浦和のスタメンは前節からボザ→宮本の入れ替えのみ。小森&松尾が負傷離脱中で、さらに週央の公開練習時に肥田野が体調不良で不在だったという話があったので、この試合ではテリンのスタメンを予想する向きが多かったようですが、肥田野は何事もなかったかのようにスタメン出場。
あとはサブに照内が戻って二田がベンチ外になったのが目を惹いたくらい。特別大会にも関わらずスタメンもベンチメンバーもほぼ固定されてしまった感があり、肥田野以外の大卒新人組のベンチ入りは案外ハードルが高いようです。GK佐藤がベンチ入りすらできないは個人的には意外でしたが。
水戸は前節出場停止の鳥海がスタメンに復帰して、山本がベンチスタートに。ちなみに樹森監督は昨年新潟の監督でしたが、アウェー浦和戦を迎える前に解任されていたので監督自体埼スタ初体験。

前節同様北風が吹き荒れる埼スタ。気温と体感温度にはかなり差があって観戦しているだけでも結構辛いものがありましたが、コイントスに負けた浦和は前半風下で闘う羽目に。今季の浦和は体力の消耗が激しい闘い方を志向しているので、元気なうちに点を取ってそのまま逃げ切る「先行逃げ切り」の試合展開が望ましく、実際ここまでの4試合すべて先制点を取っています(だが逃げ切り失敗2回)。
ところがとにかくビルドアップが下手でボールを前進させるのにロングボールに頼りがちな浦和は風下での闘いが苦手。前節鹿島戦では風下に回った後半はテリン投入まで全く前進できずに自陣に押し込められ続けました。
当然ながらこの試合の前半も似たような展開になりがち。浦和はロングボールを多用せず、水戸のプレスを交わしてなんとかボールを繋ごうとしましたが、当然ながら上手くは行かず、流れからシュートに繋がったのは18分渡邊が最初でしょうか?
一方水戸はしっかりボールを繋ぐチームと聞いていましたが、風上に立ったためか意外なくらいにロングボールを多用していました。これはこれで悪くはなく、序盤敵陣で試合を進める時間は水戸のほうが長かったものの、水戸の決定機は12分渡邉の振り向きざまのミドルシュートが枠内に飛んだ場面くらいだったかも?
水戸が浦和を押し込んでいる時間帯でもシュートはほとんど浦和守備陣にブロックされてGKを脅かすには至らず。「浦和がセットプレーに弱い」のはもう他チームに知れ渡っていて積極的にCKを取りに行ったり、ロングスローを試みたりしていましたが、全て決定機にはならず。
そうこうしているうちにガチャガチャしがちな戦況下で球際で概して優勢だった浦和が35分くらいから敵陣でボールを回しはじめ、41分柴戸&関根が複数人に囲まれながらもボールを失わなかったのが効いて浦和が中央突破に成功。左の荻原へ出そうとしたサヴィオのパスが水戸の選手に当たって右でフリーだった柴戸の足元へ転がる運も味方に、柴戸のパスを受けた肥田野が先制ゴール!!風下の浦和は前半スコアレスでも可という想定だったでしょうし、実に大きな先制点でした。

先制点を取れたことで気を良くしたのか、浦和は風上に回っても浦和にしてはロングボール少な目で丁寧なビルドアップにトライ。48分金子のサイドチェンジを受けたサヴィオが巻いて放ったようなミドルシュートは枠を捉えきれず。59分サヴィオは直接FKを放り込まず、いったん左でフリーだった荻原に出して、荻原クロス→安居ヘッドといかにも事前に仕込んだようなプレーを見せましたが、安居ヘッドはGK正面。追加点は取れなかったものの戦局は引き続き浦和優勢のまま時間が経過。
水戸は浦和の前プレに苦しんで思うようにビルドアップできないせいか、風下でも左SH目掛けてロングボールを使っていましたが、さしたる効果はなかったかと。
69分肥田野の「時間切れ」を迎えたところでスコルジャは投入したのはテリンでなくオナイウのほう。オナイウは前節浦和再デビューしたばかりですが、周囲との連携はズタボロながらも動けることは確認済。守備時はとにかく前からボールを追う、攻撃時は隙あらば裏抜けを狙うとCFにやたら運動量を要求する今の浦和のスタイルにはテリンよりオナイウのほうが合うというスコルジャの判断なのかな?
そしてオナイウの出来は悪くはなく、投入して間もない72分安居がボールを持ち運んだことから始まる浦和カウンターのチャンスでサヴィオのパスを受けた金子がボックス内で引き倒されてPKゲット。しかも引き倒したCBマリックはこれがイエロー2枚目で退場の憂き目に。
ところがそこで得たPKを渡邊がまさかの失敗。渡邊はきっちりGKの逆を突き、シュートスピードも速かったもののポストを直撃してしまいました。水戸のGKは奇しくも西川姓で、水戸のゴール裏から盛大に巻き起こる「西川コール」に渡邊が妙なやりにくさを覚えたのかどうか。なおPKは当初金子が蹴る気満々でボールを抱えていたはずなのに、結局渡邊が蹴ったのはベンチの指示だった模様。金子には非常に気の毒な展開でしたが、個人的には誰がPKを蹴るのか決まっておらず「蹴りたい奴が蹴る」感じになっているチームよりは格段にマシだと思います。
スコルジャは81分安居に代えて中島を投入。水戸は数的不利をものともせずにAT投入間際に攻勢を仕掛けて浦和を自陣深くに押し込み続けましたが、仙波のシュートは枠を取られきれず。
さらにスコルジャは90+1分サヴィオ→照内、金子→早川と代えて大攻勢。90+2分荻原の縦パスを受けてボックス内に突入した中島の優しいラストパスを照内が詰め損ねる大失態があったものの、続く90+3分早川のスルーパスから照内がDFの股を抜くシュートを決めて勝負あり。照内はこれがプロでの公式戦初ゴール。そして「難しいほうが決まりがち」という点だけ取り上げればまるで興梠の後継者!!

特別大会はなにせ降格がないので水戸は目先の勝ち点に汲々とせず、「攻めてはボールをきっちり繋ぎ、守っては素早い攻守を切り替えて集団でプレッシング」という樹森監督がやりたいことを愚直にトライしていたように伺えました。一方浦和はひたすら動き回ってガチャガチャした試合展開を志向しつづけていたので、「水戸の方が良いサッカーをしていた」と評する方も少なくないようです。でもそれは所詮「良いサッカーとは何か」という哲学論、水掛け論になりがちな話。
個人的には超苦手な風下の時間帯をなんとかやり過ごしただけでなく先制点まで取れ、後半は水戸にほとんど何もやらせないまま数的不利に追い込み、さらに最後の最後に追加点まで取ったのですから浦和の完勝と言って差し支えなく、何の不満もありませんでした。水戸の選手はいかにも強度不足で浦和が上回っていたのはそこだけもしれませんが、それこそが今季の浦和の強味なので特に卑下する必要はないでしょう。「相手が弱くて助かった」面も否めませんが、そんな弱い相手に勝ち点を落としまくっていたのがここ数年の浦和でしたし。
DAZNのスタッツだと以外にもシュート数(10対13)、枠内シュート(6対9)と水戸の方が多かったようですが、おそらく水戸のシュートは浦和守備陣にブロックされたシュートが相当カウントされたものと思われ、GKを脅かしたシュートは結局12分渡邉の振り向きざまのミドルシュートだけだったかと。一方ゴール期待値は1.94対1.00と浦和が圧倒していて、このスタッツの方が試合内容を上手く捉えているように感じました。そして別のスタッツでは地上でのデュエルで浦和が水戸にボロ勝ちしていて、これまた浦和の勝因を如実に表していると思いました。
なお試合後に「今日は相手の戦い方の影響もあって走行距離があまり出ず、今までよりもゆっくり試合をしていた」という感想を述べた記者がいましたが、重要なのは走行距離自体ではなく、「各選手が意思統一された形で走るべき時に走っていること」であり、この試合はそれが十分出来ていたので走行距離が伸びなくても何の問題もないんじゃないかな?常に前がかり、常に攻守にアグレッシブな今の浦和のスタイルは個人的には結構好きで、浦和が優勢に転じた前半の終わりごろからはそんなサッカーが出来ていましたし。
個人レベルでの「良かった探し」はオナイウの戦力化が案外早そうなこと。オナイウは公式戦から遠ざかっていたもののちゃんと動けることは鹿島戦に続いて実証され、鹿島戦では壊滅的だった周囲との連携もこの試合ではかなり改善されたように見受けられました。そしてついにJ初ゴールを決めた照内。鹿島戦で好機をフイにした二田より先に結果を出したことでベンチ入りの優先順位はぐぐっと上がったかな?

-----肥田野----
サヴィオ---渡邊---金子
---柴戸--安居---
荻原-根本--宮本-関根
-----西川-----
(得点)
41分 肥田野
90+3分 照内
(交代)
69分 肥田野→オナイウ
81分 安居→中島(中島トップ下、渡邉CHへ)
90+1分 サヴィオ→照内
90+1分 金子→早川
---渡邉--鳥海---
加藤--------真瀬
---仙波--大崎---
大森-マリック--板倉-飯田
-----西川-----
(交代)
71分 真瀬→奥田
71分 加藤→山本
75分 鳥海→ダニーロ(ダニーロは退場したマリックの代わりにCBへ入って4-4-1に)
79分 渡邉→五木田
79分 大森→長尾
・この試合の須谷主審はちょっと傷む選手が出ると直ぐに試合を止める系でしたが、それで一貫してたので不満はなし。もっともファウル流しまくり主審続出だった昨年と差が激しすぎるのが糞Jリーグだなとは思いましたが。
・鹿島戦の浦和選手紹介で「MC岩澤さんの声がなぜか随分落ち着いたものに変わってしまい、煽りにも何にもなっていない」と感じましたが、よほど評判が悪かったようでこの試合では昨年までの感じに戻してました。