2020.08.25

マウリシオ選手&ファブリシオ選手、ポルティモネンセへ期限付き移籍

・昨日マウリシオ選手及びファブリシオ選手がポルティモネンセへ期限付き移籍することが公表されました。移籍期間は共に来年6月30日まで。

・両者の移籍は先週あたりからポルトガルのメディアで話題になっていて、かつ二人の仲介人の来日まで確認されていていたので、全くのガセではないだろうと思っていたところ案の定。両者とも今年になって出番が激減しており、しかもコロナ禍に伴う入場料収入激減でとにかく金がない浦和としては年棒の高い両外国人選手を手放さざるを得なかったものと思われます。

・ただ超意外だったのは、両選手ともポルティモネンセへの完全移籍ではなく期限付き移籍だったこと。出場機会が極めて限定的と判断された高額選手ですから、本来は契約期間がそれなりに残っているうちに売却して獲得に要した金額を幾何なりとも回収べきでしょう。特にラファエル・シルバ放出に伴うビッグマネー(6.5億円との噂)を注ぎ込んで獲得したファブリシオは。

・両選手の残り契約期間がどの程度あるのか判りません(ファブリシオは獲得時に5年契約との噂あり)が、レンタル期間終了=契約期間も満了でゼロ円移籍という最悪シナリオにもなりかねません。

・もっともコロナ禍は世界中の話で、どこのクラブも大なり小なり経営面でダメージを受けており、ポルティモネンセもその例外ではないでしょう。ポルトガルのメディアでは「二人はポルティモネンセでプレーしている選手の平均を大幅に上回る給与を得ているとして、ポルトガルに復帰するためには、あらゆる面での努力が必要であると伝えている。」という話もあり、浦和にとってのベストシナリオ=完全移籍に応じられるだけの金はポルティモネンセにもないものと目されます。

・それゆえ浦和は移籍金獲得は諦めて、目先の年棒負担削減&レンタル収入確保だけで手を打ったのでしょう。浦和はとにかく経営が苦しく、ベストシナリオに固執して破談になるよりは、確実に目先のコストカットになるほうがマシと考えたのかもしれません。

・今季の出番の少なさを考えればレンタル放出はやむを得ない話だと思いますが、両選手とも大金を注ぎ込んだけれども鳴かず飛ばずに終わった選手ではなく、それなりに大活躍した時期もあり、ところ変われば力を発揮できる可能性が十二分にあるだけに少々残念な気もします。

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・マウリシオは2017年8月にCSマリティモから完全移籍で加入し、スル銀カップがデビュー戦。幸か不幸か監督がミシャから堀へ入れ替わる時期に加入したので本来の獲得目的は判然としませんが、この年のCBは加賀&永田を放出し、イリッチは風になり、岡本のレンタルバックを見送って田村をレンタルで獲得するに留めたのでCBの層が薄かったのは確か。

・そして加入直後から最初は3バック中央、堀監督が4バックに転換した後も主に阿部とのセットでCBの一角を確保し続け、同年のACL優勝の原動力になりました。ただ皮肉なことにACL決勝第1戦で出場停止になったのが仇となったのか、第2戦はベンチスタート。おまけにCWCの初戦でもベンチスタートになり、しかもクソみたいな内容で負けたせいかマウリシオが滅茶苦茶怒っていたのが強く記憶に残っています。

・堀→オリヴェイラと監督が代わり、再び3バックになった2018年もマウリシオは主力中の主力として活躍していましたが、故障明けで天皇杯準決勝に出場した無理が祟ったのかなんと決勝戦は欠場。うーん、なんか巡り合わせが悪いというかなんというか・・・

・2019年オリヴェイラ→大槻と監督が代わってもなおしばらくは主力扱いでしたが、雲行きが怪しくなったのが9月にたまたまリーグ戦・ACL準々決勝と連続して出場停止になってから。それ以降3バックの中央は鈴木に取って代わられがちになりました。

・そして4バックに転換した今年はもともと余り気味だったCB陣にさらにデンが加わり、そのデンが早々に主力に定着したこともあってベンチに入るのも難しくなってしまいました。コロナ禍で奥さんやお子さんと離れ離れになったままなのが相当辛かったようで、メンタル的な問題を抱えていたのかもしれません。

・マウリシオは見るからにACL向きの屈強な体格でハイボールは確実に跳ね返し、前に出てボールの受け手をガンガン潰し、しかもロングフィードも巧い実に頼もしいCBでした。ただスピードが無いので裏を取られると弱く、ここがハイライン志向の今年の大槻監督には合わなかったものと目されます。前に出て潰したがる性癖も一歩間違えればラインを乱す元凶になりがちですし。またいつも無表情のインスタとは対照的に、プレー中は割と瞬間湯沸かし器系で、無用なイエローカードも少なくありませんでした。

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・ファブリシオは2018年5月末にポルティモネンセから完全移籍加入。同年の目玉商品マルティノスはお話にならず、3月に獲得したナバウトはスタメンで使うには力不足という状況下、「とにかく点取り屋を取れ!!」とのオリヴェイラ新監督の要望を受けてラファエル・シルバマネーを握りしめたシュータンがさして探し回ることもなく、安易にポンテルートに乗っかって獲得したものと思われます。

・デビューは7/22のアウェーC大阪戦。シャドーの一角というか、興梠1トップよりはやや下がり目のセカンドストライカー的なポジションに入りました。

・そして初ゴールはその次のアウェー広島戦。試合終了間際のカウンターチャンスでファブリシオが突如広島ゴールを急襲。終了間際の、試合の趨勢には全く関係のない「ケーキにイチゴを載せた」ようなゴールでしたが、デビュー戦でも垣間見せたミドルシュートの威力&精度の高さを早くも結果に結び付けて、その後もゴールを量産。

・磐田戦ではミドルシュートだけではなく、シュート精度というかシュートを撃つ瞬間の落ち着きっぷりがJリーグレベルから突き抜けていることを見せつけてハットトリック。風貌がウルトラマンに似ていることも相まってデビュー早々赤者の心を鷲掴みに。「ファブリシオ!ファブリシオ!よー、来たのぅ!!」とチャントはなぜか広島弁風味。

・ところがファブリシオの運命が暗転したのは9/1ホームC大阪戦。この試合開始早々に左膝前十字靭帯損傷、内側半月板損傷の重傷を負ってしまいました。ファブリシオは当初全治7ヶ月と診断されましたが、実際に戦線復帰したのは翌年5月になってから。それも成績不振に喘ぐオリヴェイラが「ファブリシオの一発」に夢を託して無理やり復帰させたような塩梅で、放つシュートには精度も力もなく、夢破れたオリヴェイラはあえなく更迭。大槻監督に代わってからファブリシオはほぼACL要員としてスタメン出場するものの、浦和デビュー時の輝きを取り戻すには至りませんでした。

・大怪我を負った後は本調子に戻るまで長い年月を要するのはよくある話なので、ファブリシオの勝負は今年からだろうと思っていたのですが、残念ながら大槻監督が今年取り組んでいる4-4-2ではファブリシオの居場所がありませんでした。

・2トップの一角として使い道がありそうですが、点取り屋としての期待はレオナルドが一身に担っている格好。そしてその相方は頻繁に中盤に下がってボールを引き出すような仕事が要求されているようで、ファブリシオには全く不向き。仕方なくSHで2試合使ってみたものの、守備意識の低さが災いしてか大槻監督の眼鏡に叶うことはありませんでした。まぁどう見てもサイドアタッカーではなく、ゴールに近いところに置いてナンボの選手でしたし。

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・インスタの様子を見ている限り両選手共それなりに日本で、そして浦和で楽しそうでしたし、肝心のプレーでも向き不向き、得手不得手は致し方ないにしても悪い印象はほとんどありませんでした。一応期限付き移籍ですが、両選手のコメント&浦和の置かれている状況から察するに浦和復帰の可能性はほとんどないものと思います。これまでありがとうございました。

 

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2020.08.12

荻原拓也選手、アルビレックス新潟へ期限付き移籍

・本日、荻原拓也選手のアルビレックス新潟への期限付き移籍が公表されました。移籍期間は来年1月31日まで。

・荻原は2018年浦和ユースから昇格。ルーキーイヤーこそルヴァン杯での活躍が認められてリーグ戦でも8試合も出場機会を得ましたが、昨年はルヴァン杯早期敗退も祟って出番は半減。今年はルヴァン杯の試合数自体が減り、かつ「U-21先発ルール」がなくなってしまったこともあってリーグ戦1試合、ルヴァン杯2試合の出場に留まりました。

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・基本フォーメーションが4-4-2に変わった今年、大槻監督がそもそも荻原を本来どこで使おうとしていたのかが気になります。DF登録ですし、ルヴァン杯では2試合とも山中に代わって左SBで出場しているので、左SBとして考えていた向きも少なくないようです。

・左SBは現状山中をほぼフルで無理使いしている状態で、控え宇賀神すら出番は僅少。一応槙野を左SBに転用できなくもないのですが、非常に層が薄いのは明らかなので、大槻監督が荻原を左SBとしてカウントしていたのなら今回のレンタル移籍は不可解な気もします。

・しかし、荻原の左SBでの出場時間は共に極めて短く、逆に30分程度のまとまった出場時間をもらったリーグ戦(清水戦)では汰木に代わって左SHで出場していることを考えれば、私個人としては大槻監督は左SHとしての起用を主に考えていたと推測します。どう見ても荻原のプレースタイルはドリブル突破&思い切りのいいシュート等攻撃面に特徴があり、前目に置いてナンボと思えてなりませんし。守らせたら山中よりヤバそうですし(苦笑)。

・ところが残念ながら左SHは汰木と関根、さらに現在故障中のマルティノスがスタメンないしベンチの座を争っている状態。柏戦ではファブリシオが左SHで(適任かどうかはともかく)スタメン出場している有り様でしたから、荻原がここで出番を探るのは難しそうです。また左SBとしても大槻監督が「山中と心中」という腹積もりなら荻原の出番はやはり極めて限られたものになるでしょう。その「山中と心中」路線が破綻しかかっているのはともかくとして。

・清水戦では大いに見せ場を作りはしましたが、より良い位置、良い状態の選手が見えずに「俺が俺が」で監督や他の選手に悪印象を与えたようにも見受けられました。もともと空回り気味というか、競馬で言う「かかり気味」な選手なのに、出番が少ないので焦ってさらに高速空回りしたのかもしれません。従って、レンタル移籍先で経験を積み、荻原に必要な落ち着き・冷静さを養うのは悪い選択ではないと思います。荻原の持ち味を適材適所というか、本人が落ち着いて適当なタイミングで存分に発揮できればJ2では何の問題もないと思います。

・今の新潟の基本フォーメーションは浦和と同じ4-4-2。左SHには現在絶賛売り出し中の本間がいるので、新潟は荻原を左SBで考えているのかもしれませんし、単に連戦に備えて本間の控え扱いなのかもしれません。また単に本間が近々新潟を去る話が水面下で進んでいるのかもしれません。いずれにせよDAZNでその活躍ぶりを観戦するのを楽しみにしています。

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2019.08.16

武富孝介選手、湘南ベルマーレへの期限付き移籍から復帰

・昨冬のオフに湘南ベルマーレへへ期限付き移籍したばかりの武富孝介選手が、昨日突如浦和に復帰しました。

・武富は2018年に柏から完全移籍で獲得したものの、堀体制下で多少試行錯誤を繰り返しただけで、オリヴェイラ体制下ではベンチ入りすらままならなくなり、浦和在籍わずか1年でレンタルに出されてしまいました。タナボタ的に急遽ACL出場が決まった柏の主力選手がなんでACLがない、一介の中位チームでしかない浦和へ来る気になったのか謎としか言いようがありませんが、残念ながら武富にとってもクラブにとっても不幸な移籍になってしまいました。

・今年から湘南へ活躍の場を移した武富は、かつて曺監督の下で闘った経験が活きたのか、いきなりシャドーの一角で主力として大活躍。リーグ戦ではシーズン序盤に荒稼ぎして、現在5得点のチーム内得点王。なお直近2試合はベンチ外となっていますが、これは故障によるもので今回の移籍とは関係がなさそうです。

・従って何事もなければ武富が浦和に復帰する可能性は全くなく、レンタル契約切れと共にそのまま湘南へ完全移籍になるのが自然だったでしょう。

・ところが、今週になって突如曺監督に「パワハラ」の嫌疑がかかり、曺監督は「Jリーグの調査が終了するまで現場での指揮及び指導を控えること」になってしまいました。武富が「曺監督の元でプレーしたいと思い、今季もう一度ベルマーレに来た自分としては、一時的な措置とはいえこの先がどうなるか分からない状況のまま、100%サッカーに集中できるのか、チームのために力を出し切れるか、不安を覚えているというのが正直な気持ちです。」と語っている通り、現場は相当混乱しているものと推察されます。

・ただ浦和もシャドーの頭数はだだ余り。武藤だけが鉄板で、残る一角をファブリシオ・長澤・汰木・マルティノス、場合によっては興梠・エヴェルトン・柏木とも争わないといけません。全然出番をもらえなかったオリヴェイラ監督が去って、大槻監督にフラットな目で見てもらえる分、昨年よりはマシな状況かもしれませんが、浦和に復帰したところでこれまた茨の道。

・移籍ウィンドウの期限が迫る中で、武富が決断したのは浦和への復帰。もうこれは「浦和では試合に出られないかもしれないが、集中して練習できる分、湘南にいるよりは遥かに良い」と割り切ったとしか思えません。武富ももう28歳。もうプロサッカー選手としての折り返し時点はとっくに過ぎ、残り少ない時間を無駄に過ごしたくないという想いが強かったのでしょう。

・浦和としては武富の復帰は「補強の必要があまり感じられないポジションへの補強」としか言いようがなく、強いて言えば頭数はいるけれども武藤以外は「帯に短し襷に長し」な状況下で武富が上手く嵌まればラッキーという感じ。戦力補強的な意味合いよりは中村GMの武富への恩情措置といったほうが近い性格の話だと思います。

・しかも、先述のように武富は故障を抱えての浦和復帰だった模様。ACLの選手登録は終わっているので、9月上旬のルヴァン杯準々決勝で出番を伺う感じになろうかと思いますが、今回の武富の苦渋の決断が実り多いものであることをお祈りしております。

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2019.07.28

茂木力也選手、愛媛FCへ期限付き移籍

・先日茂木力也選手の愛媛FCへの期限付き移籍が公表されました。

・茂木は2018年7月にモンテディオ山形からレンタル契約期間の途中という異例の形で浦和に戻って来たにも関わらず、浦和での出場はリーグ戦1試合、天皇杯1試合という非常に寂しい結果に終わりました。

・本件に関しては、そもそも茂木を呼び戻した意図が不明過ぎて腹立たしくてなりません。

・茂木は2015年にユースから昇格。翌2016年には愛媛FCへレンタルされ、さらに木山監督が2017年に愛媛から山形へ移ると共に茂木もレンタル先を山形へ変更。愛媛でも山形でも若くしてレギュラー格となっており、典型的な「木山チルドレン」。

・茂木は愛媛でも山形でも3バックの右ストッパーとして重用されていましたが、木山監督が昨季半ばに基本フォーメーションを4バックベースに転換したので一時出番を喪失。しかし茂木はすぐさま右SBあるいはボランチとして出場機会を掴みました。そこでの活躍が2018年のレンタル延長に繋がったのでしょう。

・ところが意外にも茂木の出番はこの年になって激減。茂木が出場機会を求めて移籍先を探した挙句に浦和帰還に落ち着いたなら判らなくもありませんが、茂木の浦和復帰はなんと浦和からの要請を受けたものだったことが後日判明。また山形も茂木の突然の浦和復帰後、慌てて福岡からCB田村を補強したところを見ると、山形がCBだだ余りで茂木に今後出番がなさそうだという訳でもなかったようです。

・浦和は遠藤の海外流出が視野に入っていたので、その代役を探していたのかもしれませんが、遠藤の控えは既に実績十分の岩波・森脇、場合によっては阿部・橋岡も起用できるという状態。浦和で鉄板スタメン級の選手の穴をJ2で出番を失っていた選手で埋めるとはいくらなんでも無理がありすぎます。補強どころか補充にすらなっていません。

・しかも、槙野&マウリシオの故障を受けてようやく左CBとして出番が回って来た第33節湘南戦では失点にしっかり絡んだだけでなく、試合後オリヴェイラ監督に「いろいろなポジションでプレーできる選手なんですけど、できる中では一番向いていないセンターバック」と評されてしまい、茂木を呼び戻した意図を全否定されるような始末。

・オリヴェイラ→大槻と監督が代わっても茂木はベンチ入りすらままならず。大槻監督がフルターンオーバーを仕掛けた天皇杯2回戦でようやく左WBとして出場機会を得ましたが、残念ながら茂木は「ちょいミシャ」仕様のWBの適性が全くないようで、高さがないナバウト相手に単純にクロス入れるだけに終始。相手が慌てて守備ブロックをスライドさせないのとみると「こいつに持たれても無問題」とばかりに見切られていたような気も。

・全くクラブの戦力にならず、茂木のキャリアを毀損するだけに終わった本件に関しては中村GMの罪は大いに糾弾されてしかるべきだと思います。まだ22歳と若い選手ですが、浦和でベンチ入りすらままならない扱いでしたから愛媛からレンタルバックされる可能性は高くないでしょう。また茂木も愛媛で何がしかの足跡を残さないとぼちぼちプロとしてのキャリアが怪しくなってしまいかねませんから、とにかく頑張ってほしいものです

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2019.07.27

アンドリュー・ナバウト選手、メルボルン・ビクトリーへ完全移籍内定

・先日アンドリュー・ナバウト選手のメルボルン・ビクトリーへの完全移籍内定が公式発表されました。メルボルン・ビクトリーはナバウトが2015年まで在籍していたクラブです。

・ナバウトは2018年3月にニューカッスル・ジェッツ(豪州)から浦和へ完全移籍。いつでも闘志剥き出し。ガッツに溢れ、とにかく浦和のために本人なりに全力でやっていることがよく判り、結果が出れば赤者から絶大な支持を受けたであろうプレーヤーだったと思います。ただ残念ながらその結果が出ず、FWなのに1年半の在籍期間でわずか1ゴールに留まりました。

・豪州代表にたびたび招集され、ロシアW杯にも出場したくらいの選手なので何がしか使いようがあったはずですが、浦和でのキャリアは不幸の連続だったように思います。

・まず浦和がナバウトを獲得した意図が不明で、ナバウトに何を期待していたのかよく判らないままのスタートになってしまったのが不幸の始まり。2018年シーズンはラファエル・シルバの早すぎる離脱によるダメージがでかすぎて開幕からドツボに嵌まったことを受けて山道強化部長が慌ててFWを探した結果ナバウトに白羽の矢が立ったのでしょうが、気の毒なことにナバウト加入直後に堀監督どころか山道強化部長まで更迭される憂き目に。

・おそらく開幕時に武藤が無理やりやらされていた4-1-4-1の左SHとして獲得したのでしょうが、堀監督更迭によってナバウトの立場はいきなりあやふやなものに。

・大槻暫定監督のもとで途中出場を繰り返して適性を見極め、オリヴェイラ監督の下でようやく2トップの一角としてリーグ戦で使える目途が立った思った矢先にGKチョン・ソンリョン(川崎)の無謀な飛び出しによって交錯した挙句に右肩を脱臼する不運に見舞われてしまいました。しかもこの故障がロシアW杯で再発してしまい、ナバウトは10月まで浦和でのキャリアを棒に振ることに。

・ナバウトの難儀なところは連携に難があるというか、中々他の選手と噛み合わず、一生懸命やっているんだが常に空回りがちだったこと。言うなれば「ほとんどシュートが入らないポポ」。ただでさえそんな感じなのに故障がちなことに加え、元気になればちょこちょこ豪州代表に招集されるので連携を深めるまとまった時間が取れなかったのが浦和で結果を出せなかった一因でしょう。

・それでも攻撃はほぼ個人能力頼みで、ナバウトに2トップの一角としての適性を見出していたオリヴェイラ監督のもとならまだ活躍の余地があったでしょう。しかし、ようやく待望の初ゴールを挙げた2019年第12節湘南戦でまたしてもGKと交錯して故障。しかもその直後にオリヴェイラが更迭されてしまい、オリヴェイラよりはずっと組織的な崩しを求める大槻監督の下では連携難を抱えるナバウトは1トップとしてもシャドーとしても使い道がなくなってしまいました。

・大槻体制下では使い道がない点ではマルティノスもどっこいどっこいですが、マルティノスはスピードだけはあり、クロスもまずまずという一芸を持っている一方、ナバウトはWGが最適とされているにも関わらずスピードがそれほどないので途中投入としての使い道も少ないと判断され、今回の完全移籍の運びとなったものと目されます。

・冒頭記したように、とにかく一生懸命やっていることだけはよく判り、応援したくなる選手だったのは確か。メルボルン・ビクトリーはACLにも度々出てくるので、その場で再会できることを楽しみにしています。

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2019.07.26

山田直輝選手、湘南ベルマーレへ期限付き移籍

・先日山田直輝選手の湘南ベルマーレへの期限付き移籍が公式発表されました。

・直輝は2015年からなんと3年の長きにわたって湘南へレンタルに出され、2018年にようやく浦和に復帰。しかし、湘南3年目でついにレギュラーポジションを掴んだという実績も虚しく、浦和復帰後の直輝の出番はほとんどありませんでした。その後ナバウト、茂木の移籍も相次いで公表されましたが、直輝も含めていずれも今後浦和で出番がないと思われる選手を浦和フロントが整理したのでしょう。

・直輝の出番がなかったのは相変わらずちょこちょこ怪我をすることに加え、言い古された話ですが、直輝が「監督の要求に応じて自分を変えられなかったこと」に尽きるかと思います。浦和は残念なことに監督が良く変わりますが、結局直輝を重用したのは入団当初のフィンケだけ。それ以降スタイルが異なる監督が次々と浦和に来ては去ってゆきましたが、ゼリコが直輝の矯正を諦めて以降、どの監督も直輝にはほとんど見向きもしませんでした。

・直輝は非常に運動量が多いものの、悪く言えば自由気ままに動き回ってボールを受けては出しているだけなのが難点。そんな直輝をフィンケは重用しましたが、持ち場からやたら離れるのを嫌がるゼリコやミシャからは全く評価されず。湘南でも3年目になってようやくキジェの信頼を得たものの、浦和復帰後堀→オリヴェイラ→大槻と代わったいずれの監督からも評価されずじまい。特に大槻体制になって「ちょいミシャ」スタイルに回帰したのは過去ミシャに全く評価されなかった直輝にとって致命的でした。

・大槻体制下で最初で最後の出番となった天皇杯2回戦でも攻撃の基点となる良いプレーもあった一方で、不用意なボールロストで相手の攻撃の基点となってしまう場面も散見され、相手が大学生だったことを思えば非常に厳しい出来でした。しかも「クイックリスタートに誰も反応できずに、相手のカウンターを誘発するだけに終わり、しかもその後なぜか主審に文句を言い続けた」のが直輝の最後の見せ場になってしまうとは・・・

・また言っても詮無い話になってしまいますが、山道強化部長はなんで直輝をわざわざ復帰させたのかがかなり疑問。堀式4-1-4-1のもとで直輝に期待されたポジションは強いて言えばIHだったのでしょうが、そこは柏木が鉄板のレギュラー。ついで2017年ACLで大ブレイクした長澤がおり、適性不明の直輝にとってはかなりの茨の道。そしてあっという間に堀監督は更迭され、結局浦和のためにも、直輝本人のためにもならない残念過ぎる「出戻り」となってしまいました。

・一応期限付き移籍の形を取っていますが、全然戦力になっていない29歳の選手をまたレンタルバックするとは考えられないので、単に移籍金を払ってまで完全移籍で取る意思がない湘南の意向によるものでしょう。湘南は梅崎が故障したばかりなので、直輝の出番は案外早いかもしれません。直輝を評価する稀有な監督のもとでなんとか輝きを取り戻してほしいものです。

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2019.01.16

【雑感】2019年浦和所信表明

・昨日(1/25)、浦和から「ファン・サポーターのみなさまへ」と称する今年の所信表明らしきものが公表されました。立花次期社長の意向を受けてか、所信表明は例年よりやや長め(体裁はほぼ昨年のものを踏襲)になっていますが、ボケ防止を兼ねてそれに関する雑感をまとめておきます。

(1)強化体制の整備

・「昨年11月には、強化部内の育成機能とスカウト機能をそれぞれ部として独立し、責任者を置く体制変更を行いました。」っていつの間に??というのが正直なところ。しかもどなたが担当しているのか気になります。また「レディースチームについても組織体制を見直し、明確な責任体制のもと」とは具体的にどういうことなのかなぁ? 今のレディースは蔑ろにされていると言われても仕方がない状況ですが。

(2)神様、仏様、ポンテ様!

・「海外のOB選手を活用したスカウト網の整備」「育成を含めた海外クラブとの連携」ってまさか全てポンテに丸投げじゃないでしょうなぁ(苦笑) まぁJリーグで実績のある外国人選手を契約切れを狙って拾ってくるしか能がなかった時期よりは一歩どころか大きな前進ですが・・・

(3)淵田社長の光 - 収入減は小幅に留まる

・ACL優勝効果が剥落する昨年の営業収入は当然大幅減になるものと見込まれましたが、なんと2017年に比べて5億円の減少(80→74億円)に留まり、2016年(66億円)よりも多くなりました。後述のように総入場者数は昨年比大幅に減少しているので、営業収入の落ち込みが小幅に留まったのは相当スポンサー営業を頑張った成果と思われます。そしてこれは淵田社長最大の功績といって差し支えないでしょう。

(4)淵田社長の陰 - 観客減の底打ち感は出せず

・一方、昨年ACLはなく、ルヴァンもR16で敗退してホームゲーム試合数が減ったため、総入場者数は80万→68万人と大幅に減少しました。平均観客数も約3.2万人とほぼ横ばい。リーグ戦平均観客数こそ昨年比2000人増(約3.5万人)となりましたが、2015~16年の3.8万人強という水準には遠く及ばず。これでは淵田社長の繰り出した策はことごとく空振りに終わり、むしろ客離れを加速しただけに終わったと評されても仕方ありません。そのせいかどうか判りませんが、今年の所信表明における「REX CLUB」の位置づけがダウンしているようにも伺えます(苦笑)。

(5)「熱さ」への再着目

・スローガンの項に「私たちは、昨シーズン、天皇杯の準決勝、決勝を戦ったとき、ファン・サポーターのみなさまとの距離が縮まり、強い一体感を持つことができたと感じました。そして、あらためて、そのときにこそ、大きな力が生み出せることを経験しました。」とありますが、やはりあの日の大原からスタジアムにかけて出来事はクラブ関係者に大きな影響を与えたようです。

・昨年までは「浦和レッズの強みである、スタジアムの熱気ある雰囲気を維持するため」とはいうものの、どちらかといえば「熱く応援したい人」に水をぶっかけるとまでは言わないまでも、距離を置いた感が否めなかったフロントの姿勢が徐々に再転換しつつあるような雰囲気が今年の所信表明から感じました。

・席割の変更はシーチケ案内時に公表されているので天皇杯準決勝&決勝の出来事とは無関係ですが、スタジアムの熱さとご新規さん獲得のバランスをなんとかとろうと苦心している姿が浮かび上がってきます。

(6)チャレンジするクラブ

・神戸が極端な例ですが、単に潤沢すぎる親会社のマネーにモノを言わせてビッグネームを買い漁るだけでなく、選手獲得&育成、選手売買ビジネス、さらには営業戦略等々フロントの視線がグローバル化しているクラブが目立つようになってきました。

・もちろん浦和フロントもその流れに気づいており、だからこそ選手のフローについて「ポンテ様頼み」なのかもしれませんが、営業面ではさいたまローカル企業だらけのスポンサー集めってそれでいいのか?という気も。毎年ACLに真面目に取り組んでいる甲斐があって浦和はアジアでの知名度は高いのに、なんかブランド力を全く活かせていないというかなんというか・・・

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2019.01.13

【祝】エヴェルトン選手、FCポルトから移籍加入内定

・昨日(1/12)、エヴェルトン選手のFCポルトからの期限付き移籍加入が内定したと公式発表されました。エヴェルトン獲得の報は1/11になって急浮上したもので、またしてもほぼ獲得が確実になるまでシュータンは情報統制に成功した(というか、確実になった時点で懇意のスポーツ紙にリークしている可能性大)ことになります。

・なおFCポルトからの移籍というタイトルになっていますが、エヴェルトンは昨年夏にポルティモネンセからポルトに完全移籍したものの、ポルトでは監督の信頼を勝ち取れずにポルティモネンセに期限付き移籍されているので、形式的にはレンタル先の変更で、実質的にはポルティモネンセからの移籍。ポルトとの契約は2022年6月末まで残っているようなので、金額的に買い取りは困難ゆえレンタルとなったものと思われます。

・エヴェルトンはマウリシオ、ファブリシオに続く「信頼と実績のポンテルート」での選手獲得。Jリーグで実績のある選手(しかも往々にして浦和では期待外れに終わる!)を取るしか能がなかった頃に比べれば浦和のフロントもそれなりに進歩していると評価していいでしょう。

・ポルトガル語圏で移籍を繰り返してきたエヴェルトンにとっては極東のクラブへの移籍にも拘らずポルティモネンセでの昔の同僚がいるというのは心強いでしょうし、それ以前に「ポンテさん」があれこれ浦和の良い話を吹きこみ、面倒を見てくれているようです。日本語での新加入挨拶まで仕込んでいる用意周到ぶりにはさすがに笑いましたがw

・なにせ見たことがない選手なのでカタログ性能とか噂レベルの話を受け売りすることしかできませんが、エヴェルトンはトップ下やボランチでのプレーがメイン。ただアンカータイプではなく、どちかといえば前目のIHタイプらしいとのこと。浦和の既存選手でいえばどちらかと青木の代わりではなく、柏木ないし長澤の代わりという感じでしょうか。

・昨年柏木にしても青木にしても長期には至らないもののちょろちょろ欠場しがちな中で、阿部は衰えが著しく、柴戸はリーグ終盤になってようやく台頭してきたばかり。CHの人材が案外薄く、柏木が欠場すると攻撃面、青木が欠場すると守備面に穴が開きがちでした。その穴埋めを模索した結果がエヴェルトンだったのかもしれません。もっともそもそも今季の浦和の基本フォーメーションが判らないのでエヴェルトンの使い道を妄想してもあまり意味がないのですが。

・なお、個人的にはエヴェルトンの愛称はどう考えても「エヴェっさん」。エヴェっさんがゴールした暁にはもちろん「エビスビール」で乾杯!!

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2019.01.12

短編小説「走れシュータン」名場面集

移籍期間終了までにはまだ間がある。私を待っている人があるのだ。少しも疑わず静かに期待してくれている人があるのだ。私は信じられている。私の命なぞは問題ではない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ!シュータン。

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ああ浦和、浦和のために私は、いまこんなに走っているのだ。浦和を死なせてはならない。急げ、シュータン。おくれてはならぬ。愛と誠と金の力を、いまこそ知らせてやるがよい。風態なんかは、どうでもいい。シュータンは、いまは、ほとんど全裸体であった(*'▽')

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信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。WBの頭数も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついて来い!立花新社長。

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シュータン、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私は正月三が日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。生れて、はじめて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。

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2019.01.10

【祝】山中亮輔選手、横浜Mから完全移籍加入

・本日、山中亮輔選手が横浜Mから完全移籍加入することが公式発表されました。山中の移籍話は今朝になって突然スポーツ紙上に浮上したもの。山中の浦和公式サイトへのコメントが酷く素っ気ないのを見ると、文字通り急転直下の移籍劇だったことが推察されます。車屋獲得に失敗した後にシュータンが慌てて探した結果が山中だったのかもしれません。

・今オフの浦和の移籍話は暮れ(12/22)に汰木の加入が報じられて以降、出る選手の話ばかりで一向に加入の話は噂にすらならず、「シュータンはいつまで正月休みを満喫しているのか!!」と憤る赤者も少なくなかったかと思いますが、さすが剛腕シュータン、だらだらと惰眠を貪っていたわけではなかったようです。しかも2億円超と言われる違約金を気前よくバァーーーン!!と払ってしまうあたりがいかにもシュータン。

・山中は基本左SBで、柏の下部組織育ち。但し柏在籍時は輪湖のサブに回る場合が多く、その評価は必ずしも高くなかったようです。山中が俄然注目を浴びるようになったのは2017年に横浜M移籍後、特に昨年ポステコグルー監督が就任後の話。同監督のもとで山中の持つ攻撃センスがついに開花し、11月には日本代表にも選出されました。また昨夏にはトルコのクラブから完全移籍のオファーもあったようです。

・「偽SB」がどうしたこうしたと戦術家の方々のウケはすこぶる良いようですが(ミシャスタイルで森脇が同じようなタスクをしているので目新しくもなんともないような・・・)、基本的にポゼッション志向のチームでこそ活きるタイプで守備はあまり多くを期待できないような気も。

・菊池移籍により浦和の左WB/SBをそれなりのレベルでこなせる選手は宇賀神しかいなくなっていただけに、山中の獲得はまさに的を射えたもの。しかも山中はまだ25歳なので宇賀神の後を継ぐ世代交代という観点からも有意義な補強で、オリヴェイラ監督が山中をどう使うのかは見ものです。山中の適性は宇賀神よりはずっとSB寄りなので、これを機にオリヴェイラ監督が4バックベースに転換するかもしれませんし。

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