を襲った場面だけ。他は66分岩波クロス→途中投入の杉本ヘッドに可能性があったくらい。ファブリシオがポポ状態になって盛んにミドルシュートを放つものの枠は捉えきれず。

・仙台も1-0のままゲームを進め、終盤ハモン・ロペスを投入して4-3-2に布陣を代えて大勝負に出たところまでは計算通りだったのかもしれませんが、結局何もできないまま試合終了。最大の好機=72分槙野の緩すぎるバックパスに道渕が反応した場面ですらシュートに持ち込めず。

・前半の拮抗状態を考えれば仙台に退場者が出なければ浦和完勝にはならなかったかもしれませんが、仙台に退場者が出たのは偶然でも不運でもなくほぼ自業自得。そんなところまで含めて浦和完勝と言って差し支えない試合でした。見どころに乏しかったのは否定できませんが。

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-----興梠-----
--武藤----長澤--
宇賀神-エヴェル-青木-橋岡
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
42分 興梠 慎三

(交代)
19分 エヴェルトン→ファブリシオ(負傷による交代。長澤がボランチに下がってファブリシオが左シャドー、武藤が右シャドーへ)
58分 武藤→杉本(負傷による交代。杉本1トップ、興梠が右シャドーへ)
86分 興梠→阿部(阿部がボランチ、長澤が右シャドーへ)

・橋岡は後半盛んに縦に仕掛けてはいましたが、クロスといいカットインからのシュートといい、とても効果的とはいえず。ただゴールキックのターゲットになり、守っては対峙する相手に何もさせずと橋岡なりのいいところも出せていました。といっても右WBは森脇・宇賀神・岩武と競争相手がいたところにさらに関根が加わって橋岡も安穏とできる状態ではありません。

・天皇杯がお寒い内容に終始したのでベンチメンバーの入替は少ないと予想しましたが、なんと阿部が久しぶりにベンチ入りし、しかも終盤にクローザーとして投入。阿部はもはや90分持たないのでスタメン起用は難しいのでしょうが、クローザーとして目途が立ったのあれば大槻監督も一安心。一方、ここ2試合で不振を極めた柴戸はとうとうベンチ外。やむを得ません。

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---長沢--石原---
関口--------道渕
---松下--椎橋---
永戸-平岡--シマオ--大岩
-----シュミット-----

(交代)
53分 石原直→富田(椎橋退場のため、富田がボランチに入って4-4-1へ)
67分 関口→石原崇
76分 松下→ハモン・ロペス(4-3-2へ)

 

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2019.07.04

【観戦記】19年天皇杯2回戦:浦和 2-1 流経大 ~ 勝てばよかろう(ハァ・・・)

・天皇杯はとにかく「負けたら終わり」のトーナメントなので、内容がどうであれ勝つことが全て。この日は名古屋・札幌・湘南・松本とJ1の4チームもが格下相手に敗れており、中にはジャイアントキリングとは言い難い大差で敗れているチームもあるくらいなので、大槻監督が「最高の結果だと思います」と語るのも判らなくもありません。

・ただ試合内容はお粗末そのもの。大分戦の惨敗から中2日、そしてさらに中2日で仙台戦が控えているため、動ける選手をかき集めてなんとか11人を揃えただけという急造チームなので連携が覚束ないのは致し方ありません。また「不適材不適所」としか言いようがない、やり慣れないポジション、全く向いていないポジションでの起用を余儀なくされた選手も複数いて、チームとしてほとんど機能していないのもやむを得ないでしょう。

・しかし、大学生に気迫で負け、動き出しで負け、あろうことか当たり負けさえするってなんなん?? しかも個人技でスタジアムを「おおっ!!」とどよめかせていたのは流経大のほうだったという惨状。連携メロメロのプロチームが個人技でなんとか大学生をねじ伏せるというのは天皇杯にありがちな構図ですが、その個人技ですら見せ場を作っていたのは流経大のほうだったというのがこの試合で一番情けないところかと。大学生相手に明らかに格の違いを見せていたのは守っては鈴木、攻めては後半投入の杉本くらいでしょうか。

・そしてそのしょっぱい試合にさらに塩を加えるのが駒場の雰囲気。駒場はバックスタンドの低い屋根とか、狭くて薄暗い通路とかが良くないのか、何かどす黒いもの、陰惨な空気を濃縮する機能が標準装備されているようで、駒場初体験の選手達はざぞかしやりにくかったことでしょう。勝って当たり前の相手にただでさえやりにくさを感じているのに、スタジアムの雰囲気が悪くてプレーが委縮してしまい、それがやりにくさを増すという悪循環。

・勝ったとはいえ、どう見てもJ1のレベルに達していない選手が散見されましたし、「ちょいミシャ」システムではもはや使い道のない選手もいました。大槻監督が「レギュラーなんてない!」と息巻いても、使える駒は限定的なのがハッキリした試合といってもいいでしょう。もっとも使い道がない選手が少なくないのはミシャ以降監督が頻繁に代わり、しかもそのコンセプトになんら一貫性がないままやたら選手をかき集めたフロントの責任としか言いようがなく、選手は少々気の毒ですが。

Vs001

・先述のように大分戦の惨敗から中2日、そしてさらに中2日で仙台戦が控えているため主力級の大半はベンチにも置かず、大分戦からの連闘は柴戸、鈴木、ナバウトの3名のみ。普段ベンチスタートの面子だけでは頭数が足らず、ほとんどベンチにも入れない選手をも出撃させてなんとかスタメン11人を揃えた格好。なお福島と茂木はこれが今年初出場。流経大OBの宇賀神と武藤はベンチで威嚇要員でしょうか(笑) 試合前には「宇賀神先輩」「武藤先輩」とそれぞれ学生からコールがあり、両選手とも照れ笑い。

・浦和は3分直輝CK→鈴木どフリーでヘッドで幸先良く先制。格下相手にスコアレスのまま時間が流れるというのは「ジャイキリの元」なので、早々と先制点が取れたのは急造チームにとって幸いでしたが、まさか前半良かったのがそれだけになろうとは・・・

・浦和はいつもの3-4-2-1、流経大は4-3-3のフォーメーションでしたが、流経大は浦和の稚拙なビルドアップ能力を見越してか学生らしく前からガンガンプレッシャーを掛けてきました。

・さすがに浦和は自陣深い位置でボールを失い、致命的なショートカウンターを浴びるような愚こそ犯しませんでしたが、ビルドアップには四苦八苦。前目にボールを収められる選手が皆無なので致し方ないのかもしれませんが、序盤は流経大にボールを持たせ、ボールを奪った後に高い流経大最終ラインの裏を縦パス一本でナバウトに突かせるくらいしか攻め手がなく、しかもそれが嵌まったのは得点に繋がったCKを得た場面(直輝→ナバウト裏抜けからシュート)だけかな?

・残念ながらナバウトにスピードが無く、またこれといったパサーもいないのでパス精度が劣悪でナバウトが追いつけなさそうなボールだったり、飛び出してきた流経大GKに簡単にクリアされたりと、ほとんど可能性を感じないまま時間が徒過。

・先制されたとはいえ、明らかに自信をもって積極的にプレーしていた流経大は18分スカスカの中盤で簡単にボールを繋いでバイタルエリアから強襲する見せ場を作り、さらに19分に7番(菊地)が浦和右サイドを抉って角度のないところからニアサイドを強烈なシュートでブチ抜いて同点。

・この場面カットインしてきた17番に岩武と山田の二人が付いていながら止められなかったのがこの試合を象徴していたような。特に山田は足だけで突っ込んで、結局転ばされている有り様。後方から突っ込んできた7番のスピードに森脇はあっさりと置き去り。

・流経大は同点に追いついたためか、これ以降立ち上がりほどは激しく前から追って来なくなり、かつ浦和のあまりにも単調な攻めにも慣れてしまったためか、浦和は完全に攻め倦みの様相に。26分カウンターでナバウトが左サイドを疾走→逆サイドの岩武に展開してボックス内に突入するも決められなかった場面が唯一無二の決定機。

・この試合を通じて左WB茂木がフリーでボールを持つ場面が目立ちました。流経大は4バックのまま守っているので森脇など右サイドから大きく高い位置にいる茂木に展開すれば茂木がフリーになりやすいのは当たり前といえば当たり前ですが、残念ながら茂木は「ちょいミシャ」仕様のWBの適性が全くないのか、ボールを受けても何もできず。前に高さがないのに単純にクロス入れても意味ないでしょうに。流経大が慌てて守備ブロックをスライドさせないのとみると「こいつに持たれても無問題」とばかりに見切られて中を固められたような気も。

Vs003 

・あんまりな内容に大槻監督は業を煮やしたのか、後半頭から全く1トップに向いていないナバウトに代えて杉本を投入。しかし、杉本までなかなかボールが行かないので戦況は直ぐには好転せず、51分岩波縦ポン→汰木裏抜け&ループシュートが惜しかったのみ。それどころか、その直後に自陣深い位置からのドリブル進出&パス交換で中央を次々に破られる始末。守備の人数は足りていたはずなのに次々と破られる様って、もはやどちらがプロなのかわからんレベル!!

・怒りが収まらないであろう大槻監督は60分間とうとうあまりにもボールロストが多すぎて流経大の攻撃の基点と化していた山田も諦めてエヴェルトンを投入。これで「不適材不適所」は幾分解消され、杉本にボールを当てて、近くにいる汰木を流経大最終ライン裏に走らせる、あるいはサイドからのクロスで杉本の高さを使うという浦和の狙いもはっきりし始めました。

・74分左サイドから汰木クロスに後方から飛び込んだエヴェルトンのヘッドが決まって浦和ようやく2点目をゲット。ボックス内に杉本がいるのでエヴェルトンの飛び込みへの対応が遅れたのでしょう。また汰木のクロスには驚きましたが、汰木はこんなクロスみたいなのがコンスタントに挙げられるようになれば一皮むけると思います。対峙したDFも間合いの取り方が変わってくるでしょう。とにかくシュートに繋がらないドリブル馬鹿のままでは頭打ちかと。

・大槻監督は最後にOB宇賀神を投入して試合を締めようとしたものの、宇賀神は無謀にボールを奪いに行って失敗し、守備網に大穴を開ける始末で守備は最後まで不安定。大学生相手になんとか時間を潰しに潰して逃げ切りという、流経大の奮戦ばかりが目立つ試合でした。

・大槻監督は試合後の会見でこそ選手達を庇うどころか讃えている風でしたが、ハーフタイムのコメント「走らないで勝とうなんて甘い。もっと走りなさい。足を振ってますか。ファイティングポーズをとっていますか。相手はイヤがっていますか。当たり前のことをやりなさい。いまの敵は自分たちの中にある。覚悟を持って戦いなさい」というのが本音に近いでしょうなぁ・・・

Vs007

-----ナバウト-----
--汰木----山田--
茂木-阿部--柴戸-岩武
-鈴木--岩波--森脇-
-----福島-----

(得点)
2分  鈴木
19分 菊地(流経大)
74分 エヴェルトン

(交代)
HT ナバウト→杉本
60分 山田→エヴェルトン
85分 茂木→宇賀神

・実績から見て本来出番があって然るべき荻原がなぜかベンチにもおらず。小破なのかもしれませんが、ただでさえ汰木にベンチ入り競争で負けて出場機会が減っているのに何と巡り合わせの悪いことか。

・ユース卒の新人でベンチ入り出来たのはGK石井のみ。昨年橋岡&荻原が早々と出場機会を得たのと比べると些か寂しい話で、世代交代もなかなか上手く行きません。

・明大卒の二人はどちらも学生に圧倒される始末。特に柴戸の不振は目に余りました。大分戦でもいいところなく、そこから中3日での連闘がきついのかもしれませんが、それ以上にコンディションがズタボロのような・・・

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2019.07.02

【観戦記】19年第17節:大分 2-0 浦和 ~ コンディション以上に練度が違いすぎて完敗

・浦和はアウェー蔚山戦で難しいミッションを見事完遂して中3日で再び遠距離移動を伴うアウェーゲーム。大分は週央にルヴァン杯もなくて日程面で両チームに大差がありました。また大分ドームはただでさえ通気が悪くて蒸し暑いことで知られるのに、この日は朝から大雨で屋根を閉めざるを得なくなり、公式記録ではなんと湿度89%!! そのため気温は25度にも満たないのに前後半とも給水タイムが設けられました。

・気候面のきつさはもちろんどちらにも重くのしかかりますが、日程が厳しい浦和のほうがよりダメージがでかいと大槻監督は判断したのでしょう。浦和はなんとスタメンを7名も入れ替えてきました(ファブリシオ→杉本、武藤→マルティノス、興梠→ナバウト、エヴェルトン→柴戸、青木→長澤、宇賀神→橋岡、岩波→鈴木)。

・大槻監督は日頃から「レギュラーなんてものはない!」と公言していますし、オリヴェイラ監督がホーム北京戦での快勝後の中4日で迎えたホーム広島戦で疲労感漂うお馴染みのメンバーをゾロゾロスタメン起用して惨敗し、監督のクビが飛ぶ契機となったことを思えば、より条件の厳しいこの一戦でスタメンを大幅に入れ替えたのは納得できます。起用した選手が妥当だったかどうかはともかく。

・しかしメンバーを大幅に入れ替えると当然ながら戦術理解はまちまち、意図が噛み合わない場面は多々出てきます。しかも片野坂監督のもとでJ3時代から3年半の長きにわたって鍛えられた大分とは対照的に、浦和はミシャ長期政権終了後監督が目まぐるしく代わるだけでなく、戦術というかスタイル・志向がブレにブレ、ただいま大槻監督のもとで「ちょいミシャ」に回帰中といったところ。それゆえ「ちょいミシャ」にはどう見ても不向きな選手を複数人抱える羽目に陥っています。

・それゆえ「誰が出ても(精度が下がるかもしれないが)同じようなサッカーができる」という状態にはほど遠く、興梠・武藤・青木といった代えが効かない選手をごっそり抜いてしまうともはやチームとして体をなさなくなってしまいます。しかし、そうはいっても代えの効かない面子を常に出し続けるわけにもいかず、この試合で致し方なく大胆にターンオーバーしたのはやむを得ない判断だったと思います。

ただターンオーバー自体は是としても、所定の作戦を遂行する上でより妥当なメンバーを選んでいたか、あるいは逆にこのメンバーでやる作戦自体が妥当だったか、となるとかなり疑問符がつく印象を受けました。まぁ作戦自体が妥当だったとしても準備時間が極めて限定的なので、そもそもの練度が違いすぎるので結果に大差はなかったかもしれませんが、どうもやろうとしていることと出ている選手の特性が全然噛み合っておらず、対大分作戦としては「最悪手」を放ってしまったと言ってもいいでしょう。

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・大槻監督は前節大分を苦しめた神戸のやり方にヒントと得たのか、序盤は長澤まで最前線に突っ込ませて前からガンガンプレッシャーをかけに行きました。ところが残念ながら今の浦和のプレッシャーの強度、さらには選手間のプレッシングの練度では神戸のように高い位置でボールを奪うには至りませんでした。この日はマルティノスが守備をさぼりがちで、そこが大分のパス回しの脱出口に。言い換えればこの「前プレ」戦術をやるならマルティノスのスタメン起用はありえないでしょうに。こういう実に中途半端な「前プレ」をしてくるチームはカウンターが鋭い大分の格好の餌食。

・もっとも高い位置でボールが奪えずとも、相手にロングボールを蹴らせてそのセカンドボールを拾えれば良いと割り切っていたのかもしれませんが、さほどセカンドボールを拾えているようにも見えず。またボールを奪っても往々にして奪う位置が低いので、今やビルドアップ能力がガタ落ちになってしまった浦和はその後に攻め手に困りがち。ゆえに6分にいきなりパスミスを藤本に拾われ、後藤が長い距離を走って際どいシュートを撃たれてしまいました。

・またマルティノスが守備をさぼりがちなため、左サイドの守備は壊滅状態。15分には大分GKのロングキックから始まるカウンターで、山中は対面のWB松本を見るだけで精一杯。後方から駆け上がる岩田をなぜかマルティノスが途中で放してしまい、岩田クロス→藤本ヒールで流し込みの決定機。大槻監督は途中でマルティノスとナバウトの位置を入れ替えたので、左サイド壊滅状態の主犯は特定していたようですが・・・

・給水タイムを挟んだ辺りから浦和の前プレは減衰して、しかも「行けそうな時だけ行く」という間歇的な感じに。現地では「相手にボールを持たせる」戦術に転換したのかな?と思いましたが、どうもその辺は終盤まであいまいなまま。34分には前プレで大分にロングボールを蹴らせたのにセカンドボールを拾われ、左サイドから松本に鋭いクロスを入れられ、最後は前田に飛び込まれるという、本日の浦和の作戦を全否定されたに等しい決定機を許してしまいました。

・先述のように浦和はビルドアップ能力がガタ落ちな上に、杉本はともかく2シャドーがボールを収められるタイプではないので、「山中千本ノック攻撃」なんて発動しようがなく、杉本にロングボールを放り込むか、マルティノスをスペースに走らせるしか攻め手がありません。それでも39分マルティノスが右サイドに流れてクロス→ファーで杉本の決定機を作るのですから、ある意味恐れ入ります。というか、この面子ではこれしか攻め手がないから、ハナから大分にボールを持たせる戦術を採用するのが妥当でしょうに。

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・大胆なターンオーバーを仕掛けたにも関わらず、前半の「前プレ」が徒労に終わったためか、後半の浦和の運動量は目に見えて落ちてゆきました。49分にはザル状態の左サイドをまたしても岩田に抉られて鋭いクロス。そして51分ついに失点。CF藤本は裏抜けが非常に上手いので、そこへの出し手を潰さなければ行けないのに、ナバウトも柴戸も前を向いた小塚へ全く寄せられないとは!! 青木がいたらここまでぽっかりはなかっただろうなぁ・・・

・先制されてたまらず大槻監督はマルティノスを諦めて武藤と投入するも、そもそも浦和の作戦が破綻している以上選手を一人代えたぐらいではどうにもならず、53分には中途半端に前に出た山中の裏を突かれて3対3のカウンターを食らい、後藤&高山と立て続けにシュートを撃たれる大ピンチ。また61分にもマウリシオのミスを突かれて後藤の独走&シュートを許す一幕も。

・さらに大槻監督は64分鈴木→宇賀神、68分ナバウト→興梠と相次いで選手を代えるものの、浦和は積極的にボールを奪いに行く体力が残っておらず、大分に良いようにボールを回される惨状。そして73分興梠が自陣ハーフライン近くでのボールロストを契機にカウンターをくらい、途中投入の小林がガラガラの中盤を自分で運んでバイタルエリアからズドン!! 

・興梠がボールを失わないことを信じていたのか、柴戸も長澤もえらく前に行ってしまい、中盤スカスカなのには参りましたが、興梠もあのボールを失い方を見ると本来試合に出せる状態ではなかったと思いました。

・とはいえ、ボールを引き出せる興梠&武藤が揃ったために遅まきながら浦和も大分を自陣に押し込めるようになり、「山中千本ノック攻撃」の態勢も整いましたが、決定機らしい決定機は79分の杉本ミドルだけかな?

・またこの試合を通じて浦和のCKはなぜか簡単にボックス内でのファウルを取られて決定機どころか満足にシュートすら撃てず、逆に88分大分CKでこぼれ玉を拾った藤本のポスト直撃弾にヒヤリとさせられる始末。

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・攻めてはほとんど得点の可能性は感じられず、守ってはよく2失点で済んだといって差し支えない文字通りのぐうの音も出ない完敗。やむを得ないとはいえ大胆なターンオーバーは大失敗に終わりました。大槻監督はこの大失敗を受けて、今後ターンオーバーの必要に迫られた際のスタメン選考基準を練り直すことでしょう。また興梠・武藤・青木と代えの効かない選手が何人もいる反面、「ちょいミシャ」にはどう見ても不向きな選手を複数人抱えている(マウリシオ・ファブリシオ以外の外国人選手は全員アウトでしょう。ファブリシオも怪しいけど)現状を中村GMはどう考えているのかも気になります。もうすぐ夏の移籍期間も開くことですし。

・どこからどう見ても今の浦和にはACLとリーグ戦を並行して闘うだけの力はない。頭数の上では2チーム分あるように見えても、目まぐるしい監督交代が祟ってファーストセットですら練度は高いとはいえず、セカンドセットに至ってはチームとして体をなしていない。もうACLとJリーグの2冠だとか、おまけに世代交代だとか、そんな絵空事は止めましょう。そう訴えかけているかのような残念な試合でした。

A022
-----杉本-----
--マル----ナバウト--
山中-柴戸--長澤-橋岡
-槙野--マウリシオ--鈴木-
-----西川-----

(交代)
52分 マルティノス→武藤
64分 鈴木→宇賀神(宇賀神が右WB、橋岡が右CB)
68分 ナバウト→興梠

A025
-----藤本-----
--後藤----小塚--
高山-長谷川-前田-松本
-三竿--鈴木-岩田--
-----高木-----

(得点)
51分 藤本
73分 小林

(交代)
65分 後藤→小林
72分 岩田→庄司(負傷交代)
80分 三竿→島川(島川が右CB、庄司が左CBへ)

・大分は契約上浦和戦には出場できないオナイウを後藤に代えた他、右CB庄司に代えてコパ・アメリカ帰りの岩田、さらに島川→長谷川と3人入れ替え。

 

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2019.06.27

【TV観戦記】ACL2019・ラウンド16第2戦:蔚山 0-3 浦和 ~ 完璧じゃないか、我が軍は。令和の虎退治!!

・第1戦のホームゲームを1-2と、1点差ながらアウェーゴールを2つも献上する形で敗れた浦和。ラウンド16勝ち抜けのためには第2戦敵地で2-0、あるいは3点以上取って勝たなければいけないという、不可能というほどではないがかなり難しいミッションをこなす必要に迫られました。

・しかし、敗れたとはいえ第1戦で大槻監督なりに「これは勝てる!!」という手応えを得たのでしょう。ACLでは珍しく、第1戦との間に全く試合がなくて空いた1週間をフル活用して蔚山を徹底的に分析し、その弱点の突き方=サイドからのクロス攻撃を仕込みに仕込んで堂々の逆転勝ち!! 

・しかも前半のうちに先制して相手をそのまま守りきるのか、一転して攻めに出るのか難しい心理状態に追い込み、蔚山が反撃に転じるには残り時間が少なくなったところで2点目を取ってトータルスコアで一気に逆転。さらにその残り少ない時間でダメを押して相手の息の根を止めるというこれ以上ない完璧な試合運び。いやはや、久しぶりに強い浦和を堪能させていただきました。

・AFC公式サイトによるとシュート数は16対4、うち枠内5対1と蔚山を圧倒。そして浦和が24本ものクロスを放り込んでいるのが目を惹きました。

・第1戦の非常にバランスの悪いスタメン構成&謎過ぎる選手交代を見て、「大槻監督はACLを選手の適性の見極めの場として割り切ったのかもしれません。」と記しましたが、第2戦の完勝を見るとその観測はあながち間違ってはいなかったけれども「ACLを捨てる」という意味での割り切りではなく、「180分で勝てばいいので、最初の90分は蔚山相手に通用する選手を見極めるために使う」という意味での割り切りだったと考えれば合点が行きます。宇賀神の右WB起用&杉本の途中投入が当たったのは、第1戦を受けての成果でしょう。

・また蔚山には公式ツアーだけで約700人、さらに個人手配で約300人、合計1000人もの赤者が駆け付けたんだとか。大雨に祟られたせいもあってか観客はわずか3000人ちょっとなので、ほぼ1/3が赤者。しかも平日に敢然と渡海する精鋭中の精鋭だらけ。従ってG+で見ている限りは赤者の声量が完全にスタジアムを支配し、客がいることに不慣れなせいか、集音マイクがしょっちゅう音割れするわ、ノイズ音を出すわというテイタラク。これまた浦和の完勝に一役買ったのでしょう。現地組の皆様、誠にお疲れさまでした!!

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・大槻監督は第1戦から杉本→ファブリシオ、森脇→宇賀神、鈴木→マウリシオとスタメンを3名入れ替え。長澤・橋岡がベンチ入りした一方、荻原・岩武・汰木・鈴木はベンチ外と、ベンチ入りメンバーまで含めて大槻監督らしくダイナミックに選手を入れ替えてきました。故障明けのファブリシオをいきなりスタメン起用したのは少々驚きで、しかもファブリシオの位置は1トップではなく左シャドー。

・蔚山はイ・グノがベンチ外だったり、キム・ボギョンがベンチスタートだったり、さらに最終ラインをなぜか2名も入れ替えるなど、こちらもスタメンを弄ってきましたが、試合の入り方はほぼ第1戦と同じ。基本4-1-4-1ながら、守備時は浦和WBと対峙したSHが最終ラインに吸収される格好で5-4-1っぽい守備ブロックを形成しての判りやすいカウンター狙い。しかもあまり前から追ってこないところまで第1戦の前半と同じでした。

・浦和は必然的にボールを持たされる展開となり、相手守備ブロックの前でボールをぐるぐる回す羽目になり、中央を固めている相手に縦パスがなかなか入れられないところまで第1戦と同じでしたが、ここで大槻監督が仕込んだ作戦はざっくり言えば2通り。一つ目が「ファブリシオ撃て撃て作戦」。

・マウリシオも含めて蔚山守備ブロックの前からミドルシュートを放つ場面が何度か見受けられました。ファブリシオはオリヴェイラ監督末期に無理やり出場させられた時期よりはコンディションは良さげに見えましたが、ボールを欲しがって下がってくる場面が目立ち、シュートレンジが広いとはいえそのシュートレンジで前を向く機会が少なく、「ファブリシオ撃て撃て作戦」はせいぜい相手を威嚇するだけであまり奏功したとはいえず。

・そこで大槻監督が軸に据えたのがサイドからのクロス攻撃。しかも「山中千本ノック攻撃」ではなく、大きくサイドチェンジしてからの右サイドからのクロス攻撃。8分右サイドからボックス内に侵入した武藤がクロス、9分宇賀神のクロスのこぼれ玉をなぜかクリアミスしてあわやオウンゴールという場面、17分槙野が武藤へ大きく展開→宇賀神クロスと意図は見て取れましたが、これもなかなか決定機には至らず。

・18分山中CK→槙野どフリーでヘッドの絶好機ではポストに嫌われ、逆に36分縦パスに反応して抜け出しかかった19番(パク・ヨンウ)へのマウリシオの対応が軽率で一気にボックス内に侵入される大ピンチがありましたが、相手がシュートを撃つのかパスを出すのか迷ったのが幸いして岩波が戻って来たので、シュートは力なく西川のもとへ。

・ここまでは「とにかく点を取られなければいい。あわよくばカウンターで追加点狙い」という蔚山の思惑通りの試合展開でしたが、41分ついに浦和の狙いが結実。岩波の縦パスを受けた宇賀神が対面の7番相手に縦に勝負を仕掛けてクロス→興梠がボックス内中央で上手くCBのマークを外してヘッド!! 右WBの宇賀神は左ほど攻撃に多くを期待できないと思っていただけに、ここで見せたクロス精度にはびっくり。

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・先制された蔚山はキム・ボギョンをFWに投入して4-4-2気味にフォーメーション変更。それ自体は第1戦の後半と同じですが、第1戦と違って依然として前から追って来ず、依然として守備的な構え。蔚山はアウェーゴール差でリードしているとはいえ1点取られると逆に窮地に追い込まれるという難しい立場。浦和はどっちみちもう1点必要で、蔚山に1点取られても大きなダメージにはならないというある意味気楽な立場ゆえ、60分あたりから大攻勢。

・60分には武藤→山中と大きく振って、山中のクロスに後方からなんと岩波が突っ込む良い形。64分には槙野の縦パスから武藤→興梠→武藤の決定機。この辺が勝負時と判断したのか大槻監督は65分にファブリシオに代えて杉本を投入し(ファブリシオが故障明けなので予定通りの交代かもしれませんが)、さらに75分には岩波に代えて長澤を投入して長澤トップ下の4-3-3、あるいは4-2-4にすら見える超前がかりの布陣に変更して大勝負に。

・この時間帯になると蔚山も汚いファウルを繰り出すわ、傷んだふりをして倒れる選手が続出するわと、なんとか試合をぐだぐだ模様にしようとすっかり鹿島ばりの劇団員に成り下がる始末。そしてなぜか無実の罪を帰せられてイエローをもらうマウリシオ。

・しかし、第1戦で蔚山相手にバリバリ通用することが証明済みの杉本投入の効果は絶大。79分マウリシオ→宇賀神クロス→杉本ヘッドで折り返し→興梠の決定機は枠を捉えられなかったが、80分右サイドに進出したマウリシオのクロス→ファーから侵入した興梠ヘッドでついに2点目をゲット!! ゴールを叩きこんだ興梠もさることながら、この2回の決定機で杉本がDFを2人も引き付けているのがでかい!! ついに浦和で居場所を見出した杉本。ありがとう!!

・合計スコアで逆転したところで大槻監督はすがさず宇賀神に代えて森脇を投入し、フォーメーションを3-4-2-1に復して逃げ切り体勢に。蔚山の後半の選手交代はどれもこれも不発で、おまけに猿芝居で時間を浪費したのが結果的に自分で自分の首を絞める格好に。そんな蔚山を尻目に87分浦和のカウンターが炸裂。山中クロス→ファーで杉本折り返し→武藤と一緒にボックス内に突入していたエヴェルトンが詰めてダメ押し。

・蔚山は昨年も水原相手に第1戦の優位を第2戦でひっくり返されたようですが、今回は日本のクラブ相手にホームで大差を付けられての大逆転負けと屈辱的な要素がてんこ盛り。キム・ドフン監督は前日の記者会見で「浦和レッズには警戒する選手がいない」みたいなことを言い放っていたようですが、この結果を受けてクビが飛ぶどころか日本海に身投げを求められるのではないかと(笑)

・そしてホーム側サイドスタンド上段に掲げられていたあの虎の置物は豪雨とこの結果を受けてどうなったのだろうか・・・

-----興梠-----
--ファブリシオ---武藤--
山中-エヴェル-青木-宇賀神
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
41分 興梠
80分 興梠
87分 エヴェルトン

(交代)
66分 ファブリシオ →杉本(杉本が1トップ、興梠がシャドーへ)
75分 岩波→長澤(長澤トップ下の4-3-3)
83分 宇賀神→森脇(3-4-2-1に戻って、長澤右WB、森脇右CB)

 

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2019.06.20

【観戦記】ACL2019・ラウンド16第1戦:浦和 1-2 蔚山 ~ 善戦はしたがやられ方が酷すぎる!!

・浦和は戦績不振のため監督を代えてチーム再建に取り掛かったばかり。一方蔚山は全北とGSを首位通過したチーム同士でKリーグでも首位争い。リーグ戦とACLとは全く別の闘い、得手不得手があるとはいえ、置かれているチーム状態を考えればどこからどう見でも浦和は蔚山の胸を借りる立場。

・ノックアウトステージはH&A・合計180分で争われる方式のため、第1戦、特にその序盤は双方様子見になりがちですが、浦和は立ち上がりから大攻勢を仕掛けるものの結局1点しか奪えず。逆にカウンターを2発浴びて逆転負け。しかもそのやられ方が酷すぎてお話になりませんでした。川崎戦&鳥栖戦で見せた土俵際での粘りなんてどこへやら。あまりにもなすすべなく土俵を割る姿はミシャ最末期にそっくり。なんもそんなところまで「ミシャの残り香」を漂わせなくてもいいのに。

・ボールが浦和が6割以上支配し、シュート数も16対6と圧倒していますが、ここぞという局面で決めきる力が段違い。そしてそれ以上に「ここぞという局面」を作り出す力が違うのでしょう。それ以前に「ここぞという局面」で自爆ボタンを連打するかのようにメロメロになってしまう浦和の守備にはクラクラしました。

・第1戦はアウェーゴールを2つも与えての敗戦という極めて厳しい結果になってしまいましたが、それでも攻撃面ではある程度手応えを得たことでしょう。とにかく3点以上取らないといけなくなった第2戦では吹っ切れた姿を見せてくれるものと思います。窮地に立ってからがACLです。

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・大槻監督はマウリシオ→鈴木、柴戸→エヴェルトン、宇賀神→山中、岩武→森脇、ナバウト→杉本と鳥栖戦からなんとスタメンを5人も入れ替え。鳥栖戦から中3日。マウリシオは別メニューだったという話を漏れ聞いていたので鈴木の起用はノーサプライズでしたが、それ以外の選手はことごとく守備に難がある選手揃い。アウェーゴールを取られることを気にせず、とにかく勝ちに行くという意識が見え隠れする面子でした。

・基本スタメン固定だったオリヴェイラ監督と違って、練習の様子&コンディションを見極めた上で調子が良さげな選手を起用すると公言した大槻監督らしい大胆な入れ替えでしたが、フォーメーションはいつもの3-4-2-1で1トップは興梠ではなく杉本。

・蔚山はエースのジュニオール・ネグランがベンチスタートで、イ・グノがスタメンなどこちらもやや予想外の面子。基本フォーメーションは19番(パク・ヨンウ)アンカーの4-1-4-1に見えましたが、如何せん前半は浦和に押し込まれて5-4-1(7番左SHが最終ラインに降りる)になっている時間帯が長くて、本来のフォーメーションはよく判らず。

・しかも蔚山は5-4-1の布陣で守るのは良いとしても、前から全然圧力をかけて来ないのが不思議でした。ビルドアップ能力がガタ落ちになっている浦和にとっては実にありがたい話で、序盤から積極的に点を取りに行く姿勢で試合に入った浦和には願ったり叶ったりの展開に。

・ただ浦和の攻撃は左サイドに偏重。序盤は17分山中、23分森脇とミドルシュートで敵陣を脅かすだけに留まりましたが、24分山中横パス→武藤ボックス内でシュート辺りからほぼ「山中千本ノックシステム」に。サイドからのハイクロスを多用する辺りは「ミシャの残り香システム」っぽくなく、むしろ「札幌ミシャ」のテイスト。山中の超高精度のクロス、そのターゲットに高さがある杉本、あるいはその背後に走りこんでくる森脇と「山中千本ノックシステム」には可能性が十分感じられました。森脇にも28分惜しいクロスが一つ。

・ところが37分の先制点は意外な形から。青木がノープレッシャーでボックス近くまで持ち上がって浮き球の縦パス。ボックス内で反応した杉本が相手との競り合いを制してヘッド!! 杉本は浦和移籍後C大阪戦でPKのゴールを決めていましたが、流れの中からのゴールはこれが初めて。オリヴェイラ監督のもとでは出場機会どころかベンチ入りの機会さえ少なかっただけに、見事スタメン起用に応えた形となり、杉本も思わず渾身のガッツポーズ!!!

・このゴールを契機に浦和が勝っていれば杉本の一大転機となり、チームも勢いがつくはずだったんですがねぇ・・・ 好事魔多しというかなんというか、押せ押せになりかかった時間帯にわざわざ自爆ボタンを押すのが浦和。蔚山はもっぱらカウンター狙い。21分に攻めきれずにカウンターを食らった際に俊足の7番(キム・インソン)に浦和右サイドをぶっちぎられてヒヤリとしましたが、失点もやはり右サイドから。

・青木からの横パスのコントロールに失敗して自陣でボールを失うエヴェルトンもいただけないが、それ以上に左SHにポジションを移していた11番(イ・グノ)に森脇&岩波と2人も付いていながら間合いを開けすぎて簡単にクロスを上げさせてしまうのにはがっかり。しかもその先にいた18番(チュ・ミンギュ)はずっと槙野が見ていたはずなのに肝心なところでマークを外され、哀れにも山中が競り負けた格好になっているって、3つもがっかりが重なるとそりゃ失点するわなぁ・・・

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・最初の決定機で貴重なアウェーゴールを獲得した上、前半45分で浦和の手口も見定めてしまったのか、後半の蔚山は一転して積極的に最終ラインを押し上げ、フツーにボールを繋いで両サイドから反撃。布陣も14番(キム・ボギョン)をFWに上げて4-4-2に近い形にしたかな?
61分にはゴールキックを鈴木が競り負けたのを契機にセカンドボールを拾われ、最後はバイタルエリアからイ・グノにシュートを撃たれてヒヤリ。そして、終わってみればここで垣間見られた「バイタルエリアがらがら」が敗戦の予兆でした。

・浦和は前半だけで山中が消耗してしまったのかクロス精度がガタ落ちになり、攻撃の糸口は森脇のクロスに頼る形に。しかし山中ほどの威力・精度はなくせいぜい「森脇百本ノックシステム」といったところで、戦局は一進一退に。

・ここで大槻監督は69分早々と動いて杉本に代えて汰木を投入。しかし、残念ながら汰木は四方八方から相手のプレッシャーを受けるシャドーに向いているとは言い難く、おまけに相手を背負った状態では全く何も出来ないので、蔚山の守備網の中、あるいはその手前でウロウロするだけで全く何の役にも立たず。

・またどういうわけか大槻監督は立て続けに森脇に代えて宇賀神を投入。それなりに様になっていた「森脇百本ノックシステム」を諦めたのは実に不思議で、当然ながら宇賀神の右WBに攻撃面で多くは期待できないため、浦和の攻撃は時間の経過とともに完全に手詰まりに。そして不本意ながら1-1のドローもやむなしという雰囲気が漂い出した終盤、またしてもカウンターで被弾。

・攻めきれずに左サイド敵陣深い位置でボールを奪回された浦和。宇賀神が詰め寄って再奪回を試みるも及ばなかったのはともかく、青木&エヴェルトンが共にやたら高い位置を取っていて最終ラインとの間ががら空きになっており、しかも左サイドから繰り出される相手のパスコースも消せていないという謎っぷり。パスを受けた14番を鈴木が慌てて前に出て潰そうとするもこれまた及ばす、後は途中投入の8番(ファン・イルス)が無人の野を疾走して自らズドン!!相手のシュート精度もさることながら浦和の「バイタルエリアがらがら」が招いた必然的な失点でした。

・浦和も終盤「ミシャの残り香システム」っぽい中央突破で88分武藤がアーク付近から反転シュート、89分山中の縦パスを受けて汰木ボックス内突入と見せ場は作りましたが1点は遠くてそのまま試合終了。

・勝ち点は拾ったものの内容は芳しくなかった川崎戦・鳥栖戦の出来からすれば、手痛い敗戦とはいえ手強い相手に善戦したと評価していい試合だったと思いますが、失点の仕方があまりにも酷すぎ、しかも再現性のある失点だったというのはショックでした。

・また大槻監督は絶対に公言しないでしょうが、今日のスタメン&選手交代を見る限り大槻監督はACLを選手の適性の見極めの場として割り切ったのかもしれません。それくらいスタメン構成の攻守バランスに難があり、しかも謎過ぎる選手交代でした。浦和の置かれている状況を考えれば、それも至極妥当だと思います。

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-----杉本-----
--武藤----興梠--
山中-エヴェル--青木-森脇
-槙野--鈴木--岩波-
-----西川-----

(得点)
37分 杉本
42分 チュ・ミンギュ(蔚山)
81分 ファン・イルス(蔚山)

(交代)
69分 杉本→汰木(汰木が左シャドー、興梠が1トップへ)
72分 森脇→宇賀神
85分 青木→柴戸

・今日の良かった探しをすれば、杉本1トップが思ったより機能した点でしょう。収まりすぎる興梠と比較するのはさすがに酷でしょうが、ミシャ式歴代1トップと比較すると「興梠>>>>杉本>ズタラン>ラファエル>原口>ランコ」という感じかな。それなりに収まるし、興梠にはない高さがある。ただ杉本1トップのために興梠をシャドーに回すと興梠が「宝の持ち腐れ」になってしまうのが困りもの。

・逆にエヴェルトンのボランチはもうないでしょう。前半相手を押しこんでエヴェルトンが高い位置にいる分には悪くないのですが、相手に攻勢をかけられて青木と並んでノーマルなポジションを取るとなるともういけません。ボール奪取に多くを期待できないのはまだしも、がっかりさせられるのはパスレンジの狭さ。あんなにパスレンジの狭いボランチはなかなかおらん。近所の味方にボールを預けておしまいってなんやねん、それ!! それが許されるのは極端なボールハンター型のボランチだけじゃ!!

・長澤が出場停止&マルティノスが登録外なので、荻原と汰木がベンチ入り。柏木・ファブリシオ・阿部が怪我で、故障明けの橋岡は無理させず。この3試合で出場orベンチ入り出来た選手が大槻体制下での戦力で、怪我でもなくユース卒の新人でもないのにベンチ入り出来なかった選手は天皇杯2回戦が最後の出番になってしまうのかも。

・ひと昔前までは韓国のクラブといえばとにかく荒っぽい、ACLの審判といえば何かと怪しげというのが通り相場でしたが、時は流れて今や韓国のクラブも試合中は特段ラフプレーはなく、ACLの主審も実にマトモ。もはやJリーグの一部クラブのほうが遥かに汚いし、一部審判団のほうがはるかに怪しい始末で、残念至極。

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2019.06.16

【観戦記】19年第15節:浦和 2-1 鳥栖 ~ 塩抜き作業は捗らずとも、最後はマルプンデ!!

・大槻監督再登板後初めてのホームゲームは朝から大雨。荒天が祟ってか客入りは28000人ちょっとと寂しいものに。また残念ながら試合内容もパッとせず、スタジアムが沸き返る場面も多くはありませんでしたが、前節に続いて試合終了間際にゴールが決まる劇的なものに。しかも前節は敗色濃厚だった試合をなんとか引き分けに持ち込み、今節は引き分け濃厚だった試合を勝ち切ると結果も少し前進。

・今季既に6敗を喫してとうとう負けが先行し、しかもホームゲームで1勝1分4敗と悲惨な結果に終わってオリヴェイラ監督のクビが飛んでしまった状況下ゆえ、新監督を迎えた直後のホームゲームでの勝利はどんな形であっても嬉しいものです。

・今般暫定の立場ではなく正式の監督として招聘されたとはいえ、シーズンの真っ最中での就任ゆえチーム再建へ向けての準備期間はあまりないことに変わりはなく、しかも時期的に選手補強が出来ない以上、監督交代でチームが劇的に良くなることを期待するのはかなり無理がありましょう。

・また開幕時であれば「結果は出なかったがチーム再建へ向けての灯りが見えたからまあええか」と「良かった探し」で満足できたかもしれませんが、もはやシーズンも折り返し時点を迎えようとする中ではそこまでの余裕はなく、多少不格好とはいえ勝ち点を積み上げたことで良しとすべきかと。稼いだ勝ち点がチーム再建の余裕をもたらす。勝ち点が伸びないと目先の勝ち点欲しさに試行錯誤を繰り返す羽目に陥る。シーズン途中で監督に就任したものの宿命とはいえ、辛い仕事です。

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・大槻監督は川崎戦に続いて3-4-2-1のフォーメーションを採用。試合前の会見で大槻監督は「選手を見て、そういう特性がある選手がいるので。他の形ももう少し時間が経ったらやりたいんですけど、今はそれがいいのかなと。」と語っており、これが当面の基本フォーメーションとなるのでしょう。

・また川崎戦ではさほど明確ではありませんでしたが、鳥栖戦の闘い方はどこからどう見てもミシャ式っぽい「ミシャの残り香システム」。昨年の暫定監督就任時同様、手っ取り早くチームを再建する手段として選んだのか、あるいは少なくとも今季一杯はこれを軸にするつもりなのかは判りませんが、傍目からはやろうとしていることはよく判る試合内容でした。良い試合ではなかったが、先々面白くなりそうな予感はする。あたかもオリヴェイラ流から「塩抜き」を始めたかのように。

・31分の岩武クロス→興梠&武藤が鳥栖DF陣を惹きつけながらスルー→ファーでどフリーの宇賀神が狙いすました形でゴールなんて往年のミシャ式そのものですし、26分相手を押し込んだ状態から槙野が突っ込んでシュート、あるいは47分・50分と右サイド深い位置から高い位置でフリーの宇賀神へ展開するあたりにもミシャの残り香が感じられました。

・しかし、堀監督が突如4-1-4-1をやり始め、ミシャ式を放棄してからの2年弱の月日はあまりにも長かった。その間にミシャ式に慣れた選手は少なからずチームを去り、残った選手達もミシャ式とは真逆の「ホッカー」、そしてボールポゼッションには全く拘らないオリヴェイラ流と戦術が変遷する中ですっかりミシャの残り香が薄らいでしまって、攻守とも四苦八苦。正直相手が鳥栖だったからなんとかなったものの、相手が格段に強くなる蔚山相手にはとても通用しそうもない出来でした。

・だいたいミシャ式の真骨頂であるGKからのビルドアップがもうズタボロ。鳥栖は4-4-2で2トップが厳しく浦和最終ラインにプレッシャーをかけてくるとはいえ、浦和は3バックのまま、かつ西川を使って本来は安定的にボールを回せるはずですが、これがもう安定感もへったくれもなし。

・むしろ鳥栖のほうがGK高岳を上手く使って安定的にビルドアップしているように見えるくらい。浦和は川崎戦同様前からハメたかったのでしょうが、鳥栖のボール回しのほうが一段上なのか、浦和の追い回しに連動性が乏しいのか浦和のプレスはたいして奏功せず、浦和苦戦の主因となっているように思えました。

・鳥栖も成績不振でシーズン序盤にして監督を代える羽目になりましたが、こちらも肉弾戦をいとわず「ロングボールからセカンドボールを拾って展開」というかつてのユン・ジョンファンスタイルっぽい形に回帰し、監督が代わって試合を重ねている分浦和より熟成度が上だったかもしれません。

・しかもユン時代のようにいきなりFWへ放り込んでくるわけではなく、謎のユン監督更迭後の数年を経て築き上げたビルドアップ技術を活かしているようにも見受けられましたし。18分の先制点=左サイドで作ってファーへクロスを入れる形はいかにも得意パターンとして磨き上げられた風。

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・また大槻監督は「ミシャの残り香システム」を続ける限り、ミシャ政権下でもなかなか適任者がいなかったシャドーの人選に苦労しそう。ナバウトは7分に興梠へのスルーパスで見せ場を作った以外は全くと言っていいほど噛み合っておらず、51分に早々とお役御免。ところが代わって投入された長澤の出来も芳しくないどころか、56分・68分と反撃に転じようとしたところでボールを失って鳥栖の逆襲を許す契機となってしまう惨状。

・相手を押し込んだところで攻めきれずにカウンターを食らいがちという、悪い意味での「ミシャの残り香」は健在。11分に食らったカウンターはナバウトのシュートをブロックされたところからで、ナバウトの積極性が裏目に出るという「ナバウトあるある」でしたが、その後の対応がお粗末すぎてクラクラ。安易に飛び込んで趙にあっさり交わされるマウリシオとか、ボックス内に守備の人数はいるのになぜか小野がどフリーとか。浦和にも何度かカウンターのチャンスがありましたが、概してカウンター時の攻守の切り替えの早さや迫力は鳥栖のほうが上。

・2年近く閉めていた店を再オープンしたばかりなので、あれこれ上手く行かない面が露呈するのは致し方ありません。そして試合を決めたのは「ミシャの残り香」とは一切関係がないパルプンデならぬマルプンデ。「ミシャの残り香システム」の中では全くと言っていいほど使い道がなく、試合終盤オープンな展開にならないと使いようがない。しかも使ったところで吉と出るか凶と出るかさっぱり判らないという「パルプンデ」的な性格が強いマルティノス投入が試合を決める契機となりました。

・原川のボックス内ハンドを執拗に主張してイエローをもらう辺りはマルプンデの凶の側面。しかしAT+3分に見せた自陣深い位置からの持ち上がりはマルティノスの真骨頂。福田を振り切り、対峙する小林を交わして上げたクロスが原川に当たって変に浮いたのが吉と出る辺りまで含めてのマルプンデ。クロスに反応した三丸が被ってしまって、ボールは見事に興梠の足元へ渡り、興梠は冷静にシュートコースを見極めてゴール!!

・出来は芳しくなくてもとにかく勝ち点を積み上げるのは大事。勝ち点がチームに余裕をもたらす。内容を云々するのはまだ先で良いでしょう。

002_39

-----興梠-----
--武藤----ナバウト--
宇賀神-青木-柴戸-岩武
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
31分 宇賀神
90+3分 興梠

(交代)
51分 ナバウト→長澤
70分 岩武→森脇
80分 柴戸→マルティノス(マルがシャドー、長澤がボランチへ)

・大槻監督はレギュラーを固定せず、練習の様子を見て良さげな選手を使うことを公言しています。今節は前節川崎戦から丸2週間空き、さらに中3日後にACL蔚山戦が控えているためスタメン予想が難しいかったのですが、蓋を開けてみたところなんと前節からマルティノス→ナバウトの入替のみ。マルティノスはACL・ラウンド16ではまだ登録外。しかも第1戦は長澤が出場停止なので、マルティノスはともかく長澤がベンチスタートなのには驚きました。

・また岩武を引き続きスタメン起用したことや、エヴェルトンや汰木が怪我でもないのに引き続きベンチ外になった辺りには良くも悪くの監督交代の色が滲み出ています。故障明けの橋岡を無理使いしなかったのはACLを睨んだためかもしれません。

・見事な同点ゴールを決めた宇賀神はさほど喜ぶ様子無し。むしろ先制点を取られた場面で安に前に入られた失態を深々と反省している風。川崎戦でもダミアンをフリーにしてしまう失態を犯したばかりですし、監督が代わって山中より優先的に使われる立場になったとはいえ、ゴールで喜んでいる場合ではないのでしょう。これぞ厳しいポジション争いが生む良い緊張感。

・56分鳥栖の決定機を防いだのは西川ではなく、なんと岩波のシュートブロック!! 岩波も監督交代を契機に鈴木からポジションを奪回した立場で、宇賀神へのロングフィードを含めて攻撃への寄与度の高さを再評価されていると思っていただけに、決定的な場面でCBの本業を全うして頂いて頼もしい限り。ここもポジション争いが良い緊張感をもたらしているのでしょう。

・柴戸が90分持たず、最後はヘロヘロになって思わず後ろから手で相手を止めてしまいイエローを頂戴。「ミシャの残り香システム」だと故障離脱中の柏木が俄然輝きを増すのは必定なので、柴戸は精進が必要かと。

001_40

---趙---金崎---
小野---------安
---原川--福田---
三丸-高秀--高祐-小林
-----高丘-----

(得点)
18分 安庸佑

(交代)
67分 趙東建→トーレス
80分 小野→安在
88分 安庸佑→石井

・鳥栖はなんと豊田とクエンカがベンチ外。豊田の故障欠場を予想した向きもあったようですが、クエンカの欠場は全くの謎。この両名がスタメンで出ていたらフツーに負けていたかも。それくらい試合内容は鳥栖のほうが良く、今後最下位に沈んだままでいるような感じは全くしませんでした。逆に言えば、就任後全く点が取れなかったカレーライス監督ってどんだけ大ハズレだったのか・・・

 

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2019.06.02

【DAZN観戦記】19年第14節:川崎 1-1 浦和 ~ 内容は完敗だが「気持ち」だけで半歩前進

・敗色濃厚どころか、後半は手も足も出ず絶望的な展開だった試合をラストプレーでなんとかドローに持ち込む。確かにマルティノスを下げた後は攻撃はまるで成り立たなかったかもしれない。守備も何度も右サイドをぶち破られ、たいした改善は見られなかったかもしれない。しかし、ただ選手達に闘う気持ちは十二分に感じられた。オリヴェイラ監督末期のように、疲れ切った選手達が漫然とボールを追っているだけの試合ではなかった。それだけでも監督を代えた意味はあったと評価していいと思います。

・昨年暫定監督として無敗だった大槻監督を過大評価するのを戒める趣旨でこの試合内容を厳しく見る向きもあるようですが、就任後わずか3日しかなかった練習で攻守とも大幅な改善を見込むほうが無理がありましょう。昨年の暫定監督就任時同様、闘える選手を選び、凹んでいる選手達のやる気を引き上げるくらいしかやれることはない。そして監督の檄を受けて選手達はそれなりに走った。たとえそれが60分程度で終わったとしても。

・その結果11位かつ足下リーグ戦4連敗中のチームが、2位かつ足下ACLを含めて10試合負け無しのチームからアウェーで勝ち点1を掠め取ったのですから、これは「提灯行列モノ」と評して差し支えないでしょう。どんなに試合内容がしょぼかろうとも。

・負けが混んでいるチーム、歯車が狂っているチームはとにかく何がしか立ち直りのきっかけが必要。内容は見るべきところがなかったかもしれない。10回闘っても全敗するような内容だったかもしれない。それでも川崎に何度守備陣を崩されようとも決定的な追加点を与えずに粘り強く闘ったことへのご褒美が最後の最後に転がり込んできた。ほぼ偶然といってもいいこの勝ち点1が浦和再生のきっかけになるような気がしました。

・もちろん、毎度毎度「闘う気持ち」だけで勝ち点が拾えるほど世の中甘くはなく、攻守両面でオリヴェイラ監督末期にすっかりズタボロになってしまったチーム戦術の立て直しが急務なことは確か。それゆえ代表ウイーク明けの鳥栖戦は早々に大槻監督の真価が問われることになりましょう。

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・3日間とも練習は非公開だったので大槻監督の出方は全く判りませんでしたが、スタメン選考方針&試合運び(=動ける選手、闘える選手を選んで立ち上がりからハイプレスで仕掛けに仕掛ける)はほぼ湘南戦をなぞったものだったと思います。

・メンバー選考には大槻監督の意図が如実に表れ、森脇に代えて岩武をいきなりスタメンに抜擢した他、鈴木→岩波、山中→宇賀神、エヴェルトン→柴戸、長澤→マルティノスと前節からスタメンを5人も入れ替え。さらに怪我明け後明らかにコンディションが整っていないファブリシオと、壁にぶち当たって最近何も出来なかった汰木をベンチ外とし、杉本と荻原をベンチに入れた辺りも動ける選手、闘える選手優先という方針が色濃く出ています。岩武大抜擢のあおりで長澤がベンチ外なのが意外なくらい。

・またスタメンは守れる選手を極力優先したのも明白で、唯一守りに不安があるマルティノスはカウンター要員。鈴木より守備に不安のある岩波を起用したのは高精度の縦ポンに期待したものと思われ、実際序盤はその意図通りに試合は動きました。

・フォーメーションは3-4-2-1で、昨年の暫定監督時代の基本フォーメーション通り。ただボランチの片方が最終ラインに下がったり、CBがやたら開いたりしないのでもはやミシャ式とは言い難い感じ。

・浦和のゲームの入りは超積極的で前からガーーーっとハイプレス。いきなり岩武のボール奪取からのカウンターで宇賀神クロスがそのまま川崎ゴールを揺らしたかと思われましたが、前にいた興梠がわずかにオフサイド。5分にはショートカウンターからマルティノスが枠内シュート。

・湘南戦はスタメン総とっかえという浦和の奇策に相手が戸惑っているうちに浦和のハイプレスが嵌まって早々に2点奪取できました。大槻監督もその再現を狙ったのでしょうが、さすがに川崎は湘南と違って相手の出方が判らなくても大崩れはせず、浦和の暴走的なプレスを落ち着いて交わして反撃。

・10分には岩武が中途半端にSB登里に食いついたのが仇となって、登里のスルーパス一発で岩波がSH長谷川に豪快に裏を取られてヒヤリ。以後、浦和はこの登里&長谷川コンビに右サイドを絶えず脅かされる羽目になり、自陣で5-4-1の守備ブロックを作って耐える時間帯が長くなって行きます。

・浦和は川崎のFWへの縦パスこそ受け手の前で潰そうとしているが、それ以外は過度にボールに食いつくことなく、動きすぎてバイタルエリアをガラ空きにすることもなく、選手間の間隔を適度に保って粘り強く対応しているものの、右サイドは終始苦戦気味で、20分にはまた登里&長谷川のコンビで長谷川にフリーでクロスを上げられてヒヤリ。

・30分過ぎから「おーうらわれー → ララ浦和」が延々と流れている間に川崎の波状攻撃を受けてしまいましたが、ここはなんとか耐えに耐えて決定機は与えず。

・浦和は残念ながらボールを奪う位置が概して低く、攻撃は専ら快足マルティノスを走らせてのロングカウンター、あるいはWBを高く上げてからのサイド攻撃に頼るしかありません。31分岩武→ペナ角付近から武藤クロス→マルティノスヘッド(GK正面)、40分ロングカウンターでマルティノス激走&クロス→興梠合わせきれずと形を作るものの、得点には至らず。

・とにかくマルティノスにかかる負担が甚大で前半のうちにばててしまうのは致し方ありませんが、前半で電池切れになったのは何もマルティノスに限った話ではなく、後半に入ると浦和全体に早々と消耗したようで川崎の早いパス回しについて行けなり、また51分には妙にボールに食いつく悪癖も復活して全部交わされた挙句に小林に枠内シュートを撃たれてヒヤリ。

・そして54分前半から怪しげだった右サイドを長谷川&登里のコンビにぶち破られ、登里のクロスをダミアンに押し込まれてとうとう失点。右サイドの破綻は起こるべくして起きた感じでしたが、槙野も宇賀神もボールウォッチャーになっていてダミアンを全く見ていないとは・・・

・先制点を許したところで大槻監督は55分マルティノス→荻原、58分岩武→森脇と矢継ぎ早に代えるものの、いずれも効果なし。荻原は懸命に走るが完全に空回り、森脇は攻撃に関与できないどころか右サイドの守備がさらに怪しくなる一因となる始末で、川崎は前に出てきた浦和を相手に大攻勢。

・56分どフリーの大島が浮き球縦パス→ボックス内で小林シュートの決定機(西川セーブ)、59分家長縦パス→小林ポスト→長谷川浦和右サイドを深々と抉ってクロス(運よく宇賀神の背中に当たる)、63分車屋スペースへ長い縦パス→家長→ダミアン撃ち切れず。

・さらに浦和の苦境に輪をかけたのが興梠の負傷。どうも膝の状態が芳しくないようで、無理せずに交代という感じでしたが、代わって投入された杉本が走らず、収まらずで何の役にも立たず。ボールが収まらず1トップに不向きなのはセレッソ時代から明らかで、だからこそユン監督がトップ下山村との併用を発明したのでしょうから全然走らないのには参りました。

・従って川崎の大攻勢が止むわけがなく、77分守田縦パス→ダミアンポスト→守田ボックス内突入(シュートはわずかに枠外)、80分登里縦パス→またしても右サイドで豪快に長谷川に裏を取られて小林へパス(幸い小林の足元に入りすぎて撃てず)、AT+2分には森脇が長谷川に簡単に入れ替わられて長谷川クロス→家長のシュートはわずかに枠外。

・浦和が辛うじて凌いでいるというより川崎が外しに外しているという場面の連続で試合はいよいよ大詰めとなったものの、浦和は選手交代が全部不発な上に武藤もすっかり動けなくなっているので全く攻撃が成り立たず。FK・CKを取ってもこれといったプレースキッカーがいないという絶望的な状況に追い詰められ、誰がどう見ても川崎の勝利は疑いないと思ったことでしょう。埼スタなら観客がゾロゾロ帰りだしてもなんら不思議はない試合内容でした。

・しかし、1点差だと何が起こるか判らないのがフットボールの恐ろしいところ。ラストプレーで荻原CKからのこぼれ玉を宇賀神→西川フリック!荻原と繋ぎに繋いで、最後は森脇がゴール!! 森脇のシュートの軌道はどう見ても枠を捉えておらず、公式記録が谷口のオウンゴールではないのが不思議ですが、兎にも角にも浦和は強敵川崎から勝ち点1をもぎ取って連敗を4で止めました。最後につまらないミスで自陣深い位置で相手にスローインを与えた(=同点に追いつかれる起因)のがこの試合大活躍の登里だったというのが皮肉ですが。

・川崎の逃げ切り下手に助けられての勝ち点1ですが、どんな試合内容であれ勝ち点ゼロで終わるよりはるかにマシ。気持ちだけでは前半しか持たず、守備は右サイドをズタボロにやられ、攻撃はマルティノス頼みと課題も多い試合でした。しかし、それでもオリヴェイラ監督末期は攻守とも良いところなく、スタメンの疲弊感も顕著で「気持ち」さえ見えない試合の連続でしたから、それよりはずっとマシな試合だったと前向きに評価して差し支えないと思います。内容を問われる、大槻監督の真価が問われるのは次節からでしょう。


-----興梠-----
--マルティノス---武藤--
宇賀神-柴戸-青木-岩武
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
90+5分 森脇

(交代)
55分 マルティノス→荻原
58分 岩武→森脇
69分 興梠→杉本(故障による交代)

・試合後のインタビューに呼ばれた森脇が全く喜んでいないところを見ると、試合内容が芳しくなかったことは皆判っているのでしょう。

・それにしても後半の大失速には参りました。オリヴェイラ監督のキャンプでの徹底したフィジカル強化とは何だったのか?? これは悪評高かった堀監督のキャンプと結果的に大差なく、戦術的な練習を全くしなかった分堀監督より悪いのではないか? 昨年の中断期間でのフィジカル強化ははっきりと効果を上げていただけに実に不可解ですが、オリヴェイラ監督のキャンプが大失敗に終わったことはどうも間違いないようです。そしてこのスタミナの無さは大槻監督を縛る訳で・・・

・怪我明け後も未だ試合で使える状態ではないファブリシオをベンチ外にしたのは当然だと思いましたが、代わって入れた杉本の出来には大槻監督もさぞかしがっかりでしょうなぁ。興梠はもう無理使いできる状態ではなく、夏にCFの入れ替えはやむを得ないと思いますが、金でドブを詰まらせる天才=中村GMは何もしないorできないんでしょうなぁ、たぶん。

---ダミアン--小林---
長谷川-------家長
---大島--守田---
登里-谷口-ジェジェ-車屋
-----ソンリョン-----

(得点)
54分 ダミアン

(交代)
78分 車屋→マギーニョ
87分 ダミアン→山村
87分 小林→知念

・川崎は前節からマギーニョ→車屋、脇坂→小林と2名入れ替えのみ。中村憲は依然ベンチ外。

・CBジェジェウは奈良の故障を受けてスタメンで試合に出るようになったそうですが、速くて強くて高さもある実に面倒なCBで、マルティノス頼みの浦和の単純な攻撃は悉くジェジェウに封じられました。なんで奈良故障まで出番がなかったのか実に不思議で、その辺がACLで勝てない一因なんだろうなぁ・・・

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2019.05.30

何度も繰り返される愚行 ~ THIS IS URAWA!!

・5月28日に突如浦和フロントからオズワルド・オリヴェイラ監督との契約解除、同時に大槻毅氏のトップチーム監督就任が公表されました。またその翌日にはトップチームの大幅な刷新、さらにこれまた唐突にフェイエノールトとの戦略的パートナーシップの覚書締結も公表されました。

「せっせと落とし穴を掘って、自ら進んでハマりに行く」のが浦和の歴史。複数の選択肢がある際には必ずといっていいほど最もダメそうなものを選ぶのが浦和。ババ掴みの天才。今回もその天賦の才能を遺憾なく発揮し、腐臭を放つ「秘伝のタレ」を性懲りもなくかき回したようで、第一報が飛び込んできた際には腹立たしさのあまりつい深酒してしまいました。

・若干日が経って多少メンタルが落ち着いたところで、今回の監督人事について思うところを書き連ねておきます。なおこういう事件のあった後には内部事情に通じているかのような怪しげな記事がわらわら出てきますが、その辺は極力無視してこの場ではクラブから公表されている記事・コメントについてのみ言及します。

(1)オリヴェイラ監督との契約解除自体は妥当だが、予想以上に早かった

・広島戦の観戦記に「オリヴェイラ流の終焉を感じさせる惨敗」というタイトルを付した通り、オリヴェイラ監督の更迭自体はやむを得ないと思います。フロントもあの広島戦の惨敗を見て監督更迭に動いたようです。

・「暑くなればキャンプで鍛えに鍛えたフィジカルの強さがモノを言うぞ!!」と信じていたのに、いつまで経ってもそんな気配は微塵も感じられないどころかとうとう走り負ける始末。守備重視、相手の良さを消してロースコアの闘いに持ち込む手筈だったのに、ボールを動かすのが上手い相手に惨敗を繰り返し、相手の良さは消えるどころか全開に。一方自分の型はないに等しいので攻撃は全く持ってお粗末の限り。しかもホームでリーグ戦の戦績が極端に悪い(1勝1分5敗)となると、そりゃクビも飛ぶだろうと思います。

・また最も時間的余裕があるキャンプで4バック導入を見送ったのに、3月末になって突如4バックを試行。それも横浜Mに粉砕されたのを契機にわずか2試合でお蔵入りと中期的なチーム作りで迷走。さらにオリヴェイラ監督の十八番だった「選手交代による局面打開」も今年は湘南戦を典型例にむしろ傷口を広げるだけに終わるケースが目立ちました。

・なぜ昨年はチーム再建に成功してリーグ戦ではACL圏入りが手に届くところまで勝ち点を積み上げ、さらには天皇杯優勝という形でACL出場権獲得という公約を果たしたオリヴェイラ監督が急にここまでダメになったのか不思議でなりません。「モチベーターとしては超一流だが、戦術家ではないので即効性がある反面賞味期限は短い」という解釈も出来ますし、鹿島で3年持ったオリヴェイラ流がもはや時代遅れで、浦和では1年も持たなかったのかもしれません。

・従ってオリヴェイラ監督更迭自体は妥当で、最も長くて今年限り、最も早くて川崎戦の後の代表ウィーク中に更迭、個人的にはACL・ラウンド16敗退を契機に7月に監督を代えるシナリオだろうと思いましたが、中村GMの決断=社長の承認はびっくりするほど早くてなんと川崎戦を待たずに監督交代。成績は低迷していますが残留争いに片足突っ込んでいるわけでもないという状況なのに、なんでこんなに急いだのでしょうか?? 

(2)後任がなぜ大槻氏なのか? = 綿々と受け継がれる「Mr.ノーアイデア」の系譜

・個人的には川崎戦後といった超早期の監督交代シナリオの場合は昨年同様何がしか暫定監督を立て、7月くらいに新監督を招聘するのだろうと考えていました。ところが、いきなりオリヴェイラ監督を更迭した後に大槻氏を再招聘、しかも今回は「暫定」ではなく正式の監督として招聘するとの発表には二重、三重の意味で驚愕しました。

・大槻氏は昨年暫定監督としてケチのつけようがない結果を残しましたが、それはあくまでも超短期の結果であり、また暫定だと判っているからこそ出来たことも多分にあっただろうと思われ、監督としての実績はほぼ未知数といっていいでしょう。オリヴェイラ監督招聘時に中村GMは「タイトル獲得経験があること」を招聘理由に掲げていたのに、なぜこんなにブレてしまったのでしょう??

・また大槻氏は今年3月にヘッドコーチから外れて「海外クラブとのネットワーク構築推進プロジェクト」(本件は後述します)の担当になったばかり。その大槻氏を3ヶ月も経たないうちに呼び戻して監督に据えるとは尋常な話ではありません。

・そうまでして中村GMが大槻氏に固執するのはなぜなのか? 中村GMは監督選任を真面目にやらず、なんとなく楽そうな道を歩んでいるだけではないのか?

・前任の山道強化部長はとにかく監督選任について見識がないというか「Mr.ノーアイデア」。ミシャ長期政権後の監督について何も考えておらず、いざミシャがやばくなるといきなり堀コーチを監督に引っ張り出し、その堀監督もやばくなると思考停止に陥るという大失態を重ねてとうとう事実上更迭されましたが、その後任=中村GMも結局のところ同じ穴の狢だったようで。

・そして大槻新監督が経験の浅さを露呈してダメだと判ったら、堀監督同様シーズン途中で弊履の如く捨ててしまうのだろうなぁ・・・

・浦和は強化トップにまともな人材を据えない限りどうにもならない。今回の件で、その思いを新たにしました。

(3)なぜ無理な目標を掲げ続けるのか?

・監督としての手腕は未知数に近い人物を招聘したにも関わらず、ACL&Jリーグの2冠という目標は下ろさない。それどころか大槻新監督には「世代交代」というタスクまで押し付けたとの話には開いた口が塞がりませんでした。

・国内では無敵、リーグ優勝は当たり前というクラブがACLとの2冠を狙うのは十分理解できます。しかし、リーグ優勝はたった一回で、優勝争いの常連というわけでもないレベルのクラブが「2冠」という目標を掲げるなんておこがましいにも程がありましょう。しかもその過大な目標と現実のギャップを埋めるために超大物監督を呼び、超大物選手を複数人補強するわけでもない。

・しかも無理を承知で「2冠」を目指しにいったら、「そこにフォーカスを当てさせすぎた」「実際にフォーカスしたところがそこの優勝、優勝というところが強すぎた」とフロントに不満を持たれてクビになる。そんなアホな話があるか!!

・ACL優勝というい輝かしい実績を残しながらもJリーグでは明らかに限界があった堀監督をなぜか続投させた件に象徴させるように、浦和がACLを重視していることがクラブの方向性をいろいろと歪めているような気がしてなりません。某クラブのようにあからさまにACLに手を抜けとは言いませんが・・・

(4)世代交代を監督に押し付けるのは無理筋では?

・なぜか大槻新監督に押し付けられた「世代交代」というタスク。「世代交代しながら勝つ」なんて「言うは易く行うは難し」の典型でしょう。優勝を義務付けられたトップチームの監督は勝てないと当然クビになりますから勝負を度外視してまで若手を使うなんてことは難しく、せいぜい実力が同じなら若いほうを使うくらいのことしかできません。

・逆に世代交代を重視するなら「今年は賞金圏くらいで可」みたいに目標を下げてシーズン序盤は多少負けが混んでも経験値を上げるための勉強代として大目に見るくらいの心積もりでいるべきでしょう。ところが、浦和フロントは「世代交代しながら勝つ」なんてこれまた無理難題をふっかける。

・そもそも世代交代しようにも、手元にこれといった若手選手がいないとどうにもなりません。ミシャ時代に世代交代を意識して20代半ばの選手を集めたはずですが、それぞれの理由で悉くいなくなってしまいました。今年世代交代がなかなか進まなかったのは別にオリヴェイラ監督が使う選手を固定したからではなく、そもそもベテランを脅かすような中堅・若手選手が少なかっただけの話で、むしろ選手編成の歪さ=フロントの責任が大なのではないか? 監督選任同様、ここでも中村GMの「サボリ」が見え隠れします。

(5)アカデミーをどうするつもりなのか?

・大槻新監督は組閣にあたって、ユースから3名(上野氏・工藤氏・末藤氏)もぶっこ抜き。上野氏は前回暫定監督就任時にもユースコーチからトップチームコーチに引き上げられ、オリヴェイラ監督就任後また育成ダイレクター&ユース監督に戻った経緯がありますが、今回はアカデミーの体制が未定のまま。

・新コーチ陣に名前がない池田氏がアカデミーに回るものと推察されますが、将来の浦和を支える基盤を自分でせっせと掘り崩しておきながら、世代交代もへったくれもなかろうに・・・

(6)海外クラブとのネットワーク構築推進プロジェクトの謎

・今年3月8日に「海外クラブの知見蓄積とネットワークづくり、指導現場における協力関係づくり」を目的とする「海外クラブとのネットワーク構築推進プロジェクト」なるものが突然公表され、その担当者としてなぜかヘッドコーチを務めていた大槻氏が抜擢されたのには心底驚きました。

・大槻氏は一貫して国内の現場畑の人物で、ビジネスや留学といった個人的な経験から海外に豊富な人脈を持っていそうな方ではないのにこのようなプロジェクトを任せたことだけでも十分驚きですが、それ以上に驚きなのはシーズン開幕してまもない時期での任命だったこと。こんな中長期的な視野を持ったプロジェクトをこんな妙な時期に始めますかね。フツー・・・大槻氏とオリヴェイラ監督の折り合いが悪くてやむを得ず、といった匂いがプンプンします。

・唐突に始まっただけに、今般の大槻氏の監督再招聘と共に立ち消えとなると思われたこのプロジェクトですが、なんと「フェイエノールトとの戦略的パートナーシップの覚書締結」という形で結実。しかも大槻氏の監督再招聘の翌日に公表されるという手回しの良さ。オリヴェイラ監督更迭がやたら早く決まったこと、中村GMには大槻氏の再招聘しか念頭になかったこと、そして大槻氏召喚前にフェイエノールトとの一件がまとまっていたことと3点セットで胡散臭さ満点です。

・しかも「海外クラブの知見蓄積とネットワークづくり」とバルセロナ&神戸ないしCFG&横浜Mみたいな関係を想像させるようなどでかいお題目を掲げた割には、相手が近年CLどころかELでもさしたる成績を残していないフェイエノールトだと言うのはなぁ・・・「思てたんとちゃう!!!」感がハンパありません。実際「パートナーシップ概要」を見る限り、中長期的な関係でもなんでもなさそうですし。正直、大槻氏を手ぶらで再招聘するのは大槻氏のキャリアに泥を塗るようなものなので、誰かがチャチャとまとめた感じがしてなりません。

・さらに言えばオリヴェイラ監督更迭&大槻氏再招聘は広島戦よりもかなり早い時期に決まっていて、再招聘を前にプロジェクトの成果づくりを急いだような気さえします。実にサラリーマン的。実に三菱重工。そりゃ船は沈み、飛行機は飛ばないはずですわ・・・

 

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2019.05.27

【観戦記】19年第13節:浦和 0-4 広島 ~ オリヴェイラ流の終焉を感じさせる惨敗

・とうとうリーグ戦4連敗。またホームでは磐田戦・湘南戦のショッキングな負けに続いて、今度はぐうの音も出ない惨敗。とにかく負け方が酷すぎてオリヴェイラ監督はせいぜい今年限り、場合によっては夏の解任もありうると思わざるを得ないショッキングな試合内容でした。浦和の見せ場は4分の山中クロス→武藤のシュートがポストを叩いたのが最初で最後。6分に早々と失点した後はほぼ一方的な屠殺状態に。

・メンバーを極端に入れ替えて臨んだ湘南戦は最後があまりにも残念だったとはいえ、ナバウトの負傷さえなければ勝ち切れたかもしれないと感じさせた試合内容でしたし、レギュラー陣に戻して必勝を期した北京戦は掛け値なしのパーフェクトゲーム。この2試合を見て、ついに浦和の大反撃が始まった!!と思っていました。

・具体的には、早くから戦術練習に主眼を置く急仕上げ型のチーム、あるいは「走ってナンボ」的な戦術を採るチームのコンディションが落ちてくる夏場に、長いリーグ戦の最後の最後に笑えばいいとばかりにキャンプは戦術練習は一切やらずにフィジカルトレーニングに全力を注いだ浦和が一気に急浮上すると信じて、ここまでどんなに塩試合の連続だろうがノープロブレムと思ってきました。

2019005

・ところがなんなんだ、この試合は!! ゲーム序盤で早々と2点を失い、しかも公式記録で気温33.3度に達する5月としては異例の酷暑に見舞われたこともあって、あとは疲労感漂うお馴染みのメンバーが相手の守備ブロックの前で何のメリハリもなく、だらだらとボールを回すだけというこれまたお馴染みの光景が広がるだけ。随所で広島に走り負け、当たり負けし、信じていた「浦和大反攻」の予兆なんて微塵も感じられない酷い試合でした。だいたい最初の失点からしてボックス内でDF陣棒立ちで、森島以外にもフリーの選手続出というテイタラク。

・広島はメルボルン遠征から中3日とはいえ、既に1位抜けを確定した後の完全消化試合とあってかほぼフルターンオーバーでメルボルンに遠征しているので、ACLから連続してスタメン出場しているのは森島・松本泰・荒木の3名のみ。

・一方浦和は北京戦から中4日でほぼ同じスタメン(柏木→長澤の入替のみ)で臨みましたが、これがオリヴェイラ監督も「前の試合でかかった負荷、その影響が大きかったと思います。火曜日の試合の、消耗の度合いの評価をしきれなかったのかなと思っています。」と認める大失敗。ただコンディション的に最もきついはずの森島にコテンパンにやられたのは皮肉というかなんというか・・・

・もともとスタメン固定気味の監督ですが、コンディションの見極め=連闘が効く選手、効かない選手の見極めが上手いのでスタメン固定気味でもさほど問題ないのだろうと思っていただけに、肝心のスタメン組成でドジを踏んだとなると監督への信頼は一気にグラグラに。

・また「「やることはいつも通りです。つまり相手のストロングポイントを消すということです。」と試合前の記者会見でオリヴェイラ流を高々をぶち上げて置きながら、いざ試合となると相手のストロングポイントを消すどころか、相手のストロングポイントが全開になっているってどういうことやねん??? これはオリヴェイラ流の全否定に繋がりかねない大惨事でした。

・そりゃ柏と対峙する森脇が試合開始早々に傷んだのは痛手だったかもしれないけど、この日のやられっぷりは森脇個人の問題でもないでしょうに。JFK広島はカウンター主体でボール支配には全く拘らないけれども、ボールを回そうと思えば回せるチーム。こういうボール回しが巧みなチームに今の浦和は滅法弱い。6分の失点は柏→川辺→柏とパスを回されて柏に深々と右サイドを抉られたところで勝負あり。

・浦和守備陣は一人一殺とばかりにボールホルダーにやたら食いつく傾向があるので、前目で潰せずに一人剥がされると連鎖的に次々と剥がされて、しまいに守備陣に大穴が開く。この日も柏や森島、ヴィエイラ等のダイナゴルランに守備陣がきりきり舞いさせられた挙句、後方から川辺や松本泰の侵入を許しまくっていました。先制後自陣にしっかりと5-4-1の守備ブロックを組成し、浦和のダラダラしたパス回しでは微動だにしない広島とは好対照。

・全然守備組織を作り上げられない監督って賞味期限は短いよなぁ、どう考えても。選手のモチベーションを上げに上げ、ここ一番にはとにかく強い=カップ戦に強いのは認めるけれども、日常的な戦い=リーグ戦では見るべきものはほとんどない。今年のリーグ戦はまだ半分も消化していませんが、今日の惨敗を受けてオリヴェイラ監督はそんな評価になってします、残念ながら。急遽チームを引き継ぐという気の毒な立場だった昨年のほうがまだマシだったというのが少々不思議ですが。

2019003

・長い連敗と言えば「夏のフィンケ」。あれもきつかったが「夏のフィンケ」はやろうとしていることははっきりしている一方、やられ方もはっきりしているのに全然修正できないという意味で腹立たしかった。特に2年目の夏のフィンケ。でも積み上げようとしているものが見えるだけマシ。今のオリヴェイラ流は積み上げようとするものが無いに等しい状態(=相手の良さを消してナンボというリアクションの連続)での連敗ですから、症状としてはより重いような気がしてなりません。

・また大怪我明けのファブリシオにはまだ多くは望めなさそう。オリヴェイラ監督は54分に長澤に代えてファブリシオを投入し、フォーメーションをファブリシオをCFに据えた3-4-2-1に変えましたが、もともと守備意識が低いファブリシオはもちろん左シャドーに入った興梠も疲弊したためかほとんど守備に回れなくなって中盤がスカスカに。選手交代にももはや冴えが見られないオリヴェイラ。

・63分の失点は山中があんまりといえばあんまりですが、これまた山中一人を責めても仕方なく(森島がバイタルエリアでフリーな時点でアウト)、それ以前に守備組織として体をなしていないという問題の表れに過ぎないかと。

・そしてこんな状態のファブリシオを無理使いするのはベンチに控えるメンバーには面白くないでしょうなぁ・・・ これでオリヴェイラは求心力を保てるのかなぁ・・・

・次節は強敵川崎とのアウェーゲーム。ここでまたしても大敗を喫するようだと、オリヴェイラ解任が現実味を帯びてきますが、そんなある意味での「大一番」にはやたら強いかもしれないからなぁ、オリヴェイラは。

2019002
---興梠--武藤---
---長澤--エヴェル---
山中---青木---森脇
-槙野--マウリシオ--鈴木-
-----西川-----

(交代)
HT 森脇→宇賀神(故障による交代)
54分 長澤→ファブリシオ
77分 興梠→汰木

・北京戦で負傷した柏木の状態は思いのほか酷くて(右膝関節軟骨損傷)、右膝関節の手術を行ったため全治まで約4週間の見込み。湘南戦でナバウトが負傷し、神戸戦で負傷した橋岡も案外復帰に時間がかかっている模様。おまけにこの試合は柴戸と阿部がなぜかベンチ外とオリヴェイラ監督がメンバーを弄ろうにも弄りづらい状況下ですが、それにしてもこの日の選手達の動けなさは目に余るものがありました。

・25分の失点に繋がったCKは、元はといえば鈴木が柏にボールをカットされてカウンターを食らったところから。そしてCKでヴィエイラにあっさり競り負ける槙野・・・

・「一人示現流」状態の山中を起用している限りは63分の失点みたいな豪快な裏の取られ方は覚悟しないといけないでしょうなぁ・・・ 52分にはカウンターを食らって森島との一対一で安易に飛び込んで交わされる大失態を演じてますし・・・ そして守備のリスクを帳消しにできるほど攻撃面で良いところを出せていないのがより問題なわけで・・・

2019006

-----ヴィエイラ----
--森島----柴崎--
柏--川辺-松本泰-サロモン
-佐々木-野上--荒木-
-----大迫-----

(得点)
6分  森島
25分 ヴィエイラ
63分 ハイネル
80分 渡

(交代)
43分 サロモンソン→ハイネル(故障による交代)
67分 柴﨑→渡
82分 ヴィエイラ→皆川

 

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