【DAZN短感】FCWC25 GS第2節:インテル・ミラノ 2-1 浦和
浦和は初戦リーベル戦で勝ち点ゼロに終わったため、次戦インテル・ミラノ相手に勝たないとグループリーグ突破は難しくなってしまいましたが、インテルも初戦でモンテレイ相手にまさかの引き分けに終わったため、こちらも浦和相手に必勝を期さざるを得ないという立場。
スコルジャ監督は試合前の会見で「明日インテルに対して我々が使いたいと思っていることは、これまでリーグ戦では使ってきませんでしたし、これは確かに我々が集中したいと思っている要素でもあり、それが効果的であればいいと思っています。」と語っていたので、スタメンに何らかのサプライズがあると予想した向きもあったようですが、蓋を開けてみるとリーベル戦とスタメンは全く同じでした。
一方インテルは怪我人が出たこともあって、前節からスタメン4名を変更しただけでなく、主力を相当欠いた陣容で浦和戦に臨んできた模様。
試合は立ち上がりから浦和が自陣に押し込まれっぱなしに。ただ相手をリスペクトしすぎて腰が引けてただただ自陣で守備ブロックを作るだけに終始したリーベル戦の立ち上がりと違って、インテル戦は行くべきところでガツンと当たりに行く積極的な守備がまま見られました。
またこの試合ではSHの片方が下がって5バックになる時間帯が続いたように見受けられました。これは相手が基本3-4-1-2で、WBを基点としたピッチを広く使った攻撃(=リーベルの1点目が典型)を仕掛けてくることへの対応だと思いましたが、これがスコルジャが言った「明日インテルに対して我々が使いたいと思っていることは、これまでリーグ戦では使ってきませんでした」なのかもしれません。
これをやると後ろが重くなって、低い位置でボールを奪ってもそこから攻撃に出るのが大変。ゆえにJリーグでは4バックのまま守備ブロックをスライドさせて対応していたかと思いましたが、インテル相手ではそれでは守り切れないと割り切ったのでしょう。渡邊も金子も守備時には最終ラインまで下がり、数少ない攻撃機会では前に出るなど上下動を繰り返し、金子に至っては西川のロングキックの的にもなって(しかも結構競り勝つ!!)彼らの負荷は目に余るものがありました。
そしてその甲斐あって11分金子が右サイドで独力で対面のアウグスト(#30)をぶち抜いてボックス内突入。そのラストパスに渡邊が反応して浦和が最初の決定機でいきなり先制!!渡邊の前に松尾が走ってインテル守備陣を引き連れての完璧な崩しでした。
ただその後も浦和が自陣で耐えるだけの試合展開にはなんら変化なし。浦和がなんとかボールを奪ってもインテルの攻守の切り替えが速すぎて浦和はボールを繋げず、カウンターを仕掛けるどころか単に前に蹴りだすのが精一杯だったのは見ていて結構辛いのなんの。
とはいえ、浦和の守備ブロックは崩れる気配はなく、多少なりとも危なかったのは19分左サイドでアスラニ(#21)クロス→ラウタロ(#10)のヘッドがバーを叩いた場面くらい。インテルのシュートはやたらブロックされ、ブロックされなくても枠を捉えきれずと攻めている割には点が入る感じはしませんでした。
後半になっても戦況に大きな変化はなく、スコルジャは66分になって消耗著しい金子に代えて関根を投入。70分には浦和が久しぶりにカウンターを仕掛ける場面がありましたが、すでにヘロヘロの渡邊のシュートは枠を捉えきれず。
浦和がヨレヨレながらも逃げ切り勝ちの気配が漂いだした78分CKからラウタロがバイシクル気味のシュートを決めて同点。ラウタロにはボザが一応付いており、ラウタロの姿勢も良いとは言い難かったのですが・・・これが高額FWの力=「金の力」なのか・・・
同点に追いついかれたところでスコルジャは79分サヴィオ→松本、松尾→サンタナと交代。松尾もサヴィオも既にヘロヘロで、特にサヴィオは前半ちょっと傷んだので交代が遅いくらいと思ったのですが、この交代が傷口を広げることに。ヘロヘロの両選手よりもサンタナが動けないとはなぁ・・・
そして90+2分後半途中投入のスチッチ(#8)のシュートのこぼれ球を同じく途中投入のカルボーニ(#45)がゴール左に冷静に流し込んで一気に逆転。格下相手に決定機はそれほど作れていなかったインテルは後半選手交代で火力を落とさずに攻め続けた一方。浦和は「選手を代えれば代えるほど悪くなる」といういつものコースに陥ってしまい、その差が最後の最後できっちり結果に表れた格好。
何も出来なかった訳ではないどころか、勝てそうだった試合、少なくとも勝ち点1は取れそうだった試合で負けたのは心底凹みました。しかも不運による負けではなくて、負けに至る過程がお馴染みのコースだったのが凹みを加速した感じ。
それでもスコルジャは10回やって1回勝てるかどうかという相手に勝ち筋を見つけるのがホンマ上手い。インテル相手に渡邊を下げて5バックにする。その前提として渡邊とサヴィオのポジション変更をリーグ戦でテストしておく。ここまではお見事でした。しかし同じようにリーグ戦の最後でテストしたサンタナ投入は大失敗でした。
全く動けないサンタナがボロクソに言われるのは仕方ないでしょう。でもリーグ戦に出てない髙橋や二田をこの大一番でいきなり出せるわけがないでしょうに・・・言い換えればなんだかんだとリーグ戦で出ていたなんとか倉は一生一度の見せ場を失ったのかもしれません。目先の出場機会に飛びついた哀れな奴です。さらに言えばサンタナに代わる強力なCF獲得に失敗したのが敗戦の遠因なのでしょう。
強敵相手の連敗で浦和はFCWCグループステージの可能性は潰えてしまいました。最終節の相手モンテレイはグループステージ突破の可能性が残っている一方、浦和にとっては完全な消化試合になってしまいましたが、燃え尽きていないかどうか些か心配です。
-----松尾-----
渡邊---サヴィオ---金子
---グスタフ--安居---
長沼-マリウス--ボザ-石原
-----西川-----
(得点)
11分 渡邊
78分 ラウタロ
90+2分 カルボーニ
(交代)
66分 金子→関根
79分 サヴィオ→松本
79分 松尾→サンタナ
87分 グスタフソン→原口(原口トップ下、松本CHへ)
87分 長沼→荻原
・解説坪井は基本的にポジティブで、それでいて居酒風屋ではなく、かといって変に戦術論に走る訳でもなく、おそらく誰にとっても心地よい解説で非常に良かった。DAZNもその辺をちゃんとわかっててFCWC浦和戦全試合に起用したのでしょう。
・主審はやたら細かくファウルを取る系でしたが、それで首尾一貫していたので個人的にはそれほど気にならず。ただ防戦一方の浦和がファウルで止めざるをえない場面が必然的に増えるので、その笛の傾向が浦和に不利に働いたのは否めず。
・また今大会から採用された「8秒ルール(=ゴールキーパーがボールを保持できる時間を8秒以内に制限するルール)」は結構GKにプレッシャーになる様子。特に試合の流れを変えるためにGKがボールを長々と持つ技が使えないのはこの試合の西川には辛く、しかも遅延行為でイエローをもらってしまったのでなおさら。
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