2025.11.08

【短感】25-26年第13節:浦和L 1-2 I神戸

 浦和のスタメンは前節と全く同じ。ただSHは前節の後半と同じく左に榊原、右に丹野でした。

 神戸の布陣は4-2-1-3というよりは4-2-3-1に近い感じでしょうか。そしてプレス強度が他のチームとは段違いでした。しかもちょっと前の神戸と違ってプレーがあまり汚くない。浦和の右サイドは概してフィジカルに難があるせいか競り負け、当たり負けする場面が続出。また現役女子高生もこれまでの相手とはレベルが違いすぎるせいか、終始苦戦を強いられました。

 また浦和の最終ラインも神戸の強烈な前プレに晒されること頻り。浦和の選手の凡ミスというより、ミスを誘発するように仕向けている神戸のプレスのかけ方が一枚上という印象を受けました。

 そして神戸はボールを奪ってから終始前残り気味のCF吉田(#9)や俊足の右WG愛川(#7)を軸に手数をかけずに浦和ゴールに迫ることを徹底。

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 16分の失点は持ち上がろうとした後藤が3人に囲まれた挙句に成宮(#10)にボールを奪われ、成宮がそのまま一人で出来た!!形ですが、これは神戸がずっと狙っていた形そのまんま。

 33分にも成宮スルーパスから愛川が池田と一対一の大ピンチを迎えましたが、ここは池田が好セーブ。

 浦和は攻撃でも苦戦。左SB長嶋が対面の愛川を気にして上がるに上がれないためか、左SH榊原は終始単騎での闘いを余儀なくされて沈黙。なんとか浦和が相手を自陣に押し込んだところでシュートはブロックされるばかり。前半浦和が最もゴールに迫ったのは36分榊原がアーク付近から放ったシュートがGKにセーブされた場面でしょうか。

 神戸は攻撃の柱の一人だった愛川が負傷して45分に井出を投入せざるを得ないアクシデント(右SBだった水野(#14)が右WGへ)がありましたが後半もなお神戸ペース。52分には櫻井の後藤への横パスがずれてショートカウンターを食らう大ピンチがありましたが、ここは高橋&後藤が身体を張って神戸のシュートを立て続けにプロック。

 ぱっとしない戦況を受けて堀監督がローリーを用意していたのでてっきり丹野との交代と思ったのですが、61分ローリーの交代相手はなんと平川!!伊藤をアンカーに下げて、榊原をIHに配する策は過去何度が試行済ですが、IHの榊原ってSHほど輝かないんだよなぁ・・・ そしてそれ以上に参ったのはローリーが神戸相手となると全く通用しなかったこと。

 74分に丹野に代えて藤﨑を入れましたが、堀監督になってからの藤﨑は全く良いところがなく、この試合も案の定。そして島田→菅澤の交代に至っては全然悪くない島田を下げてまで4-1-4-1の形に拘らなくてもいいんじゃね???という疑問が沸々と・・・

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 だが浦和の得点は意外なところから。77分伊藤CKに対してGK大熊が飛び出そうとしたのを藤﨑が巧くブロックしたのが効いたのか、高橋が頭で合わせて浦和なんとか同点に。

 内容はともかくなんとか同点に追いついて押せ押せのムードになったところで堀監督は81分加藤に代えて柴田を入れただけでなく、足を攣ったっぽい長嶋に代えて岡村を投入。そして残念ながらこれが失着に。

 残念ながら岡村はスピード不足で一対一で負けまくり。さらに90+2分神戸のサイドチェンジから右SB井出(#4)にどフリーでシュートを撃たれる大ピンチ(藤﨑はどこ行ったんや・・・)がありましたが、ここは池田がなんとかセーブ。だが、その後のCKで長々と続いた混戦の果てに水野に押し込まれてしまいました。

 端的に言えば神戸が浦和を良く研究して浦和の長所を消し、弱点を的確に突いてきたのに対し、浦和は無為無策で普段通りの闘いを挑んで、それが通用しなかった際の次善の策が打てなかったことに尽きましょう。悔しすぎる劇的な負け方でしたが内容的には完敗でした。

 昨季終盤に崩壊した(というか自ら崩壊させた)ように思えたチームを曲がりなりにも再建して優勝争いできるレベルにまで引き上げ、おまけに長年の懸案だった世代交代にも成功しつつあることについてはポジティブサプライズとしか言いようがなく、個人的には正直堀監督に土下座せねばならないと思います。

 ただ実力差の接近した相手と闘って、改めて「堀監督の引き出しの無さ」を思い出す羽目になるとはなぁ・・・

 そして選手達にもあえて難を言えば「上手いだけでは勝てない」ことをこれまた改めて思い知らさせる試合でもあった気がします。

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-----島田-----
榊原-伊藤--加藤-丹野
-----平川-----
長嶋-後藤--高橋-櫻井
-----池田-----

(得点)

16分 成宮(神戸)
77分 後藤
90+3分 水野

(交代)
61分 平川→ローリー(ローリー右SH、アンカー伊藤、榊原左IH、丹野左SHへ)
74分 丹野→藤﨑
74分 島田→菅澤
81分 長嶋→岡村
81分 加藤→柴田

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2025.11.02

【短感】25-26年第12節:EL埼玉 0-3 浦和L

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 浦和のスタメンは第11節C大阪戦からローリー→丹野と1名入れ替えのみ。リーグ戦の合間=代表ウィークに開催されたカップ戦で島田が21分に脳震盪扱いで交代していたので、その後の状態が心配でしたが、何事もなかったようで無事この試合もスタメンに。

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 EL埼玉は積極的に最終ラインを押し上げて強度マシマシなプレスをかけてくる上に、川越のピッチ状態が芳しくなくてボールコントロールに苦労したせいか、浦和は8分に丹野の横パスから伊藤シュートの決定機を作って以降はしばらくグダグダ模様に。

 EL埼玉はボールを奪ったらシンプルに浦和の最終ライン裏、特に櫻井の裏を突くことで対抗し、11分にはGK池田の飛び出してなんとか難を逃れる一幕も。

 しかし25分くらいからようやく浦和も島田のポストプレーを活かす場面が見られだし、さらに相手の手口やピッチ状態に慣れてきたのか敵陣でボールを支配する時間帯が増え始めて、29分には相手を押し込んでの波状攻撃から丹野の横パスを受けた伊藤がボックス内でシュートを放つもバーの上。34分には島田スルーパス→伊藤シュートはGKセーブ。

 そして41分長嶋のロングフィードを左サイドで受けた丹野が中へマイナスに折り返し、中にどフリーで突っ込んできた加藤のシュートが決まってようやく浦和先制。前に島田が突っ込んで埼玉DF陣を釣りまくると同時に加藤が走り込むスペースを開けてのゴールという実に見事な形。全く点が取れないどこかのポンコツメンズによく見てもらいたいものです。

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 後半になると浦和はなぜかSHの左右を入れ替え。これで丹野のプレーはやや窮屈そうになりましたが、それ以上に榊原が輝きだして浦和が大攻勢。51分丹野スルーパス→島田シュートはブロックされたものの、そのこぼれ玉を拾ってから浦和が波状攻撃。平川浮き球縦パスをボックス内で榊原が収めて伊藤シュートはなんとかGKがセーブしたものの、そのこぼれ玉を加藤が押し込んで2点目。

 その後も浦和が一方的に攻め続けてクロスが中でわずかに合わないだけという場面が続出。堀監督は勝負ありと見たのか、69分長嶋→ローリー、榊原→藤﨑と代えてなんと丹野を左SBに配するテストを開始。75分には島田に代えて菅澤を入れただけでなく、平川に代えて柴田を入れて伊藤をアンカーに入れるテストも。まぁ高塚アンカーに見切りをつけたことの裏返しなのかも。

 そして菅澤投入の効果は凄まじく、81分加藤の縦パスを受けてからのボックス内での反転シュートがポスト直撃!!さらにその流れからローリーのパスを受けた菅澤のシュートは僅かに枠の外。故障明け故まだ長時間は使えないのでしょうか、菅澤の身体のキレはかなり戻ってきた印象を受けました。

 堀監督は87分に櫻井に代えて岡村を投入。岡村は今季リーグ戦初出場ゆえか、いかにもゲームに入れておらず、投入直後はパニックに陥った印象さえ受けましたが、岡村本人はどういう感想を持ったかなぁ??持ち上がりで一度見せ場は作ったけど。

 88分には伊藤の縦パスをボックス内で菅澤が収めて、左サイドをどフリーで駆け上がってきた丹野にお膳立て。丹野がきっちりその決定機を決めて3点目。これも菅澤の復調を感じさせる良い仕事ぶりでした。

 前半25分くらいからはほぼ一方的な浦和ペースの試合で内容通りの結果に。EL埼玉はいかにも事前に仕込んだっぽいセットプレーや、縦に速いシンプルな攻めでシュートまで持って行く場面こそ案外多かったのですが、池田を脅かすような枠内シュートはなかったかも。

Elsaitama2511005
-----島田-----
丹野-伊藤--加藤-榊原
-----平川-----
長嶋-後藤--高橋-櫻井
-----池田-----

(得点)
41分 加藤
51分 加藤
89分 丹野

(交代)
69分 長嶋→ローリー
69分 榊原→藤﨑(藤﨑左SH、ローリー右SH、丹野左SB)
75分 島田→菅澤
75分 平川→柴田(柴田左IH、伊藤アンカーへ)
87分 櫻井→岡村

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・川越運動公園陸上競技場は初体験。赤者の車に便乗させていただいたのでアクセスは楽チンでしたが、出場選手の表示板がなかったり、メインスタンド南端前に立っている珍妙な高台が観戦の邪魔だったりと、正直プロの有料試合をやるのはチトしんどいと思いました。

 

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2025.10.11

【短感】25-26年第10節:浦和L 2-1 N相模原

 浦和のスタメンは前節と全く同じ。丹野がベンチに戻ったものの、ローリー右SHのテストを継続。

 相模原は非常に積極的にゲームに入り、マンツーマン気味に前から前からプレッシング。浦和は相手の出方に困惑したのか、平川や長嶋が自陣深い位置でボールを失う場面も。そして7分長嶋が祐村に裏を取られ、単騎ボックス内に突入した祐村はCB高橋も巧くかわしていきなり先制!!

 しかし、浦和は12分伊藤CKをニアで岸川がいったん跳ね返したものの、後方に流れたボールに加藤がタイミングよく飛び込んで早い時間帯に同点に。加藤はこれが今季初得点。

 相模原は終始前がかり気味なので、前節長野戦とは対照的に敵陣、特に両サイドにアホほどスペースがあるので榊原・伊藤・長嶋の連携で崩しまくれる左サイドはもちろん、右SHローリーの個人技やスピードが活きて右サイドからも何度も良い形を作りましたが、折り返しが誰にも合わずに流れの中からは得点ならず。

 しかし、41分伊藤CKが相手DF陣を越えて落ちてくるところを髙橋が巧みに右足で合わせて前半のうちに逆転。

 堀監督は「前半だけでローリーのテストは終わり」と言わんばかりに、後半頭からローリーに代えて丹野を投入。この交代の効果は凄まじくて相模原右サイドは大崩壊。47分長嶋クロスがファーの榊原に通ったものの、榊原ヘッドはポスト直撃!!51分丹野が左サイドを深く抉って折り返すも、島田のシュートは枠を捉えきれず。

 相模原がたまらず右SBを代えて丹野対策を講じた後の試合は急激にグダグダに。この試合は重馬場苦手っぽい平川の出来が芳しくなくてパスがずれまくったのが良くなかったのか、60分以降の浦和はしっかりボールを繋がず(繋げず?)、やたら縦にポンポン蹴るだけの大味な試合展開に。

 72分に平川を諦めて伊藤をアンカーに転用するも試合展開はグダグダのまま。85分に故障明けの菅澤を試運転したものの戦局は好転せず。

 それでも相手にも何もやらせないまま試合終了ならまだしも。90分に高い位置でボールを奪いきれずにカウンターを食らい、左サイド高い位置に単騎残っていた笹井優に櫻井もあっさり交わされてループシュートを撃たれる危ない場面がありましたが、シュートは幸いにも枠の外。ATには何事も起こらず試合終了。

3連勝ですが、3試合とも終盤グダグダ。しかも前2試合はテスト的色彩の強い選手交代がグダグダの主因と思われましたが、この試合は主力勢ぞろいの時間帯ですでにグダグダ。なんか「アンカーに適材を得ないホッカー」っぽくなっていたのが気になりました。

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-----島田-----
榊原-伊藤--加藤-ローリー
-----平川-----
長嶋-後藤--高橋-櫻井
-----池田-----

(得点)
7分 祐村(相模原)、
12分 加藤
41分 高橋はな

(交代)
HT ローリー→丹野(丹野左SH、榊原右SHへ)
72分 平川→藤﨑(藤﨑右SH、伊藤アンカー、榊原左IHへ)
85分 島田→菅澤
90+2分 櫻井→エスタ
90+2分 加藤→高塚

ローリーの活かし方がはっきり判ったのがこの試合の収穫。周囲との連携に難があるのも相変わらずですが、榊原や丹野とは違う初見殺しっぽい「びっくりどっきりメカ」的な特性が強いので、スーパーサブ的な使い方のほうがよさげ。

そして菅澤が長期故障からついにピッチに戻ってきたのは何より慶事。さすがにまだまだ身体は重そうでしたが、徐々にコンディションを上げてくれることでしょう。

 

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2025.04.01

【短感】24-25年第16節:I神戸 0-1 浦和L

 驚天動地の監督人事が敢行された後の最初の公式戦は今季の優勝を大きく左右するアウェーI神戸戦。中断期間明け後は全く試合に出ていない丹野がスタメンに抜擢されたのにも驚きましたが、それ以上に驚いたのは高橋がCBに下がって島田が1トップに起用されたこと。

 試合開始直後は柴田と伊藤がほぼ同じ高さにいたので4-2-3-1と思いましたが、15分くらいから次第に伊藤が上がりだしてはっきりとした4-1-4-1の布陣を敷き始めました。

 開始早々丹野の横パスを受けて島田が枠内シュートを放つ場面がありましたが、早い時間帯に明るみになったのはこのチームはシンプルに速く攻める、ゴール前に速くボールを送りたがること。それ自体は悪くはないのですがフィニッシュで終われないと「早く送ったボールは早く戻ってくる」報いを受ける羽目になります。そして残念ながら島田1トップは全くボールを収められず、極端に言えば相手のカウンターの基点になりつづけました。

 攻め急ぎたがる趣向は守備にも甚大なダメージを与えることに。4-1-4-1でピッチを広く使って攻めようとするのでボールを失った際の選手間の距離は概して遠く、当然ながら複数人で相手ボールホルダーを囲い込んで即時奪回なんてことはできません。楠瀬時代の最大の持ち味(=ハイライン&ハイプレス→素早い攻守の切り替えからの即時ボール奪回)をいきなりまるごと捨ててしまったのには開いた口が塞がりませんでした。

 そしてこれが対I神戸戦では最悪手に。I神戸は最前線のスアレスがボールをキープしてくれることを大前提に、2列目がフォローに走りまくるという神戸メンズと発想が酷似したサッカーを基本としています。石川といえどもスアレス相手に完勝とはいかず、スアレスがサイドに流れてしまうとそれを掴まえられる選手もいません。

 それゆえボールホルダーにプレスをかけて良い体勢で余裕をもってボールを蹴らせないのが肝要なのですが、残念ながら堀監督はハイプレスを捨ててしまったので、I神戸のやりたい放題に。スアレスのフォローに走る成宮らを邪魔しようにも柴田一人ではどうにもならず、柴田の回りのスペースを使われつづけるという大惨事に。

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 「I神戸相手にやったらアカンことのてんこ盛り状態」で決定機を与えに与え、GK池田やクロスバーの奮戦でなんとかスコアレスで前半終了。さすがにこの惨状を受けて何がしか修正が入るものと思っていたのですが、さすが百戦錬磨して成果皆無の堀監督、何の修正もなされず後半へ続く(CV:キートン山田)。

 守備負担がきつすぎて疲労困憊状態のキャプテン柴田を70分で諦めざるを得なくなって角田を投入するも、そんな弥縫策で糊塗できるような穴ではなく、浦和がいつ失点しても不思議はありませんでしたが、なぜかこの日のI神戸は決定機を外しに外してくれました。

 堀監督がようやく勝負手らしい勝負手を放ったのは84分ついに島田CFを諦めて高橋をCFへ転用。そしてその直後の86分CKからの流れで角田ハイクロス→高橋がCB太田に競り勝ってヘッドで先制!!監督が時間がなくてセットプレーまで指導してないのが良かったのかも(苦笑)。

 その後は時間を潰しに潰した浦和がそのまま逃げ切り勝ち。

 チームとして褒めるべきところは何一つありませんでしたが、選手達の奮闘だけは讃えたいと思います。選手達もまさかすぎるACL準々決勝敗退とその直後の不可解すぎる監督交代で思うところが山のようにあったのか、強敵を下して思わず号泣してしまった選手もちらほら。

 試合内容はボロ負けなのにセットプレー一発で勝つことがある。これがサッカーの怖さ。カップ戦ならそれこそ「勝てばよかろう」なのですが、残念ながらリーグ戦では運よく転がり込んだ1勝にはさしたる意味がなく、良くない試合を続けていれば成績は自ずとその内容に見合ったものに収斂してゆきます。

 現時点ではI神戸との勝ち点差は2。消化試合が神戸より一つ少ない浦和は、机上の計算では未消化のベレーザ戦に勝てば首位浮上ですが、この試合内容ではベレーザに勝つどころか、それ以外の試合でも相当勝ち点差を落とすことを覚悟せざるを得ないでしょう。

 楠瀬前監督、いやそれ以前の森監督時代から積み上げたものを早々に投げ捨て、代わりに積み上げたものは皆無。「点を取られる気は全くしないが、ボールを握っている割には点が入らない」監督を更迭して、「点が入る気はしないが、なんで無失点で済んだのかさっぱりわからない」監督を招聘したのが丸わかりな試合で悲しいのなんの。

 悪くはなかったサッカーをわざわざ捨てて、クソミソな内容で負けてたらチームは早々と崩壊したことでしょう。内容が良くない上に負けて得られるものなんてそれこそ何もありません。勝って本当に良かった。選手たちは本当によく頑張った。お疲れ様でした。

 そしてこの事実上のボロ負け試合から堀監督はなんか修正すべきものを見つけられたかどうか(巨大な疑問符)

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-----島田-----
丹野-伊藤--塩越-高塚
-----柴田-----
栗島-石川--高橋-遠藤
-----池田-----

(得点)
86分 高橋

(交代)
70分 柴田→角田
84分 丹野→藤﨑
84分 島田→後藤(後藤CB、高橋CFへ))

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2025.03.27

浦和レッズレディース、驚天動地の監督人事

 昨日(3/26)楠瀬直木監督の三菱重工浦和レッズレディース契約解除及び堀孝史氏の監督就任という驚くべき人事が公表されました。同日に行われた工藤SDへの囲み取材によると「試合後すぐというわけではないですが、AWCLで敗退した後、その日の夜に伝えました。」とのこと。

 これほど訳が分からない監督人事もなかなかないでしょう。個人的な評価としては「新しいことを始めるけど監督は変わりません」という不可解極まりない道を突き進んだ2020年(大槻監督2年目)と良い勝負かと。

 それ以来「3年計画(及びその惰性的な延長)」の名のもとに迷走を続けるだメンズを尻目に、レディースは2019年森監督就任&2021年楠瀬監督へのバトンタッチで6年に渡って継続性が感じられるチーム強化を敢行したのが実ってコンスタントにタイトルが取れるチームへと成長しました。しかし、今回の馬鹿げた人事はせっかく積み上げたものを雲散霧消しかねない、極めて危ういものに感じられてなりません。

 「だメンズとは違うのだよ、だメンズとは!」と思っていたレディースですが、レディースも所詮浦和レッズの一員でしかないことを思い知らされた監督人事でした。
 

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 楠瀬監督はハイプレス&ハイライン、とにかく高い位置にコンパクトな守備ブロックを敷き、さらに素早い攻守の切り替えで高い位置でボールを即時奪回。相手が苦し紛れにロングボール蹴ってきたら優秀なCBが跳ね返す。とにかく相手に何もやらせないサッカーを築いただけで個人的には非常に高く評価していました。

 その反面、点を取ることについては「猶本全権委任システム」とか「戦術兵器清家」とか、WEリーグレベルでは頭二つくらい抜けてる選手に頼りがちだったのは否めず、両者がいない今季は得点力不足が顕に感は否めませんでした。ボールを保持している時間が長い割には点が入らない、ゴール前での精度を欠きまくる傾向は改善される様子がなく、その難点が先日の「まさかのAWCL準々決勝敗退」という形で露呈したようにも思えます。

 従って「楠瀬監督ではもう伸びしろがないから監督を代えよう」という判断自体はあっても不思議はないと思います。ただそれをシーズン終了時ではなく、シーズンの真っ最中、しかも今季のリーグ優勝を左右する大一番=アウェーINAC戦の直前にやるかね、フツー??? しかも今季のリーグ戦が芳しくないのならともかく、INAC戦に勝てば逆転優勝が狙える好位置にいるにも関わらず。

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 そして楠瀬監督の後任が堀さんという報にもずっこけました。2011年には残留争いにどっぷり浸かったゼリコの後を受けてなんとかJ1に踏みとどまり、2017年にはミシャの後を受けてACL優勝を成し遂げた大恩がある堀さんを悪く言うのは忍びないのですが、いくらなんでも「80点で頭打ちになっているところを90点にしたい」がために呼ぶべき監督じゃないでしょう・・・

 監督の力量はカップ戦ではなくリーグ戦で見定めるべきもの。堀さんは2017年ACL優勝という偉業を成し遂げたもののリーグ戦は良いところなし。よってACL優勝を餞とばかりに翌年は新監督を招聘しても何の不思議もなかったのですが、そこは考えがいかにもアマチュアな浦和フロント。ACL優勝の御礼とばかりに堀続投を決め、案の定2018年は開幕当初から成績不振。リーグ戦たった5試合で解任の憂き目に合っています。こんな馬鹿げた人事をやらかすクラブって浦和くらいしかないでしょう。This is URAWA!!

 その後堀さんは東京Vでシーズン途中での監督就任&翌年早い時点での監督解任という浦和と全く同じ道を歩み、2023年には仙台でシーズン途中で監督就任。もっとも仙台ではその年一杯で見切られました。

 要するに堀さんは「一度も成功したことがない監督」です。そんなお方を「少々物足りない点もあったが合格レベルは優に超えている監督」の後に連れてくるかね、フツー・・・ しかも「一度も成功したことがない」上に「女子サッカーの指導は初めて」という監督を!!

 工藤SDは堀新監督に得点力向上を期待しているようですがそう、まあ上手くはいかんでしょう。「多少点は取れるようになった代わりに守備が全面崩壊して差し引きマイナスになる未来」がうっすら見える気が・・・なんかそんな絵面を昨年だメンズで見たばかりですし・・・

 言い換えると工藤SDはまともに楠瀬監督の後任を探していたのかどうか??? 邪推になりますが、仲良しの堀さんを昨年12月に強化担当という形でレディースに潜り込ませた時点で工藤SDは楠瀬監督の寝首を掻く腹を固めてた、その機会を虎視眈々をうかがっていたとしか思えないのですが・・・

 メンズだと移籍が多いこともあって、キャリアのどこかしらで訳の分からない監督人事に振り回された経験がある選手は少なくないでしょう。ところがレディースは移籍が少ない、おまけに「それはそれ、これはこれ」と割り切って練習や試合に取り組めるだけのプロ意識を持った選手がどれだけいるか些か心配です。

 個人的には「さすが浦和としか言いようがない愚行」としか思えませんが、そんな状況下で浦和の選手たちはどんな戦いぶりを見せてくれるのか。それを見届けに今週末神戸へ行ってきます。

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2025.03.24

【短感】AWCL24-25準々決勝:浦和L 0-0(PK5-6)武漢江大

 浦和のアジアでの挑戦、そして世界の強豪たちとガチンコで闘う夢はPK戦負けという形で砕け散りました。

 120分を通じて浦和が敵陣内でボールを支配する試合展開で、シュート数12対2という公式記録通り武漢にしてみれば「10回やって1回勝てるかどうか」と言っても過言ではないくらい力の差はあったと感じました。

 ゆえに武漢は立ち上がりから5-4の守備ブロックを自陣深くに作る「ドン引き」の構え。そして前に33番のCFをポツンと残してあわよくばカウンターで1点をもぎ取る狙いもはっきりしていました。

 浦和が後半頭から対人守備に無類の強さを誇る石川を投入したためカウンターでの得点の可能性も潰えると、今度はPK戦までもつれこませるべく露骨にちょこちょこ時間稼ぎをし始め、最後はPK戦のスペシャリストGKまで投入して武漢の目論み通りにPK戦に突入。

 こうなると120分劣勢だった武漢のほうが明らかにメンタル的に気楽。浦和は監督が自信を持って送り出したであろう5人目までに決着を付けられず、既にヘロヘロの伊藤や遠藤が蹴る羽目になった(遠藤は公式戦で初めてPK蹴ったらしい)時点で辛いものがあったかと。

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 「10回やって1回勝てるかどうか」という相手になんとか勝ち筋を見出して、その勝ち筋通りに「1回の勝ち」を引き当てるってこの試合の武漢は浦和ACL2023決勝と非常によく似ていた気も。ダーティーなプレーも少なく(その一方審判団の残念さには泣かされましたが)、武漢は統制の取れた良いチームだったと感じました。

 一方浦和はPKに失敗した選手を責めても仕方なく(PK戦は運ではないので、それはそれとして練習はすべきだとは思いますが)、90分どころか120分でも1点も取れなかった不甲斐なさこそ責められてしかるべきでしょう。まぁ「ボールを握って攻めている割には点が入らない」というのは今季の浦和がずっと抱えている宿痾で、それがこの大一番でまた顔を覗かせたと言ってしまえばそれまでですが。

 ただこの試合に関して言えば点が入らない要因はいくつもあったような気も。まず5-4の守備ブロックを敷いてドン引きするチームはWEリーグでもままありますが、守備陣が揃いも揃ってフィジカル的に屈強だというのはWEリーグでは体験できません。これがACLの怖さ。一方浦和はフィジカルが強い猶本が大宮戦に続いて欠場し、菅澤・安藤・水谷の復帰も遅れていて、そんないかにも「フィジカル的にACL向きな選手」をごっそり欠いた状態で武漢と闘う羽目になったのは痛手でした。

 天山山脈とヒマラヤ山脈が並んでいるようなところにハイクロス(おまけに精度も笑えるくらい低い)攻撃はあまり意味がなく、セットプレーも全くチャンスになりませんでした。よって浦和の攻撃は必然的に地上戦頼みになりましたが、なんとかボックス内に突入してもそこからが武漢は粘り強くてなかなかシュートまで持ち込ませてもらえず。ドン引きを崩す常套手段=ミドルシュートを撃てる猶本の不在がここでも痛手に。

 延長戦に入ってようやく生粋のドリブラー藤﨑が武漢ゴールを脅かすようになりましたが、「パスワークで綺麗に崩したがる選手」を前に並べるだけではなかなか点は取れませんでした。そしてパスワークが生命線のチームにとって不慣れな熊谷での試合は結構難儀だったようで、この試合ではパスミスが続出。こんな形で熊谷が浦和の前に立ちふさがるとは・・・

 元々「ボールを握って攻めている割には点が入らない」という難点を抱えているチーム。WEリーグでこそ「戦術兵器はな」でなんとか誤魔化してきたものの、ACLを勝ち抜くには色々と足りないものが多すぎた。そんなところでしょうか。

 こんな負け方ではメンタルを立て直すのも大変でしょうが、次節アウェーINAC戦に勝って、さらにリーグ戦3連覇を果たしてまたアジアの舞台へ戻って来ましょう!!

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-----高橋-----
伊藤---塩越---島田
---柴田--角田---
栗島-長嶋--後藤-遠藤
-----池田-----

(交代)
HT 長嶋→石川
73分 角田→藤﨑(藤﨑左SH、伊藤CHへ)
延長前半頭 島田→高塚

 

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2025.03.16

【短感】24-25年第14節:大宮V 0-3 浦和L

 浦和のスタメンは前節広島戦から猶本→塩越、島田→高塚と2枚入れ替え。猶本は前節前半限りでお役御免となっており、如何せん大怪我明けなので無理使いを避けたものと思われます。

 試合は立ち上がりから浦和が一方的にボールを支配し、2分には早くも池田のロングフィードを最前線で高橋が収めて塩越→伊藤のシュートがポストを叩く決定機。12分にはカウンターから塩越→高橋のシュートはGKセーブと良い形を作りましたが、その後は次第にぐだぐだに。

 大宮は浦和最終ラインまでプレスには来ないものの、高めの位置に4-4-2のコンパクトな守備ブロックを作っており、浦和はこれを突破するのに四苦八苦。高橋のポストプレーを上手く使えば楽なのですが、この試合では概して高橋へのフォローが遅いように見受けられました。

 そしてその主因は塩越の不調でしょう。塩越は中断明けの千葉戦ではなぜかベンチ外。前節広島戦は後半途中からの出場でしたが、この試合の後の監督会見によるとどうも小破していた模様。この試合でもプレースキックは全く蹴っていませんでしたし、流れの中でもボールはそれなりにタッチしているものの、肝心なところでプレー席度を欠いたり、キレがなかったりする場面が多いように感じられました。監督からは試合後「彼女も少し足を気にして大事にやり過ぎたところがあったと思います」というコメントも。

 しかし33分高橋が高い位置でのボールを奪ったことを契機に自ら豪快なミドルシュートを決めて浦和先制。乗松が無理にビルドアップしようとしたのを高橋が咎めたもので、乗松のディレイが成功して高橋はそのままシュートには至らなかったものの、伊藤のサポートを受けてボックス内で再び前を向いて見事なコントロールショット!!高橋の目の前には大宮DFがいることはいたのですが、寄せが甘いというかなんというか・・・

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 浦和後半頭から高塚→藤﨑と交代。後半の早い時間帯には大宮が何度か良い形を作り、64分には左サイドからのクロスにファーで合わせる場面もありましたが、そこは栗島が身体を寄せて自由には撃たせず。

 浦和は65分不調の塩越に代えて島田を投入し、2トップ気味にシフトしてから大攻勢。しかし、クロスに詰め切れない、撃ち切れない場面の連続でもどかしいのなんの。クロスに対して四人も飛び込む浦和ってすげー!と思いますが、肝心のクロス精度がイマイチなのも今季の浦和あるある。攻めている割には点が入らない。おまけに主審がボックス内での大宮のハンド=PKを見逃した臭い場面が2度あって苛立ちに拍車をかけた感も。

 それでも77分左サイドやや距離のあるところから角田FK→ファーで石川が折り返して中で島田が詰めるという、いかにも練習通りの形で浦和追加点。

 浦和の守備が恐ろしく堅く、大宮の攻撃がほとんど体をなしていないことを考えると浦和が2点目を取った時点で事実上勝負あり。楠瀬監督は82分から若手に経験を積ませるモードに突入したものの、体力が尽きた大宮は浦和のプレッシングに耐え切れずにミス連発。しかし、浦和も浦和でそのミスに乗じきれないというこれまたなんだかなぁな時間帯に。

 88分高橋の横パスを受けた藤﨑がボックス内で後方から大宮DFに足を引っかけられ、さすがにアンポンタンな主審もこれは見逃しきれずにPKを宣告。高橋に「お前が蹴れ!」とばかりに背中を押された藤﨑のシュートコースはやや甘く、GKもシュート方向に反応したものの、シュートスピードが勝って浦和3点目。

 終わってみれば実力差通りの点差は付きましたが、個人的には「もうちょい点取れたよね?なんか肝心なところで雑だったよね?」という印象が強くて、試合内容はそんなに褒められたようなものではなかったかと。監督が試合後「もう少し崩しの部分ができたらと思います」「やはりフィニッシュワークのところは、もう少し形ができていってほしいです」と毎試合同じ課題を口にするのも道理でしょう。

Omiya2503002

-----高橋-----
伊藤---塩越---高塚
---柴田--角田---
栗島-長嶋--石川-遠藤
-----池田-----

SUB 福田、後藤、岡村、櫻井、平川、島田、藤﨑

(得点)
33分 高橋
77分 島田
88分 藤﨑(PK)

(交代)
HT 高塚→藤﨑
65分 塩越→島田
82分 柴田→平川
82分 栗島→櫻井
90+2分 遠藤→岡村

・ディフレクトなど偶発的な形で中盤に穴が開きそうになったら、角田がボールボルダーに全力で詰め寄ってボール奪取。あれには随分助けられました。ハナエスタとは真逆なタイプのCHで良い補完関係

・開いたCBの間に入ってビルドアップに加わるというメンズではあんまり見られない技を池田は知らん間に会得しとるのう!!

・高橋がやたら中盤に降りてくるな?と思ったらそれは陽菜だったのにはビビった!!陽菜はめっちゃデカい!! 最後は島田をSHに下げて陽菜がFWに入ってましたが、前原大怪我&菅澤合流が遅れてるので、陽菜の魔改造が始まったのかな?

・大宮には乗松・高橋美紀・西尾(レンタル中)・齊藤と元浦和の選手が4名在籍。齊藤選手は浦和在籍時の「齊藤あかね」選手だったとは!!

 

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2025.03.03

【短感】24-25年第12節:浦和L 2-0 千葉L

《スタメン》

 代表帰りの高橋はコンディションが良くないのかベンチスタートで島田がCF。猶本がついにスタメンに復帰した代わりに塩越がなぜかベンチ外に。

 また冬にニッパツから獲得したばかりの櫻井とトップ昇格したばかりの平川がいきなりベンチ入りしたのが目を惹いた。

《試合展開》

 試合前に大雪が降り、スタッフが必死に雪かきしてなんとか試合を成立させたものの、ところどころに雪が残るピッチ状態が災いしてか、序盤は双方パスミスだらけのぐだぐだ模様。

 しかし25分くらいからようやく浦和が千葉を自陣深くに押し込みだす展開に。何度もクロス攻撃の形を作りながらその精度が酷すぎるのは参ったが、35分CKからの流れで伊藤が右サイドから豪快なミドルシュートを決めて浦和先制。その後も何度も千葉ゴールに迫る形を作るものの決定機には至らず。

 千葉は長身CFオネイルにバンバンロングボールを放り込んでくると思いきや、割としっかり繋ぐ場面が多い。こちらも浦和ゴールに迫る場面が何回かあったが、浦和最終ラインがしぶとく壁を作って決定機を作らせず。

 浦和は後半頭から藤﨑に代えて高橋を投入。高橋のポストプレーが猛威を奮い、52分千葉のクリアボールを拾った猶本が高橋のポストを使ってボックス内に突入するもシュートは僅かに枠外。

 試合が再びぐだぐだになりかかったところで63分高塚に代えて角田を投入し、伊藤を左SHに配するもぐだぐだ模様はすぐには解消せず。

 しかし終盤ようやく浦和が再び千葉を圧倒しだして78分ボックス内で千葉のクリアし損ねを拾った猶本が反転シュートを放つものの、これも僅かに枠外。

 楠瀬監督はここを勝負所を見たのか、81分島田に代えて後藤を投入し、後藤左SB&栗島右SHという見慣れない布陣に。

 そして84分左サイドでの伊藤FKからの流れで猶本が対峙した相手の股を抜いてボックス内突入→クロスに前残りしていた後藤が豪快に頭で合わせて追加点。

 千葉は何とかボールを繋ごうとするものの浦和のプレス網に寸断されてシュートどころか良い形すら作らせてもらえず、一か八か的なミドルシュートで池田を脅かすのが精一杯だったので、浦和が2点目を取ったことで事実上勝負あり。

 最後は竹内や平川に場数を踏ませる余裕を見せて楽々逃げ切り勝ち。

 中断期間を経たとはいえ「点はあんまり取れないが守備は恐ろしく堅い」という浦女の基本仕様にはなんら変化なし。ただ猶本の復調は実に頼もしかった。

Urawal2_202503

-----島田-----
高塚---猶本---藤﨑
---柴田--伊藤---
栗島-長嶋--石川-遠藤
-----池田-----

SUB:福田、後藤、高橋、角田、竹内、櫻井、平川

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2025.01.26

【短感】24-25年皇后杯決勝:浦和L 1-1(PK5-4) 新潟L

 準決勝で難敵I神戸をボコボコにしてから1週間後に決勝で迎える相手は新潟L。浦和はなぜか遠藤がベンチスタート(試合後の監督コメントによれば「少し体調を崩していました」とのこと)で、小破が癒えて準決勝でベンチ入りしたばかりの長嶋がスタメン。

 浦和の試合の入りは上々で、ハイプレスが猛威を奮って新潟を自陣に釘付けに。11分には塩越スルーパス→髙橋の股抜きシュートが決まって早々と先制し、準決勝に続いて大勝する予感ムンムンでした。

 ところが浦和が圧倒的に押していた時間帯に2点目が取れず。それどころか26分深い位置でのスローインから始まった新潟の攻撃で、新潟右サイドのクロスがどフリーの園田に通って際どいシュートを撃たれたのを契機に戦況は一変。28分にはアーク付近で川村のパスを受けた滝川がドリブルでシュートコースを探しに探して、石川と後藤の間の僅かな隙間からシュートをねじ込んで同点に。浦和守備陣は全然崩されていないのにやられてしまった格好で、これは滝川を褒めるしかないでしょう。

 崩されての失点ではないので、浦和はなんら慌てることなくそのまま試合に臨めば何の問題もないと思ったのですが、この失点を契機になぜか浦和は急激にグダグダに。

 浦和の攻撃が停滞した主因は割とはっきりしていて、新潟守備陣が髙橋の抑え込みに成功したこと。正直山下主審が髙橋への後方からのファウルを全然取らないのに新潟守備陣は随分助けられた気もしますが、「戦術兵器清家」に代わって「戦術兵器髙橋」に頼り始めた今の浦和には髙橋を抑えられた時の策がなさ過ぎたと言っても良いでしょう。そして浦和は「悪い攻めは悪い守備を生む」という悪循環に陥ってしまいました。

 楠瀬監督が放った一手は後半頭から島田に代えて角田投入。ところがこの交代は悪手に近く、浦和は後半の立ち上がりに新潟の猛攻を浴び、52分山谷スルーパス→杉田のシュートは池田が横っ飛びセーブ。続く53分には右サイドから山本クロス→石田が長嶋の前に飛び込んでシュートという超決定機を作りましたが、至近距離のシュートを池田がなんとか弾き出して浦和は難を逃れました。そして終わってみればこの時間帯が浦和が最も敗戦に近づいた時間帯でした。

 ところが新潟も新潟で、この超決定機を最後に急激にグダグダに。浦和も依然戦闘態勢を再建できずに時間が徒過。試合は塩化が進みに進んで当事者以外は全く興味を持ちそうにない残念な内容になり、双方さしたるチャンスを作れないまま当然のように延長戦突入。。

 ただ新潟が81分に放った3枚替えは両チームの選手交代の中で「相対的により悪い手」だったようで、後半途中投入の田中達也娘を延長戦途中で代えざるを得なくなる始末。浦和は延長後半になってようやく新潟を再度自陣に押し込み出し、延長後半10分には藤﨑→猶本→藤﨑と途中投入選手同士のコンビネーションによる決定機を作りましたが、今後は平尾が至近距離のシュートに反応してビッグセーブ!!!

 双方GKが見せ場を作ってのドローゲームはPK戦による決着へ。117分にPK戦要員として投入されたっぽい新潟3番目のキッカー横山のシュートはコースも甘ければスピードもなくて池田が難なくセーブ。

 一方浦和は全員PK成功。5番目のキッカーが池田だったのには心底びっくりで、よほどPKが巧いのかと思っていたら一番危なかったのは池田だったのには苦笑せざるを得ませんでしたが、とにもかくにもあの緩いシュートを平尾は止めきれず、浦和がPK戦による勝利ながらも見事3大会ぶり2度目の皇后杯を手にしました。

 まぁカップ戦なんでどんなに内容がクソであったとしても「勝てばよかろう」。選手も監督もスタッフの方々も、そしてはるばる広島まで駆け付けたファン・サポーターの皆様も本当にお疲れましたでした。

Urawal2_20241212

-----高橋-----
高塚---塩越---島田
---柴田--伊藤---
栗島-後藤--石川-長嶋
-----池田-----

(得点)
11分 髙橋
28分 滝川(新潟)

(交代)
HT 島田→角田(角田CH、伊藤右SHへ)
76分 長嶋→遠藤
85分 高塚→藤﨑
114分 栗島→猶本(猶本CH、角田左SBへ)

 準決勝PK戦での大失態を埋めあわせるかのように山下主審の笛がえらく新潟寄りだった上に、NHKの実況・解説、そして絵作りに至るまでめっちゃ新潟寄りなのには参りました。髙橋の見せ場=森脇芸をスルーしたのはともかく(苦笑)、ハーフタイムに代表監督との話に尺を取りすぎて、楠瀬監督のハーフタイムコメントを後半の試合中に流さざるを得なくなったのはさすがに切腹ものだと思いますが。

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2025.01.19

【短感】24-25年皇后杯準決勝:浦和L 4-1 I神戸

 年明け初戦となった皇后杯準決勝。小破して昨年のリーグ戦終盤欠場していた塩越がスタメンに復帰した他、同じく小破していた長嶋どころか昨年の皇后杯準決勝で負傷して長期離脱を余儀なくされていた猶本もベンチ入り。皇后杯は9人もベンチ入りが認められているせいか、ベンチは随分賑やかになりました。

 昨年末はAWCL参戦の影響で過密日程を強いられたこともあって塩試合の連続、「勝てばよかろう」にならざるをえない試合が目立ちましたが、ウインターブレイクと呼ぶにはあまりにも短いただの正月休みをもらった甲斐があってか、浦女の面々のコンディションは劇的に回復。序盤から厳しい前プレの連続で神戸を自陣に押し込み続けました。

 神戸の攻め手と言えばとにかく長身のCFスアレスへの放り込み一辺倒。スアレスがボールをキープしてサイドへ展開し、サイドからスアレス目掛けてハイクロスを放り込むという単純極まりないもの。ところが浦和の前プレが厳しいために神戸はそもそも高精度のロングボールを入れられない上に、アバウトに放り込んだところでスアレスへは石川&後藤がきっちり対応して何もやらせず。

 従って試合は序盤から浦和ペースで進みましたが、浦和も浦和で相手陣内でボールを握っている時間こそ長いものの決定機は作れないまま。

 そうこうしているうちに22分自陣深い位置でのロングスローからサンプソン→スアレス→愛川とヘッドで繋がれ、しかも後藤のクリアが短くてそのままサンプソンに渡ってしまって失点。そこまで全く何もやらせていなかった相手に「高さで屈してしまう」という非常に嫌な形、ある意味神戸の得意パターンで失点してしまいました。

 ただ先制点を許したものの試合の流れは特に変わらず、24分島田、32分塩越と神戸ゴールを脅かす形も増え始め、そして42分伊藤→島田→塩越のパスワークから遠藤が神戸最終ライン裏へ飛び出してクロス→髙橋のシュートがDFに当たってコースが変わったのも幸いして浦和が早いうちに同点。

 さらに45+2分栗島ロングフィードを髙橋が収めただけではなく、くるっと反転して土光を交わして前を向いたのが光るプレー。浮き球縦パスをもらった島田が追いすがるDFを振り切りながら冷静にGKの股を抜いて一気に逆転!!一対一でGKにぶつけがちだった島田、よくやってくれました!!!

Urawal2_20241212

 公式記録では神戸の前半のシュートは得点になったあの一本だけ。あんまりな惨状に業を煮やしたのか、神戸は後半頭から一気に3枚替え。ただサンプソンを代えて15歳のCB北村を入れた意図は謎でした。

 神戸は3枚替えだけでなく、単純な放り込みを控えて後方からしっかり繋ぐ策に切り替えた風でしたが、神戸のビルドアップはスペイン人監督が指揮しているとはとても信じがたいくらいお粗末なので浦和はますます楽に。神戸の出方の変化に戸惑った後半頭こそ多少神戸の攻勢を許す場面もありましたが大過はなく、楠瀬監督は63分高塚に代えて角田を投入して中盤のボール奪取力を強化。

 そして66分CB三宅のトラップが流れたのを髙橋が見逃さずに高い位置でボール奪取→塩越は迂闊に飛び込んできた北村をあっさり交わしてゴール!!

 これで神戸は緊張の糸が切れたようになり、浦和のやりたい放題に。73分ハイボールを競った高橋がDFを巻き込んで最前線で潰れたのが効いて、塩越→伊藤がルーレットのようにくるっと回って左足で4点目。

 事実上勝負は決したと見て楠瀬監督は83分故障でもないのにGKを代える「舐めプ」を含めた3枚替えを敢行。さらに89分には長期離脱からようやくベンチに戻ってきた猶本をピッチに送り出す親心すら見せて試合終了。

 先制点こそ許したものの、終始神戸に何もやらせないまま完勝。コンディションが劇的に回復した効果はてきめんで浦女の選手たちは最後までよく走りました。島田なんて3点リードしてて、しかも足を痛めた直後なのに激走プレスバックしてボールを奪っていましたから、「どんな時もさぼらない」意識がチーム内で徹底しているのでしょう。

 また体格で相手が優位なチームと対戦する機会って国内では神戸しかおらず、その神戸相手に完勝したのはAWCLに向けての良い予行演習になったと思います。特にCB後藤はスアレス相手に奮戦して自信をつけたことでしょう。

 逆に神戸はあのパワフルだが単純極まりないスタイルではだんだんリーグ戦で勝ち点が伸びなくなってきたのがよくわかった気も。解説の鮫島さんがあまりにも神戸に見所がないので、案外浦和を褒めていたのが実にこそばゆいのなんの。


-----高橋-----
高塚---塩越---島田
---柴田--伊藤---
栗島-後藤--石川-遠藤
-----池田-----

(得点)
22分 サンプソン(神戸)
42分 高橋
45+2分 島田
66分 塩越
73分 伊藤

(交代)
63分 高塚→角田(角田CH、伊藤左SH)
83分 池田→福田
83分 後藤→長嶋
83分 島田→藤﨑
89分 塩越→猶本

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