2022.12.06

【TV短感】カタールW杯R16:日本 1-1(PK1-3) クロアチア ~ これがベスト16の壁なのか・・・

・前半のうちに日本が先制するというこれ以上ない試合展開になりがらも後半早い時間帯に追いつかれ、その後は双方これといった決め手がないままPK戦へ突入。ところがそのPK戦で日本が早々と3人も失敗して5人蹴らないうちにあっさり決着がついてしまいました。

・クロアチアは前回ロシア大会でR16&準々決勝とPK戦を勝ち抜いて最後は準優勝まで辿り着いただけのことはあって、PK戦には絶対の自信を持っていたのかも。99分にモドリッチを下げ、その後も特に攻め急ぐ様子はなく、淡々と試合を進めていた処を見ると「日本相手のPK戦なら勝ち目は大きい」とハナから考えていたっぽいんだよなぁ・・・

・一方日本は「蹴りたい人から蹴っていく感じ」と試合後遠藤が語っていたことから察するにPK戦に対する事前準備なんて全然なかった模様。おまけに最初の南野のへなちょこキックに象徴されるようにPK戦へ向かう気迫も感じなければ、GKとの駆け引きを楽しむ余裕もないまま、浅野以外は淡々と蹴って淡々と失敗。わずかにポストやバーに嫌われたなら「運が無かった」のかもしれませんが、あのPK戦の負けっぷりみたら運以前の問題でしょうな、どう見ても・・・

・まぁクロアチア相手に120分闘ってドローだったのは高く評価していいと思いますが、ベスト16を突破するには最後の最後で準備が足りなかったということになりましょうか。

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・日本のスタメンは出場停止の板倉に代えて冨安を起用した他、田中→遠藤、久保→堂安と3人入れ替え。久保は体調不良でベンチ外となって堂安を頭から使う羽目になったのは誤算でしょうが、日本の前半は上々の出来でした。ボールポゼッションこそ劣勢なものの、何度かカウンターから右WB伊東が圧倒的なスピードでチャンスメイク。

・またセットプレーでも単純に蹴っても意味がないと悟ってかあれこれ仕込んでいる風を見せて、立ち上がりには谷口に決定機。そして43分ショートコーナーから伊東がクロス→吉田の折り返しを前田が押し込んで存外の先制に成功しました!!

・しかしクロアチアも当然ながら無為無策ではなく、前半から何度も披露していたハイクロス攻撃がついに結実。55分ペリシッチのヘッドで同点に。

・同点とされた日本は62分三笘&浅野と「特攻機」を飛ばして反撃に転じましたが、さすがにドイツ戦&スペイン戦と二度もこの「特攻」を披露してしまった後ともなると、クロアチアの三笘対策は万全。それでも三笘は単騎で見せ場を作りましたが、浅野はCBグヴァルディオルの前に手も足も出ず。

・三笘特攻は研究され、二の矢がない時点で日本追加点の目がなくなってしまいましたが、クロアチアはベテランが多く、しかもグループステージをあまり面子を代えずに闘ってきたせいか結構お疲れの様子。肝心のところでプレー精度を欠きまくって、双方決定機らしい決定機は少ないまま低位で拮抗して120分でも決着はつかずにPK戦入り。そして冒頭に記した通り、PK戦はクロアチアの完勝。

・今大会はドイツ&スペインとフットボールの「超大国」相手に勝ち目を見出し得るサッカーが出来た点では高く評価できましょう。一方コスタリカ戦ではボールを握らされた時の弱さを見せるとか、クロアチア戦ではベスト16を突破できるだけの戦術的なバリエーション=「二の矢がない」とか「PK戦の準備がまるでない」とか、なんだかなあと思われる面も多々。

・まぁグループステージの組み合わせが決まって時点でトーナメント進出は絶望視されていたことを思えば「よくやった!!」とは思いますが、モヤモヤ感の残る負け方でベスト8進出という目標は未達に終わったのも事実。安易に森保監督続投で良いものかどうか・・・

-----前田-----
--鎌田----堂安--
長友-守田--遠藤-伊東
-谷口--吉田--冨安-
-----権田-----

(得点)
43分 前田
55分 ペリシッチ

(交代)
64分 長友→三笘
64分 前田→浅野
75分 鎌田→酒井(酒井を右WB、伊東を左シャドーへ)
87分 堂安→南野(南野が左シャドー、伊東が右シャドーへ)
106分 守田→田中

・とうとう調子が上がらずじまいだった鎌田と心中した格好に。スタメンとしての南野を見切ったところまでは良かったのだが、最後にまた起用して死亡。

・前目なのに全く使われずに終わる選手がおるって、人選を誤ったのか、短期決戦では枠の拡大にあまり意味がなかったのか。

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2022.12.02

【TV短感】カタールW杯E組第3戦:日本 2-1 スペイン ~ また神風吹いた!弘安の役や!!

 いやはや恐れ入りました。ドイツに続いてスペインを撃破し、まさかまさかのグループリーグ1位通過!!
 
 前半は全く良いところが無かったものの、なんとか1点ビハインドで前半折り返し。後半選手交代で突然ギヤチェンジして、相手が戸惑っているうちに一気に逆転してそのまま逃げ切ってしまうという試合展開はドイツ戦そっくり。
 
 日本はひたすら守ってワンチャンスに賭けるという「弱者のサッカー」に徹するしかなく、それも10回闘って1回勝てるかどうかというシロモノだったのは間違いないんだけれども、そのやり方でW杯優勝経験国を2つ葬った。しかもウノゼロというジャイアントキリングにありがちなスコアではなく、共に2点取っての逆転勝ちとなるとこりゃもう偶然ではなく、かなりの程度起こるべくして起こった結果と言わざるを得ませんなぁ・・・ 勝負師森保監督を侮りすぎていました。申し訳ありません。

Tihahan1 

 この試合日本はハナから3バックというかはっきりした5-4-1でスタート。しかも前田を先頭に狂犬のように前から追い掛け回すのではなく、リトリート主体の守備で臨みました。当然ながらスペインに圧倒的にボールを支配され、11分にはアスピリクエタのクロス→モラタのヘッドであっさり失点。
 
 その後もスペインにボールを回されっぱなしで、日本は全くいいところなく前半を終える羽目になりましたが、日本にとって幸いだったのはスペインも「1点あれば十分だろう」とばかりに無理に追加点を取りに来なかったこと。スペインは早々と先制して「今日は勝ったな、風呂でも入るか」と思ったんでしょうなあ・・・。それも無理はないけど、まさかその風呂が火事になるとは!!

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 森保監督は後半頭から久保→堂安、長友→三笘と代えて早くも特攻モード入り。すると48分三笘、前田、そして伊東と狂犬3匹の連動した前プレが効いて高い位置でのボール奪取に成功。こぼれ玉を拾った堂安のミドルが炸裂して同点!さらに51分スペインを押し込んだ状態から右サイドから堂安低いクロス→逆サイドで三笘折り返し→中で田中が詰めて一気に逆転!!三笘が折り返した時点でボールはタッチを割ったように見えましたが、VARの神判定でゴールが認められました。
 
 ドイツ戦と違って逆転に成功した時間帯が早かったので、ボールを一方的にぐるぐる回された挙句に再逆転される可能性は高かったのですが、68分に冨安を右WBへ投入したのが妙手。これでスペインの左サイドからの攻撃を封殺したのが大きく、スペインは次第に手詰まり状態に。時折三笘が見せる強引な縦突破もスペインをビビらせる(=必要以上に攻めに人数をかけさせない)のには十分でした。
 
 スペインは相手をきっちり崩すことに拘り、強引なドリブルだとか、高さによる物理攻撃を仕掛けてくる相手ではないのも日本には幸いしたかな?シュートは結構撃たれたものの、結局後半危なかったのは89分トーレスとのワンツーで裏抜けに成功したオルモのシュートだけだったかも。でもシュートは権田ががっちりキャッチ。
 
 裏のドイツvsコスタリカの途中経過では日本は1点取られて引き分けだとGS突破出来ないという状況に追い込まれてはいましたが、7分もあったATも何事も起こらず、そのまま試合終了。スペインは「負けて2位通過でもOK」とどこかの時点で割り切ったかもしれませんが。

 まさかの首位通過でラウンド16の相手はクロアチアに決定。クロアチアはドイツやスペインと違って「圧倒的な格上感」がないのがボールを持たされると良いところがない日本にとって災いとなるかもしれませんが、もうここまで来た以上は「何か」を信じるしかありませんなぁ。

-----前田-----
--鎌田----久保--
長友-守田--田中-伊東
-谷口--吉田--板倉-
-----権田-----


(得点)
11分 モラタ
48分 堂安
51分 田中

(交代)
HT 久保→堂安
HT 長友→三笘
62分 前田→浅野
68分 鎌田→冨安(冨安が右WB、伊東がシャドーへ)
87分 田中→遠藤

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2022.11.28

【TV短感】カタールW杯E組第2戦:日本 0-1 コスタリカ ~ 案の定というかなんというか・・・

 ドイツ戦の短感を「日本の本来の目標はドイツに勝つことではなくあくまでもグループリーグ突破。ドイツに勝ったのは良いがコスタリカ&スペインに負けてグループリーグで敗退なんてことになったら目も当てられません。でも試合中に酒井が故障した臭いですし、途中投入の冨安の状態も怪しげ。はてさてどうなることやら。アトランタの再来は避けたいなぁ・・・」というパラグラフで締めくくったのですが、残念ながらその危惧通りの結果になってしまいました。
 
 シュート数14対4、CK5対0というスタッツ通り日本が優勢だったのは間違いなく、「優勢だったほうが負けた」という意味ではドイツ戦と同じ構図です。しかし、前日のドイツと違って日本は山のように決定機を作っていたわけではありませんから「不思議な負け」でもなんでもなく、サッカーにおいて十分起こりうる範囲内での負け。運が悪かったのではなく、自らの力不足を嘆くほかないでしょう。
 
 コスタリカは「堅守&カウンターが鋭い」というほどのことはなく、特に攻め手は非常に限定的だったので日本は最低引き分けで終わらせることは十分可能だったはずですが、それすらも出来ずに自爆ボタンをポチッとな。

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 敗戦の原因を煎じ詰めれば「コスタリカ戦の準備不足」に尽きる気がします。とにかく緒戦のドイツから勝ち点を奪わなければ話にならないので、まずはそこに全力を注ぐのは悪くはないのですが、それ以上に重要な「コスタリカには必勝を期す」ことへの準備が足りなかったように思えてなりません。奇襲に成功して「トラ、トラ、トラや!!Vやねん!!!」と狂喜乱舞した挙句に索敵を怠って正規空母4隻轟沈!!という何にちょっと似た気もしますが。

 日本のスタメンは前田→上田、伊東→堂安、久保→相馬、田中→守田、酒井→山根と5人も入れ替え。酒井がドイツ戦で故障してしまったので山根の起用はやむを得ませんが、他の4人の入れ替えは果たして事前の計画通りだったのかどうか。そして残念ながらこのスタメンはほとんど機能することなく前半を終える羽目に。
 
 上田を1トップに据えたのは「対コスタリカならボールが持てる=相手を押し込める」と想定したからでしょうが、その上田は全くボールを収めることが出来ず、完全に期待外れに。この出来なら「なんで大迫を入れなかったんだ!!」という話が吹き上がるのは無理もありませんが後の祭り。
 
 まぁ前半の不出来の責任を上田一人に押し付けても仕方ありませんが、自陣に引いて5-4-1の守備ブロックを敷いて守るコスタリカを日本は攻め倦み、コスタリカはコスタリカでボールを奪っても速攻に転じる風はなく、だらだらと攻めてはボールロストという、当事国以外には退屈極まりないであろう内容で前半終了。
 
 前半森保監督は全くの無策だったわけでなく、35分あたりから山根を高く押し出して3バック気味に修正していましたが、後半になって頭から長友→伊藤、上田→浅野と代えて本格的に3バックへシフト。これは多少効果があって後半頭に遠藤の際どいミドルシュートが生まれましたが、ドイツ戦共々こんなに3バックを多用することを前提にメンバーを選んでいたのかどうかという疑問が沸々と・・・
 
 さらに三笘、伊東と快足アタッカーを次々と投入し、好位置でFKを得る場面も増え始めましたが、残念ながら今の日本って頼りになるプレースキッカーがいないみたいで・・・相馬が蹴っているようではなあ・・・

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 そして運命の81分、コスタリカの右サイドからの遅攻で、伊藤のヘッドでのクリアを吉田が大きく蹴り出せば何事もなかったのになぜか吉田はクリアでもしっかり繋ぐでもない超アバウトな蹴り出し。守田が必死に尻ぬぐいしようとするも及ばずに17番に拾われ、17番→4番(フレール)への縦パスには伊藤が残っていてオフサイドが取れず。さらに4番のシュートは吉田にわずかに当たってディフレクトする不運もあってゴール左上隅に突き刺さってしまいました。
 
 この場面権田はなぜか両手でセーブしに行っており、まるで「目測を誤ってバンザイしながら頭上を抜かれてしまう外野手」みたいなマヌケな格好でゴールを決められているのが実に権田らしくて微笑ましかったのですが。
 
 日本は最後に南野を投入して反撃に転じ、88分左サイドから三笘が斬りこんで鎌田シュートなどゴール前での混戦模様となりましたが、最後はGKナバスががっちりキャッチ。日本は攻めに攻めながら最後まで一点が遠くて試合終了という、なんか今年の浦和で良く見た光景が遠いカタールの地で再現されるとは(つД`)

 後半頭が痛かったのはせっかく切り札三笘を投入したのに、その後ろにいる伊藤との連携が良くなかったこと。っちゅーか、なんでこれまで代表戦で実績を積み上げた訳でもない伊藤をこの大一番で長時間使ったのかなぁ・・・こんなことなら旗手を連れてくるべきだったんじゃね?とこれまた誰もが思うであろう疑問が沸々と・・・

 繰り返しになりますが、ボールを持たされる羽目になった時の打開策だとか、そうなった場合に投入すべき選手だとか、「森保監督はコスタリカ戦を真面目に考えたのかね???」という印象しか残らなかった残念な試合でした。
 
 ドイツvsスペインは引き分けに終わったので、日本は第3戦スペインに勝てば文句なく、引き分けでもドイツの結果次第ではグループリーグ突破の可能性がありますが、神風は2回も吹かないでしょうなぁ、たぶん・・・ 
 
 
-----上田-----
相馬---鎌田---堂安
---守田--遠藤---
長友-吉田--板倉-山根
-----権田-----

(得点)
81分 フレール

(交代)

HT 長友→伊藤
HT 上田→浅野
62分 山根→三笘
67分 堂安→伊東
82分 相馬→南野

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2022.11.24

【TV短感】カタールW杯E組第1戦:日本 2-1 ドイツ ~ ハマった時のカミカゼサッカーの謎の強さ!!!

 いやはや恐れ入りました。ドイツのあんまりな決定力の無さに救われた側面が強いとはいえ、W杯本戦ですから結果が全て。ドイツは優勝を狙って長丁場を闘うべく緒戦からトップコンディションで入っては来ないであろうと思われるのに対し、日本は緒戦で勝ち点を一つでももぎ取るべく全力で行くしかない立場。それゆえ本来の実力差よりは競った試合になるだろうとは思いましたが、まさか逆転勝ちするとは!!日本サッカー史上に残る大金星となりました。

Tihahan1
 
 前半の日本は悲惨としか言いようがありませんでした。8分に鎌田のボール奪取から伊東→前田と速攻が決まった!!と思ったらめっちゃオフサイドだったのが唯一惜しかっただけで、その後はドイツに殴られっぱなし。
 
 ドイツは左SBラウムを前に押し出して対面の右SH伊東を徹底攻略。日本の攻めは伊東を走らせてナンボなのですが、その伊東が守備面で大穴になってしまうジレンマに立たされて大苦戦。遠藤が大炎上している右サイドを支援すると今後はバイタルエリアがぽっかり。日本はボールを奪う位置が低い上にいい形でボールが奪えないので得意の速攻を繰り出せず、ひたすら波状攻撃を受ける羽目に。
 
 もうドイツが先制するのは時間の問題としか言いようがない戦況が続く中、案の定というかなんというか権田がVARで確認する必要が全くないレベルでのPKを取られて33分に失点。前半間際ドイツに完膚なきまでに崩された場面はVAR発動→オフサイドに救われましたが、ボールを80%近く支配されてシュートは1本しか撃てないという散々なスタッツを残して前半終了。
 
 あんまりな前半を受けて森保監督は何の役にも立っていない久保(なんでスタメンなのかも謎でしたが)を下げて冨安を投入し、3-4-2-1というか事実上5-4-1にフォーメーションを変更し、しかもリトリート主体だった守備を捨てて「カミカゼプレッシング」に転換。
 
 5バックに転換したことで日本右サイドをやられまくる傾向はなくなったものの、カミカゼプレッシングの副作用(=吉田が最終ラインを上げたがらないのでスカスカの中盤を良いように使われてしまう)もそれなりにデカくて、「追加点を取られる可能性は依然大きいままだが、点が入る芽が出ただけ前半よりはマシ」という感じに。
 
 最悪の状況を脱した日本は57分前田→浅野の交代はともかく、長友→三笘という「守備を一部放棄した!!」と取られても仕方がない選手交代を敢行してがっつり3-4-2-1へ。ドイツも67分ミュラー→ホフマン、ギュンドアン→ゴレツカと代えてから戦況は攻め合いの様相を呈しましたが、ここで頑張ったのが権田。リーグ戦で溜めに溜めた運をここで大放出して好セーブを連発!!!

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 調子づいた森保監督は「守ったら死ぬ!!!総員突撃セヨ!!」と言わんばかりに71分田中→堂安、75分酒井→南野とアタッカー祭り。祭りだ、祭りだ、祭りだ、豊年祭り。
 
 そしてその森保監督に期待に応えたのが堂安。75分左サイドから三笘縦に突破→南野シュートはいったんノイアーに弾かれたものの、こぼれ玉に堂安が詰めて同点。

 さらに83分自陣深い位置からの板倉FK縦ポンに最前線で浅野がCBシュロッターベックに競り勝っただけでなく、なんとノイアーのニアというか頭上を抜いての逆転ゴール!!さすがのノイアーも単騎で突っ込んでくるカミカゼの出現は想定外だったのかも???
 
 ATにおける失点の多さでは定評がある権田なだけに7分もあったATは気が気でありませんでしたが、ドイツの反撃は拍子抜けするくらい迫力が無くてそのまま試合終了。
  
 スタッツ的にはドイツはアホほどあった決定機で1点しか取れなかったのが全て。日本は全く良いところが無かった前半でなんとか1失点に抑え、かつ心も折れなかったのが奇跡的な逆転勝ちに繋がったと評価していいでしょう。再現性がある=将来に繋がるサッカーだったのかどうかはさておき(苦笑)、日本人のメンタリティー的には大いに好まれる試合だったのは確かです。

 ドイツに勝ったのはこの上ない慶事なのですが、日本の本来の目標はドイツに勝つことではなくあくまでもグループリーグ突破。ドイツに勝ったのは良いがコスタリカ&スペインに負けてグループリーグで敗退なんてことになったら目も当てられません。でも試合中に酒井が故障した臭いですし、途中投入の冨安の状態も怪しげ。はてさてどうなることやら。アトランタの再来は避けたいなぁ・・・でも往々にしてドイツに勝ったことで大満足してしまいがちなのが日本人のメンタリティーだからなあ・・・

-----前田-----
久保---鎌田---伊東
---田中--遠藤---
長友-吉田--板倉-酒井
-----権田-----

(得点)
33分 ギュンドアン(PK)
75分 堂安
83分 浅野

(交代)
HT 久保→冨安
57分 長友→三笘
57分 前田→浅野
71分 田中→堂安
75分 酒井→南野

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2019.06.26

【TV短感】フランス女子W杯決勝T1回戦:日本 1-2 オランダ

・前半はオランダの厳しいプレッシング&球際の強さに圧倒されて日本はビルドアップもままならず、オランダは優勢な時間帯のうちにCKで先制。しかし、日本が数少ない決定機を活かして前半のうちに追いつけたのが大きく、オランダの運動量が落ちた終盤は日本が立て続けに決定機を掴み勝利目前と思われたが、AT突入直前に熊谷がエリア内ハンドでPKを取られて突き放され、そのまま試合終了。

・決めるべき時に決めないとこうなる、というサッカーにありがちな試合展開で、オランダに決定的に崩された場面は少なく、選手達は負けた気がしないかもしれませんが終わってみれば負けている。そんな試合でした。かつては劣勢の試合を凌ぎに凌ぎ、わずかなチャンスを活かして紙一重の差で勝つような試合展開で勝ち進んできた日本が、逆に紙一重の差で負けるようになったとも言え、そういう意味では日本の緩やかな衰退を象徴する試合だったのかもしれません。

・熊谷のハンドは新規則で言えば「手や腕を用いて意図的にボールに触れ」たわけではないけれども、「手や腕を用いて競技者の体を不自然に大きくした。」に該当するのかな? まああれだけ腕を広げていれば取られても仕方がないハンドだと思います。ベテランCBにしてはいささか迂闊。PKもGK山下が先に動いてしまってどうにもならず。

・また先制点を取られた場面もいかにも迂闊。オランダCKで、高さに勝る相手のハイボールばかりを警戒していたためかもしれませんが、低いボールをどフリーのマルチンスにニアで合わされるってなんじゃそれ??

・ただ前述のように前半オランダは前から厳しくプレッシングをかけ、かつ球際で勝ちまくって日本のビルドアップを寸断しまくっていたのに、そこからの攻撃が非常に稚拙。立ち上がりに清水の裏を突く形で左サイドのクロスから2回決定機を作り、「こりゃいけるで!!」と手ごたえを掴んだのが却って仇となったか、先制後は清水の裏へやたら縦ポンを蹴るだけの単調な攻撃に堕してしまってポゼッション優位を全く活かせず。

・日本は前半ビルドアップにこそ苦しんだものの、前線にボールが繋がればオランダDF陣は日本の速いパス回しに付いて来れないことが徐々に明らかになり、20分長谷川→菅澤の決定機はポストに嫌われたものの、43分杉田→菅澤ポスト→岩渕スルーパス→長谷川で同点。

・オランダのしょぼい攻撃にも慣れ、かつオランダの運動量が落ちた終盤。高倉監督が珍しく効果的な選手交代(中島→椛木)を見せたことも相まって71分長谷川、76分岩渕、79分杉田、80分椛木と立て続けに決定機。ところがバーに嫌われ、オランダGKの好守もあって得点ならず。

・PKを取られた場面は、そもそもオランダが久しぶりに地上戦を仕掛け、鮫島が右WG21番のスピードにわずかに後れを取ったのが契機。日本も相手の出方の変化について来れなかったといっていいのかも。突き放されて残り5分になって、熊谷を前に上げてのパワープレー=なぜか日本のストロングポイントではないところで勝負をかけるとは(苦笑)。

・結局2位でグループステージを突破したものの、4試合やって1勝1分2敗。しかもその1勝(vsスコットランド)は清水のエリア内ハンドを主審が見逃す&VARもなぜか発動しないという幸運に恵まれたもの。強引に世代交代を進めている過程なので、今大会の結果にはそもそもたいして重きを置いていないのかもしれませんが、イングランド&オランダと欧州トップレベルに連敗した事実をJFAはどう捉えるのかな?

・オランダ戦に関して言えば敗因は決定力不足に尽きるのかもしれませんが、リーグ3年連続得点王の田中美南を選ばなかったツケがこんなところで噴出したとも言え、そもそも監督の選手選考に問題があるような気がしてなりません。


---岩渕--菅澤---
長谷川-------中島
---杉田--三浦---
鮫島-市瀬--熊谷-清水
-----山下-----

(得点)
17分 MARTENS
43分 長谷川
90分 MARTENS(PK)

(交代)
72分 中島→椛木
90+1分 岩渕→宝田

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2019.06.15

【TV短感】フランス女子W杯D組第2節:日本 2-1 スコットランド

・前節この組最弱と目されたアルゼンチン相手にまさかのスコアレスドローに終わってしまった日本。スコットランドとの第2戦で引き分け以下に終わり、後はこの組最強と目されるイングランド戦を残すのみとなると、グループステージ突破が怪しくなってしまうという立場。

・そこで高倉監督は前節から横山→岩渕、長谷川→遠藤、南→市瀬と3名スタメンを入れ替え。故障明けかつ第1戦でも良いところなしだった岩渕をスタメン起用したのは大博打に近かったでしょう。ただなぜかCBを入れ替えたのは不可解。またこのチームの核といって差し支えない長谷川をベンチスタートにしたのも不可思議と思っていたら、なんと長谷川はアルゼンチン戦で小破していたとのこと。このメンバー、何人故障者&故障明けを抱えてんねん・・・

・ところが岩渕&遠藤のスタメン起用は大当たり。スコットランドは初戦イングランドに敗れているので日本以上に負けは許されない立場で、アルゼンチンと違って専守防衛に徹してもいられないこともあってか、日本は菅澤のポストプレーを岩渕&中に絞ったSHが適宜フォローし、さらにSBの攻撃参加で厚みを加えながら序盤から大攻勢。

・スコットランドの右SB&CBは日本の細かいパス回し&ドリブルに対応しきれないようで、序盤から怪しさ満載。23分スコットランドCBのヘディングクリアが小さすぎたところを遠藤が拾ってバイタルエリア中央でどフリーの岩渕に繋ぎ、岩渕がGKの頭上を抜く形でゴール!!

・37分には清水からのハイクロスに反応した菅澤をスコットランドCBがボックス内で後方から引き倒してしまってPK。菅澤自らPKを決めて2点目。その後もセットプレーで熊谷ヘッドが枠を捉える惜しい場面がありました。

・スコットランドは縦ポンでスピードのあるFWを日本最終ライン裏に走らせるだけの単調な攻めに終始し、日本が守備ブロックを整えてしまうと手も足も出ず。日本CB&SBもそんな単純な攻めでやられるほどスピードが無いわけではないので2点差リードなら楽勝、あわよくば得失点差を稼げるチャンスだと思いながら見ていましたが、残念ながら日本は後半大失速。

・58分中島得意のカットイン&シュートがGKの好守に阻まれた後は攻撃の形を作れなくなってしまい、試合は次第に膠着状態に。とはいえ2点リードしているので膠着状態自体は悪い話ではなく、そのままだらだらと時間を消費すれば良いものを、日本は謎の選手交代で自分で自分の首を絞めてしまいました。

・岩渕はやはり90分は無理なのか、また立ち上がりから飛ばし気味だったのが祟ったのか後半はすっかり消えていたので、小林に代えるのかと思いきや代えられたのはなんと遠藤。この交代は何の役にも立たず、終盤体格に勝るスコットランドがゴリゴリと攻めこんで日本は一方的に押し込まれる苦しい状況に。78分スコットランドFKからのシュートがポストを叩く一幕も。

・ここで高倉監督は何を思ったのか、82分わざわざ故障持ちの長谷川を投入。ところがこれまた何の役にも立たず、88分市瀬がどフリーで相手へプレゼントパスをやらかす大失態でとうとう失点。その前84分には清水のエリア内ハンドを主審が見逃す(なんでVARが発動しなかったのか不思議)という幸運もあり、這う這うの体でなんとか勝ち点3をゲット。終了間際の杉田のシュートが決まっていればもうちょっとすっきり出来たのですが、あそこはGKを褒めるべきでしょう。

・この組最強と目されるイングランド戦を前になんとか勝ち点4を積み上げ、まさかのグループステージ敗退の可能性はぐっと小さくなりましたが、勝ったとはいえこの試合内容では今大会の日本はたいして強くはないという印象は払拭できず。トーナメントに進出して相手が格段に強くなった際にどこまでやれるかなぁ・・・

---岩渕--菅澤---
遠藤--------中島
---杉田--三浦---
鮫島-市瀬--熊谷-清水
-----山下-----

(得点)
23分 岩渕
37分 菅澤(PK)
88分 Lana CLELLAND

(交代)
66分 遠藤→小林(小林がFW、岩渕が左SHへ)
82分 岩渕→長谷川

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2019.06.11

【TV短感】フランス女子W杯D組第1節:アルゼンチン 0-0 日本

・佐々木監督を引っ張りすぎた結果世代交代に失敗してリオ五輪出場を逃した反動なのか、高倉監督は強引な世代交代あを推し進め、20代前半の選手を大量招集するどころか19歳の選手をも抜擢して臨んだフランス女子W杯。

・本大会のグループステージは各組4カ国中、各組上位2チーム&3位のうち6組の中で成績上位の4チームが決勝トーナメントに出場できるという緩いリーグ。

・日本が入ったD組はアルゼンチン<スコットランド<<イングランドと対戦毎に相手が次第に強くなる感じで、グループステージの突破基準は緩いこともあって、実力凋落気味とはいえ日本は一応ノックアウトステージに進むのは当然という立場。一方アルゼンチンは格上の日本から勝ち点1をゲット出来れば万々歳、この一戦に全力を出しても何らおかしくはないという立場で、男子とは全く逆。

・従ってアルゼンチンはその立ち位置通りに頭から自陣を4-5-1の守備ブロックで固め、しかもいい形でボールを奪ってもほとんど攻めに出ないという極端に守備的な戦い方をしてくるのは当然でしょう。

・そんなアルゼンチンに対して、日本は最後まで同じようなテンポ、同じような手口で攻め続けて、とうとう最後まで相手の守備ブロックを崩せずにスコアレスドロー。まるでミシャ期のドツボパターンを見ているような感じでした。攻めの変化らしきものは50分横山ミドルくらいで、終始攻め続けてはいるものの、相手GKをびびらせるような枠内シュートはほとんど撃てずじまい。CKも全く決定機に繋がらず。

・また高倉監督の選手交代も完全に不発。特に故障明けの岩渕投入はかなり無理があり、ほぼファブリシオ状態。ボールを失っていきなり手で相手を止めてイエローをもらってしまうダークサイドへの堕ちっぷりといい、全然使い物になりませんでした。

・故障で全然試合に出ていない阪口を連れて行ったことと言い、なぜかリーグ3年連続得点王の田中美南を選ばなかったことと言い、これじゃそもそも選手選考に問題があるのでは?と言われても仕方ありません。

・日本はノックアウトステージに進んでからナンボという立ち位置なので、まだコンディションは万全じゃないのでしょうが、いくらなんでもこの試合内容では「フランスW杯は来年の東京五輪へ向けての壮大なステップレースに過ぎない」と陰口を叩かれるのもやむを得ないかと。

・なお、最初の選手交代から攻めに出るというところまで含めて、どこからどう見ても完璧にアルゼンチンのゲームプラン通りに試合が進んでいるのに、解説者はアルゼンチンに敬意を欠いていたのではないかな? いくらなんでもアルゼンチンをなめすぎでしょう。

---横山--菅澤---
長谷川-------中島
---杉田--三浦---
鮫島-南---熊谷-清水
-----山下-----

57分 横山→岩渕
74分 中島→遠藤(遠藤左SH、長谷川トップ下、岩渕右SHの4-2-3-1にシフト)
90分 菅澤→宝田

 

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2018.07.03

【TV短感】ロシアW杯ラウンド16:日本 2-3 ベルギー ~ 大善戦だが、準備期間が足りなかったのが最後に命取りに

・前半押し込まれる時間帯が長続きながらも粘り強く守ってなんとかスコアレスで折り返し。後半早々狙い通りにカウンターから原口&乾のゴラッソ連発で2点を奪ったところまでは西野監督の思惑通り(1点ではなく2点取れたところは思惑以上か?)だったかもしれません。しかし、ベルギーが65分フェライニ&シャドリと長身選手を2人も投入してきたのに対して西野監督はこれといった有効な手立てが打てず、あれよあれよという間に3失点で悔しい逆転負け。

・フェライニなんてプレミアリーグの各チームですら対応に苦労しているのですから、日本がCBをもう一枚入れて5バックにしたところで対応は難しかったかもしれませんが、かといって簡単に放り込まさせないように手だてを打つわけでもなく、2点リードを最大限生かしてベルギーの焦りを加速させるかのように狡猾に振舞うわけでもなく、正直無為無策すぎました。それどころか途中投入の本田と山口が最後の失点に絡んでしまうオマケ付き。

・日本は前半から押し込まれる時間帯が長かったので、ベルギーが早い時間帯から「勝てばよかろう」とばかりに開き直って「ルカクや!ルカクの頭や!!」と物理的に殴りつけに来たら勝負にならなかったかもしれません。幸いベルギーが妙に地上戦に拘ってきたので勝負になりましたが、マルティネス監督がまさかの2失点を受けて「ザルで殴りつける」攻撃に切り替えてきた時点で半ば勝負あり。そして、ベルギーがその手に出てくることは十分予想されたのに、日本にはこれといった対応策はありませんでした。

・そりゃ準備期間もへったくれもなく、突然監督に据えられた西野に相手の出方に応じてあれこれプランを用意しろ!というのがそもそも無理な話。ベルギーのファーストチョイスに対して短期間で攻撃・守備ともそれなりの手筈を整えられただけでもたいしたものだと思いますが、それ以上のものを求めるならやはり本番直前の監督交代なんて無理筋以外の何物でもなかった。そう断じざるを得ません。

・準備期間の足りなさは、監督が闘えると判断できる戦力が結局この日のスタメンわずか1セットしかなかったところにも表れていると思います。ポーランド戦で大胆に6人もスタメンを入れ替えたら全員失敗だったのには驚きましたが、そもそも時間がなさ過ぎて西野監督なりのプランに沿った人選だったのかどうか、やむなくハリルホジッチの遺産を引き継がざるを得なかったのではないのか等々、かなり怪しい気もします。

・この試合でも攻撃のキーマンだった柴崎がへろへろで下げざるを得なかった時点で攻撃は詰み。原口並に攻守に走り回れるSHはとうとう見つからず。そして信頼できる駒がいないためか、劣勢に陥っているのに交代枠を一つ余らせる始末。

・フツーに3連敗と予想していたのに結果はまさかのベスト16で、しかもベルギーをあと一歩のところまで追いつめたという結果だけ見れば今大会は万々歳なのかもしれません。しかし、11人相手には1勝もしてないのも厳然たる事実。また大迫・乾・原口・柴崎と個人レベルでは世界に十分通用する選手がいることはよく判ったが、それ以上何があったかとあんまり思いつきません。今大会の総括は非常に難しく、人によって意見が分かれると思います。もっともJFAがまともな総括をやるかどうか怪しいのですが。

・試合後は長友を筆頭に次の大会がなさそうな選手は概ねサバサバ、いかにもやり切った表情だった一方、原口を筆頭に次がある可能性がある選手は悔しさが滲み出ていて、その辺も正直なんだかなぁという気も。今大会の主力は4年後大半がいなくなる可能性が極めて高いだけに、総括も難しければ教訓を次世代に生かすことも難しいような・・・

-----大迫-----
乾----香川---原口
--柴崎--長谷部---
長友-昌子-吉田-酒井宏
-----川島-----

(得点)
48分 原口
52分 乾
69分 フェルトンゲン
74分 フェライニ
90+4分 シャドリ

(交代)
81分 柴崎→山口
81分 原口→本田

・原口がついにW杯でのスコアーラーとして日本代表の歴史に名を刻みました。これは本当に誇らしい。柴崎からスルーパスが出てくるのを信じて全速力でスペースへ走る原口。ちょっと縦に走ってシュートコースが狭くなったのに、その狭いところにぶちこんだのですから恐れ入りました!! 今大会は長友・乾の左サイド攻撃に偏重していて、原口は守備で走り回るだけの展開が長かったのでノーゴールやむなしをと思っていましたが、最後に大仕事をやってのけました!!

・原口以上にスーペルだったのが乾。バイタルエリアでほぼノープレッシャーだったので乾にはFKを蹴っているのも同然だったのかもしれませんが、あの距離で無回転シュートとは!! 長い手から逃げてゆくようなシュートを蹴られて、クルトワは手も足も出ず!!

・原口のゴール、そして今大会の乾の2ゴールともシンプルな攻撃が実ったもの。「俺たちのサッカー」でもなんでもなく、ハリルホジッチの遺産がもたらしたような気がふつふつと。

・そして「ザル殴り攻撃」に切り替えたベルギーに流れが行ってしまったという意味で罪がでかかったのはまたしても川島。フェルトンゲンのふんわりヘッドで頭上を抜かれるのはともかく、その前の猫パンチがなぁ・・・ スーパーセーブも散見されましたが、結局のところ本大会を通じてチームの足を引っ張り続けた川島でした。もっとも川島本人以上にJリーグのGKは韓国人だらけで、川島を楽に超えられる日本人GKがいないのが最大の問題なのでしょうけど。

・2失点目=CKからの流れでアザールクロス→フェライニヘッドなんて「ザル殴り攻撃」そのもの。そして試合終了間際の3失点目。CKからカウンターを食らって失点ってどこの浦和やねん(苦笑) CKがクルトワにあっさりキャッチされる本田もなんだが、全速力で向かってくるデ・ブルイネに棒立ちの山口とは何だったのか。そしてこの超高速カウンターこそ本気のベルギーなんなんだろうなぁ・・・

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2018.06.29

【TV短感】ロシアW杯H組第3戦:日本 0-1 ポーランド ~ 何もかも運任せ、コロンビア任せ(苦笑)

・ポーランドはグループリーグ連敗に終わったのも当然と感じられるトホホな出来でしたが、なぜかスタメンを一気に6人も入れ替える暴挙に出た日本の出来も褒められたものではなく、双方低調な試合内容ながら後半ついにセットプレーで失点。裏カード「セネガルvsコロンビア」が双方「談合」の末ドローに終わってしまえばセネガルが1位、コロンビアが2位でグループリーグ突破、日本はグループリーグ敗退が決まるという厳しい状況に立たされてしまいました。

・ところがコロンビアが1位通過を欲張ったのか、突如「談合」を破棄して74分にセットプレーで先制。この時点で日本とセネガルは勝点、得失点差、総得点で並び、警告などのフェアプレーポイントで日本が2位でグループリーグ突破という珍しい状況が生じました。

・ATを含めて残り時間10分程度となった時点で西野監督はなんとポーランド相手に攻めずに0-1のスコアを甘受し、コロンビアが同点に追いつかれないことに賭けるという大博打に打って出ました。

・確かに後半の日本は大迫、乾投入の甲斐もなく、酷暑も手伝ってか運動量が激減してほとんど得点の気配がないどころか、ポーランドのカウンターを浴びて追加点を取られかねない場面が目立ちました。それゆえ無理に点を取りにいって致命的な2失点目を食らう愚を犯す(しかもその可能性が高いことははっきりしている)よりは、自分ではコントロールしようがない他会場のスコアに賭けるという判断は、賭けの分としてはそんなに悪いものではなかったと思います。

・ただその賭けに敗れた場合、西野監督はこれまでのキャリアが全部無になるくらいの激しい批判を浴びたことでしょう。勝つ可能性が相対的に高い選択肢を選んだに過ぎないのだが、失敗した時の失うものの大きさを考えれば、この賭けは相当の強心臓の博打打ちじゃないとできません。この点だけは西野監督に脱帽します。そして西野監督はその賭けに見事勝ちました。

・この「目の前の試合の負けを甘受して、他会場の結果に身をゆだねる」という賭けはスペクタクルな試合を期待する向きからすれば腹立たしいでしょうが、残念ながらこの試合は結果が何より大事。結果が全ての試合でしょっちゅう結果が残らなかったクラブを応援している身としては、西野監督の大博打とそれに勝った強運を批判できません。

・ただ、この試合で納得できないのは「最善の手を尽くした上で、最後はやむを得ず大博打に打って出た」という風には見えなかったこと端的に言えばスタメンをなぜか一挙に6人も入れ替えたのは謎としか言いようがありません。2試合終えた時点でグループリーグ突破を決めている強豪国がやりがちな「16強を見据えての大胆なターンオーバー」なんて訳がなく、単に2戦をスタメン固定で戦った挙句に大消耗して大幅に入れ替えざるを得なかっただけでしょう、これは。

・そしてこの入れ替えは全員失敗。ある者はボールをこねくり回してチャンスを潰し、ある者は守備に大穴を開け、ある者は攻めに出ても何もできず、ある者はしょっちゅう判断を誤り、ある者は案の定故障。また柴崎は前2戦の活躍で日本の生命線であることがバレでしまい、柴崎本人の疲れもあって何もさせてもらえませんでした。ゆえに立ち上がりこそポーランド最終ラインのミスを突いて決定機を2度作りましたが、その後は著しく尻すぼみに。

・引き分けでいい試合だったのに、引き分けすら難しい状況に追い込まれたのは半ば以上自業自得でしょう。2試合で戦力を使い果たして3試合目を戦う余力が日本にはなかったと言い換えることもいいでしょう。

・この「6人替え」の暴挙を見る限り、西野監督にそもそも3試合通じてのゲームプランなんてあったかどうか甚だ疑わしいような気がします。結局ほぼ90分間10人だったコロンビアになんとか勝っただけで、11人相手には1分1敗。それでもグループリーグ突破と戦前の予想を良い意味で大きく裏切る結果になりましたが、この大会で得るものがあったかどうか、先に繋がるものがあったかどうか・・・

・しかし、結果的にこの6人替えが「16強を見据えての大胆なターンオーバー」になったという西野監督の強運ぶりには苦笑を禁じえません。まさに結果オーライ。

---武藤--岡崎---
宇佐美------酒井高
---柴崎--山口---
長友-槙野-吉田-酒井宏
-----川島-----

(得点)
59分 ベドナレク

(交代)
47分 岡崎→大迫
65分 宇佐美→乾
82分 武藤→長谷部

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2018.06.25

【TV短感】ロシアW杯H組第2戦:日本 2-2 セネガル ~ 歴史的価値のあるドローゲーム!!

・コロンビア戦の勝利はどう贔屓眼に見ても開始わずか3分での相手退場&PK獲得が主因で、その傷口をぺケルマン監督の謎采配(=全く動けないハメス・ロドリゲス投入)が広げたという、天祐というか神風というかそんな感じのものに相手の敵失が重なった極めて偶然性の高い結果。それゆえ、日本代表の実力は続くセネガル戦で改めて問われることになり、案の定そのあんまりな脆弱性が暴露されるだろうと思い込んでいました。

・グループ最弱と思しき日本相手に当然のように勝ち点3を奪いに来たセネガルは立ち上がりから猛ダッシュ。何度も日本左サイドを脅かし続け、11分にはGK川島の凡ミスも手伝って早々と失点。正直この時点で個人的にはこの試合は終わったと思いました。原口の中途半端なクリアも相当アレですが、正面のシュートをなぜかパンチングして目の前のマネに当たるという世界を驚かせるコントをここで披露するかね?

・ただセネガルも早い時間帯に先制点が取れて「今日は勝ったな、風呂でも入るか!!」と思ったのかどうかは定かでありませんが、先制した後のセネガルの動きが急激に鈍くなってしまったのがこの試合の不思議なところ。どこかで再度スイッチを入れて猛ラッシュをかけてくるものと思いながら試合を見ていましたが、結局最後までセネガルのピッチは上がりませんでした。守備は終始緩く、攻めも実に単調。初戦でポーランドに何もやらせなかったあの凄さは何処へ???

・個々人の一瞬のスピードはともかくとして、総じて動ぎは日本のほうが良いくらい。日本は柴崎の縦パス、大迫のポストプレー、長友&乾の左サイドからの崩しを軸に反撃を重ね、2度リードを許しながらもその度に同点に追いついてのドロー。しかも負けそうな試合をなんとかドローで終えたのではなく、後半15~20分にかけて大迫&乾に決定機があり、日本が勝てた可能性すらあったドローだったという印象を受けました。

・こうなると日本の実力をそんなに卑下する必要はない。チーム作りの過程は全く評価できないし、謎だらけだったとしても、強敵相手に正々堂々、歴史的価値のある勝ち点1を得た。そう評価して差し支えないでしょう。チームもこれで自信がついたことでしょうし。

・その後ポーランドがコロンビアに敗れたので、ポーランドは第3戦を待たずにグループリーグ敗退決定。日本は次戦そのポーランド相手に引き分け以上でグループリーグ突破が決まります。もっともこういうシチュエーションでことごとく負けてしまうチームを日常的に見てきましたが(つД`)

・この試合のMOMはゲームを通じての寄与という意味では1点目を挙げた乾よりも、その基点となった柴崎でしょう。ボールを奪い、奪い返しに来た相手を振り切り、広範囲に鋭い縦パスを送り、さらに必要に応じて前線に顔を出す。2失点目に左SBサバリに付ききれなかったのが残念だったくらいで、それ以外はCHとして文句なしの出来だったと思います。もちろんエリア内横ずれで自らわずかなシュートコースを作って1点目をぶち込んだ乾も大いに讃えられて然るべきですが、乾は2失点目の関与(右SBヴァゲに対応できず)もでかかったかと。

・またこの試合でもCF大迫はハンパなかった。柴崎を中心に日本が後方から繰り出す縦パスをことごとく収めて反撃の基点となり、かつ日本が最終ラインを上げる時間を作るのに大きく貢献しました。2点目も大迫のポスト&ふんわりクロスから。柴崎&大迫は日本の判りやすいストロングポイントなので、次戦ポーランドはここを潰しに来るでしょうけど。

・また何だかんだと言っても、またしても本田投入が第1戦に続いて結果的に大当たり。本田に続いて投入された岡崎共々、動きは全然良くないのだけれどもとにかく結果に絡む。こればかりは「持っている」としか言いようがない。短期決戦で勝つのに欠かせないラッキーボーイ。いやもう30を超えているのでラッキーオヤジでしょうか。

・もっとも日本の2点目は大迫のふんわりクロスの先にいた岡崎にセネガルDFが2人付いているのに、GKが飛び出してパンチングミス。岡崎が倒れたGKの邪魔をし続けてこぼれ玉を乾→本田という形でほぼ岡崎のゴール、あるいは日本の1失点目に匹敵するセネガルGKの珍プレーの賜物。総じて良い試合だったと思いますが、世界中の人が笑いころげたかもしれません。

-----大迫-----
乾----香川---原口
--柴崎--長谷部---
長友-昌子-吉田-酒井宏
-----川島-----

(得点)
11分 マネ
34分 乾
71分 ヴァゲ
78分 本田

(交代)
72分 香川→本田
75分 原口→岡崎
87分 乾→宇佐美

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