2024.12.28

佐藤瑶大選手 名古屋グランパスへ完全移籍

 本日(12/28)、佐藤瑶大選手の名古屋グランパスへの完全移籍が公表されました。

 佐藤の移籍話が明るみになったのは割と最近で、12/26になって日刊と報知が「名古屋が浦和DF佐藤瑶大を獲得することが決定的になった」とほぼ同じ書きぶりの記事を出したばかり。それからさほど日を置かずに正式発表の運びとなりました。

 佐藤は昨年末にガンバ大阪から浦和へ完全移籍。浦和にはショルツ&マリウスというJリーグでは突き抜けたレベルのCBが揃っており、しかも2024年の浦和はACLがないどころか天皇杯もなくて日程スカスカなので、ショルツないしマリウスが故障でもしない限りなかなか出場する機会は早々巡ってこないと思われるにも関わらず浦和でのチャレンジを選んでくれた佐藤には敬意しかありません。

 ところがショルツが第3節札幌戦(3/10)で故障してしまったため佐藤の出番は予想外に早く、それからショルツ復帰までの約1ヶ月間佐藤はCBでスタメン出場を続けました。

 佐藤の浦和デビュー時の評判は上々で、特に空中戦の強さやロングフィードの巧さには目を惹くものがあり、「よくこのレベルの選手を連れてきてくれた!」と絶賛されていました。

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 ところがルヴァン杯2回戦鳥取戦(4/24)でボール処理を誤ってなんと相手にボールをプレゼントする大失態から失点。これが佐藤の転落の始まりで、結構ポカが多い選手という見られがちになってしまいました。

 それでもショルツが突然退団したために佐藤はスタメン出場を続けましたが、アウェー京都戦(7/14)で突然ベンチ外になったのを契機に井上との立場が逆転。京都戦後の会見で「佐藤瑶大は昨日・今日と体調不良で発熱もあり、メンバー入りすることができませんでした」とヘグモは語っていましたが、その試合以降ヘグモは井上をスタメンで使い続け、後任のスコルジャもマリウスに出場停止等のアクシデントがない限り佐藤を使うことはありませんでした。

 井上もアウェー鳥栖戦での失態(ヘッドでのバックパスがあまりにも緩すぎてヒアンに拾われる)に象徴されるように割とポカが多い選手なのですが、佐藤の「最後の追試」と目された第33節アウェー福岡戦で即死級の凡ミス連発を見ると、「佐藤はもはや試合で使えるレベルではない」とスコルジャに判断されるのも仕方ないでしょう。

 またやたら人に食いついてポジションを空けがちなプレースタイルもスコルジャのようにゾーンディフェンスを仕込もうとするチームよりも長谷川監督のような一人一殺系のチームのほうが佐藤には合っていると思います。ただその肝心の一対一でやらかしてしまうのですが・・・

 プロサッカー選手として出場機会が何より大事とはいえ、たった1年で再び完全移籍の形で浦和を去ってしまうのはかなり残念に思います。特に佐藤本人が「小さいころから埼玉スタジアムや駒場スタジアムへ応援しに行っていた憧れのチームであり、何より昔からずっとプレーしたいと思っていたチーム」だと語っているならなおさら。

 ともあれ、一年間ありがとうございました。

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堀内陽太選手 栃木SCへ育成型期限付き移籍

 昨日(12/27)堀内陽太選手(20歳)の栃木SCへの育成型期限付き移籍が公表されました。

 堀内は2023年に浦和ユースからトップ昇格。しかしその年の出番は超過密日程だったにも関わらずルヴァン杯1試合たった4分のみ。

 ACLどころか天皇杯もなくて日程スカスカだった2024年の出番はリーグ戦3試合計36分、ルヴァン杯1試合12分のみに留まってしまいました。また監督がスコルジャに代わってからはベンチ入りすら出来なくなってしまいました。

 浦和は来季もスコルジャ続投が決まっているので、堀内の出番が極めて限られているのはほぼ確実。またJ1ではホームグロウン選手を4人以上抱える義務がありますが、浦和は宇賀神と武田の退団が決まっていてもなお原口・関根・松尾・照内と少なくとも4人確保済みなので堀内のレンタル移籍に踏み切ったものと目されます。

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 ユース時代は背番号10を背負うCHでキャプテン。大いに将来を嘱望されたのでしょうが、決して層が厚いとは言い難いCHでポジションを掴めませんでした。

 J2どころかJ3にすら降格制度が出来たせいか、何の実績もない若手をホイホイと受け入れてくれるクラブも少なくなり、厳しく言えば堀内は受け入れ先が見つかっただけでも幸いなのかも。

 浦和ユースから直接トップへ昇格した選手の行く末は非常にはっきりしていて、大成する選手は加入後1~2年目で早くもトップで出番を掴んでいます。逆にそこで出番がなかった選手はレンタルに出されてそれっきり。堀内のコメントからも自分が置かれている状況が極めて厳しいことを自覚している様子が伺われますが、なんとか精進して欲しいものです。

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2024.12.18

武田英寿選手 ベガルタ仙台へ完全移籍

 本日(12/18)、武田英寿選手のベガルタ仙台への完全移籍が公表されました。

 武田の移籍話は事前の噂レベルですらなく、今朝仙台の地方紙「河北新報」にいきなり登場。それから半日も経たないうちに正式発表の運びとなりました。

 武田は昨年末に水戸ホーリーホックへの育成型期限付き移籍から復帰してわずか1年しか浦和に在籍せず、あっさり仙台への完全移籍になってしまったので驚かれた方も少なくないようです。

 武田は2020年に青森山田高校から浦和に加入。その年はほとんど出番がなく、リーグ戦では大槻監督の退任も決まって純然たる消化試合と化した最後の3試合でようやく出番を得るに留まりました。
 
 しかし2021年は一転して終盤投入ながらも開幕戦から出場機会を掴み、第7節鹿島戦で突如採用した4-1-4-1というか武藤ゼロトップシステムのIHの一角でスタメン出場して大暴れ。ところが第9節徳島戦で試合開始早々負傷退場を余儀なくされたのがケチのつけ始め。今にして思えばこの怪我が武田のキャリアに大きく響いたかもしれません。

 武田が長い武者修行の旅に出たのは2021年7月末から。武田は琉球ではリーグ戦15試合に出場し、うちスタメン12試合とそれなりに期待され、2ゴールと結果も出しましたが、後半早い時間帯に代えられてしまうケースが非常に多くて出場時間は計909分に留まりました。
 
 そこで翌年近場の大宮へレンタル先を変更しましたが、これが泥船に乗せたような恰好になってしまって大失敗。リーグ戦31試合に出場したもののスタメン出場は15試合に留まり、終盤の短時間出場に留まる試合が目立つようになった結果、出場時間は1402分と一試合あたりの出番は前年より減ってしまいました。
 
 さすがに泥船に乗せたままなのは拙いと思ったのか、2023年はレンタル先を水戸へ変更。水戸からのオファーは2022年にもあって2年越しのオファーが実ったようですが、濱崎監督のもとで武田の才能がついに開花。リーグ戦38試合に出場し、うちスタメン出場35試合。フル出場も一気に増えて出場時間も2981分と一気に伸びて水戸の鉄板レギュラーに上り詰めました。

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 そして今年ようやく満を持して浦和へ戻ってきましたが、残念ながら天皇杯がない不運もあって武田の出番は少なく、リーグ戦14試合計405分(うちスタメン4試合)、カップ戦2試合に留まりました。またその出番のほとんどはヘグモ時代のもので、監督がスコルジャに代わってからはベンチ入りもままなりませんでした。

 出番は限定的でしたが、それでも今年の武田は第19節ホーム鹿島戦で九分九厘負けていた試合を終盤自らのの2ゴールで同点に追いついたのがあまりにも印象深く、十分浦和に爪痕を残したと言っていいでしょう。とにかくGKの意表を突いたようなFKはお見事でした。

 怪我人続出&鹿島戦の活躍もあって武田はその後3試合連続でスタメン起用されましたが、ドリブルが武器ではないのでSHに置くとただのクロスマシンになりがちで、かといってトップ下に置くと強度不足が目立って4試合目のスタメンだった第24節ホーム札幌戦では前半限りで交代の憂き目に。スコルジャ体制下でほとんど出番がなかったのはプレー強度の低さがより一層問題視されたものと思われます。

 以前水戸の試合をいくつか見て個人的に気になったのは後方で王様然としてパス出し、組立に専念する様がなんか岡山時代の矢なんとかとそっくりだったこと。矢なんとかは結局J1では使い物にならずに何処かへと流れてゆきましたが、武田がその轍を踏まないように祈るばかり・・・と思っていたところ、残念ながらその懸念が現実のものになってしまいました。

 仙台が移籍金を払ってまで武田を獲得するという話は出ていませんが、23歳で単年契約とも考えづらいので、以前からの複数年契約が今年末で終わりだったのでしょう。そして武田は生まれ育った仙台の地での再出発を選びました。J2ならかなり頼りになるMFなのは水戸で証明済なので、伊藤涼太郎に続いて「浦和が逃がした魚は大きかった!!」という話になるかもしれません。ともあれ、武田のサッカー人生に幸多かれと祈るばかりです。

 

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2024.12.16

シン・浦和レッズの真実2024(4・完) ~ 夢幻に過ぎなかったFB本部主導のチーム作り

シン・浦和レッズの真実2024(3)から続く

 この稿は反省文を読んでの感想でもなんでもありません。今季迷走に次ぐ迷走で開幕当初の期待を大きく下回るどころか残留争いに片足を突っ込んでしまったことから来るFB本部への妄想的疑念の表明です。

 2019年12月に浦和は「フットボール本部」を立ち上げ、それから5シーズンが経過しましたが、残念ながらリーグ戦の戦績は依然としてACL出場圏内に届かず、概して中下位を彷徨い続けています。

 FB本部設立時に「チームの柱となるべき一貫したコンセプトがないため、監督選び、選手選びの基準、サッカーのスタイルがその都度変わり、短期的な結果を求め、求められてきた」のが浦和の最大の問題との認識から、「浦和の責任」というキーコンセプトをベースに、

・個の能力を最大限に発揮する
・前向き、積極的、情熱的なプレーをすること
・攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレーをすること

という3つのコンセプトを掲げました。

 そしてこのコンセプトに沿ってFB本部が監督を選び、FB本部主導で選手を揃える。監督の要望は聞くけれども基本はFB本部が揃えた選手でやってもらう方向でチーム作りを進めてきました。

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 FB本部の掲げる理想は非常に崇高であり、是非ともそうありたいと思いますが、その結果はありていに言って悲惨でした。

 個人的な結論を要約すると「3つのコンセプトをチームに実装するのに失敗しつづけた」ということになりましょうか。

 監督選び一つとってもリカ→スコルジャ→ヘグモ→スコルジャの間に「外国人監督である」こと意外に連続性を見出すのは難しいように思えます。大槻とリカの間に「幻のチョウ・キジェ招聘計画」があったという噂もあって、それはもう連続性どころか巨大な断層でしかないでしょう。

 そして監督選びに右往左往した弊害が今季の「2023シーズンに構築した強固な守備に、攻撃面での改善を上乗せする」方針の蹉跌となって顕在化したものと思われます。

 FB本部主導のチーム編成も成功したとは言い難いでしょう。ギアクマキス招聘失敗みたいな「狙っていた選手が取れなかった」のは強化部がどんな体制であっても起こりうる話なので個人的にはあまり責めません。残念なのはリカ体制時のユンカーや、今季のサンタナに象徴されるように「優秀な選手だが監督のニーズにマッチしていない」選手が少なくないこと。この5年間FB本部主導でチーム編成に継続性を持たせるメリットよりも監督のニーズにマッチしない選手が出がちというデメリットのほうが強く出た気がしてなりません。

 さらに今季は西野トンズラ事件で「浦和の責任」というキーコンセプトすら薄っぺらいものに成り下がりました(苦笑)。

 その結果「5年半も何もかも監督に丸投げして、監督のニーズに応じて選手も揃えた2012~2017年のミシャ=山道体制のほうがリーグ戦の成績はずっとマシだった」という悲しい話に。もっとも山道氏はアフター・ミシャについてノーアイデアで、「監督選びの大方針の無さ」が祟って浦和は以後大迷走してFB本部設立に至る訳ですが・・・

 「3つのコンセプトをチームに実装するのに失敗しつづけた」原因は残念ながらFB本部に人材を得なかった、さらには組織的なバックアップもまだまだ足りなかったということでしょう。この辺はCFGのサポートを受ける横浜Mに大きく劣後しており、ひょっとするとRB傘下に入った大宮の後塵を後々拝するかもしれません。

 とはいえFB本部を作ったことで、監督人事の最終責任までサッカーど素人の社長に負わせていた浦和暗黒時代よりはマシになったとは思います。個人的にはチーム編成は極力監督の意向を尊重する形に戻し、FB本部は監督の評価ポイントを明確にして、監督選びでブレまくらないことに注力すれば良いのにと考えます。言い換えれば「3つのコンセプト」では抽象的すぎて監督の評価基準になっていないのがFB本部の失敗の一因になっているかと。

 長々と妄想を書き連ねましたが、これもボケ防止の一環としてご了承願います。「この稿自体がボケている!!」とのご批判派免れないかもしれませんが(自嘲)

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2024.12.15

シン・浦和レッズの真実2024(3) ~ スコルジャ再招聘とは何だったのか?

シン・浦和レッズの真実2024(2)から続く

 今般の反省文で最も釈然としないのは再招聘したスコルジャへの評価があまりにもあっさりしていること。

 監督交代時に堀之内SDから発せられた「ファン・サポーターのみなさまへ」によれば、「始動時に描いた成長曲線に対し、現時点でのチームの完成度は後れを取っていると言わざるを得ません。」「成長の方向性を継続することと、成長のスピードを上げることの重要性を再確認し、そのための手段としてこのタイミングでの監督交代という決断を下しました。」と監督交代のやむなきに至った理由を説明しました。

 ところが「最初の4試合で面白くはないかもしれないがとにかく勝ち点を積み上げる」とスコルジャが再就任時の会見で披露していた目論見は外れたどころか、第31~34節でまさかの4連敗を喫して残留争いに本格参戦。次のホーム柏戦ラストプレーでPKを獲得して勝ったのが効いて辛うじて降格圏転落は免れましたが、星勘定だけ見れば成長曲線はさらに下方へ屈折し、監督交代はとても成功したとは言い難い結果に終わってしまいました。

 単に星勘定が残念だったのみならず、監督が代わっても「2023シーズンの守備と2024シーズンの攻撃とがトレードオフの関係性になっているような状態」から一向に抜け出せませんでした。「2023シーズンに構築した強固な守備に攻撃面での改善を上乗せする」という方針を継続するとのFB本部の大方針は完全に未達に終わりました。

 さらにFB本部が掲げる以下の3つのコンセプト

・チーム:攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレー
・個:個の能力の最大限発揮
・姿勢:前向き、攻撃的、情熱的なプレー

について反省文で随分尺を取って説明していますが、要するにどれ一つ取っても満足できる結果は得られなかったことをFB本部も認めざるをえないようです。

 これでは「FB本部は単に2023シーズンの好成績を評価して『スコルジャが戻れそう』という話に飛びついただけではないのか??」と評されて仕方ないでしょう。

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 もっとも再招聘に応じたスコルジャの戦績が振るわなかったことについて監督ばかり責めても仕方ないかと。、そもそも夏の移籍期間が終わった後の監督交代だったのでスコルジャの好みにあった選手を補強しようにも補強できず、スコルジャは既存の手駒でなんとかせざるを得なかったため、こんな残念な結果に終わってしまったと考えるほうが自然でしょう。昨冬にそれなりに補強してもらったのに自分で選手を次々と壊して成績不振に陥ったヘグモよりは監督の責任は軽いかもしれません。

 またスコルジャの三ケ月の評価がえらくあっさりしているのもFB本部も自責の念があって「スコルジャはJ1残留さえ達成できれば合格!!」と考えたが故なのかもしれません。

 そしてスコルジャもとんでもない悪条件下で再招聘に応じたことを判っているのか、就任早々の会見で「次の移籍のウインドーは非常に重要になってきます」とFB本部にくぎを刺しています。FB本部もその期待に応じるべく早々に色々と動いているようですが・・・

シン・浦和レッズの真実2024(4・完)へ続く

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2024.12.14

シン・浦和レッズの真実2024(2) ~ 西野トンズラ&主力選手大量流出

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シン・浦和レッズの真実2024(1)から続く

チームをサポートするべきフットボール本部においても、チームの強化・編成責任者の交代という体制変更がシーズン途中に行われたことにより、選手やチームスタッフに動揺を与えるなど、十分なサポートができなかったと考えております。

 西野TDの退任、しかもライバルチーム=横浜Mのフロント入りというニュースはやはり相当の衝撃だったようです。4/15の公式声明時には、堀之内SD誕生は西野TDの退任とは直接関係なく「クラブ主導での方向性の維持と継続的な取り組みを、個人ではなく組織で実現していくことを基礎に据え」るために事前に後継者育成の準備が進められていたと語っていましたが、西野トンズラのダメージは深かったようで、反省文でも

新体制下で臨んだ、夏のウインドーを始めとしたシーズン中のチーム編成においても、重要な役割を担っていた主力選手が複数名退団したことに対し、シーズン途中で加入した選手が十分な出場機会を得られないなど効果的な補強が行えず、このことが成績不振のもう一つの要因になったと考えております。

と、そのダメージのデカさを率直に認めています。

 情報網&分析手法の整備から始めなければいけなかった浦和から、そんなものはCFGがとっくに整備している横浜Mへの転進なので、西野個人にとってはどこからどう見てもポジティブなジョブチェンジです。従って今般のジョブチェンジを「今時よくあること」、「西野TDを満足させられるような環境なり、ジョブなり、給与なりを提供できなかった浦和が悪い」とドライに受け止める方も少なくないようです。

 でも「浦和を背負う責任」という言葉を盛んに嘯いていた西野がシーズン半ばにして浦和を退任してよりによってライバルチームへ「浦和の諸君、また会おう!!」とばかりにトンズラするのって、個人的にはどうも釈然としません。「浦和を背負う責任」ってそんなに薄っぺらな言葉だったとは・・・

 そしてこの惨事を受けてシーズン途中にFB本部の強化に着手、具体的には「4月に着任した堀之内 聖スポーツダイレクターをサポートするスタッフが複数名加入」したようですが、その成果は今冬のオフに問われることになりましょう。

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 西野トンズラもさることながら、より短期的な視点で大ダメージになったのは相次ぐ主力選手の相次ぐ退団。酒井・岩尾・ショルツが相次いで夏の移籍期間を待たずにチームを離れてしまったのはとにかく衝撃的でした。酒井はすっかり故障がちになってパフォーマンスもガタ落ちになっていましたし、岩尾も安居との競争に負けてスタメンから外れつつあったので移籍金を受け取れるうちに移籍を認めるのは判らなくもありません。しかしショルツの移籍はあまりにもショックでした。

 反省文で「2025シーズンへ向けて」の課題として

守備面においては、ディフェンスラインの統率に加え、チーム全体を鼓舞できる強いリーダーシップを持ち、プレーにおいても文字通り「壁」となるような、存在感を発揮できる選手がチームにとって必要であり、そうした選手の獲得を2025シーズンに向けた選手補強における重要なテーマに置いています。

と語っていますが、「それってショルツのことじゃないのか???」と誰もが思ったことでしょう。

 堀之内SDによる離脱経緯説明によると、酒井や岩尾と違ってショルツは「強く慰留に努めました」とのことですが、「浦和レッズというクラブが現在持ち得ている全ての力をもってしても阻止することはできませんでした。」とあるのは金銭面で中東勢に全く太刀打ちできなかったことを遠回しに表現したものと思われます。

 浦和が設定した移籍金を満額ポンと支払われたとしてもショルツ本人が移籍を希望しなければ移籍は成立しません。しかしショルツは「本人の異文化へのチャレンジ欲求」という傍目にはよく判らない理由で移籍に応じてしまいました。酒井・岩尾・ショルツと主力選手の移籍が相次いだ原因にヘグモ更迭の一因として囁かれる「マネジメントの失敗」があったのかもしれませんが、この辺は邪推の域を出ません。

 そして極め付きは伊藤の移籍。酒井からキャプテンを引き継いだばかりなのにあっさり移籍。日本代表に入るか入らないかレベルの選手がJリーグに残ること自体異例なご時世とはいえ、「浦和の責任とは何だったのかパート2」としか言いようがない悲しい事件でした。しかも移籍したタイミングも悪くてFB本部にはなすすべもありませんでした。

 加えてなんだかよく判らない移籍劇の連続で得た大金は眠ったまま2024シーズンは終わってしまいました。

シン・浦和レッズの真実2024(3)へ続く

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2024.12.13

シン・浦和レッズの真実2024(1) ~ 木に竹は継げず、竹に木も継げず

 公式戦終了後1週間も経たないうちに、浦和フロントから”ファン・サポーターのみなさまへ「2024シーズンの振り返りと2025シーズンに向けて」”と銘打たれた反省文がリリースされました。

 日程スカスカだったにも関わらずリーグ戦は13位に終わるという結果が残念だっただけでなく、主力選手の大量流出、強化責任者のトンズラ、夏の補強の失敗、そして謎過ぎるタイミングでの監督交代とFB本部の失態が相次いだ一年だっただけに、多大な批判が入ることを予想して早くから時間をかけ、練りに練って用意周到に作成されたことが伺われる長文の反省文でした。

 とはいえ、クラブや関係者の内部事情をすべて記す訳にもいかないせいか隔靴掻痒の感がある部分、あえて触れてなさそうな部分があるのも否めません。

 そこでそのモヤモヤ感を多少なりとも解消すべく、反省文を読んでの個人的な感想を五月雨的に備忘録代わりにだらだらと書き連ねておくことにしました。個人的な感想なので多分に断片的な事実を妄想に妄想を重ねて繋ぎ合わせている側面がある点についてはご了承願います。

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2024シーズンにおけるチーム強化の大方針は、「2023シーズンに構築した強固な守備に、攻撃面での改善を上乗せする」というものでした。

 今年の浦和の大低迷はこの「上乗せ」に大失敗したことに尽きましょう。浦和も「フットボールにおいて守備と攻撃は不可分であり、機械的に「2023シーズンの守備+2024シーズンの攻撃」という組み合わせを実現することができないことを理解しつつ」とこの課題の難易度が高いことは判っていたようですが、案の定というかなんというか大失敗に終わりました。

 大失敗の主因はスコルジャとヘグモの持ち味が違いすぎたことに尽きましょうか。守備のやり方一つとってもスコルジャは低い位置に守備ブロックを敷いて待ち構えるのが得意なのに対し、ヘグモはハイライン&ハイプレス志向。従ってヘグモ流がチームに定着するには長い時間を要することは容易に予想できました。

 ところが残念ながらシーズン序盤から怪我人が大量発生。これはヘグモが「日々負荷の高いトレーニングメニューを用いながら、若手、ベテランを問わず全ての選手に対して100%以上の知力、体力をもってトレーニングに取り組むことを求め」た結果なので、運の問題ではありません。昨季の過密日程でボロボロになった選手のコンディションを弁えずに負荷の高いトレーニングを課したのが失敗のもとでしょう。

 その結果「メンバーを固定して闘うことができなかったことにより、闘い方の積み上げを図れないままに試合数を重ねることとなり、得点と失点が同時に増え勝ち点が停滞する」結果に陥りました。スコルジャの築き上げた堅守は雲散霧消した代わりにビルドアップは格段に上手くなったのでやたら点が入る試合は増えてエンタメ的には悪くなかったのですが・・・

 ただヘグモの失敗を考えるにあたって鳥栖戦の前の会見(8/5)でヘグモが「レッズに来たとき、クラブとして最もやりたかったことが攻撃の発展でした。ですので、スタートから攻撃により時間を割くようにしました」と語ると同時に、「私も基本的にどのチームに行ってもまずは守備から始めます。そこで堅固なプラットフォームを作ります。」と語っていたのが気になりました。

 FB本部が「攻撃面での改善を上乗せ」するのを焦るあまりにヘグモに過剰な注文をつけたのが失敗の遠因ではないのか?ヘグモの好きなようにやらせていたら、ここまでの惨状には陥らなかったのではないか?怪我人が大量に出るのは同じだったでしょうが、なんか失敗をすべてヘグモのせいにするのもなんかおかしい気もします。

 そして「2023シーズンに構築した強固な守備に攻撃面での改善を上乗せする」という方針を継続すると称して、FB本部はヘグモを更迭してスコルジャを再招聘しましたが、今後は失点が減った代わりにヘグモの最大の遺産=ビルドアップの巧さが雲散霧消。シーズン中に「上乗せ」に2回失敗したのですから、そりゃ13位で終わるのも当然でしょう。FB本部の立てた大方針と監督選びのミスマッチがもたらした惨状。今季の浦和の大低迷の原因はそれに尽きます。

シン・浦和レッズの真実2024(2)に続く

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2024.12.09

【観戦記】24年第38節:浦和 0-0 新潟 ~ 誰も傷つかない超凡戦

 負けなければJ1残留が確定するので普段のスタイルを捨てて守りに徹した新潟を浦和は攻めあぐんだまま90分が徒過して試合終了。もう試合はなかったことにして最初から退団&引退セレモニーだけやれば良かったのに(苦笑)。

《スタメン》

 浦和は前節福岡戦から牲川→西川、佐藤→井上、小泉→グスタフソン、サンタナ→興梠とスタメン4名入れ替え。これまで出場機会が少なかった選手のお試し色が非常に強かった前節と比べ、最終節かつホームゲームなのでほぼ主力を揃えてきました。

 その中で唯一の例外が興梠のスタメン起用。今季限りで引退する興梠をなぜか前節福岡戦で後半途中から起用したので、「最終節で興梠をスタメン起用するための試運転か?」と個人的に邪推していましたが、その予感が見事的中!!

 ただ興梠が90分持つわけがないので途中でサンタナに代えるとも予想していましたが、なんとサンタナはベンチにすらおらず、今季限りで退団が決まっているリンセンがベンチ入り。うーーーーん、福岡戦でのあんまりなプレーぶりを見てサンタナは見限られた気配がムンムン・・・

 また興梠同様今季限りで引退する宇賀神がベンチ入り。怪我でもないのに前節・今節でベンチ入りすら出来なかった選手の去就が案じられます。特に中島。前節最後の最後で大失態を演じた本間はベンチに入れず、自分のゴールで恩義ある新潟に引導を渡せず。

 新潟は前節G大阪戦から小見→谷口、ゴメス→太田、星→宮本、橋本→堀米、稲村→早川となぜかスタメンを5名も変更。

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《試合展開》

 ビルドアップの巧さではJ1でもトップクラスの新潟がボールを支配し、浦和がカウンターで対抗する試合展開を思い描いた方がほとんどだったでしょうが、非常に意外なことに立ち上がりから浦和がボールを支配。しかもぞの構図は最後まで変わりませんでした。

 新潟はボールを支配している割には決め手を欠きがちなチームでゴール数はそれほど多くない反面、残留争いから最後まで抜け出せないチームらしく失点は多いのが特徴。この試合で負けなければ自力でJ1残留が決まるという状況なので、この試合は「普段のチームスタイルを捨てて守備に徹した=下手にボールを握ってカウンターを食らうのを避けた」のだろうと思いながら試合を見ていました。

 そして試合後の会見で「前半の入りから、それほど前へ奪いに行きませんでした。ミドルブロックを作るところを徹底されたと思うのですが、それは残留の条件を加味してか、それとも相手が浦和だったからなのでしょうか?」との記者の質問に対して松橋監督は「前者です」と明言(苦笑)。

 新潟がたいして前からプレスをかけてこないので、浦和の稚拙なビルドアップ能力でもボールを前に運ぶことには難渋しませんでしたが、そこから先が恐ろしいくらい何もなくて新潟の守備ブロックは微動だにせず。

 前半多少なりとも浦和にチャンスがあったのは7分渡邊FKが枠内を急襲した場面くらい。16分には縦パスを興梠が高い位置でキープし、原口→関根のパスを興梠がボックス内で受ける良い形を作りましたが興梠は新潟DFに囲まれてシュートを撃てず。

 そして案の定興梠は前半一杯も持たずに電池切れとなり、得意のボールキープもままならなくなって、ただでさえしょっぱい浦和の攻撃はますますシオシオに。およそ何も起こりそうにない戦況を見て、バックスタンドではハーフタイムを待たずにトイレへ向かう方がワラワラと現れる始末。

 ゆえに後半頭から興梠をリンセンに代えると予想しましたが、スコルジャは興梠劇場追加公演を決定。そして54分ハイボールに渡邊が競り勝ったのを契機に興梠スルーパス→原口の好機を作りましたが、原口は飛び出してきたGK小島を交わしきれず、こぼれ玉を拾った前田はシュートをDFにぶち当ててしまいました。

 新潟は57分に三枚替えを敢行し、長倉・ゴメス・小見と攻撃的な選手を一斉に投入しましたが攻勢に転じる様子はなく、依然として浦和にボールを持たせる策を遂行。63分には興梠劇場もついにフィナーレを迎え、浦和の面々どころか「磐田が負けている」との報が入った臭い新潟も余裕綽々で整列して興梠を見送る一幕も。

 浦和は71分グスタフソン→小泉、前田→石原、80分原口→二田、関根→宇賀神と代えるも全く戦況に変化はなく、新潟も83分左サイドからのクロスを受けて難しい体勢ながら長倉がなんとか放ったヘディングシュートがバーをヒットしたのが唯一の見せ場。超凡戦のスコアレスドローで試合終了。

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《総評》

 浦和のシュートは6本、新潟は4本。CKは5本対4本というスタッツ通りの超凡戦。ゴール期待値は共に限りなくゼロに近いだろうとおもっていましたが、DAZNのスタッツでは0.50対0.20と案外高めでした。あまりにも退屈な試合ゆえDAZNは試合ダイジェストの編集に困ったことでしょうし、実況&解説はエピソードトークで場を繋ぐしかなかったことでしょう(苦笑)。

 ビジター用の自由席&指定席では収まり切れず、メインアッパーの南半分を埋め尽くさんばかりに新潟サポが埼スタに押し寄せてきましたが、試合途中で18位磐田が降格が決まっている鳥栖相手に大敗しているとの報が新潟サポ間に行き渡っているせいか、試合終了後も「J1残留が決まって大歓声!!」にはほど遠い感じの盛り上がり。

 一方浦和ゴール裏からは試合終了後軽いブーイング。まぁそれも当然でしょう。特段守備に持ち味がある訳ではない新潟を攻めあぐんで、これといった決定機も作れないまま試合終了では。

 スコルジャもスコルジャで試合終了後「来シーズンにやろうとしているサッカーのことを考えると、それに合った特長のある選手を獲得しなければいけません。そして来季、レッズに最適な選手たちをそろえ、パフォーマンスを上げていきたいと思います。」と、「今季のこの面子ではやれることなんてたいしてないわなぁ」と言わんばかり。それも一理あるのですが・・・J1残留がスコルジャに課せられた今季唯一無二のタスクで、それ以外はもうどうでも良かったのかなぁ・・・

 この試合で数少ない良かった探しをすると、西川のポジションがいつもより高めで最終ラインも心なしか押し上がり、それゆえ前プレが思いのほかハマっていたこと。もっとも新潟が無理にボールを繋がずに「浦和にボールを渡していた」ことの裏返しかもしれませんが・・・

 とはいえ、ホーム最終節といえばここ数年悲惨極まりない試合が少なくなく、荒れに荒れそうになった埼スタを功労者の引退・退団セレモニーやクマさんキャップを被った「ショル子」投入でなんとかごまかして何事も有耶無耶にしがちだったことを思えば、何もないスコアレスドローで興梠&宇賀神を送り出せたのはかなりマシなほうだと考えるべきなのかも。

Niigata2412002

《選手評等》

 失態続きでボロクソに言われても仕方がない、あんまりなシーズンを受けて浦和フロントを糾弾するダンマクが試合後ワラワラ出てくると予想したのですが、ゴール裏の反応は意外にも「黒字で満足しているのは誰?株主、クラブ、選手、サポーターの情熱なしに栄光なし」の一枚だけ。しかも「株主」だけちょっと太字になっています。

 サッカークラブは株式会社の形を取っているとはいえ営利企業ではないので、多額の黒字を計上して株主に還元する必要はありません。もっとも赤字続きでJリーグのライセンスに抵触してしまうのはお話にならないのでその辺のさじ加減は難しい(自然体だと赤字になりそうなところを親会社が広告料の形で補填してくれるクラブでない場合は特に)のですが、ショルツや酒井等の移籍で多額の移籍金を手にしているはずの浦和の今夏の金の使わなさっぷりは指弾されるのも当然でしょうなあ。

Niigata2412005


-----興梠-----
原口---渡邊---前田
---安居--グスタフ---
長沼-マリウス--井上-関根
-----西川-----

(交代)
63分 興梠→リンセン
71分 グスタフソン→小泉(小泉トップ下、渡邊CHへ)
71分 前田→石原(石原右SB、関根右SHへ)
80分 原口→二田(二田右SH、長沼左SH、宇賀神左SBへ)
80分 関根→宇賀神

Niigata2412001
-----小野-----
谷口--長谷川---太田
---宮本--秋山---
堀米-早川-舞行龍-藤原
-----小島-----

(交代)
57分 小野→長倉
57分 谷口→ゴメス
57分 太田→小見
90分 舞行龍→デン
90分 堀米→橋本

 

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2024.12.01

【DAZN観戦記】24年第37節:福岡 1-0 浦和 ~ この中で来季何人残っているだろう?

 非常にお試し色が強い選手起用だった割には善戦していましたが、ボールを持たされる展開が苦手なのは相変わらず。そして久しぶりに出場機会にも関わらず期待外れに終わる選手がゾロゾロ。

《スタメン》

 浦和は前節川崎戦後半のスタメンからなんと渡邊・安居・関根・マリウスを除く7名を入れ替え。サブも普段のスタメン級は井上と石原だけ。

 スコルジャは試合前の会見で「今までベンチスタートが多かった選手にプレーする機会を与えるチャンスでもあります」「少し勇気を持ったメンバー選びができる試合になります。トレーニングでいいパフォーマンスを見せている選手が何人もいます。そのような選手にJ1リーグでプレーする機会を与えたいと思っています」と公言していたので少なからずフレッシュな顔ぶれが並ぶことは予想されましたが、ここまで極端に入れ替えるとは全くの予想外。非常にお試し色が強いスタメン&ベンチ構成でした。

 一方福岡は前節C大阪戦から負傷したGK永石に代えて村上をスタメン起用した他、宮→井上と計2名入れ替え。また福岡はなんと11/9以来20日間以上公式試合をしていないようで・・・代表ウィークが挟まるせいでサッカー観戦向きの季節に試合がなく、酷暑&気候要因で中止の恐れがある夏季に過密日程というバカバカしさ。This is Jリーグ(苦笑)。

Fukuoka003_20241201092801

《試合展開》

 福岡はいつものようにボールを捨てる作戦を徹底。とりあえず浦和にボールを持たせて前三人で浦和最終ライン&GKに強くプレスをかけてきましたが、浦和は福岡の前ハメを逆用するかのように適宜ロングボールを織り交ぜて中盤で浮いている選手にボールを付けてビルドアップ。これはこの試合の「良かった探し」に上げていいと思ったのですが、巧みに敵陣にボールを運んだところで、そそくさと自陣に戻って堅固な5-4-1の守備ブロックを形成する相手の前に手も足も出ず。全くといっていいほど最前線でボールキープできないサンタナのあんまりな残念さが浮き彫りに。

 そうこうしているうちに15分余裕をかましてボールを持ち運ぼうとしてなぜか急に足元不如意になってしまった佐藤がウェリントンに絡まれてボールロスト。ウエリントンのパスを受けた紺野が決定的なシュートを放つも枠を捉えきれず。その直後には前のロングフィードを受けた岩崎が左サイドからあっさり関根を交わしてシュートを放つもここは牲川ががっちりキャッチ。

 浦和は20分くらいからようやくボックス内に入り始め、29分関根のロングフィードを受けて右サイドを激走する前田の折り返しから渡邊に決定機が生まれましたが、シュートはバーの上。

 これでなんとか浦和が試合の流れを掴むかと思いきや、40分関根が重見にプレゼントパス。すかさずボール奪回に動いた渡邊も重見に競り負けてしまい、重見のパスを受けた紺野のミドルシュートが決まって福岡先制。渡邊は重見と交錯した後そのままうずくまってしまいましたが、重見のファウルは認定されず。

 なお重見は4分に一発レッドでも不思議はないサンタナへの足裏攻撃でイエローをもらっており、その後も再三のラフプレーで今にも退場しそうだったせいか、前半限りでお役御免。前半のうちに二枚目のイエローを提示して重見を退場させなかった上村主審の迷裁きが結果的にこの試合のあやに。

 先制した福岡はやるべきことが一層はっきりするようになり、再びボールを持たされる羽目に陥った浦和は前半終了間際に前田が右サイドからミドルシュートを放つのが精一杯。49分小泉縦パス→原口→前田の決定機はシュートが枠に飛ばず。59分長沼のパスをボックス内で小泉が収めて原口がシュートを放つも勢いがなくてGK村上が楽々キャッチ。

 スコルジャは64分サンタナ→興梠、前田→二田と2枚替えを敢行し、72分左サイドから原口クロス→ファーで二田ヘッドの良い形を作るも枠を捉えきれず。

 スコルジャは73分小泉→武田、原口→本間とさらに2枚代え。その後のオープンな試合展開は福岡の得手ではないと思いましたが、浦和も浦和でここまで一人でチームを成り立たせていた感があった渡邊の電池切れが顕著でどうにもならず。84分関根とのワンツーで渡邊がボックス内に突入するもシュートコースが制限されていたせいかシュートはGKが難なくキャッチ。

 それでも試合終了間際に佐藤のロングフィードをCB井上がクリアしきれずにボールが二田を直撃。ボールを拾った二田のクロスを中で本間が詰めるだけという絶好機が生まれましたが、なんと本間が詰め切れず!!!純然たる消化試合にも関わらず博多の森にわんさか詰めかけた赤者の目の前で起こった大惨事。あれには吉本新喜劇ばりに全員がずっこけたでしょうなぁ・・・

 そして最終節の相手はJ1残留が決まっていない状態で埼スタに乗り込んでくる新潟。絶好機を決められなかった本間は試合後泣いていたそうですが、その悔しさは新潟相手に断腸の思いでゴールを叩き込むことで晴らすしかないでしょうなぁ・・・

Fukuoka010

《総評》

 「この中で来季の戦力構想に入れる、いやそれ以前に来季の契約を勝ち取れるのは誰かな?」と言わんばかりの選手構成だったので、この試合の出来不出来、さらには来季に繋がりそうだったかどうかを語ってもあまり意味はないでしょう。

 それでも前述のようにグスタフソンがいないにも関わらずビルドアップに難渋した感じを受けなかったことに加え、福岡がビルドアップを放棄するスタイルなのも手伝って浦和の前ハメが珍しく機能している印象を受けました。この両面にはGKが牲川に代わった効果があるのかもしれません。

 なお試合後スコルジャは「いい形での背後への供給がありませんでした」と嘆いていましたが、さすがにグスタフソン抜きのこの面子でそれをやるのはいくらなんでも無理じゃないかなぁ・・・渡邊や小泉が駆けずり回ってなんとかチームを支えていましたが共に後方から相手の急所を突くような球出しが出来るタイプではありません。強いて言えば武田が出来そうですが・・・

Fukuoka011

《選手評等》

・選手選考会というかトライアウトと化した感のあった試合でしたが、正直がっかりさせられた選手がゾロゾロ。

・特に衝撃的だったのは最終節ホーム新潟戦を最後に引退する興梠のボールキープ能力が全く錆びついておらず、CFとしてはサンタナより遥かにマシと思われたこと。ただ今の興梠の辛さはもともと短時間で結果を出すスーパーサブタイプではないし、かといって頭から使うともはや前半すら持たないかもしれない点。だから今年限るでの引退は妥当な引き際とは思いますが、代わってスタメンで出ているサンタナのパフォーマンスがどう見ても興梠より下というのは極めて切ないのなんの・・・まぁサンタナにそもそもポストプレーなんて求めるのが無理なのでしょうが、それが出来ないCFをスコルジャは求めてないだろうからなぁ・・・FB本部が連れてきた選手と監督の好みがすれ違う例が多すぎてなぁ、何でか知らんけど。

・前田は開幕時の期待感がすっかり剥落してしまったなぁ。コンディション不良なのかドリブルで全然剥がせない上にミスも多い。右SHの控えで二田が優先されるのも納得。敵としては極めて面倒だったのに、味方になったらたいして頼りにならない選手が多すぎるような気がするんだよなぁ、浦和は(´・ω・`)ショボーン

・前田以上に原口がダメダメでした。ドイツで全然試合に出ていなかったのが祟ってこれまたコンディションが良くないのかもしれませんが、現状は試合に出すどころかベンチ入りさせたらあかんレベルかと。

・関根の右SBも限界。窮余の一策の域を出ない。石原の守備の怪しさを考えればここも補強ポイントでしょう。逆に長沼は良かったと思いました。復調の兆しが感じられた小泉共々この試合の良かった探し。

・そして佐藤・・・井上も似たような「やらかし系CB」ですがやらかしの頻度が違いすぎる・・・ひと試合で何回即死レベルの凡ミスをやらかすんや・・・

・結局のところショルツ・酒井・ソルバッケンと強力な駒がいなくなったポジションがそのまんま補強すべきポイントになってるってどんだけFB本部は夏にサボり倒したんや・・・またCFは誰も取れないのを恐れてサンタナで妥協したらやっぱり物足りなかった始末。でも今のFB本部にはもはや何の期待も出来ないからなぁ・・・

・なおレギュラー格でも怪我でもなく、まして退団が決まっている訳でもないのに、非常にお試し色が強かったこの試合でベンチ入りすら出来なかった選手の去就が気になります。大畑は火曜日にあった公開練習の時点で別メニューだったので無理に帯同させなかったのかもしれませんが、中島がベンチ入り出来なかったのは結構謎。守備は計算できないけれども負けている試合で何かを起こせるかもしれない「パルプンデ」な選手は本間で十分で中島は構想外なのかも。本間は本間でJ1ではプレー強度が物足りないと思いますが・・・

Fukuoka2022003_20241201092801


-----サンタナ-----
原口---小泉---前田
---安居--渡邊---
長沼-マリウス--佐藤-関根
-----牲川-----

(交代)
64分 サンタナ→興梠
64分 前田→二田
73分 原口→本間
73分 小泉→武田(渡邊トップ下、武田CH)


-----ウェリントン----
--金森----紺野--
岩崎-前---重見-前嶋
--井上-田代-グローリ--
-----村上-----

(交代)
HT 重見→松岡
56分 ウェリントン→ザヘディ
56分 金森→佐藤
56分 紺野→ベン カリファ
90+3分 前嶋→亀川

※写真は試合とは全く関係ありません。

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2024.11.29

ブライアン リンセン選手 契約満了

 昨日(11/28)、ブライアン リンセン選手が契約満了に伴い今シーズン限りでチームを離れることが公表されました。

 リンセンは2022年6月27日にフェイエノールト(オランダ1部)からの完全移籍加入。当時の浦和にCFらしいCFはユンカーしかおらず、その頼みのユンカーはグロインペイン症候群を患っていてコンスタントな出場が見込めないという残念な状況に置かれていました。

 ただその後の西野TDの記者会見によると、リンセン獲得は2022年シーズンのあんまりな得点力不足、決定力不足を鑑みて慌てて探しにいった結果ではなく、その前年の夏から追い続けていたようです。

 リンセンは浦和に来る直前の2021-22シーズンで名門フェイエノールトで34試合中26試合に先発出場して13ゴール8アシストを記録。オランダ1部リーグキャリア通算では341試合108得点47アシストを記録しているバリバリの点取り屋。獲得時の浦和のウリ文句には「前への推進力・スピードがあり、テクニックも兼ね備えた得点力高いストライカー。周囲の選手を活かすプレーもでき、守備面での貢献も期待できる。」と頼もしげな言葉が並んでいました。

Linssen2024

 リンセンは7月23日のパリサンジェルマンとのプレシーズンマッチ、後半頭からの投入でついにベールを脱ぎましたが、右太もも裏を痛めて55分に途中交代。しかもこの故障は案外重くて復帰に時間を要してリンセンの再出場は10月に入ってからのわずか3試合の出場に留まりました。

 それでも個人的には2023年ACL決勝に間に合えばいいと楽観視し、スコルジャもリーグ開幕戦&第2戦でリンセンをスタメン出場させてその復活に大いに期待を寄せていた風でしたが、リンセンのコンディションはなかなか上がらず、この年の序盤のCFは大ベテランの興梠に託す羽目に。そして肝心のACL決勝は獲得したばかりでチームにフィットしているとは言い難いカンテが外国人枠に滑り込んでリンセンの出場は叶いませんでした。

 その後もなんだかんだとリンセンは故障がちで、2023年もコンスタントなベンチ入りはならず、断続的な出場、さらに過密日程下で思い出したようにスタメンで出る程度に留まりました。そしてこのシーズンのリンセンのリーグ戦出場はたった19試合(うちスタメン5)486分、得点2と同年開幕時にはCFとして絶対的な存在になると期待されていた割にはあまりにも寂しい結果に終わりました。

 2024年シーズンも相変わらず故障がちで、リンセンがコンスタントに試合に出始めたのは6月も半ばになってから。監督がスコルジャに代わってからはサンタナを押しのけてCFのファーストチョイスになった感がありましたが、それでもFC東京戦(9/21)で負傷してその後2試合離脱。うーーーん、日程スカスカでもやっぱり怪我をするのか・・・

 リンセンは結局今シーズンもリーグ戦出場はここまで16試合(うちスタメン11)815分、そして肝心のゴールはわずか2と、これでは130万ユーロもの移籍金を払って獲得した割には完全に期待外れの烙印を押されても仕方ないでしょう。しかも何かと故障がちな34歳なので、浦和が契約更新を見送ったのは当然でしょう。

 しかし、そんな残念な結果しか残せなかった割にリンセンを悪く言う向きが少ないのは、出場機会を得た時のリンセンの献身性を誰もが認めているからでしょう。それがどんなに空回りに終わっていようととも。「プレスバックをさぼらない」みたいな判りやすい献身的プレーだけでなく、相手DFをブロックして味方の得点を助けているみたいな「事実上のアシスト」みたいなプレーも多かったのではないかと。

 また得点は多くはありませんが、結構難しいゴールを決めていた気も。身長170cmとオランダ人にしてはえらく小柄なのにポジショニングがよほど良いのかヘディングで点を取っている辺りが印象に残っています。一方イージーに見えるゴールを往々にして・・・

 さらにリンセンが愛されたのはその明るいキャラクラー。同郷の舎弟シャルクや謎のコミュニケーション能力を有する明本とは特にウマがあったようで「兄貴」の愛称で親しまれました。全然出番が回ってこなくてもリンセンは練習に手を抜く素振りなんて全然なかった話もそこかしこから。

 それだけに「こんなに一生懸命やっている選手なんだから、なんとかゴールという形で報われてほしい」と思う方も少なくなかったようですが、現実は非情でした。そしてリンセンの不幸の始まりはやはりあのキレッキレの「出オチ芸」だったのでしょうなぁ。でも2年半ありがとうございました。

 

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