2018.12.24

浦和2018年総括(5・完) ~ 衝撃のファブリシオ長期離脱と体制再整備

・第24節アウェー名古屋戦では相手の超強力ブラジル人選手によってボコボコにされてしまったとはいえ、中断期間開け後のリーグ戦戦績は4勝2敗3分と上々の出来。第24節終了時で勝ち点は32まで積み上がり、順位も9位に浮上して降格を気にする必要はあまりなくなりました。

・ところが好事魔多しというかなんというか、ファブリシオが第25戦ホームC大阪戦で自爆して長期離脱。チームに馴染むのにあまり時間はかからずに着々とゴールを量産するだけでなく、「ウルトラマン」のポーズで早々と人気者になったファブリシオ。中断期間開け後の浦和の得点源として誰もが期待を寄せていたファブリシオの長期離脱はとにかく衝撃的でした。

・C大阪戦ではファブリシオに代わって李が投入され、投入直後に鮮やかなカウンター、しかも多くの選手が関与しているという意味ではミシャ式の残り香っぽい素晴らしいゴールを李が決めるという見せ場がありましたが、試合全体を通じてみれば浦和は久しぶりにKLMが揃い踏みしているのが災いして、C大阪が固めている中央を細かいパス回しでなんとか打開しようとしてボールを失った挙句カウンターを浴びるの繰り返しで、結局セットプレー絡み2発で逆転負け。

・大槻→オリヴェイラ体制下では徐々に「ミシャの残り香」にすがるウェイトを減らし、縦に早い攻めに切り替えてゆく傾向が見て取れましたが、この試合は「ミシャの残り香」に別れを告げるという意味で象徴的な試合だったと思います。

・ファブリシオを失ったオリヴェイラ監督は第27節ホーム神戸戦からフォーメーションを青木アンカーの3-1-4-2ないし3-3-2-2に転換。当初はイニエスタ対策の意味合いがあった(しかしイニエスタ欠場で空振り)ようですが、これがシーズン終了までの基本フォーメーションとなりました。

・布陣自体総員突撃風味でやや前がかり気味、かつ序盤から激しく敵陣にプレッシャーをかけてゆくスタイルのためか、スコアは必然的に出入りが激しくなり、オリヴェイラ監督らしくなく毎試合失点を重ねるだけでなく、試合終盤の失速傾向も再び顕著になり始めました。久しぶりに最前線に据えられた武藤の得点能力が活きるという成果もありましたが、シーズン終盤に中盤の守備の要=青木が故障離脱する不運もあってG大阪・湘南に敗れてACL圏入りにはあと一歩届かない結果(勝ち点51の5位)に終わってしまいました。

・しかし、ACL出場権獲得というオリヴェイラ監督就任当初の公約は天皇杯優勝という形で無事達成。就任時の成績、さらにいえば中断期間入り時点での成績からすればリーグ戦3位以内という目標は現実味がなく、スタメン構成で判断する限りオリヴェイラ監督は早々と天皇杯重視の姿勢を見せていました。そのため槙野や遠藤はW杯終了後も休みをもらえず、3回戦松本戦にスタメン起用される憂き目に。

・なぜか敵地で戦う羽目になった準決勝鹿島戦では試合前日大原にサポーターを呼び込んで選手たちのモチベーションを上げに上げて、苦しい試合内容ながらセットプレー一発で逃げ切り勝ち。その試合で多数の負傷者を出したもの、ホーム埼スタが舞台の決勝戦では仙台相手にこれまた同じような準備、同じような試合展開で逃げ切り勝ち。オリヴェイラらしいというか、ある意味鹿島っぽい勝負強さを存分に発揮しての天皇杯奪還でした。

・堀体制瓦解からわずか8ヶ月。堀監督更迭時の真っ暗闇を思えば、よくぞここまでたどり着いた。実に感慨深いこの1年でした。

(完)

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2018.12.22

浦和2018年総括(4) ~ 長い中断期間を活かして整ってきた反撃体勢

・2018年Jリーグの日程面での最大の特徴はロシアW杯開催のため、リーグ戦は5月下旬からほぼ2ヶ月、その間に開催された天皇杯やルヴァン杯プレーオフをカウントしても1ヶ月ほど中断期間があったこと。その期間を活かして監督交代に踏み切ったり、大量の選手補強を敢行したりと派手に動くクラブもありました。

・浦和にとってはこの中断期間は2度にわたる監督交代後初の待ちに待ったまとまったトレーニング期間。中断期間開け後のホームゲーム第16節名古屋戦や第19節川崎戦のMDPを読むとオリヴェイラ監督は中断期間中に「フィジカルコンディションを上げる」「攻守の切り替え」「セットプレー」の3点に重点を置いてトレーニングを積んでいたことが明記されています。

・フィジカルコンディション向上の効果はてきめんで、特に第17節アウェーC大阪戦では練習が超厳しいことで知られるユンジョンファンのチームにも走り負けないどころか後半むしろ押していた時間帯すらあったのは驚きでした。

・素早い攻守の切り替えからのカウンターも有力な武器となりました。中断期間前にも川崎をアウェーで屠る試合がありましたが、中断明け後も広島・川崎と上位陣を連破。この連勝で厳しいトレーニングで積み重ねたことは正しかったと選手たちは自信を深めたことでしょう。

・セットプレーの練習に力点を置いた効果は天皇杯3回戦松本戦、第16節ホーム名古屋戦でいきなり発現!! 正直セットプレーの練習を全くと言っていいほどやらなかったミシャの5年半は何だったのかと訝しくなるほど(そして腹立たしいことに札幌ではセットプレーに力点を置いている)・・・ そしてこのセットプレーの練習の成果は暮れの天皇杯の舞台で再度活きてきます。

・また中断期間中に中村GMも一仕事。5/30にポルトガル1部のポルティモネンセに所属するブラジル人FWファブリシオを獲得し、第17節アウェーC大阪戦から実戦投入。ファブリシオは典型的なストライカーではなく、どちらかといえばセカンドタイプっぽいのですが、シュート精度というかシュートを撃つ瞬間の落ち着きはJリーグレベルから突き抜けており、第22節ホーム磐田戦でハットトリックの大爆発。

・もっとも長い中断期間があったとはいえ、オリヴェイラ監督も上記3課題をこなすのが精一杯で、攻守とも戦術的な積み上げ・ブラッシュアップはあまりなされないまま終わってしまった印象を強く受けました。端的に言えば第20節ホーム長崎戦、第21節アウェー鳥栖戦といったあまり前に出てこない相手には得意のカウンターを発動できず、手詰まりのまま試合を終えてしまう傾向が見受けられました。守っても強力な3バック&青木の個人能力頼みの色彩が強く、これらの問題の解消は年明け後のキャンプまで持ち越しになろうかと思われます。

続く

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2018.12.21

浦和2018年総括(3) ~ 堀体制の負の遺産に苦しんだオリヴェイラ監督

・4/6に山道本部長に代わって強化部門の事実上のトップに立った中村GMは早速大槻暫定監督の後任探しに着手し、就任後ひと月も経たないうちにオリヴェイラ氏の招聘に成功。しかも第10節アウェー柏戦(4/25)から指揮を執ることが決定。5月下旬のロシアW杯による中断期間突入まで大槻暫定監督が指揮を執ると予想していた向きが多かっただけに、この中村GMの荒業には驚きました。

・オリヴェイラ氏は2007~09年にかけて鹿島で3連覇を達成するなどJリーグでの実績は申し分ありません。ただ残念ながらブラジルに戻ってからのオリヴェイラ氏の成績は芳しくなく、「これじゃセホーンと大差ないんじゃね?」と訝しくなるくらい短期間でクラブを渡り歩く羽目になっていました。また鹿島での大成功も何分10年近く前の話。さらに言えば最近ブラジル人監督はJリーグでも振るいません。

・中村GMは「タイトル獲得経験があること」「日本をよく知っていること」を条件に監督を探した結果オリヴェイラ氏に白羽の矢を立てたようですが、オリヴェイラ監督への個人的な信頼は就任当初「全幅の」とまでは言い切れず、「ギドとか松木とかを連れてこられるよりははるかにマシだろう」と言った程度なのが正直なところでした。

・ただ良い意味で予想外だったのはオリヴェイラ監督がかなり柔軟な思考の持ち主だったこと。オリヴェイラ監督は就任早々の記者会見で「少なくともワールドカップの中断までは、今のやり方に継続性を持たせることが重要」、具体的には「3バックで今までプレーしてきたこの形をまずは継続していきたい」と明言しました。同時に4バックが好みなことも明かしましたが、準備時間もないのに突然自分の好みの形に選手を無理やり嵌めるようなアホなことはしませんでした。

・具体的には監督就任直後のアウェー柏戦では前節札幌戦同様3-4-2-1、第12節アウェー川崎戦以降は3-3-2-2と推移したもののリーグ戦では終始3バックを継続しました。

・しかし、オリヴェイラ監督を悩ませることになったのは堀体制の「負の遺産」。堀監督の冬季キャンプがよほど温かったのか、浦和が後半急激に失速するのは勝っていた大槻体制下ですら顕著で、中断期間まで連戦続きゆえオリヴェイラ監督にはどうすることも出来ませんでした。

・また3バックを採用してとりあえず守備を安定させることに成功したとはいえ、堀体制下でWBが出来る人材を大量に放出したため、WB(特に右)の人材難に直面。大槻暫定監督が本職CBの橋岡を右WBに転用し、オリヴェイラ監督もその策をそのまま受け継ぎましたが、橋岡は如何せんWBとしては攻撃面に難があり、基本フォーメーションと陣容のミスマッチにオリヴェイラ監督は最後まで苦しむことになります。

・さらに攻撃面の火力不足・迫力不足も深刻。大槻体制下以降カウンターが上手く嵌まった時には点が取れ、特にアウェー川崎戦ではカウンターが嵌まって敵地で強敵を破る快挙を成し遂げたものの、持たされる展開になると辛い。3バックに戻して「思い出のミシャ式」にすがろうとしてもその残り香は日に日に薄れ、「惜しい!!」だらけで点が入らない試合が続きました。おまけに火力を補ってくれるはずのナバウトが川崎GKの蛮行で壊される不運にも見舞われました。

・従って中断期間までのオリヴェイラ監督はとにかく負けないこと、勝ち点を相手に与えないことを信条にしぶとく闘い、中断期間後の反撃に賭けていたような塩梅だったと思います。必然的に試合はとにかくしょっぱい。勝ち点は伸びず、勝ち点17の14位で中断期間突入。でもそうするしかなかった。そしてそれを可能にしたのが大槻体制下の「勝ち点10」でした。

・なお大槻暫定監督同様、オリヴェイラ監督もモチベーターとしての奇才の持ち主のようで、熱い言葉を次から次へと繰り出して来ました。選手はどうだか判りませんが、ファン・サポーターの心を掴むのは「前鹿島の監督」という拭い難い暗い過去を背負っている割には早かったと思います。これも塩漬けの日々を我慢するのに一役買ったと思います。

続く

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2018.12.18

浦和2018年総括(2) ~ 反撃へ向けて時間と勝ち点を稼いだ大槻暫定監督

・堀監督の後任には大槻育成ダイレクターが暫定監督として就任。堀監督をわざわざ中断期間開け初戦の後に更迭するという、タイミング的にはどう見ても愚行としか言いようがないフロントの所業のために、大槻暫定監督は準備期間が全くない状態でチームを立て直すという非常に難しいタスクを強いられました。

・大槻体制初戦のルヴァン杯第3戦アウェー広島戦をメンバー総とっかえの上でドローで凌ぎ、その直後のリーグ戦第6節仙台戦では堀体制の4-1-2-3をあっさり放棄して、フォーメーションを3-4-1-2に転換。仙台戦は多分に相手のフォーメーションに合わせての対策的意味合いが強かったと思われましたが、以後神戸戦・清水戦とそのフォーメーションを継続して結果は存外の3連勝。

・大槻暫定監督は基本フォーメーションを主力選手が慣れ親しんでいる3バックに戻した(但し主力が抜けるルヴァン杯では4-4-2)だけでなく、自信を失っていた選手たちのモチベーションを高め、時にはケツを蹴り飛ばしながら過去の成功体験を呼び戻すという「モチベーター」として稀代の才能を発揮しました。どこからどう見てもヤクザの高級幹部にしか見えないいで立ちで指揮を執るという演出力というか自己プロデュースにはただただ脱帽!!

・「勝っていても負けていても同点でも、どんなに苦しい状態でも戦いなさい、走りなさい。そうすれば、この埼玉スタジアムは絶対に我々の味方になってくれる。そういう姿勢を見せずして、応援してもらおうと思うのは間違っている。」 清水戦のMDPに掲載されたこの言葉は浦和史上屈指の名言でしょう。

・大槻組長が構成員をシバキ上げて一気に勝ち点10(3勝1分)を稼ぎ、リーグ戦序盤とはいえ順位を9位にまで上げて一息ついた功績が高く評価されるのは当然のこと。この貯金がなかったら後任のオリヴェイラ監督は就任早々目先の勝ち点稼ぎに忙殺され、その結果リーグ終盤へ向けての大反撃なんて考える余裕なんて生まれなかったかもしれません。

・ただ大槻暫定監督はまとまった練習時間が取れない中、かつ「暫定」というある意味気楽な立場ゆえ、もっぱらモチベーション注入で勝ち点を稼いだ側面もあり、短期間で結果を出すというタスクにたまたま向いただけかもしれません。フロントが後任探しをさぼって下手に大槻体制を長期化させていたらボロを出したかもしれません。

・その意味では堀監督を更迭した直後に山道本部長を事実上更迭し、中村修三氏をGMとして招聘したのは遅まきながらとはいえ好判断でした。山道氏はミシャ長期政権後の構想がノーアイデア、ノープランで堀コーチを急遽再登板させる愚を犯したのみならず、その堀監督すら1年を経ずに更迭する羽目となったことで、さすがに浦和経営陣から詰め腹を切らされたのでしょう。真面目に監督を探そうとしない山道氏が続投していたら、その後の浦和はどうなったであろうかと想像するだけでぞっとします。

(続く

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2018.12.17

浦和2018年総括(1) ~ あっさり瓦解した堀体制

・2018年は全日程を終了し、オリヴェイラ監督の続投も既に決まっているので、あとは五月雨的に流れてくる選手の異動情報くらいしか楽しみ(とは限りませんが)がないので、波乱万丈だった浦和の2018年を簡単に振り返っておきます。

・といっても、一遍にだらだら長文を書いても読みづらいだけなので、

(1)あっさり瓦解した堀体制
(2)反撃へ向けて時間と勝ち点を稼いだ大槻暫定監督
(3)堀体制の負の遺産に苦しんだオリヴェイラ監督
(4)長い中断期間を活かして整ってきた反撃体勢
(5)衝撃のファブリシオ長期離脱と体制再整備

と計5回にわけて短文を連ねることとします。

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・第5節アウェー磐田戦(4/1)を最後に堀監督を更迭。昨年8月にミシャ長期政権の後を受けて急遽その後任に据えたばかりの堀監督を1年も経たないうちに更迭。これが2018年浦和の混迷の始まりでした。いやそのかなり前から既にチームはぶっ壊れ始めていて、堀監督更迭はそれを決定づけただけに過ぎないと言ってもいいでしょう。

・堀監督は昨年ACL優勝という歴史的偉業を果たし、その大戦果を受けてフロントも監督続投を決断したのでしょうが、昨年のリーグ戦は「残留争い組にはなんとか勝てるが、中位相手には引き分け止まり。そして上位相手にはホニャラララ」という「堀の法則」が鉄板になってしまう実にお寒い状況でした。

・堀監督はミシャのもとで長年コーチを務めていたにも関わらずなぜかミシャスタイルとはほぼベクトルが真逆のスタイルを志向したのも謎でしたし、4-1-4-1の基本フォーメーションのもとで武藤やラファエルのSH、遠藤の右SB起用といったかなり無理のある選手起用も謎でした。堀監督の妙な選手起用に愛想が尽きたのか、完全に干された状態だった駒井はもちろん、出番が少なくなった高木や梅崎といったサイドアタッカーがオフに大量流出してしまいました。

・そしてACL優勝の立役者だったラファエルが突如1月に中国へ移籍。あれだけACLで活躍すれば遅かれ早かれラファエルの海外移籍は避けがたかったと思いますが、キャンプ中の移籍は恐らくフロント・監督とも全く予想してなかったかと。所詮「ラファエルなんとかしてくれー」に過ぎなかった堀スタイル「ホッカー」はこれでほぼ全壊したようなものでしょう。多分に後講釈かもしれませんが。

・おまけに基本4-1-2-3の2018堀スタイルに適合的と思われたWGマルティネスがまるで使い物にならないのが第3節アウェー長崎戦までに露呈したのも大誤算でした。ちなみに長崎戦では堀体制では「禁断」だったはずのフリックが復活。上手くゆかない状況を打開すべく選手たちが勝手に動き出した。すなわちこれがチーム瓦解の兆候だったのでしょう。

・ルヴァン杯第2戦でG大阪にホームで大敗を喫したのを契機に、堀監督は続く第4節ホーム横浜M戦でいきなりフォーメーションを4-4-2に転換する迷走を見せたものの、「上位相手には点が取れそうな感じはしないのに、失点は防げずに僅差で負ける」という堀の法則をここでも発動。

・横浜M戦の後は代表ウィークで中断期間に入るので、その間に堀監督更迭は間違いなしと誰もが思ったでしょう。しかし、浦和フロントはなぜかこの中間期間を無為に過ごし、さりとて堀監督を全力で支持するわけでもなく、中断明け初戦の第5節アウェー磐田戦の敗戦でいきなり堀監督を更迭するという暴挙に出ました!!

・磐田戦の終盤を見たらチームがぶっ壊れたのは一目瞭然でしたからフロントが監督を支持する気力を失ったのかもしれませんし、ひょっとすると堀監督が指揮を投げだした結果のかもしれません。第5節終了時点で浦和の勝ち点はわずか2(2分3敗)。昇格組&昨年下位チームにも勝てず「堀の法則」は悪いほうにブレイク。

・この状態から浦和は年末にかけて良く立ち直ったものだと思います(しみじみ)。

続く

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2018.12.13

【観戦記】18年天皇杯決勝:浦和 1-0 仙台 ~ 粘り強く闘って12大会ぶりの優勝!

・95回大会以来、3大会ぶりに天皇杯決勝の舞台にたどり着いた浦和。平成最後の天皇杯の舞台は奇しくも埼玉スタジアム。こうなると赤者がわらわらと押し寄せるのは必定。日曜のナイトゲーム、しかも昼に「さいたま国際マラソン」が開催された影響で埼スタへ向かうシャトルバスが全面運休という悪条件にも関わらず、埼スタは5万人強の大入りとなりました。

・決勝戦の相手は仙台に決定。準決勝の相手=鹿島と比べれば格段に楽な相手なのは確かで、しかも試合会場は埼玉スタジアム。準決勝で鹿島を破ったことでもう優勝したような錯覚に陥り勝ちですが、そこに落とし穴があるのはありがちな話。そこでオリヴェイラ監督はチームを引き締めるべく決勝戦前日にも練習を一般公開。意気に感じた赤者が旗を手に手にどどっと大原に800人も押しかけて鬨の声を上げ、檄を飛ばして選手達を後押し。

・ところがどっこい、準決勝での鹿島との死闘のダメージは甚大でした。まず故障明けで準決勝に出場したマウリシオは無理が祟ったのかなんと決勝戦を欠場(代わって阿部がスタメン)。また準決勝で負傷退場した興梠・武藤・青木はいずれも決勝戦の舞台には間に合いましたが、青木はなんと左腕を剥離骨折していたことが試合後に判明。他の選手達もおしなべて精彩を欠き、浦和のパフォーマンスは準決勝と比べれば7割も出ていなかったように感じました。

・それでも浦和は序盤にセットプレーからの流れでもぎ取った1点を守りきって、86回大会(vsG大阪)以来12大会ぶりに天皇杯を奪回し、同時に来年のACLストレートインを決めました。試合展開自体は準決勝と似ており、浦和が受けに回る時間帯が長かったあたりも似ていますが、西川のスーパーセーブどころか、槙野が危ないところを間一髪で防いで雄叫びを上げるような場面は一度もなく、ましてや宇賀神の神クリアなんてものはありませんでしたから、準決勝よりはだいぶ楽な試合だったような気も。

・もっとも前述のように浦和の出来は見るも無残。決勝の相手が川崎どころかFC東京レベルでも浦和の勝利は難しかったかもしれません。端的に言えば、9月下旬からほとんど勝てなくなり、結局11位といういつもの順位に終わった仙台が相手で助かったと言ってもいいでしょう。ズタボロの浦和相手に仙台はボールを支配するもののたいして決定機を作れずじまい。それゆえか試合内容は実にしょっぱく、第3者的には非常につまらない試合だったのは否めません。

・ただ試合がしょっぱかろうがなんだろうが、「勝てばよかろう」なのがトーナメントであり決勝戦であるというもの。一時は残留争いに巻き込まれかねない惨状だった浦和が大槻→オリヴェイラ監督のもとで体勢を立て直し、途中主力選手の長期離脱に見舞われながらも現有戦力を活かして出来ることを突き詰めた結果としての天皇杯奪回。その結果にいささかも瑕はつきません。

・ミシャは5年半でタイトルわずか一個だったのに、オリヴェイラ監督就任後半年ちょっとでいきなりタイトル一個。残念ながらここ一番の強さが両監督で全然違うのでしょう。ミシャのサッカーの面白さは捨てがたいのですが、それだけではここ一番で勝てなかったのは事実。準決勝&決勝とも選手のモチベーションを上げに上げ、しかもセットプレー一発で勝ち切ってしまうオリヴェイラ監督の勝利への執念には恐れ入りました。

021

・繰り返しになりますが、浦和の出来は芳しくありませんでした。立ち上がりから仙台にほぼ一方的にボールを支配され、浦和はビルドアップもままならず。しかし、仙台はボールを支配すれども決定機は作れない。これがこの試合の基調であり、終わってみればその基調をたいして修正できないまま試合が終わったといっても過言ではありません。

・なんだかんだと最初に決定機を作ったのは浦和。11分岩波縦ポン→長澤右サイドに飛び出してクロス→興梠ヘッドも惜しくもサイドネット。そしてその直後の13分柏木CK(ショートコーナー)→武藤→柏木→長澤クロス。これは相手にクリアされたものの、そのこぼれ球を宇賀神がダイレクトボレーでゴールに叩き込んで浦和が先制!! 

・聞くところによるとこの宇賀神のスーペルゴラッソは偶然でもなんでもなく、相手CK時にゾーンで守る仙台相手に周到に準備されたもので、しかも前日に繰り返し練習されていたとか。ああ、これがオリヴェイラ監督の勝利への執念の賜物なのか!!

・その後も仙台がボールを支配する時間帯が長かったように感じましたが、前半の仙台の決定機は26分野津田のミドルシュートのみ(但し西川が難なくセーブ)。浦和も45分ショートカウンターから長澤ミドルシュートがあったくらいで前半終了。

024

・48分西川ゴールキックに対する平岡のミスに助けられて宇賀神が仙台最終ライン裏へ飛び出す好機がありましたが、宇賀神ループシュートは枠外。さらに54分左サイド高い位置からのボール奪取&ショートカウンターで柏木→興梠→武藤の絶好機がありましたが、シュートはバーの上。絶好機にも関わらず3選手とも体にいかにもキレがなく、この一連のプレーが浦和の満身創痍ぶりを象徴していたように思えました。

・しかも驚いたことにオリヴェイラ監督の放った最初の一手は62分柏木→柴戸。柏木の出来はさっぱりでしたが、最初に下げるのが強行出場3人組ではなかったことが何よりの驚き。しかもこの交代はあまり効果的ではなく、むしろ柴戸のミスで浦和が窮地に陥る場面すら見受けられました。

・一方効果的だったのは67分仙台の2枚替え。特にそれまで1トップとしてクソの役にも立たず、なんでリーグ戦でほとんど実績がなくいかにもJ1未満の実力しかなさげな選手をわざわざ決勝戦に出しいているのか謎過ぎたジャーメインを下げて阿部に代えたのが効いて仙台が立て続けに決定機を迎えました。

・71分右サイドに飛び出した平岡クロス→アーク付近にいた阿部のシュートは慎重すぎて緩く、しかも西川の正面。72分椎橋の浮き球パスに反応して裏抜けに成功した野津田のヘッドは枠外。どちらかが決まって延長戦に突入していれば仙台が疲労困憊の浦和をうっちゃる可能性はあったかと思いますが、ボールを支配していてもたいして決定機は作れず、なんとか作った決定機も決められないのが仙台の実力なのは今年リーグ戦2度の対戦でも実証済。

・渡邉監督は放った最後の勝負手は椎橋→矢島。しかしこの交代は大失敗で矢島は仕様通り15分も浮遊し続け、事実上浦和をアシストする始末。仙台はこの試合好位置でのFKを得る機会が多かったものの、野津田のキックは可能性のないものだらけ。せめてリャンを投入していれば一発があったかも、と傍目には思えてなりません。「大事な試合に使いたくなる何か」が矢島に備わっているのかもしれませんが、昨年浦和はそれで痛い目に遭いました(つД`)

・左WB中野が結構厄介で、対峙する橋岡が後半何度も振り切られそうになってしましたが、仙台は中野の個人技による崩しからの先がなく、浦和は中央で淡々と弾き返してやり過ごし、84分武藤に代えて李を投入したあたりから早々と時間稼ぎを敢行。仙台は高さがないのでパワープレーで事故を巻き起こすのもままならず、どこから沸いてきたのか5分もあったAT、最後はGKシュミットを上げようとしている最中にFKを蹴ってしまうマヌケさが炸裂して試合終了。

・そして浦和は2年ぶりにアジアの舞台へ。山道&堀体制の「負の遺産」としか言いようがないくらい選手構成が歪で、同時に世代交代という課題を抱えているため、浦和がACLとJリーグを並行して闘うのは例年以上に困難なものになりそうですが、中村GM&オリヴェイラ監督がなんとかしてくれると信じてシーズン開幕までワクテカな気分で過ごしたいもの。最後は勝って終わる。これが天皇杯ウイナーの特権ですし!!

・天皇杯にはMVPがないあたりが「宇賀神もってない」。準決勝の神クリア & 決勝の神ボレーでどう考えてもMVP級なんですが。

・なお前日練習ではマウリシオや武藤の状態が芳しくないのは一目瞭然。また宇賀神のゴラッソとして結実したセットプレーの練習をしているのも丸わかりだったそうですが、そんな情報が一切漏れてこなかったのはさすが。もっとも動画・写真を見る限り、大原は西南戦争直前の鹿児島私学校状態と化していて、そんなところでスパイ行為でも発覚したら「惨殺晒し首」は免れなかったでしょうけど(苦笑)

046

---武藤--興梠---
---柏木--長澤---
宇賀神--青木---橋岡
-槙野--阿部--岩波-
-----西川-----

(得点)
13分 宇賀神

(交代)
62分 柏木→柴戸
84分 武藤→李
90+5分 興梠→ズラタン

003

-----ジャーメイン----
--石原---野津田--
中野-椎橋--奥埜-古林
-板倉--大岩--平岡-
-----シュミット-----

(交代)
67分 ジャーメイン→阿部
67分 古林→関
80分 椎橋→矢島

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2018.12.06

【観戦記】18年天皇杯準決勝 浦和 1-0 鹿島 ~ 満身創痍ながら文字通りの死闘を制して決勝進出!!

・忌々しいことに鹿島ACL優勝により12/12からカタールで開催されるCWC進出が決定したため、急遽天皇杯準決勝&決勝が12/5&12/9に前倒し。それはともかく、トーナメント図上は本来浦和のホーム扱いだったにも関わらず、理不尽なことに準決勝の開催地がなぜかカシマに。

・初冬の平日夜にあんな僻地に行く物好きがおるんかいな??と誰もが思ったでしょうが、その物好きがアホほどいるのが浦和。驚いたことにビジター側サイドスタンドは8割方埋まりました。そしてそのバカどもの熱狂的な声援に浦和の選手たちはよく応え、華麗という形容とはほぼ真逆の、不細工であり非常に泥臭い内容ではあったものの、90分闘志を剥き出しにしたようなプレーの連続で見事勝利をもぎ取りました。

・あえて単純化すれば、華麗だが肝心なところではさっぱり勝てなかったミシャにはなかった激しさ、厳しさがこの試合には間違いなくあった。その代償として綺麗な崩しなんてものはものの見事になくなってしまい、戦術的な面白さは後退したかもしれないが、非常にしんどい試合を勝ち切る何かを掴んだ。この変化は稀代のモチベーターとして定評があるオリヴェイラ監督ならではでしょう。

008

・浦和のスタメンはいわゆる「鉄板」メンバー。リーグ戦最終節から中3日の試合のため、最終節温存した武藤・興梠、ベンチスタートだった宇賀神・長澤は当然ながらスタメンに復帰し、小破してリーグ戦2試合を欠場したマウリシオも無事復帰。一方鹿島はなぜかレオシルバと三竿がベンチにすらおらず、やむなくサイコパス西をボランチに転用するという苦しい陣容でした。

・ところが、久しぶりに鉄板メンバーに戻った浦和は序盤苦戦。浦和のプレスは全くと言っていいほど嵌まらず、岩波やマウリシオはスピードがあるFW鈴木に苦戦。8分マウリシオが鈴木に裏を取られかかった場面はあわやPKかという際どいものでした(追加副審が目の前で見ている以上無問題)し、11分には岩波が鈴木にぶち抜かれてしまいました(なんとか槙野が飛び込んでクリア)。

・守備が嵌まらないどころかビルドアップがままならないのにも参りました。前回対戦時鹿島は前半浦和に決定機の山を作られたのを反省して対策を練ったのか、武藤&興梠へのマークを徹底。浦和がなんとか2トップにボールを当ててきたところでボールを奪ってカウンターを発動する場面も目につきました。前節に続いて橋岡がハイボールのターゲットとしてあまり機能しなかったのも浦和苦戦の一因でしょう。

・この試合を難しいものにしたかなりの責任は福島主審にあります。激しい体のぶつけ合いに全くと言っていいほどファイルを取らずに流すのは良いととしても、どう見てもラフプレーとしか思えないものまで流すのは困りもの。かと思えば、軽微に見えるファウルをなぜか取ってしまうケースもあって難儀でした。浦和にしてみればサイコパスが興梠を壊そうとしているのを主審がなぜか放置するのが一番困りましたが、どちらかに偏っているのではなく、どちらにも不満が残る迷裁きだったと思います。

・しかしなんだかんだと浦和守備陣が槙野を中心に奮戦したためか、序盤鹿島は優勢だったにも関わらずシュートが撃てずじまい。19分内田のクロスにサイコパスが飛び込んだのが序盤唯一かつ最大の決定機でしたが、ヘディングシュートはバーのはるかに上。

・一方、試合開始から全くいいところがない浦和が27分初めて掴んだCKから、ファーでマウリシオ高高度ヘッドが炸裂して先制!! マウリシオにはCBチョン・スンヒョンが付いていましたが何の役にもたたず。というかチョン・スンヒョンは前回対戦時にも失態を演じており、曽ケ端に代わって浦和応援団の素質があるようです(苦笑)。

・先制弾を機に浦和は一時体勢を立て直して攻勢に。33分には先制弾と全く同じ形(ファーでヘッド)で岩波に決定機がありましたが、ここはGKクォン・スンテがなんとかセーブ。

013

・後半は浦和が引き気味に構えてカウンターを狙う判りやすい展開に。鹿島は相変わらずシュートが撃てない一方、浦和は48分昌子に競り勝った(?)武藤がそのままボックス内に突入し、追いすがる安部をも簡単に交わしてシュートという決定機がありましたが、ここもGKクォン・スンテがセーブ。こぼれ玉を拾った柏木→興梠のシュートはやや力なし。

・浦和に試合の主導権が移るかもしれないと思われた時間帯でしたが、前半からサイコパスにやられ続けた興梠が51分とうとう試合続行不可能になってオリヴェイラ監督はやむなく李を投入。55分自陣スローインから長澤→李→長澤の決定機を作ったものの、65分今度は武藤が故障するというアクシデントが発生。

・武藤に代わってズラタンを投入する選択肢もあったはずですが、オリヴェイラ監督は柴戸を投入して3-4-2-1に布陣を変更(柴戸がシャドー扱い)。2トップをほぼ一遍に失った浦和の攻撃はこの選手交代&布陣変更で全くと言っていいほど成り立たなくなってしまいましたが、「1点を守り切る」という監督のメッセージがはっきりと伝わるという意味では有意義でした。

・しかし、大誤算だったのは72分青木まで故障してしまい、まだ20分以上残り時間があるにも関わらず早々と3枚目の選手交代を余儀なくされたこと。終盤には橋岡や李、さらには西川まで傷んでうずくまる場面があり、オリヴェイラ監督は試合終了の笛がなるまで冷や汗かきっぱなしだったと思います。浦和はボールを前に蹴りだす、あるいは李や柴戸がなんとかドリブルで前に運ぶのが精一杯で時間稼ぎすらままならず。

・満身創痍に陥った浦和に対して鹿島はピッチをワイドに使いながら攻めを仕掛けるものの、ACL優勝の代償=厳しい日程からの疲れなのか、サイドチェンジが誰にも合わずにラインを割るとか、肝心なところでボールコントロールできないとか、およそ鹿島らしくない場面が目立ちました。単純なロングボール攻撃は浦和3バックに簡単に弾き返されて、前半同様なかなかシュートは撃てず。AT突入までの鹿島の決定機は72分青木が傷んでいる隙をついて右サイドに流れた鈴木クロス→中に飛び込んだ安西ヘッド(撃ち切れずに枠外)だけでしょう。

・ATには鈴木・セルジーニョ・土居と中央を割って入る鹿島の攻勢に対し、長澤・岩波・槙野と受けがいかにも軽く、ボックス内でセルジーニョにシュートを許す絶体絶命の大ピンチがありましたが、セルジーニョのシュートに力がなかったのが幸いしてゴールマウスに吸い込まれる寸前で宇賀神がクリア!!

・試合を通じて鹿島がほぼ一方的に攻めているものの、終わってみれば鹿島のシュートはわずか7本。しかも枠内シュートがほとんどないので西川の見せ場はあまりありませんでした。このスタッツは浦和の守備が粘り強かったことの何よりの査証でしょう。良い試合とは言い難いものの粘り強く闘い、セットプレー一発で勝利をものにする。非常に鹿島臭い勝ち方であり、これもまたオリヴェイラ監督がもたらしてくれたものなのでしょう。

・個人的なMOMは文句なく槙野。鹿島の攻勢に槙野が立ちふさがり、間一髪のところでピンチを免れた場面が何度あったことか!!

・決勝戦の相手は仙台に決定。鹿島と比べれば格段に楽な相手なのは確かで、しかも試合会場はホーム埼玉スタジアム。準決勝で鹿島を破ったことでもう優勝したような錯覚に陥り勝ちですが、そこに落とし穴があるのはありがちな話。故障でレギュラークラスを3人も失い、特に青木の復帰は難しいことが伝えられていますが、その穴を埋めるだけの控え選手も揃っていますが、むしろこのアクシデントが決勝へ向けて気を引き締めるという意味で良い方向に働いてくれるかもしれません。このアクシデントに際してはとにかくオリヴェイラ監督の手腕を信じて決勝に臨みましょう!!

014

---武藤--興梠---
---柏木--長澤---
宇賀神--阿部---橋岡
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
27分 マウリシオ

(交代)
51分 興梠→李
65分 武藤→柴戸(3-4-2-1にシフトして柴戸がシャドーに入る)
72分 青木→阿部

・スタメンが鉄板に戻ったのに対して、サブは入れ替えがあり、なによりナバウトと荻原がベンチ外になったのが目を惹きました。

・ナバウトは何度も出場機会を与えられながらほぼ空回り状態が続いており、とうとうズラタンと入れ替えの憂き目にあったのかも。荻原はFC東京戦の出来がオリヴェイラ監督には不満だったのかもしれませんが、荻原に代わってベンチ入りした武富も湘南戦では良いところがありませんでしたし・・・

012

---鈴木--セルジーニョ--
安部--------遠藤
---永木--西----
山本-昌子--スンヒョン-内田
-----クォンスンテ----

(交代)
61分 永木→土居
70分 遠藤→安西
84分 山本→山口(安西が左SBに下がる)

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2018.12.02

【観戦記】18年最終節:浦和 3-2 FC東京 ~ 内容はともあれ勝って平川送別会に花を添える心地よさ

・両チームとも最終節を待たずにACL圏入りの可能性がなくなり、最終順位をちょっとでも上げてちょっぴり賞金がもらえるかどうかだけといういかにも消化試合然とした一戦。もっともFC東京(以下「瓦斯」)のほうは正真正銘の消化試合だったのに対し、浦和は中3日で天皇杯準決勝が控えている立場で、その状況の差がこの試合への取り組み姿勢にはっきりと表れた一戦となりました。

・具体的には瓦斯が現時点でのベストメンバーを組んできたのに対し、浦和は前節出場停止の柏木と故障明けの槙野・青木をスタメンに復帰させたものの、興梠・武藤をベンチ外とした他、宇賀神・長澤がベンチスタート。代わりに普段スタメンで出る機会がない李・ナバウト・荻原・柴戸をスタメン起用するという、非常に判りやすい天皇杯優先のシフトを組んできました。

・前節湘南戦もそうですが、今の浦和はスタメンを大きくいじるとチームのパフォーマンスはガタ落ちになってしまうようで、この日の試合内容も芳しくありませんでした。シュート数こそ10対13とさほど差は付いていませんが、決定機の数はどう見ても瓦斯のほうが多く、浦和の大敗に終わっても仕方がない試合だったと思います。

・ところが前節湘南戦とは逆に浦和は多くはない決定機を確実に決めたのに対し、瓦斯は19分ディエゴのまさかの決定機逸を筆頭に決定機を外しに外したのに助けられて、浦和がなんとか逃げ切り勝ち。平川の引退に花を手向けるべき試合に泥を塗ることなく、曲がりなりにも勝ってセレモニーに繋げられて本当に良かった。しみじみそう思いました。

007

・9分柏木CK→李ヘッドで浦和が早々に先制したものの、その後は防戦一方。先制後の浦和の決定機は22分大森の横パスをカットしたナバウトがそのままミドルシュートを放った場面だけかな?

・浦和は先制後立ち上がりと比べてやや引き気味に構えたように見えましたが、ディエゴのポストプレーへの対応がまるでなっていないのが致命的。ディエゴに楽々ボールをキープされた浦和の守備は後手に回り勝ちで、瓦斯にバイタルエリアを好きなように使われ、さらにはサイドに簡単に展開されてしまいました。

。19分森重→ディエゴへの縦パスを契機に右サイドから東→ディエゴの決定機を作られたのがこの日の浦和の出来の悪さの象徴事例でしょう。ところがボックス内フリーで西川と対峙したディエゴのシュートはなぜか明後日の方向へ。28分にも高萩(?)→ディエゴの縦パスを契機に、最後はボックス内フリーで東にシュートを撃たれてしまいました(シュートは西川が難なくセーブ)。

・また普段スタメンで出る機会の少ない選手が多いせいか、連携がメロメロ。パスミスは多く、動きが被ることも多く、おまけに走ってほしいところに走りださない。また若い選手が混じっているせいか、リードしているのになぜか慌ててしまい、焦ってボールを前に運ぼうとしてロストした挙句に瓦斯のカウンターを食らう場面も目立ちました。36分柴戸がボールを運ぼうとした瞬間にハーフライン辺りでカットされ、そのまま高萩にミドルシュートを撃たれたのがその一例。

・瓦斯の外しっぷりに助けられてはいたものの、そうそう運が味方し続けるはずもなく、46分またしてもディエゴにポストプレーを簡単に許し、室屋→東の縦パスに対しても対応が甘くて東に簡単に前を向かれ、最後はアーク付近でディエゴがどフリーだという「悪の三重奏」みたいな形でとうとう失点。まぁ「納得の失点」と言うべき失点でした。

・しかし、その直後にこの試合の行方を決定づける、いかにもオリヴェイラ仕込みらしいというか、端的に言えば「鹿島臭い」プレーが炸裂。荻原のドリブルによる仕掛けで得たFKを柏木が素早くリスタート。瓦斯の集中が切れているといえばそれまでですが、その隙を見逃さない柏木に天晴れ!それ以上にFKにダイビングヘッドで飛び込んだのが李ではなく柴戸だったというのには驚きました。当然ながら柴戸も抜け目なく瓦斯の隙を伺っていたのでしょう。

・ただ突き放しに成功したとはいえ、浦和の守備が体をなしていないのは相変わらず。ナバウトを最前線に残して5-4-1の守備ブロックを敷いているように伺えましたが、ボールの奪いどころが定まらずに後手に回りに回って瓦斯に決定機を許し続けました。相変わらずディエゴへの対応は甘々。また前半から橋岡&岩波はサイドに流れたスピード王永井に苦戦勝ちな上、おまけに荻原は室屋に簡単に裏を取られるなど、中といいサイドといい、後半も浦和守備陣の至るところで火災が発生しているように見受けられました。

・ところが不思議というか、これぞフットボールというか、後半も圧倒的に瓦斯が優勢だったにも拘わらず、決定的な3点目を奪ったのは浦和。67分西川ゴールキック→ナバウトが森重に競り勝って(というか森重は競ってすらいない(笑))ハイボールを背後に落とし、ボックス内で自ら拾って李が仕上げという単純極まりない形でゴールが決まりました。9割がたナバウトの得点。ナバウトはスピードがないのでスペースにボールを出してもあまり意味がありませんが、フィジカルの強さが活きた格好でしょうか。

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・2点リードしたことでオリヴェイラ監督は脚を攣った荻原に代えて宇賀神、故障明けの青木に代えて長澤と相次いでレギュラー陣を投入して試合を締めに。途中投入の長澤の運動量は圧倒的で、すっかり負け癖のついた瓦斯にも諦めの気配が漂い出した時点で満を持してオリヴェイラ監督は平川の投入を準備しました。

・しかし、ベンチが平川投入の準備をしているのが判ってスタジアムがざわつき出したのが良くなかったのか、さらにはそのざわつきによって浦和の選手達が集中を欠いてしまったのか、87分ボールを拾った高萩に始まり、クロスを上げた室屋も、仕上げの前田も悉くどフリーというお粗末極まりない形で失点。その直後にも柏木CKのこぼれ玉を拾った柴戸がなぜかボールを前に運ぼうとしてロストした挙句、3対4のカウンターを許してしまう大失態を演じてしまいました。

・こんな展開になってしまうと平川投入自体がお蔵入りになっても不思議はないのですが、そこは消化試合の気楽さなのか、オリヴェイラ監督は迷うことなく平川投入を敢行。大規模な配置転換を伴う危険な選手交代でしたが、平川の顔に泥を塗るわけにはいかないとばかりに浦和の選手達もなんとか集中を取り戻し、かつ当の平川自身が右サイドの守備に奮戦してなんとか逃げ切り勝ち。

・浦和は最終節に勝って5位(勝ち点51)でフィニッシュ。エコパで惨敗して堀監督のクビが飛んだ日にはお先真っ暗、残留争い間違いなしと思いましたが、あそこからよくここまで立て直したと思います。そして逆に磐田の方がプレーオフ行きとはまさに世の中一寸先は闇。優勝した川崎の実力こそやや飛びぬけていますが、それ以下は2位も最下位もそんなに差はない。非常に厳しく、そえゆえに面白いJリーグらしい2018年でした。

011

---李---ナバウト---
---柏木--柴戸---
荻原---青木---橋岡
-槙野--阿部--岩波-
-----西川-----

(得点)
9分 李
48分 柴戸
68分 李

(交代)
72分 荻原→宇賀神
81分 青木→長澤
89分 柏木→平川(平川が右WB、阿部がアンカー、長澤がIH、橋岡が右CB、岩波が中CBへ)

※マウリシオが小破して前節に続き欠場。

・天皇杯準決勝へ向けてという意味では橋岡の不振が気がかり。U19のみならずU21までも引きずり回されて、シーズン最終盤にはもうクタクタなのかも。ゴールキックのターゲットとしてもあまり相手に競り勝てなくなり、守っても軽すぎるプレーが頻発。ひょっとすると天皇杯では森脇のWB起用があるかっも。

・お疲れという点では槙野も同様かな。この試合はディエゴに自由にやられ過ぎでした。

013

---永井--ディエゴ--
東---------大森
---高萩--橋本---
太田-森重--チャン--室屋
-----林------

(得点)
46分 D・オリヴェイラ
87分 前田

(交代)
68分 永井→前田
78分 大森→リンス
78分 太田→小川

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2018.11.25

【DAZN観戦記】18年第33節:湘南 2-1 浦和 ~ 不甲斐ない試合内容で、3位入りは完全消滅

・湘南はルヴァン杯優勝で超久しぶりにタイトルを獲得したものの、ルヴァン杯勝ち残り&台風による試合順延の関係で過密日程を強いられたのが祟ってか、リーグ戦ではなかなか勝ち点を積み上げられずに残留ラインのすぐ上を絶えず彷徨っている状況。一方浦和は計算上ACL圏入りの可能性を残しているものの、残り2勝してかつ3位鹿島&4位札幌の負けを願うしかないという厳しい状況で、最終節のわずか4日後(12月5日)へと前倒しになった天皇杯準決勝へと気持ちが移っていても特に不思議はありませんでした。

・代表ウィーク明けの一戦ですが、この日の試合内容には両チームの置かれた状況から来るモチベーションの差が多分に影響したように感じました。試合開始早々右WB石原が対面の宇賀神をがっつり削ってイエローをもらった場面に象徴されるように、湘南はいつもながらの凄まじい運動量に加えて球際の激しさ・厳しさがいつもの2割増しみたいな感じで、浦和は球際で負け、競り合いで負けまくっていたような塩梅。

・またモチベーションの差以上に、浦和は思わぬ怪我人続出でハンデを背負う羽目になったのも試合結果に直結したといって良いでしょう。浦和は柏木がイエロー累積で出場停止。また中断期間中に槙野がキルギス戦で不運極まりない脳震盪を起こして湘南戦には出場できず。さらにマウリシオが右下腿三頭筋肉離れで離脱。おまけに小破で前2節を欠場していた青木がこの一戦にも間に合わず、浦和はなんとレギュラー陣4名がごっそりいないという苦しい状況に追い込まれてしまいました。オリヴェイラ監督はやむなく、柏木→武富、槙野→茂木、マウリシオ→森脇、青木→阿部と入れ替え。

・ファブリシオ離脱以降、ほぼ固定したスタメンで勝ち星を積み上げてきた浦和にとって一挙にレギュラー陣が4人、しかも後ろ目の選手がごっそりいなくなった影響がないはずがなく、特に守備面にその影響が顕著だったように感じました。DAZNのスタッツだとシュート数は26vs9と浦和が圧倒していますが、湘南の数少ない決定機にレギュラー陣をごっそり欠いた浦和が守備の脆弱さをさらけ出して負けたと言い換えてもいいでしょう。

・1失点目はCB坂のロングフィードをCF山崎が頭で落とし、良い形でボールを拾った梅崎がそのまま独走してゴール。森脇が久しぶりに3バックの右に入りましたが、裏を取られた格好の森脇のスピードでは梅崎に追いつけず。というかドリブラーにやられまくる森脇ってもう何度も見た光景なんだよなぁ・・・もっともこの場面、山崎に競り負けた岩波の罪もでかく、後方に残っていた茂木の対応も疑問符が少々。

・梅崎はシュート意欲が非常に強く、好機に撃ちまくるものの、そのほとんどが入らないという「入らないエメルソン」が基本仕様だったはず。その梅崎がよりによって古巣浦和戦で最初のチャンスをいきなり決めるかね、フツー・・・・

・また湘南が夏に徳島から強奪したCF山崎は得点力こそいかにもJ1未満な感じですが、ポストプレーヤーとしては結構厄介で、浦和は山崎への対応が概しておざなりだったようにも見受けられました。

・2失点目は自陣深い位置からの阿部の素早いリスタートで、パスを受けようとしていた長澤が松尾主審に激突してしまうアクシデントが契機。「松尾どこ見てんねん!!!」と怒り狂いたくもなりますが、こぼれ玉を拾った石川を後方に残っている浦和の選手達は集中を欠いたかのようにただただ傍観。しかも石川がクロスを上げた先の菊地を茂木が見ていないという失態も重なって菊地が難なくゴール。試合後オリヴェイラ監督は茂木を「いろいろなポジションでプレーできる選手なんですけど、できる中では一番向いていないセンターバック」と評していますが、その評価通りの残念な対応でした。

・失点には直結していませんが、青木に代わってスタメン起用され続けている阿部の出来も残念至極。この試合では湘南を自陣に押し込んでいる時間帯が長く、自然浦和は前がかり気味に3バック(しかも森脇はかなり前目に進出)&アンカー然とした阿部だけで守る場面が目立ちましたが、阿部はもはや湘南の繰り出すカウンターを早めに潰すフィルター的な仕事が全然出来ていないような・・・ 

・レギュラー陣を4名欠いたことで守備は著しく脆弱になった感じがしたのに比べて、攻撃は相対的にはマシ。森脇が前に出て橋岡を支援しながら右サイド主体に攻める得意の形は何度も出来ていました。守備面を考えれば橋岡CB、森脇WBという配置がベターなのでしょうが、橋岡は森脇や岩波と違って後方から高精度のロングフィードなりクロスなりを繰り出せないので攻撃が成り立たず、その辺は痛し痒し。

・そしてサイドからのクロスあり、カットインからのシュートあり、ミドルシュートありと浦和は序盤からそこそこ攻撃の形は作っており、ボックス内に侵入する回数も多かったのですが、残念ながらシュート数の割にはなんだかんだとGK秋元をびびらせるようなシュートは撃てませんでした。湘南が好機を確実に決めたのに対し、浦和は47分宇賀神横パス→長澤がシュートをしっかりミートできずに絶好機をフイに。

・難を挙げれば柏木不在は縦パスの出し手が少ないところに顕著でした。柏木に代わって武富が久しぶりにスタメン起用されましたが、武富は柏木と違ってパスの受け手で、長澤と特性が被り勝ち。しかも長澤と違ってボールを受けたところでの当たり負けが目立ち、ほとんど良いところがなくお役御免。縦パスが入らないので2トップが下がりがちになってしまい、これもシュート数の割には決定機が少ない一因に。

・2点ビハインドを受けてオリヴェイラ監督は67分武富に代えてナバウトを投入して3-4-2-1に布陣変更。しかし、ナバウトは怪我明け後も連携に難があるのが顕著なのに、中断期間中豪州代表に選ばれてチーム練習に加われなかったのが祟ってか、相変わらず空回りしたまま。また一発はあるものの、もともとスペースがないところで活きるプレースタイルではないので、この選手交代は完全にハズレでした。

・さらにオリヴェイラ監督は71分森脇を諦めて柴戸を投入し、岩波を3バック右、阿部を中央に配置転換。77分珍しく茂木が攻撃参加してなんとボックス付近にまで顔を出したことで湘南守備陣が混乱したのか、茂木→武藤ヒールパス→裏抜け下興梠のゴールでついに反撃開始。

・その直後に武藤→ズラタンで一気に勝負に出て、ズラタン自体はボールの収め処として機能し、少なくともナバウトよりはずっと働いていましたが、ズラタンも全体練習に復帰したばかりでチームとしてはズラタンの有効な使い方がよく判らないままに時間が徒過。湘南をボックス内に釘付けにしながらも浦和のシュートは悉く枠外orシュートブロックにあって同点に追いつけず。

・この敗戦で浦和は3位入りどころか4位にすら入れないことが確定。ACL出場権を得られるのはもはや天皇杯優勝だけになってしまいましたが、中3日で天皇杯準決勝を迎えるリーグ最終節をどのような布陣で迎えるのか。槙野&柏木の復帰は確実ですが、マウリシオと青木は無理使いしないかもしれません。ただ湘南戦のような「不甲斐ない」と感じざるを得ない試合内容は勘弁してほしいものです。

---武藤--興梠---
---武富--長澤---
宇賀神--阿部---橋岡
-茂木--岩波--森脇-
-----西川-----

(得点)
77分 興梠

(交代)
65分 武富→ナバウト(ナバウトがシャドーの3-4-2-1へ)
71分 森脇→柴戸(柴戸がボランチ、岩波が3バックの右、阿部が中央へ)
77分 武藤→ズラタン

・右サイドではU19代表の橋岡とU21代表の杉岡が対峙。奇しくも「ルックスに全く若さが感じられない若者」同士のマッチアップでしたが、いつもゴールキックのターゲットになる橋岡が杉岡になかなか競り勝てないのも地味に響きました。

-----山崎-----
--梅崎----菊地--
杉岡-齊藤--石川-石原
-大野--坂---山根-
-----秋元-----

(得点)
20分 梅崎
56分 菊地

(交代)
HT 齊藤→金子
76分 梅崎→高山
90+2分 石原→野田(高山が右WB、野田がシャドーへ)

・湘南は浦和からレンタル中の岡本が契約上出場できず、代わりに石原がスタメンに。ボランチの一角に金子ではなく齋藤が入ったのがやや意外。

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2018.11.11

【DAZN観戦記】18年第32節:札幌 1-2 浦和 ~ 幻に終わった「厚別公園死の彷徨」

・例年なら雪が降り始める11月にも関わらず、札幌ドームは先約があって使用できないという大失態により試合会場はなんと厚別に。下手をすると吹雪の中を待機列で、そしてスタンドで立ち尽くす羽目になるのではないかと恐れをなして、この試合はDAZN観戦にしました。しかし、ふたを開けてみると今年の札幌は冬の訪れが遅く、少々天候が不安定だっただけで恐れていたほど寒くはなかった模様。これは赤者の日頃の善行の賜物なのでしょう、たぶん(苦笑)。

・試合は共にACL圏入りを目指した一戦。但し札幌は自力での3位浮上が可能な地位にいる一方、浦和は残り3試合全部勝った上での他力本願という厳しい状況。そういう置かれた状況の差もあってか、浦和は序盤から積極的に中盤でプレッシャーをかけに行きました。そして結果は浦和が優勢な時間帯に2点奪い、札幌の反撃を1点に抑えてなんとか逃げ切り勝ち。

・とにかく3連勝しか道はない浦和にとって今更内容を云々しても仕方ありませんが、スコア通りの辛勝だったのは間違いありません。ジェイの出場停止がなければ、終盤の都倉投入=ツインタワー形成で押し切られた可能性が高かったようにすら感じました。

・実は仙台戦以降「前半優勢、後半ぐだぐだ」という傾向が続いています。大槻監督が選手を脅してシバキ上げて勝利を重ねていた時期もそんな感じでした。オリヴェイラ氏の監督就任後W杯による長い中断期間を使用してフィジカルを徹底的に鍛え上げたのが奏功してしばらくは失速癖がなくなったかのように見えましたが、ここに来てまたゾロ失速癖が顕著に。

・そして前半の優勢な時間帯ですら往々にして失点してしまうのが実に腹立たしい。仙台戦では前半のうちに追いつかれたことで流れが一変し、G大阪戦でにいたっては常に相手に先手を取られて惨敗してしまいました。この試合は前半で再度突き放しに成功しましたが、後半の失速ぶりを見るにつけ、前半のうちに2、3点取って事実上勝負をつけてしまわないと今の浦和に盤石の勝利は望めないようです。

・もちろんミシャの残り香にすがった大槻時代と今とではやっているサッカーがだいぶ違うので、「後半失速」という表面上の現象は同じでも原因は全然違うのだろうと思いますが、オリヴェイラ監督が残り2試合&天皇杯に向けてここにどうメスを入れるのかが気になります。

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・浦和は青木の故障(左ハムストリングスの張り)が癒えずに前節に引き続いて阿部がスタメン入り。U-19アジア選手権から戻った橋岡もスタメンに復帰して森脇がサブへ。同じく代表帰りの荻原もベンチ入りという想定内の構成。一方札幌は出場停止のジェイに代わって都倉がスタメン入りし、さらに契約上出場できない駒井に代わって早坂が右WBへ。こちらもスタメンにサプライズなし。ただ前節出場停止の深井が今節もベンチ外となり、ボランチの一角に兵藤が入ったのは少々意外でした。

・札幌は試合開始早々に都倉目掛けてのロングボールでCKを取ったのを見て、対浦和戦用にロングボールを多用してくるものと思いましたが、どうもそればオプションに過ぎなかったようで、基本的にはいつも通りにショートパスを丁寧に繋ぐ形。これは中盤でのハイプレスが持ち味の浦和には好都合で、6分中盤でのパスカットからのショートカウンターで長澤縦パス→武藤が胸トラップ&左足一閃でいきなり先制。

・その後も14分柏木縦パスを受けて左サイド深くにフリーで侵入した長澤クロス→武藤(シュートがDFがブロック)、22分左サイドで上手く早坂と入れ替わった宇賀神がフリーでクロス→長澤シュート(GK正面)と決定機があったが決めきれず。

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・逆に20分過ぎから早くも失速の気配が表れ始めて高い位置でボールが取れない、セカンドが拾えないどころか危険なボールロストも増加。22分縦ポンを最前線で都倉が胸でポスト→拾った三好ががら空きのバイタルエリアを突き進んでシュートという極めて危険な形を作られ、さらには25分槙野が三好を前でつぶせなかったのが災いして、三好にドリブルでバイタルエリアをいいようにかき回され、三好→福森クロス→進藤で失点。浦和右サイドの福森へ展開される前に阿部が三好を潰せないのも残念でした。

・ところが札幌の反撃ムードをへし折ってしまうのがいかにもミシャらしいザル守備。35分宇賀神が左サイドを抜け出したものの、相手の守備ブロックは完全に整っている状態。これでは得点は難しかろうと思っていたところ、宇賀神のグラウンダーのクロスへの札幌DF陣の対応が雑過ぎて運よく武藤に通り、浦和が再度突き放しに成功。40分には阿部→宇賀神→柏木エリア内突入の決定機を作りましたが、ここはGKク・ソンユンが好セーブ。

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・浦和はこの決定機を最後に後半からしばらく防戦一方に。51分センターサークルでマウリシオの不用意すぎるボールロストからショートカウンターを食らい、それまで完全に消えていたチャナティップが際どい一発。54分槙野、長澤と球際で競り負けて札幌の攻勢を寸断しきれずにチャナティップ→三好→荒野と繋がれてヒヤリ。さらに56分自陣深い位置で橋岡が菅に絡まれてボールロスト→エリア内に侵入した都倉が誰にも合わないほうが不思議なほど決定的なクロスを上げられてしまいました。

・この時間帯の浦和はとにかく攻守の切り替えで札幌に完敗。球際での競り負けも目立ち、札幌のシュート精度の低さにも助けられながら5-4-1の守備ブロックを作って自陣深く引きこもり、札幌の攻勢を最終ラインで辛うじてはじき返すのが背一杯。セカンドボールを全然拾えないので札幌の波状攻撃を浴び続ける羽目に陥ってしまいました。高さがあり、空中戦に強い札幌に対してドン引きになるのは本来悪手のはず。ただこの日はジェイがおらず、都倉一枚だけならマウリシオ&槙野でなんとかなったのが粘り勝ちの主因でしょう。

・逆に言えば札幌は一方的に浦和を押し込んでいた時間帯に一点も取れなかったのが敗因。オリヴェイラ監督は阿部→柴戸、橋岡→森脇と代えてついに反撃開始。特に柴戸投入の効果が絶大でようやく札幌の攻撃を中盤で寸断できるようになり、82分には高い位置で森脇がボール奪取→で武藤がエリア内に突入する見せ場も。

・一方終盤の札幌の決定機は89分右サイド深くに侵入した進藤クロス→逆サイドでフリーの白井シュートの一つだけ。ミシャが嘆く通り、ジェイの不在はかなりの痛手で、手駒として都倉が使えればドン引きに陥った浦和守備陣を力づくで決壊させられただろうに、という気がしてなりませんが、チームの総合力が問われるのがリーグ戦。いないものを嘆いても仕方ありません。

・浦和はこの勝利をもってしても3位鹿島との勝ち点差が4、4位札幌との勝ち点差も3とACL圏入りは専ら他力本願=とにかく残り2試合を勝って天命を待つという状況にはなんら変わりありません。依然厳しい状況ですが、天皇杯へ弾みをつけるためにも次節湘南戦へ向けての小中断期間を有意義に過ごしてほしいものです。

Redssupo0007

---武藤--興梠---
---柏木--長澤---
宇賀神--阿部---橋岡
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
6分  武藤
35分 武藤

(交代)
73分 阿部→柴戸
78分 橋岡→森脇
89分 興梠→ナバウト

・青木の小破を受けてオリヴェイラ監督は前節に続いて阿部をアンカーに起用しましたが、残念ながら阿部の出来は前節に続いてぱっとせず、肝心なところで相手を潰せずに失点に絡んでしまいました。逆に終盤に投入された柴戸の出来は秀逸で、見事な火消し役を演じてくれました。柴戸は時間が限られているからこそ思い切って行けるのでしょうし、90分やらせるのはまだ辛いとのオリヴェイラ監督の判断なのでしょうが、阿部と柴戸の立場が入れ替わるのは時間の問題な気がしました。

・U-19代表で遠征帰りの橋岡はお疲れ気味でこれまたあまり良いところなし。にも拘らず、今後はUAE遠征(11/11~21日)のU-21日本代表メンバーに飛び級招集されて、湘南戦の出場は少々怪しげ。

・柏木がついに4枚目のイエローをもらって次節出場停止。カウンターを食らって危ないところを後ろからひっかけているのでイエローは当然ですが、この日担当の小屋主審が曲者で判定基準がブレブレ。札幌にも同じような後方からのファウルとか、手を使って相手を止めるとか、イエロー相当の行為が相当見受けられましたが、前半はなぜか流しまくり。前半ススキノ接待で骨抜きにされたんじゃないの???

・とはいえ、前年都倉の罠に嵌まって退場させられた槙野はもちろん、案外瞬間湯沸かし器系のマウリシオも主審の謎判定、都倉の度重なるラフプレーによく耐え、よくブチ切れずに凌ぎきりました。2ゴールにより海鮮王国北海道で寿司をもたらした武藤以上に、両CBの奮戦ぶりの印象が強く残る試合でした。

0000

-----都倉-----
--チャナティップ--三好--
菅--兵藤--荒野-早坂
-福森--宮澤--進藤-
-----クソンユン-----

(得点)
25分 進藤

(交代)
HT 兵藤→キム ミンテ(宮澤がボランチ、キムがCB中央へ)
69分 早坂→白井
81分 菅→宮吉

※写真は試合とは全く関係がありません。

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