先日(1/29)、大畑歩夢選手がOHルーヴェンへ完全移籍する旨が公表されました。
大畑は1/7にトップチーム選手背番号が公表された際に「大畑歩夢選手、木原 励選手につきましては、移籍交渉を進めているため、決定し次第発表いたします。」と併記されていたので移籍自体はサプライズでもなんでもありませんが、その後全く続報がありませんでした。
1/27になってようやく機関紙スポニチから「ベルギー1部ルーベンに移籍する可能性が高いことが27日までに分かった。」と報じられ、それから時を置かずに正式発表となりました。
大畑は2022年に鳥栖から完全移籍加入。リカ体制1年目=2021年の浦和の左SBは本職ではない明本を転用してい凌いでいた状態にも関わらず、宇賀神が今季一杯で契約満了な上に山中の去就が怪しげだったので大畑の補強は実に理にかなっていました。
大畑の空恐ろしいのは鳥栖の下部組織出身にも関わらず、プロ1年目からリーグ戦で13試合も出場しており、2021年は30試合出場とバリバリのレギュラー格なこと。鳥栖は経営難で「売れる選手は何でも売る」状態に陥っていて若手を無理やり起用せざるを得ない結果なのかもしれませんが、キャリア的には浦和でいえば橋岡クラスの逸材と思われました。

ただ残念なことに大畑は2021年第36節札幌戦の試合中に負傷(右第五中足骨骨折)して全治3ヶ月との診断を受けていたので出遅れを余儀なくされ、スタメン出場自体は第2節からと予想外に早かったものの、しばらくは早い時間帯で交代させられるケースが続きました。またその後も案外小破が多くて、結局2022年の大畑のリーグ戦出場は22試合(うちスタメン19)1422分と準主力的な位置づけに留まりました。特に全北現代とのACL準決勝で顕著だったように、なんだかんだと大畑は当たり負けしてしまうことが多く、小破の多さも相まって左SBのファーストチョイスは明本であり続けました。
監督がスコルジャに代わった2023年はこの大畑の難点がよほど嫌われたのか、大畑の出番は激減してリーグ戦出場は16試合(うちスタメン4)、たった463分の出場に留まりました。明本どころか同年京都からレンタルバックの荻原にも抜かれて、おまけにシーズン序盤は「練習の態度が悪い」と監督に責められてベンチにも入れない日々が長く続き、結局超過密日程だったにも関わらず、明本が故障or出場停止の時にようやく出番が回ってくる程度に留まりました。
2024年は左SBのポジションを争っていた明本と荻原が共に移籍してしまい、しかも大畑を全く評価していなかったスコルジャからヘグモに監督が代わるという幸運に恵まれましたが、キャンプ時から早々と選手間に序列をつけるヘグモが左SBに選んだのは渡邊のコンバート起用。第6節FC東京戦でようやくスタメン出場に漕ぎつけましたが、松木にやられたのが仇となってその後しばらく出番を失ってしまいました。
それでも怪我人の大量発生を受けて第20節(6/26)から大畑はついにコンスタントにスタメン出場しはじめ、途中パリ五輪でのパフォーマンスも良かったせいか、監督が再びスコルジャに復しても大畑は左SBのレギュラーであり続けました。
最後の最後でようやく輝きを放ちはしましたが、3年間トータルでは大畑は期待外れだったと言わざるを得ません。またパリ五輪での活躍を受けて即欧州移籍=少額ながらも移籍金を残しての移籍ならともかく、契約切れに伴うゼロ円移籍なので、浦和への貢献度は非常に乏しい選手だったと思います。悪く言えば移籍金を払ってまで獲得したいと思う欧州クラブは現れなかったということですが。
浦和を「欧州移籍への踏み台」と公言していた選手としては遠藤航が思い出されますが、遠藤は最初から最後まで浦和の主力で、しかもチーム事情を受けて本職でもなんでもない右SBまでやって2017年ACLの立役者となり、最後はきっちり移籍金を残しての欧州移籍でした。ここまでやってくれれば浦和も「踏み台」になった甲斐があったというもの。遠藤に比べると大畑は「浦和に何しに来たん?」というのが心の狭い者にとっての正直な感想です。
なお大畑は移籍先でまたしても明本とポジションを争うようですが、果たしてどうなることやら。明本がステップアップ移籍する話が進んでいるのでルーヴェンは大畑を獲得したのかもしれませんが・・・
大畑にとって苦い思い出、辛い記憶だらけの日々だったかもしれませんが、それでも3年間ありがとうございました。