半年間の特別大会には昇格も降格もなく、「優勝するとACLE26-27の出場権が得られる」以外にさしたる意味はないせいか、今オフに積極的に補強に動いたクラブは多くありませんでした。
浦和もその例に漏れず、補強は大卒新人&ユース昇格組&レンタルバック&フリーのベテランといった構成に留まりました。おまけに最大の補強ポイントのはずの左SBが放置されたところを見ても「チャレンジしながらトップを目指す」なんて口だけに過ぎず、特別大会での優勝なんて本気で考えてはおらず、ほぼ「チャレンジ」に特化する半年と浦和強化部が位置づけているのは明白でしょう。
そんな考えが透けて見えるせいか、個人的には浦和のキャンプの様子なり練習試合なりを見て特別大会での浦和の戦いぶりをあれこれ妄想する気になんて全然なれず、たいして事前情報がないまま開幕を迎えてしまいました。

開幕戦の相手は17年ぶりにJ1に戻ってきた千葉。
沖縄キャンプを終えた後、浦和の練習はほとんど非公開だったせいか浦和番の方々にもスタメン予想は難しかったようですが、蓋を開けてみればスタメンでサプライズだったのは右SBが石原ではなく関根だったくらい。グスタフソンは沖縄キャンプで長期間別メニューだったようで開幕に間に合わなかったのは想定内でしょう。
ボザがベンチ外だったのには驚きましたが、試合後ボザは怪我をしていることが明かされました。そこでベテラン片山がCBのサブとしてベンチ入り。また早川どころか、ユース卒2年目の照内までベンチに入れたのも、実績重視・経験重視のスコルジャにしては思い切ったベンチワークだと思いました。
一方千葉も主力に多少怪我人がいるようで、GKホセ・スアレスが昨季終盤の負傷から戻ってきてない他、ちばぎんカップで不在だったCHエドゥアルドが引き続き不在。CH品田、SH椿、CH田口といった辺りもベンチ外でした。またキャプテンCB鈴木大がベンチスタートなのも超意外でした。なお鈴木大がベンチスタートなのでスタメンで見覚えがあるのは札幌や山口にいたCH前だけでした(苦笑)。
DAZNでもはっきりと判るくらいフクアリに雪が降りしきる中でキックオフ。浦和の試合の入りは芳しくなく、千葉の前プレに引っ掛かっていきなりシュートを撃たれる始末でしたが、意外な形で浦和が早々と先制。
4分西川のロングボールを肥田野が頭で落としたボールに対して千葉CB河野とGK若原がお見合い。その隙を見逃さずにボール回収に入った松尾をGKがボックス内で倒してしまってPKゲット。5分松尾自らPKを決めて浦和先制。
12分にはセンターライン付近で肥田野がボールを奪回したところから浦和が反撃。左サイドで渡邊の縦パスを受けた松尾がCB久保庭との一対一を難なく制してサイドを深く抉ったところで勝負あり。角度のないところからの松尾のシュートはゴール手前でブロックされたものの、こぼれ玉を肥田野が蹴り込んで浦和が追加点。
千葉はJ1のスピードや強度に不慣れなせいか、俊足の松尾&肥田野で千葉最終ライン裏を狙わせる攻撃は非常に効果的だった一方、スローダウンを余儀なくされると途端に点が入る気がしなくなるのは相変わらわず。
またキャンプで仕込んだと言われる「高い位置でのボール奪取」もうまく行っておらず、31分には浦和左サイドにいたFWカルリーニョスに対してなぜか根本&荻原と二人も飛び込んだ挙句に交わされてしまう大失態!!そこから右SHイサカのクロスがファーでどフリーの左SH姫野に渡る大ピンチがありましたが、姫野が上手く合わせられずに難を逃れました。この辺も千葉は「プレーオフで辛うじてJ1昇格したに過ぎないチーム」でしかないことを露呈した感も。

ところが千葉はJ1のスピードやプレー強度に慣れてきたのか後半になると一転して攻勢に。51分根本がイサカの前プレに掴まったというか、単になぜかボールコントロールに失敗したような形でまさかのボールロスト。ここはカルリーニョスのシュートを宮本がブロックして難を逃れましたが、そこで与えたCKからの流れで髙橋のミドルシュートがポストを直撃!!60分にはCKのこぼれ玉に反応した小林にどフリーでシュートを撃たれてしまいましたが、ここは安居がなんとかブロック。
スコルジャは63分に肥田野に代えて柴戸を投入し、柴戸CH、渡邊トップ下、松尾CFと布陣を変えましたが、これは戦術的な選手交代ではなく、肥田野は少し筋肉の問題を抱えていたので試合がはじまる前から60分前後だという制限があったとのこと。その割には交代直後に肥田野とスコルジャが長話をしていたのが不思議でしたが。
しかし、この交代もなんら戦局を変えるには至らず、65分にはCKからイサカのヘディングシュートをゴールライン上で松尾が辛うじてクリアする場面も。
DAZNの解説戸田氏がしきりに褒めていましたが、浦和守備陣が後半低い位置に守備ブロックを敷いて耐える形に陥り勝ちだったのを改め、70分くらいから宮本を筆頭に積極的に前に出て千葉FWを潰す策に出たのが奏功して千葉の攻勢も尻すぼみに。72分にはセンターライン付近で根本がボール奪取したのを契機に松尾のシュートで終わる良い形も。
811分にはサヴィオ→照内、松尾→テリンと消耗が激しい前目を相次いで交代。86分には金子のワンタッチパスで右サイドから千葉最終ライン裏に抜け出した関根がクロス。これを照内が押し込んで決定機な3点目をゲット!!と思いきや、照内が押し込む直前にテリンがわずかに触っていたのが仇となってオフサイドの判定。
88分には関根→石原、安居→早川(早川トップ下、渡邊CHへ)と代えてゲームを締めにかかったと思いきや、石原が目を疑いたくなるレベルの大不振。石原のコンディションはかなり悪いようで、この出来なら関根スタメンもやむなしでしょうなぁ・・・ 90+1分には途中投入の左SH津久井に対して安易に飛び込んであっさり交わされる大失態を犯すも、そこから生まれたチャンスを決められないのが今の千葉の実力なんでしょう。

試合後のQ&Aでは「ゲーゲンプレスの部分がすごく良かったと思うが、ブロックから出ていくところはまだ危なっかしい部分も見られた」「セットプレーの守備は昨シーズンから続いてとても危なかった」と厳しい質問が投げかけられている通り、無失点で終えられたのが不思議な試合内容で「相手の弱さに助けられた」と言っても過言はないと思います。またビルドアップも相変わらず壊滅的でした。
でもそんな粗探しばかりして、開幕から自分の贔屓チームに対して文句たらたら、愚痴たらたら垂れ流していったい何になるというのか??? 所詮サッカー観戦なんて娯楽の一つに過ぎませんし、金どころか時間まで費やして自らネガティブ思考のスパイラルにハマりに行くなんてバカバカしいにも程がありましょう。
そもそも贔屓チームがどんなに残念であったとしても自分の力ではどうすることもできないのですから、個人的にはなるべく「良かった探し」を重ねながら試合を見てゆこうと思います。
「良かった探し」の観点からは、昨今とにかく開幕戦に弱かった浦和が2020シーズン以来6年ぶりに開幕戦で勝ったことが何よりの「良かった探し」。そして昨季とことん弱かったアウェーゲームで勝ったこと、また17年ぶりの対戦で「事実上の初物」の相手に対して、往々にして初物に弱い浦和がちゃんと勝ったことも「良かった探し」に挙げて良いでしょう。
戦術的な観点から言えば、やたら前に出てくる千葉に対してスコルジャが松尾&肥田野のスピードを生かして裏に抜けていく策を用意して、それが見事にハマったこと。そしてその策は京都との練習試合で試行済で「たまたまハマった」訳ではないことも「良かった探し」でしょうか。
さらに言えばスコルジャが相手に応じて出方を変える柔軟さを見せだした辺りも前向きに捉えていいのかも。となると、スコルジャの難点=スタメン固定傾向も自然と解消されるかもしれません。またなにせ「事実上目標がない大会」なので選手を無理使いする必要はありませんし、照内や早川を途中投入したようにテスト的な起用がこの大会では多くみられるかもしれません。
先述のように「無失点で終わったことが不思議」だとは思っていますが、その中でCB宮本が俄然キャプテンシーを発揮しだして最終ラインを統率し、後ろから声をかけまくっている姿には感動しました。岩尾課長が去ってから長らく不在だった「ピッチ上の監督」が久しぶりに浦和に表れたような気もします。なにせCBとしては上背がないので「物理的に殴りに来るFW」にどう対処するのかという不安はありますが、浦和復帰戦としては上々の出来。周りとのコミュニケーション能力の差で、ボザとのポジション争いで一歩前に出ているのも納得でした。

-----肥田野----
サヴィオ---松尾---金子
---安居--渡邊---
荻原-根本--宮本-関根
-----西川-----
(得点)
5分 松尾(PK)
12分 肥田野
(交代)
63分 肥田野→柴戸(柴戸CH、渡邊トップ下、松尾CFへ)
81分 サヴィオ→照内
81分 松尾→テリン
88分 関根→石原
88分 安居→早川(早川トップ下、渡邊CHへ)
---石川--カルリニョス--
姫野-------イサカ
---小林--前----
日高-河野-久保庭-高橋
-----若原-----
(交代)
60分 姫野→津久井
60分 前→猪狩
68分 イサカ→岩井
68分 カルリーニョス→呉屋
81分 小林→天笠
※写真は試合とは全く関係ありません。