【観戦記】08年第34節 浦和 1-6 横浜M
G大阪戦の観戦記で「生きながらにしてして死んでいる浦和を埼玉スタジアムでもう一度見る。それは浦和の盛大な葬式そのものなんでしょう。」と書きましたが、実に盛大な葬式でした。
ここまでボロボロになると次期フィンケ監督はやりやすいだろうでしょうね。「浦和の流儀」を声高に主張する勘違い野郎もいなくなるでしょうし。
かつて常勝無敗を誇ったホーム埼玉スタジアムで6失点。公式戦でプロのチーム相手に「送別会」をやっちゃ、こうなりますわな。
横浜M(以下「鞠」)は空気を読んで岡野を手助けしてくれる御人好しじゃない。鞠じゃなくてもプロのチームは皆そうでしょう。
セルが負傷退場した時点で勝ち目はほぼなくなり、再三炎上していた右サイドをやられて3点目を取られた時にゲームは事実上終了しましたが、その後の送別会で4失点目にしっかり絡み、さらに崩壊したチームの中で盛んにボールを欲しがる岡野。こういう送別会は本意だったのかなぁ・・・
最後の岡野・内舘両ベテランのご挨拶でうるっと来て、ズタボロだった試合の記憶は遠くに霞んでしまいがちですが、こういう悲惨な試合こそ記憶しておいてしかるべきでしょう。
-----高崎-----
暢久---ポンテ--セル
---細貝--啓太---
阿部-堀之内-坪井-平川
-----都築-----
52分:セル→相馬
73分:暢久→岡野
-----坂田-----
--斉藤----兵藤--
小宮山------田中隼
--長谷川--河合---
-中澤--松田--栗原-
-----榎本-----
65分:坂田→大島
72分:斉藤→清水
79分:兵藤→水沼
ゲルトはもう真面目に試合をやる気がなかったのでしょう。
エジ、闘莉王が出場停止。高原、永井、達也が大なり小なり負傷とFWは非常に苦しい台所事情でしたが、そこでなんと大卒新人の高崎が初スタメン。夏以降はベンチにすら入れず、既に来季水戸へのレンタル移籍が報じられている状況下で突然の抜擢。高崎には非常に気の毒でした。前半はなんとかポストプレーをこなそうとはするものの、如何せんトップチームで一緒に練習していませんからボールを捌いたところで誰にも合わない場面が頻出。時間の経過と共にバテてポストプレーもままならなくなり、自然とボールも回って来なくなりました。さらに悲惨だったのは鞠守備陣にほとんど前を向かせてもらえなかったこと。シュート総数2本。1トップがこの出来じゃそうなるわなぁ・・・
前半こそセルの飛び出しやドリブル突破でなんとか鞠守備陣をこじ開けようとしましたが、そのセルが後半早々に負傷退場してしまうともはや浦和に勝機はほとんどありません。代わりに相馬が左SHに投入されましたが、そこは清水戦で全く機能しなかった因縁のポジション。当然ながら相馬は一人で大迷走を繰り返すだけでした。CKから細貝が1点返したのが奇跡と思えます。
また摩訶不思議だったのは阿部の左SB&暢久の左SH。闘莉王が出場停止なので当然阿部がCBに入り、左SBに相馬、左SHに梅崎だと思ったのですが、この布陣だといかにも左の守備が心もとない。 ゲルトは丸亀で田中隼にボコボコにやられたのを思い出したのでしょうか? 前半は確かに暢久の守備意識が高く、阿部と上手く連動して田中隼を自由にやらせないようにしていましたが、当然ながら今度は右サイドがボロボロに。
前半のセルは守備を免除されて事実上高崎と縦並びの2トップを形成しており、ポンテ・啓太・平川で右サイドを守る形になってましたが、前2者の守備に多くは期待できず、自然と平川が標的に。そして案の定炎上。
見るに見かねたのか、ゲルトは後半立ち上がりから暢久とセルの位置を入れ替えましたが(ハーフタイムでの左右の入れ替えって今年のゲルトを象徴してますwww)、暢久は早々と動けなくなってしまって平川のフォローにも何にもならず、そうこうしているうちに致命的な3点目を取られてしまいました。
前半の鞠は浦和の緩慢なパス回しを半ば放置・傍観したような格好で引き気味に構えて体力温存。後半から猛然と浦和の守備陣にプレッシャーを掛けてきました(坪井がボールを持ったら”ビッグチャンス!”とばかりに詰めてきますw)が、元来脆弱な浦和守備陣は鞠の攻勢の前にひとたまりもありませんでした。
これでゲルトは勝負を投げたようで、暢久に代えて岡野を左SHに投入。火に油を注ぐとはまさにこのことで、岡野投入後わずか3分でまたも右サイドを破られて左WB小宮山にこの日2点目を献上してしまいました。
その後はもはやサッカーの試合ではなく、単なる送別会。個々人がバラバラにボールを追い、何の意図もなくボールを前に運んで、簡単にカットされて逆襲を喰らう。もはや浦和に守備組織も何にもないものだから鞠はやりたい放題。岡野同様退団が決まっているFW大島には良い餞になりました。
浦和が今年大不振に陥ったのは点が取れなくなったことではなく、あれほど堅固だった守備があっさりと崩壊したことでしょう。1-6というスコアはその象徴。ゲルトはMDPで
「(清水戦とG大阪戦の)両試合で相手チームを押し込みながらも、残念ながら試合を決定付けたであろう、あと1点が我々の側に生まれませんでした。」
と述懐していますが、最後までゲルトは問題の本質を理解できないままでした。もっともその場凌ぎを繰り返すだけの監督に守備陣の再建なんておよそ期待できませんが。来年フィンケがどういうサッカーを披露してくれるのか判りませんが、守備再建に手をつけないと成績好転は難しいでしょうな。
フロントは今季終了と同時にフィンケとの基本合意、及び信藤氏のTD就任を発表。穿った見方をすれば、すかさず前向きな話題を提供することで悲惨だった今年の総括を有耶無耶にしようとしているかのようで、素直に評価する気にはなれません。
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