2024.12.09

【観戦記】24年第38節:浦和 0-0 新潟 ~ 誰も傷つかない超凡戦

 負けなければJ1残留が確定するので普段のスタイルを捨てて守りに徹した新潟を浦和は攻めあぐんだまま90分が徒過して試合終了。もう試合はなかったことにして最初から退団&引退セレモニーだけやれば良かったのに(苦笑)。

《スタメン》

 浦和は前節福岡戦から牲川→西川、佐藤→井上、小泉→グスタフソン、サンタナ→興梠とスタメン4名入れ替え。これまで出場機会が少なかった選手のお試し色が非常に強かった前節と比べ、最終節かつホームゲームなのでほぼ主力を揃えてきました。

 その中で唯一の例外が興梠のスタメン起用。今季限りで引退する興梠をなぜか前節福岡戦で後半途中から起用したので、「最終節で興梠をスタメン起用するための試運転か?」と個人的に邪推していましたが、その予感が見事的中!!

 ただ興梠が90分持つわけがないので途中でサンタナに代えるとも予想していましたが、なんとサンタナはベンチにすらおらず、今季限りで退団が決まっているリンセンがベンチ入り。うーーーーん、福岡戦でのあんまりなプレーぶりを見てサンタナは見限られた気配がムンムン・・・

 また興梠同様今季限りで引退する宇賀神がベンチ入り。怪我でもないのに前節・今節でベンチ入りすら出来なかった選手の去就が案じられます。特に中島。前節最後の最後で大失態を演じた本間はベンチに入れず、自分のゴールで恩義ある新潟に引導を渡せず。

 新潟は前節G大阪戦から小見→谷口、ゴメス→太田、星→宮本、橋本→堀米、稲村→早川となぜかスタメンを5名も変更。

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《試合展開》

 ビルドアップの巧さではJ1でもトップクラスの新潟がボールを支配し、浦和がカウンターで対抗する試合展開を思い描いた方がほとんどだったでしょうが、非常に意外なことに立ち上がりから浦和がボールを支配。しかもぞの構図は最後まで変わりませんでした。

 新潟はボールを支配している割には決め手を欠きがちなチームでゴール数はそれほど多くない反面、残留争いから最後まで抜け出せないチームらしく失点は多いのが特徴。この試合で負けなければ自力でJ1残留が決まるという状況なので、この試合は「普段のチームスタイルを捨てて守備に徹した=下手にボールを握ってカウンターを食らうのを避けた」のだろうと思いながら試合を見ていました。

 そして試合後の会見で「前半の入りから、それほど前へ奪いに行きませんでした。ミドルブロックを作るところを徹底されたと思うのですが、それは残留の条件を加味してか、それとも相手が浦和だったからなのでしょうか?」との記者の質問に対して松橋監督は「前者です」と明言(苦笑)。

 新潟がたいして前からプレスをかけてこないので、浦和の稚拙なビルドアップ能力でもボールを前に運ぶことには難渋しませんでしたが、そこから先が恐ろしいくらい何もなくて新潟の守備ブロックは微動だにせず。

 前半多少なりとも浦和にチャンスがあったのは7分渡邊FKが枠内を急襲した場面くらい。16分には縦パスを興梠が高い位置でキープし、原口→関根のパスを興梠がボックス内で受ける良い形を作りましたが興梠は新潟DFに囲まれてシュートを撃てず。

 そして案の定興梠は前半一杯も持たずに電池切れとなり、得意のボールキープもままならなくなって、ただでさえしょっぱい浦和の攻撃はますますシオシオに。およそ何も起こりそうにない戦況を見て、バックスタンドではハーフタイムを待たずにトイレへ向かう方がワラワラと現れる始末。

 ゆえに後半頭から興梠をリンセンに代えると予想しましたが、スコルジャは興梠劇場追加公演を決定。そして54分ハイボールに渡邊が競り勝ったのを契機に興梠スルーパス→原口の好機を作りましたが、原口は飛び出してきたGK小島を交わしきれず、こぼれ玉を拾った前田はシュートをDFにぶち当ててしまいました。

 新潟は57分に三枚替えを敢行し、長倉・ゴメス・小見と攻撃的な選手を一斉に投入しましたが攻勢に転じる様子はなく、依然として浦和にボールを持たせる策を遂行。63分には興梠劇場もついにフィナーレを迎え、浦和の面々どころか「磐田が負けている」との報が入った臭い新潟も余裕綽々で整列して興梠を見送る一幕も。

 浦和は71分グスタフソン→小泉、前田→石原、80分原口→二田、関根→宇賀神と代えるも全く戦況に変化はなく、新潟も83分左サイドからのクロスを受けて難しい体勢ながら長倉がなんとか放ったヘディングシュートがバーをヒットしたのが唯一の見せ場。超凡戦のスコアレスドローで試合終了。

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《総評》

 浦和のシュートは6本、新潟は4本。CKは5本対4本というスタッツ通りの超凡戦。ゴール期待値は共に限りなくゼロに近いだろうとおもっていましたが、DAZNのスタッツでは0.50対0.20と案外高めでした。あまりにも退屈な試合ゆえDAZNは試合ダイジェストの編集に困ったことでしょうし、実況&解説はエピソードトークで場を繋ぐしかなかったことでしょう(苦笑)。

 ビジター用の自由席&指定席では収まり切れず、メインアッパーの南半分を埋め尽くさんばかりに新潟サポが埼スタに押し寄せてきましたが、試合途中で18位磐田が降格が決まっている鳥栖相手に大敗しているとの報が新潟サポ間に行き渡っているせいか、試合終了後も「J1残留が決まって大歓声!!」にはほど遠い感じの盛り上がり。

 一方浦和ゴール裏からは試合終了後軽いブーイング。まぁそれも当然でしょう。特段守備に持ち味がある訳ではない新潟を攻めあぐんで、これといった決定機も作れないまま試合終了では。

 スコルジャもスコルジャで試合終了後「来シーズンにやろうとしているサッカーのことを考えると、それに合った特長のある選手を獲得しなければいけません。そして来季、レッズに最適な選手たちをそろえ、パフォーマンスを上げていきたいと思います。」と、「今季のこの面子ではやれることなんてたいしてないわなぁ」と言わんばかり。それも一理あるのですが・・・J1残留がスコルジャに課せられた今季唯一無二のタスクで、それ以外はもうどうでも良かったのかなぁ・・・

 この試合で数少ない良かった探しをすると、西川のポジションがいつもより高めで最終ラインも心なしか押し上がり、それゆえ前プレが思いのほかハマっていたこと。もっとも新潟が無理にボールを繋がずに「浦和にボールを渡していた」ことの裏返しかもしれませんが・・・

 とはいえ、ホーム最終節といえばここ数年悲惨極まりない試合が少なくなく、荒れに荒れそうになった埼スタを功労者の引退・退団セレモニーやクマさんキャップを被った「ショル子」投入でなんとかごまかして何事も有耶無耶にしがちだったことを思えば、何もないスコアレスドローで興梠&宇賀神を送り出せたのはかなりマシなほうだと考えるべきなのかも。

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《選手評等》

 失態続きでボロクソに言われても仕方がない、あんまりなシーズンを受けて浦和フロントを糾弾するダンマクが試合後ワラワラ出てくると予想したのですが、ゴール裏の反応は意外にも「黒字で満足しているのは誰?株主、クラブ、選手、サポーターの情熱なしに栄光なし」の一枚だけ。しかも「株主」だけちょっと太字になっています。

 サッカークラブは株式会社の形を取っているとはいえ営利企業ではないので、多額の黒字を計上して株主に還元する必要はありません。もっとも赤字続きでJリーグのライセンスに抵触してしまうのはお話にならないのでその辺のさじ加減は難しい(自然体だと赤字になりそうなところを親会社が広告料の形で補填してくれるクラブでない場合は特に)のですが、ショルツや酒井等の移籍で多額の移籍金を手にしているはずの浦和の今夏の金の使わなさっぷりは指弾されるのも当然でしょうなあ。

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-----興梠-----
原口---渡邊---前田
---安居--グスタフ---
長沼-マリウス--井上-関根
-----西川-----

(交代)
63分 興梠→リンセン
71分 グスタフソン→小泉(小泉トップ下、渡邊CHへ)
71分 前田→石原(石原右SB、関根右SHへ)
80分 原口→二田(二田右SH、長沼左SH、宇賀神左SBへ)
80分 関根→宇賀神

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-----小野-----
谷口--長谷川---太田
---宮本--秋山---
堀米-早川-舞行龍-藤原
-----小島-----

(交代)
57分 小野→長倉
57分 谷口→ゴメス
57分 太田→小見
90分 舞行龍→デン
90分 堀米→橋本

 

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2024.12.01

【DAZN観戦記】24年第37節:福岡 1-0 浦和 ~ この中で来季何人残っているだろう?

 非常にお試し色が強い選手起用だった割には善戦していましたが、ボールを持たされる展開が苦手なのは相変わらず。そして久しぶりに出場機会にも関わらず期待外れに終わる選手がゾロゾロ。

《スタメン》

 浦和は前節川崎戦後半のスタメンからなんと渡邊・安居・関根・マリウスを除く7名を入れ替え。サブも普段のスタメン級は井上と石原だけ。

 スコルジャは試合前の会見で「今までベンチスタートが多かった選手にプレーする機会を与えるチャンスでもあります」「少し勇気を持ったメンバー選びができる試合になります。トレーニングでいいパフォーマンスを見せている選手が何人もいます。そのような選手にJ1リーグでプレーする機会を与えたいと思っています」と公言していたので少なからずフレッシュな顔ぶれが並ぶことは予想されましたが、ここまで極端に入れ替えるとは全くの予想外。非常にお試し色が強いスタメン&ベンチ構成でした。

 一方福岡は前節C大阪戦から負傷したGK永石に代えて村上をスタメン起用した他、宮→井上と計2名入れ替え。また福岡はなんと11/9以来20日間以上公式試合をしていないようで・・・代表ウィークが挟まるせいでサッカー観戦向きの季節に試合がなく、酷暑&気候要因で中止の恐れがある夏季に過密日程というバカバカしさ。This is Jリーグ(苦笑)。

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《試合展開》

 福岡はいつものようにボールを捨てる作戦を徹底。とりあえず浦和にボールを持たせて前三人で浦和最終ライン&GKに強くプレスをかけてきましたが、浦和は福岡の前ハメを逆用するかのように適宜ロングボールを織り交ぜて中盤で浮いている選手にボールを付けてビルドアップ。これはこの試合の「良かった探し」に上げていいと思ったのですが、巧みに敵陣にボールを運んだところで、そそくさと自陣に戻って堅固な5-4-1の守備ブロックを形成する相手の前に手も足も出ず。全くといっていいほど最前線でボールキープできないサンタナのあんまりな残念さが浮き彫りに。

 そうこうしているうちに15分余裕をかましてボールを持ち運ぼうとしてなぜか急に足元不如意になってしまった佐藤がウェリントンに絡まれてボールロスト。ウエリントンのパスを受けた紺野が決定的なシュートを放つも枠を捉えきれず。その直後には前のロングフィードを受けた岩崎が左サイドからあっさり関根を交わしてシュートを放つもここは牲川ががっちりキャッチ。

 浦和は20分くらいからようやくボックス内に入り始め、29分関根のロングフィードを受けて右サイドを激走する前田の折り返しから渡邊に決定機が生まれましたが、シュートはバーの上。

 これでなんとか浦和が試合の流れを掴むかと思いきや、40分関根が重見にプレゼントパス。すかさずボール奪回に動いた渡邊も重見に競り負けてしまい、重見のパスを受けた紺野のミドルシュートが決まって福岡先制。渡邊は重見と交錯した後そのままうずくまってしまいましたが、重見のファウルは認定されず。

 なお重見は4分に一発レッドでも不思議はないサンタナへの足裏攻撃でイエローをもらっており、その後も再三のラフプレーで今にも退場しそうだったせいか、前半限りでお役御免。前半のうちに二枚目のイエローを提示して重見を退場させなかった上村主審の迷裁きが結果的にこの試合のあやに。

 先制した福岡はやるべきことが一層はっきりするようになり、再びボールを持たされる羽目に陥った浦和は前半終了間際に前田が右サイドからミドルシュートを放つのが精一杯。49分小泉縦パス→原口→前田の決定機はシュートが枠に飛ばず。59分長沼のパスをボックス内で小泉が収めて原口がシュートを放つも勢いがなくてGK村上が楽々キャッチ。

 スコルジャは64分サンタナ→興梠、前田→二田と2枚替えを敢行し、72分左サイドから原口クロス→ファーで二田ヘッドの良い形を作るも枠を捉えきれず。

 スコルジャは73分小泉→武田、原口→本間とさらに2枚代え。その後のオープンな試合展開は福岡の得手ではないと思いましたが、浦和も浦和でここまで一人でチームを成り立たせていた感があった渡邊の電池切れが顕著でどうにもならず。84分関根とのワンツーで渡邊がボックス内に突入するもシュートコースが制限されていたせいかシュートはGKが難なくキャッチ。

 それでも試合終了間際に佐藤のロングフィードをCB井上がクリアしきれずにボールが二田を直撃。ボールを拾った二田のクロスを中で本間が詰めるだけという絶好機が生まれましたが、なんと本間が詰め切れず!!!純然たる消化試合にも関わらず博多の森にわんさか詰めかけた赤者の目の前で起こった大惨事。あれには吉本新喜劇ばりに全員がずっこけたでしょうなぁ・・・

 そして最終節の相手はJ1残留が決まっていない状態で埼スタに乗り込んでくる新潟。絶好機を決められなかった本間は試合後泣いていたそうですが、その悔しさは新潟相手に断腸の思いでゴールを叩き込むことで晴らすしかないでしょうなぁ・・・

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《総評》

 「この中で来季の戦力構想に入れる、いやそれ以前に来季の契約を勝ち取れるのは誰かな?」と言わんばかりの選手構成だったので、この試合の出来不出来、さらには来季に繋がりそうだったかどうかを語ってもあまり意味はないでしょう。

 それでも前述のようにグスタフソンがいないにも関わらずビルドアップに難渋した感じを受けなかったことに加え、福岡がビルドアップを放棄するスタイルなのも手伝って浦和の前ハメが珍しく機能している印象を受けました。この両面にはGKが牲川に代わった効果があるのかもしれません。

 なお試合後スコルジャは「いい形での背後への供給がありませんでした」と嘆いていましたが、さすがにグスタフソン抜きのこの面子でそれをやるのはいくらなんでも無理じゃないかなぁ・・・渡邊や小泉が駆けずり回ってなんとかチームを支えていましたが共に後方から相手の急所を突くような球出しが出来るタイプではありません。強いて言えば武田が出来そうですが・・・

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《選手評等》

・選手選考会というかトライアウトと化した感のあった試合でしたが、正直がっかりさせられた選手がゾロゾロ。

・特に衝撃的だったのは最終節ホーム新潟戦を最後に引退する興梠のボールキープ能力が全く錆びついておらず、CFとしてはサンタナより遥かにマシと思われたこと。ただ今の興梠の辛さはもともと短時間で結果を出すスーパーサブタイプではないし、かといって頭から使うともはや前半すら持たないかもしれない点。だから今年限るでの引退は妥当な引き際とは思いますが、代わってスタメンで出ているサンタナのパフォーマンスがどう見ても興梠より下というのは極めて切ないのなんの・・・まぁサンタナにそもそもポストプレーなんて求めるのが無理なのでしょうが、それが出来ないCFをスコルジャは求めてないだろうからなぁ・・・FB本部が連れてきた選手と監督の好みがすれ違う例が多すぎてなぁ、何でか知らんけど。

・前田は開幕時の期待感がすっかり剥落してしまったなぁ。コンディション不良なのかドリブルで全然剥がせない上にミスも多い。右SHの控えで二田が優先されるのも納得。敵としては極めて面倒だったのに、味方になったらたいして頼りにならない選手が多すぎるような気がするんだよなぁ、浦和は(´・ω・`)ショボーン

・前田以上に原口がダメダメでした。ドイツで全然試合に出ていなかったのが祟ってこれまたコンディションが良くないのかもしれませんが、現状は試合に出すどころかベンチ入りさせたらあかんレベルかと。

・関根の右SBも限界。窮余の一策の域を出ない。石原の守備の怪しさを考えればここも補強ポイントでしょう。逆に長沼は良かったと思いました。復調の兆しが感じられた小泉共々この試合の良かった探し。

・そして佐藤・・・井上も似たような「やらかし系CB」ですがやらかしの頻度が違いすぎる・・・ひと試合で何回即死レベルの凡ミスをやらかすんや・・・

・結局のところショルツ・酒井・ソルバッケンと強力な駒がいなくなったポジションがそのまんま補強すべきポイントになってるってどんだけFB本部は夏にサボり倒したんや・・・またCFは誰も取れないのを恐れてサンタナで妥協したらやっぱり物足りなかった始末。でも今のFB本部にはもはや何の期待も出来ないからなぁ・・・

・なおレギュラー格でも怪我でもなく、まして退団が決まっている訳でもないのに、非常にお試し色が強かったこの試合でベンチ入りすら出来なかった選手の去就が気になります。大畑は火曜日にあった公開練習の時点で別メニューだったので無理に帯同させなかったのかもしれませんが、中島がベンチ入り出来なかったのは結構謎。守備は計算できないけれども負けている試合で何かを起こせるかもしれない「パルプンデ」な選手は本間で十分で中島は構想外なのかも。本間は本間でJ1ではプレー強度が物足りないと思いますが・・・

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-----サンタナ-----
原口---小泉---前田
---安居--渡邊---
長沼-マリウス--佐藤-関根
-----牲川-----

(交代)
64分 サンタナ→興梠
64分 前田→二田
73分 原口→本間
73分 小泉→武田(渡邊トップ下、武田CH)


-----ウェリントン----
--金森----紺野--
岩崎-前---重見-前嶋
--井上-田代-グローリ--
-----村上-----

(交代)
HT 重見→松岡
56分 ウェリントン→ザヘディ
56分 金森→佐藤
56分 紺野→ベン カリファ
90+3分 前嶋→亀川

※写真は試合とは全く関係ありません。

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2024.11.29

ブライアン リンセン選手 契約満了

 昨日(11/28)、ブライアン リンセン選手が契約満了に伴い今シーズン限りでチームを離れることが公表されました。

 リンセンは2022年6月27日にフェイエノールト(オランダ1部)からの完全移籍加入。当時の浦和にCFらしいCFはユンカーしかおらず、その頼みのユンカーはグロインペイン症候群を患っていてコンスタントな出場が見込めないという残念な状況に置かれていました。

 ただその後の西野TDの記者会見によると、リンセン獲得は2022年シーズンのあんまりな得点力不足、決定力不足を鑑みて慌てて探しにいった結果ではなく、その前年の夏から追い続けていたようです。

 リンセンは浦和に来る直前の2021-22シーズンで名門フェイエノールトで34試合中26試合に先発出場して13ゴール8アシストを記録。オランダ1部リーグキャリア通算では341試合108得点47アシストを記録しているバリバリの点取り屋。獲得時の浦和のウリ文句には「前への推進力・スピードがあり、テクニックも兼ね備えた得点力高いストライカー。周囲の選手を活かすプレーもでき、守備面での貢献も期待できる。」と頼もしげな言葉が並んでいました。

Linssen2024

 リンセンは7月23日のパリサンジェルマンとのプレシーズンマッチ、後半頭からの投入でついにベールを脱ぎましたが、右太もも裏を痛めて55分に途中交代。しかもこの故障は案外重くて復帰に時間を要してリンセンの再出場は10月に入ってからのわずか3試合の出場に留まりました。

 それでも個人的には2023年ACL決勝に間に合えばいいと楽観視し、スコルジャもリーグ開幕戦&第2戦でリンセンをスタメン出場させてその復活に大いに期待を寄せていた風でしたが、リンセンのコンディションはなかなか上がらず、この年の序盤のCFは大ベテランの興梠に託す羽目に。そして肝心のACL決勝は獲得したばかりでチームにフィットしているとは言い難いカンテが外国人枠に滑り込んでリンセンの出場は叶いませんでした。

 その後もなんだかんだとリンセンは故障がちで、2023年もコンスタントなベンチ入りはならず、断続的な出場、さらに過密日程下で思い出したようにスタメンで出る程度に留まりました。そしてこのシーズンのリンセンのリーグ戦出場はたった19試合(うちスタメン5)486分、得点2と同年開幕時にはCFとして絶対的な存在になると期待されていた割にはあまりにも寂しい結果に終わりました。

 2024年シーズンも相変わらず故障がちで、リンセンがコンスタントに試合に出始めたのは6月も半ばになってから。監督がスコルジャに代わってからはサンタナを押しのけてCFのファーストチョイスになった感がありましたが、それでもFC東京戦(9/21)で負傷してその後2試合離脱。うーーーん、日程スカスカでもやっぱり怪我をするのか・・・

 リンセンは結局今シーズンもリーグ戦出場はここまで16試合(うちスタメン11)815分、そして肝心のゴールはわずか2と、これでは130万ユーロもの移籍金を払って獲得した割には完全に期待外れの烙印を押されても仕方ないでしょう。しかも何かと故障がちな34歳なので、浦和が契約更新を見送ったのは当然でしょう。

 しかし、そんな残念な結果しか残せなかった割にリンセンを悪く言う向きが少ないのは、出場機会を得た時のリンセンの献身性を誰もが認めているからでしょう。それがどんなに空回りに終わっていようととも。「プレスバックをさぼらない」みたいな判りやすい献身的プレーだけでなく、相手DFをブロックして味方の得点を助けているみたいな「事実上のアシスト」みたいなプレーも多かったのではないかと。

 また得点は多くはありませんが、結構難しいゴールを決めていた気も。身長170cmとオランダ人にしてはえらく小柄なのにポジショニングがよほど良いのかヘディングで点を取っている辺りが印象に残っています。一方イージーに見えるゴールを往々にして・・・

 さらにリンセンが愛されたのはその明るいキャラクラー。同郷の舎弟シャルクや謎のコミュニケーション能力を有する明本とは特にウマがあったようで「兄貴」の愛称で親しまれました。全然出番が回ってこなくてもリンセンは練習に手を抜く素振りなんて全然なかった話もそこかしこから。

 それだけに「こんなに一生懸命やっている選手なんだから、なんとかゴールという形で報われてほしい」と思う方も少なくなかったようですが、現実は非情でした。そしてリンセンの不幸の始まりはやはりあのキレッキレの「出オチ芸」だったのでしょうなぁ。でも2年半ありがとうございました。

 

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エカニット パンヤ選手 期限付き移籍期間満了

 昨日(11/28)ムアントン ユナイテッド(タイ1部)より期限付き移籍で在籍していたエカニット パンヤ選手(愛称「ブック」)が同移籍期間の満了に伴い退団することが決まった旨が公表されました。

 ブックは2023年7月に浦和加入。浦和はムアントン ユナイテッドとパートナーシップ契約を結んでいる関係で、同年5月中旬から約2週間浦和の練習にチームメート2選手と参加し、そこで一定の評価を受けたのがブックの獲得に繋がったようです。

 当初の期限付き移籍期間は2023年12月31日までと短く、いかにも「お試し期間」っぽい感じの加入でした。悪く言えば単にタイ市場の開拓というビジネス優先の選手獲得と陰口を叩かれるのも仕方ない感じでしたが、過密日程に悩まされたスコルジャはACLグループリーグハノイ戦(H:10/4)でついにブックを途中投入。しかもいきなり得点も取る華々しい浦和デビューを遂げました。

 その後終盤の途中出場を続けながら、ACLグループリーグ浦項戦、そして続くリーグ戦神戸戦でついに立て続けにスタメン出場。さらにリーグ戦札幌戦、ACLグループリーグハノイ戦(A)でもスタメン出場して主力に近い位置づけとなり、期限付き移籍契約の延長を勝ち取って2024年シーズンも浦和で闘うことになりました。

 浦和で十分やれると手応えを感じたのか、ブックはヘグモ新体制となった浦和の沖縄キャンプに参加することを望んでアジア杯タイ代表招集を辞退。この行動には当然ながらタイ国内で非難囂囂だったようですが、浦和から観れば男気を感じるお話でした。

Panya2024

 しかしヘグモ体制下でのブックの出場機会はなかなか訪れず、ルヴァン杯2回戦鳥取戦でようやく途中出場。その後途中出場がしばらく続き、ルヴァン杯2回戦長崎戦でついにスタメン出場を果たしましたがヘグモの信頼を得るには至らず。リーグ戦湘南戦(7/4)でスタメン出場して前半限りでお役御免となったのが実質的に浦和での最後の出場になってしまいました。以後はベンチ入りも叶わず。

 ブックの最適ポジションは4-2-3-1のトップ下。過密日程&2023年夏の補強の目玉だったはずの中島が完全に期待外れに終わったことも手伝って、ブックはその年の終盤に得意のトップ下で活躍の場を得ました。狭い局面でちょこちょこ動き、スピードも結構ある点でいかにもタイ出身らしい選手でしたが、ブック本人も認めるように戦術理解にあやふやなところがあり、絶えず周囲をきょろきょろ見てて連動しようとする意識があるものの、やはりCFと連動してのプレスのかけ方に怪しさ満点でした。そして最大の難点はプレー強度の乏しさ。

 翌2024年ヘグモの基本フォーメーションは4-1-2-3でしたが、そのプレー強度の乏しさが祟ってかブックはしばらくベンチ入りすら出来ず。怪我人続出を受けて4月下旬になってようやく途中出場の機会を得たものの、全く適性がないWGでの起用ばかりで当然ながらこれといった活躍もできませんでした。

 スコルジャが浦和に戻ってきて基本フォーメーションは再び4-2-3-1に変わりましたが、前年と違って日程スカスカ、かつトップ下には渡邊が絶対的存在になっていたのでブックの出番はありませんでした。

 大失敗に終わった2023年夏の補強選手の中では出場機会があっただけマシという前向きな評価も出来ましょうが、総じて浦和でポジションを掴むにはちょっと力不足。チャナティップやスパチョークの域には遠く及びませんでした。宮本とそっくりで遠目には区別がつかないのが一番の思い出かも。1年半でしたがありがとうございました。

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2024.11.23

【観戦記】24年第28節:浦和 1-1 川崎 ~ 試合への取り組み姿勢が違いすぎて話にならず

 川崎は45分仕様のサッカーをしていたが、浦和は90分仕様のサッカーの前半で終わった。それに尽きましょう、この試合は。結果は引き分けですが気持ち的には負け試合。しかも「闘う前から負けている」ような試合でした。

《スタメン》

 8/24に行われた第28節ホーム川崎戦は雷雨の影響で前半のみで中止。そしてほぼ3ヶ月もの時を経て後半から試合再開。ただその間に浦和は監督が代わっている(というか、中断された川崎戦が結果的にヘグモ前監督の最後の試合になった)という珍妙な再開試合になってしまいました。

 後半から再開される試合なので出場選手にはいろいろと縛りがあって、基本的には試合中断時(=前半終了時)にピッチにいた選手が今試合の後半開始時にピッチへ立つことが義務付けられています。但し、中断している間に負傷等でこの試合に出られない選手がいる場合は代わりの選手を出場させることが出来、その交代は交代枠にはカウントされません。

 そこで浦和は横浜M戦&広島戦を欠場した大久保はちょっとした怪我orコンディション不良ではなく、なんと右膝半月板損傷で全治3ヶ月だった旨が試合前に公表され、代わって松尾が「スタメン」入り。空いたベンチにはサンタナが入りました。

 川崎は故障中の脇坂に代わって小林悠が「スタメン」に入り、ジェジエウがベンチ入り。

《前半》はこちら参照。底意地の悪いJリーグに「前半はなかった」ことにはされなかったので備忘録がそのまんま役に立ちました。

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《試合展開-後半》

 共にJ1残留決定済み&ACL圏入りの可能性もないという意味で「完全無欠の消化試合」だった点は同じ。ただ川崎は「とにかく1点取ろう!!」という判りやすい目標があったのに対し、浦和はこの試合の意味を見出し難かったのか、なんとなく試合に入ってしまったのが仇に。その「お気持ち」の差はプレー強度の差、球際に如実に表れたように伺えました。特に関根&石原が左SB三浦にいとも簡単に蹂躙されるのにはホトホト参りました。

 川崎の布陣は脇坂に代えて小林を入れた関係か、中断前の4-2-3-1ではなく4-4-2というか4-2-4にすら見える感じ。さらに川崎は試合時間が45分しかないことを見越して残り燃料を全く考えないかのように強烈な前プレを仕掛けてくるので、ただでさえビルドアップに難を抱えている今の浦和ではどうにもならず。一方浦和も一応積極的に前プレを仕掛けるものの、これが笑えるくらいにハマらない。

 当然ながら立ち上がりから浦和は防戦一方になり、55分川崎好位置でのFKからの流れで三浦クロス→小林ヘッドであっという間に同点に。

 川崎はこの後中3日でACLEアウェー・ブリーラム(タイ)戦を控えているせいか、「同点に追いついてとりあえず目標達成」といわんばかりに56分大島に代えて河原を投入。同点に追いついた川崎のプレス強度は一層鋭さを増し、64分には河原クロス→小林ヘッドと55分と酷似した形で決定機。その後も浦和は何度も川崎のボックス内への侵入を許し、最後の最後で凌ぎ切る場面が目立ちました。

 浦和がようやく反撃らしい反撃を始めたのは65分渡邊がシュートコースを探しに探して放ったシュートが枠内を急襲したところから。79分にはグスタフソンスルーパス→渡邊が右サイドを激走してボックス内でタメを作り、アーク付近で松尾がどフリーでシュートを放つ好機を作りましたが、残念ながらシュートはポストを直撃。そしてこの試合で浦和の見せ場はこれだけ。

 ACLEを控える川崎はサクサクと主力を下げる選手交代を連発。浦和も70分にリンセンに代えてサンタナを入れた上に82分に意図の判然としない3枚替えを敢行するなど、どちらも消化試合らしい「不要不急の交代」が目立ちましたが、最後まで川崎優勢の流れは変わることなくそのまま試合終了。

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《総評》

 川崎は45分仕様のサッカーをしていたが、浦和は90分仕様のサッカーの前半で終わった。それに尽きましょう、この試合は。結果は引き分けですが気持ち的には負け試合。しかも「闘う前から負けている」ような試合でした。

 個人的に今日の浦和はブーイングするほどでもないと感じたのは出来の悪い試合の前半そのもの=よくある光景だったから。「45分しかないんだから、その中でやれることをやれ!!」と期待する向きには当然不満が出ましょうし、それが自然な反応なのかもしれません。

 そして試合後会見でのスコルジャはあからさまに激怒。「本日のパフォーマンスは、我々のスタンダードを下回るものになってしまいました。あらゆる側面でそれが言えると思います。戦術的な規律もそうですし、メンタルの側面でもそうです」「姿勢やモチベーションのところだと思います。そこに改善の余地があると思います」「本日のメンタル面は、十分なレベルにあったとは言えません」とメンタル面の問題を嘆く言葉がズラズラっと並んでいます。「状況を変えようとする強い性格」を持っている選手もいるころはいるが、チーム全体としてはそうなっていないとも。

 「だからGKをキャプテンにするのは嫌やったんや!!!」とスコルジャの喉元まで出かかっていそうな言葉まではさすがにぐっと堪えて飲み込んでいましたが(苦笑)。

 浦和のメンタルの弱さは何もこの試合に限った話ではなく、「先制点を取られるとすぐにしゅんとなってしまう」等々今季随所に見受けられました。ショルツ・岩尾・酒井とキャプテンシーがある選手、チームを鼓舞し、良い影響を与えられる選手が一挙にいなくなった結果こんな脆弱なチームになってしまったのかもしれません。

 前ハメが一向にハマらない主因をメンタル面に求めるとは正直どうかと思いますが、スコルジャはFB本部にキャプテンタイプの選手の補強も要求するでしょうなぁ、この感じでは。

 そしてこの残念な試合を受けてスコルジャは「今までベンチスタートが多かった選手に出場の機会を与えることを、残りの2試合でやっていきたいと思います」と明言。

 それで良いとは思いますが、控え組を数多くスタメン起用すると当然ながら連携に難があったり、能力的にちょっと寂しい点もあるでしょうから、「気持ちが入っているのは判るが少々空回り」になるかもしれません。

 さらに最終節までに新潟の残留が確定していないようなら、J1残留を賭けて全身全霊&一心不乱の境地で冥府魔道の道を行く新潟にホームでボコられる覚悟が必要でしょうなぁ・・・

 最終節終了後恒例のスピーチ。今季特段の非がない浦和社長はなんら非難される謂れはないと思いますが、別途FB本部の挨拶があるとは思えないので赤者的には怒りのやり場がないという展開になりそう・・・そして全てを有耶無耶にする興梠の引退挨拶&スタジアム周回・・・

《選手評等》

・試合中に公表された観客数は35,188人。どう見ても3万人もいない客入りだったので盛大な集計ミスをやらかしたのか??と思ったのですが、後刻クラブから「再開試合の観客数は20,214人」との発表がありました。ただ第28節全体の公式入場者数は中断前の観客数=35,188人になるようです。

Kawasaki2411004


《後半開始時の布陣》

-----リンセン-----
松尾---渡邊---関根
---安居--グスタフ---
大畑-マリウス--井上-石原
-----西川-----

(得点)
23分 渡邊

(交代)
70分 リンセン→サンタナ
83分 関根→中島
83分 大畑→長沼
83分 安居→二田

Kawasaki2411005

---山田--小林---
マルシ-ニョ-------家長
---大島--橘田---
三浦-車屋--佐々木-際
-----ソンリョン-----


(得点)
55分 小林

(交代)
56分 大島→河原
73分 マルシーニョ→遠野
81分 ファンウェルメスケルケン→ジェジエウ
81分 山田→エリソン

 

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2024.11.11

【観戦記】24年第36節:浦和 3-0 広島 ~ 自力でJ1残留決定!!

 最終スコアとは裏腹に非常に際どい勝利でしたが勝ちは勝ち。格上相手になんとか勝機を見出すスコルジャらしさ全開で、浦和はなんとか自力でJ1残留を決めました。

《スタメン》

 前節横浜M戦から10日以上試合間隔が開いている浦和のスタメンは前節出場停止だったマリウスがスタメンに復帰した他、大畑→長沼と2枚入れ替え。ベンチに武田と前田が入って小泉・二田がベンチ外に。

 また試合前の記者会見で大久保・大畑・本間3人が別メニューだったのが明るみに出ましたが、3選手ともベンチならず。

 一方広島はACL2アウェーシドニー戦から中2日という超遠距離移動を伴う超強行日程。ただシドニー戦ではスタメンをフルターンオーバーしていたので、中2日の連闘は大迫と塩谷のみ。リーグ戦前節京都戦と比べるとパシエンシア→塩谷の1名入れ替えのみ。

Hirosima2411001

《試合展開》

 残留争いにどっぷり浸かった浦和と18位磐田との勝ち点差は8。浦和は広島戦に勝てば自力でJ1残留決定、引き分けでも磐田との得失点差を考えればほぼ残留確定という立場。

 しかし新スタジアムでの優勝がかかっている広島のほうがお気持ちで勝ったのか、浦和の試合の入りは最悪。試合開始早々マリウスが松本泰にあっさり交わされて決定機を与えたのを皮切りに、広島得意のクロス攻撃を浴びまくって3分にはマリウスのクリアボールを拾った中野の際どいシュートを浴びる始末。

 浦和がなんとかボールを奪ってもマンツーマンでハメにくる広島の強烈なプレスを交わしきれず、結局ロングボールを蹴らされてボールを相手に渡すの繰り返し。球際でも負けまくってどちらが中二日か判らないありさまで広島のクロス攻撃を浴び続けただけでなく、おまけにつまらないファウルを犯して好位置でのFKを与えたり、どフリーで枠内にミドルシュートを撃たれたりとなんで無失点で済んでいるのか摩訶不思議としかいいようがない惨状を呈し続けました。

 しかし、試合開始から飛ばしに飛ばしてきた広島が早々にガス欠模様になって前プレがハマらなくなり、中盤スカスカの様相を呈しだしたのが仇となって、ここまでボコボコにされていた浦和にも好機が。43分安居→リンセン→渡邊と見事なパス回しで広島のプレス網を剥がしてからの関根のシュートは中野が寄せたのもあってわずかに枠外。

 続く45分石原のロングフィードを渡邊が収めたところから始まるロングカウンターで関根のクロスをカットしようとしたCB中野がまさかの空振り(爆笑)。良い体勢でボールをプレゼントされた松尾のシュートが決まって劣勢だった浦和が先制!!

 後半になると広島のガス欠が顕著になって浦和が大攻勢。広島の前プレの強度がガタ落ちになっただけでなく、球際でも浦和が優勢に転じ、セカンドボールを浦和が拾う場面が増え始めました。ところが47分松尾クロス→ファーで関根のシュートはGK大迫にぶつけてしまい、49分突如カットインした石原のミドルシュートはバーを直撃。さらに49分松尾クロス→リンセンヘッドは大迫が辛うじてセーブ。大迫の奮戦があったとはいえ、今後は浦和が好機を活かしきれない展開に。

 劣勢に陥った広島は52分新井に代えてパシエンシアを投入するも試合の流れを変えることはできず、56分佐々木を巧みに交わした関根のサイドチェンジ→松尾の超高速クロス(本人はシュートだと力説w)をリンセンがヘッドで合わせて浦和に待望の追加点!!

 ところが広島も死んではいない。59分全くプレッシャーを受けることなくボールを繋いでアルスラン→加藤の決定機はなぜか枠外。さらに65分スルーパスで浦和最終ライン裏に飛び出した加藤の絶好機はこれまたなぜかシュートが枠外。加藤は59分の決定機逸の際に足が攣ったような素振りを見せており、それが65分の決定機逸の遠因なのかも。ただこの時間帯の浦和の守備のスカスカっぷりはなんだったのか・・・押し込まれないと守れないのか。今の浦和は・・・この試合での最大の反省点だと思いました。

 広島は66分東→柏、松本泰→満田と代えて反撃を試みるもやはりシュートが枠に飛ばず。クロス攻撃は浦和DFにボックス内で淡々とはじき返されるばかり。

 スコルジャは76分リンセン→サンタナ、関根→前田、さらに80分松尾→原口とお疲れの選手を順次交代。広島は最後の交代で外国人FWを最前線にズラズラ並べる力技に出るも、そこに高精度のクロスが送れず。多少なりとも可能性があったのは82分ソリティウのミドルシュートくらい。

 そして86分自陣深い位置でのサンタナボール奪取を契機に浦和のロングカウンターが炸裂。前田のラストパスを受けた原口が待望の浦和復帰初ゴールを決めて事実上勝負あり。

 ATにも広島は猛攻を見せるも、CKからのソリティウのシュートがポストを叩いたり、武田がゴールライン上でクリアしたりしてどうしても1点が奪えずに試合終了。

Hirosima2411002

《総評》

 スコア上は3-0で浦和の完勝。しかしシュート数12対23。CK数1対13という数値がはっきりと示すように浦和が劣勢の時間帯が長かったのは確か。

 スコルジャが「本日の試合の立ち上がりは、あまりよくありませんでした。サンフレッチェ広島が立ち上がりに非常に強いプレスをかけることは分かっていましたし、予測していたものでしたが、それがあまりにも強く、我々がゲームマネジメントをできない状況になっていました。」と述懐するように、広島が圧倒的に優勢だった序盤に先制していれば、スコアは逆だったかもしれません。

 また浦和が攻勢に転じた後半も加藤の決定機逸×2に助けられての勝利だったのも否めず、スコアとは裏腹に非常に際どい勝利だったと思います。

 ただDAZNのスタッツでは枠内シュートは8対12とシュート数ほど差はなく、この辺がシュート数やCK数からは想像できない最終スコアになってしまった主因なのでしょう。広島はシュートを撃ちまくったが西川を脅かすようなシュートはあんまり撃てなかった。広島の敗因はそれに尽きましょう。

 残念ながら今の実力は広島が圧倒的に上。10回やったら半分以上は負けるくらい実力差がありましょう。ただこの試合の広島は日程面でかなり不利。そこでコンディションの差が如実に出る後半勝負に持ち込んで勝機を見出すあたりが「格上相手になんとか勝機を見出すのが得意」なスコルジャらしさ。

 もっとも実際の試合展開はスコルジャも認める通り、序盤想定以上に広島にボコボコにされた訳ですが、その圧倒的に劣勢だった時間帯をなんとか凌ぎ切った。そして予想通りに広島がお疲れから緩みだした時間帯に浦和が先制。しかも相手DFの凡ミスに乗じて点を取る辺りはあのACL決勝アルヒラル戦を彷彿させるものがありました。

 そして得点は3点ともPKでも理不尽でもなく、終始前がかりなので後方が空きがちになる広島の弱点を突いたカウンターでスコルジャの狙い通りの形。特に2点目は後方からのビルドアップが実ったもので、スコルジャも一際嬉しそう。3点目はサンタナ、前田、原口と途中投入の選手が絡みまくったものですし、ATはこれまた途中投入の武田のスーパークリアもあってサブの選手を含めてチームに一体感が出てきたことにもスコルジャは手ごたえを感じているようです。

 リーグ最終盤で最大の強敵と目された広島相手に内容はどうあれ結果は完勝。冒頭に述べた通り広島戦の勝利で浦和は3試合を残してJ1残留決定。監督就任後まさかの4連敗を喫してここまで残留争いにどっぷり浸かる羽目になるとはスコルジャも予想しなかったでしょうが、これで安心して来季へ向けての仕込みに取り掛かることが出来ましょう。

 日程がスカスカすぎて主力を休ませる意味合いは全くありませんが(苦笑)、残り三試合は来季の戦力見極めを兼ねてこれまで出場機会の少なかった選手を起用するかもしれませんし、今季限りで興梠への餞の場を設けてくれるかもしれません。言い換えれば残り3試合で出場機会がない選手はオフにいなくなる覚悟が必要でしょうなぁ。

 また浦和は一つ勝って残留争いから抜け出しただけでトップハーフでシーズンを終えるのが現実味を帯びてくる(といってもせいぜい9位ですが)って、ボトムハーフはどんだけ団子レースなんや(苦笑)

Hirosima2411005


《選手評等》

・大畑に代わって左SBにスタメン起用された長沼。手薄なSBでの起用を想定しての長沼獲得と思っていたのにSHでしか起用されないのでSBとして何か致命的な問題があるのかな?と邪推していたのですが、ほとんど破綻なし。この出来なら渡邊を無理やり左SBに転用する必要はもうないでしょう。というか、2列目に渡邊がいないと攻撃がなりたたないのですが。

・この週の浦和は奇しくも男女ともホーム広島戦。対広島で連勝はともかく、メンズのほうが点差がつくなんて予想した方はほとんどいないでしょうなぁ。浦和との連戦を掛け持ち観戦する方も結構いたのかレディースの試合は出島が大入りでしたし、メンズもビジター自由席どころかメインアッパーのビジター指定までパンパンに埋まっていましたが、合計勝ち点6をプレゼントしていただき、誠にありがとうございました。

・ただスポーツ報知の話によると広島戦のチケット総発券数は48,726枚だったのに対し、入場者数は42,076人しかおらず、天気が悪かったわけでもないのにノーショーの多さが気になりました。

・小屋主審のファウルの基準は正直よくわからなかったのですが、後半浦和が敵陣左隅でボールを回すのを邪魔しまくったのを見て「この主審は広島の工作員や!!」って確信!!でもリンセンはええ加減Jリーグの笛の基準に慣れないとなぁ。学習能力がないのは浦和にありがちなアレですが・・・

・松尾の先制点の後、広島ベンチがなぜか激怒しているのが現地では不可解でなりませんでしたが、どうも途中で渡邊のハンド疑惑があった模様。ただ轡田さんの解説によると「自分の体にボールが当たった後のアクシデンタルハンドボールは直後に得点が発生した場合を除いて反則になりません。」とのこと。主審はVARと交信していたようでもあり、ノーファウルは妥当なのでしょう。たぶん。

Hirosima2411003
-----リンセン-----
松尾---渡邊---関根
---安居--グスタフ---
長沼-マリウス--井上-石原
-----西川-----

(得点)
45分 松尾
56分 リンセン
86分 原口

(交代)
76分 リンセン→サンタナ
76分 関根→前田
80分 松尾→原口
89分 渡邊→中島
89分 グスタフソン→武田

Hirosima2411004

-----加藤-----
--アルスラン----松本泰-
東--川辺--塩谷-新井
-佐々木-荒木--中野-
-----大迫-----

(交代)
52分 新井→パシエンシア
66分 東→柏
66分 松本泰→満田
80分 塩谷→ソティリウ
80分 川辺→ヴィエイラ

 

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2024.10.31

【DAZN観戦記】24年第35節:横浜M 0-0 浦和 ~ スコルジャ名物「スコアレスドロー」復活

 日程面の優位を全く活かせなかったのは残念でしたが、J1残留のために必要な勝ち点1を確保し「最低限の結果は残した」と前向きに評価していいでしょう。

《スタメン》

 浦和はイエロー累積で出場停止のマリウスに代わって佐藤がスタメン入りした他、大久保に代わって関根がスタメン復帰。大久保はなぜかいきなりベンチ外になり、小泉と二田がベンチ入り。

 横浜Mは吹田での天皇杯準決勝の敗戦から中2日という厳しい日程で、天皇杯から植中→西村、山根→小池、永戸→加藤聖、畠中→エドゥアルド、松原→加藤蓮と5名スタメン入れ替え。厳しい日程を受けて前目をあまり入れ替えずに最終ラインを中心に後ろのほうを入れ替えたのが傍目には不思議。

 なお喜田、エウベル、ポープ・ウィリアムはベンチ外で故障中の模様。

Yokohama011

《試合展開》

 浦和の布陣はいつもの4-2-3-1でしたが、最終ラインで左CB佐藤、右CB井上といつもとは逆の配置になっていたのが目を惹きました。

 試合開始早々関根と交錯した右SB加藤蓮が傷んで、6分天野と交代。CHに入っていた小池が本職の右SBに回り、天野がCHへ。

 横浜Mに対して浦和は盛んに前からプレスをかけるものの、これが追えども追えども笑えるくらいに全くハマらず。また浦和はボールを奪ったらまるでボールを捨てるかのようにロングボールを蹴ってしまう場面が多く、当然ながらボールは立ち上がりから横浜Mが一方的に支配。

 しかし最初に決定機を作ったのは浦和。13分井上のロングフィードに反応した松尾が左サイドを駆け抜けて横浜Mの高い最終ラインを抜け出し、その折り返しをファーで渡邊が詰めて浦和先制と思われたものの、VAR判定で松尾がわずかにオフサイド。

 「プレーに関与したかどうか」みたいな主審の主観が入る余地がないオフサイドだったのでケチのつけようがないのですが、DAZNのVAR判定映像を見てもオフサイドなのかどうかよく判らないくらいギリギリのオフサイドだった模様。そして立ち上がりから浦和がボールを捨てまくっていたのはこれが狙いだったのかと判ったので、その後の試合は生暖かい目で見られるようになりました。

 横浜Mはボールを支配するもののこれといった決定機を作れませんでしたが、26分小池の縦パスを受けた西村がCB井上を吹き飛ばしてボックス内に突入。しかしシュートはなぜか枠を捉えきれず。

 40分を過ぎるとようやく浦和がボールを握って横浜Mを自陣に押し込む展開が見られ始め、45+5分には佐藤縦パス→松尾ポスト→渡邊スルーパス→リンセンが上島を交わして裏抜けに成功する決定機を作りましたが、GK飯倉の飛び出しが効いてシュートコースが制限されたせいか、リンセンのシュートはわずかにポストの左に外れてしまいました。

 横浜Mは後半頭から上島→渡邊と怪我でもないのになぜかCBを交代。これが良くなかったのか、52分ついに浦和の前プレがハマってアーク付近で安居が天野からボール奪取。こぼれ玉を拾ったリンセンに決定機が生まれたがシュートはやや弱くて飯倉が難なくセーブ。その直後には自陣にまで引いてボールを受けようとしたロペスを井上が潰し、そのまま自らボールを運んでシュートを放つ珍事も。

 63分関根→原口、リンセン→サンタナ、65分マテウス→水沼、井上→宮市と双方前目を代えて勝負に出ましたがたが相対的に選手交代の効果があったのは横浜Mのほう。特にスピードがある宮市投入の効果が大きく、74分には石原を振り切った宮市のクロス→ファーで水沼折り返し→ロペスはシュートを撃てずに加藤聖に託す決定機を作りましたが、加藤聖のシュートは大畑がゴールライン上でブロック。81分には水沼アーリークロス→宮市ヘッドの良い形を作りましたが、石原に付かれてまでヘッドを決める能力は宮市にはなさげ。

 一方後半途中からのサンタナ&原口投入はスコルジャのゲームプラン通りだったと思われますが、共に全くと言っていいほど機能せず。特にフレッシュな選手を投入したのにリンセンがいた時よりも前プレの強度が却って落ちてしまうのには苦笑するしかありませんでした。

 そこでスコルジャは82分に松尾→二田、石原→中島と代え、渡邊を右SBへ配転する奇策を敢行。観戦時には渡邊を右SBに下げたのは宮市対策か?と思ったのですが、試合後の会見によると両SBとも足を攣っていたとのこと。

 86分には浦和が相手を自陣に押し込んで大畑シュートをブロックされたところからカウンターを浴びてしまいましたが、佐藤が必死に駆け戻ってシュートコースを制限したのが多少効いたのか、ロペスのシュートは西川ががっちりキャッチ。

 浦和の終盤唯一のチャンスは88分、左SHに転じていた原口がカットインからクロス→二田ヘッドで折り返し→中でサンタナが詰めてついに先制!!と思いきや、二田がわずかにオフサイド。これまたDAZNのVAR判定映像を見てもオフサイドなのかどうかよく判らないくらいギリギリのオフサイドだった模様。二田の腕がオフラインから大きくはみ出していますが、腕はオフサイドには関係ないので。

 ATは5分もありましたが、双方ヘロヘロで何の見せ場もなく、そのままスコアレスで試合終了。

Yokohama012

《総評》

 試合後横浜Mの監督が「試合の振り返りを言わせていただく前に、まずはこのスケジュールをなぜコントロールしていただけないのか、J1で成績を残しているこのチームに対して、なぜ我々が水曜日に戦わなければいけないのか、金曜日でも土曜日でもよかったのではないか」と盛大に吠えています。昨年似たような超過密日程を強いられた浦和も全く同じ思いですが、こんなことは浦和がいくら吠えてもJリーグにもJFAにも全く聞いてもらえないので、横浜Mからどんどん吠えてほしいものです。

 それはさておき、吹田での天皇杯準決勝で延長戦を含めて120分闘って、しかも負けるというこれ以上ない悲惨な状況から中2日だった横浜Mに浦和は勝てませんでした。しかも押しまくったもののシュート精度を欠いたみたいなスコアレスドローではなく、どちらも決定機が少ないという試合内容通りのスコアレスドローで。

 試合後スコルジャが「ハイプレスの中で、相手がGKにボールを下げたとき、十分に効果的なプレスがかかりませんでした。」と嘆く通り、浦和は笑えるレベルでハマらない前プレで消耗。しかもいとも簡単にボールを捨てまくる時間帯が長くて、ボールを握る時間帯をなかなか作れなかったので消耗が激しく、両SBやグスタフソンなど足を攣る選手が続出。そして消耗の激しさゆえにスコルジャの選手交代も迷いがあったようで、結局浦和は日程面での優位をほとんど活かせませんでした。

 どう見てもスコルジャは後半勝負なんだろうな、と思いながら試合をみていたら後半はさらにダメダメだったという虚無感。この試合で浦和が一番可能性があったのは結局前半40分くらいから横浜Mを押し込みだした時間帯でリンセンのシュートがゴールに一番近かったということか・・・

 それでも同じように日程面で優位だったにも関わらずホームでなんら見せ場なく負けてしまった第33節C大阪戦よりはずっとマシな試合。C大阪戦同様マリウスを欠く試合でしたが、流れの中から相手に与えた決定機は少なく、また懸案のセットプレーの守備も危なげなし。攻めてはギリギリのオフサイドで得点ならずが2回と、前半終了間際のリンセンの決定機逸と全く見せ場がなかったわけではなく、しかも全て偶発的なものではない辺りにほんのり明かりが見えた気もする試合でした。

 そしてこの時期もはや内容なんてどうでも良くて、J1残留のために必要な勝ち点1を確保したことだけでも「最低限の結果は残した」と前向きに評価していいでしょう。柏戦で一つ勝った後にまた負けて、長いトンネルを抜けたと思ったらまたトンネルに入る「新神戸駅状態」にならずに済んだとも言えましょう。

 マリウスを欠いた状態でも守備にはある程度目途が立って、負けにくいチームにはなった。あとは数少ない決定機を一つ決めるだけ。理不尽なFWがいないのが惜しまれますが、昨年と比べるとすっかりしょぼくなった手駒でもちょっとずつ昨年のスコルジャ仕様に戻りつつあるようです。

Yokohama010

《選手評等》

・頼みのマリウスが欠場。共に「やらかし系CB」の井上&佐藤のコンビが心配でなりませんでしたが、左佐藤&右井上という過去実戦経験のない形が意外に奏功。守備で「チャレンジ&カバー」がしっかり出来ているだけでなく、自分でちょっと持ち運ぶとか、くさびの縦パスやロングフィードという+αも垣間見られました。これがこの試合最大の「良かった探し」かも。

・試合終了間際、タッチ際で傷んでいる二田を「立て!!」と言わんばかりに抱え起こしている渡邊のキャプテンシーには泣けた。でもその後も二田は痛そうにしてました(つД`)

・ついに原口が往年の得意ポジション=左WGに配されましたが、88分の「幻のゴール」の起点となったのが唯一の見せ場で、後はいかにも身体が重そうでキレもなくて良いところなし。試合終了間際には実にしょーもないボールロストでカウンターを食らいかかる失態もあって、正直この状態でベンチ入りしているほうが不思議なくらい。如何せんドイツで試合に出ていなかったので今はコンディションが劣悪なのでしょうし、来季の再起に賭けるしかなさそう。

・原口の出来が壊滅的だったのは心底がっかりしましたが、関根も褒められたもんじゃないなぁ。スコルジャは大久保を欠いたのを嘆いているでしょうなぁ、たぶん。

・DAZN解説は残念極まりないあの方。ちょっと浦和の良い時間帯が続くと黙り込んでしまうって「駅伝解説の瀬古」かよ!!リンセンの働きっぷりをあの方は全然評価してないようですが、FW観がめっちゃ古いんでしょうなぁ。まぁリンセンはもうちょっと点取れよとは思いますが、スコルジャの評価基準なら守備面での貢献をも加味してリンセン>サンタナは当然でしょう。もっとも試合内容は12位と13位の試合に相応しいものでしたから、解説に水沼パパなんて求めるのは無理があって、クソみたいな解説者しか来ないのは仕方ないか・・・

・期待値がものすごく低いせいでもあるけど、この試合の池内主審の出来ならJリーグならかなりマシなほうかと。横浜Mに怪我人が二人も出てしまいましたが、共にラフプレーの結果ではありませんし。どちらも「強度という名のラフプレー」をかましてくるチームではないと池内主審でもなんとかなったみたいな良い笛でした。

Yokohama013

-----リンセン-----
松尾---渡邊---関根
---安居--グスタフ---
大畑-佐藤--井上-石原
-----西川-----

(交代)
63分 関根→原口(原口トップ下、渡邊右SHへ)
63分 リンセン→サンタナ
82分 石原→中島(中島トップ下、原口左SH、渡邊右SBへ)
82分 松尾→二田(二田右SHへ)

Yokohama014

井上---アンロペ---ヤンマテ
-----西村-----
---渡辺--小池---
聖-エドゥアル--上島--蓮
-----飯倉-----

(交代)
6分  加藤蓮→天野(負傷による交代。天野CH、小池右SBへ)
HT 上島→渡邊
65分 マテウス→水沼
65分 井上→宮市
88分 天野→山根(負傷による交代)

※写真は試合とは全く関係ありません。

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2024.10.24

【DAZN観戦記】24年第25節:浦和 1-0 柏 ~ これが「神の手」なのか!!

 終盤の浦和の猛攻(従来自社製品比)が実って、最後の最後でPKをゲット。そして自分が放ったシュートでPKを獲得したサンタナがPKも決めて浦和が辛勝。欲しくて欲しくてたまらなかった勝ち点3を手にしました。

《スタメン》

 荒天のため順延になっていた第25節柏戦。順延になった時点ではまさかこの一戦が残留争いに大きく関係する大一番になるなんて予想だにしませんでしたが・・・

 共に前節から中3日。ここまでリーグ戦4連敗中の浦和は原口→グスタフソン、小泉→リンセン、関根→大久保とスタメン3名入れ替え。前節「何日か前に少し風邪の影響があり、体力的な不安もありました」との話で前半途中で交代を余儀なくされた小泉はいきなりベンチ外になり、代わって中島がベンチ入り。

 一方、直近4試合は1勝3分と戦績に底入れ感が出てきた柏は前節と全く同じスタメン。守備が格段に良くなっているせいか、犬飼はベンチスタートが続いている模様。

《試合展開》

 試合の入りはやや柏ペースサイドから2トップ目掛けてクロスという攻撃の形をしっかり持っている柏に対して浦和は防戦一方になり、なんとかボールを奪っても全く前に繋げない。特に西川は簡単に相手にボールを渡してしまうようなロングキックを繰り返して前節から続く絶望感を掻き立てていました。

 しかし前節と違ってCHにグスタフソンを起用した甲斐があって、柏の2トップに対してグスタフソンが浦和最終ラインに降りることで数的優位を確保。そしてグスタフソンがしばしば縦パスを突きさすことでなんとかボールが前に進み始め、柏を自陣に押し込む時間帯も増えてきました。

 22分にはグスタフソンが展開→左サイドから大畑クロス→渡邊シュートはブロックされ、こぼれ玉を拾ったリンセンのシュートも枠外とこの試合初めて良い形。さらに33分ショートカウンターからグスタフソンがアーリークロス→ファーでわずかに松尾に合いませんでしたが、可能性を感じさせる形を作りました。

 40分石原がクリア態勢に入っているCB古賀に遅れて突っ込んでしまう、いかにも湘南育ちらしい残念なお気持ち全開プレーでイエロー。ただでさえ石原はサヴィオ&ジエゴに対峙して守備が大変なのにしょーもないイエローをもらって怯んでしまったのか、その直後にボックス内で木下にあっさり裏を取られてヒヤリ。45分にはマリウスの対応が緩慢で木下に決定機を許してしまいましたが、ここはマリウスが駆け戻って自分で自分の尻を拭く格好に。

 柏は後半から小屋松に代えて山田を投入。観戦時にはその意図は判然としませんでしたが、試合後の井原監督の会見によると「まずは前線からの守備のところで、相手が3枚になって動かしたときにグスタフソン選手からの縦パスをかなり入れられていたので、そこの修正をすること」と関連しているのかも。

 スコルジャも「流れの中で、前半の半分が過ぎた頃から相手も対応するようになってきましたので、4-4-2のビルドアップを少し変えてもよかったと思います」と同じ指摘をしており、この柏の策がハマって試合は再びやや柏ペースに。58分には前に出た石原がジエゴにあっさり止められてカウンターを食らい、単騎ドリブルを仕掛けるサヴィオをグスタフソンもいとも簡単に交わされるピンチがありましたが、幸いにもサヴィオのシュートは大きく枠を逸れました。

 59分には西川ゴールキックをリンセンなどが敵陣で競り合い、こぼれ玉を拾った渡邊→アーク付近からリンセンシュートというこの日最初の決定機を作りましたが、シュートが立田に当たってわずかにディフレクトしながらもGK松本が好セーブ。

 浦和は67分大久保→関根、リンセン→サンタナ、75分松尾→中島、グスタフソン→原口と代え、柏は80分手塚→熊坂、木下→フロートと代えましたが、双方プレスが効かなくなって陣形がルーズになってオープンな展開になる中で交代が相対的に効いていたのは浦和のほう。浦和が球際で競り勝つ場面が増え始め、なんだかんだと柏を自陣に押し込みだし、ブロックされてしまうものが目立ったもののシュートもバンバン撃ちだしました。

 とはいえ試合内容的にはスコアレスドローが妥当。勝ち点1を確保してJ1残留へ向けてちょっとだけ前進かな?と思っていた90+6分ボックス内で関根折り返しに反応したサンタナが無理な体勢から無理やりシュートを放ったところ、これがCB立田が高々と上げている手を直撃。福島主審は見逃してしましたが、VARがちゃんと見ていてOFRの結果PKに。サンタナPKの方向はGKに完全に読まれていましたが、上方に蹴っているのが効いてPKは成功。埼スタに狂乱が渦巻く中、その直後に試合終了。

Santana2410

《総評》

 勝ち点39で並ぶ16位浦和と17位柏。降格圏18位磐田との勝ち点差は4しかなく、降格圏転落寸前の順位にいる者同士の一戦。勝ち点は同じながら如何せん浦和はリーグ戦4連敗中だったので降格圏へ転落する可能性は柏よりも高く、それだけにチームの危機感も高かったと思います。

 もはや内容なんてどうでもいい。勝ち点3なら万々歳だが、最悪勝ち点1を積み上げて磐田との勝ち点差をわずかでも広げられればそれでも良い。あのPKまでそう思っていました。

 ところが終盤の浦和の猛攻(従来自社製品比)が実って、最後の最後でPKをゲット。そして自分が放ったシュートでPKを獲得したサンタナがPKも決めて浦和が辛勝。欲しくて欲しくてたまらなかった勝ち点3を手にしました。

 あのPKの瞬間、状況的にどうしても「博多の森のマルシオPK」がフラッシュバックしました。浦和在籍時は「ブラジル人らしくない悩みやすいネガティブ気質」が災いして期待外れに終わったマルシオでしたが、あの博多の森のPKを決めただけでマルシオは個人的に神になりました。ありがとう、マルシオ。そしてこの試合のサンタナもそれに匹敵しましょう。ありがとう、サンタナ。あんなにプレッシャーのかかるPKを良く決めてくれました。

 そして終わってみれば「堅く守ってPKを拾って勝つ」という2023スコルジャ式そのまんまの形で勝利。石原&大久保が残念で右サイドの守備はかなり怪しげでしたが、西川の好守で辛うじて凌ぐ決定機を柏にはなんだかんだと一度も与えませんでした。柏はクロス攻撃というはっきりとした攻めの形を持っている分、攻撃面では浦和よりはマシと思いますが、手口がそれ一辺倒なのでスコルジャから見れば対策が立てやすかったのかも。また課題のセットプレーの守備も48分CKからニアで立田ヘッドを許したくらいで大過なし。

 これまた課題のビルドアップはグスタフソンの個人能力で無理やり解決。グスタフソンはまだ90分使えないようですが、グスタフソンを下げざるを得ない試合終盤は相手の陣形もスカスカになっているので原口でも大過なし。

 相手との力関係もありましょうが、壊滅的な出来だった前節東京V戦と比べると勝ち点1が拾える試合内容だっただけずっとマシ。しかも存外の勝ち点3を得たので万々歳といっていいでしょう。

 浦和は一つ勝っただけで一気に12位にまで浮上。18位磐田との勝ち点差が7に広がり、さらに浦和より2試合消化が多く、かつ直近の戦績も良くなく、しかも得失点差がダントツに悪い新潟が浦和より下(16位)にいるのは残留へ向けて心強い材料です。まだまだ予断は許しませんが、とにかくJ1残留へ向けて大きな一勝でした。

《選手評等》

・立田が取られたPK。スタメン犬飼だったらあんな不用意なPKはなかったもしれんなあ・・・

・この試合はなんだかんだと26000人も来たのか!平日ACLにありがちなことですが、ほわっとした4万人より頭がおかしいとしか思えない2万人くらいの入りのほうが往々にして埼スタは狂うんだよなぁ。あのPKが決まった後の狂乱ぶりが目に浮かぶわ。すぐに試合が終わってよかった。

Reds_20241024101401


-----リンセン-----
松尾---渡邊--大久保
---安居--グスタフ---
大畑-マリウス--井上-石原
-----西川-----

(得点)
90+10分 サンタナ(PK)

(交代)
67分 大久保→関根
67分 リンセン→サンタナ
75分 松尾→中島
75分 グスタフソン→原口
90+3分 大畑→長沼

---木下--細谷---
サヴィオ-------小屋松
---手塚--白井---
ジエゴ-古賀--立田-関根
-----松本-----


(交代)
HT 小屋松→山田
80分 手塚→熊坂
80分 木下→フロート

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2024.10.20

【DAZN観戦記】24年第34節:東京V 2-1 浦和 ~ 虚無、ただただ虚無

 スコルジャなら中断期間に多少なりともチームを立て直してくれるだろうと淡い期待を抱いていましたが、蓋を開けてみればチームの惨状に何の変わりもありませんでした。

《スタメン》

 浦和は前節C大阪戦からサンタナ→小泉、大久保→石原、佐藤→マリウスとスタメン3名入れ替え。

 サブにリンセンとグスタフソンが戻って二田と前田と中島がベンチ外に。

 試合前の会見でスコルジャは「ケガによって土曜日の紅白戦にマリウスは出場することができませんでしたが、今週はトレーニングに合流して東京V戦に向けて準備しています。サミュエルとブライアンも怪我によって紅白戦でプレーしませんでしたが、彼らも今週は復帰しています。」と語っていましたが、結局故障明けを無理使いしたのはマリウスだけ。ただそのマリウスの怪我が最も重そうなのですが・・・

 東京Vのスタメンは前節湘南戦から山田楓→山田剛、山見→見木とスタメン2名入れ替え。山田楓はなぜかいきなりベンチ外に。その理由はDAZNでは全く触れられず。

 なお前回対戦時の東京Vの基本フォーメーションは4-4-2でしたが、第15節町田戦で0-5のボロ負けを喫したのを契機に3-4-2-1へ転換。その効果はすぐには出ませんでしたが、DAZNの解説林氏の見立てでは守備が格段に安定したとのこと。その甲斐あって直近鹿島・柏・札幌・鳥栖相手に4連勝。ただこのフォーメーションでは染野の使い道がなくなったとも林氏は語っていました。

《試合展開》

 東京Vは立ち上がり基本5-4-1でミドルゾーンに構えていましたが、次第に前からの圧力を強めてきたため浦和はビルドアップに四苦八苦。思い出したように縦ポンで松尾を東京V最終ライン裏へ走らせるだけに終始して、しかもそれは全く実らず。

 浦和があまりにもしょぼすぎるため当然早い時間帯から東京Vが優勢になり、7分ドリブルで無理やりボールを運ぼうとした小泉がボールロスト→左サイドから翁長がどフリーでアーリークロス→ほぼフリーの山田剛ヘッドがバーを直撃!!

 10分森田スルーパスを受けた木村の折り返しが中に飛び込んだ山田剛に合いそうになりましたが、ここはなんとかマリウスがカバー。

 その後も4-4-2で中を締める浦和の守備ブロックが東京Vの3-4-2-1の両WBを掴まえられずにサイドからクロス攻撃を浴びまくるという、このフォーメーション同士の対戦でよくある構図が続き、浦和はなんとかシュートをブロックしまくって凌ぐ情けない展開に。スコルジャは試合後「東京Vの運動量によって、特にサイドでのマネジメントが難しかったと思います。」と語っていましたが、この辺の惨状を指していたのかどうか。

 支離滅裂な贔屓目で見れば、相手にシュートを撃たせてその跳ね返りからのカウンターを狙っていたのでは?いわば「肉を切らせて骨を断つ」みたいな捨て身の戦法を取っていたと伺えるくらいに浦和はやられ続けました。

 あんまりな惨状にスコルジャは小泉に代えて大久保投入を準備していたところ、27分高い位置で松尾が齋藤からボール奪取。こぼれ玉を拾った渡邊がアーク付近からミドルシュートをぶち込んで大劣勢だった浦和が先制!!

 しかしその後も浦和の劣勢は全く変わらず、スコルジャはとうとう39分消えっぱなしだった小泉に代えて大久保を投入し、大久保を右SHに配してサイドの守備をテコ入れ。その甲斐あってか後半松尾が縦パスを収めたところからしっかりボールを敵陣で繋いで関根のシュートで終わる見せ場も。しかし全体としては後半頭から山田剛に代えて山見投入した東京Vが依然優勢。

 そして59分相手CKからカウンターに転じようとしたところで渡邊が自陣深い位置でファウル。そして東京Vの素早いリスタートへの浦和の対応が遅れて右サイドに谷口にどフリーで走りこまれ、その折り返しこそなんとかクリアしたものの、こぼれ球を綱島にぶちこまれてとうとう同点に。綱島はこれがJ1初ゴール。

 スコルジャも試合後「またセットプレーのところで集中力が切れて、失点してしまいました。」と嘆くこと然り。あれだけクロスなりシュートなりを浴び続けていると「遠い位置でのFKなら安心」とばかりにぼーーーーっとしてしまうのかも。「肉を切らせて骨を断つ」つもりでやっていたのに、相手の太刀筋からうっかり目を離してしまうのが今の浦和・・・

 スコルジャは70分関根→リンセン、原口→サンタナと代えて布陣も4-4-2に変えてはみましたが、なんせビルドアップがロクに出来ないことに変わりはないので、リンセンもサンタナもほとんど意味なし。

 そして76分山見CKから綱島にフリーでヘッドを叩き込まれる大失態でついに逆転を許してしまいました。浦和のCK守備は完全なゾーン守備を止めてゾーン守備とマンツーマンの併用に変わっていましたが、後方から走り込んできた綱島には誰も付いておらず。飛び込まれたゾーンの位置的には井上は何をしてたん??という話になりましょうが。

 とにかく点が入る可能性が感じれない浦和は79分松尾→グスタフソン、大畑→長沼と交代。後方から広範囲へ配給できるグスタフソン投入の効果は絶大で、ボールがようやく前に進みだし、東京Vを自陣深くに押し込めるようになりましたが、それでも決定機は86分グスタフソン→リンセンヘッドがあっただけ。目立ったけが人もVAR介入もなかったのに西村主審のご慈悲でATは6分もありましたが、何事もなく試合終了。

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《総評》

 勝負事なので「浦和もそれなりに最善を尽くしたんだが、相手が一枚上だった」とか「内容では上回っていたのだが、ただ運がなかった」とかであれば諦めもつくし、次に期待しようという気にもなれます。しかし、残念ながら浦和の負けっぷりは何一つ希望を見出すことが出来ない絶望感たっぷりな負けっぷりでした。

 昨年のスコルジャは連戦また連戦でまとまった練習時間が取れず、攻撃面、特にビルドアップを改善しようにも改善する時間がなかったんだと思い込んでいました。ゆえに代表ウィークを挟んで2週間ぶりの公式戦=東京V戦では「叩き一変!」とばかりに変身した浦和を拝めるとばかり思っていました。

 スコルジャも試合前「この2週間でたくさんの修正をしてきましたが、メインはビルドアップでした。守備の面ではハイプレスとセットプレーをメインに行ってきました。あとは全体的なゲームのマネジメントだと思います。」と自信満々に語っていました。

 ところが蓋を開けてみたらビルドアップもハイプレスもセットプレー守備も全く良くなっていないとは!!!これがこの試合で感じた絶望感の所以でしょう。それにしてもこんなに改善の兆しすら見られないとはなぁ・・・

 解説林氏に徹底的にダメ出しされる「最終ラインに降りたがる原口」。ビルドアップはこれを何とかしないともうダメでしょうなぁ。グスタフソンが90分使えれば何とかなるのかも、と夢を見させてくれた最後の10分でしたが・・・ 岩尾が去り、グスタフソンも故障がちで後方から配給できる系のCHが全くいない惨状ではスコルジャも2週間ではどうにもならないのかも。

 またこの試合でスコルジャ残念と思ったのは小泉の早期交代。試合後「小泉佳穂選手は何日か前に少し風邪の影響があり、体力的な不安もありましたので、彼との交代になりました」と語っていましたが、そんな状態の選手を使わないといけないくらい小泉は絶対的な選手でもなんでもないでしょうに。消化した4試合で中島や前田、二田は全く使い物にならないと判断した結果なのかもしれませんが。

 それにしても荒天で延期になっていた次節柏戦がまさかJ1残留をかけた大一番になってしまうとはなぁ・・・

《選手評等》

・原口もスコルジャも「このタイミング逃したら二度と手に入らんかも!」というノリでFB本部が手を出したら、どちらも裏目に出てしまう。そして本当に必要なもの(CH)は買ってないという、身に覚えがある方がごまんといそうな買い物下手!!原口の補強って全く意味がないどころか、スタメンで試合に出すこと自体がもはや悪手になってしまうとはなぁ・・・

・サンタナとリンセンは一緒に練習する機会が少なすぎるのかなぁ?何なんだ、あの肝心な場面での被りっぷりは??全然スタイルが違うFWなのになぜ被る???

・DAZN解説林氏に浦和の稚拙すぎるビルドアップをボロクソに言われ続けるのは結構辛かったが、嫌味ではなく本当のことを言っているだけなので腹は立ちませんでした。またあの方と違って不快感がないのは「こうした方がマシなのでは?」と現有戦力を踏まえての改善策を織り交ぜてたからかも。「どーせロクなビルドアップなんて出来ないんだからリンセンとサンタナ並べて放り込め!」みたいな。とにかくあんまりな浦和の惨状を努めて冷静に解説していただきありがとうございました。

・共にラフプレーが少なかった(一番ヤバかったのは松尾が翁長と交錯して翁長が傷んだ場面か)せいもあってか、西村主審は相対的にマシなことを再確認。

Hansei_20241020083401
-----松尾-----
関根---小泉---渡邊
---安居--原口---
大畑-マリウス--井上-石原
-----西川-----

(得点)
27分 渡邊

(交代)
39分 小泉→大久保(大久保右SH、渡邊トップ下へ)
70分 原口→サンタナ(4-4-2気味にして、松尾左SH、渡邊CHへ)
70分 関根→リンセン
79分 松尾→グスタフソン(グスタフソンCH、渡邊左SHへ)
79分 大畑→長沼


-----木村-----
--見木----山田剛-
翁長-森田--齋藤-宮原
-谷口--千田--綱島-
-----マテウス-----

(得点)
59分 綱島
76分 綱島

(交代)
HT 山田剛→山見
68分 齋藤→染野
82分 木村→松村
89分 山見→稲見
89分 翁長→松橋

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2024.10.06

【観戦記】24年第33節:浦和 0-1 C大阪 ~ 浦和絶望工場

 スコルジャ→ヘグモの継承も、ヘグモ→スコルジャの継承もどちらも失敗。しかもスコルジャは選手が代わりすぎていて前回の再現も出来ないという大惨事。これが浦和絶望工場か・・・ 

《スタメン》

 浦和のスタメンは前節神戸戦で佐々木に頭部を蹴られて負傷(右眼窩壁骨折、鼻骨骨折で全治4週間)したマリウスに代わって佐藤が入った他、長沼に代えて松尾を起用。

 前田がベンチ入りしたのはともかく、グスタフソンがベンチ外だったのには心底驚きましたが、試合後の会見によれば「先週から膝に少し問題を抱えていて、2日前にメディカルからストップがかかり、この試合に起用することはできませんでした」とのこと。

 浦和は週央に試合がなかった一方、C大阪は天候不順のために延期されていた「大阪ダービー」を水曜日にこなしてからの中2日だったにも関わらず、スタメンは全く変わらず。

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《試合展開》

 浦和の布陣はいつもの4-2-3-1でしたが、なんと原口がトップ下で渡邊がCHに落ちる配置だったのには驚きました。グスタフソンにドクターストップがかかったのが試合の2日前だったのでグスタフソンがいない前提での練習なんてロクにしていないでしょうけど、この配置はどう見ても失敗でした。

 C大阪は小菊監督就任来一貫して採用していた4-4-2を最近放棄したらしく、守備時は非常にはっきりした5-2-3。ただガンガン前からプレスをかけてくるスタイルは依然と変わらず。

 これに対して浦和はビルドアップに四苦八苦。いかにも試合勘なさげな佐藤は仕方ないと思いましたが、井上があんなにおっかなびっくりとはなぁ。そして西川に戻したところで往々にしてボールを投げ捨てるかのように前に蹴るだけ。渡邊に預けたところで渡邊は小さなスペースでくるっと前を向いてボールを散らせるタイプではないし・・・というか渡邊は全くCH向きではないというのは町田戦で実証済だったのではという疑惑が沸々と・・・そしてなんとかボールを前方へ運んだところで、今後は相手の5-4-1の守備ブロックに手も足も出ず。

 C大阪も守備は完璧でしたが攻撃のしょぼさは浦和と大差なく、浦和の前プレに対してビルドアップに苦労。大外をWBがえぐる形が垣間見られるだけ浦和よりマシといった感じでした。

 何事も起こりそうにないまま試合は進んでいましたが、先制したのはC大阪。17分フェルナンデスCK→ファーでどフリーの為田の右足ボレーが炸裂!!ゾーンの外にいる選手にやられるのはいかにもCK時のゾーン守備の典型的なやられ方ですが、神戸戦ではニア、C大阪戦はファーと原理的には同じやられ方でがっかり。しかも神戸戦ではサンタナが一応武藤に競ろうとはしていましたが、この試合では為田が完全にどフリーと症状はより悪化。

 今の浦和はとにかくもうメンタル弱々で先制されるとすぐに動揺してしまうのはFC東京戦と全く同じ。ビルドアップが一層不安定になり、22分には西川のキックが直接フェルナンデスに渡る大失態。そこから生じたレオセアラのシュートは西川がセーブして事なきを得ましたが、その後の流れで佐藤がレオセアラを後方から引っかけているような場面があって場内騒然。上田主審はVARと交信の末にノーファウルと判定しましたが、あのPKを取られていたらその時点で事実上試合終了でした。

 24分には西川・佐藤・井上の「黒ひげ爆弾三勇士」が織りなすビビりまくりのビルドアップが無理やり渡邊へボールを預けたところで渡邊のトラップが流れてフェルナンデスに取られそうになり、渡邊はやむなくフェルナンデスを削って当然イエローカード。何一つ良いところがなかったこの試合の中でも最も闇が深かったのはこの時間帯でしょう。あまりにも攻撃が成り立たなさすぎて、最前線で孤立しているサンタナは苛立ちを隠しきれず。

 前半のあんまりな酷さを受けてスコルジャは原口をCHに下げただけでなく、布陣を4-4-2気味に変更。渡邊を左SH、松尾をFWへと配置換え。しかも試合後のスコルジャ弁によると「ウイングのポジションの取り方も少し変えました。前半はサイドに張っていましたが、後半はより内側のハーフスペースを使うように指示しました。」とのこと。

 この一連の修正は多少効果があってボールがゴールへ向かって進むようになりCKや好位置でのFKも取れるようになりましたが、依然シュートは撃てず。

 63分大久保→前田、76分原口→小泉、松尾→中島と代えては見ましたが、C大阪も中2日を考慮して同じタイミングで前目の選手を交代して運動量確保に努めたのが奏功してか、浦和はC大阪を自陣に押し込み続けているだけで決定機は作れず。

 それでもC大阪最終ラインの裏へ抜ける形が何度も見られるようになり、82分前田→渡邊ミドルが枠内を強襲するもここはキム・ジンヒョンが難なくセーブ。さらに85分前田縦パス→インナーラップしてボックス内に突入した関根が折り返し→小泉が合わせるもCB進藤が辛うじてブロックしてゴールならず。

 ATは浦和陣内深い位置で時間稼ぎのボールキープを図るC大阪からボールを奪えず、なんとかスローインを得たと思ったら前に運べないという、観客に「笛が鳴る前に帰ってもええで」と言わんばかりの残念さを見せつけて何事もなく試合終了。

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《総評》

 攻撃がほとんど体をなさず、とにかく先制点を取られるとどうにもならないのが現状。神戸はともかく、どう見てもたいして強そうには見えないFC東京やC大阪に対してホームで完封負けするとはなぁ・・・スコルジャは最初の4試合でなりふり構わず勝ち点を稼いで、その後は来年へ向けてのチーム作りに充てる算段でしたが、そのプランは完全崩壊。もはや目先のこと=J1残留だけで精一杯になってしまいました。

 スコルジャ→ヘグモの継承も、ヘグモ→スコルジャの継承もどちらも失敗。しかもスコルジャは選手が代わりすぎていて前回の再現も出来ないという大惨事。これが浦和絶望工場か・・・

 シーズン途中、しかも夏の移籍ウィンドウが閉まった後という妙なタイミングで監督を代えたのがこうも祟るとは!! スコルジャは「チームのベストなセットアップ、ベストな形を見つけていきたいと思っています。4試合プレーしたところでデータも蓄積してきていますので、スタッフ全員でしっかりと分析しながら、今後の2週間で準備していきたいと思います」と語っていましたが、たった9ヶ月浦和を離れていた間に主力選手が大量に流出してしまったために昨年の経験をほとんど活かせず、チームの現状把握から始めている模様。

 「選手たちも、いろいろな特長の選手たちがいますので、どの選手が今起用できるのか、というところも一つのポイントになってきます。」と語っているのも同じ趣旨でしょう。

 次節東京V戦まで代表ウィークで2週間空きますが、スコルジャは重点強化ポイントとしてビルドアップを挙げています。まぁこんな試合を見た後だとそうなるのも道理でしょうが、ヘグモの数少ない遺産だった「ビルドアップの巧さ」がこうも簡単に雲散霧消するとはなぁ・・・

 守備は「守備のシステムが崩壊しての失点はなかったと思います。個人のミスなどが原因でした」と総括していますが、セットプレーで構造的にそっくりなやられ方(ゾーンの外にいる選手にやられる)をしている=浦和の弱点として相手にバレバレなところの修正はどうなっているのか気になります。

 なおこの試合でビルドアップに苦労し、82分まで攻撃に見るべきものがなかったのは間違いなくグスタフソンの欠場が主因でしょう。岩尾と敦樹が移籍したにも関わらず、夏にCHを取らなかったのがここで痛手になるとは!!そして既に過剰気味のサイドアタッカーにまたしてもロクにベンチ入りも出来ない状態の選手を取ってくるというFB本部の残念さ。「FB本部の残念さ」なんて試合評の中で語っても仕方ない、一年を通じての評価として語るべき話でしょうが・・・

 FB本部を作って社長は経営に専念させるという仕組みづくりは間違っていないし。実際浦和の経営面はめっちゃ良くなっていますが、2020年に発足したFB本部がとにかく人材難でこの5年間たいして機能してないのは明白。

 初年度は「謎すぎる大槻監督続投」で始まって案の定1年間を棒に振り、リカ~スコルジャの3年間はコロナ禍による経営難という不運もあって補強の大半を「J2オールスターズ」でお茶を濁したのは仕方ないとしても、2年続いて「ロクなFWがいないまま開幕を迎える」大失態。そしてスコルジャの夏は補強に失敗。

 ショルツや酒井、マリウスといった大当たりの補強もあるのでまるでダメだった訳ではありませんが、総じて西野氏がいる時期からFB本部のパフォーマンスは結構怪しげで、今季西野トンズラ後さらに酷くなった感じがします。

 FB本部が「こんなサッカーをやりたい」という大方針を立て、その方針に沿った監督を選び、その方針に沿った選手を揃えて監督に頑張ってもらう。その理想は崇高ですが、実際は「やりたいサッカー」は結構ブレているように思え、監督はコロコロ代わり、しかも補強はうまく行かずに監督のニーズとはズレた選手がゴロゴロするありさま。

 これってコロコロ代わる監督のニーズに合わせて選手を揃えた結果「不揃いの林檎たち」になってしまった「ミシャ後」と結果的に大差ないような・・・

 良い仕組みを作っても、それが機能するかどうかは所詮人の問題で、もうここは浦和OBに拘るのなんか止めて外部人材登用をしないと無理じゃないかなぁ?もっともそんな決断を浦和が出来るとも思えないですが・・・

《選手評等》

・こんなに双方に見どころがない試合もなかなかない。DAZN解説水沼もさぞかし言葉に詰まったことでしょう。もっとも解説があの方だと浦和へのダメ出しと愚痴で楽しそうに90分持ったかもしれませんが(苦笑)。

Cosaka2410001

-----サンタナ-----
松尾---原口--大久保
---安居--渡邊---
大畑-井上--佐藤-関根
-----西川-----

(交代)
63分 大久保→前田
76分 原口→小泉(小泉左SH、渡邊CHへ)
76分 松尾→中島
86分 渡邊→二田(二田FW、中島左SH、小泉CHへ)
86分 関根→石原

Cosaka2410002

-----レオセアラ-----
-フェルナンデス---北野--
為田-喜田--奥埜-阪田
-西尾--田中--進藤-
-----ジンヒョン----

(得点)
17分 為田

(交代)
64分 フェルナンデス→カピシャーバ
64分 北野→上門
76分 レオ セアラ→山﨑
89分 為田→鳥海
89分 阪田→奥田

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