またしても怪我人続出で苦しい試合になってしまいましたが、最後の最後で理不尽砲が咆哮!!浦和は文字通り首の皮一枚でグループステージ突破の可能性を残しました。
《スタメン》
福岡戦中3日の浦和は関根→荻原、明本→大畑、柴戸→岩尾、大久保→髙橋、カンテ→リンセンと5名スタメン入れ替え。明本はこの試合出場停止なので大畑を入れ、岩尾は福岡戦出場停止明けなので柴戸の代わりにスタメンに入るのは当然ですが、他は福岡戦で出場時間が長かった選手をベンチスタートにしたものと目されます。
ただ福岡戦で全く良いところがなかった中島が引き続きスタメンで、エカニットがベンチスタートになったのは傍目には少々不可解。
ACLはベンチ入りの人数がやたら多いので、怪我でもないのにここでベンチ入り出来なかった選手は事実上戦力外と見られても仕方ないのですが、興梠がベンチ外だったのが気になりました。
なおACL浦項戦で謎の一発レッドを食らったスコルジャ監督に代わってラファル ジャナスコーチが指揮を執ることに。
《試合展開》
浦和の立ち上がりは上々で、6分荻原スルーパス→後方から飛び出した小泉が中へ折り返してファーに突っ込んだ髙橋ゴールが決まったと思われましたが、VAR判定で小泉が僅かにオフサイド。
10分岩尾縦ポン→髙橋裏抜けもシュートはバーの上。ただこの2度の決定機に見られるように序盤の浦和の攻撃は相手の最終ラインの浦和狙いという意図が非常にはっきり見て取れました。
武漢の初めての反撃は19分CKからの流れで枠内シュートを放ったもの。しかしここま西川が好セーブ。
その後双方一進一退というか少々グダグダになりかったところで、34分右サイドから荻原クロス→リンセンが#25ドゥン ハンウェンと競り合った際に相手の肘がリンセンの顔に入ったのがVARでもしっかり咎められてPKゲット。37分ショルツはGKがシュートコースを読んで同方向に飛んだところで絶対に取れないコースにきっちりPKを決めて浦和先制。
しかし、好事魔多し。40分に左SB大畑が相手と交錯も無いもない状況下で突然故障。ジャナスコーチはなぜか交代に手間取った末に43分になってようやく関根を投入。
さらに44分髙橋が顔面に#21ハ チャオの肘打ちを食らって脳震盪を起こし、浦和の選手達はもちろん武漢の#15ですらすぐさま担架を要請する非常事態に。残念ながら髙橋はそのまま担架で退場に。ジャナスコーチはハーフタイムを待たずに45+2分に大久保を投入。
マジェド アルシャムラニ主審は#21にイエローカードを提示しましたが、どう見ても極めて悪質なファウルだったにも関わらず、VARが「レッドカードの可能性」と判断して介入しなかったのが謎でした。
またJリーグでは脳震盪による交代は交代人数&交代回数とも別枠扱い。このルールはてっきり万国共通だと思い込んでいたら、ACLにはこのルールは適用されないことがDAZNの中継で判明。埼スタではこの辺の説明がなかったようで、現地ではかなり混乱があったようです。試合後浦和のコーチ陣がよくこれを間違えなかったものだと感心しました。審判団も勘違いしたまま脳震盪枠の活用を認めていたら再試合ものでしょうし。
そして前半のうちにアクシデントで交代カードを二枚も切らざるを得なかったのは大誤算。浦和はフィジカルが強くて運動量が多くて、相手にプレッシャーをかけまくっていた髙橋(それに釣られるかのようにリンセンですら献身的に守備に走りまくる!!)が退場したのが響いたのか、あるいは単に前半守備にエネルギー使い過ぎて前目の運動量が落ちたためか、50分あたりから一転して武漢ペースに。
58分右サイドからのクロス→アジズヘッドの決定機は小さい関根が相手に自由を与えず。67分ダビジソンのシュートは僅かに枠を逸れて難を逃れましたが、68分#15ジャン チーポンからダビジソンへ縦パスが入ったところで対峙していたショルツがまさかの転倒!!弘法も筆の誤り。神も転ぶ。まさかすぎる事態を受けてマリウスも驚くほど軽い対応でダビジソンにあっさり交わされて同点ゴールを許してしまいました。
ジャナスコーチは危険な香りを嗅ぎつけて3枚替えを用意していましたがわずかに間に合わず、リンセン→カンテ、中島→エカニット、小泉→シャルクの3枚替えを敢行したのは同点に追いつかれた直後。
残り時間が20分以上あるにも関わらず交代枠を全て使い切っての乾坤一擲の大勝負に出たにも拘らず、浦和はボールを持っている割にはシュートが撃てない時間が長く続いて嫌な気配が漂い出しましたが、84分になって荻原左サイドからクロス→逆サイドからどフリーで関根が突っ込んで久しぶりに決定機らしい決定機。
関根のシュートは惜しくもバーの上に飛びましたが、この決定機を契機に浦和が大攻勢。。
87分シャルクの横パスを受けてカンテがアーク手前から得意のミドルシュートを放ったものの、これはシュートコースが甘くてGKセーブ→こぼれ玉に大久保詰め切れず。しかし90分ショルツがあたかも大魔神のように持ち運んだのを契機に、大久保浮き玉縦パス→シャルクと競り合った相手DFの跳ね返りを拾ったカンテの理不尽シュートが炸裂!!! 4分もあったATには共に何事も起こらず、そのまま試合終了
《総評》
福岡戦の残念過ぎる試合内容での逆転負けを見て、残り試合は勝つどころかそもそも試合になるのかどうかと個人的には案じていましたが、結果は悪くはない内容で武漢相手に勝利。しかもショルツのPKとカンテの理不尽砲による得点で勝つという今季終盤の定番とも言える勝ち方で。
JリーグからACLへと舞台が変わったこと、そして今年埼スタでの正真正銘のラストゲームになることが多少選手達の心境に変化をもたらしたのかもしれません。そして11月に入ってルヴァン杯決勝以降全く勝てていないどころか全敗で意気消沈していたであろう浦和もこの勝利でちょっとだけ顔を上げて前へ進む気持ちを取り戻せたかもしれません。
ただ浦項戦での連敗が響いて浦和は既にグループステージ首位通過の目はなし。武漢戦に勝ったところで、さらに最終節アウェーハノイ戦に勝って勝ち点10に積み上げて他グループの2位同士の比較で勝ち抜けるかどうかと立場には全く変わりありません。他グループの状況はややこしいのでここでは省きますが、端的に言えば「浦和のグループステージ突破は絶望的というほどではないが、かなり難しい」ようです。
このグループ最弱のハノイ相手とはいえ、札幌戦からわずか中2日。しかも既に厳冬期に突入した札幌から亜熱帯のハノイへという気候が違い過ぎるところへの遠距離移動付き。おまけに大畑が故障して、明本が引き続き出場停止でSBが再び不足するという非常事態。東南アジアのチームは往々にしてホームでは別の顔を見せがちなだけに苦戦もあり得ましょう。
おまけに札幌戦を捨てたくても、こちらは3位広島の結果次第ながら浦和が再逆転で3位に滑り込む(=24-25シーズンのACL2出場権獲得)可能性を十分残しているというなんとももどかしい状況。
ハノイ相手に引き分け以下なら他グループの結果に関係なく浦和の今季のACLは終了。勝ったところで他グループの結果待ち。浦和がCWCに出る関係で浦和のグループだけ先に全日程を終え、赤者は12~13日に開催される他グループの試合にせっせと他力本館寺に詣でることになりましょうが、詣でるところが複数なのでめんどくさいの何の・・・
《選手評等》
・またしても理不尽砲に救われた浦和。なんでこのレベルの選手がいきなり引退なんなのかなぁ。一方生きながらにして引退してるような選手もおったけど。
・リンセンは浦和に来てから最高の出来。こんなに献身的なリンセンは初めてかも。点取り屋として獲得したはずのリンセンが今や守備貢献度の高さで評価されてしまうとはなあ。ビルドアップが下手になった浦和ではリンセン得意のボックス内でのお仕事は少ない。だからボックスの外から撃てるカンテが重宝される。リンセン冬の時代。
・この試合の大久保は良くありませんでした。故障明けで連戦に耐えらえる状態ではなく、この試合は本来45分出来るコンディションではないのに髙橋負傷で投入せざるを得なかったものと思われます。それにしてもボックス内に入るまでは凄みがあるのに、そこから急速にへなへなになるのがこの試合は一段と際立っていました。
・この試合の審判団は丸ごとJリーグレベルで参りました。小泉のVARでのオフサイドの判定がやたら速いのだけは感心しましたが、結局良かったのはそれだけ。主審はOFRどころかそもそもVARと全然交信しない系だったとは!!そのためハンド見逃しっぽいのが双方にあり、武漢はラフプレー三昧。まともな審判団なら武漢に退場者出てたと思ったけどなあ・・・
-----リンセン-----
髙橋---中島---小泉
---岩尾--安居---
大畑-マリウス--ショルツ-荻原
-----西川-----
(得点)
37分 ショルツ(PK)
68分 ダビジソン(武漢)
90分 カンテ
(交代)
43分 大畑→関根(故障による交代。関根右SB、荻原左SBへ)
45+2分 髙橋→大久保(負傷による交代。小泉左SH、大久保右SHへ)
69分 小泉→シャルク
69分 リンセン→カンテ
69分 中島→エカニット