2023.12.29

土田尚史スポーツダイレクター退任

 「2023シーズンの振り返りと2024シーズンに向けて」が浦和の仕事納めの挨拶代わりだと思っていた矢先に、土田SD退任というビッグニュースが飛び込んできました。
 
 土田SDは退任理由について「長くプロの世界に身を置く者として、求められる役割に対する責任を果たすことができない、或いは掲げた目標を達成することができないのであれば、当然ながらその立場に身を置き続けるべきではないと考え、こうした決断をいたしました。」と語っています。
 
 これは端的に言えば、先の「振り返り」で改善点として掲げられている「チーム編成」に失敗したのが主因となって、今季の目標の一つだった「ACL2023/24の出場権獲得」が未達に終わったことに対する引責だと個人的には受け止めています。「チーム編成」失敗に関して言えば、今夏の中断期間に誰もが2列目の補強を急務と考えていたのになぜか即戦力補強を見送った件は外野はもちろん、クラブ内部からも強い批判があったことでしょう。

Reds
 
 「求められる役割に対する責任を果たすことができない」とは、これまた「振り返り」で指摘されている「経済的な効率を考慮しながら適確な候補者を選定することに加え、迅速な意思決定と高い交渉力が求められます。」という難しいタスクをこなす自信がなくなったものと推察されます。土田SDは選手からいきなりコーチというキャリアを歩んでこられた=浦和から出たことがないのが祟って、内外で急激に流動化している選手マーケットの中で百戦錬磨、海千山千な代理人相手に「迅速な意思決定と高い交渉力」を発揮するのはそもそも無理があったような気がします。土田氏がSD就任を決めた時期に思っていた以上に世の中の流れが早くなってしまって、自分が取り残されてしまったような思いが募った結果の退任なのかもしれません。
  
 また土田SDは4年に及ぶ在任期間中に病気で職務を離れた時期がありました。その間西野TDがSD職を兼務したような格好になっていましたが、土田SDが昨年途中から現場に復帰すると共にFB本部からの情報発信が激減し、それがFB本部の数々の失態について良からぬ憶測を生んでしまったようにも思えます。リカが退任時に「西野TDとは考えが似ていたが、土田SDとは少し違っていた」と暴露したのも良からぬ憶測に拍車をかけました。
 
 最後に「なお、土田尚史スポーツダイレクターの退任に伴う、フットボール本部の体制変更はございません。戸苅 淳本部長、西野 努テクニカルダイレクター、堀之内 聖課長を中心に、引き続きチームのサポートを行ってまいります。」と締めくくられていますが、従来TDは選手獲得に際して材料を提供する役割に過ぎないので、最終的な交渉に当たるSD的な仕事が戸苅氏になるように読めます。また唐突に「堀之内 聖課長」が登場したのも気になります。いずれにしても、新FB本部の体制については年明けの説明を待つことにします。

 プレッシャーがきつい職務に4年も就いて心身ともにさそがしお疲れのことでしょう。長い間ありがとうございいました。

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【雑感】2023シーズンの振り返りと2024シーズンに向けて

 仕事納めを宣言するかのように浦和から出された「2023シーズンの振り返りと2024シーズンに向けて」について、備忘録代わりに雑感を記しておきます。
 
 浦和の長々とした作文を抜き書き的にまとめるとこんな感じでしょうか。
 
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1.2023シーズン振り返り

(単年の評価)

目標:「J1リーグで優勝争いをすること」&「ACL2023/24の出場権を獲得すること」
 
結果:前者は達成できたが4位に終わり、後者は未達
 
原因:得点力不足による勝ち星の取りこぼし

(中期的な評価)

目標:「チームコンセプトに基づいたチーム作り」を継続することによる継続的な成長

結果:決して十分とは言えないものの一定の評価には値する成果を得た1年とも言えるが、J1リーグでの優勝やACLの連覇を実現し、そして世界の舞台で継続的に闘い続けるためには、多くの局面において少しずつ足りていないものがあることを痛感

2.コンセプトベースの振り返り

(1)チーム:攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレー

目標:今シーズンに向けてはより攻撃的で、相手ゴールに近いスペースでのプレー時間を増やすことを目指してきました。

結果:シーズンを通じて多くの改善は果たしたものの、まだまだ理想とする姿とのギャップが存在。シーズンを通じてチームのバイオリズム(ピーキング)のコントロールに課題(→端的に言えば「10月以降のシーズン終盤戦での重要な試合でチームパフォーマンスをピークに持ってくることができず」)

反省点:チーム編成について改善すべき点があります(=戦力の継続的な、更なる充実)

(2)個:個の能力の最大限発揮

目標:チームに関わる全員の「個」の能力が最大限に発揮されながら、組織として「ワンチーム」となり意思統一をはかること

結果:マチェイ スコルジャ監督によるリーダーシップとチームマネジメントのもと、一人一人がプロの選手として、或いはプロのスタッフとしての役割を全うし、チーム全体が一つの方向を向いて最後まで闘い抜くことができました。(とりわけメディカルチームの貢献を高く評価)

(3)姿勢:前向き、攻撃的、情熱的なプレー

結果:今期、大幅に改善されたと評価。個としての選手の姿勢はもちろん、チームとしても「最後まで走り、闘い、貫く」姿勢を多くの試合でお見せすることができた。

3.2024シーズンへ向けて

・チーム作りに関しては攻撃陣の強化が急務:J1リーグで得点王を目指すことのできるストライカーと、年間10得点以上取ることのできる2列目の選手の獲得を目指します。

・より前方に重心を掛けた攻撃的なチームを目指します

・これからもクラブ主導で、コンセプトに沿った育成、チーム強化を継続していく

4.最後に - 天皇杯出場権を剥奪された件についての反省

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Reds

 今シーズンの振り返りと、来シーズンへ向けての対策、いずれも大筋においては個人的にはさほど違和感はありません。
 
 今シーズンの結果の個人的評価はクラブよりもやや厳しめで、浦和は最後まで数字上優勝の可能性が残っていただけで、実質的に優勝争いなんて全然していないと思います。ただそれはもう一つの目標だった「ACL2023/24の出場権獲得」が未達に終わったのと原因は同じで、開幕時も期中もチーム編成に失敗したのが祟って「10月以降のシーズン終盤戦での重要な試合でチームパフォーマンスをピークに持ってくること」が出来なかったからでしょう。
 
 従って今シーズンの評価は少し甘い気がしますが、目標未達に終わった原因を的確に捉えているのでそこはとやかく言いません。
 
 やや違和感があるとすれば「今シーズンに向けてはより攻撃的で、相手ゴールに近いスペースでのプレー時間を増やす」目標を「シーズンを通じて多くの改善は果たした」と捉えている点でしょうか。
 
 手元のスタッツだと「フィジカルコンタクトが俄然強くなり、コンパクトネスも上がっている」点をもって「攻撃的」と評しているのかもしれません。でも今季の浦和はどう見ても守備重視で失点が激減した代わりに得点も減っており、「理不尽とPKでしか点が入らない」惨状を「攻撃的」と評するのは無理がありましょう。ビルドアップもすっかり下手になってしまいましたし。スコルジャはACL制覇後にあまりにも守備的なチームを転換したかったようですが、過密日程すぎてその時間がなく気の毒でしたが。

 ただ守備重視で攻撃に見るべきところがなく、結果的にスコアレスドローがやたら多いチームでしたが、それでも個人的に「つまらない」と感じた試合はあまりありませんでした。これはクラブから高く評価している「前向き、攻撃的、情熱的なプレー」の為せるわざだと思います。これが「浦和を背負う責任」の実践なのか!!と。
 
 一方メディカルチームの働きを高く評価しているのが目を惹きました。昨季は外国人選手でコンスタントに出場しているのはショルツだけという時期が長くてメディカルチームの仕事ぶりに疑問符が付いていただけに、そこをオフにテコ入れした効果が如実に表れました。ただ超過密日程を薄い選手層で闘わざるを得なかったのはメディカルチームとしても如何ともしようがなく、シーズン終盤入れ替わり立ち代わり発生する故障者を長期離脱には至らないようにするのが精一杯だったようです。 

 前目で唯一頼りだったCFカンテのまさかの引退もあってか、来季の課題として真っ先に「攻撃陣の強化が急務」を上げているのは至極当然。昨オフでキアクマキス獲得失敗、さらに言えばその前年の開幕時には稼働できるCFが高卒新人の木原しかいなかったという大失態。昨夏は資金面では何の支障もなかったにも関わらず、なぜか即戦力の前目を全く取らないという謎ムーブ。
 
 「J1リーグで得点王を目指すことのできるストライカーと、年間10得点以上取ることのできる2列目の選手の獲得」とえらく具体的な目標を掲げているので、最大限好意的に評価すれば何がしかの目途が付いているのかもしれません。如何せん相手のある話なので100点満点の補強にはならないかもしれませんが、リーグ優勝が唯一かつ現実的な目標になっている以上、少なくともカンテの穴埋めに失敗するという大惨事だけは避けてほしいものです。

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2023.12.23

【短感】CWC3位決定戦:浦和 2-4 アルアハリ ~ ついに燃え尽き、灰になったか・・・

 浦和はマンチェスター・シティー戦から中2日。対するアルアハリは中3日とコンディション面で不利な上に、疲労やマンチェスター・シティーとガチンコ対戦したことによる「燃え尽き感」からスタメンを大幅に入れ替えても特に不思議はなかったのですが、浦和のスタメンはなんと大久保→酒井の入れ替えのみ!!
 
 試合後スコルジャ監督が明らかにしたように大久保はどうも小破してそもそも使える状態ではなかったようですが、その代わりが手術明けの酒井とは!!酒井をレオン戦で短時間起用しただけでも驚きだったのに、ここでまさかスタメンで使うとは!!

 ともあれ、浦和はいきなり関根が相手最終ライン裏へ飛び出したり、右サイドに流れた敦樹の横パスを受けて安居がシュートを放ったり(前半シュートゼロだったシティー戦とは対照的!)、7分CKからカンテがフリーでシュートを放ったりと試合の入り自体は上々でしたが、良かったのは最初の10分くらいだけ。
 
 その後は早くも電池切れの様相を呈し、アルアハリのいかにも4-1-2-3らしいピッチをワイドに使う攻撃に守備ブロックが振り回され続けました。また浦和のビルドアップが下手なのはアルアハリにバレバレだったようで、その前プレにも苦しんでショートカウンターの脅威に晒され続ける羽目に。

 最初の失点は19分CKの流れから。#10タウの強烈なミドルシュートをGK西川が弾き切れずに#6イブラヒムに詰められてしまいました。難しいボールだったのかもしれませんが、いつもの西川らしくない残念さ。西川はその前にもビルドアップで怪しいプレーを披露しており、西川もお疲れかなあ・・・
 
 25分の2失点目は噴飯もの。ショルツのパスを受けた伊藤が自陣深い位置で前を向こうとして相手にボールを奪われてしまう大失態からタウが豪快に一発!! 故障明けの伊藤を無理やり使っているので仕方ないと言ってしまえばそれまでですが、こんな状態で欧州移籍とは実に片腹痛いというかなんというか。伊藤は終盤にも意図不明の緩い横パスを相手に奪われる失態も。
 
 カンテや安居が必死に前プレを仕掛けても後ろは全然付いてこられず、早くもボロ負けの雰囲気が漂う中でやはり頼りになったのはカンテ。43分小泉が左サイドからクロス→ファーで酒井がヘッドで折り返し→ボックス内で伊藤が競り合ったこぼれ玉をカンテが左足でダイレクトボレー!!こんな難易度の高いシュートを決められる選手が引退するのか!!!でもありがとう、カンテ!!!
 
 前半のうちに1点返し、試合の先行きに希望が持てるようになったところでスコルジャは後半頭から関根→リンセン、岩尾→中島と交代。アルアハリのビルドアップも結構怪しいと思っていたら案の定、46分に浦和の前プレがハマって高い位置で細かくパスを繋ぎながら最後はボックス内でリンセンがシュートを放つ決定機を作りましたが、これをリンセンが決められず。ボックス内でのフィニッシュというリンセン唯一の得意なお仕事すら出来ないとは・・・
 
 しかし、52分伊藤が低めの位置から上げたクロスをリンセンがヘディングで合わせたところ、ボックス内で相手の広げた腕を直撃。やや間があった後にVARが介入し、OFRの末にPKの判定。54分PK職人ショルツがど真ん中に蹴り込んで同点に!!
 
 これで浦和が勢いづけば良かったのですが、シティー戦に続いて今大会の浦和には運がありませんでした。60分#21マールルのシュートは強烈ながらも明後日の方向へ飛んでいたにも関わらず、ブロックに入った小泉に当たってディフレクト。シュートはスピードがあったので西川も反応しきれず。
 
 64分にはFKから#36コカにヘッドを決められて決定的な4点目を取られた!!と思いましたが、ここはオフサイドに救われた格好に。
 
 スコルジャは65分酒井→荻原、小泉→シャルクと代えたものの戦況は好転せず、72分には裏を取られた荻原がボックス内で#28ファドを倒してしまうというハノイ戦の再現みたいなお粗末なファウルでPKを与えてしまいましたが、西川はマールルのシュートコースを完全に読みきってキャッチ!!

 スコルジャはさらに80分に伊藤に代わって興梠を投入してアタッカー祭りで戦況打開を試みましたが、86分CK→ショルツの決定機をGKエルシェナウィに防がれて同点ならず。
 
 ATは9分もありましたが、90+8分直接FKをマールルに決められて万事休す。FKセーブ後の反撃に全てを賭けたのか壁が3枚しかない上に、そのうちの1枚が小さい安居で、安居の上を狙われたのではどうしようもありません。
 
 60試合にも及んだ2023年浦和の闘いを勝って締めくくることは出来ず、CWCは4位で終わってしまいました。守備に持ち味があるチームが4失点では話になりません。そして最後の最後までカンテとPKでしか点が入らないことを実証して今年の全日程を終了するとは(苦笑)。
 
 試合後スコルジャは「私自身も、たくさんのミスを犯した試合だったと思います。選手の疲労の読みで、間違った部分があったと思います。準備の日数が相手より1日少ない中で、中2日でも十分回復できると思っていましたが、そうではありませんでした。」「ハーフタイムで何人かの選手を交代するというゲームプランはありましたが、前半はもってくれるだろうと思っていました。しかしクラブ・レオン戦で見せた強度を、前半を通じて保つことができませんでした。」と敗因を選手の疲労に求め、しかもその読み違いを自分の責任だとはっきり認めています。
 
 それにしても記者会見の場でボロ負けの責任の一因として自分のミスを認める監督ってなかなかいないでしょう。大抵は保身目的で審判のせいにしたり、酷い奴になると選手のせいにしたりします。でもスコルジャが自らの非を認めたからと言って「この監督はクソや!」と思う人もまずいません。圧倒的な信頼と実績。スコルジャがまた浦和に戻って来れれば。
 
 しかし、後半投入された選手達がいずれもノーインパクトで終わったことを考えれば、スタメンを適切に入れ替えていればもうちょっとマシな試合になったとも言い難いかと。スコルジャが補足的に「今日の問題は、攻撃での強度の高さが出なかったことです。たとえばランニング、裏抜けなどです。ボールを持って前に出せる状況なのに、走っている選手がいないことがありました。」とも語っていますが、ベンチ組はそれが足りないから既にヘロヘロのレギュラー組を追い越せなかった訳で。
 
 またもうちょっと視野を広げると、浦和は疲労困憊でそもそも11月以降ほとんど勝ってないんだから、この試合だけ責めてもあまり意味はないかと。まさに兵站が尽きた末期戦。補給がない戦いの末路。そして補給に失敗したのは別に今夏に限った話ではないという恐ろしさ。来季はリーグ優勝が唯一無二の目標ですが、またしてもCFの補強が開幕に間に合わないという大失態だけは繰り返さないように願いたいものです。

 なおこの試合で最も感心したのは審判団。ペンソ主審は女性でしたが、選手と違って審判はフィジカルコンタクトがないから、走力さえ十分なら男女差は選手ほど大きくないのでしょう。それにしてもホンマ良い主審でJリーグレベルからは突き抜けた見事なお裁きでした。VARとの連携も完璧でやたら時間をかけないし、VARも無暗に介入しない。VARは適切に使えば納得感は上がるし、無駄に時間を食うこともないのがよくわかる試合でした。OFR後の「親方説明システム」も好印象。そしてJリーグの審判のレベルの低さがこんなところで明るみに。言い換えればVARをJリーグに導入するのは早すぎたのかも。

Pyramid_sphinx

-----カンテ----
小泉---安居---関根
---岩尾--伊藤---
明本-マリウス--ショルツ-酒井
-----西川-----

(得点)
19分 イブラヒム(AHL)
25分 タウ(AHL)
43分 カンテ
54分 ショルツ(PK)
60分 オウンゴール(AHL:小泉)
90+8分 マールルA(AHL)

(交代)
HT 関根→リンセン(リンセン左SH、小泉右SH)
HT 岩尾→中島(中島トップ下、安居CHへ)
65分 酒井→荻原
65分 小泉→シャルク
80分 伊藤→興梠

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2023.12.20

【短感】CWC準決勝:浦和 0-3 マンチェスターシティー ~ ぐうの音も出ない完敗

 浦和のスタメンはレオン戦と全く同じ。複数失点してしまうとどうにもならない相手ですし、いつも以上に守備重視の面子で臨まざるを得ないでしょう。試合前は故障明けの酒井が今にもスタメンで出そうなコメントを連発していましたが、さすがにここは自重したようでベンチスタートに。
 
 恥ずかしながらDAZNでプレミアリーグの中継をやらなくなってから海外サッカーは全くと言っていいほど見なくなってしまったので、マンチェスターシティーのスタメンがどこまでベストメンバーに近いのか皆目見当がつかず。スタメンで顔と名前が一致するのはGKエデルソンだけ。同じく顔と名前が一致するデ・ブライネはベンチ外でした。
 
 浦和は立ち上がりから積極的に前からプレスをかけに行きましたが、残念ながら全くと言って良いくらいボールを良い形奪えず。やっと奪ったと思ったらすばやく攻守を切り替えてボール奪回に転じたシティーのプレッシングの前にもともと苦手なビルドアップは体をなさず、シュートどころか前線にまでボールを運べず。
 
 攻撃面は壊滅的だったものの守備は大健闘を見せて序盤のシティーのシュートはミドルシュートだけ。浦和が初めてボックス内からのシュートを撃たれたのは、31分右サイドから#20シウバのパスをボックス内で受けた#27ヌネスがやや角度の厳しいところから強引に撃ってきた場面。この場面以降浦和は自陣に押し込まれがちになり、36分#47フォーデンシュートが西川の正面を突くなど危ない場面も増えてきましたが、右SB関根が再三シティー攻撃陣に狙い撃ちに遭いながらも健闘を見せて相手に決定的な場面は与えず。

 このままスコアレスで前半終了かと思いきや、45+1分岩尾がヌネスに入れ替わられたのが痛恨。ヌネスはシウバとのパス交換で浦和左サイド深くまで進出。そこからの折り返しをマリウスがクリアしようとしたところで運悪くオウンゴールに。カット出来なかったら後ろにフォーデンがいたからなぁ・・・

 前半シュートゼロに終わった浦和は後半立ち上がりにようやくチャンスらしいチャンスをゲット。小泉左サイド深い位置でボールを奪ってカンテに繋いだもののカンテのシュートはブロックされてしまいましたが、これが浦和の初シュート。

 先制点を許した後も特にチームがガタガタになることもなく時間が経過していましたが、52分ウォーカーが自陣の右サイドから長い距離のスルーパス一発。これが関根とショルツの間にいたコバチッチに通って、コバチッチはそのままボックス内突入。豪快な右足シュートが炸裂して追加点を取られてしまいました。遠くで「ここに出せ!!」と言わんばかりに高々と手を上げているコバチッチにまんまとスルーパスを通されてしまうとはアラート無さすぎ・・・
 
 シティー相手に2点も取られて窮地に陥った浦和は57分大久保→シャルク、伊藤→荻原と代えただけでなく、既にヘロヘロの関根を左SHに上げて明本を右SBに入れるといった工夫を見せたものの、岩尾の疲労の色が濃い上に投入した選手は守備に難がある選手であることも相まって次第にやられ放題に。
 
 59分#25アカンジに全くプレスがかかっていないのが災いして最後方から縦パスを入れられてヌネスがミドルシュート(ヌネスに対峙しているのがなぜか荻原)。ここはGK西川が辛うじてセーブしたものの。こぼれた玉に詰めたシウバのシュートがマリウスに当たってコースが変わったのが災いして3点目を取られて事実上勝負あり
 
 64分にはカンテ→リンセン、小泉→中島と代えて反撃に転じ、80分には右サイド深い位置からショルツが持ち運んだのを契機にこぼれ球に反応してボックス内に突入した中島がGKエデルソンとの1対1になりかかるこの試合最大の見せ場を作ったものの、エデルソンの飛び出しが鋭すぎてシュートを撃ち切れずにそのまま試合終了。
 
 終わってみればシュート数2対25、ボールポゼッション26%対74%のスタッツ通り、全く勝ち目がないどころか引き分けで終える目すらなかった完敗。欧州王者の背中が見えるどころか、その影さえ見えないくらい彼我の差が大きいことを思い知らされました。
 
 ただ3失点とも守備ブロックを綺麗に崩されたのでは無く、浦和が攻めに転じようとしたところでやられました。言い換えればビルドアップが拙くて攻撃に見るべきところがないチームらしい負けっぷり。それでもアジアレベルならなんとか誤魔化しが効いたものの、欧州王者は浦和の小さな綻びを確実に突いてきました。いやはや誠に恐れ入りましたとしか言いようがありません。

 守備がまるで通用しなかった=普段は出来ていることがシティ相手に出来ずに大敗したのではなく、普段から苦手なことをしっかり相手に咎められての大敗。普段の延長戦上での負け方なのが浦和の改善点がはっきりしている分、妙な話ですが負け方としては救いのある話と思います。
 
 普段は誤魔化しが効くはずの欠点が誤魔化しきれないのは巨大すぎる相手とガチで対戦してこそ得られる貴重な経験。名前だけビッグクラブとの親善試合をいくらやっても得られるものは知れています。やはりACL決勝でアルヒラルと、そしてその先のCWCでガチンコの試合を経験して得られるものには遠く及ばない。だからACLには出続けないといけないし、そのために何としてもはリーグ戦でコンスタントに優勝争いしないと。それを何年も何年も積み重ねて、また欧州王者とガチンコ対戦の場に帰ってきましょう。

 次は中2日でエジプトのアルアハリとの3位決定戦。スタメンはかなり入れ替えざるを得ないでしょうし、シティ戦でメンタル的に燃え尽きた選手もいるかもしれません。それでも勝って終わりたい、勝ちにこだわる選手がどれだけいるかどうか。3決にありがちなシチュエーションですが、何かを掴んで今シーズンの締めくくりにして欲しいものです。

 なおレオン戦では前半一杯壊滅状態だったFIFA+の映像はシティー戦は何の問題もなし。大失敗はしたものの、その後の修正が効くまともな組織でした。Jリーグとは違うのだよ、Jリーグとは!!またFIFA+の映像はボロ負けした浦和へのリスペクトが感じられました。これが日テレならただの噛ませ犬扱いやったでしょうなぁ・・・


 Houyou_takajou_arab

-----カンテ----
小泉---安居--大久保
---岩尾--伊藤---
明本-マリウス--ショルツ-関根
-----西川-----

(得点)
45+1分 オウンゴール(MCI:マリウス)
52分 コバチッチ(MCI)
59分 シウバ(MCI)

(交代)
57分 大久保→シャルク
57分 伊藤→荻原
64分 小泉→中島
64分 カンテ→リンセン
78分 岩尾→柴戸

 

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2023.12.16

【短感】CWC準々決勝:浦和 1-0 レオン ~ 最大の難敵はFIFA+だったとは・・・

 浦和はACLハノイ戦からリンセン→カンテ、シャルク→大久保、エカニット→伊藤、荻原→明本、岩波→マリウス、大畑→関根とスタメン6名入れ替え。
 
 なお髙橋が脳震盪からの回復途上で出場は難しいと判断された模様で、右膝半月板損傷の手術を11月上旬に行ったばかりで、しかも全治3ヶ月とい言われていた酒井がなんとベンチ入り!!

 日本時間23時半キックオフ。仮眠を取るには早すぎるが、キックオフまで起きているのも辛いというなんとも中途半端さに悩まされながらワクテカでFIFA+へアクセスしたところ、ファイヤースティックもタブレットも固まったまま動かないという大惨事。ネットで確認してもFIFA+に繋がった方は全くいない模様。
 
 そうこうしているうちに怪しげなサイトでの視聴方法が広まってしまい、前半半ば過ぎからそこで見ていましたが、前半の内容は正直うろ覚え&伝聞情報での補足入りです(^-^;
 
 どうも立ち上がりは浦和が優勢だったようですが、19分小泉のロングパスに反応して大久保が裏抜けに成功するもGKとの一対一を決められず。
 
 浦和がビッグチャンスをフイにして以降はレオンの時間帯となり、32分にはカウンターを食らって決定機を与えるもマリウスのスライディングブロックで辛うじて難を逃れました。しかし、その後もレオンが押し気味のまま前半終了。FIFA+は楽天の広告だけしっかり流して、その後は試合の静止画を一コマだけ送って再び沈黙するテイタラク。
 
 しかし、ハーフタイムに大きく動いたのはFIFA+。技術的なことは全く判りませんが、後半開始直後に何かしら抜本的な対策が講じられたようで、浦和の選手達がピッチに入りだした辺りからFIFA+は快適に動くようになり、しかも試合終了まで全く支障なし。
 
 視聴環境は一気に好転したものの、そこで繰り広げられたのは贔屓目に見ても塩試合。54分には右サイドからの岩尾FK→ファーで明本がどフリーで折り返し、伊藤がボレーシュートを放つも高々と宇宙開発事業団。
 
 故障明けの伊藤のコンディションは万全にはほど遠く、子供の運動会で張り切りすぎて故障してしまうお父さんみたいな「気持ちに身体が付いてこない」っぽい残念なプレーが目立ちました(特に守備面)。でも柴戸が福岡戦で失態の連続だったのを見てしまうとこんな伊藤でも使わざるを得ないのでしょう。
 
 64分に関根が故障してやむなく荻原を投入。さらに73分大久保と伊藤を下げてシャルクと中島を投入する勝負手を放ったものの特に戦況が好転せず、かといってレオンが優勢という訳でもないという塩試合状態は継続。
 
 とにかく浦和が点を取れる気配は全くしなかったので「浦和の勝ち筋はPK戦しかないか」と思っていた矢先の78分右サイドに流れていたショルツが縦パス→前線へ走り込んでいたシャルクに当たってこぼれたボールをカンテがキープ→裏抜けを図ったシャルクに繋ぎ、シャルクが相手に寄せられながらもシュートをねじ込んで貴重な先制ゴール!!!
 
 81分には明本が両足を攣ってしまったのでてっきり大畑を入れるものと思い込んでいたところ、スコルジャ監督はなんと無理やりベンチに入れたっぽい酒井を投入!!!これには心底驚きました。酒井は喝入れ要員としてベンチに入っただけと思っていただけに。
 
 さらに84分#6テシージョがこの試合2枚目のイエローカードをもらって退場に。数的不利になったレオンはその後も全くチャンスらしいチャンスすら作れず、浦和もシャルクがGKとの一対一を決められないという塩試合に戻ったまま時間が徒過。
 
 ATは8分もあって「FIFA+が止まっていた時間をATにカウントしたのか???」と訝しく思いましたが、試合は何の紛れもなくそのまま終了。
 
 ACL決勝同様、格上と目される相手に対しても自らの強固な守備を活かしてロースコアの展開に持ち込み、僅かなチャンスをモノにして勝ち切るのが浦和の得意技。よって塩試合はだいたい浦和ペースで、この試合もその例に漏れず。レオンの決定機は結局マリウスがシュートブロックした32分の一回こっきりで、西川がビビるようなものは全くなかったので浦和の完勝といって差し支えないかと。

 これで浦和は準決勝でマンチェスター・シティーとの対戦が決定。Jリーグは「ACLが終われば今季はおしまい」と言わんばかりに浦和がCWCでの闘いを続けていることを無視していますが、マンチェスター・シティーとの試合まで無視しきれるかどうか(苦笑)。

 ただ酒井を無理使いしたのはちょっとどうなんだろう??? ここで無理使いするのはチームのためにも本人のためにもならないと思ったのですが・・・来年は「無理して出場→小破→無理して出場」を繰り返してるうちに並の実力でコスパ最悪コースになるのは勘弁してもらいたいものです。

Sekiyuou

-----カンテ----
小泉---安居--大久保
---岩尾--伊藤---
明本-マリウス--ショルツ-関根
-----西川-----

(得点)
78分 シャルク

(交代)
64分 関根→荻原(故障による交代)
73分 伊藤→中島(安居CH、中島トップ下へ)
73分 大久保→シャルク
81分 明本→酒井(足が攣ったため)

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2023.12.07

【DAZN観戦記】ACL2023/24 GS MD6:ハノイ 2-1 浦和 ~ あまりにも選手層が薄くてGSも突破出来ず

 ハノイに勝ってもGS勝ち抜けできるかどうか怪しかったのですが、負けてGS敗退だとかえってサバサバ。こんなに薄い選手層で超過密日程をこなすのは無理ゲーでした。選手・スタッフの皆さま、そして現地組、誠にお疲れさまでした。

《スタメン》

 札幌戦から中2日&長距離移動と日程が超過酷な浦和は関根→荻原、明本→大畑、マリウス→岩波、伊藤→安居、大久保→シャルク、カンテ→リンセンとスタメン6名入替。

 武漢戦で故障した大畑は幸い軽傷でスタメンに復帰できたので、明本出場停止を受けて故障明けの関根を無理やり右SB起用せずに済んだのは好材料でした。
 
 なお武漢戦に続いてスコルジャ監督は出場停止なので、ラファル ジャナスコーチが指揮を執る格好に。
 
 一方ハノイもホームゲームとは言え連戦を強いられていた模様で、直近のリーグ戦からメンバーを大幅に入れ替え。連続でスタメンで出ていたのはたった3名だけで、若手を先発起用していたそうで。既にGS敗退が決まっているので、リーグ戦を重視してこの試合は半ばテストの場だったのかもしれません。

《試合展開》

 蓋を開けてみてびっくりしたのは荻原が左SBで、大畑を右SBに配していたこと。荻原は左が本職で右も一応できるのに対し、大畑は左専門で右はほとんどやったことがないはず。ここでわざわざこの形を採った理由は試合後会見で誰も突っ込んでくれなかったので真意は不明ですが、札幌戦が出場停止で相対的にはコンディションがマシな荻原の攻撃力を最大限生かしたかったのかも。
 
 それはさておき、試合はいきなり動いて6分岩尾CKをファーでシャルクが折り返したところ、なぜかバンザイしている#26の手を直撃。かなりはっきりしたハンドなのに主審はわざわざOFRまで実施(シャルクが折り返した時点でタッチを割っていたかどうかの確認?)して、当然ながらPKの判定に。
 
 ところがなんとこのPKをショルツが失敗!!ただショルツが蹴る前にGKがゴールラインより前に出ているように見えましたが、主審はVARと軽く交信しただけで終了。OFRでじっくり見るべきなのはこちらではないのかなぁ??? ともあれショルツのPK失敗はアウェーC大阪戦以来。あの時も過密日程で疲労困憊状態でPKを蹴って失敗したんだよなぁ・・・
 
 その後は5-4-1で自陣に引いて構えるハノイ相手に浦和がボールを支配するものの攻め倦みの様相。2列目がドリブラー皆無なためか、相手の守備ブロックの前で止まりがちな選手の足元から足元へパスを繋ぐだけに終始し、時折ハノイ最終ライン裏狙いの意図は伺えたものの、出てくるパスの質も低ければ飛び出す選手とのタイミングも合わない惨状。
 
 従って裏狙いで前半決定機に繋がったのは33分ショルツスルーパス→安居くらい。また引いた相手を崩す常道=ミドルシュートも42分安居のボール奪取からそのまま持ち上がって自ら放った場面だけ

 あんまりな試合内容を受けてジャナスコーチは後半頭から小泉→大久保、岩尾→伊藤と代えただけでなく、SBの左右を入れ替え。「荻原左SB、大畑右SB」の奇策は案の定大畑右SBが全く機能しない(勝たないといけないのに攻撃面での寄与ゼロ)上に、左SB荻原は前のシャルクとの相性があまり良くないのか、こちらもたいして機能しなかったので、この入れ替えは当然でしょう。
 
 しかし、その効果が出る前に53分CKのセカンドボールを#26に押し込まれてまさかの失点。西川は#6のヘッドをセーブするのが精一杯で、セカンドボールには対応できず。でも今季の浦和には滅多にないセットプレーからの失点で、#6に簡単にヘッドを許している辺りに浦和の選手達の疲労の濃さが感じられました。
 
 そこでジャナスコーチは60分エカニット→カンテ、シャルク→関根と代えたのが奏功。65分CKからの流れで右サイドから荻原低いクロス→リンセンが得意の裏抜け&シュートで同点に。
 
 さらに71分荻原CK→カンテヘッドが炸裂するもここはGKが好セーブ。そこでジャナスコーチは75分大畑→興梠と代えて関根右SB、荻原左SBとポジションを代える勝負手を放ち、80分リンセンのヒールパスを受けて左サイドから荻原がボックス内に突入するもシュートはやや角度が厳しくてGKがセーブ。
 
 そして83分浦和右サイドからのクロスに対して裏を取られた荻原がボックス内で#14を倒してしまってPKに。87分PKを途中投入の#9ファム トゥアン ハイに決められてハノイに突き放されてしまいました。
 
 #9はベトナム代表で結構スピードがあってヘロヘロの浦和守備陣には極めて厄介な存在に。ATは8分もありましたが、気落ちも重なったのか全く動けなくなった浦和はカウンターを繰り出すハノイを止めることすら出来ず、決定的な3点目を取られなかっただけマシというありさまに。試合終了直前の好位置でのFKも実らず、そのまま試合終了。

 
《総評》

 ACLの日程が発表された時点で中2日で厳寒の札幌から亜熱帯のハノイへの長距離移動を余儀なくされるGS最終節はコンディション面で極めてきつく、この試合の前にGS勝ち抜けを決めておかないとかなりしんどくなることは十分予想されました。
 
 そして「ハノイに勝たないとGS勝ち抜けの可能性が消滅する(勝っても他グループの結果次第でGS敗退の可能性大)」という状況に追い込まれてハノイに乗りこんだ結果は、ハノイに勝つどころか負けてACL終了。「まさかの」を付けるのも馬鹿らしくなるほど浦和の選手達は攻守両面で精彩を欠き、当然までは言わないまでも敗退を受け入れざるを得ない試合内容でハノイに破れました。
 
 浦和がGSで敗退するのは2015年以来5大会ぶり。また前シーズンのACL王者がGSで敗退するのは、ラウンド16から参戦できるシード権が撤廃されて以降で史上3度目だそうです。
 
 ACLが秋春制へ移行し、かつ昨シーズンのようなセントラル方式ではなくH&AによるGS付きの開催へ戻っての大会。リーグ戦の終盤とACLのGSが重なってしまう経験は当然ながらJ各クラブともありませんが、浦和は特に春のACL決勝以来ずっと過密日程を強いられてきたので、今大会のGSは一際厳しい闘いになってしまいました。
 
 今大会のターニングポイントは個人的にはホーム浦項戦だと考えています。このグループ最大のライバルと目される浦項相手にメンバーを落としてホームで敗戦。当時はルヴァン杯優勝やリーグ優勝の目が残っている段階だったのでそれらを重視し、ACLはここで浦項に負けても残り3試合で取り戻せるとスコルジャは判断したのでしょう。しかし結果はルヴァン杯は決勝で福岡に破れ、浦項にはアウェーでも破れ、さらに神戸に負けてリーグ優勝の目もなくなってしまうという悪夢の3連敗。三兎を追って一兎も得ず。
 
 同じ話の繰り返しで恐縮ですが、三兎を追うには選手層が薄すぎました。また一応頭数はいるポジションでもスコルジャの基準(おそらく守備面)を満たす選手が少なすぎました。特にシーズンを通じて2列目のしょっぱさ加減には参りましたが、その中でも頭数的にはIH型がやたら多くてSH型が少ないというアンバランスぶり。しかも夏の補強はなぜかIH系だらけという不可解さ。
 
 そしてこの試合では2列目のスタメン全員がIH系で5-4-1の相手に挑むという無理ゲー。そしてこれじゃ無理と判って疲れの大久保と故障明けの関根を使うしかなくなった時点で半ば詰み。

 これで来年はACLの負担が一切なくなり、おまけに残念ながら天皇杯もないので浦和の日程は今年とは一変していきなりスカスカに。新聞辞令ではまもなく新監督が決まりそうですが、スコルジャと違ってチーム作りの時間はたっぷり取れそうなので、ACL負担のない来年こそは全身全霊、全員一丸となってリーグ優勝へ向けて邁進してほしいものです。

《選手評等》

・この試合のゴールがおそらくリンセンの正しい使い方の典型なんだが、今年の攻撃の仕込み、その前のビルドアップの仕込みではなかなかボックス内でリンセンに勝負させる形は作れず。リンセンはたぶんリカ向きだったと思うけど、リカ時代に出落ち芸一発で故障(つД`)

・パンヤは札幌戦&ハノイ戦の出来だと契約更新なしでも特に不思議はないなぁ。もともとIH系過剰ですし。武田戻ってくるし。

・割とはっきりしたファウルなのにVARとの交信&OFRにやたら時間をかけるとか、VARが介入してしかるべき事象になぜか介入しないとか、この試合の審判団はかなりJリーグっぽかったなあ。教訓「人生いたるところJリーグあり」

・この試合のあの方の解説は必要以上のダメ出し、不愉快になるレベルのディスりがなくてかなりマシだったかと。でも劣勢の状況下で元気にさせてくれる話もゼロでした。

World_vietnam_aozai

-----リンセン-----
シャルク---エカニット---小泉
---岩尾--安居---
荻原-ショルツ--岩波-大畑
-----西川-----

(得点)
53分 ダオ バン ナム(ハノイ)
65分 リンセン
87分 ファム トゥアン ハイ(ハノイ:PK)

(交代)
HT 岩尾→伊藤
HT 小泉→大久保(荻原、大畑のSB左右入れ替え)
60分 エカニット→カンテ(カンテ&リンセンの2トップ気味へ)
60分 シャルク→関根
75分 大畑→興梠(関根右SB、荻原左SB、リンセン左SHへ)

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2023.12.04

【DAZN観戦記】23年第34節:札幌 0-2 浦和 ~ 札幌にダブル達成で伸二引退に花を添えるの巻

 過密日程が祟って浦和の選手達の動きは芳しくありませんでしたが、それでも負けないサッカーに徹したのが奏功して毎度お馴染みのPKゲット。数少ないチャンスを活かして守り勝つ今季の浦和らしい試合でした。

《スタメン》

 武漢戦から中3日の浦和は荻原→関根、大畑→明本、安居→伊藤、中島→エカニット、髙橋→大久保、リンセン→カンテとスタメン6名入れ替え。
 
 荻原は出場停止、大畑&髙橋は武漢戦で負傷したのでこの3名の入れ替えは当然ですが、神戸戦で負傷し、今年一杯絶望の可能性すら伝えられた伊藤がいきなりスタメンに復帰したのがビッグサプライズ。
 
 札幌は菅野→高木、岡村→中村、菅→馬場、福森→小野とスタメン4名入れ替え。小野は現役ラストゲームの「さよなら運転」。CB岡村は前節FC東京戦で負傷した模様で、本職CH宮澤がCB中央に下がった関係で、日程スカスカの割には玉突き的にスタメンを入れ替えたのかも。

Sapporo004_20231204090001

《試合展開》

 浦和は2分ショートカウンターから最後は右サイドから関根クロス→ファーで伊藤ボレーの決定機を作りましたが、序盤良かったのはこれだけ。
 
 どちらも相手の厳しい前プレを嫌ってロングボールを多用していましたが、ロングボール攻撃がより有効だったのは札幌。特に左サイドから右WG浅野へ大きく展開する攻撃が効き、浦和は前半を通じてシュートブロックで札幌の攻勢をなんとか凌ぐ場面が目立ちました。日程が厳しい浦和はおしなべて動きが悪く、ガツガツ系の札幌相手に球際での競り負けも目立ちました。
 
 前半浦和が最も危なかったのは35分マリウスのクリアミスを青木に拾われた場面でしょうか。37分田中スルーパス→浅野が裏抜けしてシュートを流し込んだ場面は浅野がVARの確認が要らないはっきりしたオフサイド。

 浦和も18分ショルツ縦パス→関根シュート、24分大久保スルーパス→カンテ、33分高い位置でのボール奪取からカンテシュートとショートカウンター主体に反撃の姿勢を見せてはいましたが、シュートブロックされたのはまだしも、24分の好機でカンテがシュートモーションに入ったところで切れ味鋭いコケ芸を披露!!またこの場面のみならず、浦和は前半なぜか滑り芸を披露する選手が続出して参りました。
 
 「さよなら運転」の小野は22分にスパチョークと交代。浦和は特に小野に対して遠慮している感じはしませんでしたが、そうは言っても「伸二を怪我させてはいけない」とか多少心理的な縛りはあったでしょうなぁ。小野がピッチを去った時点で「さあここからやで!!」とばかりに気合を入れ直していた気も。
 
 浦和は前半全くいいところなしだったエカニットに代えて後半頭から中島、さらに伊藤→安居と交代。伊藤は故障明けで無理使いを避けての交代でしょう。

 53分関根のパスを受けてボックス内に大久保が突入してCB宮澤を交わそうとしたところ、宮澤の脚に当たったボールが高々と上げている自分の右手に当たってしまい、笠原主審は全く躊躇することなくハンド=PKを宣告。OFRでも判定は変わらず。不運だとは思いますが割とはっきりしたハンド(笠原主審も宮澤へハンドと判定した理由を説明している)なので、なんで試合後ミシャがダラダラと文句を言っているのかさっぱり判りませんが(苦笑)。
 
 58分ショルツがGKの逆を突いて浦和先制。
 
 その直後荒野ロングフィード→青木ヘッドが枠内を襲うも西川が難なくセーブ。札幌は前半とは一転して関根を狙い撃ちしてきた感がありましたが関根は特に破綻をみせず。66分CH馬場がバイタルエリアで強引にミドルを放つも僅かに枠外。69分後方から駆け上がったCB中村がボックス内で転倒。僅かに関根の手がかかっているようにも見えますが、笠原主審は「勝手にこけたに近い」と判断したのかノーファウル。
 
 72分自陣深い位置からのショルツFK→カンテが競り勝ってのこぼれ玉をボックス内で拾った中島は馬場を背負っての反転&股抜きシュートで追加点!!中島はこれが浦和移籍後初ゴール。「お待たせしました!いやお待たせし過ぎたかもしれません」と言わんばかりのファインゴール。中島の巧さが浦和で初めて結果に繋がった場面でした。
 
 そしてこのゴールの基点となったFKは中村の大久保への悪質な、なんでイエローが出ないのか不可解なレベルのファウルによるものだったというのが因縁めいた何かを感じました。

 その後は自陣深くに守備ブロックを敷く浦和相手に札幌は手も足も出ず、決定機どころか満足にシュートすら撃てず。選手交代も全く奏功せず、特にキムゴンヒのようなあまり動かない電柱系FWの投入はショルツ&マリウスがいる浦和相手には最大級の悪手でしょう。
 
 浦和は中2日で控えるハノイ戦を睨んでお疲れの選手を順次代え、最後はちょっと傷んだ関根に代えて岩波を入れてショルツを右SBに出す奇策も演じながら楽々逃げ切り勝ち。

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《総評》

 リーグ戦最終節が小野伸二現役引退に伴うラストゲームになったため札幌ドームは珍しく満員御礼。ただ札幌は純然たる消化試合だったのに対して、浦和は3位入り=ACL2出場権がかかった試合で多少モチベーションの差があるとはいえ、如何せん連戦また連戦で浦和の選手達の動きは鈍く、キレもなく、面白い試合なんて望むべくもありませんでした。
 
 それでもとにかく負けないことを重視して我慢に我慢を重ねた結果、ちょっとしかない決定機を掴んでクリーンシートで逃げ切り勝ち。しかもそのうちの一つはPKだという、完全に今季の浦和の勝ちパターンでの勝利でした。浦和の決定機は僅少でしたが、札幌の決定機も59分青木ヘッドくらいなので札幌がゲームをコントロールしていた訳でもありません。小野伸二ラストゲームだったので誰も文句は言いませんが、内容的にはどう見ても塩試合で、塩試合はだいたい浦和ペースです(苦笑)。
 
 浦和は最終節に勝つには勝ちましたが、3位を争っていた広島が試合終了直前のゴールで福岡を下したため4位止まりに。直接的には「3位には意味がない」と考えて監督の指示を無視したあの独善的なプレーで神戸戦で負けたのが響いた格好になってしまい、そんな心構えでプレーしているようでは3位にもなれないのは仕方ないでしょう。
 
 長いリーグ戦の中で、あのシュートが!とか、あのミスが!!とかあの判定が!!とかで最終結果を論じるのは一般論としては全く意味がないと思いますが、監督への造反はかなり別格でしょう。その造反に対して監督がどういう処分を下すかはまさに監督マターなので、そこはとやかく言いませんが。
 
 まぁそんなモヤモヤ感はさておき、ACL優勝後も続く超過密日程で、しかもロクな補強もないまま連戦また連戦を強いられたスコルジャ監督が最終的に4位を確保したのは高く評価されて然るべきでしょう。
 
 ACL決勝で僅かな勝ち目をつかみ取るためにとにかく試合は守備から入り、その結果ACL優勝というビッグタイトルを得たものの、その後は超過密日程&しょぼい2列目が祟って攻撃面での積み上げに乏しく、とうとう「PKか理不尽ゴール以外で点が取れない」というあんまりな得点力不足からは脱しきれませんでした。その結果がスコアレスドローの山。これでは優勝争いどころか3位に入るのもフツーは無理ゲーに近いでしょうに。でもスコルジャは優勝争いを演じたとは言い難いものの、ACL圏入りの可能性が最後まで残るくらいの闘いを見せてくれました。
 
 リーグ戦3位での24-25年ACL2出場権確保はなりませんでしたが、ACL武漢戦に続いて札幌戦にも勝って疲労困憊だがチーム状態やメンタル面までどん底でハノイへ向かう訳ではなくなったのが救いでしょう。もっともACLグループステージ確保も他力本願寺で極めて厳しい道のりですが。

 一方傍目には完全に行き詰まり、もはや袋小路に陥っていて降格の心配はないが上がり目もない、そして守備は絶対に上手くならないし、そもそも選手として汎用性がなくなってしまうミシャサッカーを札幌が来年も続けることを試合後高々と宣言していてびっくり。試合後の会見で浅野も高木も「あらためて引いた相手をどう崩していくかという部分」「結局、相手陣に押し込んだあとにシュートなどをなかなか打たせてもらえなかったし、相手にブロックを作られた中で崩し切れなかった感じもあった。」と同じ話をしており、来年も同じ話をしていると思いますよ、たぶん。
 
 あれでは「ここにいても成長はない」と見限って出てゆく選手も多くなるでしょうし、あのサッカーに惹かれてやってくる選手も少なくなるでしょうなぁ。

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《選手評等》

・関根はSBとして急成長。特に守備が非常に良くなっていて、ハイボールで関根を狙い撃ちするような単純な攻撃ではやられにくくなっていました。明本がいない&大畑故障のハノイ戦も関根を無理使いするしかないかなぁ。

・さすがに今日の敦樹はまさに出ただけでした。試合後の会見によると、「しっかりと動けたのはここ3~4日くらい。前に出るスプリントをした後に戻ることが以前と比べてきつかったし、体力面でまだまだだと思った」ので「(交代は)プラン通り。スコルジャ監督から『できるところまでやってほしい』と言われてて、前半途中に自分から前半で代えてほしいと伝えた」とのこと。札幌戦出場はハノイ戦ないしCWCで出場を睨んでの「体力面やコンディション面、試合勘などを含めてプラン」の一環だったようです。とにかく来季に響くような大怪我ではなくて何より。

・小泉は琉球でお世話になった小野に対してなぜかスーツ姿で挨拶。浦和は即座にハノイへ移動だからもうスーツ姿なのか!!言い換えればクールダウンしてそのままトレーニングウェア姿では移動しないと(笑)何も知らない大泉洋の移動とは違う!!

・エカニットはスパチョーク先輩との共演が叶いましたが、残念ながら全くいいところなく前半だけでお役御免。ガツガツ系の札幌相手では強度不足が目立ちました。

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-----カンテ----
小泉---エカニット--大久保
---岩尾--伊藤---
明本-マリウス--ショルツ-関根
-----西川-----

(得点)
58分 ショルツ(PK)
72分 中島

(交代)
HT 伊藤→安居
HT エカニット→中島
79分 大久保→シャルク
88分 カンテ→リンセン
90分 関根→岩波

-----小柏-----
--小野----駒井--
青木-荒野--馬場-浅野
-中村--宮澤--田中-
-----高木-----

(交代)
22分 小野→スパチョーク
74分 馬場→菅
79分 中村→キム ゴンヒ

※写真は試合には全く関係ありません

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2023.12.01

【DAZN観戦記】ACL2023/24 GS MD5:浦和 2-1 武漢三鎮 ~ とにかく理不尽!理不尽!

 またしても怪我人続出で苦しい試合になってしまいましたが、最後の最後で理不尽砲が咆哮!!浦和は文字通り首の皮一枚でグループステージ突破の可能性を残しました。

《スタメン》

 福岡戦中3日の浦和は関根→荻原、明本→大畑、柴戸→岩尾、大久保→髙橋、カンテ→リンセンと5名スタメン入れ替え。明本はこの試合出場停止なので大畑を入れ、岩尾は福岡戦出場停止明けなので柴戸の代わりにスタメンに入るのは当然ですが、他は福岡戦で出場時間が長かった選手をベンチスタートにしたものと目されます。
 
 ただ福岡戦で全く良いところがなかった中島が引き続きスタメンで、エカニットがベンチスタートになったのは傍目には少々不可解。
 
 ACLはベンチ入りの人数がやたら多いので、怪我でもないのにここでベンチ入り出来なかった選手は事実上戦力外と見られても仕方ないのですが、興梠がベンチ外だったのが気になりました。

 なおACL浦項戦で謎の一発レッドを食らったスコルジャ監督に代わってラファル ジャナスコーチが指揮を執ることに。

《試合展開》

 浦和の立ち上がりは上々で、6分荻原スルーパス→後方から飛び出した小泉が中へ折り返してファーに突っ込んだ髙橋ゴールが決まったと思われましたが、VAR判定で小泉が僅かにオフサイド。
 
 10分岩尾縦ポン→髙橋裏抜けもシュートはバーの上。ただこの2度の決定機に見られるように序盤の浦和の攻撃は相手の最終ラインの浦和狙いという意図が非常にはっきり見て取れました。

 武漢の初めての反撃は19分CKからの流れで枠内シュートを放ったもの。しかしここま西川が好セーブ。

 その後双方一進一退というか少々グダグダになりかったところで、34分右サイドから荻原クロス→リンセンが#25ドゥン ハンウェンと競り合った際に相手の肘がリンセンの顔に入ったのがVARでもしっかり咎められてPKゲット。37分ショルツはGKがシュートコースを読んで同方向に飛んだところで絶対に取れないコースにきっちりPKを決めて浦和先制。

 しかし、好事魔多し。40分に左SB大畑が相手と交錯も無いもない状況下で突然故障。ジャナスコーチはなぜか交代に手間取った末に43分になってようやく関根を投入。
 
 さらに44分髙橋が顔面に#21ハ チャオの肘打ちを食らって脳震盪を起こし、浦和の選手達はもちろん武漢の#15ですらすぐさま担架を要請する非常事態に。残念ながら髙橋はそのまま担架で退場に。ジャナスコーチはハーフタイムを待たずに45+2分に大久保を投入。
 
 マジェド アルシャムラニ主審は#21にイエローカードを提示しましたが、どう見ても極めて悪質なファウルだったにも関わらず、VARが「レッドカードの可能性」と判断して介入しなかったのが謎でした。
 
 またJリーグでは脳震盪による交代は交代人数&交代回数とも別枠扱い。このルールはてっきり万国共通だと思い込んでいたら、ACLにはこのルールは適用されないことがDAZNの中継で判明。埼スタではこの辺の説明がなかったようで、現地ではかなり混乱があったようです。試合後浦和のコーチ陣がよくこれを間違えなかったものだと感心しました。審判団も勘違いしたまま脳震盪枠の活用を認めていたら再試合ものでしょうし。
 
 そして前半のうちにアクシデントで交代カードを二枚も切らざるを得なかったのは大誤算。浦和はフィジカルが強くて運動量が多くて、相手にプレッシャーをかけまくっていた髙橋(それに釣られるかのようにリンセンですら献身的に守備に走りまくる!!)が退場したのが響いたのか、あるいは単に前半守備にエネルギー使い過ぎて前目の運動量が落ちたためか、50分あたりから一転して武漢ペースに。
 
 58分右サイドからのクロス→アジズヘッドの決定機は小さい関根が相手に自由を与えず。67分ダビジソンのシュートは僅かに枠を逸れて難を逃れましたが、68分#15ジャン チーポンからダビジソンへ縦パスが入ったところで対峙していたショルツがまさかの転倒!!弘法も筆の誤り。神も転ぶ。まさかすぎる事態を受けてマリウスも驚くほど軽い対応でダビジソンにあっさり交わされて同点ゴールを許してしまいました。
 
 ジャナスコーチは危険な香りを嗅ぎつけて3枚替えを用意していましたがわずかに間に合わず、リンセン→カンテ、中島→エカニット、小泉→シャルクの3枚替えを敢行したのは同点に追いつかれた直後。

 残り時間が20分以上あるにも関わらず交代枠を全て使い切っての乾坤一擲の大勝負に出たにも拘らず、浦和はボールを持っている割にはシュートが撃てない時間が長く続いて嫌な気配が漂い出しましたが、84分になって荻原左サイドからクロス→逆サイドからどフリーで関根が突っ込んで久しぶりに決定機らしい決定機。
 
 関根のシュートは惜しくもバーの上に飛びましたが、この決定機を契機に浦和が大攻勢。。

 87分シャルクの横パスを受けてカンテがアーク手前から得意のミドルシュートを放ったものの、これはシュートコースが甘くてGKセーブ→こぼれ玉に大久保詰め切れず。しかし90分ショルツがあたかも大魔神のように持ち運んだのを契機に、大久保浮き玉縦パス→シャルクと競り合った相手DFの跳ね返りを拾ったカンテの理不尽シュートが炸裂!!! 4分もあったATには共に何事も起こらず、そのまま試合終了

Kante

《総評》

 福岡戦の残念過ぎる試合内容での逆転負けを見て、残り試合は勝つどころかそもそも試合になるのかどうかと個人的には案じていましたが、結果は悪くはない内容で武漢相手に勝利。しかもショルツのPKとカンテの理不尽砲による得点で勝つという今季終盤の定番とも言える勝ち方で。
 
 JリーグからACLへと舞台が変わったこと、そして今年埼スタでの正真正銘のラストゲームになることが多少選手達の心境に変化をもたらしたのかもしれません。そして11月に入ってルヴァン杯決勝以降全く勝てていないどころか全敗で意気消沈していたであろう浦和もこの勝利でちょっとだけ顔を上げて前へ進む気持ちを取り戻せたかもしれません。

 ただ浦項戦での連敗が響いて浦和は既にグループステージ首位通過の目はなし。武漢戦に勝ったところで、さらに最終節アウェーハノイ戦に勝って勝ち点10に積み上げて他グループの2位同士の比較で勝ち抜けるかどうかと立場には全く変わりありません。他グループの状況はややこしいのでここでは省きますが、端的に言えば「浦和のグループステージ突破は絶望的というほどではないが、かなり難しい」ようです。
 
 このグループ最弱のハノイ相手とはいえ、札幌戦からわずか中2日。しかも既に厳冬期に突入した札幌から亜熱帯のハノイへという気候が違い過ぎるところへの遠距離移動付き。おまけに大畑が故障して、明本が引き続き出場停止でSBが再び不足するという非常事態。東南アジアのチームは往々にしてホームでは別の顔を見せがちなだけに苦戦もあり得ましょう。
 
 おまけに札幌戦を捨てたくても、こちらは3位広島の結果次第ながら浦和が再逆転で3位に滑り込む(=24-25シーズンのACL2出場権獲得)可能性を十分残しているというなんとももどかしい状況。
 
 ハノイ相手に引き分け以下なら他グループの結果に関係なく浦和の今季のACLは終了。勝ったところで他グループの結果待ち。浦和がCWCに出る関係で浦和のグループだけ先に全日程を終え、赤者は12~13日に開催される他グループの試合にせっせと他力本館寺に詣でることになりましょうが、詣でるところが複数なのでめんどくさいの何の・・・

《選手評等》

・またしても理不尽砲に救われた浦和。なんでこのレベルの選手がいきなり引退なんなのかなぁ。一方生きながらにして引退してるような選手もおったけど。

・リンセンは浦和に来てから最高の出来。こんなに献身的なリンセンは初めてかも。点取り屋として獲得したはずのリンセンが今や守備貢献度の高さで評価されてしまうとはなあ。ビルドアップが下手になった浦和ではリンセン得意のボックス内でのお仕事は少ない。だからボックスの外から撃てるカンテが重宝される。リンセン冬の時代。

・この試合の大久保は良くありませんでした。故障明けで連戦に耐えらえる状態ではなく、この試合は本来45分出来るコンディションではないのに髙橋負傷で投入せざるを得なかったものと思われます。それにしてもボックス内に入るまでは凄みがあるのに、そこから急速にへなへなになるのがこの試合は一段と際立っていました。

・この試合の審判団は丸ごとJリーグレベルで参りました。小泉のVARでのオフサイドの判定がやたら速いのだけは感心しましたが、結局良かったのはそれだけ。主審はOFRどころかそもそもVARと全然交信しない系だったとは!!そのためハンド見逃しっぽいのが双方にあり、武漢はラフプレー三昧。まともな審判団なら武漢に退場者出てたと思ったけどなあ・・・

-----リンセン-----
髙橋---中島---小泉
---岩尾--安居---
大畑-マリウス--ショルツ-荻原
-----西川-----

(得点)
37分 ショルツ(PK)
68分 ダビジソン(武漢)
90分 カンテ


(交代)
43分 大畑→関根(故障による交代。関根右SB、荻原左SBへ)
45+2分 髙橋→大久保(負傷による交代。小泉左SH、大久保右SHへ)
69分 小泉→シャルク
69分 リンセン→カンテ
69分 中島→エカニット

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2023.11.28

ホセ カンテ選手 現役引退

 昨日(11/27)ホセ カンテ選手の現役引退が公表されました。
 
 カンテはまだ33歳で引退するには若すぎるような気がしてなりませんが、11/26日付の日刊スポーツによると「家族との時間を大切にしたい気持ちが強く、第2の人生を送ることを決断」したのが引退理由だそうです。Jリーグで大活躍している割には急にギニア代表に呼ばれなくなったのを見ると、その筋の方には早めに引退を意向を漏らしていたのかもしれません。

Kante
 
 カンテは今年3月に加入したばかり。カンテの前所属は中国スーパーリーグの滄州雄獅ですが、クラブの公式発表で「滄州雄獅より完全移籍加入」と書かれていなかったのは、滄州雄獅が2ヶ月以上給与未払い状態に陥っているため、ホセ・カンテはFIFAの規定上フリーになったためと推察されます。
 
 ギアクマキス獲得が夢幻と終わり、そうこうしているうちに欧州主要リーグの移籍ウィンドウもクローズしてしまうという非常事態だったにも関わらず、浦和フットボール本部のリカバリーショットが意外に早かったのは高く評価されて然るべきでしょう。
 
 クラブの釣り書きでは「足下のテクニックがあり、攻撃の起点にもなれ、自らゴールを決めることも、アシストをして貢献することもできるマルチなストライカー。前線での守備的な貢献にも期待できる、経験豊かで、コンビネーションプレーも抜群の選手。」とあって、逆に「何が苦手なん???」と訝しくなるレベル。
 
 カンテは4/5ルヴァン杯川崎戦での途中投入で浦和での公式戦デビューを飾り、その後も後半途中投入の形で試運転を重ねた結果、ACL決勝では先任のリンセンやモーベルグを押しのけて3人の外国人枠を一角を得るまでスコルジャの信頼を勝ち取りました。
 
 ただシーズン開幕後の加入かつ過密日程が災いしてコンディションを上げるのが大変だったのか、カンテがコンスタントにリーグ戦でスタメン出場するようになったのは8月に入ってから。要するにリーグ戦も半分以上消化してからで、稼働期間が案外短かった(リーグ戦出場時間は興梠より短い!)のは惜しまれます。しかし、実質4ケ月程度の稼働期間の中でカンテが赤者に与えた印象は強烈でした。
 
 カンテと言えばとにかく「理不尽」。「まさか撃ってはこないだろう」という位置&タイミングでカンテが放つミドルシュートに一歩も動けなかったGKは数知れず。一応CFなもののボックス内でデンと構えるタイプではなく、結構サイドに流れがちなので相手DFも掴まえづらかったでしょう。
 
 またDFを背負ってポストプレーやハイボールでの競り合いはそんなに得意では無さげでしたが、半身で構えながらボールをキープするのは非常に得意(倒れているのにボールを奪われない謎芸も!)で、かつ周りもちゃんと使い(早川ですら「こいつは使える!!」と思ったら使い倒す柔軟さ)、さらに広範囲が見えているのでカウンターの中継点としても非常に役立ちました。おまけにスコルジャの求めに応じて2列目と連動しながらの前プレもさぼらずに敢行。実に有難いプレーヤーでした。クラブの釣り書きもあながち誇大表示ではなかったようです。

 カンテの最大の謎はたまに変なスイッチが入ってしまうこと。ぱっと見も言動も非常に温厚なのに、なぜか変なスイッチが入って一発レッドが2回。しかもその判定に対して主審に激昂するどころか一転して「賢者タイム」に入って主審に挨拶したり握手を求めたりする謎っぷり。まるで「北関東とは違うのだよ、北関東とは!!」と言わんばかり。
 
 そして何の予兆も、何の前触れもない、唐突の現役引退。別れ方まである意味「理不尽」でした。カンテが引退を決めた真相はおいおい各種媒体で報じられるでしょう。カンテの晩年のキャリアは「カイラト アルマトイ(カザフスタン)→滄州雄獅足球倶楽部(中国)→浦和レッズ(日本)」とどんどん地元スペインから遠ざかる一方だったので、ここで一区切りをつけて家族を大切にする道を選んだのかもしれません。
 
 短い間でしたが浦和のために全身全霊全力を尽くしていただきありがとうございました。そしてお疲れさまでした。

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アレックス シャルク選手 契約満了

 昨日(11/27)アレックス シャルク選手の契約満了が公表されました。
 
 シャルクは2022年3月にセルヴェットFC(スイス1部)から完全移籍加入。
 
 2022年シーズンを迎える前の浦和は縦横斜め、どこからどう見てもFWの頭数が不足しており、おまけに頼みのユンカーがグロインペイン症候群を患っていて2021年終盤から長期離脱。よってFWの補強は急務と目されていたものの、コロナ禍で新外国人選手の入国は長らく規制されていたので慌てて話をまとめても意味がないという難しい状況に置かれていました。
 
 そして3月になってFW獲得話がようやく話がまとまったのがシャルク。浦和の公式発表では「前線から献身的な守備もでき、得点能力も高い、左ワイドとトップが主戦場のストライカー。相手ディフェンスライン裏への飛び出し、ボックス内でのチャンスメークも期待。」というのがシャルクのウリ文句でした。

Schalk
 
 4/10FC東京戦終盤投入で浦和での公式戦デビューを飾ったのを皮切りに、その後に集中開催されたACLグループステージでリカはシャルクの最適な使い方を試行錯誤しまくり、6月初の天皇杯までスタメン出場を重ねていましたが、その後はめっきり出番が減ってしまいました。
 
 リカの試行錯誤過程ではっきりしたのはどう見てもCFタイプではないこと。かといってSHを任せるには守備が緩慢すぎ。正直リカが最適な使い方を見つけられずに時が流れたような印象を受けました。悪く言えばFB本部がリカの意向と擦り合わせないままパニックバイ的に採ってしまったようにも伺えました。
 
 そしてシャルクの難儀だったのは怪我がちなこと。ようやく怪我が癒えて柏戦でリーグ戦初ゴール後に熱い、熱いすぎる咆哮を見せたかと思うとまた故障。ちょっと調子が良くなって出番が与えられるとまた故障してしまう傾向は翌年も変わりませんでした。またスコルジャはリカよりさらに守備を重視するタイプなので、怪我とは関係なくシャルクの出番は限定的になってしまったのかもしれません。
 
 シャルクはなかなか出番が回って来なくても笑顔を絶やさず、リンセンとは舎弟関係にあるかのようにじゃれ合いながらも真面目に練習に取り組んでいたようで、誰からも「ナイスガイ」と評されました。ただ如何せんこの稼働率では今季限りでの契約満了は仕方ないでしょう。
 
 今季ホーム最終戦福岡戦で突然出番が回って来て、しかもゴールまで決めたシャルク。あのゴールがお別れの挨拶代わりになるのかどうか。まだまだ続くであろうシャルクのサッカー人生に幸あれ。
 

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