【観戦記】24年第38節:浦和 0-0 新潟 ~ 誰も傷つかない超凡戦
負けなければJ1残留が確定するので普段のスタイルを捨てて守りに徹した新潟を浦和は攻めあぐんだまま90分が徒過して試合終了。もう試合はなかったことにして最初から退団&引退セレモニーだけやれば良かったのに(苦笑)。
《スタメン》
浦和は前節福岡戦から牲川→西川、佐藤→井上、小泉→グスタフソン、サンタナ→興梠とスタメン4名入れ替え。これまで出場機会が少なかった選手のお試し色が非常に強かった前節と比べ、最終節かつホームゲームなのでほぼ主力を揃えてきました。
その中で唯一の例外が興梠のスタメン起用。今季限りで引退する興梠をなぜか前節福岡戦で後半途中から起用したので、「最終節で興梠をスタメン起用するための試運転か?」と個人的に邪推していましたが、その予感が見事的中!!
ただ興梠が90分持つわけがないので途中でサンタナに代えるとも予想していましたが、なんとサンタナはベンチにすらおらず、今季限りで退団が決まっているリンセンがベンチ入り。うーーーーん、福岡戦でのあんまりなプレーぶりを見てサンタナは見限られた気配がムンムン・・・
また興梠同様今季限りで引退する宇賀神がベンチ入り。怪我でもないのに前節・今節でベンチ入りすら出来なかった選手の去就が案じられます。特に中島。前節最後の最後で大失態を演じた本間はベンチに入れず、自分のゴールで恩義ある新潟に引導を渡せず。
新潟は前節G大阪戦から小見→谷口、ゴメス→太田、星→宮本、橋本→堀米、稲村→早川となぜかスタメンを5名も変更。
《試合展開》
ビルドアップの巧さではJ1でもトップクラスの新潟がボールを支配し、浦和がカウンターで対抗する試合展開を思い描いた方がほとんどだったでしょうが、非常に意外なことに立ち上がりから浦和がボールを支配。しかもぞの構図は最後まで変わりませんでした。
新潟はボールを支配している割には決め手を欠きがちなチームでゴール数はそれほど多くない反面、残留争いから最後まで抜け出せないチームらしく失点は多いのが特徴。この試合で負けなければ自力でJ1残留が決まるという状況なので、この試合は「普段のチームスタイルを捨てて守備に徹した=下手にボールを握ってカウンターを食らうのを避けた」のだろうと思いながら試合を見ていました。
そして試合後の会見で「前半の入りから、それほど前へ奪いに行きませんでした。ミドルブロックを作るところを徹底されたと思うのですが、それは残留の条件を加味してか、それとも相手が浦和だったからなのでしょうか?」との記者の質問に対して松橋監督は「前者です」と明言(苦笑)。
新潟がたいして前からプレスをかけてこないので、浦和の稚拙なビルドアップ能力でもボールを前に運ぶことには難渋しませんでしたが、そこから先が恐ろしいくらい何もなくて新潟の守備ブロックは微動だにせず。
前半多少なりとも浦和にチャンスがあったのは7分渡邊FKが枠内を急襲した場面くらい。16分には縦パスを興梠が高い位置でキープし、原口→関根のパスを興梠がボックス内で受ける良い形を作りましたが興梠は新潟DFに囲まれてシュートを撃てず。
そして案の定興梠は前半一杯も持たずに電池切れとなり、得意のボールキープもままならなくなって、ただでさえしょっぱい浦和の攻撃はますますシオシオに。およそ何も起こりそうにない戦況を見て、バックスタンドではハーフタイムを待たずにトイレへ向かう方がワラワラと現れる始末。
ゆえに後半頭から興梠をリンセンに代えると予想しましたが、スコルジャは興梠劇場追加公演を決定。そして54分ハイボールに渡邊が競り勝ったのを契機に興梠スルーパス→原口の好機を作りましたが、原口は飛び出してきたGK小島を交わしきれず、こぼれ玉を拾った前田はシュートをDFにぶち当ててしまいました。
新潟は57分に三枚替えを敢行し、長倉・ゴメス・小見と攻撃的な選手を一斉に投入しましたが攻勢に転じる様子はなく、依然として浦和にボールを持たせる策を遂行。63分には興梠劇場もついにフィナーレを迎え、浦和の面々どころか「磐田が負けている」との報が入った臭い新潟も余裕綽々で整列して興梠を見送る一幕も。
浦和は71分グスタフソン→小泉、前田→石原、80分原口→二田、関根→宇賀神と代えるも全く戦況に変化はなく、新潟も83分左サイドからのクロスを受けて難しい体勢ながら長倉がなんとか放ったヘディングシュートがバーをヒットしたのが唯一の見せ場。超凡戦のスコアレスドローで試合終了。
《総評》
浦和のシュートは6本、新潟は4本。CKは5本対4本というスタッツ通りの超凡戦。ゴール期待値は共に限りなくゼロに近いだろうとおもっていましたが、DAZNのスタッツでは0.50対0.20と案外高めでした。あまりにも退屈な試合ゆえDAZNは試合ダイジェストの編集に困ったことでしょうし、実況&解説はエピソードトークで場を繋ぐしかなかったことでしょう(苦笑)。
ビジター用の自由席&指定席では収まり切れず、メインアッパーの南半分を埋め尽くさんばかりに新潟サポが埼スタに押し寄せてきましたが、試合途中で18位磐田が降格が決まっている鳥栖相手に大敗しているとの報が新潟サポ間に行き渡っているせいか、試合終了後も「J1残留が決まって大歓声!!」にはほど遠い感じの盛り上がり。
一方浦和ゴール裏からは試合終了後軽いブーイング。まぁそれも当然でしょう。特段守備に持ち味がある訳ではない新潟を攻めあぐんで、これといった決定機も作れないまま試合終了では。
スコルジャもスコルジャで試合終了後「来シーズンにやろうとしているサッカーのことを考えると、それに合った特長のある選手を獲得しなければいけません。そして来季、レッズに最適な選手たちをそろえ、パフォーマンスを上げていきたいと思います。」と、「今季のこの面子ではやれることなんてたいしてないわなぁ」と言わんばかり。それも一理あるのですが・・・J1残留がスコルジャに課せられた今季唯一無二のタスクで、それ以外はもうどうでも良かったのかなぁ・・・
この試合で数少ない良かった探しをすると、西川のポジションがいつもより高めで最終ラインも心なしか押し上がり、それゆえ前プレが思いのほかハマっていたこと。もっとも新潟が無理にボールを繋がずに「浦和にボールを渡していた」ことの裏返しかもしれませんが・・・
とはいえ、ホーム最終節といえばここ数年悲惨極まりない試合が少なくなく、荒れに荒れそうになった埼スタを功労者の引退・退団セレモニーやクマさんキャップを被った「ショル子」投入でなんとかごまかして何事も有耶無耶にしがちだったことを思えば、何もないスコアレスドローで興梠&宇賀神を送り出せたのはかなりマシなほうだと考えるべきなのかも。
《選手評等》
失態続きでボロクソに言われても仕方がない、あんまりなシーズンを受けて浦和フロントを糾弾するダンマクが試合後ワラワラ出てくると予想したのですが、ゴール裏の反応は意外にも「黒字で満足しているのは誰?株主、クラブ、選手、サポーターの情熱なしに栄光なし」の一枚だけ。しかも「株主」だけちょっと太字になっています。
サッカークラブは株式会社の形を取っているとはいえ営利企業ではないので、多額の黒字を計上して株主に還元する必要はありません。もっとも赤字続きでJリーグのライセンスに抵触してしまうのはお話にならないのでその辺のさじ加減は難しい(自然体だと赤字になりそうなところを親会社が広告料の形で補填してくれるクラブでない場合は特に)のですが、ショルツや酒井等の移籍で多額の移籍金を手にしているはずの浦和の今夏の金の使わなさっぷりは指弾されるのも当然でしょうなあ。
-----興梠-----
原口---渡邊---前田
---安居--グスタフ---
長沼-マリウス--井上-関根
-----西川-----
(交代)
63分 興梠→リンセン
71分 グスタフソン→小泉(小泉トップ下、渡邊CHへ)
71分 前田→石原(石原右SB、関根右SHへ)
80分 原口→二田(二田右SH、長沼左SH、宇賀神左SBへ)
80分 関根→宇賀神
-----小野-----
谷口--長谷川---太田
---宮本--秋山---
堀米-早川-舞行龍-藤原
-----小島-----
(交代)
57分 小野→長倉
57分 谷口→ゴメス
57分 太田→小見
90分 舞行龍→デン
90分 堀米→橋本
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